説明

含フッ素エーテル化合物

不活性媒体として有用な新規含フッ素エーテル化合物の提供。
下式(1a)で表される化合物または下式(1b)で表される化合物等の下式(1)で表される化合物。
F1OCFRF2CFRF2ORF1・・・(1)
F(CFOCF(CF)CF(CF)O(CFF・・・(1a)
F(CFOCF(CF)CF(CF)O(CFF・・・(1b)
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
F1:炭素数4〜7の直鎖ペルフルオロアルキル基。
F2:フッ素原子、またはトリフルオロメチル基。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不活性媒体等として有用である新規な含フッ素エーテル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、含フッ素不活性媒体としては、C12またはC18等のペルフルオロアルカン類、下式(2)で表される化合物等のぺルフルオロエーテル類、および(CN等のペルフルオロアルキルアミン類等が知られている。これらの含フッ素不活性媒体は、エレクトロニクス分野における絶縁油、サーマルショックテストやリークテスト等の媒体、医療分野における酸素運搬剤、工業分野における洗浄剤または水きり剤等に用いられている(たとえば非特許文献1参照)。
【0003】
【化1】

【非特許文献1】山辺正顕、松尾仁編、「フッ素系材料の最新動向」、シーエムシー出版、1994年、p.172〜176
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、含フッ素不活性媒体の多くは、原料の大量入手が困難であり、工業的な製造が困難であった。また、含フッ素不活性媒体においては、化合物の沸点、融点および蒸気圧等の物性がきわめて重要であり、これらの物性は化合物の構造により大きく異なる。含フッ素不活性媒体を使用する際には、用途に応じた最適の物性を示す化合物を選択する必要があるが、近年の含フッ素不活性媒体の用途の拡大に伴って、多様な構造の含フッ素不活性媒体が必要とされている。しかし、これまでに知られている含フッ素不活性媒体は、炭素数が異なる複数の化合物の混合物である場合が多く、単一組成でかつ高純度の含フッ素不活性媒体が求められる医療分野等の分野においては、使用できる含フッ素不活性媒体が限られる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決する目的でなされたものであり、不活性媒体等として有用でありかつ新規な化合物を提供する。すなわち、本発明は以下の発明を提供する。
【0006】
<1>下式(1)で表される化合物。
F1OCFRF2CFRF2ORF1・・・(1)
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
F1:炭素数4〜7の直鎖ペルフルオロアルキル基。
F2:フッ素原子、またはトリフルオロメチル基。
【0007】
<2>下式(1a)で表される化合物、または下式(1b)で表される化合物。
F(CFOCF(CF)CF(CF)O(CFF・・・(1a)
F(CFOCF(CF)CF(CF)O(CFF・・・(1b)
【0008】
<3>下式(4)で表される化合物の2分子をカップリング反応させる、または、下式(5)で表される化合物および下式(6)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の2分子をカップリング反応させることを特徴とする下式(1)で表される化合物の製造方法。
F1OCFRF2COF・・・(4)
F1OCFRF2COOH・・・(5)
F1OCFRF2COOM・・・(6)
F1OCFRF2CFRF2ORF1・・・(1)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
F1:炭素数4〜7の直鎖ペルフルオロアルキル基。
F2:フッ素原子、またはトリフルオロメチル基。
M:アルカリ金属原子。
【0009】
<4>式(4)で表される化合物の2分子を光カップリング反応によりカップリング反応させる<3>に記載の製造方法。
【0010】
<5>式(5)で表される化合物および式(6)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の2分子を電解カップリング反応によりカップリング反応させる<3>に記載の製造方法。
【0011】
<6>RF1がF(CF−またはF(CF−のいずれかであり、RF2がトリフルオロメチル基である<3>〜<5>のいずれかに記載の製造方法。
【0012】
<7><1>または<2>に記載の化合物からなる不活性冷媒。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不活性媒体として有用であり、かつ新規な含フッ素エーテル化合物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)のようにも記す。他の式で表される化合物についても同様である。また、特に記載のない限り、圧力はゲージ圧で表す。
【0015】
本発明の化合物(1)は下式で表される化合物である。
F1OCFRF2CFRF2ORF1・・・(1)。
ただし、RF1は炭素数4〜7の直鎖ペルフルオロアルキル基である。ペルフルオロアルキル基とは、アルキル基中の炭素原子に結合した水素原子の全部がフッ素原子に置換された基を表す。RF1としては−(CFF、−(CFF、または−(CFFが好ましく、−(CFFまたは−(CFFが特に好ましい。RF2は、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0016】
化合物(1)としては、不活性媒体としての有用性の点から、下記化合物(1a)または下記化合物(1b)が好ましい。
F(CFOCF(CF)CF(CF)O(CFF・・・(1a)、
F(CFOCF(CF)CF(CF)O(CFF・・・(1b)。
本発明の化合物(1)の製造においては、公知または周知の方法が採用でき、該方法としては以下の方法等が挙げられる。
【0017】
[方法1]下記化合物(3)を液相中でフッ素と反応させる方法によりフッ素化する方法。
[方法2]下記化合物(3)を高原子価金属フッ化物によってフッ素化する方法。該方法としては、たとえば三フッ化コバルトを用いてフッ素化するコバルトフッ素化法が挙げられる。
[方法3]下記化合物(3)を電気化学的フッ素化反応(以下、ECF法と記す)によりフッ素化する方法。
[方法4]2分子の下記化合物(4)、または、下記化合物(5)および下記化合物(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の2分子をカップリング反応させる方法。
OCXCXOR・・・(3)、
F1OCFRF2COF・・・(4)、
F1OCFRF2COOH・・・(5)、
F1OCFRF2COOM・・・(6)。
【0018】
ただし、式中のRF1およびRF2は前記と同じ意味を表し、XおよびXは、それぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を表す。RとRF1、RとRF2はそれぞれ対応し、RはRF1中のフッ素原子の一部または全部が水素原子に置換された基、または該置換された基の炭素−炭素結合が不飽和結合になった基を示す。Rとしては、RF1と同一炭素骨格を有するアルキル基が好ましい。
【0019】
F2がフッ素原子である場合のRは水素原子であり、RF2がトリフルオロメチル基である場合のRはメチル基である。Mはアルカリ金属原子を示す。該アルカリ金属原子としては、ナトリウム原子、カリウム原子、またはリチウム原子等が挙げられ、化合物(6)の調製が容易であることから、ナトリウム原子またはカリウム原子が好ましい。
【0020】
前記方法1〜3における化合物(3)は公知の化合物であるか、または公知の化合物に公知の手法を適用することによって得ることができる。化合物(3)としては、下記化合物(3c)および下記化合物(3d)等が挙げられる。
H(CHOCHCHO(CHH・・・(3c)、
H(CHOCHCHO(CHH・・・(3d)。
【0021】
方法1の液相フッ素化法は、たとえば特許第2945693号公報に記載の方法に従って実施できる。また、方法2のコバルトフッ素化法、方法3のECF法によるフッ素化は公知の方法で実施でき、反応条件は、化合物(3)の反応性、および安定性等により適宜変更されうる。
【0022】
前記方法1〜3によって化合物(3)をフッ素化することにより、化合物(3)中の炭素原子に結合した水素原子の全てがフッ素原子に変換されるか、または炭素−炭素不飽和結合にフッ素原子が付加する。よってフッ素化反応によれば、たとえば化合物(3c)からは下記化合物(1c)が生成し、化合物(3d)からは下記化合物(1d)が生成する。
F(CFOCFCFO(CFF・・・(1c)、
F(CFOCFCFO(CFF・・・(1d)。
【0023】
方法4における化合物(4)は公知の化合物であるか、または公知の化合物に公知の手法を適用することによって得ることができる。該手法としては、下記方法a、下記方法b、下記方法c等が挙げられる。
[方法a]液相フッ素化反応で得たペルフルオロエステルのエステル結合を分解する方法。
[方法b]交換反応を利用する方法。
[方法c]ヘキサフルオロプロピレンオキシド(以下、HFPOと略記する。)の付加反応を利用する方法。
【0024】
方法aは、下記化合物(7)を原料として、本出願人による国際公開00/56694号パンフレット等に記載の方法にしたがって実施できる。すなわち、化合物(7)と下記化合物(8)とをエステル化反応させて下記化合物(9)を得て、つぎに該化合物(9)を液相中でフッ素化して下記化合物(10)を得て、さらに該化合物(10)においてエステル結合の分解反応を行うことにより下記化合物(4)を得る方法によって実施できる(ただし、式中のR、R、RF1、およびRF2は前記と同じ意味を示し、Rはペルフルオロ化された1価の有機基を示す。ペルフルオロ化された1価の有機基としては、ペルフルオロアルキル基、またはペルフルオロ(エーテル性酸素原子含有)アルキル基が好ましい。化合物(7)は公知の化合物であるか、または公知の化合物に公知の手法を適用することによって得ることができる。)。方法aは、原料の入手が容易である点、および種々の構造の化合物(4)を作り分けられる点で好ましい。
【0025】
【化2】

【0026】
方法bは、下記化合物(12)を下記化合物(13)とともに加熱することによって実施できる(ただし、式中のRF1およびRF2は前記と同じ意味を示し、R10は1価の有機基であり、ペルフルオロアルキル基または(エーテル性酸素原子含有)ペルフルオロアルキル基が好ましい。)。方法bにおける交換反応とは、化合物(12)中の−COOH部分を−COF部分に交換する反応である。該交換反応は平衡反応であるため、生成する化合物(4)を反応蒸留等の手法によって系外へ抜き出しながら反応を行うことが好ましい。
【0027】
【化3】

方法cは、化合物(4)のRF2がトリフルオロメチル基である下記化合物(4A)の入手方法として有用な方法である。方法cは、下記化合物(11)にHFPOを付加させる方法によって実施できる(ただし、式中のRF3は炭素数3〜6の直鎖ペルフルオロアルキル基であり、化合物(4A)におけるRF3CF−部分は、化合物(4)におけるRF1部分に相当する。)。
【0028】
【化4】

【0029】
化合物(11)は公知の化合物であるか、または公知の化合物に公知の手法を適用することによって得ることができる。化合物(11)の合成方法としては、下記化合物(16)を下記化合物(13)とともに加熱し、化合物(16)の−COOH部分を−COFに変換する方法、下記化合物(17)を発煙硫酸と反応させ、化合物(17)の末端のヨウ素原子を−COFに変換する方法等が挙げられる(ただし、式中のRF3およびR10は前記と同じ意味を示す。)。また、式ROHで表される化合物(ただし、Rは炭素数3〜6の直鎖アルキル基を示し、RF3と対応する基である。)を用いて、本出願人による国際公開00/56694号パンフレット等に記載の方法に従って合成することもできる。
【0030】
【化5】

【0031】
化合物(4)としては、入手が容易である点およびカップリング反応によって得られる不活性媒体の有用性の点から、下記化合物(4a)または下記化合物(4b)が好ましい。
F(CFOCF(CF)COF・・・(4a)、
F(CFOCF(CF)COF・・・(4b)。
また、方法4における化合物(5)および化合物(6)は公知の化合物であるか、または公知の化合物に公知の手法を適用することによって得ることができる。
【0032】
本発明においては、化合物(5)は、化合物(4)の加水分解反応によって得ることが好ましい。
化合物(6)は、化合物(5)を極性溶媒に溶解させた溶液中にアルカリ金属水酸化物を加えることによって溶液または懸濁液として得ることが好ましい。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、化合物(6)の調製が容易である点および極性溶媒への溶解性が良好である点から、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましい。極性溶媒としては、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトニトリル等のニトリル類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等から選ばれる1種の溶媒または2種以上を混合した混合溶媒が好ましい。溶媒としては、後述する電解カップリング反応において用いられる溶媒と同一の溶媒を選択することが特に好ましい。該溶媒を選択することにより、化合物(6)を溶媒から分離することなくカップリング反応に付すことができる。
【0033】
化合物(5)としては、入手が容易である点およびカップリング反応によって得られる不活性媒体の有用性の点から、下記化合物(5a)または下記化合物(5b)が好ましく、化合物(6)としては、下記化合物(6a)、下記化合物(6b)、下記化合物(6e)、または下記化合物(6f)が好ましい。
F(CFOCF(CF)COOH・・・(5a)、
F(CFOCF(CF)COOH・・・(5b)、
F(CFOCF(CF)COONa・・・(6a)、
F(CFOCF(CF)COONa・・・(6b)、
F(CFOCF(CF)COOK・・・(6e)、
F(CFOCF(CF)COOK・・・(6f)。
【0034】
本発明における化合物(1)の製造方法としては、高純度の化合物を工業的に効率よく製造できることから、方法4によることが好ましい。
【0035】
方法4としては、2分子の化合物(4)を光カップリング反応によってカップリングする方法、化合物(5)および化合物(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の2分子を電解カップリング反応によってカップリングする方法が好ましく、化合物(5)の1分子と化合物(6)の1分子とを、または化合物(6)の2分子を、電解カップリング反応によってカップリングする方法がとりわけ好ましい。
【0036】
これらの方法におけるカップリング反応では、−COF、−COOH、または−COOMが結合した炭素原子上に、それぞれラジカルが発生し、2分子の該ラジカルがカップリングすることにより、化合物(1)が得られる。たとえば、2分子の化合物(4a)からは化合物(1a)が、2分子の化合物(4b)からは化合物(1b)が得られる。
【0037】
方法4におけるカップリング反応には公知の手法を適用することができる。光カップリング反応を行う場合、光源としては低圧水銀灯、中圧水銀灯、または高圧水銀灯が好ましい。反応温度は、0〜+100℃が好ましく、反応効率が良好であることから0〜+50℃が特に好ましい。反応は無溶媒で行ってもよく、ペルフルオロカーボン類またはペルフルオロエーテル類等の光反応に不活性な溶媒を使用して行ってもよい。反応圧力は大気圧、減圧、または加圧のいずれであってもよく、大気圧が好ましい。
【0038】
電解カップリング反応を行う場合は、化合物(6)、または、化合物(5)および化合物(6)からなる支持電解質を電気化学的な脱炭酸反応によって化合物(1)を得ることができる。電解カップリング反応に用いられる電解装置の電極としては、酸化還元電位が高い電極(例えば白金電極等)が好ましい。電解カップリング反応の電流密度は、0.02〜1.0A/cm程度が採用され、発熱の制御が容易である点および反応効率が良好である点から0.03〜0.5A/cmが好ましい。高い電流密度で反応を実施する場合には反応に伴う発熱を制御することが困難となり、低い電流密度で反応を実施する場合には効率が悪くなるため、工業的製法としては実用上好ましくない。
【0039】
電解カップリング反応は、無溶媒で行っても、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒の存在下で反応を行う場合、溶媒としては極性溶媒を用いることが好ましい。極性溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトニトリル等のニトリル類;水等が挙げられ、これらから選択される1種の溶媒、または2種以上を混合した混合溶媒が使用できる。支持電解質として化合物(5)と化合物(6)とを混合して使用する場合、反応効率を向上させるために、化合物(5)1リットルあたり化合物(6)を0.5〜2.0モル含有させることが好ましい。
【0040】
電解カップリング反応は、バッチ式で実施してもよく、化合物(5)および/または化合物(6)を電解槽に連続的に供給しながら反応を行う連続反応方式で実施してもよく、効率が良い点から後者が好ましい。電解カップリング反応の反応温度は通常−10〜+100℃であり、0〜+50℃が好ましい。電解槽としてはガラス製または樹脂製の電解槽が用いられ、絶縁性が良好であることからガラス製またはフッ素樹脂製の電解槽を用いることが好ましい。反応圧力は、大気圧、減圧、または加圧のいずれであってもよく、大気圧が好ましい。
【0041】
カップリング反応によって、化合物(1)を含む反応粗生物が得られる。反応粗生物は後処理を行うことが好ましい。後処理の方法としては、抽出、洗浄、クロマトグラフィー、加熱、および蒸留等が挙げられ、これらのうちから選ばれる1つの方法または2つ以上の方法の組み合わせにより適宜実施できる。洗浄を行う場合、水、またはNaHCO、KHCO等のアルカリ金属重炭酸塩の水溶液を用いて行うことが好ましい。加熱を行う場合は、反応粗生物を加熱還流することによるのが好ましく、KF等のアルカリ金属フッ化物の存在下に加熱還流するのが特に好ましい。
【0042】
化合物(1)を、高純度かつ単一組成の化合物が必要とされる医療分野等の分野において用いる場合は、反応粗生物をKFの存在下に加熱還流し、つぎに10%KHCO水溶液によって洗浄した後、蒸留することが好ましい。
【0043】
化合物(1)は用途に応じた純度に精製することが好ましく、高純度の品質が要求される用途においてはガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、NMR等によって測定される純度を98%以上にすることが好ましく、99%以上にすることが特に好ましい。
【0044】
本発明においては、方法4によって化合物(1)の製造を行った場合には高収率で目的とする化合物(1)を製造でき、不純物の副生が少ない利点がある。また、方法4は、医療分野等で用いられる高純度かつ単一組成の化合物(1)を得る方法としても好適な方法である。
【0045】
方法4においては、カップリング反応の原料の入手が容易であること、および用途に応じた最適の物性を示す構造の作り分けが容易であることから、方法aで得た化合物(4)を用いることが好ましい。化合物(5)および化合物(6)としては、該化合物(4)から得た化合物(5)または化合物(6)を用いることが好ましい。RF2がトリフルオロメチル基である場合の化合物(4)としては、化合物(11)にHFPOを付加する方法で得た化合物(4A)が好ましい。RF2がトリフルオロメチル基である場合の化合物(5)および化合物(6)としては、該化合物(4A)から得られる下記化合物(5A)および下記化合物(6A)(ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。)が好ましい。本発明の化合物(1)を医療用分野において用いる場合は、化合物(5A)および化合物(6A)を用いて方法4を実施することが好ましい。
F3CFOCF(CF)COOH・・・(5A)、
F3CFOCF(CF)COOM・・・(6A)。
【0046】
本発明の化合物(1)は、不活性媒体として有用あり、かつ新規な化合物である。該化合物は、エレクトロニクス分野における絶縁油、サーマルショックテストやリークテスト等の媒体、医療分野における酸素運搬剤、工業分野における洗浄剤または水きり剤等として有効に用いうる。また、化合物(1)の大部分は0℃以下の融点を有することから、前記用途における使用可能温度範囲が幅広い利点を有しており、この性質を利用して不凍液または冷媒等としても有効に用いうる。
【実施例】
【0047】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。なお、以下においてガスクロマトグラフィーをGC、ガスクロマトグラフ−質量分析をGC−MS、GCのピーク面積比より求まる純度をGC純度、収率をGC収率と記し、テトラメチルシランをTMS、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガスを20%希釈フッ素ガスと記す。また、NMRスペクトルデータはみかけの化学シフト範囲として示した。
【0048】
[例1]化合物(1a)の合成例(その1)
[例1−1]HFPO付加反応による化合物(4a)の合成例
【0049】
【化6】

【0050】
内容積2L(リットル)のハステロイC製オートクレーブに、脱水乾燥したCsF(42g)を仕込んだ後、反応器内を脱気した。この反応器中にF(CFCOF(1200g)およびテトラグライム(210g)を仕込み、反応器を−20℃に冷却した。反応温度が0℃以上に上がらないように供給量をコントロールしながらHFPO(922g)を連続的に供給した。反応終了後、2層に分離したので、フルオロカーボン層(下層)(2044g)を回収した。これを蒸留精製することにより、化合物(4a)(1510g)(GC純度99%)を回収した。化合物(4a)の構造は19FNMRスペクトルおよびGC−MSスペクトル解析により決定した。
【0051】
化合物(4a)のNMRスペクトル;
19FNMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、標準物質:CClF):δ(ppm)26.5(1F)、−78.8〜−79.4(1F)、−81.6(3F)、−82.3(3F)、−86.1〜−86.6(1F)、−126.7〜−127.1(4F)、−131.1(1F)。
化合物(4a)のGC−MSスペクトル;
MS(EI法、m/z):335(M−COF)、313、219、169、147、131、119、100、97、69、50、47(calculated Exact mass of C14:382.05)。
【0052】
[例1−2]光カップリング反応による化合物(1a)の合成例
【0053】
【化7】

【0054】
コンデンサを備えた内容積100mLのガラス製高圧水銀灯反応器(光源は石英製のジャケットを有す。)に撹拌子を入れ、例1−1で得た化合物(4a)(146.2g)を仕込んだ。反応液中の溶存酸素を除くため、アルゴン気流下で、1時間加熱還流を行った。次いで石英製ジャケット内に冷却水を循環させて光源を冷却しながら、室温で167時間の光照射を実施した。光照射終了後、粗液(132.8g)を回収した。粗液における化合物(1a)のGC純度は64.0%であり、化合物(4a)が18.5%残存していた。化合物(4a)の転化率は83.2%であり、化合物(1a)の選択率は79.6%であった。また、化合物(1a)のGC収率は66.3%であった。粗液を減圧蒸留し、化合物(1a)を留分として回収した。留分のGC純度は99.5%であった。化合物(1a)の沸点は85℃〜88℃/8.0kPa(絶対圧)であり、常温で液体であった。化合物(1a)の構造は19FNMRスペクトルおよびGC−MSスペクトル解析により決定した。ただし、下式においてにFに記したa〜mの記号は、19FNMRにおけるフッ素原子の帰属を特定するための記号である。また、19FNMRの帰属は二次元NMR(C−F cosy)の相関より決定した。
【0055】
【化8】

【0056】
化合物(1a)のNMRスペクトル;
19FNMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、標準物質:CClF):δ(ppm)−81.0 and −87.0(F and F、each 3F)、−126.8(F and F、4F)、−126.4〜−126.3(F and F、4F)、−79.6〜−81.1(F and F、4F)、−140.1 and −141.4(F and F、each 1F)、−79.1 and −78.0(F and F、each 3F).
化合物(1a)のGC−MSスペクトル;
MS(EI法、m/z):435(M−OCFCFCFCF)、335、263、219、197、169、150、131、119、100、97、69、47.
MS(CI法、m/z、メタン):651(M−F)、689(M+F)
(Calculated Exact Mass of C1226:669.95)。
【0057】
[例2]化合物(1a)の合成例(その2)
[例2−1]加水分解反応による化合物(5a)の合成例
【0058】
【化9】

【0059】
内容積200mLのハステロイ製オートクレーブに、例1−1で得た化合物(4a)(100g)およびHCFC−225(旭硝子社製、商品名:AK−225)(100g)を仕込んだ。反応温度が30℃を超えないように冷却し、激しく撹拌しながら、水(5.65g)を滴下した。滴下終了後、2時間撹拌を続けた後に、反応器を加温しAK−225を留去させながら副生したHFを除去した。オートクレーブを開放して粗液を回収し、減圧蒸留を行うことによって、化合物(5a)(84.4g)を得た。収率は84.8%であった。沸点は77.2℃/1.33kPa(絶対圧)であった。
【0060】
化合物(5a)のNMRスペクトル;
19FNMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、標準物質:CClF):δ(ppm)−79.0 and −85.8(AB、2F)、−81.6(3F)、−82.6(3F)、−126.8(2F)、−127.1(2F)、−132.8(1F).
1HNMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、標準物質:TMS):δ(ppm)9.3(COOH)。
【0061】
[例2−2]電解カップリング反応による化合物(1a)の合成例(その1)
【0062】
【化10】

【0063】
50mLのガラスバイアルに撹拌子を入れ、水(19.2g)、水酸化ナトリウム(1.6g)、例2−1で得た化合物(5a)(15.1g)、およびアセトニトリル(0.8g)を氷冷下でこの順番に仕込み、電極を浸漬させた。陽極および陰極としては、白金よりなる網(80メッシュ、30mm四方)を用い、参照極には銀・塩化銀電極を用いた。各々の電極は、短絡防止のためポリエチレン製の粗い網状の袋に入れて使用し、3mmの間隔で互いに平行になるように対向して配置した。溶液中に浸漬された電極の表面積は約9cmであった。氷冷下、1.0Aの電流値において1.1時間通電した。通電直後から電極付近より激しい発泡が観測された。電流密度は0.11A/cmであり、総電荷量は41mFであり、陽極−陰極間の電圧は、5.5〜6Vであった。
【0064】
電解終了後、反応粗液が2層に分離したので、下層(11.5g)を分離回収した。下層における化合物(1a)のGC純度は94.8%であり、化合物(5a)は検出されなかった。上層にCFCHOH(0.24g)を内部標準として添加したのち、一部をサンプリングして重水に溶解し、19FNMRで定量分析したところ、化合物(5a)の9.25%相当量の残存が確認されたが、化合物(1a)は検出されなかった。化合物(5a)の転化率は89.0%であり、化合物(1a)の選択率は91.7%であった。また、化合物(1a)のGC収率は81.6%であった。
【0065】
[例3]電解カップリング反応による化合物(1a)の合成例(その2)
底部にバルブを備え、本体に冷却水流通用ジャケットを備えた内容積1.5Lのガラス製セパラブルフラスコに、メカニカルスターラー、撹拌翼、ジムロート、プランジャーポンプ、および内温計を設置した。電極として、白金網(80メッシュ、20cm×10cm)を用いた。各々をポリエチレンメッシュの袋に入れて短絡防止したものを筒状に重ね合せ、撹拌翼を取り囲むように設置した。ジムロートと本体に備えたジャケットには0℃に冷却した冷媒を循環させた。
【0066】
例2−1と同様の方法で得た化合物(5a)(684g)、水酸化ナトリウム(48.0g)、アセトニトリル(135mL)、およびイオン交換水(900mL)を仕込み、激しく撹拌しながら25Aの電流値において16.8時間通電した。電流密度は0.125A/cmであり、総電荷量は15.7Fであり、陽極−陰極間の電圧は11〜13Vであった。通電開始時から14.4時間後までの間、化合物(5a)をプランジャーポンプを用いて300g/h(0.81mol/h)の速度で連続添加した。化合物(5a)の添加量は4320gであり、総使用量は5004gであった。
【0067】
反応の進行とともに粗生成物がフラスコ底部に沈降したので、適時、底部のバルブより抜き出しながら、反応を継続した。回収した粗生成物の合計量は4572gであった。粗生成物をGCにより分析した結果、化合物(1a)を94.3%(GC純度)含んでいた。GC収率は97%であり、電流効率は84%であった。
【0068】
[例4]電解カップリング反応による化合物(1a)の合成例(その3)
【0069】
【化11】

【0070】
−5℃に冷却した還流器を備えた蒸留塔に、F(CFCOOH(500g)およびFCOCF(CF)O(CFF(780g)を仕込み、内圧を0.1MPa、熱媒温度を120〜150℃に保って加熱還流を行った。反応の進行とともに生成した化合物(11a)を系外へ抜き出し、化合物(11a)(460g)(GC純度99%)を回収した。化合物(11a)の構造はNMR分析によって決定した。この化合物(11a)を用い、例1−1と同様の方法で化合物(4a)を得て、つぎに例2−1と同様の方法で化合物(5a)を得て、つぎに例3と同様の方法で化合物(1a)を得た。
【0071】
[例5]電解カップリング反応による化合物(1a)の合成例(その4)
[例5−1]エステル化反応による化合物(9a)の合成例
【0072】
【化12】

【0073】
内容積2LのハステロイC製オートクレーブに化合物(7a)(500g)を入れた。反応器を冷却して、大気圧で内温が30℃以下に保たれるようにゆっくりと化合物(8a)(1300g)を導入した。同時に充分に撹拌しながら、窒素ガスをバブリングさせ、反応により生じたHFを系外に追い出した。化合物(8a)の全量を導入後、30℃でさらに12時間反応させて生成物を得た。生成物をNMRおよびGCによって分析した結果、化合物(9a)が99.0%生成しており、未反応の化合物(7a)は検出されなかった。この生成物(9a)は精製することなく、以下の反応に使用した。
【0074】
[例5−2]フッ素化反応による化合物(10a)の合成例
【0075】
【化13】

【0076】
500mLのニッケル製オートクレーブに、R−113(312g)を加え、撹拌しながら25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。オートクレーブに窒素ガスを室温で1時間吹き込んだ後、20%希釈フッ素ガスを室温で流速9.45L/hで1時間吹き込んだ。つぎに20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例5−1で得た化合物(9a)(10g)をR−113(100g)に溶解した溶液を6時間かけて注入した。つぎに、20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながらオートクレーブ内圧力を0.15MPaまで昇圧し、ベンゼンをR−113に溶解した溶液(ベンゼン濃度=0.01g/mL)を、内温を25℃から40℃にまで昇温しながら9mL注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.3時間撹拌を続けた。つぎに反応器内圧力を0.15MPaに、反応器内温度を40℃に保ちながら、前記ベンゼンのR−113溶液(6mL)を注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.3時間撹拌を続けた。さらに同様の操作を1回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.22g、R−113の注入総量は21mLであった。さらに20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら1時間撹拌を続けた。つぎに、反応器内圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。生成物を19FNMRで分析した結果、化合物(10a)が収率95.4%で含まれていることを確認した。
【0077】
[例5−3]熱分解反応による化合物(4a)の合成例
【0078】
【化14】

【0079】
10℃に冷却した還流器を備えた2Lのフラスコに、例5−2で得た化合物(10a)(2000g)とKF粉末(16g)とを仕込み、100〜130℃に保った熱媒を用いて24時間加熱撹拌した。冷却後、KFを除去し、得られた粗液を蒸留して化合物(4a)(960g)を得た。化合物(4a)の純度は99%であった。
【0080】
[例5−4]
例5−3で得た化合物(4a)を用い、例2−1と同様の方法で化合物(5a)を得て、つぎに例3と同様の方法で化合物(1a)を得た。
【0081】
[例6]化合物(1b)の合成例
[例6−1]F(CFCOFの合成例
【0082】
【化15】

【0083】
滴下ロート、温度計、撹拌機を備えた2Lの4つ口フラスコに60%発煙硫酸(1019g)および五塩化リン(16g)を仕込み、室温で、F(CFI(893g)を3時間かけて滴下した。全量の3分の1を滴下したところで加熱を開始し、内温を70℃に保った。滴下終了後、70℃にて14.5時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、冷却し静置することにより、反応粗生成物が2層に分離した。上層(580g)を回収し、100%硫酸で洗浄した。上層をGCで分析したところ、目的とするF(CFCOFが64.0%、原料が19.2%含まれていた。原料転化率は76.9%、目的物のGC収率は58.7%であった。上層を精留することにより、GC純度99%以上の目的物(330g)を得た。沸点は62℃/(1.01325×10−2)kPa(絶対圧)であった。
【0084】
[例6−2]HFPO付加反応による化合物(4b)の合成例
【0085】
【化16】

【0086】
内容積700mLのステンレス製オートクレーブの固体投入口から無水CsF(21.2g)を仕込み、反応器を密閉した。反応器内を脱気した後、例6−1で得たF(CFCOF(292g)とテトラグライム(107g)を吸引させて仕込んだ。続いて反応器内の温度を0℃以下、圧力を0MPa以下に保ちながらHFPO(159g)をゆっくり仕込んだ。室温で一晩撹拌して反応させた後、撹拌を止め2時間静置した。つぎにオートクレーブを開放し、反応粗生成物を回収した。反応粗生成物は2層に分離しており、下層(430g)を回収した。下層をGC分析したところ、目的とする化合物(4b)が82.1%、原料が5.8%含まれていた。原料転化率は91.5%であり、化合物(4b)のGC収率は79.6%であった。該下層を精留することにより、GC純度99%以上の化合物(4b)(318g)を得た。沸点は123℃/(1.01325×10−2)kPa(絶対圧)であった。
【0087】
[例6−3]光カップリング反応による化合物(1b)の合成例
【0088】
【化17】

【0089】
化合物(4a)(146.2g)を化合物(4b)(115.01g)に変更し、光照射時間を100時間とする以外は、例1−2と同様に反応を行い、反応粗液(108.0g)を回収した。反応粗液における化合物(1b)のGC純度は63.4%であり、化合物(4b)が21.1%残存していた。化合物(4b)の転化率は80.2%であり、化合物(1b)の選択率は82.3%であった。また、化合物(1b)のGC収率は66.0%であった。反応粗液を減圧蒸留することにより、化合物(1b)を留分として回収した。留分のGC純度は98.6%であった。化合物(1b)の沸点は108℃/1.1kPa(絶対圧)であり、常温で液体であった。化合物(1b)の構造は19FNMRスペクトルおよびGC−MSスペクトル解析により決定した。ただし、下式においてにFに記したa〜rの記号は、19FNMRにおけるフッ素原子の帰属を特定するための記号である。また、19FNMRの帰属は二次元NMR(C−F cosy)の相関より決定した。
【0090】
【化18】

【0091】
化合物(4b)のNMRスペクトル;
19FNMR(282.7MHz、溶媒:CDCl、標準物質:CClF):δ(ppm)−81.8(F and F、6F)、−122.5、−123.2、−124.7〜−126.0(AB quartet)、−126.7(F、F、F、F、F、 F、F、or F、each 2F)、−79.4〜−81.3(F and F、4F)、−140.2 and −141.6(F and F、each 1F)、-78.0 and -79.2(F and F、each 3F)。
【0092】
化合物(4b)のGC−MSスペクトル;
MS(EI法、m/z):535(M−OCFCFCFCFCFCF)、435、319、231、219、181、169、150、131、119、100、97、69、50、47.
MS(CI法、m/z、メタン):851(M−F)、889(M+F).
(Calculated Exact Mass of C1634:869.94)。
【0093】
[例7]安定性試験の例
例1の方法で得た化合物(1a)および例6の方法で得た化合物(1b)をそれぞれPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で内面をコーティングしたステンレス製密封容器に入れ、無水フッ化水素を加えて密封し、100℃で240時間放置する。放置後の化合物(1a)および化合物(1b)をGC分析すると、分解物の生成は認められない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の化合物(1)は、不活性媒体として有用あり、かつ新規な化合物である。該化合物は、エレクトロニクス分野における絶縁油、サーマルショックテストやリークテスト等の媒体、医療分野における酸素運搬剤、工業分野における洗浄剤、または水きり剤等として有効に用いうる。また、本発明の該化合物(1)の大部分は0℃以下の融点を有することから、前記用途における使用可能温度範囲が幅広い利点を有しており、この性質を利用して不凍液、または冷媒等としても有効に用いうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で表される化合物。
F1OCFRF2CFRF2ORF1・・・(1)
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
F1:炭素数4〜7の直鎖ペルフルオロアルキル基。
F2:フッ素原子、またはトリフルオロメチル基。
【請求項2】
下式(1a)で表される化合物、または下式(1b)で表される化合物。
F(CFOCF(CF)CF(CF)O(CFF・・・(1a)
F(CFOCF(CF)CF(CF)O(CFF・・・(1b)
【請求項3】
下式(4)で表される化合物の2分子をカップリング反応させる、または、下式(5)で表される化合物および下式(6)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の2分子をカップリング反応させることを特徴とする下式(1)で表される化合物の製造方法。
F1OCFRF2COF・・・(4)
F1OCFRF2COOH・・・(5)
F1OCFRF2COOM・・・(6)
F1OCFRF2CFRF2ORF1・・・(1)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
F1:炭素数4〜7の直鎖ペルフルオロアルキル基。
F2:フッ素原子、またはトリフルオロメチル基。
M:アルカリ金属原子。
【請求項4】
式(4)で表される化合物の2分子を光カップリング反応によりカップリング反応させる請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
式(5)で表される化合物および式(6)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の2分子を電解カップリング反応によりカップリング反応させる請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
F1がF(CF−またはF(CF−のいずれかであり、RF2がトリフルオロメチル基である請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の化合物からなる不活性冷媒。

【国際公開番号】WO2005/042456
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515187(P2005−515187)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016158
【国際出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】