説明

含水土用低アルカリ固化材および固化処理方法

【課題】 硬化体がpH9〜10の低アルカリを示し、十分な強度を有するように、含水土を固化することができる含水土用低アルカリ固化材、それを用いた固化処理方法を提供する。
【解決手段】
酸化マグネシウムを15質量%を超えて60質量%以下、非晶質の水酸化アルミニウム含水物50℃〜400℃で恒量となるまで加熱した、波長1.5405Åにおける粉末X線回折スペクトルが、2θ=22±5°にブロードなピークの頂点を有し、ブロードなピークのベースラインを基準とした半値幅が6〜20°である水硬性アルミナを30質量%〜82質量%、炭酸リチウムを2質量%〜15質量%含有させて含水土用低アルカリ固化材を作製する。この固化材を含水土1m当たりに50〜200kg/m添加することにより、重金属の不溶化に適したpH9〜10で高強度に固化処理が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫底泥や建設汚泥、汚染土壌等の含水土を固化・不溶化するために適した含水土用低アルカリ固化材およびそれを用いた固化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱土の土質改良には、固化材を使用する固化処理が施される。また、土木工事等に伴って発生する建設汚泥等を搬出する際、流動性が高くそのままでの搬送が困難な場合があるので、固化材を使用して固化処理した後、搬出するという方法が採用される。何れの目的においても、固化材には、固化処理後の土が目的に合った十分な強度を有していること、適度の固化速度を有していること、固化材が化学的に安定であり有害物質が溶出しないこと等の特性が要求される。
【0003】
これら複数の特性が要求される固化材に関し、既に多くの技術が開示されている。このうちセメントを主成分とするセメント系固化材では高強度は得られるものの、セメント自体のアルカリにより固化処理土のpH値が11〜12程度となる。このアルカリによる動植物への影響、アンモニアの発生、近年では、鉛などの両性重金属汚染土の処理時に鉛の再溶出が問題となる場合がある。
【0004】
これらの問題を解決するために、マグネシア系固化材が提案されている。特許文献1〜3では、酸化マグネシウムとpH調整剤として硫酸アルミニウムなどの酸性材料や強度改良材としての高炉スラグ、せっこう、燐酸塩などを組合せたマグネシア系固化材が開示されている。
【0005】
一方、非特許文献1に示すpHと各種重金属の溶解度の関係から、特に鉛の不溶化性能面で固化処理土のpHは9〜10が望ましいと推定される。しかし、酸化マグネシウム自体のpHはこれよりやや高く、このpH調整のために、酸性材料を添加すると固化強度が低下するなどの問題もある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−239660号公報
【特許文献2】特開2001−200252号公報
【特許文献3】特開2003−193050号公報
【非特許文献1】田中 勝、「廃棄物学入門」、第1版、中央法規出版株式会社、1993年12月、p.64〜82
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、動植物への影響などの環境負荷が比較的小さく、固化処理土のpHが、鉛汚染土壌を効果的に不溶化可能なpH9〜10程度の低アルカリとなり、且つ、十分な強度を有するように、含水土を固化することができる含水土用低アルカリ固化材およびそれを用いた固化処理方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る含水土用低アルカリ固化材は、酸化マグネシウムを15質量%を超えて60質量%以下、波長1.5405Åにおける粉末X線回折スペクトルが、2θ=22±5°にブロードなピークの頂点を有し、該ブロードなピークのベースラインを基準とした半値幅が6°〜20°である水硬性アルミナを30質量%〜82質量%、及び炭酸リチウムを2質量%〜15質量%含むことを特徴とする。
【0009】
この含水土用低アルカリ固化材によれば、含水土中で酸化マグネシウム、水硬性アルミナおよび炭酸リチウムが相互に反応し、低アルカリで高い強度が得られる。ここで、酸化マグネシウムの添加量が15質量%より小さいと、十分な固化強度が得られないか、あるいは処理土のpHが低くなりすぎる。一方、60質量%より多くても、固化強度が低下するか、pHが高くなりすぎる。また、水硬性アルミナの添加量が30質量%より小さいと、十分な固化強度が得られないか、処理土のpHが高くなる。一方、82質量%より多い場合、処理土のpHが低くなりすぎる。また、炭酸リチウムの添加量が2質量%より小さいと、十分な固化強度が得られず、一方、炭酸リチウムを15質量%より多く添加しても、コストに見合う強度増進効果が得られず、経済的にも好ましくない。
【0010】
本発明に係る水硬性アルミナは、アルミニウムの陽極酸化処理工程の中和・凝集により副生した非晶質の水酸化アルミニウム化合物を、50℃〜400℃で恒量となるまで加熱することにより得られたものであることが好ましい。なお、この方法によって得られる生成物は、厳密にはアルミナではないが、本発明では水硬性アルミナと称する。
【0011】
ここで、加熱温度が50℃よりも低いと、水硬性アルミナの反応性が十分でなく、固化材とした場合、十分な固化強度を得ることができない。また、恒量(乾燥する)となるまでに長時間がかかり、製造コストの増加を招くことになる。一方、400℃よりも高い温度で長時間加熱すると、同様に水硬性アルミナの反応性が低下し、固化強度が低下する。
【0012】
また、本発明に係る固化処理方法は、含水土1m当たり、上記の含水土用低アルカリ固化材を50kg〜200kg混合することを特徴とする。この方法により、処理土がpH9〜10の低アルカリで、且つ、十分な固化強度を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、動植物への影響などの環境負荷が小さく、また、含水土を鉛の不溶化に適したpH9〜10の低アルカリで、且つ、十分な強度を有するように固化処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る含水土用低アルカリ固化材およびそれを用いた固化処理方法について説明する。
【0015】
<含水土用低アルカリ固化材>
本発明に係る含水土用低アルカリ固化材の好適な実施形態について説明する。含水土用低アルカリ固化材は、酸化マグネシウムが15質量%を超えて60質量%以下、好ましくは25質量%〜50質量%、水硬性アルミナが30質量%〜82質量%、好ましくは35質量%〜75質量%、炭酸リチウムが2質量%〜15質量%、好ましくは2.5質量%〜5質量%の割合で混合されている。
【0016】
この含水土用低アルカリ固化材によれば、含水土中で酸化マグネシウム、水硬性アルミナおよび炭酸リチウムが相互に反応し、低アルカリで高い強度が得られる。ここで、酸化マグネシウムの添加量が15質量%以下であると、十分な固化強度が得られないか、あるいは処理土のpHが低くなりすぎる。一方、60質量%より多くても、固化強度が低下するか、pHが高くなりすぎる。また、水硬性アルミナの添加量が30質量%より小さいと、十分な固化強度が得られないか、処理土のpHが高くなる。一方、82質量%より多い場合、処理土のpHが低くなりすぎる。また、炭酸リチウムの添加量が2質量%より小さいと、十分な固化強度が得られず、一方、炭酸リチウムを15質量%より多く添加しても、コストに見合う強度増進効果が得られず、経済的にも好ましくない。
【0017】
固化材の主成分の1つとして用いられる酸化マグネシウムは、か焼温度により軽焼マグネシアと硬焼マグネシアの2種に大別できるが、本発明においては、軽焼マグネシアを使用するのが好ましい。硬焼マグネシアは水和活性に乏しいことから、非晶質な水硬性アルミナの固化助剤として使用した場合に目標強度への到達に時間がかかるためである。この軽焼マグネシアは、粒度の細かいものが好ましく、そのBET比表面積は20〜50m/g程度である。なお、ハンドリング性を悪化させない範囲で更に粒度の細かい軽焼マグネシアを使用するとより好ましい結果が得られる。
【0018】
また、固化材のもう一つの主成分である水硬性アルミナは、波長1.5405Åにおける粉末X線回折スペクトルが、2θ=22±5°、そのブロードなピークのベースラインを基準とした半値幅が6°〜20°である特性をもつものである。このような特性を有すると、酸化マグネシウムと炭酸リチウムと好適に反応して高い強度が得られるとともに、pHを適切に調整できる。
【0019】
水硬性アルミナの反応性は粒度に影響されるため、レーザー回折式粒度分布計により測定される水硬性アルミナの平均粒径は1μm〜20μmのものが好ましく、2μm〜15μmものの使用は更に望ましい。平均粒径が20μmより大きい場合、十分な固化強度が得られにくく材料分離を生じる傾向がある。1μmより小さいと、粉体流動性が好ましくなく輸送時のハンドリング性や固化助剤との混合性に問題が生じる場合がある。
【0020】
固化材の補助成分として使用する炭酸リチウムは、純度90質量%以上のものが望ましい。90質量%未満の製品も使用可能であるが、その場合、水硬性アルミナに対する割合を調整する必要がある。また、その粒度は平均粒径で2μm〜20μmのものが好ましく、2μm〜15μmのものが更に好ましい。20μmより大では十分な促進効果が得られないか、材料分離を生じる傾向があり、また、2μmより小では、上述の水硬性アルミナと同様に、粉体流動性が好ましくなく輸送時のハンドリング性や固化助剤との混合性に問題が生じる場合がある。なお、固化助剤として、炭酸リチウムの他に、塩化リチウム、硝酸リチウム等の無機塩等も使用可能である。ただし、入手の容易さで炭酸リチウムの使用が最も好ましい。
【0021】
固化材として混合されたこれらの材料、すなわち酸化マグネシウム、水硬性アルミナ、及び炭酸リチウムは何れも粉末状であればよく、その調製に当たっては特別な機器、手段を必要とせず、ミキサー等公知の粉体混合用の機器を使った公知の粉体混合方法が適用できる。更に好ましくは、これらの粉体の混合と粉砕をボールミル等公知の粉砕機で同時に行うことで、より固化特性に優れた混合物を得ることが出来る。
【0022】
本発明に用いる水硬性アルミナは、次の方法によって好適に得られる。すなわち、水硬性アルミナを製造するに当たっては、アルミニウム製造産業の副産物として生成する非晶質の水酸化アルミニウム含水物等(アルミニウムの陽極酸化処理工程の中和・凝集により副生する水酸化アルミニウム)を主成分とするスラッジを原料とする。このスラッジを50℃〜400℃、好ましくは110℃〜350℃で恒量になるまで加熱する。これにより、水硬性アルミナが得られる。加熱温度が50℃よりも低いと、水硬性アルミナの反応性が十分でなく、固化材とした場合、十分な固化強度を得ることができない。また、恒量(乾燥する)となるまでに長時間がかかり、製造コストの増加を招くことになる。一方、400℃よりも高い温度で長時間加熱すると、同様に水硬性アルミナの反応性が低下し、固化強度が低下する。なお、水硬性アルミナの製造装置としては、通常の各種の電気加熱式、熱風式乾燥機、或いはロータリーキルン等の加熱装置を好適に使用することができる。
【0023】
<固化処理方法>
次に、本発明に係る含水土の固化処理方法の好適な実施形態について説明する。上記方法により得られた低アルカリ固化材は目標強度、処理コストなどを考慮して、含水土1m当たりに50kg〜200kg、好ましくは50kg〜150kg添加して混合する。固化材の混合には、バックホウ、クラムシェル、プラント混合装置などの一般的な混合装置を用いることが出来る。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を示し本発明を具体的に詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0025】
(1)水硬性アルミナの製造
アルミニウムの陽極酸化処理工程の中和・凝集により副生した非晶質の水酸化アルミニウム含水物をPasolina(株)製(TYO-300)乾燥機またはヤマト科学(株)製の電気炉を用いて、JIS R 5202 「ポルトランドセメントの化学分析方法」 8.強熱減量の定量方法 に則り、50〜400℃で15分間ずつ加熱を繰返し、恒量(最後の15分間の加熱前後の質量差が乾燥前の水酸化アルミニウム含有物の0.05質量%以下)になるまで加熱した後、通常のボールミルを用いて粉砕することにより、粉体状の水硬性アルミナを得た。そして、得られた水硬性アルミナを、(株)堀場製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置LA−500Aによって測定したところ、非晶質な水硬性アルミナの平均粒径は15μmであった。
【0026】
ここで、図1に、原料に使用した副生水酸化アルミニウムの自然乾燥(天日乾燥)におけるX線回折測定結果を示し、図2、図3および図4に、その副生水酸化アルミニウムを加熱温度110℃、200℃および400℃として得られた非晶質な水硬性アルミナのX線回折測定結果を示す。また、表1に、副生水酸化アルミニウムの110℃加熱後の化学分析結果、並びに強熱減量を示す。
【0027】
【表1】



【0028】
なお、X線回折測定には、X線回折装置として理学電気(株)製RINT−2500Vを用いた。X線回折装置における測定条件は次の通りとした。
【0029】
管球:Cu、管電流:130mA、管電圧:50kV、サンプリング幅:0.02°、走査速度:4°/min、波長:1.5405Å、測定回折角範囲(2θ):5°〜70°
【0030】
図1に示すX線回折の結果、加熱前の副生水酸化アルミニウムには、少量のギブサイト(Al(OH)):Gi及びバイヤライト(Al):Baのピークが確認されるものの、副生水酸化アルミニウムの大半は非晶質のアルミニウム化合物であることが確認された。図2に示すX線回折の結果では、副生水酸化アルミニウム含水物を110℃で加熱することによって得られた水硬性アルミナには、2θ=約13°〜33°にブロードなピークが認められ、2θ=20°にその頂点を有している。さらに、このブロードなピークの左右のボトムにベースラインBを引き(ブロードなピークの裾野を線で結び)、このベースラインBからのブロードなピークの高さを基準にして半値幅を求めたところ、2θ=17°と2θ=26°で半値となり、半値幅は9°であった。図3に示すX線回折の結果でも、副生水酸化アルミニウム含水物を200℃の温度で加熱することによって得られた水硬性アルミナには、2θ=約14°〜38°にブロードなピークが認められ、2θ=22°にその頂点を有している。また、ベースラインBからのブロードなピークの高さを基準にして半値幅を求めたところ、2θ=18°と2θ=29°で半値となり、半値幅は11°であった。図4に示すX線回折の結果でも、副生水酸化アルミニウム含水物を400℃の温度で加熱することによって得られた水硬性アルミナには、2θ=約13°〜40°にブロードなピークが認められ、2θ=24°にその頂点を有している。また、ベースラインBからのブロードなピークの高さを基準にして半値幅を求めたところ、2θ=19°と2θ=31°で半値となり、半値幅は12°であった。
【0031】
(2)固化材等の調製
中国産の軽焼マグネシアと、非晶質の副生水酸化アルミニウム含水物を表2に示す温度で恒量になるまで加熱することにより得られた水硬性アルミナ、そして、本荘ケミカル(株)製工業品の炭酸リチウムを用い、表2に示す割合で混合して調製した(実施例1〜24)。また、比較用として、水硬性アルミナ単味(比較例1、8)、酸化マグネシウムの添加量が少ない固化材(比較例2、9)、酸化マグネシウムの添加量の多い固化材(比較例3、10)、加熱温度が高すぎる水硬性アルミナを配合した固化材(比較例4、11)、加熱温度が低すぎる水硬性アルミナを用いた固化材(比較例5、12)さらに軽焼マグネシア(酸化マグネシウム)単味(比較例6、13)、宇部三菱セメント(株)製セメント系固化材ユースタビラー10(比較例7、14)をそれぞれ用意した。
【0032】
【表2】



【0033】
【表3】



【0034】
【表4】



【0035】
(3)供試体の調製
固化試験用供試体の調整:表3および4に示すように、上記(2)において調製した固化材を2種類の試料土1mに対し100kgの割合で添加した後、ホバート型ミキサーで3分間混合して改良土壌を調製した。このとき、土質の異なる2種の試料土としては、表3の「試料土」の欄に示す試料土A(含水比50.0%、pH7.49),および表4の「試料土」の欄に示す試料土B(黒ぼく)(含水比96.7%、pH6.82)を対象とした。その後、セメント協会標準試験方法JCAS L−01−2003「セメント系固化材による安定処理土の試験方法」に則り、改良土壌から、直径5cm×高さ10cmの成型体を得た。成型体は、温度20℃、湿度96%の恒温恒湿槽内で7日間養生して供試体を得た。
【0036】
(4)改良土壌の評価:一軸圧縮試験
上記(3)で得られた供試体を、JIS A1216:1998「土の一軸圧縮試験方法」に則り一軸圧縮試験を行った。一軸圧縮強さについては、第3種改良土相当であるコーン指数400kN/mを一軸圧縮強さに換算した値である160kN/m以上を目標とした。コーン指数の一軸圧縮強さへの換算は以下のとおりとした。表3及び表4の「一軸圧縮強さ」の欄に測定結果を示す。
〔一軸圧縮強さ換算値=400(コーン指数)/10(一軸換算係数)/0.5(現場室内強度比)/0.5(ときほぐし・締固めによる強度低下)〕
【0037】
(5)改良土壌の評価:pH測定
上記(3)で得られた改良土壌について材齢7日で、地盤工学会基準JGS0211−2000「土懸濁液のpH試験方法」に則りpHを測定した。pH値については、非特許文献1に示される鉛の溶解度が最も低い9〜10の範囲内に在ることを目標とした。表3および表4の「改良土のpH」の欄に測定結果を示す。
【0038】
[固化試験について]
(3)で述べたように、水硬性アルミナ、炭酸リチウム及び酸化マグネシウムより成る固化材を調製し、土質の異なる2種の粘性土A,黒ぼくBを対象とした場合の固化試験結果を表3及び表4に示している。
【0039】
比較例1、8に示すように、水硬性アルミナ単独で構成される固化材を用いた供試体の一軸圧縮強さは、160N/m以下の低い値を示した。また、pHは9未満であった。また、比較例2、9及び比較例3、10に示すように、酸化マグネシウムの添加量が15質量%以下あるいは60質量%を超える量で構成される固化材を用いた供試体の一軸圧縮強さは、160kN/m以上の強度が得られるものの、pHが9未満となるか、または、pHが10を超える。
【0040】
一方、実施例1〜24に示すように、酸化マグネシウム、水硬性アルミナおよび炭酸リチウムが所定量添加、混合された固化材を使用した場合、得られた供試体の一軸圧縮強さは、目標とする160kN/mを十分超えていた。そのうえ、pHは9〜10の低アルカリを示した。
【0041】
これに対し、水硬性アルミナの製造(加熱)温度が、50℃以下、または400℃を超える場合、比較例4、5で示すように、供試体の強度は160kN/m以下の低い値を示す場合がある。また、比較例6、13および比較例7、14で示す、酸化マグネシウム単味およびセメント系固化材を用いた供試体は、pHは10を超える。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】副生水酸化アルミニウムを自然乾燥(天日乾燥)した後のX線回折測定結果を示したグラフである。
【図2】副生水酸化アルミニウムを110℃で加熱した後のX線回折測定結果を示したグラフである。
【図3】副生水酸化アルミニウムを200℃で加熱した後のX線回折測定結果を示したグラフである。
【図4】副生水酸化アルミニウムを400℃で加熱した後のX線回折測定結果を示したグラフである。
【符号の説明】
【0043】
Ba…バイヤライト(Al)、Gi…ギブサイト(Al(OH))、B…ベースライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マグネシウムを15質量%を超えて60質量%以下、
波長1.5405Åにおける粉末X線回折スペクトルが、2θ=22±5°にブロードなピークの頂点を有し、該ブロードなピークのベースラインを基準とした半値幅が6°〜20°である水硬性アルミナを30質量%〜82質量%、
及び炭酸リチウムを2質量%〜15質量%、
含むことを特徴とする含水土用低アルカリ固化材。
【請求項2】
前記水硬性アルミナが、アルミニウムの陽極酸化処理工程の中和・凝集により副生した非晶質の水酸化アルミニウム化合物を、50℃〜400℃で恒量となるまで加熱したものであることを特徴とする請求項1に記載の含水土用低アルカリ固化材。
【請求項3】
含水土1m当たり、請求項1または2に記載の含水土用低アルカリ固化材を50kg〜200kg混合することを特徴とする固化処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−297285(P2006−297285A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122823(P2005−122823)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】