説明

吸収式冷凍機用作動媒体

5ないし30質量%の水、および臭化リチウムと少なくとも1つのイオン性液体とからなる65ないし95質量%の吸収剤を含む、吸収式冷凍機用作動媒体であって、該吸収剤は、イオン性液体と臭化リチウムとを0.5:1ないし5:1の質量比で含有し、水と臭化リチウムとからの作動媒体に対して、より小さい摩擦係数を有する、作動媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減少された摩擦を有する吸収式冷凍機(Absorptionskaeltemaschine)用作動媒体に関する。
【0002】
古典的な冷凍機は、冷媒が蒸発され、その際、冷媒から取り出される気化熱によって冷却が得られるという循環に基づく。蒸発された冷媒は、その後、コンプレッサーでより高い圧力へともたらされ、且つ、蒸発の際よりも高い温度で凝縮され、その際、気化熱が再度放出される。引き続き、液化された冷媒が再度、蒸発器の圧力に放圧される。
【0003】
古典的な冷凍機は、蒸気の形態の冷媒の凝縮のために多くの機械的なエネルギーが消費されるという欠点を有する。それに対して、吸収式冷凍機は機械的エネルギーの需要が低減されている。吸収式冷凍機は、古典的な冷凍機の冷媒、蒸発器および凝縮器に加えて、さらに吸収剤、吸収器、および脱着器を有する。吸収器内で、蒸発された冷媒は、蒸発圧力で吸収剤に吸収され、引き続き、脱着器内にて、より高い凝縮圧力で、再度、熱流入により吸収剤から脱着される。冷媒および吸収剤からの液体の作動媒体の濃縮は、古典的な冷凍機における冷媒蒸気の圧縮よりも少ない機械的エネルギーしか必要とせず、機械的エネルギーの消費の代わりに、冷媒の脱着のために使用される熱エネルギーが用いられる。
【0004】
工業的に使用される吸収式冷凍機の大部分は、冷媒としての水および吸収剤としての臭化リチウムを含有する作動媒体を使用する。ただし、これらの作動媒体は、吸収式冷凍機の広範な使用の妨げになる一連の欠点を有する。高効率を達成するためには、脱着剤において、可能な限り高い割合の冷媒を作業媒体から脱着しなければならない。しかしながら、水および臭化リチウムからの作動媒体の場合、35ないし40質量%の水の濃度を下回るわけにはいかず、なぜなら、そうでなければ、臭化リチウムの結晶化およびそれによる作業媒体の凝固が起きるからである。その上、水および臭化リチウムからの作動媒体は、多くの原材料にとって腐蝕性に作用し、且つ、作動媒体の送達のために吸収器と脱着器との間に必須のポンプの可動部分での高い摩擦ひいては摩耗の促進を引き起こす。
【0005】
WO2006/134015号は、実施例VII a)内で、イオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルホネート、1−エチル3−メチルイミダゾリウムアセテート、並びに1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシドを添加剤として、臭化リチウムおよび水からの作業媒体について、吸収剤の結晶化温度を下げるために用いる使用について記載している。しかしながら、作動媒体に含有されるべき水、臭化リチウムおよびイオン性液体の割合が開示されていない。
【0006】
K.−S.Kimらは、Korean J.Chem.Eng.,23 (2006) 113−116内で、水、臭化リチウムおよびイオン性液体1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミドからの作動媒体であって、臭化リチウムとイオン性液体とが4:1〜7:1の質量比で含有されるものを提案している。該イオン性液体は、この作動媒体中で、臭化リチウムの溶解性を高め且つ結晶化温度を下げる、抗結晶化添加剤として作用する。
【0007】
しかしながら、Kimらによって提案された作動媒体は、水および臭化リチウムからの作動媒体に対して高くなった摩擦係数を有するので、それらを用いても、高い摩擦の問題は解決されないままである。
【0008】
意外なことに、水、臭化リチウムおよびイオン性液体を含有する作動媒体は、その水含有率およびイオン性液体と臭化リチウムとの質量比が適した範囲内で選択されている場合、水および臭化リチウムからの作動媒体に対して明らかに低下した摩擦係数を確立することが判明した。
【0009】
従って、本発明の対象は、5ないし30質量%の水、および臭化リチウムおよび少なくとも1つのイオン性液体からなる65ないし95質量%の吸収剤を含む吸収式冷凍機用作動媒体であって、イオン性液体と臭化リチウムとを0.5:1ないし5:1の質量比で含有する作動媒体である。
【0010】
本発明の対象はさらに、吸収器、脱着器、蒸発器、凝縮器、循環ポンプ、および該循環ポンプを用いて吸収器および脱着器を介して循環して流される作動媒体を含み、該脱着器に供給される作動媒体が本発明による組成を有する、吸収式冷凍機である。
【0011】
本発明による作動媒体は、5ないし30質量%の水、および臭化リチウムおよび少なくとも1つのイオン性液体からなる65ないし95質量%の吸収剤を含む。有利には、本発明による作動媒体は、10ないし30質量%の水を含む。水および吸収剤は、全体として、有利には作動媒体の90質量%より多く、且つ、特に好ましくは95%より多くを構成する。
【0012】
本発明による作動媒体の吸収剤は、臭化リチウムおよび少なくとも1つのイオン性液体からなる。その際、イオン性液体の用語は、アニオンおよびカチオンからの塩または塩混合物を示し、その際、該塩もしくは塩混合物は、100℃よりも低い融点を有する。イオン性液体の用語は、その際、非イオン性物質または添加剤のない塩または塩混合物に関する。有利には、イオン性液体は、有機カチオンと、有機または無機のアニオンとの1つまたは複数の塩からなる。異なる有機カチオンと、同じアニオンとを有する、複数の塩の混合物が特に好ましい。
【0013】
有機カチオンとして、殊に一般式(I)〜(V)のカチオンが適している:
1234+ (I)
12+=CR34 (II)
1234+ (III)
12+=CR34 (IV)
123+ (V)
[式中、
1、R2、R3、R4は、同一または異なり、且つ、水素、直鎖または分枝鎖の、脂肪族またはオレフィン系の、1ないし30個の炭素原子を有する炭化水素基、脂環式またはシクロオレフィン系の、5ないし40個の炭素原子を有する炭化水素基、6ないし40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7ないし40個の炭素原子を有するアルキル基、1つまたは複数の基 −O−、−NH−、−NR’−、−O−C(O)−、−(O)C−O−、−NH−C(O)−、−(O)C−NH−、−(CH3)N−C(O)−、−(O)C−N(CH3)−、−S(O2)−O−、−O−S(O2)−、−S(O2)−NH−、−NH−S(O2)−、−S(O2)−N(CH3)−または−N(CH3)−S(O2)−によって中断された直鎖または分枝鎖の、脂肪族またはオレフィン系の、2ないし30個の炭素原子を有する炭化水素基、末端のOH、OR’、NH2、N(H)R’または(R’)2によって官能化された直鎖または分枝鎖の、脂肪族またはオレフィン系の、1ないし30個の炭化水素原子を有する炭化水素基、またはブロックもしくはランダムに構成された、式−(R5−O)n−R6のポリエーテル基を意味する、
R’は、1ないし30個の炭素原子を有する脂肪族またはオレフィン系炭化水素基である、
5は、2ないし4個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基である、
nは1ないし200、有利には2ないし60である、
6は、水素、直鎖または分枝鎖の脂肪族またはオレフィン系の、1ないし30個の炭素原子を有する炭化水素基、脂環式またはシクロオレフィン系の、5ないし40個の炭素原子を有する炭化水素基、6ないし40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7ないし40個の炭素原子を有するアルキルアリール基、または基−C(O)−R7である、
7は、直鎖または分枝鎖の脂肪族またはオレフィン系の、1ないし30個の炭素原子を有する炭化水素基、脂環式またはシクロオレフィン系の、5ないし40個の炭素原子を有する炭化水素基、6ないし40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7ないし40個の炭素原子を有するアルキルアリール基である、
その際、少なくとも1つ、および有利には基R1、R2、R3およびR4のそれぞれは水素とは異なっている]。
【0014】
同様に、式(I)〜(V)のカチオンは、基R1およびR3が一緒に4ないし10員環、有利には5〜6員環を形成するものが適している。
【0015】
同様に適しているのは、先に定義した基R1を有する環の中に第四級窒素原子を少なくとも1つ有する複素環式芳香族カチオン、有利には窒素原子のところで置換された、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キノキサリン、またはフタラジンの誘導体である。
【0016】
無機アニオンとして適しているのは、殊に、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、水酸化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、チオシアン酸イオン、ジシアンアミドイオン、およびハロゲン化物イオン、有利には塩化物または臭化物イオンである。
【0017】
有機アニオンとして、殊に適しているのは、RaOSO3-、RaSO3-、RaOPO32-、(RaO)2PO2-、RaPO32-、RaCOO-、(RaCO)2-、(RaSO22-およびC(CN)3- (前記Raは、直鎖または分枝鎖の脂肪族の、1ないし30個の炭素原子を有する炭化水素基、5ないし40個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6ないし40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、7ないし40個の炭素原子を有するアルキルアリール基、または直鎖または分枝鎖の、1ないし30個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である)である。
【0018】
好ましい実施態様において、イオン性液体は、1つまたは複数の1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩を含み、ここでアルキル基は特に好ましくは互いに独立してメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、およびn−ヘキシルから選択されている。特に好ましいイオン性液体は、1つまたは複数のカチオンの1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−(n−ブチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−(n−ブチル)−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−(n−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−(n−ヘキシル)−3−エチル−イミダゾリウムイオン、1−(n−ヘキシル)−3−ブチル−イミダゾリウムイオンと、アニオンの塩化物イオン、臭化物イオン、酢酸イオン、硫酸メチルイオン、硫酸エチルイオン、リン酸ジメチルイオンまたはスルホン酸メチルイオンとの、殊に塩化物イオンまたは臭化物イオンとの塩である。
【0019】
さらなる好ましい実施態様において、イオン性液体は、一価のアニオンと一般式(I)のカチオンとを有する1つまたは複数の第四級アンモニウム塩を含み、式中、
1は1〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、
2は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
3は基(CH2CHRO)n−H、ただし、nは1〜200であり且つR=HまたはCH3であり、且つ
4は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、または基(CH2CHRO)n−H、ただし、nは1〜200であり且つR=HまたはCH3である。
【0020】
特に好ましくは、アニオンとしての塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸メチルイオン、硫酸エチルイオン、リン酸ジメチルイオンまたはスルホン酸メチルイオンである。
【0021】
イオン性液体の製造方法は、従来技術から当業者に公知である。
【0022】
有利には、水と無限に混合可能で、加水分解安定性であり、且つ、150℃の温度まで熱的に安定であるイオン性液体が使用される。加水分解安定性のイオン性液体は、50質量%の水との混合において、80℃での貯蔵の際に、8000時間内で、加水分解による5%より低い分解を示す。
【0023】
本発明による作業媒体の吸収剤は、イオン性液体と臭化リチウムとを、質量比0.5:1〜5:1で含有する。有利には、質量比は0.5:1〜2:1、および特に好ましくは1:1〜2:1である。
【0024】
有利には、イオン性液体、およびイオン性液体と臭化リチウムとの吸収剤中での質量比は、作動媒体が、水の脱着の際に作動媒体中の含水率10質量%まで、且つ、水の吸収の際に作動媒体中の含水率30質量%まで、単相で残るように選択される。特に好ましくは、イオン性液体、およびイオン性液体と臭化リチウムとの吸収剤中での質量比は、作動媒体が、水の脱着の際に作動媒体中の含水率5質量%まで、且つ、水の吸収の際に作動媒体中の含水率30質量%まで、単相で残るように選択される。
【0025】
作動媒体は、吸収剤および水の他に、さらに別の添加剤を含有してよい。
【0026】
有利には、作動媒体は添加剤としてさらに1つまたは複数の腐食防止剤を含有する。その際、吸収式冷凍機において使用される原料に適しているとして、従来技術から公知の全ての、不揮発性の腐食防止剤を使用できる。
【0027】
さらに好ましい添加剤は、湿潤促進添加剤であり、それを、作動媒体を基準として0.01〜10質量%の量で使用できる。有利には、WO2009/097930号内の6ページ、14行目〜8ページ、6行目に記載される湿潤促進添加剤を使用し、特に好ましくはWO2009/097930号の7ページ、7行目〜8ページ、6行目内に記載される化合物を使用する。
【0028】
本発明の吸収式冷凍機は、吸収器、脱着器、蒸発器、凝縮器、循環ポンプおよび該循環ポンプを用いて吸収器および脱着器を介して循環して流される作動媒体を含み、その際、脱着器に供給される作動媒体が上記で挙げられた本発明による組成を有する。
【0029】
本発明による作動媒体は、従来技術から公知の、水および臭化リチウムからの、並びに水、臭化リチウムおよび1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミドからの作動媒体に対して、摩擦係数の明らかな減少を、とりわけストライベック曲線の混合摩擦の範囲において示す。従って、本発明による作動媒体は、軸受部が作動媒体と接触するポンプの使用を、そのために必須である特別な材料、例えばセラミック材料を用いないで可能にする。本発明による吸収式冷凍機は、従来技術による吸収式冷凍機と比べて、循環ポンプのより少ない摩耗を示す。
【0030】
本発明による作業媒体は、冷却のために蒸発器内で冷媒による熱の収容が利用される吸収式冷凍機内で使用され得るだけでなく、吸収器内および凝縮器内で放出される熱が加熱のために使用される吸収式ヒートポンプ内でも使用され得る。
【0031】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、しかし本発明の対象を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】例1〜3の作動媒体についての、40℃でのストライベック曲線を示す図である
【図2】70℃での例1〜3の作動媒体についてのストライベック曲線を示す図である
【図3】例3〜6の作動媒体についての、40℃でのストライベック曲線を示す図である
【図4】70℃での例3〜6の作動媒体についてのストライベック曲線を示す図である
【図5】例1、7および8の作動媒体についての、40℃でのストライベック曲線を示す図である
【図6】70℃での例1、7および8の作動媒体についてのストライベック曲線を示す図である。
【0033】
実施例
本発明による作動媒体および従来技術による作動媒体について、40〜70℃での摩擦係数μ(トラクション係数)を、PCS Instruments社の摩擦試験装置MTM2を用い、摩擦面間の様々な速度差で測定した。直径19.05mmを有する球、および摩擦相手としての直径46mmのディスク(両者は研磨された特殊鋼1.3505製であり、表面粗さ0.01μmを有する)を用い、力30N、接触圧力947.8MPa、およびすべり回転比50%で測った。
【0034】
表1に、例1〜6において試験された作動媒体の組成をまとめる。例1は、イオン性液体の部分のない、水および臭化リチウムからの作動媒体であり、市販の吸収式冷凍機において使用されているものである。例2および3は、K.−S.KimらのKorean J.Chem.Eng.,23 (2006) 113−116からの従来技術による作動媒体であり、臭化リチウムとイオン性液体との質量比4を有する。例4ないし6は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミドをイオン性液体として有する本発明による作動媒体である。
【0035】
表1
試験された作動媒体の組成
【表1】

【0036】
* 本発明によらない
** BMIMBr=1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド
【0037】
図1に、例1〜3の作動媒体についての、40℃でのストライベック曲線(摩擦面間の速度差v(mm/s)に対する摩擦係数μ)をそれぞれ記載する(例1: 白丸;例2: 白三角; 例3: 白四角)。図2は、70℃での相応のストライベック曲線を示す。
【0038】
両方の図は、K.−S.Kimらからの従来技術による例2および3の作業媒体が、例1のイオン性液体を有さない作動媒体よりも高い摩擦係数を有することを示す。
【0039】
図3に、例3〜6の作動媒体についての、40℃でのストライベック曲線(摩擦面間の速度差v(mm/s)に対する摩擦係数μ)をそれぞれ記載する(例3: 白四角、例4: 黒丸、例5: 黒三角、例6: 星印)。図4は、70℃での相応のストライベック曲線を示す。
【0040】
両方の図は、例4および5の本発明による作動媒体が、K.−S.Kimらから公知の作動媒体よりも小さな摩擦係数を有し、それはさらに、例1のイオン性液体を有さない作動媒体の摩擦係数よりも下であり、且つ、実施例6の臭化リチウムを有さない作動媒体の摩擦係数よりも下であることを示す。
【0041】
図5に、例1、7および8の作動媒体についての、40℃でのストライベック曲線(摩擦面間の速度差v(mm/s)に対する摩擦係数μ)を記載する(例1: 白丸;例7: 黒四角; 例8: 黒菱形)。図6は、70℃での相応のストライベック曲線を示す。
【0042】
両方の図は、本発明による作動媒体が、含有率5質量%または30質量%の際にも、混合摩擦の範囲内で小さい摩擦係数を有する、即ち、摩擦面間の速度差が少ない際ですら、実施例1のイオン性液体を有さない作動媒体の摩擦係数よりも下であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5ないし30質量%の水、および臭化リチウムと少なくとも1つのイオン性液体とからなる65ないし95質量%の吸収剤を含む、吸収式冷凍機用作動媒体であって、該吸収剤が、イオン性液体と臭化リチウムとを0.5:1ないし5:1の質量比で含有する作動媒体。
【請求項2】
吸収剤が、イオン性液体および臭化リチウムを、0.5:1ないし2:1の質量比で含有することを特徴とする、請求項1に記載の作動媒体。
【請求項3】
作動媒体が、10ないし30質量%の水を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の作動媒体。
【請求項4】
イオン性液体が、有機カチオンと有機または無機アニオンとの塩からなることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の作動媒体。
【請求項5】
イオン性液体が、1つまたは複数の1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の作動媒体。
【請求項6】
イオン性液体が、1つまたは複数のカチオンの1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−(n−ブチル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−(n−ブチル)−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−(n−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−(n−ヘキシル)−3−エチル−イミダゾリウムイオン、1−(n−ヘキシル)−3−ブチル−イミダゾリウムイオンと、アニオンの塩化物イオンまたは臭化物イオンとの塩であることを特徴とする、請求項5に記載の作動媒体。
【請求項7】
イオン性液体が、一般式R1234+-
[式中、
1は1〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、
2は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
3は基(CH2CHRO)n−H、ただし、nは1〜200であり且つR=HまたはCH3であり、
4は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、または基(CH2CHRO)n−H、ただし、nは1〜200であり且つR=HまたはCH3であり、且つ
A-は一価のアニオンである]
の1つまたは複数の第四級アンモニウム塩を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の作動媒体。
【請求項8】
吸収器、脱着器、蒸発器、凝縮器、循環ポンプ、および該循環ポンプを用いて吸収器および脱着器を介して循環して流される作動媒体を含む吸収式冷凍機であって、該脱着器に供給される作動媒体が請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成を有することを特徴とする、吸収式冷凍機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−513002(P2013−513002A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542440(P2012−542440)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068090
【国際公開番号】WO2011/069822
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】