説明

吸収性樹脂粒子、この製造方法及び吸収性物品

【課題】
高い吸収性能を有する吸収性樹脂粒子を提供することである。
【解決手段】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、
水溶性ビニルモノマー(a1’)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2’)、並びに内部架橋剤(a3’)を必須構成単位とする架橋重合体(B)とからなり、
架橋重合体(A)の保水量と架橋重合体(B)の保水量との差が5g/gを超えていることを特徴とする吸水性樹脂粒子を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性樹脂粒子、この製造方法及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チオール等の連鎖移動剤を使用する重合方法により吸収性能を高めた架橋重合体粒子が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平3−179008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の架橋重合体粒子は、紙おむつの等の吸収性物品に適用し、この吸収性物品を長時間使用した場合、吸収性能が不十分であり、その結果、カブレ等の問題を生じる。そして、このような問題がなく、長時間使用できる高い吸収性能の吸収性物品が強く望まれている。すなわち、本発明の目的は、高い吸収性能を有する吸収性樹脂粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の吸収性樹脂粒子の特徴は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、
水溶性ビニルモノマー(a1’)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2’)、並びに内部架橋剤(a3’)を必須構成単位とする架橋重合体(B)とからなり、
架橋重合体(A)の保水量と架橋重合体(B)の保水量との差が5g/gを超えている点を要旨とする。
【0005】
本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法の特徴は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を共重合して架橋重合体(A)を得る工程(1);
水溶性ビニルモノマー(a1’)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2’)、並びに内部架橋剤(a3’)を共重合して、架橋重合体(B)を得る工程(2);並びに
架橋重合体(A)と架橋重合体(B)とを混合した後、乾燥、粉砕して吸収性樹脂粒子を得る工程(3)を含み、
架橋重合体(A)の保水量と架橋重合体(B)の保水量との差が5g/gを超えている点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の吸収性樹脂粒子は、高い吸収性能を発揮する。したがって、この吸収性樹脂粒子を吸収性物品に適用した場合、長時間使用してもカブレ等の問題が生じないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
<架橋重合体(A)>
水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。
加水分解性ビニルモノマーとは、加水分解により水溶性ビニルモノマーとなるビニルモノマーを意味する。
【0008】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)としては特に限定がないが、例えば、特開2005−075982号公報に記載の水溶性ラジカル重合単量体等が使用できる。これらのうち、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、特に好ましくは炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩){不飽和モノカルボン酸(塩)((メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸及びこれらの塩等);不飽和ジカルボン酸(塩)(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸及びこれらの塩等);及び前記不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル(マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステル等}、次に好ましくは不飽和モノカルボン酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0009】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)は、それぞれ、単独で構成単位としてもよく、2種以上を構成単位としてもよい。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の両方を構成単位とする場合、これらのビニルモノマー単位のモル比{(a1)/(a2)}は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。
【0010】
内部架橋剤(a3)としては、例えば、特開2003−225565号公報に記載の内部架橋剤が使用できる。これらの内部架橋剤のうち、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、さらに好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0011】
内部架橋剤(a3)単位の含有量(モル%)は、吸収性能の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜1が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.5、特に好ましくは0.04〜0.2、最も好ましくは0.1〜0.15である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0012】
架橋重合体粒子(A)は、さらに、共重合可能なその他のビニルモノマーを構成単位とできる{その他のビニルモノマーを構成単位として含まないことが好ましい。}。
その他のビニルモノマーとしては、水溶性ビニルモノマー(a1)等と共重合できるモノマーであれば制限がなく、たとえば、特開2003−225565号公報に記載のビニルモノマー等が挙げられる。
【0013】
その他のビニルモノマーを構成単位とする場合、その他のビニルモノマー単位の含有量(モル%)は、吸収性能の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の合計のモル数に基づいて、0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.1〜15である。
【0014】
架橋重合体(A)の保水量(g/g)は、35〜60が好ましく、さらに好ましくは40〜55、特に好ましくは45〜50である。
【0015】
保水量は、測定試料{架橋重合体}を循風乾燥機で150℃、1hr乾燥して、水分を3重量%以下とし、これをジューサーミキサーで粉砕し、250〜500μmの粒度に調整した測定試料1.00gを、目開き63μmのナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りし、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(S1)を測定し、次式から求められる。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。次式中、(S0)は、測定試料なしで上記と同じ操作を行って測定したティーバックの重量である。
【0016】

(保水量)=(S1)−(S0)
【0017】
架橋重合体(A)の架橋密度を小さくする程、架橋重合体(A)の保水量は高くなる。架橋密度を小さくするには、内部架橋剤の使用量を少なくすること、及び重合濃度を低くすること等により達成できる。これらのうち、内部架橋剤の使用量を少なくすることが効果的である。また、イオン濃度を高くすること{たとえば、ビニル基含有カルボン酸塩や不飽和ジカルボン酸塩等の使用量を増加させること}によっても、架橋重合体(A)の保水量を高くすることができる。さらに、架橋重合体(A)の分子量{反応触媒量を少なくすること、反応温度を低くすること、及び連鎖移動剤を少なくすること又は使用しないこと等}を高くすることに、架橋重合体(A)の保水量を高くすることができる。
【0018】
一方、架橋重合体の保水量を低くするには、以上の逆の方法により達成できる。
【0019】
これらの方法のうち、架橋重合体(A)の保水量を調整するには、架橋密度を調整すること及びイオン濃度を調整することが効果的であり、架橋密度を調整することがさらに効果的であり、内部架橋剤の使用量を調整すること、及び重合濃度を調整することが特に効果的であり、内部架橋剤の使用量を調整することが最も効果的である。
【0020】
架橋重合体(A)の重合形態としては、従来から知られている方法等が使用でき、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法及び逆相懸濁重合法等が適用できる。また、重合時の重合液の形状として、薄膜状及び噴霧状等であってもよい。重合制御の方法としては、断熱重合法、温度制御重合法及び等温重合法等が適用できる。
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法を適用する場合、必要に応じて、従来公知の分散剤(ショ糖エステル、リン酸エステル及びソルビタンエステル等)、及び保護コロイド(ポバール、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体及び酸化ポリエチレン等)等を使用できる。また、逆相懸濁重合法の場合、従来から公知のシクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、トルエン及びキシレン等の溶媒を使用して重合を行うことができる。
重合方法のうち、好ましくは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましくは水溶液重合法である。
【0021】
架橋重合体(A)の重合には重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては特に限定はなく従来公知のものが使用でき、(i)アゾ系開始剤、(ii)過酸化物系開始剤、(iii)レドックス系開始剤及び(iv)有機ハロゲン化合物開始剤等が使用できる。
【0022】
(i)アゾ系開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド並びに2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド等が挙げられる。
【0023】
(ii)過酸化物系開始剤としては、無機過酸化物[過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等]、有機過酸化物[過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド及びジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等]等が挙げられる。
【0024】
(iii)レドックス系開始剤としては、亜硫酸アルカリ金属塩、重亜硫酸アルカリ金属塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、塩化第2鉄、硫酸第2鉄及びアスコルビン酸等の少なくとも1種の還元剤と、過硫酸アルカリ金属塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素及び有機過酸化物等の少なくとも1種の酸化剤との組合せよりなるもの等が挙げられる。
【0025】
(iv)有機ハロゲン化合物開始剤としては、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルキルフェニルケトン、ハロゲン化アルキルカルボン酸及びハロゲン化アルキルカルボン酸アルキルエステルからなる群から選ばれるハロゲン数1〜10、炭素数1〜15の有機ハロゲン化合物等が用いられ、テトラクロロメタン、トリクロロブロモメタン、トリクロロヨードメタン、ジクロロメチルフェニルケトン、1−ブロモ−1−メチルエチルカルボン酸及びアルキル基の炭素数1〜12の1−ブロモ−1−メチルエチルカルボン酸アルキルエステル(1−ブロモ−1−メチルエチルカルボン酸メチル、1−ブロモ−1−メチルエチルカルボン酸エチル、1−ブロモ−1−メチルエチルカルボン酸オクチル及び1−ブロモ−1−メチルエチルカルボン酸ラウリル)等が挙げられる。
【0026】
これらのうち、(i)アゾ系開始剤、(ii)過酸化物開始剤及び(iii)レドックス系開始剤が好ましく、さらに好ましくは(i)アゾ系開始剤及び、(ii)過酸化物開始剤と(iii)レドックス系開始剤との併用である。
【0027】
重合開始剤を使用する場合、重合開始剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(a2)及び内部架橋剤(a3)、並びに必要により使用するその他のビニルモノマー(a3)の合計重量に基づいて、0.005〜0.5が好ましく、さらに好ましくは0.007〜0.4、特に好ましくは0.009〜0.3である。
【0028】
<架橋重合体(B)>
水溶性ビニルモノマー(a1’)、加水分解性ビニルモノマー(a2’)、内部架橋剤(a3’)、重合方法及びこれらの好ましい範囲は、架橋重合体(A)と同様である。保水量の調整方法も架橋重合体(A)の場合と同様である。
【0029】
ただし、内部架橋剤(a3’)単位の含有量(モル%)は、吸収性能の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1’)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2’)単位のモル数に基づいて、0.005〜0.8が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.4、特に好ましくは0.03〜0.2、最も好ましくは0.05〜0.08である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0030】
架橋重合体(B)の保水量(g/g)は、40〜65が好ましく、さらに好ましくは45〜60、特に好ましくは50〜55である。
【0031】
架橋重合体(A)の保水量と架橋重合体(B)の保水量との差は、5g/gを超えていることであり、さらに好ましくは5〜20、特に好ましくは7〜15、最も好ましくは8〜10である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0032】
架橋重合体(A)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)の合計重量に基づいて、20〜80が好ましく、さらに好ましくは40〜60、特に好ましくは45〜55である。
【0033】
架橋重合体(B)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)の合計重量に基づいて、20〜80が好ましく、さらに好ましくは40〜60、特に好ましくは45〜55である。
【0034】
本発明の吸収性樹脂粒子は架橋重合体(A)と架橋重合体(B)とを含有すれば製造方法に制限がないが、たとえば、次の方法により容易に得られる。
【0035】
<1>水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を共重合して、架橋重合体(A)を得る工程(1);
水溶性ビニルモノマー(a1’)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2’)、並びに内部架橋剤(a3’)を共重合して、架橋重合体(B)を得る工程(2);並びに
架橋重合体(A)と架橋重合体(B)とを混合した後、乾燥、粉砕して吸収性樹脂粒子を得る工程(3)を含む方法;
【0036】
<2>水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を共重合して、架橋重合体(A)を得た後、乾燥、粉砕して架橋重合体粒子(AA)を得る工程(1);
架橋重合体粒子(AA)の存在下、水溶性ビニルモノマー(a1’)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2’)、並びに内部架橋剤(a3’)を共重合して、架橋重合複合体(AAB)を得た後、乾燥、粉砕して吸収性樹脂粒子を得る工程(2)を含む方法;
【0037】
<3>水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を逆相懸濁重合して、架橋重合体粒子(AAA)を得る工程(1);
架橋重合体粒子(AAA)の存在下、水溶性ビニルモノマー(a1’)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2’)、並びに内部架橋剤(a3’)を共重合して、架橋重合複合体(AAAB)を得た後、乾燥、粉砕して吸収性樹脂粒子を得る工程(2)を含む方法
【0038】
これらの方法のうち、<1>又は<2>の方法が好ましく、さらに好ましくは<1>の方法である。
【0039】
架橋重合体(A)と架橋重合体(B)とを混合するための装置としては、公知の混合・混練装置が使用でき、たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機、ホモミキサー、バイオミキサー及びSVミキサーが挙げられる。これらのうち、混合性等の観点から、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル及びミンチ機が好ましく、さらに好ましくはミンチ機である。
【0040】
架橋重合体(A)と架橋重合体(B)との混合温度(℃)としては、装置負荷低減の観点から60〜120が好ましく、さらに好ましくは80〜100、最も好ましくは85〜95である。
【0041】
混合する際、架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)の水分(重量%)としては、混合性等の観点から、10〜90が好ましく、さらに好ましくは30〜80、特に好ましくは40〜70、最も好ましくは50〜60である。
【0042】
なお、水分(%)は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0043】
架橋重合体粒子(AA)又は架橋重合体粒子(AAA)の存在下、水溶性ビニルモノマー(a1’)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2’)、並びに内部架橋剤(a3’)を共重合して、架橋重合複合体を得る方法としては、架橋重合体粒子(AA)又は架橋重合体粒子(AAA)の存在下とすること以外、公知の重合方法が適用できる。
【0044】
架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)の混合体又は架橋重合複合体の乾燥は、公知の方法{加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等}が適用できる。また、乾燥温度は、150〜250℃程度が好ましい。
【0045】
乾燥前に、架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)の混合体又は架橋重合複合体を、細断してもよい。裁断することにより、乾燥効率を向上でき、乾燥後に粉砕する際の粉砕効率も向上できる。裁断する場合、細断後の大きさ(最大長)は、50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。細断は、公知の方法で行うことができ、例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の通常の装置が使用できる。
【0046】
なお、乾燥温度とは、オイルや蒸気を熱媒として用いる場合、熱媒の温度であり、遠赤外線等により乾燥する場合、材料(乾燥するもの)の温度である。また、乾燥温度を段階的に変化させてもよい。乾燥時間は被乾燥体の表面積、水分や乾燥機の種類等に依存し、目的とする水分になるよう選択すればよいが、たとえば、10〜180分間程度が好ましく、さらに好ましくは、30〜120分間程度である。
【0047】
乾燥後、公知の方法等により、粉砕及び/又は粒度調整を行い本発明の吸水性樹脂粒子を得ることができる。
【0048】
本発明の吸収性樹脂粒子の重量平均粒径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜500、特に好ましくは300〜400である。この範囲であると、吸収性能及びハンドリング性(吸収性樹脂粒子の粉体流動性等)がさらに良好となる。なお、重量平均粒径は、測定試料の粒度分布を測定し、対数確率紙{横軸:粒径、縦軸:累積含有量(重量%)}に、累積含有量と粒子径との関係をプロットし、累積含有量が50重量%に対応する粒子径を求めることにより得られる。粒度分布は、JIS Z8815−1994に準拠して測定され、たとえば、内径150mm、深さ45mmのふるい{目開き:710μm、500μm、300μm、150μm及び106μm}を、目開きの狭いふるいを下にして重ね、一番上の最も目開きの広い710μmのふるいの上に、測定試料50gを入れ、ふるい振動機にて10分間ふるい、各ふるいの上に残った測定試料の重量を測定し、最初の測定試料の重量に基づく各ふるいの上に残った測定試料の重量%を求めることによって測定される。
【0049】
本発明の吸収性樹脂粒子中の微粒子の含有量は、吸収性能の観点等から、少ない方が好ましく、吸収性樹脂粒子の全粒子に占める150μm(好ましくは106μm)以下の微粒子の含有量として、3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0050】
吸収性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ等に適用した場合の繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0051】
本発明の吸収性樹脂粒子は、必要に応じて公知の方法等により、表面架橋を行うことができる。表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、内部架橋剤(a3)と同じもの等が使用できる。表面架橋剤としては、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1、a1’)の水溶性置換基{カルボキシ基、スルホ基又はカルバモイル基等}及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2、a2’)の加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル、特に好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0052】
表面架橋する場合、表面架橋剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)の重量に基づいて、0.001〜7が好ましく、さらに好ましくは0.002〜5、特に好ましくは0.003〜4である。この範囲であると、さらに吸収性能が良好となる。
【0053】
本発明の吸収性樹脂粒子の水分(重量%)は、吸収性物品に適用する場合、作業性・風合い・耐湿性等の観点から、1〜15が好ましく、さらに好ましくは2〜12、特に好ましくは4〜10である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子が衝撃により破壊されするのを防ぎ、作業性等がさらに良好となる。なお、水分は、乾燥工程のみで決まるのではなく、必要に応じて行われる表面架橋工程及び加水工程等で調整される。
【0054】
本発明の吸収性樹脂粒子には、公知の添加物を含有できる。添加物としては、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等が使用できる。
添加物を含有する場合、添加物の合計含有量(重量%)は、用途によって異なるが、架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)の重量に基づいて、10−6〜20が好ましく、さらに好ましくは10−5〜10、特に好ましくは10−4〜5である。この範囲であると、吸収性能を低下させることなく、添加物の特性を有効に付与できる。
公知の添加物を含有させる場合、添加物は、任意の段階において添加できる。
【0055】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収体に適用することにより、吸収性能に優れた吸収性物品を容易に製造し得る。
【0056】
吸収体に吸収性樹脂粒子を適用する方法としては、通常の方法が適用でき、たとえば、(1)繊維状物の層の間に吸収性樹脂粒子を散粒する方法;(2)繊維状物と吸収性樹脂粒子とを混合する方法;(3)二枚以上の吸水紙や不織布で、必要により繊維状物と共に吸収性樹脂粒子をサンドイッチする等の方法等が挙げられる。
【0057】
本発明の吸収性樹脂粒子を吸収体に適用する場合、本発明の吸水性樹脂粒子の含有量(重量%)は、吸収体の種類やサイズ、目標とする吸収性能に応じて種々変化させることができるが、吸収性樹脂粒子及び繊維状物の合計重量に基づいて、30〜95が好ましく、さらに好ましくは40〜94、特に好ましくは50〜93である。この範囲であると、得られる吸収体の吸収性能がさらに良好となる。
【0058】
本発明の吸収性樹脂粒子を用いた吸収体は、液体{被吸収液(汗、尿及び血液等の体液並びに海水、地下水及び泥水等の水等)}を吸収した場合であってもさらっとした感触を示すため、紙おむつ及び生理用ナプキン等の衛生用品に適用した場合、優れた吸収性能のみならず、被吸収液が圧力下でも逆戻りしにくい優れた特徴を発揮する。
【0059】
吸収性物品としては、吸収体、液体透過性シート、通気性バックシートを備える吸収性物品が好ましく、さらに好ましくは衛生用品としての吸収性物品である。衛生用品としては、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等が挙げられる。これらの衛生物品のうち、紙おむつにより適している。さらに、紙おむつのうちでも、SDME法で測定した表面ドライネス値が65%以上{好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上}の値が要求される紙おむつに適している。
【0060】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME法による表面ドライネス値は、SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)を用いて次の手順で測定される。
SDME試験器の検出器を十分に湿らした紙おむつ(紙おむつを覆う程度の人工尿(塩化カルシウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及びイオン交換水99.09重量%)中に浸し、60分放置した)の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ(紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥した)の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行う。
【0061】
次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、外径80mm長さ50mm、重量300g)をセットし、人工尿80mlを注入する。注入後直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央にSDME検出器を紙おむつに接触してセットし測定を開始する。測定開始後、3分後の値をSDMEによる表面ドライネス値とする。
【0062】
本発明の吸収性樹脂粒子は前記載の衛生用品用途のみならず、ペット尿吸収剤、携帯トイレの尿ゲル化剤、青果物等の鮮度保持剤、肉類及び魚介類のドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物や土壌等の保水剤、結露防止剤、止水材やパッキング材並びに人工雪等、種々の用途にも有用である。
【実施例】
【0063】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部を示し、%は重量%を示す。
【0064】
<製造例1>
アクリル酸ナトリウム88部(0.936モル部)、アクリル酸22.85部(0.317モル部)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.4部(0.0026モル部)及び脱イオン水293を攪拌・混合しながら、温度を1〜2℃に保ち、この混合液中に窒素を流入して、混合液中の溶存酸素濃量を0.5ppm以下とした。引き続き、この混合液に、1%過酸化水素水溶液0.3部、0.2%アスコルビン酸水溶液0.8部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が80℃に達した後、重合温度80±2℃で約5時間重合することにより、架橋重合体(1)を得た。架橋重合体(1)の保水量は、45(g/g)であった。
【0065】
<製造例2>
N,N’−メチレンビスアクリルアミドを「0.4部(0.0026モル部)」から「0.3部(0.0019モル部)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして、架橋重合体(2)を得た。架橋重合体(2)の保水量は、50(g/g)であった。
【0066】
<製造例3>
N,N’−メチレンビスアクリルアミドを「0.4部(0.0026モル部)」から「0.2部(0.0013モル部)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして架橋重合体(3)を得た。架橋重合体(3)の保水量は、55(g/g)であった。
【0067】
<製造例4>
N,N’−メチレンビスアクリルアミドを「0.4部(0.0026モル部)」から「0.15部(0.00097モル部)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして架橋重合体(4)を得た。架橋重合体(4)の保水量は、60(g/g)であった。
【0068】
<製造例5>
N,N’−メチレンビスアクリルアミドを「0.4部(0.0026モル部)」から「0.1部(0.00065モル部)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして架橋重合体(5)を得た。架橋重合体(5)の保水量は、65(g/g)であった。
【0069】
<製造例6>
N,N’−メチレンビスアクリルアミドを「0.4部(0.0026モル部)」から「0.45部(0.0029モル部)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして架橋重合体(6)を得た。架橋重合体(6)の保水量は、40(g/g)であった。
【0070】
<製造例7>
N,N’−メチレンビスアクリルアミドを「0.4部(0.0026モル部)」から「0.5部(0.0032モル部)」に変更したこと以外、製造例1と同様にして架橋重合体(7)を得た。架橋重合体(7)の保水量は、35(g/g)であった。
【0071】
<実施例1>
製造例1で得た架橋重合体(1)20部と製造例2で得た架橋重合体(2)80部とをミンチ機(目皿穴径:6mm、飯塚工業社製 12VR−400K)にて90℃で5分間混合した後、通気型バンド乾燥機(135℃、2.0m/秒;井上金属工業(株)製)で乾燥し、乾燥重合体を得た。この乾燥重合体をジューサーミキサー(National MX−X53、松下電器(株)製)で粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒子径範囲に調整した後、この100部を高速攪拌(細川ミクロン製 高速攪拌タービュライザーミキサー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの1%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=60/40)の5.5部をスプレー噴霧しながら添加・混合し、140℃で30分間静置し加熱架橋(表面架橋)することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。
【0072】
<実施例2>
製造例1で得た架橋重合体(1)を「20部」から「80部」に変更したこと、及び製造例2で得た架橋重合体(2)を「80部」から「20部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。
【0073】
<実施例3>
製造例1で得た架橋重合体(1)を「20部」から「40部」に変更したこと、及び製造例2で得た架橋重合体(2)を「80部」から「60部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。
【0074】
<実施例4>
製造例1で得た架橋重合体(1)を「20部」を「60部」に変更したこと、及び製造例2で得た架橋重合体(2)を「80部」から「40部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。
【0075】
<実施例5>
製造例1で得た架橋重合体(1)を「20部」から「50部」に変更したこと、及び製造例2で得た架橋重合体(2)を「80部」から「50部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。
【0076】
<実施例6>
製造例1で得た架橋重合体(1)を「20部」から「50部」に変更したこと、及び「製造例2で得た架橋重合体(2)80部」を「製造例(3)で得た架橋重合体(3)50部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。
【0077】
<実施例7>
製造例1で得た架橋重合体(1)を「20部」から「45部」に変更したこと、及び「製造例2で得た架橋重合体(2)80部」を「製造例(4)で得た架橋重合体(4)55部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。
【0078】
<実施例8>
製造例1で得た架橋重合体(1)を「20部」から「55部」に変更したこと、及び「製造例2で得た架橋重合体(2)80部」を「製造例(5)で得た架橋重合体(5)45部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(8)を得た。
【0079】
<実施例9>
「製造例1で得た架橋重合体(1)20部」を「製造例6で得た架橋重合体(6)50部」に変更したこと、及び製造例2で得た架橋重合体(2)を「80部」から「50部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(9)を得た。
【0080】
<実施例10>
「製造例1で得た架橋重合体(1)20部」を「製造例7で得た架橋重合体(7)50部」に変更したこと、及び製造例2で得た架橋重合体(2)を「80部」から「50部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(10)を得た。
【0081】
<実施例11>
「製造例1で得た架橋重合体(1)20部」を「製造例4で得た架橋重合体(4)45部」に変更したこと、及び製造例2で得た架橋重合体(2)を「80部」から「55部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(11)を得た。
【0082】
<実施例12>
「製造例1で得た架橋重合体(1)20部」を「製造例3で得た架橋重合体(3)45部」に変更したこと、及び「製造例2で得た架橋重合体(2)80部」を「製造例5で得た架橋重合体(5)55部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(12)を得た。
【0083】
<比較例1>
製造例1で得た架橋重合体(1)100部をミンチ機(目皿穴径:6mm、飯塚工業社製 12VR−400K)にて90℃で5分間撹拌した後、通気型バンド乾燥機(135℃、2.0m/秒;井上金属工業(株)製)で乾燥し、乾燥重合体を得た。この乾燥重合体をジューサーミキサー(National MX−X53、松下電器(株)製)で粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒子径範囲に調整した後、この100部を高速攪拌(細川ミクロン製 高速攪拌タービュライザーミキサー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの1重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=60/40)の5.5部をスプレー噴霧しながら添加・混合し、140℃で30分間静置し加熱架橋(表面架橋)することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(H1)を得た。
【0084】
<比較例2>
「製造例1で得た架橋重合体(1)」を「製造例2で得た架橋重合体(2)」に変更したこと以外、比較例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H2)を得た。
【0085】
<比較例3>
「製造例1で得た架橋重合体(1)」を「製造例3で得た架橋重合体(3)」に変更したこと以外、比較例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H3)を得た。
【0086】
実施例及び比較例で得た吸収性樹脂粒子について、保水量、荷重下吸収量を測定し、表1に示した。
【0087】
<荷重下吸収量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2001に準拠)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)内に測定試料0.1gを秤量し、プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整え、この測定試料の上に40g/cmの荷重となるように外径29.5mm×22mmの分銅を乗せた。生理食塩水(食塩濃度0.9%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入ったプラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、放置し、60分後に試料及び分銅の入ったプラスチックチューブを計量し、測定試料が生理食塩水を吸収して増加した重量を算出し、この増加重量の10倍値を生理食塩水に対する荷重下吸収量(g/g)とした。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。
【0088】
【表1】


【0089】
<実施例13>
フラッフパルプ100部と、実施例1で得た本発明の吸収性樹脂粒子(1)100部とを、気流型混合装置{(株)オーテック社製パッドフォーマー}で混合した混合物を坪量約400g/mとなるように、目開き63μmのナイロン網(JIS Z8801−1:2000に準拠した網。)で作成したシート上に均一に積層し、5Kg/cmの圧力で30秒間プレスし、本発明の吸収体(K1)を得た。
吸収体(K1)を40cm×30cmの長方形に裁断し、これと同じ大きさ(14cm×36cm)の吸水紙(坪量15.5g/m2:アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)2枚で挟んだ後、さらにポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1、14cm×36cm)を裏面に、不織布(坪量20.0g/m、14cm×36cm:旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより、本発明の吸収性物品(1)を作成した。
【0090】
<実施例14〜24>
「吸収性樹脂粒子(1)」を、「吸収性樹脂粒子(2)〜(12)のいずれか」に変更したこと以外、実施例13と同様にして、本発明の吸収体(K2)〜(K12)を調製し、さらに本発明の吸収性物品(2)〜(12)を作成した。
【0091】
<比較例4〜6>
「吸収性樹脂粒子(1)」を、「吸収性樹脂粒子(H1)〜(H3)のいずれか」に変更したこと以外、実施例13と同様にして、比較用の吸収体(HK1)〜(HK3)を調製し、さらに比較用の吸収性物品(H1)〜(H3)を作成した。
【0092】
実施例及び比較例で得た吸収性物品について、SDME法による表面ドライネス値(%)を測定し、表2に示した。
【0093】
【表2】


【0094】
表1及び2から分かるように、実施例1〜12で作成した吸収性樹脂粒子(1)〜(12)は吸収性能(保水量、荷重下吸収量)が向上し、これらを用いた吸収性物品はSDME法による表面ドライネス値に著しく優れていた。したがって、吸収性物品を装着した際、肌に感じる不快感を著しく低減できると推定できる。
一方、比較用の吸収性樹脂粒子(H1)〜(H3)は、吸収性能が低く、これらを用いた吸収性物品はSDME法による表面ドライネス値が著しく悪いことが明らかであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、
水溶性ビニルモノマー(a1’)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2’)、並びに内部架橋剤(a3’)を必須構成単位とする架橋重合体(B)とからなり、
架橋重合体(A)の保水量と架橋重合体(B)の保水量との差が5g/gを超えていることを特徴とする吸収性樹脂粒子。
【請求項2】
架橋重合体(A)の保水量が30〜55g/gであり、架橋重合体(B)の保水量が35〜60g/gである請求項1に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項3】
架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)の合計重量に基づいて、架橋重合体(A)の含有量が20〜80重量%、架橋重合体(B)の含有量が20〜80重量%である請求項1又は2に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項4】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(a3)を共重合して架橋重合体(A)を得る工程(1);
水溶性ビニルモノマー(a1’)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2’)、並びに内部架橋剤(a3’)を共重合して、架橋重合体(B)を得る工程(2);並びに
架橋重合体(A)と架橋重合体(B)とを混合した後、乾燥、粉砕して吸収性樹脂粒子を得る工程(3)を含み、
架橋重合体(A)の保水量と架橋重合体(B)の保水量との差が5g/gを超えていることを特徴とする吸収性樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
内部架橋剤(a3)の使用量が水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜1であり、内部架橋剤(a3’)の使用量が水溶性ビニルモノマー(a1’)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2’)単位のモル数に基づいて、0.005〜0.8である請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
架橋重合体(A)及び架橋重合体(B)の合計重量に基づいて、架橋重合体(A)の混合量が20〜80重量%、架橋重合体(B)の混合量が20〜80重量%である請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載された吸収性樹脂粒子と繊維状物質とからなる吸収体。
【請求項8】
請求項7に記載された吸収体を配してなる吸収性物品。

【公開番号】特開2009−84472(P2009−84472A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257402(P2007−257402)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】