説明

吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び組合せ吸収物品

【課題】吸収パッドの交換時に内側シート材を破損することなく吸収パッドの粘着テープを引き剥がすことができる吸収性物品、使い捨ておむつ等を提供する。
【解決手段】この使い捨ておむつ1は、透液性を有するトップ部11が横方向の中央に設けられた内側シート材5と、 不透液性を有し、内側シート材5の外面側に配置される外側シート材と、水分を吸収する吸収素材を有し、内側シート材5と外側シート材との間に配置される吸収コア7とを備える。内側シート材5のトップ部11に、部分的に強度が補強された補強部21が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び組合せ吸収物品に関する。
【背景技術】
【0002】
大人用の吸収性物品、例えば使い捨ておむつの使用形態として、コスト低減、又は夜間等のおむつ交換の頻度を抑制すること等を目的として、使い捨ておむつとその肌面側に敷き込まれる吸収パッドとが併用されるケースが増加している。吸収パッドは使い捨ておむつよりも安価なため、交換の際に吸収パッドのみを交換することにより、コスト低減が図れる。また、吸収パッドを併用することにより、おむつの尿等の吸収容量が補強され、夜間等のおむつの交換頻度を抑制できる。
【0003】
このため、吸収パッドには、吸収性物品の肌面側に敷き込まれた際のズレ止め用の粘着テープが付与されたものがある。しかし、吸収パッドの交換のため、吸収パッドの粘着テープを吸収性物品の肌面側表面から剥がす際に、吸収性物品の肌面側表面を形成する内側シート材が破損することがある。あるいは、吸収パッドの粘着テープが吸収性物品の内側シート材から剥がれにくく、引き剥がすのに手間取る場合もある。
【0004】
その対策として、吸収パッドの粘着テープの付着強度を低下させる方法が考えられる。しかし、吸収性物品の内側シート材には不織布が用いられる場合が多いため、粘着テープの付着強度を低下させると、吸収パッドの粘着テープが内側シート材に付着しにくくなり、粘着テープの付着強度が低下するという問題がある。
【0005】
なお、吸収パッドの併用を考慮した使い捨ておむつとしては、例えば特許文献1に記載のものがある。この使い捨ておむつでは、おむつの肌面側に吸収パッドを挿入して位置決めできるポケットが形成されている(要約等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】再表01/039714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の解決すべき第1の課題は、吸収パッドの交換時に内側シート材を破損することなく吸収パッドの粘着テープを引き剥がすことができる吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び組合せ吸収物品を提供することである。
【0008】
また、本発明の解決すべき第2の課題は、内側シート材のトップ部に対する吸収パッドの粘着テープの十分な付着強度が得られるとともに、吸収パッドの交換時に吸収パッドの粘着テープを容易に引き剥がせる吸収性物品、使い捨ておむつ、パンツ型使い捨ておむつ及び組合せ吸収物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、透液性を有するトップ部が横方向の中央に設けられた内側シート材と、不透液性を有し、前記内側シート材の外面側に配置される外側シート材と、水分を吸収する吸収素材を有し、前記内側シート材と前記外側シート材との間に配置される吸収コアとを備え、前記内側シート材の前記トップ部に、部分的に強度が補強された補強部が設けられている。
【0010】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品において、前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部における、当該吸収性物品の肌面側に装着される吸収パッドの外面側に設けられるズレ止め用の粘着テープに対応する位置に設けられている。
【0011】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る吸収性物品において、前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部の他の部分と異なった色を有している。
【0012】
また、請求項4の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る吸収性物品において、前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部を形成するシートの肌面側に接合された補強シートを備える。
【0013】
また、請求項5の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る吸収性物品において、前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部を形成するシートの肌面側に間隔をあけて互いに平行に配置されて接合され、略帯状の形態を有する複数の補強シートを備える。
【0014】
また、請求項6の発明では、請求項4又は請求項5の発明に係る吸収性物品において、前記補強部に備えられる前記補強シートの肌面側表面は、粘着テープの付着及び剥離を補助する剥離処理が施されている。
【0015】
また、請求項7の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る吸収性物品において、前記トップ部は、透液性を有する不織布シートにより形成され、前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部を形成する前記不織布シートを部分的に加圧しながら溶融することにより形成された複数のエンボス部を備える。
【0016】
また、請求項8の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る吸収性物品を備えた使い捨ておむつであって、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る前記吸収性物品により構成されたおむつ本体と、前記おむつ本体の外面側における前記縦方向の前方側に付与された付着シートと、前記おむつ本体の前記縦方向の後方側における前記横方向の両側の縁部に設けられ、前記付着シートに対して着脱自在に付着される左右のファスニング部材とを備える。
【0017】
また、請求項9の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る吸収性物品を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、前腹部と、後背部と、前記前腹部と前記後背部との間に設けられる股部とを有し、前記前腹部の前記横方向の両側の縁部と前記後背部の前記横方向の両側の縁部とが接合された外装材と、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る前記吸収性物品により構成され、前記外装材の肌面側に付与された内装材とを備える。
【0018】
また、請求項10の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る吸収性物品を備えた組合せ吸収物品であって、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る前記吸収性物品と、外面側にズレ止め用の粘着テープが設けられ、前記吸収性物品の肌面側に装着される吸収パッドとを備える。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし請求項10に記載の発明によれば、内側シート材のトップ部に、部分的に強度が補強された補強部が設けられている。このため、その補強部に吸収パッドのズレ止め用の粘着テープを付着させることにより、吸収パッドの交換時に内側シート材を破損することなく粘着テープを引き剥がすことができる。
【0020】
また、吸収パッドのズレ止め用の粘着テープを補強部に合わせるように吸収パッドを装着することにより、吸収パッドを吸収性物品の肌面側における適切な位置に装着できる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、トップ部の補強部がトップ部の他の部分と異なった色を有しているため、トップ部における吸収パッドの粘着テープを付着させるべき位置を容易に認識できる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、トップ部の補強部がトップ部を形成するシートの肌面側に接合された補強シートを備えているため、トップ部の補強部の強度を確実に向上させて、吸収パッドの交換時に内側シート材が破損するのを確実に防止できる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、トップ部の補強部がトップ部を形成するシートの肌面側に接合された略帯状の形態を有する複数の補強シートを備えているため、トップ部の補強部の強度を確実に向上させて、吸収パッドの交換時に内側シート材が破損するのを確実に防止できる。
【0024】
また、トップ部の補強部に設けられる複数の補強シートは、略帯状の形態を有し、トップ部を形成するシートの肌面側に間隔をあけて互いに平行に配置されて接合されているため、仮に補強シートが不透液性を有するものであっても、補強シートの接合によりトップ部の透液性が損なわれるのを回避できる。その結果、吸収パッドを装着しないで吸収性物品が用いられる場合に、トップ部の補強部が設けられた部分で尿の透りが悪くなるのを防止できる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、補強部に備えられる補強シートの肌面側表面に粘着テープの付着及び剥離を補助する剥離処理が施されている。このため、内側シート材のトップ部に対する吸収パッドの粘着テープの十分な付着強度が得られるとともに、吸収パッドの交換時に吸収パッドの粘着テープを容易に引き剥がせる。また、吸収パッドの粘着テープの大きさ、又は粘着テープに付与する粘着剤の粘着強度を抑制でき、これによって吸収パッドの交換時に粘着テープがさらに引き剥がしやすくなる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、補強部に形成されるエンボス部ではトップ部を形成する不織布シート中の繊維同士が熔融されて互いに結合される。このため、複数のエンボス部を形成することによりトップ部の補強部の強度を向上させることができるとともに、補強部に吸収パッドの粘着テープが付着しやすくなる。また、吸収パッドの粘着テープの大きさ、又は粘着テープに付与する粘着剤の粘着強度を抑制でき、これによって吸収パッドの交換時に粘着テープが引き剥がしやすくなる。
【0027】
また、トップ部を形成する不織布シートに複数のエンボス部を形成することにより補強部が形成されているため、補強シート等の他の部材を接合することなく、簡単に補強部を形成できる。
【0028】
また、トップ部の補強部内におけるエンボス部以外の部分は不織布の通常の繊維状態が維持されているため、補強部の透液性を維持できる。その結果、吸収パッドを装着しないで吸収性物品が用いられる場合に、トップ部の補強部が設けられた部分で尿の透りが悪くなるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)が平面状に展開された状態を肌面側から見た平面図である。
【図2】図1のおむつのA1−A1線に沿った断面の構成を模式的に示す図である。
【図3】図1のおむつの肌面側に敷き込まれる吸収パッドの外面側から見た平面図である。
【図4】図3の吸収パッドが図1のおむつの肌面側に敷き込まれた状態を示す断面図である。
【図5】図1のおむつのトップ部に設けられる補強部の構成に関する変形例を示す図である。
【図6】図5のA2−A2線に沿った断面の構成を示す図である。
【図7】図1のおむつのトップ部に設けられる補強部の構成に関する他の変形例を示す図である。
【図8】図7のA3−A3線に沿った断面の構成を示す図である。
【図9】図1のおむつに設けられる補強部の配置位置等に関する変形例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつ(以下、単に「パンツ型おむつ」という)を、左右のサイド接合部を切り離して略平面状に展開したときの平面図である。
【図11】図10のパンツ型おむつのA4−A4線に沿った断面の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1ないし図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るおむつ1について説明する。なお、本明細書及び図面において、横方向Xは着用者の左右方向に対応しており、縦方向Yは着用者の前後方向又は上下方向に対応している。図1及び図3上における上側は、着用者を基準として後側に対応している。
【0031】
本実施形態に係るおむつ1は、着用者の股部を含む領域に装着されるものであって、図1及び図2に示すように、おむつ本体2と、付着シート3と、左右のファスニング部材4とを備えて構成される。このおむつ1は、図3に例示する吸収パッド31と組合せ吸収物品32(図4参照)を構成している。吸収パッド6は、図4に示すようにおむつ1の肌面側における後述する左右のひだ部122の横方向Xの内方側の領域に敷き込まれ、交換可能となっている。
【0032】
おむつ1のおむつ本体2は、本発明に係る吸収性物品に相当しており、内側シート材5と、外側シート材6と、吸収コア7と、左右の弾性部材8とを備えて構成される。おむつ本体2の内側シート材5は、おむつ本体2の肌面側に配置されるシート状の部材であり、トップ部11と、左右のサイド部12とを有している。トップ部11は、透液性を有し、横方向Xの中央部に設けられる。左右のサイド部12は、不透液性を有し、トップ部11の横方向Xの両側に設けられる。より具体的には、トップ部11は、親水性を有する不織布シートからなるトップシート111により形成される。トップシート111は、おむつ本体2の肌面側における横方向Xの中央部において縦方向Yに沿って配置される。左右のサイド部12は、疎水性を有する不織布シートからなる左右のサイドシート121によりそれぞれ形成される。左右のサイドシート121は、トップシート111の横方向Xの両側の縁部に肌面側から重なるように縦方向Yに沿ってそれぞれ配置されている。トップシート111の横方向Xの両側の縁部と、その各縁部に対向する左右のサイドシート121の各部分とが接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)によって接合されている。
【0033】
また、左右のサイドシート121の横方向Xの内方側の部分は起立可能なひだ部122となっている。このひだ部122の先端部に左右の弾性部材8が伸張された状態で縦方向Yに沿って接合されている。そして、この左右の弾性部材8の収縮力により、左右のひだ部122が着用者の肌面側に向けて立ち上がり、いわゆる立体ギャザーを構成する。この立体ギャザーにより、おむつ1の横方向Xの両側から尿等の排泄物が漏れるのが防止される。
【0034】
外側シート材6は、不透液性を有し、内側シート材5の外面側に配置され、内側シート材5との間で吸収コア7を挟み込む。より具体的には、外側シート材6は、例えば、不透液性を有する樹脂フィルムと不織布とを貼り合わせてなる複合シートにより構成される。この外側シート材6により、吸収コア7から染み出した尿等がおむつ1の外部に漏れ出すのが防止される。
【0035】
吸収コア7は、水分を吸収する吸収素材を備えて構成され、内側シート材5と外側シート材6との間に配置される。吸収素材としては、パルプ等からなる繊維集合体、又は吸収性ポリマーを内包したパッド等が挙げられる。また、繊維集合体等からなる吸収素材をティッシュペーパー等の包装シートにより包んでもよい。
【0036】
付着シート3は、後述する左右のファスニング部材4に設けられた付着エレメント17が着脱可能なシート状の部材により形成され、外側シート材6の外面側における縦方向Yの前方側の領域に接着剤等の接合手段により接合される。
【0037】
左右のファスニング部材4は、基材シート16と、その基材シート16の肌面側表面に付与された付着エレメント17とを備えて構成され、おむつ1を着用者に装着したときの固定具としての役割を担っている。基材シート16は、不織布等のシート材によって形成され、横方向Xの内方側の縁部が、おむつ本体2の縦方向Yの後方側における横方向Xの両側の縁部に接着剤等の接合手段により接合されている。本実施形態では、基材シート16の横方向Xの内方側の縁部が、内側シート材5と外側シート材6との間に挟み込まれた状態で内側シート材5及び外側シート材6のいずれか一方又は両方に接着剤等の接合手段により接合されている。
【0038】
付着エレメント17と付着シート3とは、互いに着脱自在に付着する構成であれば任意の構成が採用可能である。具体例として、例えば、付着エレメント17として複数のフック構造を有するフック材を用い、付着シート3としてそのフック材のフック構造が着脱自在に係合する複数のループ構造を有するループ材を用いた構成が挙げられる。他の具体例として、付着エレメント17として粘着物質が付与された粘着シートを用い、付着シート3としてその粘着シートが着脱自在に付着する付着面を有するシート材を用いた構成が挙げられる。
【0039】
一方、吸収パッド31は、図3及び図4に示すように、吸収コア33と、内側シート材34と、外側シート材35と、ズレ止め用の粘着テープ36とを備えている。吸収コア33は、水分を吸収する吸収素材(例えば、上述のおむつ1の吸収コア7の吸収素材と同様な吸収素材)を有する。内側シート材34は、少なくとも一部の領域(例えば、横方向Xの中央部)が透液性を有し、吸収コア33の肌面側に配置される。外側シート材35は、不透液性を有し、吸収コア33の外面側に配置される。粘着テープ36は、この吸収パッド31の位置ズレを防止するためのものであり、外側シート材35の外面側に接着剤等の接合手段により接合される。粘着テープ36の表面には粘着剤が付与されており、その粘着剤によりおむつ1のトップ部11に引き剥がし可能な態様で付着する。粘着テープ36がおむつ1のトップ部11に付着することにより、吸収パッド31の位置ズレが抑制される。図3に示す構成では、粘着テープ36は吸収パッド31の外面側における前方側の部分に付与されている。
【0040】
また、本実施形態に係るおむつ1では、上記のような吸収パッド31の粘着テープ36に対応して、図1及び図2に示すように、トップ部11を形成するトップシート111に部分的に強度が補強された補強部21が設けられている。そして、吸収パッド31の粘着テープ36がトップ部11の補強部21に付着されるようになっている。
【0041】
この補強部21は、トップシート111における、おむつ1の肌面側に装着される吸収パッド31に設けられる粘着テープ36に対応する位置に設けられている。図1に示す例では、補強部21は、トップシート111の縦方向Yの前方側の部分における横方向Xの中央に設けられている。また、補強部21の面積は、粘着テープ36の面積よりも広いのが望ましい。さらに、補強部21は、トップ部11の他の部分の色(例えば、白色)と異なった色(例えば、赤色等)を有しているのが望ましい。
【0042】
より具体的には、補強部21は、図2に示すように、トップ部11を形成するトップシート111の肌面側に補強シート211を接合することにより形成される。補強シート211としては、例えば樹脂フィルムが用いられるが、不織布シート等を用いてもよい。補強シート211として樹脂フィルムが用いられた場合は、後述する剥離処理等の加工が容易であるという利点がある。また、補強シート211として不織布シート(例えば、親水性不織布シート)が用いられた場合は、補強シート211の貼付によるトップ部11の透水性及び通気性の劣化を抑制できるという利点がある。補強シート211とトップシート111との接合は、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)又は溶着(例えば、加熱溶着又は超音波溶着)等が用いられる。また、補強シート211は、トップシート111の色(例えば、白色)と異なる色(例えば、赤色等)であるのが望ましい。
【0043】
補強シート211の肌面側表面は、粘着テープ36の付着及び剥離を補助する剥離処理が施されていてもよい。その剥離処理は、例えば、補強シート211の滑らかに加工された肌面側表面に剥離剤(例えば、シリコーン系ポリマー等)を塗布すること等により行われる。この剥離処理により、補強シート211の肌面側表面に剥離剤からなる剥離層を形成してもよい。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るおむつ1によれば、内側シート材5のトップ部11に設けられた補強部21に吸収パッド31の粘着テープ36を付着させることにより、吸収パッド31の交換時に内側シート材5を破損することなく粘着テープ36を引き剥がすことができる。
【0045】
また、吸収パッド36の粘着テープ36を補強部21に合わせるように吸収パッド31を装着することにより、吸収パッド31をおむつ1の肌面側における適切な位置に装着できる。
【0046】
また、補強部21の色をトップ部11の他の部分と異なった色にすることにより、トップ部11における吸収パッド31の粘着テープ36を付着させるべき位置を容易に認識できる。
【0047】
また、補強部21がトップ部11を形成するトップシート111の肌面側に補強シート211を接合することにより形成されているため、補強部21の強度を確実に向上させて、吸収パッド31の交換時に内側シート材5が破損するのを確実に防止できる。
【0048】
また、補強部21を形成する補強シート211の肌面側表面に粘着テープの付着及び剥離を補助する剥離処理を施すことにより、内側シート材5のトップ部11に対する吸収パッド31の粘着テープ36の十分な付着強度が得られるとともに、吸収パッド31の交換時に粘着テープ36を容易に引き剥がせる。また、吸収パッド31の粘着テープ36の大きさ、又は粘着テープ36に付与する粘着剤の粘着強度を抑制でき、これによって吸収パッド31の交換時に粘着テープ36がさらに引き剥がしやすくなる。
【0049】
次に、図5ないし図9を参照して、上述の実施形態に係るおむつ1の変形例について説明する。上述の図1及び図2に示す構成では、1枚の連続した補強シート211により補強部21を形成した。この点に関する変形例として、図5及び図6に示すように、略帯状の形態を有する複数の補強シート212をトップシート111に接合することにより、補強部21を形成してもよい。この図5及び図6に示す構成では、複数の補強シート212が、間隔をあけて互いに平行に配置された状態でトップシート111の肌面側に接合されている。より詳細には、図5及び図6に示す例では、複数の補強シート212が、横方向Xに間隔をあけて縦方向Yに沿って延びている。補強シート212の素材(色も含む)及び補強シート212とトップシート111との接合は、上述の補強シート211の場合と同様な構成が採用可能である。また、補強シート212の肌面側表面に剥離処理を施すのが望ましい。
【0050】
この図5及び図6に示す構成によれば、略帯状の形態を有する複数の補強シート212を間隔をあけて互いに平行に配置された状態でトップシート111に接合することにより補強部21を形成するため、仮に補強シート212が不透液性を有するものであっても、補強シート212の接合によりトップ部11(トップシート111)の透液性が損なわれるのを回避できる。その結果、吸収パッド31を装着しないでおむつ1が用いられる場合に、トップ部11の補強部21が設けられた部分で尿の透りが悪くなるのを防止できる。
【0051】
また、補強部21に関する他の変形例として、図7及び図8に示すように、補強シート211等の他のシートを用いずに補強部21を形成してもよい。この図7及び図8に示す構成では、補強部21が、不織布シートからなるトップシート111に散点状に配置された複数のエンボス部213を形成することにより形成されている。エンボス部213は、トップシート111を部分的に加圧しながら溶融(例えば、加熱溶融又は超音波熔融)することにより形成される。なお、各エンボス部213の形状及び配置パターンは種々の形状及び配置パターンが採用可能である。
【0052】
エンボス部213では、不織布繊維同士が熔融により結合されるため、複数のエンボス部213を形成することにより補強部21の強度を向上させることができるとともに、補強部21に吸収パッド31の粘着テープ36が付着しやすくなる。また、吸収パッド31の粘着テープ36の大きさ、又は粘着テープ36に付与する粘着剤の粘着強度を抑制でき、これによって吸収パッド31の交換時に粘着テープ36が引き剥がしやすくなる。
【0053】
また、トップシート111に複数のエンボス部213を形成することにより補強部21が形成されているため、補強シート211等の他の部材を接合することなく、簡単に補強部21を形成できる。
【0054】
また、補強部21内におけるエンボス部213以外の部分は不織布の通常の繊維状態が維持されているため、補強部21の透液性を維持できる。その結果、吸収パッド31を装着しないでおむつ1が用いられる場合に、トップ部11の補強部21が設けられた部分で尿の透りが悪くなるのを防止できる。
【0055】
また、上述の図1に示す構成では、補強部21がトップ部11の縦方向Yの前方側の部分の1カ所に設けられている。この点に関する変形例として、吸収パッド31の複数箇所に粘着テープ36が付与されている場合、これに対応して補強部21もトップ部11の複数箇所に設けてもよい。例えば、図9に示すように、補強部21をトップ部11の縦方向Yの前方側の部分及び後方側の部分の2カ所に設けてもよい。補強部21及び粘着テープ36を複数箇所に設けることにより、吸収パッド31の位置ズレをより確実に防止できる。また、トップ部11の1カ所に補強部21を形成する場合についても、吸収パッド31の粘着テープ36が付与される位置に応じて、トップ部11の縦方向Yの後方側の部分又は中央部分等、種々の構成が採用可能である。
【0056】
次に、図10及び図11を参照して、本発明の第2実施形態に係るパンツ型おむつ50について説明する。図10上における上側は、着用者を基準として前側に対応している。本実施形態に係るパンツ型おむつ50の内装材51は、概略的な構成が上述の第1実施形態に係るおむつ1のおむつ本体2と類似しており、内装材51のおむつ本体2と対応する部分については、同一の参照符号を用いて説明の重複を回避する。
【0057】
本実施形態に係るパンツ型おむつ50は、図10及び図11に示すように、内装材51と外装材52とを備えて構成されている。内装材51は、上述の第1実施形態に係るおむつ1のおむつ本体2と類似した構成を有している。内装材51がおむつ本体2と異なる点は、内装材51では外側シート材6の横方向Xの両側の縁部が、吸収コア7の横方向Xの外方側の縁部を包むように吸収コア7の肌面側に巻き上げられている点である。このため、内側シート材5の横方向Xの両側の縁部は、外側シート材6の巻き上げられた横方向Xの両側の縁部に肌面側から接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により接合されている。このような内装材51は、後述する外装材52の肌面側に接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により接合される。
【0058】
外装材52は、前腹部521と、後背部522と、前腹部521と後背部522との間に設けられる股部523とを有している。前腹部521の横方向Xの両側の縁部521aと後背部522の横方向Xの両側の縁部522aとが、サイド接合部54にて、溶着又は接着剤により接合されている。
【0059】
また、外装材52は、重ね合わされた2枚の基材シート71,72を備えて構成されている。それらの基材シート71,72には不織布等が用いられ、それらの基材シート71,72の間に、前側及び後側脚周り弾性部材61,62、前側及び後側ボディ弾性部材63,64、及び前側及び後側ウエスト弾性部材65,66が伸張された状態で挟み込まれる。
【0060】
また、本実施形態に係るパンツ型おむつ50においても、パンツ型おむつ50の肌面側に敷き込まれる吸収パッド31に付与された粘着テープ36に対応して、補強部21が内装材51の内側シート材5のトップ部11に設けられている。これによって、上述の第1実施形態に係るおむつ1とほぼ同様な効果が得られる。なお、本実施形態に係るパンツ型おむつ50についても、第1実施形態に係るおむつ1に対する上述の各種の変形例を適用してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 おむつ、2 おむつ本体、3 付着シート、4 ファスニング部材、5 内側シート材、6 外側シート材、7 吸収コア、8 弾性部材、11 トップ部、111 トップシート、12 サイド部、121 サイドシート、122 ひだ部、16 基材シート、17 付着エレメント、21 補強部、211,212 補強シート、31 吸収パッド、32 組合せ吸収物品、33 吸収コア、34 内側シート材、35 外側シート材、36 粘着テープ、50 パンツ型おむつ、51 内装材、52 外装材、54 サイド接合部、61,62 脚周り弾性部材、63,64 ボディ弾性部材、65,66 ウエスト弾性部材、71,72 基材シート、X 横方向、Y 縦方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、
透液性を有するトップ部が横方向の中央に設けられた内側シート材と、
不透液性を有し、前記内側シート材の外面側に配置される外側シート材と、
水分を吸収する吸収素材を有し、前記内側シート材と前記外側シート材との間に配置される吸収コアと、
を備え、
前記内側シート材の前記トップ部に、部分的に強度が補強された補強部が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品において、
前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部における、当該吸収性物品の肌面側に装着される吸収パッドの外面側に設けられるズレ止め用の粘着テープに対応する位置に設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品において、
前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部の他の部分と異なった色を有していることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部を形成するシートの肌面側に接合された補強シートを備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部を形成するシートの肌面側に間隔をあけて互いに平行に配置されて接合され、略帯状の形態を有する複数の補強シートを備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の吸収性物品において、
前記補強部に備えられる前記補強シートの肌面側表面は、粘着テープの付着及び剥離を補助する剥離処理が施されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記トップ部は、透液性を有する不織布シートにより形成され、
前記トップ部の前記補強部は、前記トップ部を形成する前記不織布シートを部分的に加圧しながら溶融することにより形成された複数のエンボス部を備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の吸収性物品を備えた使い捨ておむつであって、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の前記吸収性物品により構成されたおむつ本体と、
前記おむつ本体の外面側における前記縦方向の前方側に付与された付着シートと、
前記おむつ本体の前記縦方向の後方側における前記横方向の両側の縁部に設けられ、前記付着シートに対して着脱自在に付着される左右のファスニング部材と、
を備えることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の吸収性物品を備えたパンツ型使い捨ておむつであって、
前腹部と、後背部と、前記前腹部と前記後背部との間に設けられる股部とを有し、前記前腹部の前記横方向の両側の縁部と前記後背部の前記横方向の両側の縁部とが接合された外装材と、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の前記吸収性物品により構成され、前記外装材の肌面側に付与された内装材と、
を備えることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項10】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の吸収性物品を備えた組合せ吸収物品であって、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の前記吸収性物品と、
外面側にズレ止め用の粘着テープが設けられ、前記吸収性物品の肌面側に装着される吸収パッドと、
を備えることを特徴とする組合せ吸収物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−40274(P2012−40274A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185766(P2010−185766)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】