説明

吸収性物品のためのカバー層

【課題】印しを刷り込んだ吸収性物品のための上面シート又はカバー材料を提供する。
【解決手段】一実施形態では、女性用ケア製品は、カバー材料とそこに刷り込まれた印しとを収容するカバー層と、カバー層に結合された液体不透過性下部層と、カバー層及び下部層の間の吸収性コアとを含む。印しは、界面活性剤及び/又は植物性抽出物のないカバー層と比較してカバー層内への身体滲出物の吸収特性を増大させるのに有効な量の界面活性剤及び/又は植物性抽出物を含むインクから形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に吸収性物品に関し、より詳細には、印しを刷り込んだ吸収性物品のための上面シート又はカバー材料に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品は、一般的に、使用者に向く表面を有する液体透過性カバー層と、外側に向く表面を有する液体不透過性下部層と、カバー層と下部層の間に介在して位置する吸収性コアとを含む。典型的には、カバー層は、一般的に疎水性のポリマー材料であり、これは、体液及び滲出物を吸収性コア内に受け入れることができる容易性を低減して害を及ぼす可能性がある。織布、不織布、網状フィルム、及びポリマーネットなど、並びにそれらの組合せのようないくつかの種類のカバー層が存在し、これらは、現在、例えば、パーソナルケア吸収性物品、例えば生理用ナプキン、月経用パッド、失禁用防護材、乳児、小児、又は成人ケアのためのおむつ又はトレーニングパンツ、包帯又は創傷被覆材、及び類似のパーソナルケア吸収性物品のような様々な用途に用いられている。
【0003】
パーソナルケア吸収性物品の使用時に、月経体液又は尿などのような身体滲出物は吸収性コアに吸収されることになり、これは、吸収性物品を退色させる傾向があり、カバー材料を濡れた外観にする。このような状態は、一般的に望ましくなく、又は末端消費者に受け入れられない。むしろ末端消費者は、流体を吸収した後に吸収性物品が清潔な外観と乾燥した表面とをもたらすことを一般的に好むものである。
【0004】
更に、一般的に、吸収性物品が有する場合がある特別な性質又は指示を使用前に末端消費者が確認することができることが望ましい。多くの場合に、末端消費者がバルク包装用指示又は一般的にそこに表示された製品情報なしに個々の吸収性物品を携行することが望ましくて便利である。すなわち、各個々の吸収性物品上に印刷された印しを有することが望まれている。しかし、カバー層上に印刷することは困難である。例えば、カバー層は、使用者の皮膚に面するので、印しの滲み及び/又は摩擦色落ちが使用者の皮膚に向けて起こる可能性があり、これは、体液の放出に関連する湿潤状態下で悪化する可能性がある。
従って、改善した吸収性特性を有する改良型カバー材料に対する必要性、並びに使用中に摩擦落ち又は滲みを起こさないカバー層上に表示される印しに対する必要性が依然として存在する。
【0005】
【非特許文献1】Bruanauer、Emmet、及びTeller、米国化学学会誌、第60巻、1938年、309頁
【発明の開示】
【0006】
本明細書に開示するのは、一実施形態では、使用者に向く表面を含むカバー層と、最底部表面と、カバー層と最底部表面の間に配置された吸着層とを含む吸収性物品である。使用者に向く表面上には、界面活性剤及び/又は植物性抽出物を用いてインクの印しが刷り込まれている。
一実施形態では、吸収性物品のカバー層を形成する方法は、ポリマーフィルムの使用者に向く表面にインクを刷り込んでそこに印しを形成する段階と、使用者に向く表面から底面まで延びるテーパ付きプロフィールを有する隆起を形成する孔をポリマーフィルムに形成する段階と、孔を有する使用者に向く表面を界面活性剤及び/又は植物性抽出物で処理する段階とを含む。
【0007】
一実施形態では、女性用ケア製品は、カバー材料とそこに刷り込まれた印しとを収容するカバー層と、カバー層に結合された液体不透過性下部層と、カバー層及び下部層の間の吸収性コアとを含む。印しは、界面活性剤及び/又は植物性抽出物のないカバー層と比較してカバー層内への身体滲出物の吸収特性を増大させるのに有効な量の界面活性剤及び/又は植物性抽出物を含むインクから形成されている。
上記及び他の特徴は、以下の詳細説明及び図面によって例示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で開示するのは、任意的に複数の孔を収容したポリマーフィルムカバー層を有する吸収性物品であり、界面活性剤及び/又は植物性抽出物で刷り込まれたインクの印しを有している(例えば、カバー層の上に被覆されるか又はインクの印しに含められる)。本明細書で用いる場合、「吸収性物品」という用語は、一般的に身体滲出物を吸収するのに用いる装置を意味し、より詳細には、着用者の身体に接触し、隣接し、又は身体内に配置して身体滲出物を吸収して収容することができる装置を意味する。従って、この用語は、以下に限定されるものではないが、おむつ、月経用パッド、タンポン、生理用ナプキン、失禁用パッド、及びトレーニングパンツなどのような吸収性物品、並びにワイプ、包帯、及び創傷被覆材を含む。
【0009】
ここで図1を参照すると、女性用ケア防護材のために設計された全体的に10で表された例示的な吸収性物品が示されている。吸収性物品10は、女性の衛生のためのほぼ長円形の生理用ナプキンとして示される。しかし、吸収性物品は、パンティライナ、パンティシールド、又は当業技術で公知のあらゆる他の使い捨て吸収性物品とすることができ、卵形、砂時計形、側部直線形、包み込み、及び周囲密封構成のような他の形状も含むことができる。更に、吸収性物品は、一般的に様々な大きさ及び形状でもたらされ、厚さも様々とされることに注意すべきである。例えば、一部の実施形態では、吸収性物品10は、長さが約150ミリメートル(mm)〜約320mm、幅が約60mm〜約120mmであり、端部が丸みを帯びた長円形である。更に、一部の実施形態では、吸収性物品の厚さ又はキャリパーは、約20mmよりも小さい。例えば、生理用ナプキンとして形成する場合、吸収性物品のキャリパーは、約15mmであることが好ましく、一部の実施形態では、約5mmよりも小さく、一部の実施形態では、約4mmよりも小さい。
【0010】
図示の吸収性物品10は、一般的に、使用者に向く表面14を有する液体透過性カバー層12と、外側に向く表面18を有する液体不透過性下部層16と、カバー層及び下部層、それぞれ12及び16の間に介在して位置する吸収性コア20とを含む。本明細書で以下に説明するように、言葉(例えば、アロエ)及び/又は画像の印し22が、カバー層12上に刷り込まれる。カバー層12はまた、実施形態の1つでは、それを通過して形成された複数の孔24を収容し、吸収性コア20内に体液をより容易に通過させる。図示のように、カバー12及び下部層16は、図示のように吸収性コア20を超えて延びることができ、公知の技術を用いて全体的又は部分的のいずれかで周辺を互いに接合することができ、又は代替的に、カバー層12は、それが吸収性物品10を完全に包むように吸収性コア20を取り囲むことができる。典型的には、接着剤結合、超音波結合、又は当業技術で公知の何らかの他の適切な接合方法により、カバー層12を下部層16に接合し、それによって実質的に吸収性コア20をそこに封入する。
【0011】
カバー層12は、外観が衛生的で清潔であり、好ましくは不透明であって吸収性コア20に収集されて吸収される身体排泄物を隠すようになっている。カバー層12は、更に、良好な貫通性及び再濡れ特性を示し、身体排泄物をカバーから吸収性コア20まで迅速に透過させることができるが、体液をカバー層12を通って着用者の皮膚まで逆流させない。カバー層12は、一般的に、単層、又は代替的に多層、及び/又は天然又は合成繊維から成るポリマーフィルムを含む。
【0012】
例示的な実施形態では、カバー層12は、熱可塑性ポリマー材料で形成されるか、又は少なくとも2つの非混和性ポリマーフィルム材料を含む配合物で形成される。カバー層12を製造するのに適切なポリマー材料の代表的な非制限的リストには、以下に限定するように意図するものではないが、ポリプロピレン及びポリエチレンのようなポリオレフィンと、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、エチレン−プロピレン、エチレン−アクリレート、及びエチレン−アクリル酸及びその塩のようなポリオレフィンコポリマーと、ハロゲン化ポリマーと、ポリエステル及びポリエステルコポリマーと、ポリアミド及びポリアミドコポリマーと、ポリウレタン及びポリウレタンコポリマーと、ポリスチレン及びポリスチレンコポリマーなどが含まれる。多くの場合に、カバー層12は、ポリオレフィン、特に、ポリエチレンとポリプロピレン及びエチレンのコポリマーとで作製される。
【0013】
複数の層から成るカバー層12の場合には、最上層(使用者に向く表面14を有する)は、多層の最下層内及び/又はそれを通して延び、各それぞれの層の孔間に着用区域を有することができる。カバー層に対する最下層の透過性は、最上層の透過性にほぼ等しいか又はそれよりも高いことが好ましい。このようにして、体液は、吸収性コア20内に容易に通ることができる。同様に、第2の層の濡れ性を第1の層が示す濡れ性よりも高くして、その材料をより吸収性にすることができる。
【0014】
カバー層12は、不織り、織り、積層体、発泡体、フィルム、繊維性の各構造体、又は以上のうちの少なくとも1つを含む混合物又は複合体とすることができる。カーディング工程、スパンボンド工程、又はメルトブローン工程によって様々な形態を調製することができる。スパンボンド工程は、紡糸口金の複数の細くて通常円形の毛管から溶融熱可塑性材料をフィラメントとして押出し、次に、押出したフィラメントの直径を急速に減少させることによって形成された直径の小さな繊維を意味する。メルトブローン工程は、複数の細くて通常円形のダイ毛管を通して、集束する高速の通常高熱気体(例えば、空気)流中に溶融熱可塑性材料を溶融糸又はフィラメントとして押出し、それによって溶融熱可塑性材料のフィラメントを細くし、直径を場合よってはミクロ繊維の直径まで減少させることによって形成された繊維を意味する。その後、メルトブローン繊維は、高速気体流によって運ばれ、收集表面上に堆積してランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維はミクロ繊維であり、これは、連続又は不連続とすることができ、一般的に平均直径が10マイクロメートルよりも小さく、收集表面上に堆積する時に一般的に粘着性である。
【0015】
カバー層12を不透明にするために、不織材料の表面積を比較的大きくすることが一般的に望ましいであろう。このように大きな表面積は、デニール(d)が約3.0dに等しいか又はそれよりも小さく、代替的に約1.0dに等しいか又はそれよりも小さい繊維から不織材料を形成することによって適切に達成することができる。不織材料は、約0.3平方メートル/グラム(m2/g)に等しいか又はそれよりも大きく、代替的に約0.5m2/gに等しいか又はそれよりも大きく、更に、代替的に約0.6m2/gに等しいか又はそれよりも大きく約1.5m2/gに等しいか又はそれよりも小さい表面積を適切に有することができる。一般的に、表面積が大きくなれば、不織材料は、より不透明に見えるであろう。繊維不織材料の表面積は、「ASTM D 4820−92a」に標準化されているように、米国化学学会誌、第60巻、1938年、309頁に記載のBruanauer、Emmet、及びTeller(B.E.T.)の物理的気体吸着方法よって適切に判断することができる。吸着気体としてクリプトン及び予備乾燥温度として90℃を用いて、多点(5点)静的容積法を用いることができる。不織物不透明性を向上させる別の方法は、白色フィラメントを生成することを助ける二酸化チタン(TiO2)の利用であり、また、紡績工程で顔料を混合し、不透明性を増大させることができる異なる色の繊維を生成することができる。更に、繊維は、フィラメントに白色をもたらして不織材料の感触性も改善する炭酸カルシウムで処理することができる。
【0016】
カバー層12はまた、少なくとも2つの非混和性熱可塑性ポリマー成分の配合物で形成することができる。第1の熱可塑性ポリマー成分は、第1の融点温度を示すことができる連続相を形成することができる。連続相を形成するためには、第1の熱可塑性ポリマー成分は、層の総重量に基づいて層の約45〜約95重量パーセント(wt%)で存在し、より好ましくは、層の約60〜約80重量パーセントで存在することが好ましいと考えられる。分散相は、第2の融点温度を示す第2の熱可塑性ポリマー成分を含むことができる。第2の熱可塑性ポリマー成分は、層の約5重量パーセント〜約55重量パーセントで存在し、より好ましくは、層の約20重量パーセント〜約40重量パーセント存在することが好ましいと考えられる。更に、第2の融点温度は、好ましくは第1の融点温度よりも低く、フィルムを第1の融点温度と第2の融点温度の間の温度まで加熱することを可能にし、第2の熱可塑性ポリマー成分が粘着性結合を形成することができるようにする。この結合は、カバー層12の異なる部分間に形成することができ、又はそれは、カバー層12と吸収性物品10の別の要素との間とすることもできる。
【0017】
カバー層12に形成される孔24は、カバー層12(又は、多層カバー層12を形成する個々の層)を通してランダムに又は均一に配列することができる。代替的に、孔24は、吸収性物品10のある一定の区域に選択的に限定され、例えば、吸収性物品10内の幅の狭い縦方向バンド又はストリップに位置することができる。孔24の大きさ、形状、及び数は、望ましい用途に応じて変えることができる。
孔24は、ピン穿孔、ポリマーフィルムのスリット形成及び延伸処理、又は真空穿孔によってカバー層12に形成することができ、図2に更に明確に示すように、得られる穿孔されたカバーは、開口区域及び複数の隆起26を有する。隆起26のプロフィールは、テーパ付きであることが好ましい。好ましい実施形態では、真空穿孔工程によって孔24を形成する。
【0018】
図3は、真空穿孔工程に適する装置を示している。装置は、一般的に、中心に配置されたアクスル52によって両端に支持された回転円筒形ドラム50を含む。ドラムの外側円筒形表面は、比較的摩擦係数が小さい高度研磨金属で形成されることが好ましい。成形要素54は、ドラム50の周りに装着される。成形要素54は、ドラム上を滑るようになった一体化ユニットとして形成することができ、又はそれは、ドラムの周りを包み、いずれかの適切な方法、例えば、フィルムに作用する真空によって固定することができる。要素54を回転させるために、要素自身に歯車駆動装置を用いることができ、又はその端部に設けたキャップによって滑車駆動装置を要素54に連結することができる。真空チャンバ56は、その軸線に沿ってドラム50内に位置決めされ、成形要素54の内面に接触するその周囲の限定された部分の上のドラムの表面で開放される。チャンバ56の先端及び後端を実質的に密封するために、要素54に対してドラム50の表面の僅かに上を延びるゴム、グラファイト、又は他の適切な材料のストリップガスケットを用いることができる。チャンバ56は、ドラム10の周囲開口部を除くあらゆる点で密封され、いずれかの適切な方法でチャンバ56に接続したポンプ装置58によって排気することができる。チャンバ56内に開口し、その一端に適切な連結取付け器具を設けることができるチャンバ56の従来の排気ポートを、中心アクスル52を通して設けることができる。チャンバ56の開口部の間近に隣接し、かつ成形要素54の反対側の表面から離間して、加熱ユニット60は、ドラム50の周囲の一部分の上に延びている。
【0019】
作動時に、カバー層12を形成するためのポリマーフィルムは、回転する成形要素上にロール62から給送されるか、又は上述の予備処理のいずれかを最初に行うことができる。ポリマーフィルムは、穿孔工程の前に印しが刷り込まれていることが好ましい。刷り込み工程は、穿孔工程に対して連続的又は非連続的とすることができる。成形要素54の回転により、フィルム12は加熱器60の下を通過し、ここで材料が軟化温度まで加熱され、それから真空チャンバ56の上を通され、それによって熱可塑性材料は、成形要素54に設けられた模様穿孔の中に均一に流入される。軟化温度は、ほぼ室温よりも高く約400℃までであることが好ましく、滞留時間の関数である。真空チャンバ56の直ぐ後に続く領域において、要素54に合わせて成形されたフィルムには、用いた材料の物理的特性に応じて冷却又は固定作業を行うことができる。成形シートは、次に、要素14の接線方向に配置された任意的な剥ぎ取り装置64によって成形要素54から剥ぎ取られ、回転巻戻しドラム66に給送することができるであろう。ドラム66には、遊びクラッチ構成を設け、巻戻し作業中にシート12が歪むあらゆる可能性を排除することが好ましい。一実施形態では、処理ステーションを点64と巻出し機の間に配置して穿孔した材料を処理することができる。この処理は、フィルムに生成した孔を損傷させないスプレー又は発泡処理のような技術によって加えることができる。更に、フィルムを事後乾燥して、巻取りの前の界面活性剤の移動を低減することができる。
【0020】
カバー層12の開口面積は、フィルムによって与えられる総面積に対して孔24が占める面積として定義される。カバー層12は、好ましくは開口面積が約5パーセント〜約35パーセント、より好ましくは約10パーセント〜約25パーセントで生成され、各孔の孔径は、約100マイクロメートル(μm)に等しいか又はそれよりも大きく、かつ約700μmに等しいか又はそれよりも小さい同等円直径(ECD)である。孔径は、望ましい用途に応じて均一又は不均一とすることができる。
【0021】
異なる複数の層で形成されたカバー層12の場合には、各層は、上部層、下部層、及び存在するならば中間層を共穿孔するなどによって穿孔することが好ましい。このような共穿孔は、整合ロールピン穿孔工程、パターン/アンビルロールピン穿孔工程、及び真空穿孔などを含むいくつかの工程によって達成することができる。
代替的に、穿孔フィルムは、販売業者から得ることができる。適切な穿孔ポリマーフィルムには、「Tredegar」によって供給される「Vispore(登録商標)」穿孔フィルムを含むことができる。適切な穿孔フィルムには、以下に限定されるものではないが、「Tredegar X−6799」、「Tredegar X−6845」、「Tredegar X−6923」、「Tredegar X−6944」、及び「Tredegar X−6844」という名称で市販されているものが含まれる。ポリマーフィルムは、滑らかな雌側と、孔を囲む隆起のために幾分滑らかさに欠けることがある雄側とを有することができる。フィルムが穿孔されていれば、インクジェット印刷又はスプレーを用いて、フィルムの孔に損傷を与えることなくパターンを印刷することができる。
【0022】
上述のように、孔24を形成する前に、カバー層12には、最初に印し22を刷り込むことが好ましい。印しには、画像、使用上の指示、吸収性物品に特定の特別な性質の識別子、銘柄名、視覚的合図、他の情報及び/又は銘柄の識別子などを含むことができる。カバー層12上又は層内に印しを印刷することにより、印しに対して最大のコントラストを得ることができ、それによって末端消費者の可読性が向上する。
【0023】
図4及び図5には、例として異なる構成の蝶を示す2つの代表的な印し模様が示されている。以下で明らかになるように、審美的及び実用的な目的に応じて、文字通り限りない数の模様を選択することができる。
例示的な実施形態では、最初に、カバー層12を形成するためのポリマーフィルムの内面及び/又は外面上に印刷される。一般的に、第1の層がその内面上に印刷され、この内面は、積層された多層構造の場合は第2の層と向き合う関係であり、又は吸収性コア20と向き合う関係である。この構成は、印刷されたポリマーフィルムの耐摩耗性(摩擦色落ち耐性)を更に改善することができるので好ましいであろう。代替的に、内面上への裏刷を用いることができ、それによってインクが使用者に移動する危険性が更に減少する。
【0024】
いずれかの印刷工程、例えば、フレキソ印刷、輪転グラビア印刷、インクジェット、又はこれらの工程の少なくとも1つを含む組合せを用いることができる。印し22は、ハーフトーンを生成することによって得ることができる。すなわち、一般的な印刷工程は、ハーフトーン印刷とすることができる。本明細書で用いる場合、ハーフトーンという用語は、連続した濃淡のない色調を様々な大きさ、形状、及び/又は色調強度(調性)の複数の小さな個々の印しに分解することを意味する。
【0025】
印しを形成するための印刷工程に用いるインクは、微粒子型インクであることが好ましい。選択するインクは、勿論、人間が使用するのに安全であり、環境に有害な作用を及ぼすべきではない。湿潤時でもインクがカバー層上に留まり、着用者の皮膚に移動しないことが好ましい。更に、インクは、意図する印刷工程に適切であることが望ましく、吸収性物品を形成するのに用いられる工程、例えば、真空穿孔工程及び同様の高温加熱工程の間に用いられる温度に対して温度耐性があることが好ましい。特に好ましいインクは、Alce Blanco #20、Esquina con Calle 9、Naucalpan de Juarez、C.p.53370 Edo.De Mexico所在の「Sunchemical de Mexico」から「M03Z−XXX−FF」群として市販されており、ここで、XXXは、484(ブルー)、486(グリーン)、485(バイオレット)、487(ブラック)、489(ピンク)、968(ホワイト)とすることができる。更に、これらのインクの組合せを用いることもできる。
粒子状インクは、不活性顔料及び染料を含むことが好ましく、これらは、集合的に顔料と呼ばれ、乾燥重量基準で(インクの総乾燥重量に基づいて)約0.25重量パーセント〜約40重量パーセント、好ましくは、約1重量パーセント〜約10重量パーセントのレベルで加えることができる。
【0026】
適切な顔料には、アゾ染料(例えば、「ソルベント・イエロー14」、「ディスパースド・イエロー23」、及び「メタニル・イエロー」)、アントラキノン染料(例えば、「ソルベント・レッド111」、「ディスパースド・バイオレット1」、「ソルベント・ブルー56」、及び「ソルベント・オレンジ3」)、キサンチン染料(例えば、「ソルベント・グリーン4」、「アシッド・レッド52」、「ベーシック・レッド1」、及び「ソルベント・オレンジ63」)、及びアジン染料(例えば、「ジェット・ブラック」)などが含まれる。他の適切な有機顔料には、デイリーライドイエローAAOT(例えば、「ピグメント・イエロー14 CI番号21095」)、デイリーライドイエローAAOA(例えば、「ピグメント・イエロー12 CI番号21090」)、「ハンザ・イエロー」、「CIピグメント・イエロー74」、「フタロシアニン・ブルー」(例えば、「ピグメント・ブルー15」)、リソールレッド(例えば、「ピグメント・レッド52:1 CI番号15860:1」)、トルイジンレッド(例えば、「ピグメント・レッド22 CI番号12315」)、ジオキサジンバイオレット(例えば、「ピグメント・バイオレット23 CI番号51319」)、フタロシアニングリーン(例えば、「ピグメント・グリーン7 CI番号74260」)、フタロシアニンブルー(例えば、「ピグメント・ブルー15 CI番号74160」)、及びナフトエ酸レッド(例えば、「ピグメント・レッド48:2 CI番号15865:2」)などが含まれる。無機顔料には、二酸化チタン(例えば、「ピグメント・ホワイト6 CI番号77891」)、カーボンブラック(例えば、「ピグメント・ブラック7 CI番号77266」)、酸化鉄(例えば、レッド、イエロー、及びブラウン)、酸化第二鉄ブラック(例えば、「ピグメント・ブラック11 CI番号77499」)、酸化クロム(例えば、グリーン)、及びフェロシアン化第二鉄アンモニウム(例えば、ブルー)などが含まれる。更に、以上の顔料の少なくとも1つを含む組合せも含まれる。
【0027】
例示的な実施形態では、インクのカバー層12上への刷り込み処理は、ポリマーフィルムを印刷するのに適切な費用効果、高速性、高品質印刷の適正な均衡をもたらすフレキソ印刷を含む。フレキソ印刷は、可撓性のある隆起ゴム版又感光性ポリマー版を用いて画像をフィルムに伝達する印刷技術である。可撓性のある版は、一般的に、低粘性インクを直接フィルム上に伝達する。
インクは、一般的に、低粘性担体に分散又は溶解される。例示的な溶媒は、ポリアミド、シェラック、ニトロ−セルロース、及びスチレン−マレイン酸など、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せのような一般的な結合剤の種類を含む脂肪族炭化水素である。一般的に、溶媒ベースのインクは、スチレン−マレイン酸、ロジン−マレイン酸、及びアクリル酸溶液のような、従来のフレキソ印刷結合剤よりも一般的に優れた耐久性を示す無触媒ブロックウレタン樹脂を含む。望ましい溶媒の配合物には、エチルアセテート、N−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、イソブチルアセテート、N−ブチルアセテート、及びこれらの少なくとも1つを含む配合物のような様々なアセテートと、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、及びこれらの少なくとも1つを含む配合物を含む様々なアルコールと、例えば、テネシー州キングスポート所在の「Eastman Chemical」から得ることができる「Ektasolve(登録商標)EP」(エチレングリコールモノプロピルエーテル)、「EB」(エチレングリコールモノブチルエーテル)、「DM」(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、「DP」(ジエチレングリコールモノプロピルエーテル)、及び「PM」(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せを含むグリコールエーテルとが含まれる。同じく用いることができる他のグリコールは、ミシガン州ミッドランド所在の「Dow Chemical」から入手可能な「DOWANOL(登録商標)」である。例示的な溶媒の配合物は、インク組成物の総重量に基づいて約50重量パーセント〜約75重量パーセントのグリコールエーテルと、約25重量パーセント〜約35重量パーセントのN−プロピルアセテートと、約15重量パーセント〜約25重量パーセントのN−ブチルアセテートとの配合物とすることができる。
【0028】
用いることができる適切な水性インクには、水−アンモニア中で安定とすることができて、更に補助溶剤としてアルコール、グリコール、又はグリコールエーテルを含むことができる乳剤が含まれる。一般的に、有機溶剤(それらを用いる場合には、例えば、乳剤の総重量に基づいて約7wt%に等しいか又はそれよりも少ない量、好ましくは約0.25wt%〜約7wt%)を水性インクに加えることができる。例えば、アルコール(例えば、プロパン−2−オール)を加えて乾燥を速めると共に湿潤を助けることができ、グリコール(例えば、モノプロピレングリコール)を加えて乾燥を遅らせることができ、また、グリコールエーテル(例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)を加えてフィルム形成を助けることができる。このような溶媒は、様々な会社から市販されている汎用化学製品とすることができる。一般的に、水性インクには、アクリル溶液及び分散コポリマーのような非架橋結合剤よりも耐久性に優れることができる自己架橋アクリルコポリマー乳剤が含まれる。
【0029】
溶媒及び顔料以外に、インクはまた、結合剤を含むことができる。結合剤は、顔料のカバー層12上での安定化を助けるものである。一般的に、顔料対結合剤比は、典型的には約1:20〜約1:2であり、約1:1.7までとすることができる。
また、ワックスを含んで、印刷したポリオレフィン基体のインクの滑りを改善し、耐摩擦性を改善させることもできる。ワックスの一般的な分類には、動物(例えば、蜜蝋及びラノリン)、植物(例えば、カルナウバ及びカンデリラ)、鉱物(例えば、パラフィン及び微結晶)、及び合成(例えば、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、及び「Teflon(登録商標)」)が含まれる。任意的に、総インク製剤重量に基づいて約0.5重量パーセント〜約5重量パーセントのワックスを用いることができる。
【0030】
印しがカバー層12に刷り込まれ、場合によっては孔が形成された後に、カバー層12には、スプレー、浸漬、スロットコーティング、ブラシ塗り、トランスファーコーティング、又は他の方法で界面活性剤及び/又は植物性抽出化合物を被覆し、液体が吸収性コア20へ透過しやすくすることが好ましい。更に、界面活性剤及び/又は植物性抽出物の使用は、吸収性物品圧迫突出力のような工程摩擦を低減することができ、製造中に製品に損傷を与えないようにするのに十分であると考えられる。界面活性剤及び/又は植物性抽出物をインク組成物に加える場合には、それらは、インク組成物の総重量の約10重量パーセント〜約50重量パーセントを構成することができる。それらがカバー層上に配置されたインク組成物の上に(例えば、インクを含むカバー層全体又は一部分の上に)配置される場合には、界面活性剤は、カバー層12の総重量の約0.1重量パーセント〜約3重量パーセントであることが好ましく、植物性抽出物は、カバー層12の総重量の約0.01重量パーセント〜約30重量パーセントであることが好ましい。
【0031】
界面活性剤及び/又は植物性抽出物は、身体滲出物を印刷区域で良好に吸収することができるように、水不溶性印し22の疎水性の再方向付けを可能にする。その結果、界面活性剤及び/又は植物性抽出物を用いることにより、吸収性コア20への全体的な吸着に影響を及ぼすことなく、印し密度を増大させることができる。この手法を用いて、濡れ性の低い区域及び選択的に高い区域の両方を有し、かつ流体を吸収ターゲット区域の方向に導くことを可能にするように製品を設計することができるので、流体吸収は良好に管理される。一実施形態では、この手法を用いてインクの濡れ性を変更して疎水性にし、それによって流体のための障壁を生成し、製品から流出する流体の量を低減するのを助けることができる。
【0032】
界面活性剤及び/又は植物性抽出物の組合せの親水性/親液性均衡数(HLB)は、約7に等しいか又はそれよりも大きく、より望ましくは、約10に等しいか又はそれよりも大きく、より望ましくは、約14に等しいか又はそれよりも大きい。本明細書で用いる場合、「親水性剤」という用語は、容易に水と会合することができる物質を意味し、「親液性薬剤」という用語は、コロイド系中の液体を引き付けることができる薬剤を意味し、分散された相が液体であって分散媒体を引き付けるコロイド系を説明するものである。一般的に測定HLBを持たない親水性剤を用いることもできる。このような親水性剤には、以下に限定されるものではないが、表面活性剤(又は、界面活性剤)を含むことができる。
【0033】
また、一般的に測定HLBを持たない親水性剤を用いることもできる。このような親水性剤には、以下に限定されるものではないが、グリコール及びポリグリコールのようなジオールを含むことができる。適切な非イオン性界面活性剤には、以下に限定されるものではないが、C2-8ジオール及びポリグリコールなどが含まれる。一般的に、ジオールは、グリコール(C2及びC3ジオール)及びポリグリコールとすることができる。「ポリグリコール」という用語は、2つ又はそれよりも多くのグリコール分子を脱水することによって形成されるジヒドロキシエーテルを意味する。有用なポリグリコールの代表的な非制限的リストには、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ブチレンオキシド及びエチレンオキシドのブロックコポリマーなど、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0034】
他の適切な非イオン性界面活性剤には、脂肪酸エステルエトキシレート、脂肪酸エーテルエトキシレート、及びエトキシル化糖誘導体(例えば、エトキシル化脂肪酸ポリエステル、及びエトキシル化脂肪酸ソルビタンエステルなど)を含むエトキシレートなど、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。代表的なエトキシル化脂肪酸ソルビタンエステルには、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート(ポリソルベート20(HLB:16.7)及び21(HLB:13.3)としても公知)、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート(ポリソルベート40(HLB:15.6)としても公知)、ポリオキシエチレンソルビタンステアレイト(ポリソルベート60(HLB:14.9)及び61(HLB:9.6)としても公知)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレイト(ポリソルベート65(HLB:10.5)としても公知)、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート(ポリソルベート80(HLB:15.0)及び81(HLB:10.0)としても公知)、及びポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(ポリソルベート85(HLB:11.0)としても公知)など、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。以上のエトキシル化脂肪酸ソルビタンエステルのうちでは、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノラウレートが一般的に好ましい。
【0035】
エトキシル化脂肪酸エーテルの別の一般的に用いられる部類は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類である。有用なポリオキシエチレンアルキルエーテルの代表的な非制限的リストには、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(ステアレス−2及びステアレス−10(HLB:12.4)などとしても公知)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(セテス−2及びセテス−10(HLB:12.9)などとしても公知)、及びポリオキシエチレンオレイルエーテル(オレス−2(HLB:12.4)及びオレス−10などとしても公知)など、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルのうちでは、ポリオキシエチレンステアリルエーテルが最も一般的に好ましい。
【0036】
脂肪酸エステルの別の一般的に用いられる部類は、ソルビタン脂肪酸エステル類とすることができる。有用なソルビタン脂肪酸エステルの代表的な非制限的リストには、ソルビタンモノオレエート(HLB:4.3)、ソルビタンモノステアレイト(HLB:4.7)、ソルビタンモノパルミテート(HLB:6.7)、ソルビタンモノラウレート(HLB:8.6)、ソルビタントリステアレイト(HLB:2.1)、ソルビタントリオレエート(HLB:1.8)、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。以上のソルビタン脂肪酸エステルのうちでは、ソルビタンモノオレエートが最も一般的に好ましい。
【0037】
エトキシル化糖誘導体の別の一般的に用いられる部類は、メチルグルコース誘導体類とすることができる。有用なメチルグルコース誘導体の代表的な非制限的リストには、メチルグルコース−10、メチルグルコース−20、メチルグルコース−20ジステアレイト、メチルグルコースジオレエート(HLB:5)、メチルグルコースセスキステアレイト(HLB:6)、PEG−120メチルグルコースジオレエート、PEG−20メチルグルコースセスキステアレイト、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。
【0038】
市販の適切な界面活性剤の組合せには、米国デラウェア州ウィルミントン所在のICIの一部門である「Uniqema」から登録商標「SPAN」(ソルビタン誘導体)、「TWEEN」(ポリソルベート誘導体)、及び「BRIJ」(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)の下で販売されているもの、及び米国ニュージャージー州エジソン所在の「Amerchol Corporation」から登録商標「GLUCAM」(メチルグルコースエーテル)、「GLUCATE」(メチルグルコース誘導体)、及び「GLUCAMATE」(メチルグルコースのポリエチレングリコールエーテル)の下で販売されている界面活性剤が含まれる。
【0039】
適切な植物性抽出物には、以下に限定されるものではないが、カモミール、アロエベラ、ホホバ、ヒマワリ油、柑橘油、ニンジン油、アボカド油、アーモンド油、綿抽出物、及びビタミン抽出物など、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。ポリマーフィルムカバー層12はまた、ビタミンEなどのようなビタミン抽出物などで処理することができる。
界面活性剤及び植物性抽出物は、個々に用いることができ、又は上述の界面活性剤及び/又は植物性抽出物の少なくとも1つを含む組合せで用いることもできることに注意されたい。更に、これらは、インク中に分散させることができ、又はカバー層の全て又は一部分上のコーティングとすることもできる。
【0040】
更に、カバー層12には、本開示の目的を達成することを妨げることのない量で他の成分及び添加剤を加えることができ、これには、以下に限定されるものではないが、酸化防止剤、UV吸収剤、潤滑剤、粘着防止剤及び滑剤、可塑剤、核剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、無機又は有機充填剤、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。カバー層12は、必要に応じて抗菌的に有効な量のトリクロサン又は類似の抗菌剤を含むことができる。
【0041】
吸収性コア20は、レーヨン繊維と、綿繊維及び木質パルプ繊維のような天然繊維と、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維のような合成繊維などと、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せとを含む様々な材料で作ることができる。繊維は、例えば、鞘が1つのポリマーを含み、芯が別のポリマーを含む鞘−芯構成のような二成分繊維とすることができる。また、例えば並列構成のような他の構成を有する二成分繊維を用いることもできる。また、超吸収性材料の付加を用いて、吸収システムの吸収容量を高めることができる。
【0042】
一般的に、吸収性コア20を構成する繊維は、繊維が交差する接点で結合させることができる。この結合は、例えば、繊維を加熱して軟化させ、その交差点で互いに溶融させることによって達成することができる。代替的に、繊維は、例えばスプレー又はグラビア印刷法で付加することができる接着剤を用いることによって結合させることができる。一般的に、繊維は中実繊維とすることができ、又は、繊維又はその一部分を中空繊維にすることもできる。吸収性コア20に用いることができる繊維は、約3d〜約10dのデニールを含むことが好ましい。吸収性コアの坪量は、限定するように意図されておらず、一般的に、約0.003グラム/平方センチメートル(g/cm2)〜約0.015g/cm2である。
【0043】
吸収性コア20の構造は、様々な大きさ及び形状で、様々な液体吸収性材料から製造することができる。有用な材料の代表的な非制限的なリストには、セルロース材料(例えば、レーヨン、綿、木質パルプ、しぼ寄せセルロース詰め物、ティッシュラップ及び積層体、ピートモス、及び、化学的補剛、修飾、又は架橋セルロース繊維)、合成材料(例えば、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル化材料)、及び形成繊維(例えば、毛管チャンネル繊維及び多肢繊維)など、並びにコフォーム繊維構造を含む合成繊維及び木質パルプのようなこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。吸収性コア20は、更に、移送部材、吸い込み部材、及びサージ層などを含むことができる。
【0044】
上述のように、下部層16は、一般的に液体不透過性であり、外側に向く表面を有する。下部層16は、一部の場合では、吸収性物品を通して空気及び他の蒸気を通過させ、同時に体液の通過を遮断することができる。一般的に、あらゆる液体不透過性材料を用いて下部層16を形成することができる。例えば、用いることができる適切な材料の1つは、マイクロエンボス加工したポリエチレン又はポリプロピレンのようなポリマーフィルムである。特定的な実施形態では、ポリエチレンフィルムの厚さは、約0.2ミル(約5.1マイクロメートル)〜約5ミル(約127マイクロメートル)、より詳細には、約0.5ミル(約12.7マイクロメートル)〜約3ミル(約76.2マイクロメートル)である。
更に、本開示の目的を達成することを妨げることのない量で上述のような他の成分及び添加物をポリマーフィルム材料に加えることができる。
【0045】
製品はまた、カバー層12の下に配置される第2の層である「下層」を有することができる。この材料は、熱的ボンデッドカーデッドウェブ工程、通気結合工程、又は織材料から作ることができる。これらの工程に用いられる繊維には、ポリオレフィン繊維、天然繊維、及び二成分繊維など、並びにこれらの少なくとも1つを含む組合せが含まれる。下層は、身体側カバー材料よりも高い透過性及び/又は高い濡れ性を有し、吸収性システムの吸収特性を改善することができる。必要に応じて、この層は、植物性抽出物を有することもでき、例えば、製品全体の視覚的外観を向上させるために印刷された顔料を有することもできる。
【0046】
製品は、例えば、女性用ケア及び/又は乳児ケア製品の分野で複数の目的に対して用いることができる(例えば、ライナとして)。この製品に印しを印刷し、視覚的美観を向上させることができる。この種の印刷では、インクは、摩擦色落ちせず、又は摩擦、体温、又は流体(人間、又は界面活性剤及び/又は植物性抽出物)との接触により薄くならないように選択することが好ましい。視覚的な印しは、多くの役割を果たすことができ、とりわけ、それは、材料の吸収特性を向上させるために選択的に添加物を付加することができ、又は/及び植物性抽出物又は皮膚健康処理剤を有することができる。2つの代表的な印し模様は、蝶の異なる構成を示す図4及び図5に例示的に示されている。明らかなように、審美的及び実用的な目的に対して必要に応じて文字通り限りない数の模様を選択することができる。
【0047】
一実施形態では、インクは、表面の濡れ性を選択的に変更するために界面活性剤と混合することができる。表面の濡れ性は、インクが材料の吸収特性を助けると期待される方法で付加される時は常に、親水性(水接触角が90度よりも小さい)とすることができ、又は、別の場合では、この模様を製品の側面に付加する場合には、製品開発者は、流体がパッドの周囲の外側に移動しない非濡れ性の区域を有するように選択することができると考えられる。工程とその精巧さによっては、模様の特定の色が別の色よりも濡れ性になるように決めて、優先的に濡れ性の区域及び疎水性の他の区域を可能にすることができる。
インクが印刷された後に、カバー材料は、その吸収性を更に向上させるように処理することができる。これは、コロナ処理、及び/又は界面活性剤及び/又は植物性抽出物の局所付加を含む異なる方法で達成することができる。
【0048】
別の用途は、異なる流体を吸収するように界面活性剤で処理され、競合他社の材料と区別して同じく消費者の銘柄認識を改善するのを助ける印刷模様も有するワイプ材料の製造である。これはまた、エンボス模様、及び材料特性を向上させる他のあらゆる機械的修飾と組み合わせることもできる。
印しは、各個々の吸収性物品上に印刷され、例えば、使用上の指示を提供し、製品の着用に必要な適正な方法を説明し(例えば、非対称製品の場合)、及び/又は他の情報を広めることができる。このようなインクの印しと界面活性剤及び/又は植物性抽出物とを含むカバー層は、女性用ケア製品(例えば、生理用ナプキンなど)に特に有用である。例えば、女性用ケア製品は、任意的な複数の孔及びそれに刷り込まれた印しを含むカバー層と、カバー層に結合された液体不透過性下部層と、カバー層と下部層の間の吸着コア(例えば、吸収性材料コア)とを含むことができる。印しは、界面活性剤及び/又は植物性抽出物のないカバー層に比較して、身体滲出物のカバー層内への吸収特性を増大させるのに有効な量で界面活性剤及び/又は植物性抽出物を含むインクから形成することができる。界面活性剤及び/又は植物性抽出物は、インク中に配置することができ、又はコーティングとしてカバー層の全体又は一部分の上に配置することができる。
【0049】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、その要素を均等物で置換することができることは当業者には理解されるであろう。更に、本発明の範囲から逸脱することなく特定の状況又は材料を本発明の教示に適応させるために多くの修正を行うことができる。従って、本発明は、本発明の実施を想定した最良の態様として開示された特定的な実施形態に限定されないこと、及び、本発明は、特許請求の範囲に該当する全ての実施形態を含むことになることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】女性用ケア防護のための生理用ナプキンの形態の例示的な吸収性物品の切り欠き斜視図である。
【図2】吸収性物品のための穿孔されたカバー層の拡大斜視図である。
【図3】真空穿孔装置の立面図である。
【図4】カバー材料内に印刷することができる模様の例である。
【図5】カバー材料内に印刷することができる模様の例である。
【符号の説明】
【0051】
10 吸収性物品
12 液体透過性カバー層
16 液体不透過性下部層
22 印し
24 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤及び/又は植物性抽出物を用いてインクの印しが刷り込まれた使用者に向く表面と最底部表面とを含むカバー層と、
前記カバー層と前記最底部表面の間に配置された吸着層と、
を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
真空穿孔、ピン穿孔、水圧交絡、超音波、及びそれを組合せた方法によって穿孔されたカバー材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記穿孔されたカバー層は、各穿孔を囲んで前記使用者に向く表面から前記最底部表面まで延びるテーパ付開口部を含むことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記印しは、第2の界面活性剤及び/又は第2の植物性抽出物を有するインクを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記界面活性剤は、前記カバー層の総重量の約0.1重量パーセント〜約3重量パーセントであり、及び/又は、前記植物性抽出物は、該カバー層の総重量の約0.01重量パーセント〜約30重量パーセントであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記界面活性剤は、約10に等しいか又はそれよりも大きい親水性−親液性均衡数を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記穿孔されたカバー層の開口面積は、該カバー層の総面積に対して約5パーセント〜約35パーセントであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記植物性抽出物は、カモミール、アロエベラ、ホホバ、ヒマワリ油、柑橘油、ニンジン油、アボカド油、アーモンド油、綿抽出物、ビタミン抽出物、及び以上の抽出物の少なくとも1つを含む組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記カバー層は、マクロエンボス加工されたものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記カバー層は、熱的カーデッドウェブ、通気結合ウェブ、スパンレース材料、穿孔フィルム、発泡体、及び以上の材料の少なくとも1つを含む組合せから成る群から選択された材料を含む下層に結合されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記カバー層は、界面活性剤及び/又は植物性抽出物で処理された下層に結合されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
吸収性物品のカバー層を形成する方法であって、
ポリマーフィルムの使用者に向く表面にインクで刷り込んでそこに印しを形成する段階と、
前記使用者に向く表面から底面まで延びるテーパ付プロフィールを有する隆起を形成する孔を前記ポリマーフィルムに形成する段階と、
前記使用者に向く表面を界面活性剤及び/又は植物性抽出物で処理する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記カバー層に孔を形成する段階は、
ポリマーフィルムを約400℃よりも低い軟化温度まで加熱する段階と、
ポンプと流体連通した複数の穿孔を含む成形シート上に前記加熱したフィルムを給送する段階と、
前記成形要素と前記ポリマーフィルムの間に真空を印加し、該ポリマーフィルムの一部分を該成形要素内の前記複数の穿孔に流入させて前記孔を形成する段階と、
前記フィルムを冷却する段階と、
を含む真空穿孔工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記植物性抽出物は、カモミール、アロエベラ、ホホバ、ヒマワリ油、柑橘油、ニンジン油、アボカド油、アーモンド油、綿抽出物、ビタミン抽出物、及び以上の抽出物の少なくとも1つを含む組合せから成る群から選択されることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤は、前記ポリマーフィルムの総重量の約0.1重量パーセント〜約3重量パーセントの量で存在し、前記植物性抽出物は、該ポリマーフィルムの総重量の約0.01重量パーセント〜約30重量パーセントの量で存在することを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルム又はカバー層は、ポリオレフィンを含むことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の吸収性物品又は方法。
【請求項17】
カバー材料とそこに刷り込まれた印しとを収容するカバー層、
を含み、
前記印しは、界面活性剤及び/又は植物性抽出物のないカバー層に比較して身体滲出物の該カバー層内への吸収特性を増大させるのに有効な量で該界面活性剤及び/又は植物性抽出物を含むインクから形成されており、
前記カバー層に結合した液体不透過性下部層と、
前記カバー層と前記下部層の間の吸着コアと、
を更に含むことを特徴とする女性用ケア製品。
【請求項18】
前記界面活性剤を前記カバー層の総重量に基づいて約0.1〜約3重量パーセントの量で更に含み、及び/又は、前記植物性抽出物が、該カバー層の総重量に基づいて約0.01〜約30重量パーセントの量を構成していることを特徴とする請求項17に記載の女性用ケア製品。
【請求項19】
前記界面活性剤は、非イオン性であることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載のパーソナルケア物品、方法、又は女性用ケア製品。
【請求項20】
前記インクの印しは、微粒子型インクを含むことを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載のパーソナルケア物品、方法、又は女性用ケア製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−509695(P2007−509695A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537962(P2006−537962)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/019446
【国際公開番号】WO2005/044164
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】