説明

吸収性物品内のセンサの腐食低減方法

【課題】濡れたことを知らせるモニタリングシステム及びセンサの腐食低減方法を提供する。
【解決手段】吸収性物品におけるセンサの腐食低減方法は、吸収性物品に組み込まれた濡れセンサと電気的に接続するように適合されたモニタを提供するステップを含む。濡れセンサは、第1の導体及び第2の導体を有し、モニタは、モニタが取り付けられかつ始動されたときに一連のステップを繰り返し実行するプログラミング命令を含み、一連のステップは、第1の導体に電圧を印加するステップと、両導体間の電位差を測定するステップと、第1の導体への電圧印加を停止するステップとを含む。プログラミング命令はまた、第1及び第2の導体に二者択一的に電圧を印加するステップ及び/または電圧印加を停止した後に第1の導体及び/または第2の導体を接地するステップを含む一連のステップを繰り返し実行し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、吸収性物品を着用者が着用している間に吸収性物品内の汚物の有無を検出するように適合されたモニタリングシステムに関する。より詳細には、本発明は、吸収性物品内に配置された導体の腐食の量及び/または速度を低減する濡れモニタ及び濡れモニタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て吸収性物品は、パーソナルケア製品、例えば、おむつ、子供のトイレトレーニングパンツ及び他の乳幼児・小児ケア製品、成人用失禁衣服及び他の成人用ケア製品、生理用ナプキン及び他の女性ケア製品、及び同様のもの、並びに外科用包帯、外科スポンジ及び医療用衣服としての利用が広く普及している。これらの物品は、体内の老廃物を吸収して封じ込め、一定期間使用された後に廃棄されることが想定されている。すなわち、使い捨て吸収性物品は、再使用のために洗濯または別な方法で元の状態に戻されることを意図したものではない。従来の使い捨て吸収性物品には、内側層と外側層の間に配置された吸収体が含まれており、内側層は着用者の皮膚に触れるように適合されており、外側層は吸収体に吸収された液体老廃物が物品から漏れ出すのを防ぐように適合されている。吸収性物品の内側層は、典型的には液体透過性であり、吸収体に吸収させるために体内の老廃物を通過させることができる。
【0003】
使い捨て吸収性トレーニングパンツは、特に、トイレトレーニング中の子供に有用である。典型的には、これらの使い捨て下着は、着用の仕方が、洗濯可能な布製下着と類似しているが、さらに、皮膚の健康を維持するためにおむつと類似の吸収機能を提供する。トレーニングパンツは、トイレトレーニング中の子供が自信をもって一人でトイレに行けるようになるにつれておむつから洗濯可能な布製下着への移行を容易にする下着を提供する。
【0004】
トイレトレーニング中の子供に保育者が注意を払うことは、排尿時に子供及び保育者が排尿について話し合い、学習体験を強化しかつ向上させることができるという点で有益であり得る。従って、尿が出たことを直ちに保育者に知らせかつ/または確認させて、この出来事が子供の記憶にまだ新しいうちに子供と排尿について話し合うことができるようにすることは効果的である。
【0005】
同様に、必要なときに吸収性物品を交換できるが繰り返し点検する必要はないように被介護者の排尿モニタリングを行うことは、被介護者の衛生的な必要性に気を配る介護者のためになるであろう。従って、尿が出たことを直ちに介護者に知らせて適切な措置が講じられ得るようにすることは効果的である。
【0006】
排尿モニタリングを行う1つの方法は、下着の電気的特性の変化を検出するシステムを用いる方法であり、電気的特性は下着の湿潤度(濡れ)の関数である。例えば、電気的特性は、抵抗、コンダクタンス、インピーダンス、キャパシタンス、または任意の他のパラメータであって、下着の湿潤度の変化に応じて変化するものであり得る。例えば、相隔たる互いに平行な1対の導体が、下着の吸収性材料内または吸収性材料に近接して配置され得る。これらの導体は、下着の吸収性材料と電気的に接触し得、かつモニタに接続されて電池などの電源を含む濡れ回路を完成させ得る。例えば、回路は、導体間の抵抗を検出するための分圧器を含み得る。
【0007】
回路の出力は、抵抗値に相当するアナログ出力電圧であり得る。下着が乾いているときには、導体間の抵抗は非常に大きくかつ相対的に無限であり、開回路のようであると予測される。下着が濡れると、より具体的には1対の導体間にある下着の吸収性材料が濡れると、尿は導体として働くことから、当該領域における下着の抵抗は相対的により小さな値まで降下すると予測される。
【0008】
よって、従来のシステムにおいては、導体間の抵抗がモニタリングされかつ所定の不変の抵抗閾値と比較される。抵抗閾値が抵抗値より小さければ、濡れ回路はインジケータに信号を送信し、それにより、保育者(介護者)及び/または着用者に着用者が排尿したことが伝えられる。
【0009】
上記したように、これらの物品は、所定期間使用された後に廃棄されることになっている。従って、導体は、薄箔ストリップまたは同様のものであることが望ましい。例えば、導体は、製造費用の安い蒸着膜であり得る。しかし、蒸着箔は、電気化学反応による腐食の影響を受けやすく、その結果として電気性能劣化を引き起こす可能性がある。尿が製品に付着すると、アルミニウムイオンが導体から分離して、開回路に形成される電位差間における移動相を形成する。短時間の内に、箔は製品の長さに沿った電気的連続性を失い、濡れ検出は困難または不正確なものとなる。
【0010】
幾つかのパラメータがこの電気化学反応に影響を与える。第1に、アルミニウムは、電気化学電池内で非常によく反応する金属であり、尿のイオンは、導体から移動相への金属イオンの能動輸送を促すための理想的な電気化学的解決法である。第2に、導体間に印加される電位差は、たとえ小さくでも、導体の連続性の持続時間にかなりの影響を及ぼしかねない。最後に、本明細書に記載されているような体の近くで使うセンサシステムにおいては、シンプルで、電力需要を満たし、かつ安全であるという理由により、直流電力が好ましい。しかし、直流電力は、導体の腐食に大いに拍車を掛けることが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開WO00/37009号公報
【特許文献2】米国特許第4,940,464号明細書
【特許文献3】米国特許第5,766,389号明細書
【特許文献4】米国特許第6,645,190号明細書
【特許文献5】米国特許第4,704,116号明細書
【特許文献6】米国特許第5,883,028号明細書
【特許文献7】米国特許第5,116,662号明細書
【特許文献8】米国特許第5,114,781号明細書
【特許文献9】米国特許出願第09/563,417号明細書
【特許文献10】米国特許出願第09/698,512号明細書
【特許文献11】米国特許第4,100,324号明細
【特許文献12】米国特許第5,284,703号明細書
【特許文献13】米国特許第5,350,624号明細書
【特許文献14】米国特許第5,964,743号明細書
【特許文献15】米国特許第5,645,542号明細書
【特許文献16】米国特許第6,231,557号明細書
【特許文献17】米国特許第6,362,389号明細書
【特許文献18】国際公開WO03/051254号公報
【特許文献19】米国特許第5,486,166号明細書
【特許文献20】米国特許第5,490,846号明細書
【特許文献21】米国特許第5,820,973号明細書
【特許文献22】米国特許出願第11/303283号明細書
【特許文献23】米国特許出願第11/303222号明細書
【特許文献24】米国特許出願第11/314438号明細書
【特許文献25】米国特許出願第11/215937号明細書
【特許文献26】米国特許出願第11/216977号明細書
【特許文献27】米国特許出願第11/215968号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第20070252710号公報
【特許文献29】米国特許出願公開第20070252711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、従来の装置は、有用ではあるが、電気化学反応によって腐食する傾向があり得る。従って、濡れたことを知らせるモニタリングシステム及びセンサの腐食低減方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した必要性に則して、本発明の一態様は、吸収性物品におけるセンサの腐食低減方法を提供する。本方法は、吸収性物品に組み込まれた濡れセンサと電気的に接続するように適合されたモニタを提供するステップを含む。濡れセンサは、第1の導体及び第2の導体を有する。モニタは、吸収性物品内のセンサに取り付けられかつ始動されたときに一連のステップを実行するプログラミング命令を含む。一連のステップは、濡れセンサの第1の導体に電圧を印加するステップと、両導体間の電位差を測定するステップと、第1の導体への電圧印加を停止するステップとを含む。一連のステップは、少なくとも毎秒1回繰り返し実行され、第1の導体に電圧が印加される時間割合は10%以下であり、かつ第1の導体への電圧印加が停止される時間割合は90%以上である。
【0014】
種々の実施形態において、プログラミング命令は、一連のステップを少なくとも毎秒3回繰り返し実行するステップをさらに含み得る。種々の実施形態において、第1の導体に電圧が印加される時間割合は5%以下であり得、かつ第1の導体への電圧印加が停止される時間割合は95%以上であり得る。
【0015】
一部の実施形態では、プログラミング命令は、第1の期間にわたって第1の周波数で一連のステップを繰り返し実行するステップと、第2の期間にわたって第2の周波数で一連のステップを繰り返し実行するステップとをさらに含み得、このとき第1の周波数と第2の周波数とは互いに異なる。
【0016】
一部の実施形態では、プログラミング命令は、第1の導体への電圧印加を停止した後に第1の導体を接地するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、プログラミング命令は、第1の導体への電圧印加を停止した後に第2の導体に電圧を印加するステップと、両導体間の電位差を測定するステップと、第2の導体への電圧印加を停止するステップとをさらに含み得る。一部の実施形態では、プログラミング命令は、第1の導体への電圧印加を停止した後に第1の導体を接地するステップと、第2の導体への電圧印加を停止した後に第2の導体を接地するステップとをさらに含み得る。
【0017】
別の態様では、本発明は、吸収性物品におけるセンサの腐食低減方法を提供する。本方法は、吸収性物品に組み込まれた濡れセンサと電気的に接続するように適合されたモニタを提供するステップを含む。濡れセンサは、第1の導体及び第2の導体を有する。モニタは、吸収性物品内のセンサに取り付けられかつ始動されたときに一連のステップを繰り返し実行するプログラミング命令を含む。一連のステップは、第1の導体に電圧を印加するステップと、両導体間の電位差を測定するステップと、第1の導体への電圧印加を停止するステップと、第2の導体に電圧を印加するステップと、両導体間の電位差を測定するステップと、第2の導体への電圧印加を停止するステップとを含む。
【0018】
種々の実施形態において、本方法は、一連のステップを少なくとも毎秒1回繰り返し実行するステップを含み得る。一部の実施形態では、本方法は、一連のステップを少なくとも毎秒3回繰り返し実行するステップを含み得る。種々の実施形態において、プログラミング命令は、第1の期間にわたって第1の周波数で一連のステップを繰り返し実行するステップと、第2の期間にわたって第2の周波数で一連のステップを繰り返し実行するステップとをさらに含み得、このとき第1の周波数と第2の周波数とは互いに異なる。
【0019】
一部の実施形態では、第1の導体に電圧が印加される時間割合は10%以下であり得、かつ第1の導体への電圧印加が停止される時間割合は90%以上であり得る。一部の実施形態では、第2の導体に電圧が印加される時間割合は10%以下であり得、かつ第2の導体への電圧印加が停止される時間割合は90%以上であり得る。
【0020】
一部の実施形態では、プログラミング命令は、第1の導体への電圧印加を停止した後に第1の導体を接地するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、プログラミング命令は、第1の導体への電圧印加を停止した後に第1の導体を接地するステップと、第2の導体への電圧印加を停止した後に第2の導体を接地するステップとをさらに含み得る。
【0021】
別の態様では、本発明は、吸収性物品におけるセンサの腐食低減方法を提供する。本方法は、吸収性物品に含まれる濡れセンサと電気的に接続するように適合されたモニタを提供するステップを含む。濡れセンサは、第1の導体及び第2の導体を有する。モニタは、吸収性物品に取り付けられかつ始動されたときに一連のステップを繰り返し実行するプログラミング命令を含む。一連のステップは、第1の導体に電圧を印加するステップと、両導体間の電位差を測定するステップと、第1の導体への電圧印加を停止するステップと、第1の導体を接地するステップと、第2の導体に電圧を印加するステップと、両導体間の電位差を測定するステップと、第2の導体への電圧印加を停止するステップと、第2の導体を接地するステップとを含む。
【0022】
種々の実施形態において、プログラミング命令は、一連のステップを少なくとも毎秒1回繰り返し実行するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、プログラミング命令は、一連のステップを少なくとも毎秒3回繰り返し実行するステップをさらに含み得る。
【0023】
一部の実施形態では、プログラミング命令は、第1の期間にわたって第1の周波数で一連のステップを繰り返し実行するステップと、第2の期間にわたって第2の周波数で一連のステップを繰り返し実行するステップとをさらに含み得、このとき第1の周波数と第2の周波数とは互いに異なる。
【0024】
一部の実施形態では、第1の導体に電圧が印加される時間割合が10%以下であり得、第1の導体への電圧印加が停止される時間割合が90%以上であり得、第2の導体に電圧が印加される時間割合が10%以下であり得、かつ第2の導体への電圧印加が停止される時間割合が90%以上であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】濡れモニタリングシステムの一部として機能するように適合された例示的な物品の側面斜視図。
【図2】濡れモニタリングシステムの一部として機能するように適合された別の例示的な物品の斜視図。
【図3】図2のパンツの斜視図であり、物品から取り外されたモニタリングシステムのハウジングを示している。
【図4】図1のトレーニングパンツの平面図であって、パンツは、締結されておらず、折り畳まれておらず、かつ平らに広げられた状態にあり、下にある特徴部分を示すために一部を切り取った図。
【図5】図4のパンツの5−5断面図。
【図6】本発明の濡れモニタリングシステムの一実施形態の概略図。
【図7】例示的な検出回路の概略図。
【図8】一実施形態の一連のプログラミングステップを示す流れ図。
【図9】一実施形態の一連のプログラミングステップを示す流れ図。
【図10】一実施形態の一連のプログラミングステップを示す流れ図。
【図11】一実施形態の一連のプログラミングステップを示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のモニタ及び吸収性物品は、汚物(例えば、尿、糞便、月経液、血液など)の有無を検出するためのモニタリングシステムの全部または一部を形成するように適合されている。一般的に、汚物を検出するために1若しくは複数のセンサが用いられる。システムは、センサの電気的特性(例えば、抵抗、導電率など)をモニタリングし、電気的特性の変化に基づいて、吸収性物品に汚物が付着したか否かを判定する。汚物の存在を検出した後、保育者(介護者)及び/または吸収性物品の着用者は、汚物の有無に関して信号で伝えられる。信号は、例えば、聴覚信号(歌など)及び/または触覚信号(温度変化、圧力及び/または振動など)及び/または視覚信号(点滅光、視覚的なメッセージなど)であり得る。当然のことながら、他の信号も本発明の範囲内にある。モニタリングシステムは、遠隔位置にある聴覚的、視覚的、触覚的または他の感覚的アラームに無線信号を送信するための装置を含み得ることも理解されたい。
【0027】
吸収性物品
【0028】
ここで、図面、特に図1を参照すると、そこには本発明の例示的な吸収性物品が子供のトイレトレーニングパンツの形態で代表的に示されており、全体として符号20によって示されている。吸収性物品20は、使い捨ての、すなわち、再使用のために洗濯または別な方法で状態調整されるのではなく所定期間使用された後に廃棄されることになっている物品であることもあり、そうでないこともある。本発明は、本発明の範囲から逸脱することなしに、個人が着用することを意図した様々な他の吸収性物品(例えば、おむつ、女性衛生製品、失禁製品、医療用衣服、外科用パッド及び包帯、他のパーソナルケアまたはヘルスケア用衣服、及び同様のものを含むがこれらに限定されるものではない)とともに用いるのに適していることを理解されたい。
【0029】
単なる説明のためでしかないが、トレーニングパンツを作製する様々な材料及び方法は、国際公開WO00/37009号公報(特許文献1)、米国特許第4,940,464号明細書(特許文献2)、米国特許第5,766,389号明細書(特許文献3)及び米国特許第6,645,190号明細書(特許文献4)に開示されており、これらの文献は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0030】
図1のトレーニングパンツ20は、部分的に締結された状態で示されている。パンツ20は、図4に示すように、その長手方向48及び長手方向に垂直な横方向(左右方向)49を画定する。図4は、図1のトレーニングパンツの平面図であり、パンツは、締結されておらず、折り畳まれておらず、かつ平らに広げられた状態にあり、下にある特徴部分見えるように一部が切り取られている。パンツ20は、1対の長手方向の端部領域(本明細書中において、前ウエスト領域(全体として符号22で示す)及び後ウエスト領域(全体として符号24で示す)とも呼ばれる)と、前後のウエスト領域22、24の間に長手方向に延在しかつ両領域を相互接続している中央領域(本明細書中において、股領域26とも呼ばれる)とをさらに画定する。前後のウエスト領域22、24は、パンツ20の一部分であって、着用時に着用者のウエストすなわち中胴・下胴部を全体的または部分的に覆うかまたは取り囲むような部分を含む。股領域(全体として符号26で示す)は、着用時に着用者の両脚の間に配置され、着用者の下胴及び股を覆うパンツ20の部分である。パンツ20はまた、パンツ着用時に着用者の方に面している内面28と、内面と反対側の外面30とを画定している。図4をさらに参照すると、1対のトレーニングパンツ20は、1対の左右両側縁部36と、1対の長手方向の対向するウエスト縁部(広範には、長手方向の両端部)とを有し、後者はそれぞれ前ウエスト縁部38及び後ウエスト縁部39と呼ばれる。
【0031】
図1〜図4に示す実施形態を含む種々の実施形態において、トレーニングパンツ20は、概ね矩形の中央吸収アセンブリ(全体として符号32で示す)と、中央吸収アセンブリとは別体をなして形成されかつ中央吸収アセンブリに固定されたサイドパネル34A、34Bとを含み得る。サイドパネル34A、34Bは、パンツ20の前後それぞれのウエスト領域22及び24において、中央吸収アセンブリ32までシームに沿って取り外し不能に接合され得る。より詳細には、前サイドパネル34Aは、前ウエスト領域22において吸収アセンブリ32の両側辺縁部47に取り外し不能に接合されかつ両側辺縁部47を横方向外向きに超えて延在し得、後サイドパネル34Bは、後ウエスト領域24において吸収アセンブリの両側辺縁部に取り外し不能に接合されかつ両側辺縁部を横方向外向きに超えて延在し得る。サイドパネル34A及び34Bは、当業者に既知の取付け手段、例えば、接着剤、熱接合または超音波接合、または同様のもの、あるいはこれらの組合せを用いて、吸収アセンブリ32に接合され得る。
【0032】
このようにして、前後のサイドパネル34A及び34Bは、パンツ20着用時に、着用者の臀部に配置されるトレーニングパンツ20の部分を含む。前後のサイドパネル34A及び34Bは、3次元形状のパンツ20を形成するように互いに取り外し不能に接合され得る(例えば図2及び図3を参照)か、ファスニングシステム59などによって互いに取り外し可能に接続され得る(例えば図1及び図4を参照)。当分野で既に知られているように、サイドパネル34A及び34Bは、弾性材料、または伸縮性自在であるが非弾性の材料を含み得る。
【0033】
吸収アセンブリ32は、矩形形状を有するものとして図4に示されている。しかし、吸収アセンブリ32は、本発明の範囲から逸脱することなしに、他の形状(例えば、砂時計形、T字形、I字形など)を有し得ると考えられる。そうする代わりに、サイドパネル34A、34Bは、本発明の範囲から逸脱することなしに、吸収アセンブリ32と一体となって形成されてもよいことも理解されたい。
【0034】
図4及び図5に示すように、吸収アセンブリ32は、外カバー40及び身体側ライナー42を含み得、身体側ライナー42は、接着剤、超音波接合、熱接合、加圧接合、または他の従来技術、またはこれらの組合せによって、重ね合わせられる(対向する)ようにして外カバー40に取り付けられている。ライナー42は、パンツ20の長手方向端部の少なくとも一部に沿って外カバー40に適切に結合され得る。さらに、ライナー42は、外カバー40に適切に結合され得る。ライナー42は、パンツ着用中に着用者の皮膚と接触しているように、適切に適合され得、すなわち、パンツ20の他の構成材に対して相対的に配置される得る。吸収アセンブリ32はまた、着用者が出す身体からの滲出液を吸収するための、外カバー40と身体側ライナー42の間に配置された吸収性構造体44を含むことができ、吸収性構造体と身体側ライナーの間に配置されたサージ管理層45を含むことができる。身体からの滲出液を横方向に流れさせないようにするための1対の閉じ込めフラップ46が、身体側ライナー42に固定され得る。
【0035】
トレーニングパンツ20が図1に部分的に示されているような締結された状態では、前後のウエスト領域は、ファスニングシステム59によって結合されて、ウエスト開口部50及び1対のレッグ開口部52を有する3次元のパンツ形状を画定する。トレーニングパンツ20の前後のウエスト縁部38及び39(例えば長手方向の端部)は、パンツのウエスト開口部50(図1)を画定するように着用者のウエストを取り囲むように構成されている。
【0036】
図4に示すように、フラップ弾性部材53は、当分野で公知であるような任意の適切な方法で、各閉じ込めフラップ46と機能的に結合され得る。閉じ込めフラップ46のための適切な構成及び配置は一般的に当業者に公知であり、米国特許第4,704,116号明細書(特許文献5)に記載されている。特許文献5は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0037】
身体からの滲出液の閉じ込め及び/または吸収をさらに強化するために、トレーニングパンツ20は、当業者に既知であるように、前ウエスト弾性部材54(図1)、後ウエスト弾性部材56及びレッグ弾性部材58(図2〜図4)を含み得る。フラップ弾性部材53、ウエスト弾性部材54及び56、並びにレッグ弾性部材58は、当業者に既知である任意の適切な弾性材料から形成されることができる。
【0038】
図の実施形態のファスニングシステム59は、左右両側の第1のファスニング部材60と、対応する左右両側の第2のファスニング部材62とを含み、第1のファスニング部材60は第2のファスニング部材62に再締結可能に係合するように適合されている。一実施形態では、ファスニング部材60、62のそれぞれの前面すなわち外面は、複数の係合要素を含む。第1のファスニング部材60の係合要素は、パンツ20を3次元形状に取り外し可能に固定するように、第2のファスニング部材62の対応する係合要素に繰り返し係合及び離脱するように適合されている。ファスニング部材60、62は、吸収性物品に適した任意の再締結可能なファスナ(係止具)、例えば、接着性ファスナ、粘着性ファスナ、メカニカルファスナ、または同様のものを含むことができる。適切なファスニングシステムは、既に引用した特許文献1及び既に引用した特許文献4にも開示されている。
【0039】
外カバー40は、実質的に液体を透過させない材料を含むことが適切である。外カバー40は、1層の液体非透過性材料を含み得るか、あるいは、より適切には、少なくとも1層が液体非透過性である多層の積層構造体を含み得る。外層は、液体透過性である必要はないが、比較的布のような質感を着用者に与えることが適切である。あるいは、外カバー40は、吸収性構造体に隣接または近接する選択された領域に所望のレベルの液体非透過性を与えるように全体的または部分的に構成または処理された織繊維または不織繊維ウェブ層を含み得る。外カバー40は、伸縮性があり得、一部の実施形態ではエラストマー製であり得る。米国特許第5,883,028号明細書(特許文献6)、米国特許第5,116,662号明細書(特許文献7)及び米国特許第5,114,781号明細書(特許文献8)を参照されたい。適切な外カバー材料に関する追加情報に関して、これらの文献は全て、引用を以て本明細書の一部となす。
【0040】
身体側ライナー42は、柔軟で、風合いが柔らかで、かつ着用者の皮膚を刺激しないものであることが適切である。身体側ライナー42はまた、身体からの滲出液が容易に身体側ライナー42の厚さを貫通して吸収性構造体44に達することができるように十分に液体を透過させる。身体側ライナー42は、伸縮性があり得、一部の実施形態ではエラストマー製であり得る。身体側ライナー材料に関する追加情報については、米国特許出願第09/563,417号明細書(特許文献9)、米国特許出願第09/698,512号明細書(特許文献10)を参照されたい。両文献は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0041】
吸収性構造体44は、外カバー40と身体側ライナー42の間に配置され、これらは、任意の適切な手段、例えば、接着剤、超音波接合、熱接合、または同様のものによって結合されることができる。図の吸収性構造体44は、本明細書中では股領域26から前後の両ウエスト領域22及び24内へ延在するものとして図示及び説明がなされているが、吸収性構造体は、本発明の範囲から逸脱することなく、股領域から前ウエスト領域内へのみ、または後ウエスト領域内へのみ延在し得ると考えられる。
【0042】
吸収性構造体44は、圧縮性があり、柔軟で、着用者の皮膚を刺激しないものであり、かつ液体及び特定の体内老廃物を吸収しかつ保持することができることが適切である。例えば、吸収性構造体44は、セルロース系繊維(例えば木材パルプ繊維)、他の天然繊維、合成繊維、織シートまたは不織シート、スクリムネットまたは他の安定化構造、高吸収性材料、バインダ材料、界面活性剤、選択された疎水性材料、顔料、ローション、悪臭防止剤、または同様のもの、並びにそれらの組合せを含み得る。
【0043】
上記材料は、当分野で既知の様々な従来の方法及び技術を用いることによって、吸収性ウェブ構造体に形成され得る。例えば、吸収性構造体44は、乾式法、空気法、湿式法、発泡法、または同様の形成法、並びにそれらの組合せによって形成され得る。そのような技術を実行するための方法及び装置は、当分野で公知である。吸収性構造体44は、代わりに、コフォーム材料、例えば、米国特許第4,100,324号明細書(特許文献11)、米国特許第5,284,703号明細書(特許文献12)、米国特許第5,350,624号明細書(特許文献13)に開示されている材料などを含み得る。これらの文献は、引用を以て本明細書の一部となす。任意選択で、吸収性構造体44の完全性を維持するのに役立つように、吸収性構造体44を実質的に液体を透過しないラップシート(図示せず)で囲繞してもよい。
【0044】
高吸収性材料は、吸収性構造体44中に、吸収性構造体の総重量に基づき約0ないし約90重量パーセントの量存在することが適切である。吸収性構造体44は、約0.10ないし約0.35g/cmの範囲内の密度を有し得ることが適切である。高吸収性材料は、当分野で公知であり、天然、合成、及び変性させた天然重合体並びに材料から選択されることができる。
【0045】
一実施形態では、吸収性構造体が接着され得る他の構成材、例えば外カバー40及び身体側ライナー42などの伸縮性を阻害しないように、吸収性構造体44は伸縮自在であり得る。例えば、吸収性構造体は、米国特許第5,964,743号明細書(特許文献14)、米国特許第5,645,542号明細書(特許文献15)、米国特許第6,231,557号明細書(特許文献16)、米国特許第6,362,389号明細書(特許文献17)、国際公開WO03/051254号公報(特許文献18)に開示されている材料を含み得る。これらの文献に開示されている内容は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0046】
サージ管理層45は、物品20の様々な構成材、例えば吸収性構造体44及び/または身体側ライナー42などに、当分野で既知の方法、例えば接着剤、超音波接合または熱接合によって取り付けられ得る。サージ管理層45は、物品20の吸収性構造体44内に急速に導入され得る液体の急増(サージ)や噴出を減速しかつ拡散させるのに役立つ。サージ管理層45は、液体を迅速に受容し、液体を吸収性構造体44の貯蔵部または保持部に放出する前に一時的に保持することができることが望ましい。適切なサージ管理層45の例は、米国特許第5,486,166号明細書(特許文献19)及び米国特許第5,490,846号明細書(特許文献20)に記載されている。他の適切なサージ管理材料については、米国特許第5,820,973号明細書(特許文献21)に記載されている。これらの特許の全開示は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0047】
モニタリングシステム
【0048】
一般的に、本発明のモニタリングシステムには、濡れ回路が含まれる。濡れ回路は、通常、1若しくは複数の導体、電源及び測定装置を含む。測定装置は、濡れ回路の電気的特性、例えば、抵抗、コンダクタンス、電圧などを測定し、電気的特性に関する情報を含む信号をマイクロプロセッサに送信する。マイクロプロセッサは、信号を解析し、汚物が発生したか否かを判定する。汚物が付着したら、保育者(介護者)及び/または吸収性物品の着用者に汚物の存在を知らしめるためにインジケータが始動される。
【0049】
図の実施形態では、本発明のトレーニングパンツ20は、パンツ20内の尿(広範には、汚物)の有無を検出するための濡れモニタリングシステムの一部を形成する。図2〜図4に示すように、例示的な濡れモニタリングシステムが、全体として符号70によって示されている。モニタリングシステム70は、物品の電気的特性(例えば抵抗R)を検出するためのセンサ72を含む。センサ72は、相隔たる互いに概ね平行な1対の第1の導体88及び第2の導体90を含み得る。導体88及び90は、パンツ20内の任意の適切な位置に配置され得る。導体88及び90は、両導体間に配置され得るモニタリング領域74を画定し得る。
【0050】
導体88、90は、全体として導電性である任意の材料で構成され得る。例えば、導体は、金属ストリップ(例えばアルミニウムストリップ)、金属膜、塗膜、導電性ポリマー、導電性インク、導電糸、または同様のもの、あるいはそれらの組合せで構成され得る。他の導体も、本発明の範囲内にある。図のように、導体88、90は、パンツ20の前ウエスト領域22から股領域26を通って後ウエスト領域24まで長手方向に延在し得る。図5に最もよく示されているように、導体88、90は、吸収性構造体44とサージ管理層45の間で吸収アセンブリ32内に配置され得るが、本発明の範囲から逸脱することなく他の位置に配置されることもある。
【0051】
始動されると、電源100からの電圧(図6に概略的に示されている)がセンサ72の第1の導体88または第2の導体90に印加される。電源100は、電池(図示)などの直流電源または交流電源であり得る。導体88及び90は、任意の適切な接点(コンタクト)によって電源に電気的に接続され得る。例えば、電源の接点は、吸収性物品の1若しくは複数の材料内にある1若しくは複数の開口部を介して、導体88、90と電気的に接続され得る。代替的に、または追加的に、電源の接点は、吸収性物品の1若しくは複数の材料を貫通して導体88、90と電気的に接続することもある。
【0052】
図2及び図3に示す実施形態では、導体88、90は、導電性スナップファスナ79によって電源に電気的に接続されている。しかし、導体を電源に電気的に接続するいかなる適切な手段も本発明の範囲内にある。導体を電気的に接続する適切な手段には、例えば、クランプコネクタ、導電性フックアンドループファスナ、導電接着剤(例えば導電テープ)、導電性接点、導電性ピン、及び同様のもの、並びにそれらの組合せが含まれる。導体を電源に電気的に接続する適切な手段は、同一出願人による米国特許出願第11/303283号明細書(特許文献22)及び米国特許出願第11/303222号明細書(特許文献23)に開示されており、各文献は、本明細書と矛盾しない限りにおいて全体を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0053】
本明細書では、「電気的に接続(される)」または「電気的接続」なる語またはそれらの派生語は、2つ以上の物体が、物体間に電流が流れ得るように配置されかつ/または構成されていることを述べている。換言すれば、これらの語は、第1の接点、導体、電気回路、または同様のものが、第2の接点、導体、電気回路、または同様のものへ電流が流入または流出し得るように配置されかつ/または構成されていることを指す。一部の実施形態では、電気的接続は、例えばスナップ、フック、または同様のものを介しての物理的接続であることもある。一部の実施形態では、電気的接続は、互いに接触しているので電流を流すことができるが物理的には接続されていない2つ以上の接点、導体、電気回路を含み得る。
【0054】
本明細書の説明から明らかであるように、モニタリングシステムの構成部品(例えば、測定装置、電源、マイクロプロセッサ、アナログ・デジタル変換器、インジケータ、送信機及び/または受信機など)は、一緒にまたは別々に収容され得、かつ吸収性物品に取り付けられ得るか、または遠隔位置にあり得る。例えば、一実施形態では、測定装置、マイクロプロセッサ、電源、アナログ・デジタル変換器及び/または送信機が一緒に収容されかつ吸収性物品に取り付けられるが、送信機及び/またはインジケータは遠隔位置において一緒に収容される。本明細書では、「遠隔位置」は、構成部品が吸収性物品に取り付けられていないことを意味する。例えば、一実施形態では、保育者(介護者)が保持し得る可搬ユニット内に送信機及び/またはインジケータが収容され得る。そのようなユニットの例には、ベッドサイドアラーム、目覚まし時計、ベルが鳴る装置またはポケベルなどのアラームや、ランプ、掛け時計、及び同様のものが含まれ得る。
【0055】
図2及び図3に示すように、センサ72の各導体88、90の各対応端部は、パンツ20の前ウエスト領域22に位置する第1のスナップファスナ部材79Aに電気的かつ物理的に接続されている。一部の実施形態では、第1のスナップファスナ部材は、後ウエスト領域24、またはパンツ20上の他の位置に配置され得る。電源100を収容するハウジング82は、第1のスナップファスナ79Aに係合しかつハウジング82をパンツ20に固定するための対応する第2のスナップファスナ要素79Bを有する。ハウジング82は、濡れモニタリングシステム70の残りの構成部品(後述)を一部のみ含むかあるいは全く含まないこともあると考えられるが、本実施形態のハウジング82は、電源100に加えて、残りの構成部品も収容し得る。図の実施形態では、ハウジング82は、スナップファスナ79によってパンツ20に取り外し可能に固定されるが、当然のことながら、ハウジング82は、他の締結手段、例えば、レセプタクル、ソケット、接着剤、粘着剤、磁石、フックアンドループ、クリップ、クランプ、スナップ、ポケット、ひも、及び同様のもの、並びにそれらの組合せなどによって、パンツ20に取り外し可能に固定され得る。あるいは、ハウジング82は、本発明の範囲から逸脱することなしに任意の適切な手段によってパンツに取り外し不能に固定され得る。
【0056】
測定装置85(図6)は、センサ72と電気的に接続しており、パンツ20のモニタリング領域74の電気的特性を測定する。一実施形態では、パンツ20のモニタリング領域74の抵抗Rが測定される。導体88、90は互いから離間しているので、回路を閉じるために電源100からの電流はモニタリング領域74を通過しなければならない。図6に概略的に示すように、モニタリング領域74は、本質的に、参照文字Rによって代表的に示されるような抵抗器として働く。モニタリング領域74が乾いているときには(例えば、汚物が存在するよりも前)、モニタリング領域の抵抗は比較的大きく、例えば、抵抗が200kΩ(キロオーム)超であることがある。モニタリング領域74が(例えば汚物によって)濡れているときには、尿の導電的性質により、モニタリング領域の抵抗は例えば200kΩ未満にまで降下することがある。
【0057】
種々の実施形態において、回路を閉じるために導体88及び90はモニタリング領域74内に位置する任意の適切な抵抗器、例えば化学抵抗器(chemiresistor)などによって接続され得る。適切な化学抵抗器は、米国特許出願第11/314438号明細書(特許文献24)に教示されており、特許文献24は、本明細書と矛盾しない限りにおいて引用を以て本明細書の一部となす。
【0058】
別の実施形態では、パンツ20のモニタリング領域74のコンダクタンスが測定され得る。上記したように、尿は導電性であり、物品20は全体として導電性ではない。従って、パンツ20のモニタリング領域74が濡れているときには、そのコンダクタンスは乾燥時よりも大きい。例えば、本発明の範囲から逸脱することなしに、インピーダンス及び電圧降下を含むパンツ20の他の電気的特性が測定され得る。
【0059】
測定装置85は、パンツ20のモニタリング領域74の電気的特性を示すアナログ出力信号(図6)を生成する。例えば、測定装置85は、モニタリング領域74の両端間の電圧降下を測定し、電圧降下に対応するアナログ出力信号を生成することができる。出力電圧信号は、当分野で既知の適切な計算を行うことによって、または参照表を用いることによって、抵抗や電流などの他の電気的特性を決定するために用いられることができる。例えば、当分野で公知であるように、電圧降下は電流が一定であるときにパンツの抵抗を示す。それゆえ、パンツ20の抵抗は、測定装置85のアナログ出力信号を用いて決定され得る。種々の実施形態において、測定装置は、マイクロプロセッサに組み込まれ得るか、またはマイクロプロセッサに出力信号を供給し得る。
【0060】
種々の実施形態において、吸収性物品における汚物の存在(または汚物がないこと)を判定するために、任意の適切な方法が用いられ得る。例えば、適切な方法は、米国特許出願第11/215937号明細書(特許文献25)、米国特許出願第11/216977号明細書(特許文献26)、米国特許出願第11/215968号明細書(特許文献27)に開示されており、各文献は、本明細書と矛盾しない限りにおいて全体を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0061】
種々の実施形態において、マイクロプロセッサは、1若しくは複数のインジケータを、様々な時間に、様々な期間にわたり、当業者に明らかであるであろう様々な手段によって、始動させるようにプログラミングされ得る。例えば、任意の適切な実施形態において、マイクロプロセッサは、濡れモニタリングシステムが最初に作動状態になったときに着用者及び/または保育者(介護者)に知らせるようにプログラミングされ得る。一部の実施形態では、マイクロプロセッサは、1若しくは複数のインジケータを始動させることによって、濡れモニタリングシステムが任意の適切な間隔で作動状態にあることを着用者及び/または保育者に知らせるように適合され得る。一部の実施形態では、マイクロプロセッサは、1若しくは複数のインジケータを始動させることによって、濡れモニタリングシステムが非作動状態になったときに着用者及び/または保育者に知らせるようにプログラミングされ得る。例えば、モニタは、連続性が検出されるとビープ音を鳴らし、連続性が検出されている間に周期的にビープ音を鳴らし、連続性が途切れたときにビープ音を鳴らすことができる。例えば、適切な作動状態通知システムが米国特許出願公開第20070252710号公報(特許文献28)に開示されており、特許文献28は、本明細書と矛盾しない限りにおいて全体を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0062】
種々の実施形態において、電源は電力管理システムの一部であり得る。電力管理システムは、様々な形態をとり得、一般的には1若しくは複数の電力回路を含む。例えば、適切な電力管理システムが米国特許出願公開第20070252711号公報(特許文献29)に開示されており、特許文献29は、本明細書と矛盾しない限りにおいて全体を引用することを以て本明細書の一部となす。
【0063】
本発明はさらに、センサの腐食低減方法に向けられている。尿または他の身体からの滲出液が吸収性物品に付着すると、金属イオン(例えばアルミニウムイオン)が導体から分離して、モニタリング領域74の両端間に(すなわち開回路の両端間に)移動相を形成することが分かっている。短時間の内に、箔は腐食し、不連続になり、モニタリングされる電気的特性(例えば、電位、抵抗など)の測定がもはやできなくなることがある。それゆえ、吸収性物品の濡れまたは相対水分含量の変化を判定する能力が低下することがある。
【0064】
プログラミング・シーケンス
【0065】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、様々な切り替え方式を用いることによって、導体粒子のイオン化が低減され得ると考えられている。例えば、一実施形態では、吸収性物品におけるセンサの腐食低減方法は、吸収性物品に組み込まれた濡れセンサと電気的に接続するように適合されたモニタを提供するステップを含み、濡れセンサは、上記したような第1の導体及び第2の導体を有する。モニタは、始動されたときに一連のステップを繰り返し実行するプログラミング命令を含む。種々の実施形態において、任意の適切な始動方法が考えられる。例えば、始動は、モニタが吸収性物品に取り付けられているときに生じ得る。他の例では、始動は、モニタが導体と電気的に接続されたときに生じ得る。一部の実施形態では、始動は、スイッチが閉じているときに生じ得る。
【0066】
種々の実施形態において、一連のステップは、任意の適切なマイクロコントローラを含む任意の適切な回路によって実行され得る。例えば、図7に全体として符号102で示されているような「Hブリッジ」回路が、任意の適切なマイクロコントローラ104とともに用いられ得る。適切なマイクロコントローラ104には、例えば、米国アリゾナ州チャンドラーのマイクロチップ・テクノロジー社(Microchip Technology Inc.)製のPIC16F876Aが含まれる。
【0067】
図7を参照すると、回路102は、電源ノード(VCC)114または回路基準点(グランド点(GND)116とも呼ばれる)のいずれかを第1の導体88及び/または第2の導体90に容易かつ迅速に接続するように設計され得る。具体的には、マイクロコントローラ104の別々の出力は、トランジスタQ1、Q2、Q3及び/またはQ4を接続または非接続状態にするために用いられ得る。本明細書では、トランジスタに関して、「接続」なる語は、トランジスタが電流を伝導していることを意味する。本明細書では、トランジスタに関して、「非接続」なる語は、トランジスタが電流を伝導していないことを意味する。トランジスタは、トランジスタを強制的に導電状態にさせることによって「接続」され得、トランジスタを強制的に非導電状態にさせることによって「非接続」にされ得る。
【0068】
例として、第1の導体88または第2の導体90は、PNP型トランジスタQ3またはQ4への入力を、それぞれ47kΩの抵抗器R3またはR6を介して強制的にローにすることによって、電源114に接続され得る。同様に、第1の導体88または第2の導体90を電源114と非接続にするために、PNP型トランジスタQ3またはQ4への入力は、ハイにされ得る。一部の実施形態では、PNP型トランジスタQ3及びQ4上のベースからエミッタへの途上にある47kΩの抵抗器R1またはR2は、ベースへの入力が「高インピーダンス」(グランド116への信号はないが、インピーダンスはまだ残っている)に移行する場合にトランジスタが非接続のままであるようにする。
【0069】
さらに、例として、第1の導体88または第2の導体90は、それぞれR4及びR5抵抗器を介してNPN型トランジスタQ1またはQ2のベースをハイにすることによって、グランド(GND)116に接続され得る。同様に、NPN型トランジスタQ1またはQ2のベースは、それぞれR4及びR5抵抗器を介してローにされて、NPNトランジスタQ1またはQ2をグランド116と非接続にし得る。
【0070】
一実施形態では、マイクロプロセッサは、電流フローを選択的にパルス状にするように一連のステップを繰り返し実行することができる。例えば、マイクロプロセッサによって命令される1つの一連のステップ(すなわちプログラミング命令)が、図8に全体として符号106で示されており、濡れセンサ72の第1の導体88に電圧を印加するステップ108を含む。本明細書では、「電圧を印加する」なる語は、電源からの電流が導体などの目的地まで流れるようにする電気路を形成することを意味する。トランジスタQ1及びQ4を非接続にする一方でトランジスタQ3及びQ2を接続し、それによって、電流が、電源114からQ3を通って導体88へ流れ、第1の方向92にセンサ72(すなわち導体間の空間)を通って導体90へ流れ、それからQ2を通ってグランド116へ流れるようにすることによって、ステップ108が達成され得る。
【0071】
一連のステップ106の次のステップ110は、導体88及び90間の電位差を測定するステップを含む。両導体間の電位差を測定することは、両導体間にあるモニタリング領域の両端間の電圧降下を測定することと同じである。電圧は、2点間の電位の差であることに留意されたい。それゆえ、導体間の電位差を測定するとき、相手側の導体(すなわち、電圧が印加されていない導体)は接地される。一点の電圧を測定するために、比較対象となる基準点が選択されなければならない。この共通基準点はグランド116と呼ばれ、電圧0を有すると考えられる。本発明では、この信号グランド116は必ずしもアースに接続されている訳ではなく、フローティンググランドと考えることもできる。それゆえ、本明細書では、「グランド」、「接地される」及び「接地(する)」なる語は、電気回路において他の電圧を測定する基準となる点を指す。グランド116は、電流のための共通帰還路を提供する。
【0072】
導体間の電位差を測定するステップ110の間、回路102は、ステップ108と同じ状態のままである。すなわち、図7に示すように、トランジスタQ3及びQ2は接続されており、トランジスタQ1及びQ4は非接続である。
【0073】
導体間の電位差を測定するステップ110の後、一連のステップ106は、第1の導体88への電圧印加を停止するステップ112を含む。例えば、図7を参照すると、トランジスタQ3は非接続である。同様に、トランジスタQ1、Q2及びQ4も非接続である。
【0074】
本明細書では、「電圧印加を停止する」なる語は、電源からの電流が導体などの目的地まで流れることを止めることを意味する。マイクロコントローラは、導体のサンプリングを連続的に命令しているわけではないので、導体の励起電圧はサンプリングステップの少し前に印加されれば十分である。同様に、サンプルが必要なだけ揃った時点ですぐに励起電圧は除去され得るので、励起電圧のデューティサイクルは、連続的に励起される場合より低くなる。従って、導体の寿命が延びることが期待される。換言すれば、電流フローは、流れている状態と停止状態とを繰り返している(すなわちパルス状に変化している)。
【0075】
第1の導体88には、任意の適切な時間割合で電圧が印加され得る。例えば、種々の実施形態において、第1の導体88に電圧が印加される時間割合は、10%以下、5%以下、または1%以下であり得る。換言すれば、第1の導体88に電圧が印加される時間割合は10%以下であり得、電圧が印加されない時間割合は90%以上であり得る。
【0076】
一部の実施形態では、一連のステップは、導体への電圧印加を停止した後に導体を接地するステップを含み得る。例えば、ここで図9を参照すると、第2の一連のステップが全体として符号118で示されている。第2の一連のステップ118は、第1の導体88に電圧を印加する第1のステップ120を含む。第2のステップ122は、導体88及び90間の電位差を測定するステップを含む。第3のステップ124は、第1の導体88への電圧印加を停止するステップを含む。第1のステップ120、第2のステップ122及び第3のステップ124は、第1の一連のステップ106のステップ108、110及び112と類似している。具体的には、種々の実施形態において、ステップ120及び122は、図7の例示的な回路102に示されているように、トランジスタQ2及びQ3を接続し、トランジスタQ1及びQ4を非接続にすることによって達成され得る。種々の実施形態において、ステップ124は、トランジスタQ3を非接続にすることによって達成され得る。
【0077】
第2の一連のステップ118は、第1の導体88への電圧印加を停止した後に第1の導体88を接地する追加的ステップ126を含む。接地する追加的ステップは、図7に示すような回路102を制御することによって達成され得る。具体的には、第2の一連のステップ118のステップ126は、トランジスタQ2、Q3及びQ4が非接続状態のままトランジスタQ1を接続することによって達成され得る。それゆえに、導体88は、電源114と非接続にされ、グランド116に接続される。電圧印加を停止した後に第1の導体88を接地することによって、導体88及び90間の電位差が排除されると考えられている。それゆえ、導体間の電位差は減少または解消されており、電気化学反応がほとんどまたは全く起こらないので、イオン損失(すなわち腐食)の量は最小限に抑えられる。
【0078】
上記したように、電気化学反応は一般に、第1の導体に電流を流し、第2の導体をドレインまたはグランドとし、それにより2つの導体間に電位差を生じさせることによって、促進される。第1の導体は、第2の導体よりも高い電圧に保たれるので、金属イオンを第1の導体から第2の導体へと向かわせ、第1の導体の腐食を増加させる。一部の実施形態では、プロセッサ及び回路を用いて導体の極性を周期的に逆にし、1つの導体上の破損点に至る腐食の程度を最小限に抑えるようにすることができる。
【0079】
例えば、ここで図10を参照すると、第3の一連のステップが全体として符号130で示されている。第3の一連のステップ130は、第1の導体88に電圧を印加する第1のステップ132と、導体88及び90間の電位差を測定する第2のステップ134と、第1の導体88への電圧印加を停止する第3のステップ136とを含む。第1のステップ132、第2のステップ134及び第3のステップ136は、第1の一連のステップ106のステップ108、110及び112と類似している。具体的には、種々の実施形態において、ステップ132及び134は、トランジスタQ2及びQ3を接続し、トランジスタQ1及びQ4を非接続にすることによって達成され得る。種々の実施形態において、ステップ136は、トランジスタQ1、Q2、Q3及びQ4を非接続にすることによって達成され得る。
【0080】
第3の一連のステップ130は、追加的ステップ138、140及び142を含む。ステップ138は、第1の導体88への電圧印加を停止した後に第2の導体90に電圧を印加するステップを含む。第2の導体90に電圧を印加する追加的ステップは、図7に示すような回路102を制御することによって達成され得る。具体的には、第3の一連のステップのステップ138は、トランジスタQ1及びQ4を接続し、トランジスタQ2及びQ3を非接続にすることによって達成され得る。それゆえに、第1の導体88は電源114と非接続にされ、第2の導体90は電源114に接続される。この構成では、電流は、第2の方向94に、電源114から第2の導体90へ、センサ72(すなわち導体間の空間)を通って第1の導体88へ、そしてその後グランド116へ流れる。流れの方向を逆にすることによって、第1のセンサ88から離れて第2のセンサ90に向かっているイオンのうちの少なくとも一部が逆方向に向けられ得、イオン損失(すなわち腐食)の量が最小限に抑えられ得ると考えられている。
【0081】
ステップ140は、引き続き第2の導体90に電圧を印加している間に、導体88及び90間の電位差を測定するステップを含む。このステップは、図7に示すような回路102を制御することによって達成され得る。具体的には、第3の一連のステップ130のステップ140は、トランジスタQ1及びQ4を接続し、トランジスタQ2及びQ3を非接続にすることによって達成され得る。それゆえに、第1の導体88は電源114と非接続にされ、第2の導体90は電源114に接続される。同様に、第1の導体88はグランド116に接続されるが、第2の導体90はグランド116と非接続にされる。
【0082】
最後に、第3の一連のステップ130は、第2の導体90への電圧印加を停止するステップ142を含む。第2の導体90への電圧印加を停止するステップ142は、図7に示すような回路102を制御することによって達成され得る。具体的には、第3の一連のステップ130のステップ142は、トランジスタQ1、Q2、Q3及びQ4を非接続にすることによって達成され得る。それゆえに、第2の導体90は電源114と非接続にされる。
【0083】
種々の実施形態において、第1または第2の導体には、任意の適切な時間割合で電圧が印加され得る。例えば、種々の実施形態において、第1の導体88及び/または第2の導体90に電圧が印加される時間割合は、10%以下、5%以下、または1%以下であり得る。換言すれば、第1の導体88及び/または第2の導体90に電圧が印加される時間割合は10%以下であり得、電圧が印加されない時間割合は90%以上であり得る。同様に、第1の導体88及び/または第2の導体90に電圧が印加される時間割合は5%以下であり得、電圧が印加されない時間割合は95%以上であり得る。一部の実施形態では、第1の導体88及び/または第2の導体90に電圧が印加される時間割合は2%以下であり得、電圧が印加されない時間割合は98%以上であり得る。
【0084】
一部の実施形態では、一連のステップは、電流フローの方向を交互に入れ替えるステップと、電流を止めた後に導体を接地するステップとを含み得る。例えば、ここで図11を参照すると、第4の一連のステップは全体として符号146で示されている。第4の一連のステップ146は、第1の導体88に電圧を印加する第1のステップ148と、導体88及び90間の電位差を測定する第2のステップ150と、第1の導体88への電圧印加を停止する第3のステップ152と、第1の導体88を接地する第4のステップ154とを含む。第1のステップ148、第2のステップ150、第3のステップ152及び第4のステップ154は、第2の一連のステップ118のぞれぞれステップ120、122、124、126に関して説明したのと同様な方法で達成され得る。具体的には、ステップ148及び150は、トランジスタQ2及びQ3を接続し、トランジスタQ1及びQ4を非接続にすることによって達成され得る。ステップ152は、トランジスタQ1、Q2、Q3及びQ4を非接続にすることによって達成され得る。ステップ154は、例えば、トランジスタQ1を接続し、トランジスタQ2、Q3及びQ4を非接続にすることによって達成され得る。
【0085】
第4の一連のステップ146は、第2の導体90に電圧を印加する第5のステップ156と、導体88及び90間の電位差を測定する第6のステップ158と、第2の導体90への電圧印加を停止する第7のステップ160とを含む。第5のステップ156、第6のステップ158及び第7のステップ160は、第3の一連のステップ130のぞれぞれステップ138、140及び142に関して説明したのと同様な方法で達成され得る。具体的には、ステップ156及び158は、トランジスタQ1及びQ4を接続し、トランジスタQ2及びQ3を非接続にすることによって達成され得る。ステップ160は、トランジスタQ1、Q2、Q3及びQ4を非接続にすることによって達成され得る。
【0086】
最後に、第4の一連のステップ146は、第7のステップ160で第2の導体90への電圧印加を停止した後に第2の導体90を接地するステップ162を含む。ステップ162は、トランジスタQ2を接続し、トランジスタQ1、Q3及びQ4を非接続にすることによって達成され得る。
【0087】
この実施形態は、電流のオン・オフ制御をパルスによって行う、電流のフローを逆にする、電流を遮断した後に導体を接地する、という3つの異なる方策を実行することによって、導体腐食を低減すると考えられている。マイクロコントローラは、導体のサンプリングを連続的に命令しているわけではないので、導体の励起電圧は、サンプリングステップの少し前に印加されれば十分である。同様に、サンプルが必要なだけ揃った時点ですぐに励起電圧は除去され得るので、励起電圧のデューティサイクルは、連続的に励起される場合より低くなる。従って、導体の寿命が延びることが期待される。換言すれば、電流フローは、流れている状態と停止状態とを繰り返している(すなわち電流はパルス状である)。
【0088】
さらに、この組合せはまた、電流の方向に関して第1の方向92と第2の方向94とを逆にする。流れの方向を逆にすることによって、第1のセンサ88から離れて第2のセンサ90に向かっているイオンのうちの少なくとも一部が逆方向に向けられ得、第2のセンサ90から離れて第1のセンサ88に向かっているイオンのうちの少なくとも一部が逆方向に向けられ得ると考えられている。それゆえ、溶液中のイオンの移動度を小さくすることによって、イオン損失(すなわち腐食)の総量は最小限に抑えられ得る。
【0089】
最後に、電圧印加を停止した後に第1の導体88及び/または第2の導体90を接地することによって、導体88及び90間の電位差が排除されると考えられている。それゆえ、導体間の電位差は減少または解消されており、電気化学反応がほとんどまたは全く起こらないので、イオン損失(すなわち腐食)の量は最小限に抑えられる。
【0090】
種々の実施形態において、腐食低減方法は、任意の適切なサイクル速度を有し得る。換言すれば、一連のステップは、任意の適切な時間枠において任意の適切な回数繰り返し実行され得る。例えば、一連のステップ106、118、130及び/または146は、少なくとも毎秒1回、少なくとも毎秒2回、少なくとも毎秒3回、または少なくとも毎秒4回繰り返し実行され得る。一部の実施形態では、プログラミング命令は、可変サイクル速度を含み得る。例えば、一連のステップ106、118、130及び/または146は、第1の期間にわたって第1の周波数で繰り返し実行され得、第2の期間にわたって第2の周波数で繰り返し実行され得る。このとき、第1の周波数と第2の周波数とは異なる。例えば、マイクロプロセッサは、汚物が検出されていない間は第1の周波数で一連のステップ106、118、130及び/または146を繰り返し実行し、汚物が検出されたときには第2の周波数で一連のステップを繰り返し実行し得るというプログラミング命令を含み得る。一部の実施形態では、第2の周波数を、より高いかまたはより低くすることができる。例えば、一実施形態では、一連のステップ106、118、130及び/または146は、吸収性物品が乾いているときには毎秒3回、吸収性物品に汚物が付着した後には毎秒100回実行される。
【0091】
種々の実施形態において、腐食低減方法は、任意の適切な時間割合で第1の導体88または第2の導体90に電圧を印加するステップを含み得る。例えば、種々の実施形態において、第1の導体88及び/または第2の導体90に電圧が印加される時間割合は、10%以下、5%以下、または1%以下であり得る。換言すれば、第1の導体88及び/または第2の導体90に電圧が印加される時間割合は10%以下であり得、電圧が印加されない時間割合は90%以上であり得る。同様に、第1の導体88及び/または第2の導体90に電圧が印加される時間割合は5%以下であり得、電圧が印加されない時間割合は95%以上であり得る。さらに別の実施形態では、第1の導体88及び/または第2の導体90に電圧が印加される時間割合は2%以下であり得、電圧が印加されない時間割合は98%以上であり得る。電圧を印加する時間割合が小さいので、励起電圧のデューティサイクルは低いと考えられている。導体は、電圧を印加されない時間よりも電圧を印加される時間の方が短いので、導体の寿命はかなり延びることが期待される。
【0092】
本発明についてその特定の実施形態に関連して詳細に説明してきたが、当然のことながら、当業者は、上述の説明を理解すれば、これらの実施形態の変更形態、変形形態及び等価形態をよく理解することは容易であろう。従って、本発明の範囲は、添付の請求項及びそれらと等価なものの範囲として評価されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品におけるセンサの腐食低減方法であって、
吸収性物品に組み込まれた濡れセンサと電気的に接続するように適合されたモニタを提供するステップを含み、前記濡れセンサが、第1の導体及び第2の導体を有し、前記モニタが、前記吸収性物品内の前記センサに取り付けられかつ始動されたときに一連のステップを実行するプログラミング命令を含み、前記一連のステップが、
前記濡れセンサの前記第1の導体に電圧を印加するステップと、
前記両導体間の電位差を測定するステップと、
前記第1の導体への電圧印加を停止するステップとを含み、
前記一連のステップが少なくとも毎秒1回繰り返し実行され、前記第1の導体に電圧が印加される時間割合が10%以下であり、かつ前記第1の導体への電圧印加が停止される時間割合が90%以上であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記プログラミング命令が、前記一連のステップを少なくとも毎秒3回繰り返し実行するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の導体に電圧が印加される時間割合が5%以下であり、かつ前記第1の導体への電圧印加が停止される時間割合が95%以上であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プログラミング命令が、第1の期間にわたって第1の周波数で前記一連のステップを繰り返し実行するステップと、第2の期間にわたって第2の周波数で前記一連のステップを繰り返し実行するステップとをさらに含み、前記第1の周波数と前記第2の周波数とが互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プログラミング命令が、前記第1の導体への電圧印加を停止した後に前記第1の導体を接地するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プログラミング命令が、
前記第1の導体への電圧印加を停止した後に前記第2の導体に電圧を印加するステップと、
前記両導体間の電位差を測定するステップと、
前記第2の導体への電圧印加を停止するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プログラミング命令が、
前記第1の導体への電圧印加を停止した後に前記第1の導体を接地するステップと、
前記第2の導体への電圧印加を停止した後に前記第2の導体を接地するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
吸収性物品におけるセンサの腐食低減方法であって、
吸収性物品に組み込まれた濡れセンサと電気的に接続するように適合されたモニタを提供するステップを含み、前記濡れセンサが、第1の導体及び第2の導体を有し、前記モニタが、前記吸収性物品内の前記センサに取り付けられかつ始動されたときに一連のステップを繰り返し実行するプログラミング命令を含み、前記一連のステップが、
前記第1の導体に電圧を印加するステップと、
前記両導体間の電位差を測定するステップと、
前記第1の導体への電圧印加を停止するステップと、
前記第2の導体に電圧を印加するステップと、
前記両導体間の電位差を測定するステップと、
前記第2の導体への電圧印加を停止するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記プログラミング命令が、前記一連のステップを少なくとも毎秒1回繰り返し実行するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プログラミング命令が、前記一連のステップを少なくとも毎秒3回繰り返し実行するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記プログラミング命令が、第1の期間にわたって第1の周波数で前記一連のステップを繰り返し実行するステップと、第2の期間にわたって第2の周波数で前記一連のステップを繰り返し実行するステップとをさらに含み、前記第1の周波数と前記第2の周波数とが互いに異なることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の導体に電圧が印加される時間割合が10%以下であり、かつ前記第1の導体への電圧印加が停止される時間割合が90%以上であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の導体に電圧が印加される時間割合が10%以下であり、かつ前記第2の導体への電圧印加が停止される時間割合が90%以上であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プログラミング命令が、前記第1の導体への電圧印加を停止した後に前記第1の導体を接地するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記プログラミング命令が、
前記第1の導体への電圧印加を停止した後に前記第1の導体を接地するステップと、
前記第2の導体への電圧印加を停止した後に前記第2の導体を接地するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項16】
吸収性物品におけるセンサの腐食低減方法であって、
吸収性物品に組み込まれた濡れセンサと電気的に接続するように適合されたモニタを提供するステップを含み、前記濡れセンサが、第1の導体及び第2の導体を有し、前記モニタが、前記吸収性物品に取り付けられかつ始動されたときに一連のステップを繰り返し実行するプログラミング命令を含み、前記一連のステップが、
前記第1の導体に電圧を印加するステップと、
前記両導体間の電位差を測定するステップと、
前記第1の導体への電圧印加を停止するステップと、
前記第1の導体を接地するステップと、
前記第2の導体に電圧を印加するステップと、
前記両導体間の電位差を測定するステップと、
前記第2の導体への電圧印加を停止するステップと、
前記第2の導体を接地するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記プログラミング命令が、前記一連のステップを少なくとも毎秒1回繰り返し実行するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プログラミング命令が、前記一連のステップを少なくとも毎秒3回繰り返し実行するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記プログラミング命令が、第1の期間にわたって第1の周波数で前記一連のステップを繰り返し実行するステップと、第2の期間にわたって第2の周波数で前記一連のステップを繰り返し実行するステップとをさらに含み、前記第1の周波数と前記第2の周波数とが互いに異なることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の導体に電圧が印加される時間割合が10%以下であり、前記第1の導体への電圧印加が停止される時間割合が90%以上であり、前記第2の導体に電圧が印加される時間割合が10%以下であり、かつ前記第2の導体への電圧印加が停止される時間割合が90%以上であることを特徴とする請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−524771(P2011−524771A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514156(P2011−514156)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052402
【国際公開番号】WO2009/153691
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(310007106)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】