説明

吸収性物品及び生理用ナプキン

【課題】ウィング部を折り返して下着のクロッチに巻き込む場合に、吸収体における中高部を平坦な状態に戻りやすくする。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品1において、防漏壁30は、固定部30Bと起立部30Aとを有しており、吸収体11における中高部11Aは、ウィング部40よりも長手方向Lの内側に配置されており、ウィング部40の根元部分41の近傍に、吸収性物品1の個包装時の折り位置X1、X2が設けられており、環状の圧搾溝14A、14Bの長手方向Lの端部はE1、起立部30Aの長手方向Lの端部E2よりも、長手方向Lの外側に配置されるように構成されており、起立部30Aの長手方向の端部E2及び圧搾溝14Aにおいて幅方向Wの寸法が最も広い箇所W1がウィング部の根元部分41の近傍に配置されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、特に、生理用ナプキンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収体において吸収性物品の長手方向に連なっており周辺部よりも厚みが厚い中高部が設けられており、吸収性物品の幅方向の両外側に延出しているウィング部が設けられている吸収性物品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-100846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、出願人は、上述の吸収体物品について、以下のような問題点を発見した。
【0005】
かかる吸収性物品では、ウィング部の長手方向の寸法が、中高部の長手方向の寸法よりも短くなっており、吸収性物品の個包装時の折り位置が、かかる中高部の長手方向の内側に設けされているため、かかる中高部は、個包装による折り癖の影響を受けやすく、ウィング部を折り返して下着のクロッチに巻き込む場合にも、平坦な状態に戻らないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ウィング部を折り返して下着のクロッチに巻き込む場合に、吸収体における中高部を平坦な状態に戻りやすくすることができる吸収性物品及び生理用ナプキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有有し、少なくとも幅方向に沿って折り畳まれて個包装される吸収性物品であって、前記吸収性物品の幅方向の両外側に延出するウィング部と、前記吸収性物品の長手方向に沿って配設された伸縮部材を有し、前記吸収性物品が着用される際に、前記吸収性物品の非肌当接面側から前記吸収性物品の肌当接面側に向かって起立するように構成されている防漏壁と、前記吸収性物品の肌当接面側に設けられている少なくとも1つの環状の圧搾溝とを有しており、前記吸収体は、周辺部よりも厚みが厚い中高部を有しており、前記防漏壁は、前記防漏壁の起立を抑えるために前記長手方向の端部において前記吸収性物品の肌当接面側に固定されている固定部と、前記固定部よりも前記長手方向の内側において前記防漏壁が起立することができるように構成されている起立部とを有しており、前記中高部は、前記ウィング部よりも前記長手方向の内側に配置されており、前記ウィング部の根元部分の近傍に、前記吸収性物品の個包装時の折り位置が設けられており、前記圧搾溝の前記長手方向の端部は、前記起立部の前記長手方向の端部よりも、前記長手方向の外側に配置されるように構成されており、前記起立部の前記長手方向の端部、及び、前記圧搾溝において前記幅方向の寸法が最も広い箇所が、前記ウィング部の根元部分の近傍に配置されるように構成されていることを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の特徴は、表面シートと、裏面シートと、該表面シートと該裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する本体部を有し、少なくとも幅方向に沿って折り畳まれて個包装される生理用ナプキンであって、前記吸収性物品の幅方向の両外側に延出するウィング部と、前記吸収性物品の長手方向に沿って配設された伸縮部材を有し、前記吸収性物品が着用される際に、前記吸収性物品の非肌当接面側から前記吸収性物品の肌当接面側に向かって起立するように構成されている防漏壁と、前記吸収性物品の肌当接面側に設けられている環状の第1圧搾溝と、前記吸収性物品の肌当接面側において前記第1圧搾溝の内部に配置されている環状の第2圧搾溝とを有しており、前記吸収体は、周辺部よりも厚みが厚い中高部を有しており、前記防漏壁は、前記防漏壁の起立を抑えるために前記長手方向の端部において前記吸収性物品の肌当接面側に固定されている固定部と、前記固定部よりも前記長手方向の内側において前記防漏壁が起立することができるように構成されている起立部とを有しており、前記中高部は、前記ウィング部よりも前記長手方向の内側に配置されており、前記ウィング部の根元部分の近傍に、前記吸収性物品の個包装時の折り位置が設けられており、前記圧搾溝の前記長手方向の端部は、前記ウィング部の付け根位置よりも、前記長手方向の外側に配置されるように構成されており、前記起立部の前記長手方向の端部、及び、前記圧搾溝において前記幅方向の寸法が最も広い箇所が、前記ウィング部の根元部分の近傍に配置されるように構成されており、前記ウィング部の付け根位置は、前記圧搾溝において前記幅方向の寸法が最も広い箇所の近傍に配置されるように構成されており、前記ウィング部には、補強部材が取り付けられており、前記長手方向において、前記補強部材の寸法は、前記ウィング部の寸法よりも長くなるように構成されており、前記防漏壁は、前記起立部において、ヒートシールによって前記表面シートに接合されており、前記ヒートシールは、前記長手方向の両端部において、前記吸収性物品の内側に向かって屈曲しており、前記第2圧搾溝の前記長手方向の端部は、前記第1圧搾溝において前記幅方向の寸法が最も広い箇所の近傍に配置されるように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、ウィング部を折り返して下着のクロッチに巻き込む場合に、吸収体における中高部を平坦な状態に戻りやすくすることができる吸収性物品及び生理用ナプキンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品が個包装されている状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品のA-A’断面図及びB-B’断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品における作用・効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。例えば、本実施形態に係る吸収性物品1は、紙おむつや失禁パッドや生理用ナプキン等である。以下、本実施形態に係る吸収性物品1として、生理用ナプキンを例に挙げて説明する。
【0012】
図1に示すように、かかる吸収性物品1は、幅方向Wに沿って3つ又は4つに折り畳まれて、不織布やプラスチック樹脂フィルム等からなる包装シート2によって個包装されるように構成されている。
【0013】
なお、かかる吸収性物品1が、個包装されている状態では、包装シート2は、係止部材3によって係止されている。
【0014】
ここで、本実施形態に係る吸収性物品1は、図1及び図2に示すように、幅方向Wの折り位置X1、X2によって、3つに折り畳まれるように構成されている。
【0015】
また、包装シート2のサイド部2Aは、熱エンボス等の加工が施されていてもよい。また、包装シート2の開孔部2Bは、粘着材等で接着されていてもよい。
【0016】
かかる不織布としては、レーヨン等のセルロース繊維や合成樹脂繊維から構成されるスパンレース不織布やエアスルー不織布やスパンボンド不織布やポイントボンド不織布等が用いられる。
【0017】
また、かかるプラスチック樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂であるポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)やポリエステル(PET)等を成膜・薄膜化したフィルム等が用いられる。かかるフィルムには、必要に応じて、酸化チタンや炭酸カルシウム等からなる無機フィラーを0.5〜10質量%の範囲で混合して白濁化させてもよい。
【0018】
以下、図2に、本実施形態に係る吸収性物品1の肌当接面側から見た平面図を示し、図3(a)に、本実施形態に係る吸収性物品1のA-A’断面図を示し、図3(b)に、本実施形態に係る吸収性物品1のB-B’断面図を示す。
【0019】
図2に示すように、吸収性物品1は、縦長に形成されている。例えば、吸収性物品1の長手方向の寸法は、100mm〜500mm、好ましくは、210mm〜290mmである。
【0020】
図3に示すように、吸収性物品1は、肌当接面側に設けられている液透過性の表面シート12と、肌非当接面側に設けられている液不透過性の裏面シート13と、表面シート12と裏面シート13との間に配置される吸収体11とを有する。
【0021】
ここで、表面シート12は、使用時に着用者の身体側に配置され、特に、着用者の排泄部に当接される。表面シート12の全面が、液透過性でもよいし、表面シート12の一部が、液透過性であってもよい。また、表面シート12は、1枚のシート部材によって構成されていてもよく、接合された複数のシート部材によって構成されていてもよい。
【0022】
本実施形態に係る吸収性物品1では、表面シート12の幅方向Wにおける中央部領域に、液透過領域が設けられており、表面シート12の幅方向Wにおける端部が、液不透過性の防漏シート(サイドシート)31で覆われている。
【0023】
表面シート12に使用する資材としては、全部又は一部が液透過性であり、且つ、着用者の肌に刺激を与えない資材を使用することができる。
【0024】
例えば、表面シート12に使用する資材としては、多数の液透過孔が形成されたプラスチック樹脂フィルムや液透過性の不織布又は布織物等が挙げられる。これらの資材は、単独で使用または組み合わせて使用される。
【0025】
樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂であるポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)やポリエステル(PET)当を成膜・薄膜化したフィルム等が用いられる。
【0026】
例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)をシート状に押し出し、高圧で薄膜化し、10〜30g/mに調整した有孔プラスチック樹脂フィルムを用いることができる。かかるフィルムには、必要に応じて、酸化チタンや炭酸カルシウム等からなる無機フィラーを0.5〜10質量%の範囲で混合して白濁化をさせてもよい。
【0027】
不織布としては、レーヨン等のセルロース繊維や合成樹脂繊維から構成されるスパンレース不織布やエアスルー不織布やスパンボンド不織布やポイントボンド不織布等が用いられる。
【0028】
例えば、太径疎水性繊維が30〜50質量%、細径疎水性繊維が50〜70質量%の比率で混合した繊維を解繊し、20g/m以下の範囲で調整した後、熱風により繊維同士を融着させ、厚みを0.2mm以上2mm以下の範囲で調整した繊維長が1〜50mmの範囲から構成されるスルーエア不織布を用いることができる。
【0029】
また、裏面シート13は、吸収体11に吸収された液体が吸収性物品1の外に漏れ出すのを防止できる材料を使うことができる。
【0030】
かかる材料としては、液不透過性のポリエチレンやポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートやポリビニルアルコールやポリ乳酸やポリブチルサクシネートや不織布や紙やこれらのラミネート材料が挙げられる。
【0031】
また、かかる材料として、無機フィラーを充填させて延伸処理を施すことで得られる通気性フィルムを用いてもよい。例えば、かかる材料として、低密度ポリエチレン樹脂を主な構成成分をして15〜30g/mの範囲で調整したフィルムを用いることができる。
【0032】
吸収体11は、液体を吸収し保持できるものであれば、材料は特に限定されないが、嵩高で型崩れしにくく、化学的刺激が少ないものであることが好ましい。
【0033】
吸収体11に使用する材料としては、パルプや化学パルプやレーヨンやアセテートレーヨンや天然コットンや高分子吸収性ポリマーや繊維性高分子吸収体や合成繊維を単独で又はこれらを混合したものを用いることができる。
【0034】
例えば、吸収体11に使用する材料として粉砕したパルプを50〜600g/mに調整し、高分子吸収性ポリマーを0.1〜10質量%の範囲で混合し、ティッシュで被覆した状態にしてエンボスでプレスしたものが使用される。
【0035】
また、吸収性物品1は、幅方向Wの両外側に延出するように形成されている1対のウィング部40を有している。ここで、着用者は、吸収性物品1を下着に着用する際に、ウィング部40を下着に巻き込んで、吸収性物品1を下着に固定する。
【0036】
なお、裏面シート13の肌非当接面側には、粘着剤が塗布されており、かかる粘着剤によって、吸収性物品1は、下着に固定される。
【0037】
また、ウィング部40の裏面シート13側には、粘着剤が塗布されており、ウィング部40が、かかる粘着剤によって、下着の肌非当接面側に折り返されて貼り付けられることによって、吸収性物品1は下着に固定される。
【0038】
かかる粘着剤としては、吸収性物品1及び下着を固定できる材料を使用することができる。例えば、かかる粘着剤としては、スチレン-エチレン・ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)やスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)等の合成ゴムを主体とした感圧型接着剤やEVA等の合成ゴムを主体とした感熱型接着剤を用いることができる。かかる粘着剤として、その他にも、メカニカルファスナーやスチレン系の滑り止め剤を用いてもよい。
【0039】
かかる吸収性物品1において、幅方向Wの両脇に、長手方向Lに沿って防漏壁30が設けられている。防漏壁30は、吸収性物品1が着用される際に、吸収性物品1の非肌当接面側から吸収性物品1の肌当接面側に向かって起立するように構成されている。
【0040】
かかる防漏壁30は、中空上に折り畳まれた防漏シート31と、防漏シート31間に伸張状態で長手方向Lに沿って配設された弾性部材32とによって構成されている。
【0041】
ここで、防漏シート31は、液不透過性のシートであり、弾性部材32としては、天然ゴムや合成ゴム等から成るものを用いてもよい。また、弾性部材32は、1本若しくは複数本を使用してもよい。
【0042】
図2に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1には、肌当接面側において、表面シート12から吸収体11までを圧搾するように構成されている環状の圧搾溝14A及び14Bが設けられている。
【0043】
防漏壁30は、図2及び図3に示すように、防漏壁30の起立を抑えるために長手方向Lの端部において吸収性物品1の肌当接面側に固定されている固定部30Bと、固定部30Bよりも長手方向Lの内側において防漏壁30が起立することができるように構成されている起立部30Aとを有している。すなわち、防漏壁30における起立部30Aが、防漏壁30として有効に機能する領域である。
【0044】
ここで、防漏壁30は、起立部30Aにおいて、ヒートシール33によって表面シート12に接合されている。なお、ヒートシール33は、長手方向Lの両端部において、吸収性物品1の内側に向かって屈曲している。
【0045】
かかる構成によれば、ウィング部40を下着のクロッチに巻き込む場合に、図4(b)に示すように、吸収性物品1において、ヒートシール33の側縁部が長手方向Lに沿って折れ曲がり、ヒートシール33が屈曲している部分には、幅方向Wに沿って下向きに折れ曲がる力が伝わるため、防漏壁30が伸長した状態で吸収性物品1を下着に取り付けることができる。
【0046】
さらに、ヒートシール33の側縁部が長手方向Lに沿って折れ曲がり、防漏壁30の起立部30Aが持ち上がることによって、防漏壁30の起立が促進されるため、体液の横漏れを防止することができる。
【0047】
吸収体11は、図2及び図3に示すように、長手方向Lに延びており、周辺部よりも厚みが厚い中高部11Aを有している。
【0048】
ここで、図2に示すように、かかる中高部11Aの周囲に、環状の圧搾溝14A及び14Bが設けられている。具体的には、圧搾溝14Bは、圧搾溝14Aの内部に配置されている。
【0049】
なお、圧搾溝14A及び14Bは、環状に連続して形成されていてもよいし、環状に間欠に形成されていてもよい。ただし、圧搾溝14A及び14Bが、環状に連続して形成されている場合の方が、吸収性物品1を下着の方向に押さえる力が伝わりやすい。
【0050】
圧搾溝14Bの長手方向Lの端部E3は、圧搾溝14Aにおいて幅方向Wの寸法が最も広い箇所W1の近傍に配置されるように構成されている。例えば、圧搾溝14Bの長手方向Lの端部E3と圧搾溝14Aにおいて幅方向Wの寸法が最も広い箇所W1との間の距離は、0〜20mmの範囲内にある。
【0051】
かかる構成によれば、ウィング部40を下着のクロッチに巻き込む場合に発生する吸収性物品1を下着の方向に押さえる力F1が、圧搾溝14Aにおいて幅方向Wの寸法が最も広い箇所W1及び圧搾溝14Bの長手方向Lの端部E3に働く。
【0052】
そして、かかる力F1は、圧搾溝14Aにおいては、かかる箇所W1を始点に、圧搾溝14Aに沿って圧搾溝14Aの長手方向Lの端部E1に伝わる。
【0053】
その結果、かかる力F1は、吸収性物品1の長手方向Lの端部に近い端部E1及び端部E1よりも長手方向Lの内側に配置されている端部E3において、幅方向Wに沿って働くため、吸収性物品1を、下着にしっかりと固定することができ、縒れずに長時間安定して使用することができる。
【0054】
また、図2に示すように、中高部11Aは、ウィング部40よりも長手方向Lの内側に配置されている。具体的には、ウィング部40の長手方向Lの寸法L1は、中高部11Aの長手方向Lの寸法L2よりも長くなるように構成されている。
【0055】
さらに、図2に示すように、ウィング部40の根元部分41の近傍に、吸収性物品1の個包装時の折り位置X1、X2が設けられている。例えば、ウィング部40の根元部分41と折り位置X1、X2との間の距離は、0〜10mmの範囲内にある。
【0056】
かかる構成によれば、中高部11Aが、ウィング部40よりも長手方向Lの内側に配置されており、吸収性物品の個包装時の折り位置が、ウィング部40の根元部分41の近傍に配置されているため、かかる中高部11Aは、個包装による折り癖の影響を受け難く、図4(a)及び図4(b)に示すように、ウィング部40を折り返して下着のクロッチに巻き込む場合に、吸収性物品1の折り位置X1、X2を平坦な状態に戻しやすい。
【0057】
また、図2に示すように、圧搾溝14Aの長手方向Lの端部E1は、起立部30Aの長手方向Lの端部E2よりも、長手方向Lの外側に配置されるように構成されている。
【0058】
さらに、図2に示すように、起立部30Aの長手方向Lの端部E2は、圧搾溝14Aにおいて幅方向Wの寸法が最も広い箇所W1の近傍に配置されるように構成されている。例えば、起立部30Aの長手方向Lの端部E2と圧搾溝14Aにおいて幅方向Wの寸法が最も広い箇所W1との間の距離は、0〜20mmの範囲内にある。
【0059】
かかる構成によれば、防漏壁30の起立部30Aにおいて、吸収性物品1を下着の方向に押さえる力が働くため、吸収性物品1を下着にしっかりと固定することができ、防漏壁30の応力によって吸収性物品1が縒れることなく、長時間安定して使用することができる。
【0060】
また、図2に示すように、圧搾溝14Aの長手方向Lの端部E1は、ウィング部40の付け根位置41よりも、長手方向Lの外側に配置されるように構成されている。
【0061】
さらに、図2に示すように、ウィング部40の付け根位置41は、圧搾溝14Aにおいて幅方向Wの寸法が最も広い箇所W1の近傍に配置されるように構成されている。
【0062】
かかる構成によれば、ウィング部40を下着のクロッチに巻き込む場合に発生する吸収性物品1を下着の方向に押さえる力F1が、圧搾溝14Aにおいて幅方向Wの寸法が最も広い箇所W1を始点に圧搾溝14Aに沿って伝わる。
【0063】
したがって、かかる力F1は、ウィング部40の付け根部分41よりも長手方向Lの内側においては、長手方向Lに沿って働き、ウィング部40の付け根部分41よりも長手方向Lの外側においては、幅方向Wに沿って働く。
【0064】
その結果、吸収性物品1を、下着にしっかりと固定することができ、縒れずに長時間安定して使用することができる。
【0065】
ウィング部40には、図2及び図3に示すように、補強部材50が取り付けられている。ここで、補強部材50の幅方向Wの内側端部51は、ウィング部40の付け根位置41よりも、幅方向Wの内側に配置されるように構成されている。
【0066】
また、図2に示すように、長手方向Lにおいて、補強部材50の寸法L3は、ウィング部40の寸法L1よりも長くなるように構成されていてもよい。
【0067】
なお、補強部材50の形状は、図2に示すような形状であってもよいし、その他の形状(例えば、矩形形状)であってもよい。
【0068】
かかる構成によれば、ウィング部40を下着のクロッチに巻き込む場合に、ウィング部40が、補強部材50の幅方向Wの内側端部51を折り起点として折れ曲がるため、すなわち、ウィング部40の付け根部分41よりも幅方向Wの内側で、かつ、ウィング部40の付け根部分41よりも長手方向Lの外側で折れ曲がるため、吸収性物品1全体を下着にしっかりと固定することができる。
【0069】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0070】
1…吸収性物品
2…包装シート
11…吸収体
12…表面シート
13…裏面シート
14A、14B…圧搾溝
30…防漏壁
31…防漏シート
32…弾性部材
40…ウィング部
41…ウィング部の根元部分
50…補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有し、少なくとも幅方向に沿って折り畳まれて個包装される吸収性物品であって、
前記吸収性物品の幅方向の両外側に延出するウィング部と、
前記吸収性物品の長手方向に沿って配設された伸縮部材を有し、前記吸収性物品が着用される際に、前記吸収性物品の非肌当接面側から前記吸収性物品の肌当接面側に向かって起立するように構成されている防漏壁と、
前記吸収性物品の肌当接面側に設けられている少なくとも1つの環状の圧搾溝とを有しており、
前記吸収体は、周辺部よりも厚みが厚い中高部を有しており、
前記防漏壁は、前記防漏壁の起立を抑えるために前記長手方向の端部において前記吸収性物品の肌当接面側に固定されている固定部と、前記固定部よりも前記長手方向の内側において前記防漏壁が起立することができるように構成されている起立部とを有しており、
前記中高部は、前記ウィング部よりも前記長手方向の内側に配置されており、
前記ウィング部の根元部分の近傍に、前記吸収性物品の個包装時の折り位置が設けられており、
前記圧搾溝の前記長手方向の端部は、前記起立部の前記長手方向の端部よりも、前記長手方向の外側に配置されるように構成されており、
前記起立部の前記長手方向の端部、及び、前記圧搾溝において前記幅方向の寸法が最も広い箇所が、前記ウィング部の根元部分の近傍に配置されるように構成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記防漏壁は、前記起立部において、前記長手方向に沿って連続して配置されているヒートシールによって前記表面シートに接合されており、
前記ヒートシールは、前記長手方向の両端部において、前記吸収性物品の内側に向かって屈曲していることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記ウィング部には、補強部材が取り付けられており、
前記補強部材の前記幅方向の内側端部は、前記ウィング部の付け根位置よりも、前記幅方向の内側に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記長手方向において、前記補強部材の寸法は、前記ウィング部の寸法よりも長くなるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記圧搾溝は、環状の第1圧搾溝と、前記第1圧搾溝の内部に配置されている環状の第2圧搾溝とを有しており、
前記第2圧搾溝の前記長手方向の端部は、前記第1圧搾溝において前記幅方向の寸法が最も広い箇所の近傍に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
表面シートと、裏面シートと、該表面シートと該裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する本体部を有し、少なくとも幅方向に沿って折り畳まれて個包装される生理用ナプキンであって、
前記吸収性物品の幅方向の両外側に延出するウィング部と、
前記吸収性物品の長手方向に沿って配設された伸縮部材を有し、前記吸収性物品が着用される際に、前記吸収性物品の非肌当接面側から前記吸収性物品の肌当接面側に向かって起立するように構成されている防漏壁と、
前記吸収性物品の肌当接面側に設けられている環状の第1圧搾溝と、
前記吸収性物品の肌当接面側において前記第1圧搾溝の内部に配置されている環状の第2圧搾溝とを有しており、
前記吸収体は、周辺部よりも厚みが厚い中高部を有しており、
前記防漏壁は、前記防漏壁の起立を抑えるために前記長手方向の端部において前記吸収性物品の肌当接面側に固定されている固定部と、前記固定部よりも前記長手方向の内側において前記防漏壁が起立することができるように構成されている起立部とを有しており、
前記中高部は、前記ウィング部よりも前記長手方向の内側に配置されており、
前記ウィング部の根元部分の近傍に、前記吸収性物品の個包装時の折り位置が設けられており、
前記圧搾溝の前記長手方向の端部は、前記ウィング部の付け根位置よりも、前記長手方向の外側に配置されるように構成されており、
前記起立部の前記長手方向の端部、及び、前記圧搾溝において前記幅方向の寸法が最も広い箇所が、前記ウィング部の根元部分の近傍に配置されるように構成されており、
前記ウィング部の付け根位置は、前記圧搾溝において前記幅方向の寸法が最も広い箇所の近傍に配置されるように構成されており、
前記ウィング部には、補強部材が取り付けられており、
前記長手方向において、前記補強部材の寸法は、前記ウィング部の寸法よりも長くなるように構成されており、
前記防漏壁は、前記起立部において、ヒートシールによって前記表面シートに接合されており、
前記ヒートシールは、前記長手方向の両端部において、前記吸収性物品の内側に向かって屈曲しており、
前記第2圧搾溝の前記長手方向の端部は、前記第1圧搾溝において前記幅方向の寸法が最も広い箇所の近傍に配置されるように構成されていることを特徴とする生理用ナプキン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−55565(P2012−55565A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203267(P2010−203267)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】