説明

吸収性物品用輸送層

【課題】吸収性物品における輸送層として使用するのに特に適したフィルムを提供すること。
【解決手段】複数の毛細管と複数のドレインを有し、該毛細管が、フィルムのメス側に支持され該フィルムのオス側上の開口部を末端とする側壁、を含み、該ドレインが、該フィルムのメス側に支持され該フィルムのオス側上の開口部を末端とする側壁、を含み、該ドレインがフィルムのベース平面に対して鈍角で配置されている成形フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形フィルム、より具体的には吸収性物品における輸送層(transfer layer)として使用するための三次元成形フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品は、体液を一時的に集め、不動化するために1回又は限られた回数通常使用される物品である。そうした物品には、おむつ、成人用失禁用製品、女性用衛生用品、包帯及び類似の物品が含まれる。一般にこうした物品は、使用者の皮膚に隣接して配置されるトップシート、そのトップシートの反対側にあって使用時に着用者の衣服に隣接して位置することがあるバックシート及びそのトップシートとバックシートの間に位置する吸収性コアを有する。大抵の場合、トップシートは体液に対して浸透性でありバックシートはそうした流体に対して不浸透性であり、それによって着用者の衣服を漏れから保護する。吸収性コアは、その物品が廃棄され、新しい物品で置き換えられるまで体液を集め保持するように設計される。
【0003】
当技術分野で収集分配層(acquisition distribution layer)即ち「ADL」としても知られている輸送層が、吸収性物品において使用されている。従来、不織ウェブと三次元成形フィルムのどちらも輸送層として使用されてきた。輸送層は一般にトップシートと吸収性コアの間に配置され、通常、流体を吸収し保持することについての物品の効率性を高める。例えば、輸送層は、流体がコアによって吸収され得るまで、その流体を集め保持するための一時的貯留部(reservoir)として働く空隙容量を提供するために使用される。さらに、輸送層は輸送層の平面にほぼ平行な方向での流体の側方への流れを促進させ、コアのより多くの部分が流体を吸収するようにするために、用いられてきた。例えば、米国特許第4,324,247号を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性コア全体にわたって流体の分配をより効率的に促進し、より高い快適性を着用者に提供し、トップシートにおける表面湿潤を低減させ、再湿潤を防止又は低減する輸送層が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本開示は、輸送層として使用するための成形フィルムであって、そのフィルムが、複数の三次元毛細管(capillaries)と複数の三次元ドレイン(drains)を有し、そのドレインがフィルムのベース平面に対して鈍角に配置されている成形フィルムを提供する。
【0006】
別の実施形態では、本開示は、輸送層として使用するための成形フィルムであって、そのフィルムが複数の三次元毛細管と複数の三次元ドレインを有し、そのドレインがフィルムのベース平面に対して鈍角に配置されており、その毛細管がフィルムのベース平面に対してほぼ垂直の角度に配置されている成形フィルムを提供する。
【0007】
別の実施形態では、本開示は、輸送層として使用するための成形フィルムであって、そのフィルムが複数の三次元毛細管と複数の三次元ドレインを有し、そのドレインがフィルムのベース平面に対して鈍角に配置されており、そのドレインと毛細管が共通平面を末端とする成形フィルムを提供する。
【0008】
上記及び他の実施形態は、図面を参照して詳細な説明を読み、及び添付の特許請求の範囲を読めば明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の一実施形態による輸送層を有する吸収性物品の断面図を示す図である。
【図2】液体のグラム数対時間を示すグラフである。
【図3】液体のグラム数対時間を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
吸収性物品は一般にトップシート、吸収性コア及びバックシートを含む。トップシートは吸収性物品の身体に面する側にあり、一般に、滲入(insult)による液体が、吸収性物品の身体に面する表面から吸収性コアへ輸送されるようにする液体浸透性材料を含む。「滲入(物)」という用語は一般に、吸収性物品のトップシート上加えられるある量の液体、又はそのように液体を加える動作を指す。滲入は、製品の使用の際及び最終製品の試験の際に発生し得る。したがって、同じ吸収性物品に2回以上の滲入がなされた場合、「複数の滲入」が発生する。トップシートは一般に、使用の際、着用者の皮膚に近接しているか、又は直接接触する場合もあり、通常、不織材料、開口部を備えたフィルム又はこれらの材料を組合せて単一の複合材にしたものなどの柔らかい材料でできている。トップシートは一般に、滲入が生じた後でも、着用者が快適で乾いた感触を保持できるように設計される。
【0011】
バックシートは、衣類に面した側即ち吸収性物品の外側表面上に位置する。バックシートは、吸収性物品内から吸収性物品の外表面又は着用者の衣類に液体が移動しないようにする液体不浸透性のフィルムであってよい。通気性バックシートは、液体に対して不浸透性であるが、水蒸気は吸収性物品の外へ通過できるようになっている。これは、着用者が湿気をより感じないようにし、それによって着用者の快適性を高める。
【0012】
吸収性物品が使用されている間、吸収性コアは滲入物を吸収し液体を保持する。その吸収性コアは、滲入物又は複数回の滲入物を十分に吸収し、吸収性物品が取り外され、廃棄されるまで、滲入物を実質的に保持するようにしなければならない。吸収性コアの貯蔵能力及び吸収性コアにわたる滲入の分配の効率が、吸収性物品内に保持され得る液体の量を決定する。吸収性コア内の吸収材料は、これらに限定されないが、繊維、多孔性スポンジ(cellular sponge)又は発泡材料を含むセルロース材料、高吸収性ポリマー、親水コロイド材料、ゲル材料などの高吸収性材料、及びその組合せなどの任意の液体吸収材料を含むことができる。これらの種類の吸収材料の1つ又は複数が実施形態において有用であることは、本開示で意図される範囲内である。特に、ある種の実施形態では、吸収材料は、吸収性顆粒状物質と細かく刻んだセルロース繊維の混合物を含むことができる。
【0013】
特に有用な吸収材料は、流体中で一般にその重量の約10〜約50倍を吸収することができる高吸収性ゲル型材料である。当技術分野で一般に知られているように、コアが液体を吸収する速度は、吸収された液体をコアが保持する能力に反比例する。したがって、コアで使用される高吸収材料は液体を非常によく保持するが、液体の取り込みは比較的遅い。液体の取り込みの遅れは、その物品中により多くの吸収されない、即ちフリーの流体をもたらし、したがって、物品の再湿潤性能を低下させる。これらの材料の使用はコアのかさの減少などの他の利益をもつので、一般に、その他の利点の方がより遅い取り込みに勝ることになる。
【0014】
実施形態によれば、輸送層は、トップシートと吸収性コアの間か又はバックシートと吸収性コアの間に位置する。輸送層はトップシートとコアの間に位置することが最も好ましい。
【0015】
輸送層は再湿潤、即ち、それによって物品内に吸収されない、又は「フリー」の流体が物品の使用者が接触する表面上又はその中に存在するという現象を制御するように機能することができる。再湿潤は表面湿潤成分と逆湿潤成分を含む。表面湿潤とは、滲入の後、トップシートの表面上又はトップシートの空隙内に留まる液体を指す。逆湿潤とは、トップシートを一度通過した後に、トップシート表面の方に逆戻りする流体を指す。逆湿潤は一般に、物品に負荷がかかるか物品が圧縮され、それによってトップシートを通して流体が逆戻りさせられる場合に、より顕著である。圧縮は、例えば、乳児がおむつ中に排尿し次いで座った場合に起こる可能性がある。トップシートの表面に又はその中にある液体は、どんな仕組みによるものであれ、その物品の使用者にジメジメした不愉快な感触を与える。したがって、消費者に受け入れられるためには、再湿潤を最少化する又は排除することが重要である。輸送層は、逆湿潤を物理的に抑制することによって再湿潤を制御することができる。特に、フィルム材料は物的障壁として機能する。その理由は、フィルム自体が液体不浸透性であり、その開口部は通常、吸収性コアから出る液体の流れを抑制する形状をしているからである。しかし、不織輸送層は、一時的貯留部を提供し、流体がトップシート表面に達する前にそれを収集する。ある種の状況では、輸送層は、そうでない場合にトップシート上に留まる傾向のある静止流体の移動を容易にすることによって、トップシート上での表面湿潤を低減させることもできる。
【0016】
EDANA(ヨーロッパ不織布工業会)ERT151.2−99又はEDANA ERT151.3−02などの標準的な工業試験では、再湿潤を、測られた流体の滲入に物品を曝して10分間待ち、次いでトップシートに吸い取り紙とおもしを載せ、吸い取り紙に取り込まれた液体の量を計測することによって測る。10分間保持する理由は、吸収性コアに、液体を取り込む時間を与えるためである。しかし、実際には、それは非常に不愉快な感じになり得るので、その物品の使用者は湿った感覚が10分間続くことを望まない。したがって、消費者から見れば、滲入した後、ほぼ瞬間的に乾くことが求められる。
【0017】
滲入は、動的流体と静止流体の両方の組合せを含むと考えることができる。動的流体は、滲入した時点でトップシートと輸送層を通って流れ、一方、静止流体はトップシート及び/又は輸送層の空隙内に保持され得る。静止流体を取り除くためには、輸送層は、z方向への吸い上げ(wicking)又は毛細管作用が維持されるものでなければならない。輸送層が三次元成形フィルムである場合、z方向への吸い上げ又は毛細管作用は、毛管現象即ち毛細管作用を実現するのに十分小さい直径の開口部を少なくとも部分的に提供することによって実現される。
【0018】
上記したように、フィルムと繊維性不織ウェブの両方が、トップシートと輸送層の両方に使用される。不織ウェブは、液体を引き付け保持できる繊維間にある内部空隙を有する。したがって、不織ウェブは、流体のための一時的又は「緩衝材となる」貯留部を提供する。滲入が起こると、流体は、それが排出される及び/又はコアによって吸収されるまで、トップシートとして又は輸送層として用いられた不織ウェブの細孔空間内に蓄積される。不織布の緩衝機能は両方の方向に働く。具体的には、滲入が起こると、不織布は緩衝材として作用して、流体が排出されコアによって吸収されるまで流体を保持する。流体が一旦排出されると、流体がトップシート表面に到達する前に、不織布は、緩衝材として作用してそれらを蓄積することができる。排出される流体の量、そうするのにかかる時間並びに不織布の緩衝能力は、不織ウェブの繊維間の細孔のサイズ、不織布の相対的親水性/疎水性、繊維密度及びその他の因子に依存する。滲入が起きた直後は、不織布の空隙容量は本質的に満たされ、コアは滲入物を吸収するのに十分な時間を未だ有さない。したがって、不織布は、流体がトップシート表面の方へ逆戻りする緩衝材として作用する能力をもたない。不織ウェブを通過しているがまだ吸収されていない滲入物の部分、並びにウェブの細孔内に一時的に保持された部分は、再湿潤に寄与し得る。
【0019】
しかし、成形フィルムでは、開口部間の陸地領域(land areas)に留まっているであろう少量の流体を除いて、滲入物はほぼ瞬間的にフィルムを通過し、フィルムの底面の空隙に貯まる。その時点で負荷がかけられると、フィルムは再湿潤に対する物的障壁として作用し、流体のうち開口部を通して戻る途を見出したものだけが再湿潤に寄与する。成形フィルム中の開口部は一般に先細(tapered)になっていて、反対側の面即ち「メス」側の面に較べて一方の側の面(即ち、「オス」側の面)上により狭い開口部を有しているので、フィルムはコアの方へ優先的な液体の流れをもたらし、反対方向には実質的に液体不浸透性である。結果として、成形フィルムは、吸収性物品においてほぼ瞬間的な乾燥をもたらすことができ、他方、不織ウェブはそうした乾燥をもたらさない。実際、試験によれば、フィルムは、特に滲入の直後に試験した場合、再湿潤性能において不織ウェブより優れていることが示されている。滲入に続く時間の経過とともに、不織布は、排出の機会をもち、コア領域からトップシート表面への流体移動に対する緩衝材として再び機能できるようになる。したがって、不織ウェブとは対照的にフィルムを用いた場合の、再湿潤性能の差は、滲入後の時間が増大するとともに顕著でなくなってくる。
【0020】
表1は、標準的な再湿潤試験手順を用いて得られた液体のグラム数を、滲入後の時間の関数として示す。
【表1】

【0021】
表1のデータをプロットし、図2及び図3に流体のグラム数対時間のグラフとして示す。より具体的には、図2は、最初の滲入物を取り込んだ後に再湿潤を測定して得られた結果を示す。曲線100はフィルムを用いた物品を表し、曲線200は不織布を用いた物品を表す。図2に示すように、フィルムを使用すると、不織布を用いた場合と比較して、滲入直後での再湿潤が著しく少ない結果となる。時間とともに、フィルムと不織布の間の差は無視できる程度となるが、フィルムは明らかにより即座に、乾いた感触を提供する。これらのデータは、再湿潤試験において、最初の滲入の直後に、不織布の輸送層を用いた幼児用おむつが、成形フィルムを用いた同じ物品と比較して、6〜16g多い液体を発生しうることを示している。
【0022】
図3を参照すると、3回目の滲入後の再湿潤試験の液体のグラム数対時間の曲線が示されている。このデータは、輸送層として不織布を用いた物品(曲線400)と比較して、輸送層として成形フィルムを用いた物品(曲線300)が著しく少ない表面液体を示すことを表している。その差は、図2の条件において見られる差と類似している。即ち、成形フィルムを用いた物品は、不織ウェブを用いた物品に対して6〜26g少ない液体を有している。
【0023】
これらの実施形態によれば輸送層はフィルムである。本明細書で用いる「フィルム」は薄いポリマーのシート又はウェブ(web)を指す。フィルムは、例えば、キャスト又はインフレーション(blown)押出法で溶融熱可塑性ポリマーを押し出して製造することができ、これをローラーの間でさらに処理し、冷却してウェブを形成することができる。フィルムは、例えば単層フィルムであっても共押出フィルムであってもよい。
【0024】
「ポリマー」という用語は、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互(alternating)コポリマー、ターポリマー等並びにそのブレンド及び変形体(modification)を含む。さらに、別段の具体的な限定のない限り、「ポリマー」という用語は、アイソタクチック、シンジオタクチック及びアタクチック又はランダムシンメトリー(random symmetry)などの物質の可能な全ての幾何学的構造を含むことを意味する。
【0025】
輸送層は、次元的に機械方向、横方向及びz方向で表すことができる。機械方向は、フィルムが製造工程を通過する方向と定義される。一般に、フィルムは、幅よりずっと長い長さを有する長いシート又はウェブとして製造される。その場合、機械方向は通常シートの長さ(方向)である(x方向とも称される)。機械方向に垂直な方向は、シートの横方向即ち横断方向である(y方向又は幅とも称される)。フィルムの厚さ(特定の実施形態では、フィルムのロフト(loft)又はキャリパー(caliper)とも称されることがある)はz方向で測られる。
【0026】
三次元成形フィルムはフィルムの呼び厚さ(nominal thickness)を形成するベース平面を含み、且つ、フィルムの表面上から始まり外向きにz方向へ突き出る構造を有する。こうした構造の寸法は、フィルム呼び厚さより大きいz方向の寸法をフィルムに提供する。これらは、フィルムに、該表面構造で規定され且つフィルムのベース平面からz方向へ間隔を置いて配置された二次的平面も提供する。三次元成形フィルムの三次元的特徴構造(feature)は、例えば、エンボス加工法、ハイドロフォーミング法又は真空成形法で生み出すことができる。そうした全ての方法は当技術分野で周知である。
【0027】
「多平面フィルム(multiplaner film)」は、フィルムのベース平面と二次的平面の両方に起因する追加の表面構造を有する三次元成形フィルムである。例えば、多平面構造を有する成形フィルムは、フィルムの表面上にある複数の平坦域(plateau)を含むことができ、その平坦域は、ベース表面の上か下にフィルムの少なくとも1つの追加の平面を規定する。多平面三次元成形フィルムの特定の実施形態では、利用可能な任意の又は全ての平面上に突起状物を形成させることができる。
【0028】
開口部を備えた三次元成形フィルムは、単純に三次元構造の孔即ち開口部を有する成形フィルムである。開口部を備えた三次元構造のサイズ、間隔及び他の特性は、開口部を備えた三次元成形フィルムを作製するのに用いられる具体的な装置に基づく。例えば、真空成形法、ハイドロフォーミング法及びある種の機械的処理においては、開口部のサイズ、形状及び間隔は、フィルムを減圧、加圧水ストリーム又はピンなどの機械的穿孔装置にかける際にフィルムを支持する成形用構造物によって決定される。例えば、米国特許第4,456,570号及び、米国特許第3,929,135号を参照されたい。
【0029】
開口部を備える成形フィルムについては、三次元構造のz方向の寸法は、三次元構造の直径の関数であり、したがって、これは成形用構造物中の開口部の直径又は穿孔用ピンの直径の関数である。例えば、より小さい直径の構造物は一般に、より大きい直径の構造物と比較して、より小さいz方向の寸法を有する。フィルム組成、フィルムの基本重量、孔を開ける際のフィルムの温度並びに他の加工条件及び装置関連因子などの他の因子も、三次元的特徴構造のz方向の高さに影響を及ぼす。
【0030】
例えば、三次元成形フィルムは、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のC〜C10オレフィン);ポリエステル;プラストマー;ポリアミド(例えば、ナイロン);ポリスチレン;ポリウレタン;ビニルポリマー;アクリル及び/又はメタクリルポリマー;エラストマー(例えば、スチレンブロックコポリマーエラストマー);天然の再生可能資源からのポリマー;生分解性ポリマーから選択される少なくとも1つのポリマー及びその混合物又はブレンドを含むことができる。ポリマーは熱可塑性ポリマーであることが好ましい。
【0031】
さらに、様々な添加剤のいずれかをポリマーに加え、これらに限定されないが、粗度、帯電防止(anti−static charge build−up)の削減、耐摩耗性、印刷適性、書込み可能性(writeability)、不透明性、親水性、疎水性、加工性、UV安定性、色などを含む特定の所望の特性を提供することができる。そうした添加物は当業界で周知であり、例えば、炭酸カルシウム(耐摩耗性)、二酸化チタン(色及び不透明性)及び二酸化ケイ素(粗度)、界面活性剤(親水性/疎水性)、加工助剤(加工性)等が含まれる。
【0032】
図1の実施形態を参照すると、吸収性物品10は、トップシート12、コア14、バックシート16及びコア14とトップシート12の間に位置する輸送層15を含む。物品10は、使用時に使用者の皮膚に隣接するか或いは近傍に配置され得る身体に面する表面13を有する。物品10は、身体に面する表面13の反対側にある衣類に面する表面17も有する。衣類に面する表面17は、使用時に、使用者の衣類か、又は吸収性物品が包帯、創傷被覆材、外科用ドレープ(surgical drape)等である場合その環境の近傍にあり得る。
【0033】
トップシート12は、流体が吸収性物品10に侵入できるようにする流体浸透性材料を含む。トップシート12は一般に、開口部を備えた成形フィルム、不織ウェブ又は複合材などの開口部を備えたフィルムである。例示した実施形態では、トップシート12は不織ウェブを含む。バックシート16は一般に、吸収性物品からの流体の漏れを防止するように流体不浸透性である。フィルム、不織ウェブ及び複合材は、通常バックシートに使用される。示した実施形態では、バックシート16は、液体不浸透性のインフレーション又はキャストフィルムを含む。吸収性コア14は、トップシート12とバックシート16との間にあり、トップシートを通過した流体を吸収し、物品が廃棄されるまでそれを保持できる材料を含む。
【0034】
図1に示すように、輸送層15は、複数の三次元毛細管18及び複数の三次元ドレイン25を有する三次元成形フィルムを含む。毛細管18は、フィルム15のメス側(female side)21から始まり、フィルム15のメス側21からz方向に(図1で矢印「Z」で示す)へ延びる側壁20を備えた円錐形構造を含む突起状物を含む。毛細管18はフィルム15のオス側(male side)23上の開口部22を末端とする。
【0035】
毛細管18は、毛細管作用による流体輸送をもたらし、持続的なz方向への吸い上げを提供することによって、トップシート表面上又はトップシートの空隙内に保持された滲入物の静止部分の除去を促進するようなサイズとする。z方向への吸い上げは、表面湿潤成分若しくは逆湿潤成分のどちらか又はその両方を低減することによって再湿潤能力を向上させる。このz方向への吸い上げは、毛管現象を実現するのに十分細い直径を毛細管18に提供することによって実現される。
【0036】
持続的な毛細管作用が起こるようにするためには、毛細管18の出口側(即ち、開口部22)から流体を除去する何らかの仕組みを提供する必要がある。吸収性物品における1つの好都合な仕組みは、毛細管の出口側を吸収性コアと密に接触させて配置することである。しかし、従来技術の輸送層、特により大きい直径の突起状物も含む輸送層においてはこれを実行するのは困難であった。具体的には、滲入物の動的部分の迅速な取り込みを提供するのに必要なより大きい直径の突起状物は一般に、小さい直径の毛細管よりz方向の方がより大きい寸法となり得る。したがって、毛細管をコアと密に接触させるためには、密な接触を実現するためにより大きい突起状物を押しつぶす必要があり得る。もちろん、より大きい突起状物の目的を損なうため、これを用いることは避けるべきである。したがって、従来技術のフィルムでは、毛細管は、空隙(即ち、空間)中で吸収性コアの上方にぶら下がることになり、したがって、液体の持続的除去をもたらすことができない。
【0037】
輸送層15は、複数のドレイン25をさらに含む。図1に示すように、このドレイン25は、フィルム15のメス側21上から始まり、z方向へ延びる側壁26を有する三次元構造である。ドレイン25はフィルム15のオス側22上の開口部27を末端とする。ドレイン25は毛細管18の直径より大きい直径の管であり、フィルム15のメス側21からフィルムのオス側23への流体の迅速な移動を可能にしている。
【0038】
図1に示すように、ドレイン25は、フィルム15のベース平面28に対して角度29を形成するように方向付けられている。角度29は、ベース平面28に対して90°を超えており、その結果、ドレイン25はフィルム15のベース平面28に対して鈍角を形成する。角度29は特に重要ではなく、ベース平面28に対して概ね100〜175°の範囲であってよい。そうした角度の突出部を有するフィルムは当技術分野で公知であり、例えば、欧州特許第1040801号;国際公開公報WO1997/003818及びWO2000/016726に開示されている。そのそれぞれを参照により本明細書に組み込む。
【0039】
ドレイン25はフィルム15のベース平面28に対して鈍角で配置されているので、ドレインは、ベース平面28に対して垂直に方向付けられた場合ほどz方向へ延びない。したがって、ドレイン25の角度の方向付けは、毛細管18の開口部22がコア14と密な接触を保持するのを可能にし、これは、トップシート12から離れるように流体を吸い上げる際の持続的な毛細管作用を維持するのに必要な仕組みを提供する。別の言い方をすると、図1に示すように、ドレイン25及び毛細管18は全て、フィルム15のベース平面28とほぼ平行であり且つそれから間隔を置いて配置されている共通平面30を、末端としている。
【0040】
ドレイン25の方向が傾いていることは、フィルム15を通ってコア層14へ向かう視線を少なくとも部分的に塞ぐようにも働く。したがって、フィルム15は、コア14を少なくとも部分的に隠すマスキングの機能も果たす。
【0041】
ドレイン25は、流体の迅速な通過を可能にする所望のいかなるサイズであってよい。例えば、特定の実施形態のドレイン25は、0.2mmを超える平均断面積及び0.55mm〜1.2mmの間の平均水力直径(average hydraulic diameter)をもつことができる。これに対して、毛細管18は、メス側21上で測定して50ミクロン〜400ミクロンの間の平均径を有する。ドレイン25と毛細管18の水力半径の比は、概ね3:1を超え、大抵の場合4若しくは5:1又はそれ以上となる。10:1又はそれを以上の比も一般的である。
【0042】
図1に示す実施形態では、毛細管18及びドレイン25はほぼ円錐形をしている。しかし、これらの構造の形状はそれほど重要でないことを理解されたい。具体的には、毛細管及びドレインは円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形の形状又は他の任意の所望形状をもつことができる。
【0043】
輸送層は、吸収性物品中で、オス側又はメス側のいずれが吸収性コアに面して方向付けされていてもよい。多くの用途において、輸送層のオス側は吸収性コアに面することになるが、いくつかの用途では、メス側がコアに面することが望ましい。
【0044】
輸送層の実施形態を製造するため、任意のデザイン又はパターンを形成することができる。ドレインと毛細管サイズの突起状物との任意の比を用いることができる。用途に応じて、図1に示した実施形態と比較して、より多くの又はより少ない毛細管サイズの構造が望ましい場合がある。
【0045】
本開示ではいくつかの実施形態を説明しているが、本明細書及び特許請求の範囲に記載されている本発明から逸脱することなく、当業者に明らかな様々な変更を行うことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0046】
10 吸収性物品
12 トップシート
13 身体に面する表面
14 吸収性コア
15 輸送層
16 バックシート
17 衣類に面する表面
18 毛細管
20 側壁
21 フィルムのメス側
22 開口部
23 フィルムのオス側
25 ドレイン
26 側壁
27 開口部
28 ベース平面
29 角度
30 共通平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の毛細管と複数のドレインを有する成形フィルムであって、該毛細管が、該フィルムのメス側に支持され(depend from)該フィルムのオス側上の開口部を末端とする側壁、を含み、該ドレインが、該フィルムのメス側に支持され該フィルムのオス側上の開口部を末端とする側壁、を含み、該ドレインが該フィルムのベース平面に対して鈍角で配置されている上記成形フィルム。
【請求項2】
前記毛細管と前記ドレインが、全て、前記フィルムの前記ベース平面とほぼ平行しており且つそれから間隔を置いて配置されている共通平面を末端とする、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記ドレインが、前記フィルムの前記ベース平面に対して100〜175°の角度に方向付けられている、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記ドレインが、0.2mmを超える平均断面積と0.55mm〜1.2mmの間の平均水力直径(average hydraulic diameter)を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記毛細管が、前記フィルムのメス側で測定して、50ミクロン〜400ミクロンの間の平均直径を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記ドレインと前記毛細管の水力半径(hydraulic radius)の比が3:1を超える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
トップシート、コア及び輸送層を含む吸収性物品であって、該輸送層が複数の毛細管と複数のドレインを有する成形フィルムを含み、該毛細管は、該フィルムのメス側に支持され該フィルムのオス側上の開口部を末端とする側壁、を含み、該ドレインは、該フィルムのメス側に支持され該フィルムのオス側上の開口部を末端とする側壁、を含み、該ドレインは該フィルムのベース平面に対して鈍角で配置されている上記吸収性物品。
【請求項8】
前記毛細管と前記ドレインが、全て、前記フィルムの前記ベース平面とほぼ平行しており且つそれから間隔を置いて配置されている共通平面を末端とする、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記ドレインが、前記フィルムの前記ベース平面に対して100〜175°の角度に方向付けられている、請求項7に記載の物品。
【請求項10】
前記ドレインが、0.2mmを超える平均断面積と0.55mm〜1.2mmの間の平均水力直径を有する、請求項7に記載の物品。
【請求項11】
前記毛細管が、前記フィルムの前記メス側で測定して、50ミクロン〜400ミクロンの間の平均直径を有する、請求項7に記載の物品。
【請求項12】
前記ドレインと前記毛細管の水力半径の比が3:1を超える、請求項7に記載の物品。
【請求項13】
前記輸送層が、前記トップシートと前記コアとの間に位置する、請求項7に記載の物品。
【請求項14】
前記輸送層のメス側が、オス側と較べて前記トップシートにより近接している、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
バックシートをさらに含み、前記輸送層が前記コアと該バックシートとの間に位置している、請求項7に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−156349(P2011−156349A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−276003(P2010−276003)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(504242043)トレドガー フィルム プロダクツ コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】