説明

吸収性物品

【課題】本発明は、吸収体に形成され複数の高密度部が形成された溝部と、表面シートに形成され複数の高密度部が形成された溝部とが重なるように形成されることで、吸収体に吸収された経血の隠蔽性に優れた吸収性物品を提供すること。
【解決手段】生理用ナプキン1は、吸収体4における表面シート2側が窪んで形成されると共に該吸収性物品における長手方向Yに延びるように形成される第1圧搾溝5、5と、表面シート2が吸収体側に窪んで形成されると共に全部又は一部が第1圧搾溝5、5に重なるように配置される第2圧搾溝6、6を備え、第1圧搾溝5、5の底部には、吸収体側第1高密度部5aと、吸収体側第1高密度部5a同士の間に形成される吸収体側第2高密度部5bとがそれぞれ複数形成され、第2圧搾溝6、6には、複数の吸収体側第1高密度部5aそれぞれに当接して積層配置される複数の表面シート側高密度部6aが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品としての生理用ナプキンにおいて、排泄された経血等の液体が漏れ出ることを抑制するために表面シート側に凹状の防漏溝が形成された生理用ナプキンが提案されている。
【0003】
例えば、透液性表面シートと不透液性裏面シートと、それら両シートの間に介在する吸収体とからなり、吸収体が位置する領域の上両面側に、吸収体の長さ方向へ延びる一対の圧搾条溝を有する生理用ナプキンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの圧搾条溝を備える生理用ナプキンは、透液性表面シートと吸収体を重ね合わせた状態で所望の成形型により高圧で圧搾することにより得られる。これらの圧搾条溝を備えることで、表面シートの上面を流れる経血が、該表面シートの上面に沿って幅方向外側に漏れることを抑制することができる。
【0004】
また、これらの圧搾条溝を備えることで、表面シートを透過して吸収体に吸収された経血が幅方向外側に漏れ出ることを抑制できる。つまり、表面シートを透過して吸収体に吸収された経血が幅方向外側に移行した場合、吸収体における圧搾条溝の圧搾された部分である高密度部に経血が引き寄せられ、幅方向外側への漏れを抑制することができる。
【0005】
また、これらの圧搾条溝が折れ起点として機能するので、生理用ナプキンにおける排泄部への適合密着性を向上させることができる。つまり、これらの圧搾条溝を折れ起点として、圧搾条溝に挟まれた領域が排泄部側に突出して、排泄部に密着するように変形される。
【0006】
【特許文献1】特開平9−108262号公報(特許第3053561号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の生理用ナプキンにおける圧搾条溝は、表面シートと吸収体との双方を圧縮して形成されるため、吸収体に形成される圧搾条溝の高密度部に引き寄せられた経血が表面シート側に移行する。これにより、経血の赤色が表面シートを介して過度に視認されるので、使用者が不快感を感じる場合があった。
【0008】
本発明は、吸収体に形成され複数の高密度部が形成された溝部と、表面シートに形成され複数の高密度部が形成された溝部とが重なるように形成されることで、吸収体に吸収された経血の隠蔽性に優れた吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される液保持性の吸収体と、を備える吸収性物品であって、前記吸収体における前記表面シート側が窪んで形成されると共に該吸収性物品における長手方向に延びるように形成される吸収体側溝部と、前記表面シートが吸収体側に窪んで形成されると共に全部又は一部が前記吸収体側溝部に重なるように配置される表面シート側溝部と、を備え、前記吸収体側溝部の底部には、吸収体側第1高密度部と、前記吸収体側第1高密度部同士の間に形成される吸収体側第2高密度部とがそれぞれ複数形成され、前記表面シート側溝部には、前記複数の吸収体側第1高密度部それぞれに当接して積層配置される複数の表面シート側高密度部が形成される吸収性物品。
【0010】
(2) 前記複数の表面シート側高密度部同士の間隔は、前記複数の吸収体側第2高密度部同士の間隔よりも長くなるように構成される(1)に記載の吸収性物品。
【0011】
(3) 前記表面シートにおける前記複数の表面シート側高密度部同士の間には、該表面シート側高密度部における圧縮よりも弱い圧縮力にて表面シート側中密度部が形成され、前記吸収体における前記複数の吸収体側第1高密度部同士の間には、該吸収体側第1高密度部における圧縮よりも弱い圧縮力にて吸収体側中密度領域が形成され、前記表面シート側中密度部の密度を、前記吸収体側中密度領域の密度よりも低くした(1)又は(2)に記載の吸収性物品。
【0012】
(4) 前記吸収体側中密度領域は、前記吸収体における前記複数の吸収体側第2高密度部同士の間に形成されたものであって、該吸収体側第2高密度部における圧縮よりも弱い圧縮力にて形成された吸収体側第1中密度部と、前記吸収体における前記吸収体側第1高密度部と前記吸収体側第2高密度部との間に形成されたものであって、該吸収体側第2高密度部における圧縮よりも弱い圧縮力にて形成された吸収体側第2中密度部を含む(3)に記載の吸収性物品。
【0013】
(5) 前記表面シート側中密度部は、前記吸収体側第1中密度部に表側から当接する(4)に記載の吸収性物品。
【0014】
(6) 前記表面シート側中密度部は、前記吸収体側第2高密度部に対して離間すると共に、該吸収体側第2高密度部を表側から覆う(3)から(5)のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸収体に形成され複数の高密度部が形成された溝部と、表面シートに形成され複数の高密度部が形成された溝部とが重なるように形成されることで、吸収体に吸収された経血の隠蔽性に優れた吸収性物品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図に基づいて本発明の実施形態における吸収性物品としての生理用ナプキン1について説明する。
まず、図1から図4により、生理用ナプキン1の構造について説明する。図1は、生理用ナプキン1の平面図である。図2は、生理用ナプキン1のA−A断面図である。図3は、生理用ナプキン1を構成する吸収体4の平面図である。図4は、第1圧搾溝5及び第2圧搾溝6の断面図である。
【0017】
図1に示すように、吸収性物品としての生理用ナプキン1は、略縦長状である。生理用ナプキン1は、液透過性の表面シート2と、液不透過性の裏面シート3と、表面シート2と裏面シート3との間に配置される吸収体4とを備える。また、生理用ナプキン1は、吸収体4に形成される吸収体側溝部としての一対の第1圧搾溝5、5と、表面シート2及び吸収体4に形成される表面シート側溝部としての一対の第2圧搾溝6、6とを有する。第1圧搾溝5、5と第2圧搾溝6、6とは、厚さ方向に重なるようにして形成される。言い換えると、第2圧搾溝6、6は第1圧搾溝5、5に沿うようにして形成される。
【0018】
第1圧搾溝5、5が形成された吸収体4と表面シート2とは、吸収体4に表面シート2を積層した状態で形成された第2圧搾溝6、6及びホットメルト接着剤等により貼り合わされて固定される。また、裏面シート3と吸収体4は、ホットメルト接着剤等により貼り合わされて固定される。表面シート2と裏面シート3とは、ホットメルト接着剤及びヒートシールにより貼り合わされて接合される。
【0019】
また、生理用ナプキン1には、下着に固定するための一対のウィング10、10及び不図示の固定部が形成される。不図示の固定部は、生理用ナプキン1における裏面シート3の中央に形成される。固定部が下着のクロッチ部における内側に固定されることで、生理用ナプキン1は、下着に固定される。ウィング10、10の図1における裏面側には、不図示の粘着部が形成される。該ウィング10、10を裏面シート3側に折り返して粘着部を下着の外側に貼り付けることで、生理用ナプキン1を下着に取り付けることができる。
【0020】
次いで、生理用ナプキン1を構成する各構成要素について説明する。
表面シート2は、レーヨン等のセルロース繊維、合成繊維樹脂等から形成されたスパンレース不織布、PE、PP、あるいはPET等の合成樹脂繊維で形成された不織布、前記合成樹脂繊維で形成されたエアスルー不織布等が用いられる。また、裏面シート3、吸収体4及びホットメルト粘着剤は、一般的に生理用ナプキンに使用されているものを用いることができる。ここで、本実施形態において、吸収体4には、表面シート2と該吸収体4との間に配置されるセカンドシート又はクッションシートと呼ばれる不織布も含まれる。
【0021】
図1から図3に示すように、高密度領域としての第1圧搾溝5、5は、吸収体4に形成される。第1圧搾溝5、5は、吸収体4に中心線CLを挟んで幅方向Xに互いに離間して形成される。また、第1圧搾溝5、5は、長手方向Yに延びるように形成される。第1圧搾溝5、5は、吸収体4における表面側(表面シート2が配置される側)が窪んだ溝状に形成される。
【0022】
第1圧搾溝5、5それぞれは、長手方向Yに延びるように間欠的に形成される複数の吸収体側第1高密度部5aと、吸収体側第2高密度部5bとを有して構成される。具体的には、第1圧搾溝5、5それぞれは、該第1圧搾溝5、5それぞれにおける底部に沿って間欠的に形成される複数の吸収体側第1高密度部5aと、吸収体側第2高密度部5bとを有する。
【0023】
図4に示すように、吸収体側第1高密度部5aは、第1圧搾溝5、5の底面に沿って一定間隔で形成される。吸収体側第1高密度部5aは、後述するように表面シート2と吸収体4とが一体的に圧縮処理されて形成される部分であり、第1圧搾溝5、5が形成された後に形成される部分である。複数の吸収体側第1高密度部5aそれぞれには、表面シート2に形成される後述の表面シート側高密度部6aが積層配置される。
【0024】
吸収体側第2高密度部5bは、第1圧搾溝5、5の底面に沿って一定間隔で形成される。吸収体側第2高密度部5bは、吸収体4のみに形成される部分である。複数の吸収体側第2高密度部5bそれぞれには、表面シート2における第2圧搾溝6、6の底面を構成する部分であって表面シート側高密度部6aが形成されていない部分が積層配置される。吸収体側第2高密度部5bは、該吸収体側第2高密度部5bにおける上面側が表面シート2に接合されない状態で配置される。
【0025】
吸収体側第2高密度部5bは、複数の吸収体側第1高密度部5a同士の間隔である間隔K1よりも狭い間隔K2ごとに形成される。吸収体側第2高密度部5bは、所定の吸収体側第1高密度部5aと、該所定の吸収体側第1高密度部5aと隣接する吸収体側第1高密度部5aとの間に2つの吸収体側第2高密度部5bが位置するように形成される。
【0026】
図4に示すように、第1圧搾溝5、5それぞれには、第2圧搾溝6、6それぞれに形成される高密度部の数よりも多くの高密度部が形成される。すなわち、第1圧搾溝5、5には、表面シート2に形成される表面シート側高密度部6aが当接して積層配置される吸収体側第1高密度部5aと、表面シート側高密度部6aが積層配置されない吸収体側第2高密度部5bとが形成される。
【0027】
更には、図4に示すように、第1圧搾溝5、5それぞれには、吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bのほか、吸収体側第1高密度部5aにおける圧縮よりも弱い圧縮力にて吸収体側中密度領域5eが形成されている。この吸収体側中密度領域5eは、吸収体側第1中密度部5c及び吸収体側第2中密度部5dを含む。吸収体側第1中密度部5cは、吸収体側第2高密度部5b同士の間に形成される部分である。また、吸収体側第2中密度部5dは、吸収体側第1高密度部5aと吸収体側第2高密度部5bとの間に形成される部分である。吸収体側第1中密度部5c及び吸収体側第2中密度部5dには、表面シート2における第2圧搾溝6、6の底面を構成する部分であって表面シート側高密度部6aが形成されていない部分が積層配置される。
【0028】
第1圧搾溝5、5それぞれは、吸収体側第2高密度部5bに対応する凸状部が形成されたエンボスロールと、平ロールとの間に吸収体4を通して圧搾(圧縮)処理し、その後、表面シート側高密度部6aに対応する凸状部が形成されたエンボスロールと、平ロールとの間に吸収体4と表面シート2との積層体を通して圧搾(圧縮)処理することで形成される。ここで、圧搾(圧縮)処理する手段として、上述のようにエンボスロールと平ロールとの組み合わせだけでなく、一方又は両方が板状の型であってもよく、凸状部が形成されない側の表面に該凸状部に対応した凹部が形成されてもよい。
【0029】
吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bは、強く圧縮(圧搾)された部分である。吸収体側第1中密度部5c及び吸収体側第2中密度部5dは、弱く圧縮された部分である。吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bは、上述の凸状部における突起部に強く圧搾されて形成された部分であり、吸収体4を構成する材料の密度が高くなるように構成された部分である。具体的には、吸収体4における第1圧搾溝5、5に隣接する領域(圧縮されていない領域)の密度を基準として密度が高くなるように構成される。この吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bは、吸収体側第1中密度部5c及び吸収体側第2中密度部5dよりも密度が高くなるように形成される。
【0030】
吸収体側第1中密度部5c及び吸収体側第2中密度部5dは、上述のように弱く圧縮された部分である。吸収体側第1中密度部5cは、隣接する吸収体側第2高密度部5bと吸収体側第2高密度部5bとが強く圧縮されたことで、結果として弱く圧縮された領域である。吸収体側第2中密度部5dは、隣接する吸収体側第1高密度部5aと吸収体側第2高密度部5bとが強く圧縮されたことで、結果として弱く圧縮された領域である。吸収体側第1中密度部5c及び吸収体側第2中密度部5dは、吸収体4を構成する材料の密度が、隣接する領域よりも高くなると共に吸収体側第1高密度部5aよりも低くなるように形成される。また、吸収体側第2中密度部5dは、吸収体側第1中密度部5cよりも吸収体4を構成する材料の密度が高くなるように形成される。
【0031】
図3に示すように、第1圧搾溝5、5は、中心線CLに対して線対称に形成される。そして、第1圧搾溝5、5は、例えば、互いに幅方向Xに20mmから50mm、より好ましくは25mmから45mmだけ離間して形成される。第1圧搾溝5、5における幅方向Xの離間距離が20mmより小さい場合、第1圧搾溝5、5の間に形成される中央領域としての中央部20における密度が高くなることで、該中央部20の剛性が必要以上に高くなる場合がある。つまり、中央部20が排泄部側に突出するように変形する際に、好適に変形できない場合がある。また、装着状態において、中央部20が必要以上に硬くなり装着性が低下する場合がある。逆に、第1圧搾溝5、5における幅方向Xの離間距離が50mmより大きい場合、排出部の幅よりも中央部20の幅が広すぎるので、排泄部に対する中央部20の適切な適合性が得られない場合がある。
【0032】
第1圧搾溝5、5の幅方向Xにおける長さである幅寸法は、例えば、0.5mmから10mm、より好ましくは1mmから5mmである。第1圧搾溝5、5の幅寸法が0.5mmより小さい場合、製造時や使用時に吸収体4が第1圧搾溝5、5に沿って切れてしまう場合や、第1圧搾溝5、5によって経血を十分に引き寄せることができず該経血が幅方向X外側に漏れることを抑制できない場合、あるいは該第1圧搾溝5、5の十分な剛性が得られないため、中央部20が排泄部側に突出するように変形する場合において該第1圧搾溝5、5が折れ起点として機能しない場合がある。逆に、第1圧搾溝5、5の幅寸法が10mmより大きい場合、第1圧搾溝5、5の剛性が過剰に高くなるので、装着時におけるフィット性や使用感が低下する場合がある。
【0033】
ここで、第1圧搾溝5、5の剛さは、例えば、300mg/inchから3000mg/inch、より好ましくは500mg/inchから2500mg/inchである。第1圧搾溝5、5の剛さが300mg/inchより小さい場合、装着時において、生理用ナプキン1の幅方向X両側に対して両太腿部から加えられる幅方向X内側への力を吸収体4に伝達させることが出来ないため、中央部20を排泄部側に突出するよう変形させることができない場合がある。逆に、第1圧搾溝5、5の剛さが3000mg/inchより大きい場合、第1圧搾溝5、5の剛性が高すぎて装着時におけるフィット性や使用感が低下する場合がある。ここで、第1圧搾溝5、5の剛さは、JIS(Japanese Industrial Standards) L−1096 8.20.1 A法(ガーレー法)の規定に沿って測定される。
【0034】
第1圧搾溝5、5を構成する吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5b同士の長手方向における間隔は、例えば、0.5mmから10mm、より好ましくは2mmから5mmである。この間隔が0.5mmより小さい場合、第1圧搾溝5、5の剛性が高くなり、装着時におけるフィット性や使用感が低下する場合がある。逆に、この間隔が10mmより大きい場合、吸収体側第1高密度部5a同士の間隔が広すぎて後述する経血の幅方向X外側からの漏れを抑制できない場合がある。
【0035】
第1圧搾溝5、5それぞれは、表面シート2を透過して吸収体4に吸収された経血が幅方向X外側に漏れることを抑制する防漏溝60として機能する。具体的には、第1圧搾溝5、5は、該第1圧搾溝5、5を主に構成する複数の吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bが、表面シート2を透過して吸収体4における中央部20に吸収された経血であって幅方向X外側に移行した経血を引き寄せることで、幅方向X外側に経血が漏れることを抑制する。ここで、後述のように、吸収体側第2高密度部5bに引き寄せられた経血は、表面シート2側に移行しにくいので、該生理用ナプキン1を表面シート2側から見た場合における経血の隠蔽性に優れる。
【0036】
また、第1圧搾溝5、5それぞれは、中央部20を排泄部側に突出するように変形させる折れ起点として機能する。第1圧搾溝5、5は、中央部20を突出させて領域30を排泄部に当接させるための折れ起点として機能する。
【0037】
ここで、図1及び図2に示すように、生理用ナプキン1において、表面シート2における第1圧搾溝5、5と重なる部分に第2圧搾溝6、6が形成される。
【0038】
表面シート側溝部としての第2圧搾溝6、6ぞれぞれは、表面シート2が吸収体4側に窪んだ溝状に形成された領域である。第2圧搾溝6、6それぞれは、第1圧搾溝5、5に対応する溝部が形成された吸収体4に、表面シート2を積層させた状態で圧縮(圧搾)処理をすることで形成される。第2圧搾溝6、6は、全体的に瓢箪状の環状である防漏溝60の一部を構成する部分である。
【0039】
第2圧搾溝6、6それぞれは、長手方向Yに延びるように間欠的に形成される複数の表面シート側高密度部6aを有して構成される。具体的には、第2圧搾溝6、6それぞれは、該第2圧搾溝6、6それぞれにおける底部に沿って間欠的に形成される複数の表面シート側高密度部6aを有する。詳細には、図4に示すように、第2圧搾溝6、6それぞれは、第2圧搾溝6、6それぞれの底部に交互に形成される表面シート側高密度部6aと、表面シート側中密度部6bとを有して構成される。
【0040】
表面シート側高密度部6aは、吸収体4における吸収体側第1高密度部5aに当接して積層配置される部分である。表面シート側高密度部6aは、吸収体側第1高密度部5aが形成される間隔と同じ間隔で形成される。
【0041】
表面シート側高密度部6aは、吸収体4に形成される吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bを含む高密度部が形成される間隔の平均よりも広い間隔で形成される。更には、表面シート側高密度部6aは、吸収体4に形成された各高密度部同士の間隔のうち最も長い間隔ごとに形成される。
【0042】
表面シート側高密度部6aは、吸収体側第1高密度部5aと一体的に形成される。詳細には、第1圧搾溝5、5に対応する溝が形成された吸収体4に表面シート2を配置した後、該積層体における表面シート2の上面から溝に対応する領域を所定間隔で圧縮処理することで形成される。第2圧搾溝6、6は、上述の第1圧搾溝5、5と同様に形成できる。つまり、第2圧搾溝6、6は、表面シート2と第1圧搾溝5、5に対応する溝が形成された吸収体4とを積層した状態で、第2圧搾溝6、6に対応した凸状部が形成されたエンボスロールと平ロールとの間を通して圧縮(圧搾)処理することで形成できる。ここで、第2圧搾溝6、6を形成する手段として、エンボスロールと平ロールとの組み合わせに限定されない点も上述と同様である。
【0043】
第1圧搾溝5、5の吸収体側第1高密度部5aと同様に、表面シート側高密度部6aは強く圧搾(圧縮)された部分であり、表面シート側中密度部6bは弱く圧縮された部分である。表面シート側高密度部6aは、表面シート2及び吸収体4の一部を強く圧搾(圧縮)して形成された部分における表面シート2側の部分である。表面シート側高密度部6aは、表面シート2を構成する材料の密度が高くなるように構成された部分である。また、表面シート側高密度部6aは、表面シート側中密度部6bよりも表面シート2及び吸収体4それぞれの密度が高くなるように形成される。
【0044】
表面シート側中密度部6bは、上述のように弱く圧縮された部分である。表面シート側中密度部6bは、隣接する表面シート側高密度部6aと表面シート側高密度部6aとが強く圧搾されたことで、結果として弱く圧縮された領域である。表面シート側中密度部6bは、隣接する領域よりも表面シート2を構成する材料の密度が高く、表面シート側高密度部6aよりもそれぞれの密度が低くなるように形成される。
【0045】
図1に示すように、第2圧搾溝6、6は、中心線CLに線対称に形成される。第2圧搾溝6、6の幅方向Xにおける長さである幅寸法は、例えば、0.5mmから10mm、より好ましくは1mmから5mmである。第2圧搾溝6、6の幅寸法が0.5mmより小さい場合、製造時や使用時に表面シート2及び吸収体4が該第2圧搾溝6、6に沿って切れてしまう場合や、表面シート2の表面を伝って流れる経血を該第2圧搾溝6、6を介して十分に捕集することができない場合、あるいは経血を十分に引き寄せることができず該経血が幅方向X外側に漏れることを抑制できない場合がある。逆に、第2圧搾溝6、6の幅寸法が10mmより大きい場合、第2圧搾溝6、6の剛性が過剰に高くなるので、装着時におけるフィット性や使用感が低下する場合がある。
【0046】
図4に示すように、ここで、第2圧搾溝6、6における表面シート側高密度部6a同士の間隔K1は、第1圧搾溝5、5における吸収体側第2高密度部5b同士の間隔K2よりも広くなるよう形成される。第1圧搾溝5、5における吸収体側第2高密度部5bは、吸収体側第1高密度部5aと共に吸収体4の内部を幅方向X外側に移行する経血が外側に漏れないように短時間で引き寄せる必要があるために互いに近接して形成される。これに対し、第2圧搾溝6、6は、表面シート2の表面を伝う経血の流れを止めるため凹状に形成されていればよく、表面シート側高密度部6aは凹部に流れた経血を所定時間内に引き寄せることができる程度に形成されていればよい。具体的には、間隔K1は、例えば、2mmから20mm、より好ましくは5mmから15mmである。この間隔K1が2mmより小さい場合、第2圧搾溝6、6の剛性が高くなり過ぎて装着時に身体にフィットするように変形しない場合がある。逆に、この間隔K1が20mmより大きい場合、表面シート2の表面を伝って第2圧搾溝6、6に落ち込んだ経血を引き寄せることができない場合がある。この場合、第2圧搾溝6、6に落ち込んだ経血が吸収体4に移行する前に、更に表面シート2の表面を伝って生理用ナプキン1の幅方向X外側に漏れ出す場合がある。
【0047】
第2圧搾溝6、6それぞれは、表面シート2の表面を伝って流れる経血が幅方向X外側に漏れ出すことを抑制する防漏溝60として機能する。具体的には、第2圧搾溝6、6は、表面シート2の表面を伝って流れる経血を凹部により捕集すると共に、該凹部における底部に形成される表面シート側高密度部6aが該捕集された経血を吸収体4側に引き寄せることで、経血が幅方向X外側に漏れ出すことを抑制する。
【0048】
また、図1に示すように、第2圧搾溝6、6それぞれは、第2圧搾溝6、6同士に挟まれた領域30を排泄部側に突出するように変形させる折れ起点として機能する。具体的には、第2圧搾溝6、6は、第1圧搾溝5、5と協働して領域30(中央部20)を排泄部に当接させるように変形させる。
【0049】
また、第2圧搾溝6、6それぞれは、外部から視認できる防漏溝60であって経血を吸収できる領域を示す目印として機能する。つまり、第2圧搾溝6、6を使用者に目視させることで、漏れに対する該使用者の不安を解消することができる。この点からも、第2圧搾溝6、6は、幅方向Xにある程度の間隔をあけて形成される必要がある。
【0050】
次いで、図1及び図4により、第1圧搾溝5、5及び第2圧搾溝6、6の構造について更に詳述する。
吸収体4には、第1圧搾溝5、5が形成される。吸収体4に積層される表面シート2には、第2圧搾溝6、6が形成される。第2圧搾溝6、6は、厚さ方向Zにおいて第1圧搾溝5、5に重なるように形成される。
【0051】
第1圧搾溝5、5の底部には、吸収体側第1高密度部5aと吸収体側第2高密度部5bとが形成される。吸収体側第1高密度部5aは、間隔K1ごとに形成される。吸収体側第2高密度部5bは、間隔K1よりも狭い間隔K2ごとに形成される。所定の吸収体側第1高密度部5aと隣接する吸収体側第1高密度部5aとの間に2つの吸収体側第2高密度部5bが形成される。
【0052】
第2圧搾溝6、6の底部には、表面シート側高密度部6aが形成される。表面シート側高密度部6aは吸収体側第1高密度部5aと一体的に形成されるので、表面シート側高密度部6aは、間隔K1ごとに形成される。
【0053】
上記高密度部同士の間には、各中密度部が形成される。
吸収体4に形成される第1圧搾溝5、5の底部には、吸収体側第1中密度部5cと吸収体側第2中密度部5dとが形成される。吸収体側第1中密度部5cは、吸収体側第2高密度部5bと吸収体側第2高密度部5bとの間に形成される。吸収体側第2中密度部5dは、吸収体側第1高密度部5aと吸収体側第2高密度部5bとの間に形成される。
【0054】
表面シート2に形成される第2圧搾溝6、6の底部には、表面シート側中密度部6bが形成される。表面シート側中密度部6bは、所定の表面シート側高密度部6aと隣接する表面シート側高密度部6aとの間に形成される。
【0055】
吸収体4側の高密度部及び中密度部と、表面シート2側の高密度部及び中密度部との位置関係について説明する。
吸収体側第1高密度部5aの厚さ方向Zにおける上側(図4においては下側をZ1、上側をZ2として示す)には、表面シート側高密度部6aが当接して積層配置される。互いに当接して配置されるので、一方側に捕集された経血は、他方側に移行されやすい。ここで、吸収体側第1高密度部5aと表面シート側高密度部6aとは厚さが薄くなるように圧縮形成されると共に、互いに接合(圧着)されている。これにより、吸収体側第1高密度部5aのみに経血が捕集され表面シート側高密度部6aに移行されていない場合でも外部から経血の赤い色が視認できる状態になる。
【0056】
吸収体側第2高密度部5bの厚さ方向ZにおけるZ2側(上側)には、表面シート側中密度部6bが配置される。本実施形態において、吸収体側第2高密度部5bの底部は表面シート側中密度部6bから離間して配置される。このように互いに離間して配置されるので、経血は、吸収体側第2高密度部5bから表面シート側中密度部6bに移行されにくい。また、互いに当接していたとしても、密度の関係から、経血は、密度が高い吸収体側第2高密度部5bから密度が低い表面シート側中密度部6bに移行されにくい。
【0057】
吸収体側第1中密度部5cの厚さ方向ZにおけるZ2側(上側)には、表面シート側中密度部6bが当接して積層配置される。互いに当接されるので、一般的には、一方側に捕集された経血は、他方側に移行されやすい。ここで、表面シート側中密度部6bの密度は、吸収体側第1中密度部5cの密度よりも低い。従って、経血は、吸収体側第1中密度部5cから表面シート側中密度部6bに移行されにくい。
【0058】
吸収体側第2中密度部5dの厚さ方向ZにおけるZ2側(上側)には、表面シート側中密度部6bの一端から表面シート側高密度部6aの端部までの部分が当接して積層配置される。互いに当接されるので、一般的には、一方側に捕集された経血は、他方側に移行されやすい。ここで、表面シート側中密度部6bの一端から表面シート側高密度部6aの端部までの部分における密度は、吸収体側第2中密度部5dの密度よりも低い。従って、経血は、吸収体側第2中密度部5dから表面シート側中密度部6b等に移行されにくい。
【0059】
続けて、図5(A)から図5(D)により、生理用ナプキン1の製造方法について説明する。
図5(A)は吸収体4の一部における斜視図であり、(B)は第1圧搾溝5が形成された吸収体4の部分の斜視図であり、(C)は(B)の吸収体4に表面シート2が積層された積層体における斜視図であり、(D)は第2圧搾溝6が形成された積層体における斜視図である。
【0060】
まず、図5(A)に示す吸収体4に対して上述のエンボスロールにより圧縮処理をする。これにより、図5(B)に示すように、吸収体4における一方の面側に第1圧搾溝5に対応する溝部が形成される。第1圧搾溝5に対応する溝部における底部には、複数の吸収体側第2高密度部5bが形成される。複数の吸収体側第2高密度部5bが形成されることで、吸収体側第2高密度部5b同士の間の領域も引っぱられるようにして圧縮され、吸収体側第1中密度部5cが形成される。これにより、第1圧搾溝5に対応する溝部が形成された領域における厚さが薄くなる。
【0061】
次いで、図5(C)に示すように、第1圧搾溝5に対応する溝部が形成された吸収体4に表面シート2を積層配置する。そして、吸収体4に表面シート2が積層された積層体に対して上述のエンボスロールにより圧縮処理をする。これにより、図5(D)に示すように、表面シート2における外面側に第2圧搾溝6が形成される。
【0062】
第2圧搾溝6の底部には、複数の表面シート側高密度部6aが形成される。複数の表面シート側高密度部6aが形成されることで、表面シート側高密度部6a同士の間の領域(底部を構成する部分)も引っぱられるようにして移動されると共に圧縮され、表面シート側中密度部6bが形成される。また同時に、吸収体側第1中密度部5cの一部が、表面シート側高密度部6aの形成時に圧縮されることで、吸収体側第1高密度部5a又は吸収体側第2中密度部5dとなる。
【0063】
ここで、表面シート側高密度部6a同士の間の領域の図5における下面側には、第1圧搾溝5に対応する溝部が配置されている。つまり、表面シート側高密度部6a同士の間の領域における圧縮方向には、厚さが薄くなるように形成された領域が配置される。これにより、吸収体4に溝部が形成されていない場合に比べて、表面シート側高密度部6a同士の間の領域に加えられる圧縮力が小さくなる。このため、従来に比べて、圧縮率が低く、嵩高で低密度に構成された表面シート側中密度部6bが形成される。更には、表面シート側中密度部としての表面シート側中密度部6bにおける圧縮率は、吸収体側中密度領域5eの一部を構成する吸収体側第1中密度部5cにおける圧縮率よりも低い。
【0064】
次いで、図6及び図7により、生理用ナプキン1の表面に排泄された経血の流れについて説明する。
図6(A)から図6(C)は、吸収体側第1高密度部5aと表面シート側高密度部6aとが積層配置された部分における経血の流れを説明する図である。図7(A)から図7(C)は、吸収体側第2高密度部5bと表面シート側中密度部6bとが積層配置された部分における経血の流れを説明する図である。
【0065】
図6(A)から図6(C)により、吸収体側第1高密度部5aと表面シート側高密度部6aとが積層配置された部分における経血の流れを含む経血の流れを説明する。
まず、図6(A)に示すように、生理用ナプキン1の表面に経血Lが滴下されるよう排泄される。表面シート2の表面に排泄された経血Lは、表面シート2を透過して吸収体4に吸収される。そして、吸収体4に吸収された経血Lは、幅方向X外側に広がるように移行する。
【0066】
次いで、図6(B)に示すように、吸収体4の内部において幅方向X外側に移行した経血Lは、第1圧搾溝5、5の吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bに引き寄せられる。そして、引き寄せられた経血Lは、吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bに隣接する吸収体側第1中密度部5c及び吸収体側第2中密度部5d(図6(B)に図示せず)に拡散するように移行される。このようにして、経血Lが幅方向X外側に漏れ出すことが抑制される。
【0067】
続けて、図6(C)に示すように、吸収体側第1高密度部5aに捕集された経血は、該吸収体側第1高密度部5aに当接して積層配置された表面シート側高密度部6aに移行される。つまり、吸収体4に吸収された経血が吸収体側第1高密度部5aを介して表面シート側高密度部6aに移行することで、外部に露出された状態になる。
【0068】
図7(A)から図7(C)により、吸収体側第2高密度部5bと表面シート側中密度部6bとが積層配置された部分における経血の流れを含む経血の流れを説明する。
まず、図7(A)に示すように、生理用ナプキン1の表面に経血Lが滴下されるよう排泄される。表面シート2の表面に排泄された経血Lは、表面シート2を透過して吸収体4に吸収される。そして、吸収体4に吸収された経血Lは、幅方向X外側に広がるように移行する。
【0069】
次いで、図7(B)に示すように、吸収体4の内部において幅方向X外側に移行した経血Lは、第1圧搾溝5、5の吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bに引き寄せられる。そして、引き寄せられた経血Lは、吸収体側第1高密度部5a及び吸収体側第2高密度部5bに隣接する吸収体側第1中密度部5c及び吸収体側第2中密度部5d(図7(B)に図示せず)に拡散するように移行される。このようにして、経血Lが幅方向X外側に漏れ出すことが抑制される。
【0070】
続けて、図7(C)に示すように、経血を捕集した吸収体側第2高密度部5bの図7(C)における上面側には、表面シート側中密度部6bが吸収体側第2高密度部5bと離間して積層配置される。このように、表面シート2側の表面シート側中密度部6bが吸収体4側の吸収体側第2高密度部5bと離間しているので、吸収体側第2高密度部5bに捕集された経血は、表面シート2側に移行されない。つまり、吸収体側第2高密度部5bで捕集された経血は、表面シート2側に移行されないと共に、表面シート2に被覆される。生理用ナプキン1を表面シート2側から見た場合、経血Lが引き寄せられた吸収体側第2高密度部5bが表面シート2に被覆されるので、経血Lの赤色は外部から隠蔽されている。
【0071】
本実施形態によれば、表面シート2側に形成される表面シート側高密度部6aの数を少なくできるので、吸収体4側から表面シート2側に経血が移行する箇所を少なくすることができる。これにより、経血の赤色が外部から視認されることによる不快感を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、吸収体4側に形成される複数の吸収体側第2高密度部5bにおける上面は、表面シート2側に形成される表面シート側中密度部6bが離間して配置される。吸収体側第2高密度部5bに捕集された経血が表面シート2側に移行されないと共に、吸収体側第2高密度部5bに捕集された経血が表面シート2により被覆される。これにより、経血の赤色が外部から視認されることによる不快感を抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、吸収体側第2高密度部5bで経血の捕集機能が担保されているので、第2圧搾溝6、6における表面シート側高密度部6a同士の間隔を広くすることができる。これにより、生理用ナプキン1の長手方向Yにおける折れ曲がり剛性を低くすることができる。装着状態において、生理用ナプキン1を身体の形状に沿うように柔軟に変形させることができる。また、装着時におけるフィット性等が向上される。
【0074】
また、本実施形態によれば、第1圧搾溝5、5において複数の吸収体側第2高密度部5bが狭い間隔で形成されるので、第2圧搾溝6、6に形成される表面シート側高密度部6aの数が少なく広い間隔で形成されても、装着時において、中央部20が排泄部側に突出するよう好適に変形される。
【0075】
以上、本形態の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。本実施形態において、第1圧搾溝5、5及び第2圧搾溝6、6それぞれは一対で形成されるが、これに限定されず、それぞれ3本以上形成されていてもよい。
【0076】
また、本実施形態において、表面シート側高密度部6aの形状は、円状に限定されず、四角、ハート形状等の任意の形状であってよい。
【0077】
また、本実施形態において、第1圧搾溝5、5は、防漏溝60の中央部を構成する楕円部における幅方向外側に対応する部分だけに形成されているが、これに限定されず、図8に示すように、生理用ナプキン1Aの第1圧搾溝5、5を、防漏溝60の中央部を構成する楕円部に対応する部分全体に形成してもよい。この場合、経血の幅方向外側における漏れだけでなく、長手方向外側における漏れを抑制することができる。また、この場合、経血が長手方向に移行された場合における経血の隠蔽性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態に係る生理用ナプキンの平面図である。
【図2】生理用ナプキンのA−A断面図である。
【図3】生理用ナプキンを構成する吸収体の平面図である。
【図4】第1圧搾溝及び第2圧搾溝の断面図である。
【図5】(A)吸収体の一部における斜視図、(B)第1圧搾溝が形成された吸収体の部分の斜視図、(C)吸収体に表面シートが積層された積層体における斜視図、(D)第2圧搾溝が形成された積層体における斜視図である。
【図6】吸収体側第1高密度部と表面シート側高密度部とが積層配置された部分における経血の流れを説明する断面図であり、(A)から(C)に至る順に経血の変化を示す。
【図7】吸収体側第2高密度部と表面シート側中密度部とが積層配置された部分における経血の流れを説明する断面図であり、(A)から(C)に至る順に経血の変化を示す。
【図8】他の実施形態に係る生理用ナプキンの平面図である。
【符号の説明】
【0079】
1、1A 生理用ナプキン
2 表面シート
6 第2圧搾溝
6a 表面シート側高密度部
6b 表面シート側中密度部
3 裏面シート
4 吸収体
5 第1圧搾溝
5a 吸収体側第1高密度部
5b 吸収体側第2高密度部
5e 吸収体側中密度領域
5c 吸収体側第1中密度部
5d 吸収体側第2中密度部
10 ウィング
20 中央部
30 領域
60 防漏溝
CL 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される液保持性の吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体における前記表面シート側が窪んで形成されると共に該吸収性物品における長手方向に延びるように形成される吸収体側溝部と、
前記表面シートが吸収体側に窪んで形成されると共に全部又は一部が前記吸収体側溝部に重なるように配置される表面シート側溝部と、を備え、
前記吸収体側溝部の底部には、吸収体側第1高密度部と、前記吸収体側第1高密度部同士の間に形成される吸収体側第2高密度部とがそれぞれ複数形成され、
前記表面シート側溝部には、前記複数の吸収体側第1高密度部それぞれに当接して積層配置される複数の表面シート側高密度部が形成される吸収性物品。
【請求項2】
前記複数の表面シート側高密度部同士の間隔は、前記複数の吸収体側第2高密度部同士の間隔よりも長くなるように構成される請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記表面シートにおける前記複数の表面シート側高密度部同士の間には、該表面シート側高密度部における圧縮よりも弱い圧縮力にて表面シート側中密度部が形成され、
前記吸収体における前記複数の吸収体側第1高密度部同士の間には、該吸収体側第1高密度部における圧縮よりも弱い圧縮力にて吸収体側中密度領域が形成され、
前記表面シート側中密度部の密度を、前記吸収体側中密度領域の密度よりも低くした請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収体側中密度領域は、
前記吸収体における前記複数の吸収体側第2高密度部同士の間に形成されたものであって、該吸収体側第2高密度部における圧縮よりも弱い圧縮力にて形成された吸収体側第1中密度部と、
前記吸収体における前記吸収体側第1高密度部と前記吸収体側第2高密度部との間に形成されたものであって、該吸収体側第2高密度部における圧縮よりも弱い圧縮力にて形成された吸収体側第2中密度部を含む請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記表面シート側中密度部は、前記吸収体側第1中密度部に表側から当接する請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記表面シート側中密度部は、前記吸収体側第2高密度部に対して離間すると共に、該吸収体側第2高密度部を表側から覆う請求項3から5のいずれかに記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−201878(P2009−201878A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49317(P2008−49317)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】