説明

吸収性物品

【課題】 吸収性物品のシャーシから離間する離隔シートに形成された連通部と、排泄位置とがずれるのを抑制することができる。
【解決手段】 内外面シート6,7の間に吸液構造体15が形成され、内面シート6の身体側に離隔シート18が形成される。離隔シート18の両側部分21,22が第1接合部30,31を介して内面シート6に接合される。第1接合部30,31は、縦方向Yに連続して延び、厚さ方向において吸液構造体15にほぼ重なる。離隔シート18の身体側に形成された漏れ防止カフ35,36は、離隔シート18の横方向X外側に位置する第2接合部41,42を介して内面シート6に接合されるとともに、前ウエスト域3において第3接合部50を介して離隔シート18と接合し、後ウエスト域4において第4接合域51を介して離隔シート18と接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸収性物品に関し、さらに詳しくは使い捨てのおむつ、排便トレーニングパンツ、失禁ブリーフ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨てのおむつにおいて、便および尿を通過させる開口部が形成されたシートを有するものとして、例えば特開平9−510385号公報(特許文献1)が公知である。この特許文献1によれば、おむつは内方シートと、外方シートと、内方シートのさらに身体側内面に配置されるフローティングシートとを有している。フローティングシートには便および尿を通過させる前後開口部が形成されている。この前後開口部に沿って縦方向にフローティングシート用の弾性部材が伸長状態で取り付けられ、この弾性部材の収縮によってフローティングシートがシャーシから離間して着用者の肌に接触する。離間したフローティングシートの前後開口部を介して便および尿が排泄され、便等が着用者の肌に直接付着するのを防止している。
【0003】
フローティングシートの横方向外側であって、内方シートと外方シートとの間には、内外方シートの両側縁に沿って縦方向に延びるレッグ弾性部材が伸長状態で取り付けられている。レッグ弾性部材の収縮によって両側縁がそれぞれ着用者の脚周りに密着し、尿等の漏れを防止する。
【特許文献1】特開平9−510385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなおむつを着用した状態で着用者の脚が動くと、この動きに追従して内外方シートの両側縁とレッグ弾性部材とが動く。レッグ弾性部材の横方向内側にはフローティングシートが形成されているので、レッグ弾性部材が動くとフローティングシートも動いてしまい、フローティングシートが着用者から離間して接触しなくなったり、フローティングシートの開口形状が変形してしまったりする。フローティングシートが着用者から離間したり、開口が変形したりすると、排泄位置と開口の位置とがずれて、フローティングシート上に排泄物が排泄される可能性がある。フローティングシート上に排泄された便等が着用者に接触することによって、肌トラブルを引き起こしかねない。
【0005】
この発明では、吸収性物品のシャーシから離間する離隔シートに形成された連通部と、排泄位置とがずれることがない吸収性物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、縦方向および横方向と、身体側および着衣側と、前記縦方向に連なる前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、少なくとも前記クロッチ域に配置される吸液構造体とを有するシャーシと、前記シャーシの前記身体側にあって前記クロッチ域から離間可能に形成された離隔シートと、少なくとも前記クロッチ域を前記縦方向に延びて伸長状態で収縮可能に取り付けられたレッグ弾性部材とを含む吸収性物品の改良に関わる。
【0007】
この発明は前記吸収性物品において、前記離隔シートは、前記横方向に対向して前記縦方向に延びる一対の両側部分と、前記両側部分の間に連なる中間部分と、前記両側部分および前記中間部分によって形成され前記身体側と前記シャーシ側とを連通させる連通部と、前記両側部分を前記シャーシに接合する接合部とを含むとともに、少なくとも前記クロッチ域において前記縦方向に弾性化され、前記接合部が前記吸液構造体と重なる位置に形成される。前記レッグ弾性部材は、前記吸液構造体の前記横方向外側に延設される。前記吸液構造体は、前記縦方向に対向して前記横方向に延びる前後端縁を対向させるように湾曲することによって、前記離隔シートと前記吸液構造体との間に空隙を形成し、少なくとも前記中間部分が着用者の肌に接触可能に形成されることを特徴とする。
【0008】
好ましい実施態様のひとつとして、前記接合部は、少なくとも前記クロッチ域において前記縦方向に延びて形成される。
【0009】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記離隔シートの前記両側部分は、前記縦方向に延びる折曲線を介して前記シャーシ側に折り返される領域を形成し、この領域に前記接合部が形成される。
【0010】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記接合部は、前記シャーシの前記縦方向の寸法を二等分する横中心線よりも前記前ウエスト域側において前記接合部の前記横方向の内側と外側とを連通する連通路を形成する。
【0011】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記シャーシの前記身体側に、前記縦方向に延びる一対の漏れ防止カフをさらに含み、前記漏れ防止カフは、前記シャーシに固定される基側縁と、前記シャーシから離間する自由側縁とを含み、前記基側縁に前記レッグ弾性部材が取り付けられる。
【0012】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記レッグ弾性部材は、前記離隔シートの両側部分と略平行に延びる。
【0013】
好ましい他の実施態様のひとつとして、前記レッグ弾性部材は、前記前ウエスト域と前記クロッチ域との境界から前記後ウエスト域と前記クロッチ域との境界まで延びるとともに、前記レッグ弾性部材の両端部は前記吸液構造体の前記横方向外側に位置し、前記接合部は少なくとも前記両端部に対応する位置において前記吸液構造体に重なる。
【発明の効果】
【0014】
離隔シートは、横方向に対向して縦方向に延びる一対の両側部分が接合部を介してシャーシに接合される。接合部は、吸液構造体と重なる位置に形成されることとしたので、離隔シートは剛性の高い吸液構造体に接合されることとなる。レッグ弾性部材は、吸液構造体の横方向外側に位置する。したがって、着用者の脚の動きに追従してレッグ弾性部材が動いたとしても、このレッグ弾性部材の動きが吸液構造体で規制されて、離隔シートに伝わるのを抑制することができる。離隔シートの動きが抑制されるので、離隔シートの連通部と着用者の排泄位置とのずれが抑制され、離隔シートの着用者側に排泄物が排泄されるのを抑制することができる。
【0015】
接合部は、少なくともクロッチ域において縦方向に延びて形成されることとしたので、脚の動きによるレッグ弾性部材の移動の影響が大きい部位において、レッグ弾性部材によって離隔シートが動いてしまうのを規制することができる。したがって、より一層離隔シートの連通部と排泄位置との位置ずれを抑制することができる。
【0016】
離隔シートの両側部分は、縦方向に延びる折曲線を介してシャーシ側に折り返される領域を形成し、この領域に接合部が形成されることとしたので、シャーシと離隔シートとの離間距離を大きくすることができ、離隔シートに対するレッグ弾性部材の移動による影響を減少させることができる。
【0017】
接合部は、シャーシの縦方向の寸法を二等分する横中心線よりも前ウエスト域側において接合部の横方向の内側と外側とを連通する連通路を形成することとしたので、接合部の横方向内側に排泄された尿等を外側に移行させることができ、接合部の横方向の内外側のいずれにおいても尿等を吸液構造体で吸収することができる。すなわち、広い範囲で尿等を吸収することができ、尿等の漏れを予防することができる。
【0018】
シャーシの身体側に、縦方向に延びる一対の漏れ防止カフをさらに含むこととし、漏れ防止カフの基側縁にレッグ弾性部材が取り付けられることとしたので、吸液構造体を形成するシートとは別のシートにレッグ弾性部材を取り付けることができ、吸液構造体を介したレッグ弾性部材の移動による離隔シートへの影響をより一層減少させることができる。
【0019】
レッグ弾性部材が、離隔シートの両側部分と略平行に延びるようにしたので、両側部分に形成された接合部とレッグ弾性部材との離間距離をほぼ一定にすることができ、レッグ弾性部材の離隔シートに対する影響も一定にすることができる。したがって、局部的にレッグ弾性部材の影響が大きくなることを抑制することができる。
【0020】
レッグ弾性部材はテープ状のゴムによって形成され、このレッグ弾性部材が、前ウエスト域とクロッチ域との境界から後ウエスト域とクロッチ域との境界まで延びることとしている。すなわち、レッグ弾性部材はクロッチ域の縦方向全域に亘って形成されることとなる。このようなレッグ弾性部材の両端部は吸液構造体の横方向外側に位置させ、接合部は吸液構造体に重なることとしているので、レッグ弾性部材の移動量が大きいクロッチ域において、接合部に対するレッグ弾性部材の影響を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
吸収性物品として使い捨ておむつを用い、この発明の一例を説明する。
【0022】
<第1の実施形態>
図1〜8は第1の実施形態を示したものである。図1はおむつ1の着用状態を示した図である。図示したように、この実施形態のおむつはいわゆるプルオン・パンツ型のものである。おむつ1はシャーシ2によってパンツ型に形成され、シャーシ2は前ウエスト域3、後ウエスト域4および前記前後ウエスト域3,4間に位置するクロッチ域5を含んでいる。前ウエスト域3からクロッチ域5を通って後ウエスト域4へと向かう方向を縦方向Yとし、これに直交する方向を横方向Xとしている。
【0023】
シャーシ2は、身体側内面を形成する内面シート6と、着衣側外面を形成する外面シート7と、内外面シート6,7の前後ウエスト域3,4に取り付けられた前後フラップ8,9とを含む。前後フラップ8,9は、少なくとも横方向Xに伸縮可能な弾性シートによって形成されている。後フラップ9の着衣側外面に、前フラップ8の身体側内面が重なって間欠的に接合されて接合部10を形成することにより、パンツ形状を形成する。このようにパンツ形状が形成されることによって、前後ウエスト域3,4で囲まれた領域にウエスト開口11と一対のレッグ開口12が形成されている。
【0024】
図2はおむつ1の前後フラップ8,9の接合部10の接合を解き、おむつ1を縦方向Yと横方向Xとに展開し、前後ウエスト域3,4とクロッチ域5とが同一平面上に位置するようにしたおむつ1の平面図であり、説明のため一部を破断させている。図3は図2の分解組立図であり、説明のため一部を破断させている。おむつ1は、平面状になるように各弾性部材の伸縮力を作用させない状態を示している。おむつ1は、横方向Xの寸法を二等分する縦中心線P−Pと、縦方向Yの寸法を二等分する横中心線Q−Qとを有し、縦中心線P−Pに関して左右対称である。図4,図5,図6は、それぞれ図2のIV−IV線端面図、V−V線端面図、VI−VI線端面図である。
【0025】
図示したように、内外面シート6,7はほぼ同形同大の繊維不織布であり、縦方向Yに延びて略矩形を形成している。外面シート7の身体側には、不透液性の漏れバリアシート14が形成され、漏れバリアシート14のさらに身体側には吸液構造体15が形成されている。内外面シー6,7は通気性かつ疎水性の不織布等で形成され、漏れバリアシート14および吸液構造体15を介して互いに接合されている。
【0026】
吸液構造体15は、縦方向Yに対向して、横方向Xに延びる前後端縁15a,15bを含む。吸液構造体15は、吸液性芯材16と、吸液性芯材16を包む吸液拡散シート17とを含み、少なくともクロッチ域5に形成され、クロッチ域5から前後ウエスト域3,4に向かって延びている。
【0027】
内外面シート6,7の前後ウエスト域3,4には、前後フラップ8,9の内側縁8a,9aが取り付けられ、横方向Xの外側に向かって外側縁8b,9bが延出している。内面シート6の身体側には離隔シート18が形成される。離隔シート18は、内面シート6側に位置する第1シート19と、第1シート19の身体側に積層された第2シート20とを含む。これら第1シート19と第2シート20とから形成される離隔シート18は、横方向Xに対向する両側部分21,22と両側部分21,22の間に連なる中間部分23とを有し、中間部分23はクロッチ域5に位置している。両側部分21,22および中間部分23によって前後方連通部24,25を形成している。前方連通部24は、中間部分23から前ウエスト域3に向かって開口してほぼU字形を形成し、後方連通部25は、中間部分23から後ウエスト域4に向かって開口しほぼU字形を形成している。
【0028】
第1シート19は、両側部分21,22に縦方向Yに延びる折曲線26,27を形成し、この折曲線26,27に沿って両側部分21,22が内面シート6側に折り返され、折返し領域28,29を形成する。折返し領域28,29を内面シート6に接合し、第1接合部30,31を形成している。図7は第1接合部30,31の位置関係が分かりやすいように、図2のおむつ1から漏れ防止カフ35,36を省略したものである。図示したように、第1接合部30,31は、離隔シート18の前端縁から後端縁まで縦方向Yに連続して延びるとともに、厚さ方向において吸液構造体15にほぼ重なるようにしている。
【0029】
第1シート19と第2シート20との間には、一対の離隔シート弾性部材33,34を伸長状態で取り付けている。離隔シート弾性部材33,34は、前後方連通部24,25に沿って取り付けられ、中間部分32において縦中心線P−Pに向かって湾曲している。離隔シート弾性部材33,34は離隔シート18に対して縦方向Yの収縮力を付与するものであるので、例えば離隔シートが伸縮性シートで形成されている場合など縦方向Yに弾性化可能であれば、必ずしも用いる必要はない。
【0030】
離隔シート18の第2シート20のさらに身体側には、一対の漏れ防止カフ35,36を形成している。漏れ防止カフ35,36は、横方向Xに離間して縦方向Yに延びる一対のシートによって形成され、それぞれ二枚重ねになっている。漏れ防止カフ35,36は、横方向Xにおいて離隔シート18の外側に位置して内面シート6に接合される基側縁37,38と、離隔シート18の身体側に位置し、離隔シート18から離間する自由側縁39,40とを含む。基側縁37,38は、漏れ防止カフ35,36の横方向X外側に位置し、縦方向Yに延びる第2接合部41,42を介して内面シート6に接合されることによって形成される。漏れ防止カフ35,36は、前ウエスト域3において第3接合部50を介して離隔シート18と接合し、後ウエスト域4において第4接合域51を介して離隔シート18と接合している。
【0031】
漏れ防止カフ35,36の自由側縁39,40は、基側縁37,38の横方向X内側に位置し、少なくともクロッチ域5においては内面シート6および離隔シート18には接合されていない。基側縁37,38は内面シート6に接合され、自由側縁39,40は接合されていないので、自由側縁39,40が内面シート6から離間可能となる。
自由側縁39,40は、横方向Xの外側に向かって折り返され、カフ弾性部材43,44が縦方向Yに伸長状態で収縮可能に取り付けられている。カフ弾性部材43,44は、二枚重ねのシートの間に取り付けられ、前後ウエスト域3,4に亘って縦方向Yに延びている。
【0032】
基側縁37,38には、縦方向Yに伸長状態で収縮可能に複数条のテープ状のレッグ弾性部材45,46が取り付けられている。レッグ弾性部材45,46は、前後フラップ8,9の縦方向Yの間であってクロッチ域5に縦方向Yに延びて取り付けられている。すなわち、レッグ弾性部材45,46は前ウエスト域3とクロッチ域5との境界から後ウエスト域4とクロッチ域5との境界にまで延びている。基側縁37,38は、吸液構造体15には重ならないように、この吸液構造体15の横方向Xの外側において内面シート6に接合される。したがって、レッグ弾性部材45,46も吸液構造体15には重ならず、この横方向Xの外側に取り付けられる。レッグ弾性部材45,46は、少なくとも前後ウエスト域3,4とクロッチ域5との境界に位置する両端縁が吸液構造体15に重ならないように形成されていればよく、その一部が吸液構造体15に重なっていてもよい。また、レッグ弾性部材45,46としてはテープ状のゴムに限られるものではなく、糸状、ストランド状、その他一般的なゴムを用いることができる。
【0033】
図8は図1のVIII−VIII線断面図である。図8に示したように、このような構成のおむつ1において、図1のように前後フラップ8,9を接合させて着用したときには、吸液構造体15の前後端縁15a,15bが対向するように湾曲し、カフ弾性部材43,44の収縮力によって漏れ防止カフ35,36が内面シート6から起立するように離間して、おむつ1の内側から外側に尿等が漏れるのを防止する壁を形成する。また、離隔シート弾性部材33,34の収縮力によって離隔シート18が吸液構造体15から離間して、これらの間に空隙47を形成する。離隔シート18のクロッチ域5には中間部分23が形成されているので、離隔シート18が浮き上がることによって、中間部分23が着用者の股下部分に接触する。そして、前方連通部24に着用者の外性器を一致させ、前方連通部24を介して空隙47に排尿が可能となる。後方連通部25には肛門を一致させ、後方連通部25を介して空隙47に排便が可能となる。このように排泄位置と前後方連通部24,25とを一致させることによって排泄物を空隙47へと誘導し、排泄物が着用者の肌に付着するのを防止して、排泄物が肌に付着することによる肌トラブルを予防することができる。
【0034】
おむつ1の着用時においては、前後フラップ8,9の収縮力によって前後ウエスト域3,4が横方向Xに弾性化され、前後ウエスト域3,4が着用者の肌に密着し、尿等のウエストからの漏れを防止することができる。また、レッグ弾性部材45,46の収縮力によって、クロッチ域5が縦方向Yに弾性化されて内外面シート6,7が肌に密着し、着用者の脚周りからの尿等の漏れを防止することができる。
【0035】
この実施形態において、離隔シート18と内面シート6とを接合する第1接合部30,31を吸液構造体15と重なるように形成し、レッグ弾性部材45,46を吸液構造体15の横方向Xの外側に位置させて、吸液構造体15とは重ならないように形成している。吸液構造体15は吸液性芯材16を含み、他のシートに比べて剛性が高くなっている。したがって、おむつ1の着用時に着用者が動いて、レッグ弾性部材45,46が動いたとしても、レッグ弾性部材45,46の動きは吸液構造体15によって規制され、離隔シート18には伝達されない。したがって、離隔シート18が着用者に対して動いてしまうことがなく、前後方連通部24,25と排泄位置とがずれるのを抑制することができる。位置ずれすることがないので、離隔シート18の身体側に尿便等が付着することがなく、肌トラブルを予防することができる。
【0036】
この実施形態では、レッグ弾性部材45,46と第1接合部30,31は、少なくとも横方向Xにおいて約10mm以上離間するようにしている。これら離間距離を10mm以上とすることによって、より一層レッグ弾性部材45,46の動きが、離隔シート18に伝達するのを抑制することができる。
第1接合部30,31は、吸液構造体15の前端縁15aから後端縁15bに亘って形成されることとしているが、少なくともクロッチ域5に形成されるものであればよい。前後ウエスト域3,4は、前後フラップ8,9によって着用者の胴体に密着させられるため、脚の動きに付随してシャーシ等が動くことは少ないが、クロッチ域5では脚の動きに付随して動きやすく、クロッチ域5のレッグ弾性部材45,46が動くことによって離隔シート18が動いてしまう可能性が高いからである。
【0037】
第2接合部41,42によって漏れ防止カフ35,36を内面シート6に接合することによって、基側縁37,38を形成し、この来側縁37,38から自由側縁39,40を起立させるようにして離間することができる。第3および第4接合部50,51によって漏れ防止カフ35,36と離隔シート18を接合することによって、漏れ防止カフ35,36の離間に伴って離隔シート18を着用者身体側に引き上げることができる。
【0038】
この実施形態では、離隔シート18の両側部分21,22に折返し領域28,29を形成することとしているが、折返し領域28,29を形成しないものであってもよい。また、折返し領域28,29では、両側部分21,22が二重になるように折り返されているが、三重、四重に折り重ねられているものでもよい。折り重ねが多くなれば、吸液構造体15からの離間距離が大きくなり、より一層レッグ弾性部材45,46の動きによる影響を軽減させることができるとともに、確実に中間部分23を着用者に接触させることができる。
レッグ弾性部材45,46は、クロッチ域5にのみ形成されることとしているが、前後ウエスト域3,4にまで延びるようにしてもよい。レッグ弾性部材45,46が長くなれば、着用者の脚に密着する部分を多くすることができ、尿漏れ防止の効果を向上させることができる。
【0039】
レッグ弾性部材45,46は、漏れ防止カフ35,36の基側縁37,38に取り付けることとしているが、漏れ防止カフ35,36と内面シート6の間、あるいは、内外面シート6,7の間に取り付けるようにしてもよい。ただし、レッグ弾性部材45,46と離隔シート18との離間距離を大きくすることによって、レッグ弾性部材45,46の移動による離隔シート18への影響を減少させることができる。レッグ弾性部材45,46を内外面シート6,7の間に取り付ける場合には、漏れ防止カフ35,36は必須の構成要素とはならない。レッグ弾性部材45,46は、縦方向Yに略直線状に延びるようにしているが、例えばクロッチ域5において縦中心線P−Pに向かって湾曲しているようなものでもよい。ただし、レッグ弾性部材45,46を直線状に取り付けることによって、離隔シート18の両側縁との距離を一定に保つことができる。レッグ弾性部材45,46と離隔シート18との距離が一定に保たれるので、局部的にレッグ弾性部材45,46の引張力が作用することがなく、レッグ弾性部材45,46の引張力によって離隔シート18が位置ずれを起こすのを防止することができる。
【0040】
離隔シート18には前後方連通部24,25を形成しているが、ひとつの連通部を形成していればよい。ただし、前後ウエスト域3,4に位置する前後方連通部24,25を形成することによって、尿と便とを別々に吸液構造体15側に導くことができる。また、中間部分23の吸液構造体15側に空隙47を前後に隔てるシートを取り付けても良い。このように空隙47を隔てることによって、空隙47に排泄された尿と便とが混ざってしまうのを抑制することができる。
【0041】
離隔シート18は液抵抗性かつ通気性の不織布等、内面シート6および外面シート7は通気性不織布等、漏れバリアシート14は透湿性のプラスチックフィルム等、吸液性芯材16はフラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物等、それぞれ当技術分野の慣用素材を用いることができる。第1〜第4接合部は、接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンド等の慣用技術によって形成される。
おむつ1としてプルオン・パンツ型のものを示しているが、着用時に前後ウエスト域を連結させるオープン型のものでもよい。
【0042】
<第2の実施形態>
図9は第2の実施形態について示したおむつ1の展開平面図であり、分かりやすいように漏れ防止カフ35,36の記載を省略したものである。この実施形態において、第1の実施形態と同様の構成要素には第1の実施形態と同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。この実施形態では、第1接合部30,31において横方向Xの内側と外側とを連通する連通路48,49を形成していることを特徴とする。連通路48,49は、少なくとも横中心線Q−Qよりも前ウエスト域3側において間欠的に複数形成している。このように連通路48,49を形成することによって、前方連通部24に排泄された尿が、第1接合部30,31の横方向X外側に流出し、この外側においても吸液構造体15に吸収させることができる。尿が直接吸液構造体15に接触する面積が増えるので、その分、尿が吸収される速度が速くなり、尿漏れを抑制することができる。
【0043】
連通路48,49は、横中心線Q−Qよりも前ウエスト域3側に形成されることとしているので、尿の漏れを抑制するのに効果的である。尿は横中心線Q−Qよりも前ウエスト域3側に形成された前方連通部24を介して吸液構造体15に排泄されるからである。ただし、必ずしも前ウエスト域3側のみに形成されるものではなく、クロッチ域5に形成されてもよい。
形成される連通路48,49の数や寸法は、おむつ1の大きさによって適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施形態のおむつの斜視図。
【図2】図2の展開平面図。
【図3】おむつの分解組立図。
【図4】図2のIV−IV線端面図。
【図5】図2のV−V線端面図。
【図6】図2のVI−VI線端面図。
【図7】図2の説明図。
【図8】図1のVIII−VIII線断面図。
【図9】第2の実施形態の図7と同様の図。
【符号の説明】
【0045】
1 おむつ
2 シャーシ
3 前ウエスト域
4 後ウエスト域
5 クロッチ域
15 吸液構造体
15a 前端縁
15b 後端縁
18 離隔シート
21 側部分
22 側部分
23 中間部分
24 前方連通部
25 後方連通部
26 折曲線
27 折曲線
28 折返し領域
29 折返し領域
30 第1接合部(接合部)
31 第1接合部(接合部)
33 離隔シート弾性部材
34 離隔シート弾性部材
35 漏れ防止カフ
36 漏れ防止カフ
37 基側縁
38 基側縁
39 自由側縁
40 自由側縁
45 レッグ弾性部材
46 レッグ弾性部材
48 連通路
49 連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向と、身体側および着衣側と、前記縦方向に連なる前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、少なくとも前記クロッチ域に配置される吸液構造体とを有するシャーシと、前記シャーシの前記身体側にあって前記クロッチ域から離間可能に形成された離隔シートと、少なくとも前記クロッチ域を前記縦方向に延びて伸長状態で収縮可能に取り付けられたレッグ弾性部材とを含む吸収性物品において、
前記離隔シートは、前記横方向に対向して前記縦方向に延びる一対の両側部分と、前記両側部分の間に連なる中間部分と、前記両側部分および前記中間部分によって形成され前記身体側と前記シャーシ側とを連通させる連通部と、前記両側部分を前記シャーシに接合する接合部とを含むとともに、少なくとも前記クロッチ域において前記縦方向に弾性化され、前記接合部が前記吸液構造体と重なる位置に形成され、
前記レッグ弾性部材は、前記吸液構造体の前記横方向外側に延設され、
前記吸液構造体は、前記縦方向に対向して前記横方向に延びる前後端縁を対向させるように湾曲することによって、前記離隔シートと前記吸液構造体との間に空隙を形成し、少なくとも前記中間部分が着用者の肌に接触可能に形成されることを特徴とする前記吸収性物品。
【請求項2】
前記接合部は、少なくとも前記クロッチ域において前記縦方向に延びて形成される請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記離隔シートの前記両側部分は、前記縦方向に延びる折曲線を介して前記シャーシ側に折り返される領域を形成し、この領域に前記接合部が形成される請求項1または2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記接合部は、前記シャーシの前記縦方向の寸法を二等分する横中心線よりも前記前ウエスト域側において前記接合部の前記横方向の内側と外側とを連通する連通路を形成する請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記シャーシの前記身体側に、前記縦方向に延びる一対の漏れ防止カフをさらに含み、
前記漏れ防止カフは、前記シャーシに固定される基側縁と、前記シャーシから離間する自由側縁とを含み、前記基側縁に前記レッグ弾性部材が取り付けられる請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記レッグ弾性部材は、前記離隔シートの両側部分と略平行に延びる請求項1〜5のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記レッグ弾性部材は、前記前ウエスト域と前記クロッチ域との境界から前記後ウエスト域と前記クロッチ域との境界まで延びるとともに、前記レッグ弾性部材の両端部は前記吸液構造体の前記横方向外側に位置し、前記接合部は少なくとも前記両端部に対応する位置において前記吸液構造体に重なる請求項1〜6のいずれかに記載の吸液性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−291321(P2009−291321A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146173(P2008−146173)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】