吸収性物品
【課題】吸収体の範囲を容易に特定し、補助吸収具を吸収体に対する適切な相対位置に正確に取り付ける。
【解決手段】吸収性物品の本体部2aは、吸液性の吸収体22、吸収体22の着用者側の主面を覆うトップシート21、および、吸収体22のもう一方の主面を覆うバックシートを備える。吸収性物品では、トップシート21の着用者側においてインナーパッド等の補助吸収具9が取り付け可能とされる。吸収体22の全体には、長手方向および長手方向に垂直な幅方向に伸びる複数の線42にて形成される格子状のパターン4が付与される。パターン4は、トップシート21を介して吸収性物品の着用者側から視認可能とされる。このため、吸収性物品では、吸収体22の範囲を容易に特定し、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。
【解決手段】吸収性物品の本体部2aは、吸液性の吸収体22、吸収体22の着用者側の主面を覆うトップシート21、および、吸収体22のもう一方の主面を覆うバックシートを備える。吸収性物品では、トップシート21の着用者側においてインナーパッド等の補助吸収具9が取り付け可能とされる。吸収体22の全体には、長手方向および長手方向に垂直な幅方向に伸びる複数の線42にて形成される格子状のパターン4が付与される。パターン4は、トップシート21を介して吸収性物品の着用者側から視認可能とされる。このため、吸収性物品では、吸収体22の範囲を容易に特定し、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつでは、少量の排尿時であってもおむつ全体を交換する必要があるため、使用者にとって経済的な負担が大きくなってしまう。そこで、使い捨ておむつの本体部上に安価な補助吸収具(いわゆる、尿パッド等)を取り付けて着用し、少量の排尿時には補助吸収具のみを交換することが行われている。
【0003】
このように、補助吸収具を使用する場合、補助吸収具を着用者にとって適切な位置に装着して尿や便の漏出を防止する必要がある。例えば、特許文献1では、使い捨て紙おむつおよびインナーパッド(補助吸収具)の一部(例えば、中心線上や端部)に互いに対応する位置決め用目印を設けることにより、インナーパッドを使い捨て紙おむつの中央部に迅速かつ確実に装着するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−93438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、着用者の身体状況(例えば、半身麻痺や拘縮の状態、あるいは、男性器の使い捨ておむつ内の位置)によっては、使い捨ておむつ内で尿が流れる方向が偏る等、排泄傾向が偏るため、使い捨ておむつの中央部に補助吸収具を取り付けただけでは漏出を適切に防止することができない場合がある。このような場合には、着用者の身体状況に合わせて補助吸収具の取付位置をずらすことが好ましい。
【0006】
一方、補助吸収具の一部が使い捨ておむつにおいて高い吸収性を有する吸収体上からはみ出して取り付けられた場合には、補助吸収具では吸収しきれなかった尿等がおむつ外周部の吸収性に乏しい領域へと漏出してしまう恐れがある。したがって、補助吸収具は、吸収体上の適切な範囲内に取り付けられる必要があるが、通常の使い捨ておむつでは、吸収体の正確な位置や範囲を特定することが難しいため、補助吸収具を吸収体に対して適切な位置に取り付けることは容易にはできない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吸収体の位置(または範囲)を容易に特定し、補助吸収具を吸収体に対する適切な相対位置に正確に取り付けることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、吸収体と、前記吸収体の着用者側の主面を覆うトップシートと、前記吸収体のもう一方の主面を覆うバックシートとを備え、前記吸収体に、前記トップシートを介して視認可能な色またはパターンが全体に付与されている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、前記吸収体の全体に、前記吸収体の長手方向および前記長手方向に垂直な幅方向に伸びる線にて形成される格子状のパターンまたは前記長手方向および前記幅方向に広がる格子点のパターンが形成されている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品であって、前記格子状のパターンの線または前記格子点のパターンの点が、前記長手方向および前記幅方向に関して一定個数毎に異なる太い線または大きい点とされる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の吸収性物品であって、前記吸収体が、吸収性材料を含む吸収コアと、前記吸収コアの着用者側の主面を覆うとともに前記目印が設けられた上層台紙と、前記吸収コアのもう一方の主面を覆う下層台紙とを備え、前記パターンが、前記上層台紙の前記吸収コア側に設けられる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記パターンが、前記吸収体の形成工程において、または、前記吸収体の形成後であって前記吸収体が前記トップシートに覆われる前に、前記吸収体に設けられたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、吸収体の範囲を容易に特定することができる。請求項4の発明では、目印の損傷を防止することができる。
【0014】
請求項5の発明では、単一の製造装置における異なるサイズの吸収体の製造に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の関連技術に係る吸収性物品を示す平面図である。
【図2】吸収性物品の断面図である。
【図3】本体部製造装置の構成を示す図である。
【図4】吸収性物品の製造工程を示す図である。
【図5】第2の関連技術に係る吸収性物品を示す平面図である。
【図6】本体部製造装置の構成の一部を示す図である。
【図7】吸収性物品の製造工程を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係る吸収性物品の本体部を示す平面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る吸収性物品の本体部を示す平面図である。
【図10】第3の実施の形態に係る吸収性物品の本体部を示す平面図である。
【図11】他の吸収性物品の例を示す図である。
【図12】他の吸収性物品の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の第1の関連技術に係る吸収性物品1を示す平面図である。着用者からの排泄物を受ける吸収性物品1は、着用者の腹側に当接する部位と背側に当接する部位とを腰回りで止着して着用するオープンタイプの使い捨ておむつ等として利用される。
【0017】
図1に示すように、吸収性物品1は、略シート状の本体部2、本体部2の長手方向(すなわち、図1中のY方向)のほぼ全長に亘って、本体部2の長手方向に垂直な幅方向の両側(すなわち、(+X)側および(−X)側)に設けられた一対の側壁部3、並びに、本体部2の長手方向の一方の端部((−Y)側の端部であり、着用者の背側に当接する部位)において幅方向の両側に取り付けられた一対の止着部24を備える。吸収性物品1の着用時には、本体部2の(+Z)側の主面が着用者に接する面となり、一対の止着部24のそれぞれに2つ設けられた面ファスナー241により、止着部24が本体部2の(+Y)側の端部(すなわち、着用者の腹側に当接する部位)の着用者側とは反対側に止着される。
【0018】
一対の側壁部3のそれぞれには、Y方向に伸びる複数の弾性部材31a,31bが接合されており、図1に示すように吸収性物品1を広げた状態では、弾性部材31a,31bは伸張状態となっている。吸収性物品1では、内側の弾性部材31aが収縮することにより、本体部2の側方において側壁部3の内側のエッジが着用者側に向かって立ち上がり、外側の弾性部材31bが収縮することにより、側壁部3の外側のエッジおよび下側のシートが着用者側かつ内側に向かって立ち上がって着用時に着用者の足の付け根近傍に当接する立体ギャザー(いわゆる、レッグギャザー)が形成される。側壁部3は、撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)やプラスチックフィルム、あるいは、これらの複合材料により形成される。吸収性物品1の快適性向上の観点からは、側壁部3は通気性を有することが好ましい。
【0019】
図2は、吸収性物品1をおよそ中央でY方向に垂直な面で切断した断面図である。図1および図2に示すように、本体部2は、吸液性の吸収体22、吸収体22の着用者側(すなわち、(+Z)側)の主面を覆うトップシート21、および、吸収体22のもう一方の主面を覆うバックシート23を備え、吸収体22の側方には側壁部3が接合される。トップシート21とバックシート23とは、ホットメルト接着剤等により吸収体22の周囲にて接合される。
【0020】
トップシート21は透液性の材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布であり、着用者からの排泄物の水分を捕捉して吸収体22へと移動させる。トップシート21として利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、トップシート21として、表面を活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)により形成された透液性の不織布が利用されてもよく、また、開孔を有するプラスチックフィルムが利用されてもよい。
【0021】
バックシート23は撥水性または不透液性の不織布であり、トップシート21を透過した水分、および、吸収体22に一旦吸収された水分が、本体部2の外側(すなわち、(−Z)側)にしみ出すのを防止する。バックシート23として利用される不織布は、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布であり、必要に応じて撥水処理が施されてもよい。なお、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムや、上記不織布とプラスチックフィルムとの複合材料等がバックシート23として利用されてもよい。この場合、着用者の快適性の観点からは、通気性を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0022】
図2に示すように、吸収体22は、親水性繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維)に粒状の吸水性ポリマー(例えば、SAP(Super Absorbent Polymer))を混合した吸収性材料を含む吸収コア222、吸収コア222の着用者側(すなわち、(+Z)側)の主面を覆う上層台紙221、および、吸収コア222のもう一方の主面を覆う下層台紙223を備え、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。吸収体22では、吸収コア222が上層台紙221および下層台紙223により包み込まれることにより、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性ポリマーの脱落が防止される。上層台紙221および下層台紙223としては、ティッシュペーパーや透液性の不織布等が利用される。吸収体22が水分を吸収した状態において上層台紙221の破損を防止する観点からは、上層台紙221として不織布が利用されることが好ましい。
【0023】
図1および図2に示すように、吸収体22は、幅方向の中央において吸収体22の全長に亘って長手方向に沿う直線状の目印41を備え、目印41は、トップシート21を介して吸収性物品1の着用者側から視認可能とされる。図1では、理解を容易にするために、トップシート21の下方に位置する目印41を実線にて描いている。目印41は、後述する吸収体22の形成工程において、インラインにて印刷により上層台紙221の吸収コア222側(すなわち、(−Z)側)に設けられて吸収体22と同じ長さとされる。吸収性物品1では、トップシート21の着用者側においてインナーパッド等の略矩形の補助吸収具9が図1および図2中に二点鎖線にて示すように取り付け可能とされる。
【0024】
吸収性物品1が着用される際には、まず、吸収性物品1に補助吸収具9が取り付けられ、その後、補助吸収具9と共に吸収性物品1が着用者にあてがわれて止着部24により止着される。吸収性物品1に補助吸収具9が取り付けられる際には、前回使用された補助吸収具9の使用後の状態(すなわち、補助吸収具9のどの部位を中心として尿等が吸収されているか等)から着用者の排泄傾向が把握された上で、必要に応じて前回の取付位置からずらし、目印41および目印41により特定される吸収体22の位置に基づいて補助吸収具9の取り付けが行われる。例えば、排泄が着用者の腹側かつ右側に偏っている場合には、補助吸収具9は、前回の取付位置よりも図1中の(+X)側かつ(+Y)側にずらして、さらに、吸収体22上からはみ出さないように取り付けられる。
【0025】
図3は、吸収性物品1を製造する装置(または、装置群)の上流側の一部である本体部製造装置5の構成を示す図であり、本体部製造装置5は、吸収性物品1の本体部2を製造する。本体部製造装置5では、一定の大きさに裁断された薄板状のパルプ8を粉砕して得られる粉砕パルプや不織布等を用いて吸収性物品1の本体部2が製造される。
【0026】
本体部製造装置5は、パルプ8を所定の供給路に沿って一定の速度で供給するパルプ供給機構52、パルプ供給機構52の下流側においてパルプ供給機構52により供給されるパルプ8を粉砕するパルプ粉砕機構53、および、パルプ粉砕機構53により生成された粉砕パルプを成形して本体部2を形成する本体部形成機構54を備える。
【0027】
パルプ供給機構52は、積み重ねられた複数のパルプ8が載置されるパルプ載置部521、パルプ載置部521からパルプ8を1枚ずつ取り出すパルプ取出機構522、パルプ取出機構522からパルプ8を受け取って下流側へと搬送するコンベア523、および、コンベア523の下流側に配置されてパルプ8をパルプ粉砕機構53へと案内する供給路524を備える。
【0028】
パルプ粉砕機構53は、パルプ8を粉砕する粉砕シリンダ531を備え、粉砕シリンダ531は、パルプ8に平行であってパルプ供給機構52の供給方向にほぼ垂直なシリンダ回転軸5311を中心とする略円筒状となっている。粉砕シリンダ531は、シリンダ回転軸5311に沿って配列された複数の粉砕ブレード532を備え、各粉砕ブレード532は、シリンダ回転軸5311を中心としてシリンダ回転軸5311に垂直な略円板状となっている。各粉砕ブレード532は、外周に一定のピッチで複数の歯を備える。
【0029】
本体部形成機構54は、パルプ粉砕機構53により生成された粉砕パルプを所定の高さまで吸着する吸着ドラム542、パルプ粉砕機構53と吸着ドラム542とを接続するダクト541、ロール状の下層台紙223および上層台紙221をそれぞれ保持する下層台紙保持部543および上層台紙保持部544、並びに、ロール状のトップシート21およびバックシート23をそれぞれ保持するトップシート保持部545およびバックシート保持部546を備える。また、上層台紙保持部544と接着剤供給部5441との間には、上層台紙221に目印41を形成する目印形成機構5442が設けられる。
【0030】
図4は、吸収性物品1の製造工程を示す図である。吸収性物品1が製造される際には、まず、ロール状の上層台紙221、下層台紙223、トップシート21およびバックシート23が準備され、図3に示す本体部製造装置5の各保持部に取り付けられて保持される。準備された上層台紙221には、目印41(図1参照)はまだ形成されていない。
【0031】
続いて、パルプ供給機構52によりパルプ8がパルプ粉砕機構53へと順次供給され、シリンダ回転軸5311を中心として回転する粉砕シリンダ531の粉砕ブレード532により粉砕されて粉砕パルプが生成される。粉砕パルプは、図示省略の送風機構からの送風によりダクト541を介して運ばれ、ポリマー供給部5421から供給される吸水性ポリマー(例えば、SAP(Super Absorbent Polymer))と混合され、図3中において時計回りに回転する円筒状の吸着ドラム542に吹き付けられる。吸着ドラム542では、内部に接続された図示省略の吸引機構により、微細な吸引孔が設けられた吸着ドラム542の外周面上に粉砕パルプおよび吸水性ポリマーが所定の高さまで吸着されて吸収コア222が形成され、実質的に準備された状態となる。(ステップS11)。なお、吸収性物品1の本体部2に要求される吸収力によっては吸水性ポリマーの混合は省略される場合もある。
【0032】
吸着ドラム542の外周面上に吸着された吸収コア222(すなわち、粉砕パルプおよび吸水性ポリマー)は、吸着ドラム542の回転に伴って吸着ドラム542の下側へと移動し、下層台紙保持部543から繰り出されるとともにコンベア5401により下流側へと搬送される下層台紙223に転写される。吸収コア222は、接着剤供給部5431により下層台紙223の上面に予め塗布された接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により下層台紙223上に接着される。
【0033】
本体部製造装置5では、コンベア5401による吸収コア222および下層台紙223の搬送と並行して、上層台紙保持部544から繰り出された上層台紙221の片側の面(すなわち、吸収体22が形成された状態において吸収コア222に対向する面)に目印形成機構5442から印刷用インクが連続的に噴射され、図1に示す直線状の目印41が上層台紙221に形成される(ステップS12)。
【0034】
目印41が形成されると、上層台紙221の目印41が形成された側の面に、接着剤供給部5441により接着剤が塗布される。上層台紙221は、接着剤の塗布面(すなわち、目印41が形成された側の面)を吸収コア222と対向させつつ下層台紙223との間に吸収コア222を挟んで加圧部5481に進入する。そして、加圧部5481により圧縮されつつ上層台紙221と下層台紙223とが接着されることにより、連続体である吸収体シート220が形成される(ステップS13)。
【0035】
吸収体シート220は、コンベア5402により下流側へと搬送され、切断部5471において吸収体シート220の長手方向に垂直な方向に切断されて複数の吸収体22が形成される(ステップS14)。複数の吸収体22は、切断部5471の下流側のコンベア5403上においてコンベア5403による搬送方向に間隙をあけて配列され、さらに下流側へと搬送される。
【0036】
コンベア5403の下流側では、トップシート保持部545およびバックシート保持部546からトップシート21およびバックシート23が繰り出され、両シートの吸収体22と対向する側の面に接着剤供給部5451,5461から接着剤が塗布される。トップシート21およびバックシート23は、間隙をあけて配列された複数の吸収体22を間に挟んで接着され、連続体である本体シート20が形成される(ステップS15)。
【0037】
本体部製造装置5では、本体シート20が、長手方向に配列された複数の吸収体22の間隙に相当する部位にて、切断部5472により本体シート20の長手方向に垂直な方向に切断され、複数の本体部2が形成される(ステップS16)。各本体部2は、切断部5472の下流側に位置するコンベア5404により本体部製造装置5から搬出され、一対の側壁部3および一対の止着部24が取り付けられて吸収性物品1が製造される(ステップS17)。
【0038】
以上に説明したように、吸収性物品1では、吸収体22がトップシート21を介して着用者側から視認可能な目印41を備えることにより、吸収体22の位置を容易に特定し、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。また、目印41が吸収体22の幅方向の中央に設けられており、補助吸収具9の位置調整の基準として利用しやすいため、補助吸収具9の吸収体22に対する位置決めを容易に行うことができる。さらには、目印41が吸収体22の長手方向の両端部においても幅方向の中央に設けられていることにより、補助吸収具9を着用者の適切な着用部位にあてがった後に吸収性物品1を着用する場合であっても、吸収性物品1の長手方向の端部において目印41と補助吸収具9との相対位置を確認しつつ吸収性物品1を着用することができるため、補助吸収具9を吸収性物品1に対して正確に取り付けることができる。
【0039】
吸収性物品1では、目印41を上層台紙221上に印刷することにより、吸収体22に容易に目印41を設けることができる。また、目印41が上層台紙221の吸収コア222側に設けられることにより、吸収性物品1の製造途上や使用時等において、目印41がトップシート21と直接接触することが防止されるため、トップシート21との摩擦等による目印41の損傷を防止することができる。
【0040】
本体部製造装置5では、上層台紙保持部544から繰り出される上層台紙221に連続的に直線を印刷することにより、吸収体22の長手方向の全長に亘る直線状の目印41が形成されるため、本体部製造装置5により製造される吸収体22のサイズが変更される場合であっても、目印41を設けることに関してはサイズ変更に伴う特別な作業が発生しない。その結果、単一の本体部製造装置5における異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。
【0041】
なお、目印41の形成(図3中のステップS12)は、必ずしも吸収体シート220の形成(ステップS13)の直前に行われる必要はなく、吸収体22の形成工程において行われるのであれば、吸収体シート220の形成後、あるいは、吸収体シート220の形成と同時に行われてもよい。例えば、目印41の形成が、吸収体シート220の形成後であって吸収体シート220の切断前(すなわち、ステップS13とステップS14との間)に行われる場合、目印形成機構5442は加圧部5481と切断部5471との間に配置され、吸収体シート220の上側の面(すなわち、上層台紙221の吸収コア222に対向する側とは反対側の面)に目印41が印刷される。また、目印形成機構5442が加圧部5481の内部に配置され、目印41の形成が吸収体シート220の形成と同時に行われてもよい。目印41の形成が吸収体シート220の形成前後に行われる場合、また、同時に行われる場合のいずれであっても、本体部製造装置5では、上述のように、単一の本体部製造装置5における異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。なお、本体部製造装置5では、接着剤供給部5441による上層台紙221への接着剤の塗布時に、または、接着剤の塗布の前後に、上層台紙221の接着剤の塗布面に有色ホットメルト接着剤が目印41として塗布されてもよい。
【0042】
本体部製造装置5では、ステップS11において、予め直線状の目印41が形成されている上層台紙221が準備されてもよく、この場合も、目印41を設けることに関しては吸収体22のサイズ変更に伴う特別な作業が発生しないため、単一の本体部製造装置5における異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。
【0043】
図5は、本発明の第2の関連技術に係る吸収性物品1aを示す平面図である。吸収性物品1aでは、図1に示す直線状の目印41に代えて十字状(すなわち、直交する2つの短い直線状)の目印41aが設けられる。その他の構成は図1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。吸収性物品1aでは、トップシート21を介して着用者側から視認可能な目印41aが、吸収体22の長手方向の略中央、かつ、幅方向の中央に設けられる。
【0044】
吸収性物品1aの製造は、図3とほぼ同様の構成の本体部製造装置5aにより行われ、本体部製造装置5aは、図6に示すように目印形成機構5442が加圧部5481と切断部5471との間のコンベア5402の上方に配置されるという点のみが図3の装置と異なる。以下、第1の関連技術と同符号を付して説明を行う。図7は、吸収性物品1aの製造工程を示す図である。図7に示す製造工程は、図4中のステップS12,13の代わりにステップS22,S23が行われることを除いて第1の関連技術と同様であり、図7のステップS24よりも後は図4のステップS15以降と同様である。
【0045】
本体部製造装置5aにより吸収性物品1aが製造される際には、第1の関連技術と同様にロール状の上層台紙221、下層台紙223、トップシート21およびバックシート23が本体部製造装置5aに取り付けられて準備された後、吸水性ポリマーが混合された粉砕パルプが、回転する吸着ドラム542の外周面上に吸着されて吸収コア222が順次形成され、これにより、実質的に吸収コア222が準備された状態とされる(ステップS21)(図3参照)。そして、図6に示すように、加圧部5481において上層台紙221が吸収コア222を間に挟んで下層台紙223と接着および圧縮されることにより、連続体である吸収体シート220が形成される(ステップS22)。
【0046】
ここで、コンベア5402の上方に設けられた目印形成機構5442から、吸収体シート220に対して印刷用インクが断続的に噴射され、十字状の目印41a(図5参照)が、吸収体シート220の上側の面(すなわち、上層台紙221の着用者側の面)の複数の位置にインラインにて印刷により形成される(ステップS23)。目印41aは、吸収体シート220上において、後述の複数の吸収体22に対応する複数の所定の位置のそれぞれに設けられる。
【0047】
吸収体シート220は切断部5471において切断され、それぞれに目印41aが設けられた複数の吸収体22が形成される(ステップS24)。その後、第1の関連技術と同様に、トップシート21およびバックシート23が、間に複数の吸収体22を挟んで接着され、連続体である本体シート20が形成され(ステップS15)(図3、図4参照)、さらに、本体シート20が、長手方向に配列された複数の吸収体22の間隙に相当する部位にて切断部5472により切断されて複数の本体部2が形成される(ステップS16)。その後、各本体部2が本体部製造装置5から搬出され、一対の側壁部3および一対の止着部24が取り付けられて吸収性物品1が製造される(ステップS17)。
【0048】
以上に説明したように、吸収性物品1aでは、第1の関連技術と同様に、吸収体22がトップシート21を介して着用者側から視認可能な目印41aを備えることにより、吸収体22の位置を容易に特定し、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。
【0049】
特に、吸収性物品1aでは、目印41aが吸収体22の長手方向の略中央、かつ、幅方向の中央に設けられることにより、補助吸収具9の吸収体22に対する位置決めを容易に行うことができる。さらには、補助吸収具9を着用者の適切な着用部位にあてがった後に吸収性物品1aを着用する場合であっても、補助吸収具9の中央部に吸収性物品1aの略中央に位置する目印41aを合わせつつ吸収性物品1aを着用することができるため、補助吸収具9を吸収性物品1aに対して正確に取り付けることができる。
【0050】
本体部製造装置5aでは、目印41aが吸収体シート220の切断直前、すなわち、吸収体22の形成工程において設けられるため、本体部製造装置5aにより製造される吸収体22のサイズが変更される場合であっても、吸収体シート220上における目印41aの印刷位置の設定変更のみを行えばよい。その結果、単一の本体部製造装置5aにおける異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。
【0051】
なお、目印41aの形成(図7中のステップS23)は、必ずしも吸収体シート220形成後であって吸収体シート220の切断直前(すなわち、ステップS22とS24との間)に行われる必要はなく、吸収体22の形成工程において、例えば、吸収体シート220の形成前(すなわち、ステップS21とS22との間)に上層台紙保持部544から繰り出された上層台紙221に対して行われてもよい。また、目印41aは、吸収体シート220が切断されて複数の吸収体22が形成された後であってこれらの吸収体22がトップシート21に覆われる前(すなわち、ステップS24とS25との間)に行われてもよい。上記いずれの場合であっても、単一の本体部製造装置5における異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。
【0052】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る吸収性物品の本体部2aを示す平面図である。本体部2aでは、図1に示す直線状の目印41に代えて、吸収体22の長手方向および長手方向に垂直な幅方向に伸びる複数の線42にて形成される格子状のパターン4が吸収体22の全体に付与される。複数の線42は、互いに略平行に、約5〜10mmの間隔をあけて配列される。パターン4の線42は、長手方向および幅方向に関して一定個数毎(本実施の形態では、5つ毎)に通常の線42よりも太くされる。
【0053】
パターン4は、吸収体22の上層台紙221(図2参照)の一方の主面全体に、第1の関連技術と同様、インラインにて印刷されており、トップシート21を介して視認可能とされる。このため、第1の実施の形態に係る吸収性物品では、吸収体22の範囲を容易に特定することができる。さらに、補助吸収具9の各コーナー部を線42の交点に重ね合わせたり、補助吸収具9のエッジを線42に沿わせる等して、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。なお、トップシート21との摩擦等によるパターン4の損傷を防止するという観点からは、パターン4は上層台紙221の吸収コア222と対向する側に設けられることが好ましい。
【0054】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る吸収性物品の本体部2bを示す平面図である。本体部2bでは、図8に示す格子状のパターン4に代えて、吸収体22の長手方向および幅方向に等間隔に広がる格子点のパターン4aが吸収体22の全体に付与される。パターン4aの複数の点43は、約5〜10mmの間隔をあけて配列され、一定個数毎(本実施の形態では、5つ毎)に通常の点43よりも大きくされる。
【0055】
パターン4aは、第1の実施の形態と同様に、吸収体22の上層台紙221(図2参照)の一方の主面全体にインラインにて印刷されており、トップシート21を介して視認可能とされる。このため、第2の実施の形態に係る吸収性物品においても、吸収体22の範囲を容易に特定することができ、さらに、補助吸収具9の各コーナー部やエッジを点43に重ね合わせる等して、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。
【0056】
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る吸収性物品の本体部2cを示す平面図である。図10中において平行斜線を付して示す吸収体22は、有色の上層台紙221(図2参照)を用いて形成されている。このため、第3の実施の形態に係る吸収性物品では、吸収体22の全体にトップシート21を介して視認可能な色が付与されることとなり、その結果、第1および第2の実施の形態と同様に、吸収体22の範囲を容易に特定することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態および関連技術について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0058】
例えば、第1および第2の実施の形態並びに第1および第2の関連技術では、吸収体22に設けられる目印またはパターンが、吸収体22の上層台紙221以外の部位、例えば、吸収コア222の上側の面に形成されてもよい。また、第3の実施の形態では、有色の上層台紙221に代えて、トップシート21および上層台紙221を介して視認可能な有色の吸収コア222が用いられてもよい。
【0059】
図1に示す吸収性物品1では、目印41が吸収体22の長手方向に沿う実線として設けられるが、目印41は破線や点線等のように実質的に直線とみなすことができるものであってもよい。また、目印41は、必ずしも吸収体22の長手方向の全長に亘って設けられる必要はなく、吸収体22の長手方向の少なくとも一方の端部(すなわち、腹側または背側の端部)において幅方向の中央に設けられてもよい。このように、目印41が吸収体22の腹側または背側の端部に設けられることにより、補助吸収具9の吸収体22に対する位置決めを容易に行うことができる。さらには、補助吸収具9を着用者の適切な着用部位にあてがった後に吸収性物品1を着用する場合であっても、吸収性物品1の腹側または背側の端部において目印41と補助吸収具9との相対位置を確認しつつ吸収性物品1を着用することができるため、補助吸収具9を吸収性物品1に対して正確に取り付けることができる。
【0060】
図8では、パターン4の線42が実線とされているが、線42は破線や点線等のように実質的に線とみなすことができるものであってもよい。また、図9に示すパターン4aの点43についても同様に、実質的に点とみなすことができるものであれば、例えば、四角形や菱形、星印等であってもよい。さらには、吸収体22に付与されるパターンは、吸収体22の範囲を容易に特定し、吸収体22に対する補助吸収具9の正確な取り付けに利用できる他の様々な形状の図形の集合であってもよい。
【0061】
図11および図12は、上記関連技術とは異なる位置に目印41b,41cが設けられた他の吸収性物品の例を示す図である。図11に示す吸収性物品1bでは、吸収体22の長手方向の略中央に2つの目印41bが設けられ、図12に示す吸収性物品1cでは、吸収体22の幅方向の中央に2つの目印41cが設けられる。このように、吸収体22の長手方向の略中央または幅方向の中央に目印が設けられることにより、補助吸収具9の吸収体22に対する上下左右方向および向きに関する位置決めを容易に行うことができる。
【0062】
吸収性物品では、スパンレース法やニードルパンチ法、サーマルボンド法、スパンボンド法、ケミカルボンド法、エアスルー法等の様々な製法により製造された不織布を、トップシート21、バックシート23および側壁部3として使用することができる。
【0063】
上記実施の形態および関連技術に係る吸収性物品は、オープンタイプやパンツタイプの使い捨ておむつとして利用可能であり、また、その他様々な用途にも利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1,1a〜1c 吸収性物品
4,4a パターン
20 本体シート
21 トップシート
22 吸収体
23 バックシート
41,41a〜41c 目印
42 線
43 点
220 吸収体シート
221 上層台紙
222 吸収コア
223 下層台紙
S11〜S17,S21〜S24 ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつでは、少量の排尿時であってもおむつ全体を交換する必要があるため、使用者にとって経済的な負担が大きくなってしまう。そこで、使い捨ておむつの本体部上に安価な補助吸収具(いわゆる、尿パッド等)を取り付けて着用し、少量の排尿時には補助吸収具のみを交換することが行われている。
【0003】
このように、補助吸収具を使用する場合、補助吸収具を着用者にとって適切な位置に装着して尿や便の漏出を防止する必要がある。例えば、特許文献1では、使い捨て紙おむつおよびインナーパッド(補助吸収具)の一部(例えば、中心線上や端部)に互いに対応する位置決め用目印を設けることにより、インナーパッドを使い捨て紙おむつの中央部に迅速かつ確実に装着するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−93438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、着用者の身体状況(例えば、半身麻痺や拘縮の状態、あるいは、男性器の使い捨ておむつ内の位置)によっては、使い捨ておむつ内で尿が流れる方向が偏る等、排泄傾向が偏るため、使い捨ておむつの中央部に補助吸収具を取り付けただけでは漏出を適切に防止することができない場合がある。このような場合には、着用者の身体状況に合わせて補助吸収具の取付位置をずらすことが好ましい。
【0006】
一方、補助吸収具の一部が使い捨ておむつにおいて高い吸収性を有する吸収体上からはみ出して取り付けられた場合には、補助吸収具では吸収しきれなかった尿等がおむつ外周部の吸収性に乏しい領域へと漏出してしまう恐れがある。したがって、補助吸収具は、吸収体上の適切な範囲内に取り付けられる必要があるが、通常の使い捨ておむつでは、吸収体の正確な位置や範囲を特定することが難しいため、補助吸収具を吸収体に対して適切な位置に取り付けることは容易にはできない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吸収体の位置(または範囲)を容易に特定し、補助吸収具を吸収体に対する適切な相対位置に正確に取り付けることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、吸収体と、前記吸収体の着用者側の主面を覆うトップシートと、前記吸収体のもう一方の主面を覆うバックシートとを備え、前記吸収体に、前記トップシートを介して視認可能な色またはパターンが全体に付与されている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、前記吸収体の全体に、前記吸収体の長手方向および前記長手方向に垂直な幅方向に伸びる線にて形成される格子状のパターンまたは前記長手方向および前記幅方向に広がる格子点のパターンが形成されている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品であって、前記格子状のパターンの線または前記格子点のパターンの点が、前記長手方向および前記幅方向に関して一定個数毎に異なる太い線または大きい点とされる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の吸収性物品であって、前記吸収体が、吸収性材料を含む吸収コアと、前記吸収コアの着用者側の主面を覆うとともに前記目印が設けられた上層台紙と、前記吸収コアのもう一方の主面を覆う下層台紙とを備え、前記パターンが、前記上層台紙の前記吸収コア側に設けられる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記パターンが、前記吸収体の形成工程において、または、前記吸収体の形成後であって前記吸収体が前記トップシートに覆われる前に、前記吸収体に設けられたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、吸収体の範囲を容易に特定することができる。請求項4の発明では、目印の損傷を防止することができる。
【0014】
請求項5の発明では、単一の製造装置における異なるサイズの吸収体の製造に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の関連技術に係る吸収性物品を示す平面図である。
【図2】吸収性物品の断面図である。
【図3】本体部製造装置の構成を示す図である。
【図4】吸収性物品の製造工程を示す図である。
【図5】第2の関連技術に係る吸収性物品を示す平面図である。
【図6】本体部製造装置の構成の一部を示す図である。
【図7】吸収性物品の製造工程を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係る吸収性物品の本体部を示す平面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る吸収性物品の本体部を示す平面図である。
【図10】第3の実施の形態に係る吸収性物品の本体部を示す平面図である。
【図11】他の吸収性物品の例を示す図である。
【図12】他の吸収性物品の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の第1の関連技術に係る吸収性物品1を示す平面図である。着用者からの排泄物を受ける吸収性物品1は、着用者の腹側に当接する部位と背側に当接する部位とを腰回りで止着して着用するオープンタイプの使い捨ておむつ等として利用される。
【0017】
図1に示すように、吸収性物品1は、略シート状の本体部2、本体部2の長手方向(すなわち、図1中のY方向)のほぼ全長に亘って、本体部2の長手方向に垂直な幅方向の両側(すなわち、(+X)側および(−X)側)に設けられた一対の側壁部3、並びに、本体部2の長手方向の一方の端部((−Y)側の端部であり、着用者の背側に当接する部位)において幅方向の両側に取り付けられた一対の止着部24を備える。吸収性物品1の着用時には、本体部2の(+Z)側の主面が着用者に接する面となり、一対の止着部24のそれぞれに2つ設けられた面ファスナー241により、止着部24が本体部2の(+Y)側の端部(すなわち、着用者の腹側に当接する部位)の着用者側とは反対側に止着される。
【0018】
一対の側壁部3のそれぞれには、Y方向に伸びる複数の弾性部材31a,31bが接合されており、図1に示すように吸収性物品1を広げた状態では、弾性部材31a,31bは伸張状態となっている。吸収性物品1では、内側の弾性部材31aが収縮することにより、本体部2の側方において側壁部3の内側のエッジが着用者側に向かって立ち上がり、外側の弾性部材31bが収縮することにより、側壁部3の外側のエッジおよび下側のシートが着用者側かつ内側に向かって立ち上がって着用時に着用者の足の付け根近傍に当接する立体ギャザー(いわゆる、レッグギャザー)が形成される。側壁部3は、撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)やプラスチックフィルム、あるいは、これらの複合材料により形成される。吸収性物品1の快適性向上の観点からは、側壁部3は通気性を有することが好ましい。
【0019】
図2は、吸収性物品1をおよそ中央でY方向に垂直な面で切断した断面図である。図1および図2に示すように、本体部2は、吸液性の吸収体22、吸収体22の着用者側(すなわち、(+Z)側)の主面を覆うトップシート21、および、吸収体22のもう一方の主面を覆うバックシート23を備え、吸収体22の側方には側壁部3が接合される。トップシート21とバックシート23とは、ホットメルト接着剤等により吸収体22の周囲にて接合される。
【0020】
トップシート21は透液性の材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布であり、着用者からの排泄物の水分を捕捉して吸収体22へと移動させる。トップシート21として利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、トップシート21として、表面を活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)により形成された透液性の不織布が利用されてもよく、また、開孔を有するプラスチックフィルムが利用されてもよい。
【0021】
バックシート23は撥水性または不透液性の不織布であり、トップシート21を透過した水分、および、吸収体22に一旦吸収された水分が、本体部2の外側(すなわち、(−Z)側)にしみ出すのを防止する。バックシート23として利用される不織布は、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布であり、必要に応じて撥水処理が施されてもよい。なお、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムや、上記不織布とプラスチックフィルムとの複合材料等がバックシート23として利用されてもよい。この場合、着用者の快適性の観点からは、通気性を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0022】
図2に示すように、吸収体22は、親水性繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維)に粒状の吸水性ポリマー(例えば、SAP(Super Absorbent Polymer))を混合した吸収性材料を含む吸収コア222、吸収コア222の着用者側(すなわち、(+Z)側)の主面を覆う上層台紙221、および、吸収コア222のもう一方の主面を覆う下層台紙223を備え、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。吸収体22では、吸収コア222が上層台紙221および下層台紙223により包み込まれることにより、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性ポリマーの脱落が防止される。上層台紙221および下層台紙223としては、ティッシュペーパーや透液性の不織布等が利用される。吸収体22が水分を吸収した状態において上層台紙221の破損を防止する観点からは、上層台紙221として不織布が利用されることが好ましい。
【0023】
図1および図2に示すように、吸収体22は、幅方向の中央において吸収体22の全長に亘って長手方向に沿う直線状の目印41を備え、目印41は、トップシート21を介して吸収性物品1の着用者側から視認可能とされる。図1では、理解を容易にするために、トップシート21の下方に位置する目印41を実線にて描いている。目印41は、後述する吸収体22の形成工程において、インラインにて印刷により上層台紙221の吸収コア222側(すなわち、(−Z)側)に設けられて吸収体22と同じ長さとされる。吸収性物品1では、トップシート21の着用者側においてインナーパッド等の略矩形の補助吸収具9が図1および図2中に二点鎖線にて示すように取り付け可能とされる。
【0024】
吸収性物品1が着用される際には、まず、吸収性物品1に補助吸収具9が取り付けられ、その後、補助吸収具9と共に吸収性物品1が着用者にあてがわれて止着部24により止着される。吸収性物品1に補助吸収具9が取り付けられる際には、前回使用された補助吸収具9の使用後の状態(すなわち、補助吸収具9のどの部位を中心として尿等が吸収されているか等)から着用者の排泄傾向が把握された上で、必要に応じて前回の取付位置からずらし、目印41および目印41により特定される吸収体22の位置に基づいて補助吸収具9の取り付けが行われる。例えば、排泄が着用者の腹側かつ右側に偏っている場合には、補助吸収具9は、前回の取付位置よりも図1中の(+X)側かつ(+Y)側にずらして、さらに、吸収体22上からはみ出さないように取り付けられる。
【0025】
図3は、吸収性物品1を製造する装置(または、装置群)の上流側の一部である本体部製造装置5の構成を示す図であり、本体部製造装置5は、吸収性物品1の本体部2を製造する。本体部製造装置5では、一定の大きさに裁断された薄板状のパルプ8を粉砕して得られる粉砕パルプや不織布等を用いて吸収性物品1の本体部2が製造される。
【0026】
本体部製造装置5は、パルプ8を所定の供給路に沿って一定の速度で供給するパルプ供給機構52、パルプ供給機構52の下流側においてパルプ供給機構52により供給されるパルプ8を粉砕するパルプ粉砕機構53、および、パルプ粉砕機構53により生成された粉砕パルプを成形して本体部2を形成する本体部形成機構54を備える。
【0027】
パルプ供給機構52は、積み重ねられた複数のパルプ8が載置されるパルプ載置部521、パルプ載置部521からパルプ8を1枚ずつ取り出すパルプ取出機構522、パルプ取出機構522からパルプ8を受け取って下流側へと搬送するコンベア523、および、コンベア523の下流側に配置されてパルプ8をパルプ粉砕機構53へと案内する供給路524を備える。
【0028】
パルプ粉砕機構53は、パルプ8を粉砕する粉砕シリンダ531を備え、粉砕シリンダ531は、パルプ8に平行であってパルプ供給機構52の供給方向にほぼ垂直なシリンダ回転軸5311を中心とする略円筒状となっている。粉砕シリンダ531は、シリンダ回転軸5311に沿って配列された複数の粉砕ブレード532を備え、各粉砕ブレード532は、シリンダ回転軸5311を中心としてシリンダ回転軸5311に垂直な略円板状となっている。各粉砕ブレード532は、外周に一定のピッチで複数の歯を備える。
【0029】
本体部形成機構54は、パルプ粉砕機構53により生成された粉砕パルプを所定の高さまで吸着する吸着ドラム542、パルプ粉砕機構53と吸着ドラム542とを接続するダクト541、ロール状の下層台紙223および上層台紙221をそれぞれ保持する下層台紙保持部543および上層台紙保持部544、並びに、ロール状のトップシート21およびバックシート23をそれぞれ保持するトップシート保持部545およびバックシート保持部546を備える。また、上層台紙保持部544と接着剤供給部5441との間には、上層台紙221に目印41を形成する目印形成機構5442が設けられる。
【0030】
図4は、吸収性物品1の製造工程を示す図である。吸収性物品1が製造される際には、まず、ロール状の上層台紙221、下層台紙223、トップシート21およびバックシート23が準備され、図3に示す本体部製造装置5の各保持部に取り付けられて保持される。準備された上層台紙221には、目印41(図1参照)はまだ形成されていない。
【0031】
続いて、パルプ供給機構52によりパルプ8がパルプ粉砕機構53へと順次供給され、シリンダ回転軸5311を中心として回転する粉砕シリンダ531の粉砕ブレード532により粉砕されて粉砕パルプが生成される。粉砕パルプは、図示省略の送風機構からの送風によりダクト541を介して運ばれ、ポリマー供給部5421から供給される吸水性ポリマー(例えば、SAP(Super Absorbent Polymer))と混合され、図3中において時計回りに回転する円筒状の吸着ドラム542に吹き付けられる。吸着ドラム542では、内部に接続された図示省略の吸引機構により、微細な吸引孔が設けられた吸着ドラム542の外周面上に粉砕パルプおよび吸水性ポリマーが所定の高さまで吸着されて吸収コア222が形成され、実質的に準備された状態となる。(ステップS11)。なお、吸収性物品1の本体部2に要求される吸収力によっては吸水性ポリマーの混合は省略される場合もある。
【0032】
吸着ドラム542の外周面上に吸着された吸収コア222(すなわち、粉砕パルプおよび吸水性ポリマー)は、吸着ドラム542の回転に伴って吸着ドラム542の下側へと移動し、下層台紙保持部543から繰り出されるとともにコンベア5401により下流側へと搬送される下層台紙223に転写される。吸収コア222は、接着剤供給部5431により下層台紙223の上面に予め塗布された接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)により下層台紙223上に接着される。
【0033】
本体部製造装置5では、コンベア5401による吸収コア222および下層台紙223の搬送と並行して、上層台紙保持部544から繰り出された上層台紙221の片側の面(すなわち、吸収体22が形成された状態において吸収コア222に対向する面)に目印形成機構5442から印刷用インクが連続的に噴射され、図1に示す直線状の目印41が上層台紙221に形成される(ステップS12)。
【0034】
目印41が形成されると、上層台紙221の目印41が形成された側の面に、接着剤供給部5441により接着剤が塗布される。上層台紙221は、接着剤の塗布面(すなわち、目印41が形成された側の面)を吸収コア222と対向させつつ下層台紙223との間に吸収コア222を挟んで加圧部5481に進入する。そして、加圧部5481により圧縮されつつ上層台紙221と下層台紙223とが接着されることにより、連続体である吸収体シート220が形成される(ステップS13)。
【0035】
吸収体シート220は、コンベア5402により下流側へと搬送され、切断部5471において吸収体シート220の長手方向に垂直な方向に切断されて複数の吸収体22が形成される(ステップS14)。複数の吸収体22は、切断部5471の下流側のコンベア5403上においてコンベア5403による搬送方向に間隙をあけて配列され、さらに下流側へと搬送される。
【0036】
コンベア5403の下流側では、トップシート保持部545およびバックシート保持部546からトップシート21およびバックシート23が繰り出され、両シートの吸収体22と対向する側の面に接着剤供給部5451,5461から接着剤が塗布される。トップシート21およびバックシート23は、間隙をあけて配列された複数の吸収体22を間に挟んで接着され、連続体である本体シート20が形成される(ステップS15)。
【0037】
本体部製造装置5では、本体シート20が、長手方向に配列された複数の吸収体22の間隙に相当する部位にて、切断部5472により本体シート20の長手方向に垂直な方向に切断され、複数の本体部2が形成される(ステップS16)。各本体部2は、切断部5472の下流側に位置するコンベア5404により本体部製造装置5から搬出され、一対の側壁部3および一対の止着部24が取り付けられて吸収性物品1が製造される(ステップS17)。
【0038】
以上に説明したように、吸収性物品1では、吸収体22がトップシート21を介して着用者側から視認可能な目印41を備えることにより、吸収体22の位置を容易に特定し、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。また、目印41が吸収体22の幅方向の中央に設けられており、補助吸収具9の位置調整の基準として利用しやすいため、補助吸収具9の吸収体22に対する位置決めを容易に行うことができる。さらには、目印41が吸収体22の長手方向の両端部においても幅方向の中央に設けられていることにより、補助吸収具9を着用者の適切な着用部位にあてがった後に吸収性物品1を着用する場合であっても、吸収性物品1の長手方向の端部において目印41と補助吸収具9との相対位置を確認しつつ吸収性物品1を着用することができるため、補助吸収具9を吸収性物品1に対して正確に取り付けることができる。
【0039】
吸収性物品1では、目印41を上層台紙221上に印刷することにより、吸収体22に容易に目印41を設けることができる。また、目印41が上層台紙221の吸収コア222側に設けられることにより、吸収性物品1の製造途上や使用時等において、目印41がトップシート21と直接接触することが防止されるため、トップシート21との摩擦等による目印41の損傷を防止することができる。
【0040】
本体部製造装置5では、上層台紙保持部544から繰り出される上層台紙221に連続的に直線を印刷することにより、吸収体22の長手方向の全長に亘る直線状の目印41が形成されるため、本体部製造装置5により製造される吸収体22のサイズが変更される場合であっても、目印41を設けることに関してはサイズ変更に伴う特別な作業が発生しない。その結果、単一の本体部製造装置5における異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。
【0041】
なお、目印41の形成(図3中のステップS12)は、必ずしも吸収体シート220の形成(ステップS13)の直前に行われる必要はなく、吸収体22の形成工程において行われるのであれば、吸収体シート220の形成後、あるいは、吸収体シート220の形成と同時に行われてもよい。例えば、目印41の形成が、吸収体シート220の形成後であって吸収体シート220の切断前(すなわち、ステップS13とステップS14との間)に行われる場合、目印形成機構5442は加圧部5481と切断部5471との間に配置され、吸収体シート220の上側の面(すなわち、上層台紙221の吸収コア222に対向する側とは反対側の面)に目印41が印刷される。また、目印形成機構5442が加圧部5481の内部に配置され、目印41の形成が吸収体シート220の形成と同時に行われてもよい。目印41の形成が吸収体シート220の形成前後に行われる場合、また、同時に行われる場合のいずれであっても、本体部製造装置5では、上述のように、単一の本体部製造装置5における異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。なお、本体部製造装置5では、接着剤供給部5441による上層台紙221への接着剤の塗布時に、または、接着剤の塗布の前後に、上層台紙221の接着剤の塗布面に有色ホットメルト接着剤が目印41として塗布されてもよい。
【0042】
本体部製造装置5では、ステップS11において、予め直線状の目印41が形成されている上層台紙221が準備されてもよく、この場合も、目印41を設けることに関しては吸収体22のサイズ変更に伴う特別な作業が発生しないため、単一の本体部製造装置5における異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。
【0043】
図5は、本発明の第2の関連技術に係る吸収性物品1aを示す平面図である。吸収性物品1aでは、図1に示す直線状の目印41に代えて十字状(すなわち、直交する2つの短い直線状)の目印41aが設けられる。その他の構成は図1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。吸収性物品1aでは、トップシート21を介して着用者側から視認可能な目印41aが、吸収体22の長手方向の略中央、かつ、幅方向の中央に設けられる。
【0044】
吸収性物品1aの製造は、図3とほぼ同様の構成の本体部製造装置5aにより行われ、本体部製造装置5aは、図6に示すように目印形成機構5442が加圧部5481と切断部5471との間のコンベア5402の上方に配置されるという点のみが図3の装置と異なる。以下、第1の関連技術と同符号を付して説明を行う。図7は、吸収性物品1aの製造工程を示す図である。図7に示す製造工程は、図4中のステップS12,13の代わりにステップS22,S23が行われることを除いて第1の関連技術と同様であり、図7のステップS24よりも後は図4のステップS15以降と同様である。
【0045】
本体部製造装置5aにより吸収性物品1aが製造される際には、第1の関連技術と同様にロール状の上層台紙221、下層台紙223、トップシート21およびバックシート23が本体部製造装置5aに取り付けられて準備された後、吸水性ポリマーが混合された粉砕パルプが、回転する吸着ドラム542の外周面上に吸着されて吸収コア222が順次形成され、これにより、実質的に吸収コア222が準備された状態とされる(ステップS21)(図3参照)。そして、図6に示すように、加圧部5481において上層台紙221が吸収コア222を間に挟んで下層台紙223と接着および圧縮されることにより、連続体である吸収体シート220が形成される(ステップS22)。
【0046】
ここで、コンベア5402の上方に設けられた目印形成機構5442から、吸収体シート220に対して印刷用インクが断続的に噴射され、十字状の目印41a(図5参照)が、吸収体シート220の上側の面(すなわち、上層台紙221の着用者側の面)の複数の位置にインラインにて印刷により形成される(ステップS23)。目印41aは、吸収体シート220上において、後述の複数の吸収体22に対応する複数の所定の位置のそれぞれに設けられる。
【0047】
吸収体シート220は切断部5471において切断され、それぞれに目印41aが設けられた複数の吸収体22が形成される(ステップS24)。その後、第1の関連技術と同様に、トップシート21およびバックシート23が、間に複数の吸収体22を挟んで接着され、連続体である本体シート20が形成され(ステップS15)(図3、図4参照)、さらに、本体シート20が、長手方向に配列された複数の吸収体22の間隙に相当する部位にて切断部5472により切断されて複数の本体部2が形成される(ステップS16)。その後、各本体部2が本体部製造装置5から搬出され、一対の側壁部3および一対の止着部24が取り付けられて吸収性物品1が製造される(ステップS17)。
【0048】
以上に説明したように、吸収性物品1aでは、第1の関連技術と同様に、吸収体22がトップシート21を介して着用者側から視認可能な目印41aを備えることにより、吸収体22の位置を容易に特定し、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。
【0049】
特に、吸収性物品1aでは、目印41aが吸収体22の長手方向の略中央、かつ、幅方向の中央に設けられることにより、補助吸収具9の吸収体22に対する位置決めを容易に行うことができる。さらには、補助吸収具9を着用者の適切な着用部位にあてがった後に吸収性物品1aを着用する場合であっても、補助吸収具9の中央部に吸収性物品1aの略中央に位置する目印41aを合わせつつ吸収性物品1aを着用することができるため、補助吸収具9を吸収性物品1aに対して正確に取り付けることができる。
【0050】
本体部製造装置5aでは、目印41aが吸収体シート220の切断直前、すなわち、吸収体22の形成工程において設けられるため、本体部製造装置5aにより製造される吸収体22のサイズが変更される場合であっても、吸収体シート220上における目印41aの印刷位置の設定変更のみを行えばよい。その結果、単一の本体部製造装置5aにおける異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。
【0051】
なお、目印41aの形成(図7中のステップS23)は、必ずしも吸収体シート220形成後であって吸収体シート220の切断直前(すなわち、ステップS22とS24との間)に行われる必要はなく、吸収体22の形成工程において、例えば、吸収体シート220の形成前(すなわち、ステップS21とS22との間)に上層台紙保持部544から繰り出された上層台紙221に対して行われてもよい。また、目印41aは、吸収体シート220が切断されて複数の吸収体22が形成された後であってこれらの吸収体22がトップシート21に覆われる前(すなわち、ステップS24とS25との間)に行われてもよい。上記いずれの場合であっても、単一の本体部製造装置5における異なるサイズの吸収体22の製造に容易に対応することができる。
【0052】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る吸収性物品の本体部2aを示す平面図である。本体部2aでは、図1に示す直線状の目印41に代えて、吸収体22の長手方向および長手方向に垂直な幅方向に伸びる複数の線42にて形成される格子状のパターン4が吸収体22の全体に付与される。複数の線42は、互いに略平行に、約5〜10mmの間隔をあけて配列される。パターン4の線42は、長手方向および幅方向に関して一定個数毎(本実施の形態では、5つ毎)に通常の線42よりも太くされる。
【0053】
パターン4は、吸収体22の上層台紙221(図2参照)の一方の主面全体に、第1の関連技術と同様、インラインにて印刷されており、トップシート21を介して視認可能とされる。このため、第1の実施の形態に係る吸収性物品では、吸収体22の範囲を容易に特定することができる。さらに、補助吸収具9の各コーナー部を線42の交点に重ね合わせたり、補助吸収具9のエッジを線42に沿わせる等して、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。なお、トップシート21との摩擦等によるパターン4の損傷を防止するという観点からは、パターン4は上層台紙221の吸収コア222と対向する側に設けられることが好ましい。
【0054】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る吸収性物品の本体部2bを示す平面図である。本体部2bでは、図8に示す格子状のパターン4に代えて、吸収体22の長手方向および幅方向に等間隔に広がる格子点のパターン4aが吸収体22の全体に付与される。パターン4aの複数の点43は、約5〜10mmの間隔をあけて配列され、一定個数毎(本実施の形態では、5つ毎)に通常の点43よりも大きくされる。
【0055】
パターン4aは、第1の実施の形態と同様に、吸収体22の上層台紙221(図2参照)の一方の主面全体にインラインにて印刷されており、トップシート21を介して視認可能とされる。このため、第2の実施の形態に係る吸収性物品においても、吸収体22の範囲を容易に特定することができ、さらに、補助吸収具9の各コーナー部やエッジを点43に重ね合わせる等して、補助吸収具9を吸収体22に対する適切な相対位置に正確に取り付けることができる。
【0056】
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る吸収性物品の本体部2cを示す平面図である。図10中において平行斜線を付して示す吸収体22は、有色の上層台紙221(図2参照)を用いて形成されている。このため、第3の実施の形態に係る吸収性物品では、吸収体22の全体にトップシート21を介して視認可能な色が付与されることとなり、その結果、第1および第2の実施の形態と同様に、吸収体22の範囲を容易に特定することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態および関連技術について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0058】
例えば、第1および第2の実施の形態並びに第1および第2の関連技術では、吸収体22に設けられる目印またはパターンが、吸収体22の上層台紙221以外の部位、例えば、吸収コア222の上側の面に形成されてもよい。また、第3の実施の形態では、有色の上層台紙221に代えて、トップシート21および上層台紙221を介して視認可能な有色の吸収コア222が用いられてもよい。
【0059】
図1に示す吸収性物品1では、目印41が吸収体22の長手方向に沿う実線として設けられるが、目印41は破線や点線等のように実質的に直線とみなすことができるものであってもよい。また、目印41は、必ずしも吸収体22の長手方向の全長に亘って設けられる必要はなく、吸収体22の長手方向の少なくとも一方の端部(すなわち、腹側または背側の端部)において幅方向の中央に設けられてもよい。このように、目印41が吸収体22の腹側または背側の端部に設けられることにより、補助吸収具9の吸収体22に対する位置決めを容易に行うことができる。さらには、補助吸収具9を着用者の適切な着用部位にあてがった後に吸収性物品1を着用する場合であっても、吸収性物品1の腹側または背側の端部において目印41と補助吸収具9との相対位置を確認しつつ吸収性物品1を着用することができるため、補助吸収具9を吸収性物品1に対して正確に取り付けることができる。
【0060】
図8では、パターン4の線42が実線とされているが、線42は破線や点線等のように実質的に線とみなすことができるものであってもよい。また、図9に示すパターン4aの点43についても同様に、実質的に点とみなすことができるものであれば、例えば、四角形や菱形、星印等であってもよい。さらには、吸収体22に付与されるパターンは、吸収体22の範囲を容易に特定し、吸収体22に対する補助吸収具9の正確な取り付けに利用できる他の様々な形状の図形の集合であってもよい。
【0061】
図11および図12は、上記関連技術とは異なる位置に目印41b,41cが設けられた他の吸収性物品の例を示す図である。図11に示す吸収性物品1bでは、吸収体22の長手方向の略中央に2つの目印41bが設けられ、図12に示す吸収性物品1cでは、吸収体22の幅方向の中央に2つの目印41cが設けられる。このように、吸収体22の長手方向の略中央または幅方向の中央に目印が設けられることにより、補助吸収具9の吸収体22に対する上下左右方向および向きに関する位置決めを容易に行うことができる。
【0062】
吸収性物品では、スパンレース法やニードルパンチ法、サーマルボンド法、スパンボンド法、ケミカルボンド法、エアスルー法等の様々な製法により製造された不織布を、トップシート21、バックシート23および側壁部3として使用することができる。
【0063】
上記実施の形態および関連技術に係る吸収性物品は、オープンタイプやパンツタイプの使い捨ておむつとして利用可能であり、また、その他様々な用途にも利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1,1a〜1c 吸収性物品
4,4a パターン
20 本体シート
21 トップシート
22 吸収体
23 バックシート
41,41a〜41c 目印
42 線
43 点
220 吸収体シート
221 上層台紙
222 吸収コア
223 下層台紙
S11〜S17,S21〜S24 ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
吸収体と、
前記吸収体の着用者側の主面を覆うトップシートと、
前記吸収体のもう一方の主面を覆うバックシートと、
を備え、
前記吸収体に、前記トップシートを介して視認可能な色またはパターンが全体に付与されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体の全体に、前記吸収体の長手方向および前記長手方向に垂直な幅方向に伸びる線にて形成される格子状のパターンまたは前記長手方向および前記幅方向に広がる格子点のパターンが形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品であって、
前記格子状のパターンの線または前記格子点のパターンの点が、前記長手方向および前記幅方向に関して一定個数毎に太い線または大きい点とされることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項2または3に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体が、
吸収性材料を含む吸収コアと、
前記吸収コアの着用者側の主面を覆うとともに前記目印が設けられた上層台紙と、
前記吸収コアのもう一方の主面を覆う下層台紙と、
を備え、
前記パターンが、前記上層台紙の前記吸収コア側に設けられることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記パターンが、前記吸収体の形成工程において、または、前記吸収体の形成後であって前記吸収体が前記トップシートに覆われる前に、前記吸収体に設けられたものであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項1】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
吸収体と、
前記吸収体の着用者側の主面を覆うトップシートと、
前記吸収体のもう一方の主面を覆うバックシートと、
を備え、
前記吸収体に、前記トップシートを介して視認可能な色またはパターンが全体に付与されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体の全体に、前記吸収体の長手方向および前記長手方向に垂直な幅方向に伸びる線にて形成される格子状のパターンまたは前記長手方向および前記幅方向に広がる格子点のパターンが形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品であって、
前記格子状のパターンの線または前記格子点のパターンの点が、前記長手方向および前記幅方向に関して一定個数毎に太い線または大きい点とされることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項2または3に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体が、
吸収性材料を含む吸収コアと、
前記吸収コアの着用者側の主面を覆うとともに前記目印が設けられた上層台紙と、
前記吸収コアのもう一方の主面を覆う下層台紙と、
を備え、
前記パターンが、前記上層台紙の前記吸収コア側に設けられることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記パターンが、前記吸収体の形成工程において、または、前記吸収体の形成後であって前記吸収体が前記トップシートに覆われる前に、前記吸収体に設けられたものであることを特徴とする吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−227700(P2010−227700A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164913(P2010−164913)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【分割の表示】特願2004−329915(P2004−329915)の分割
【原出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【分割の表示】特願2004−329915(P2004−329915)の分割
【原出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】
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