説明

吸収性物品

【課題】 着用者に過度の刺激が与えられることを防止し、蒸れやべたつきなどによる不快感を確実に抑制する。
【解決手段】 吸収性物品1は、前方領域Fと中央領域Mと後方領域Rとを有する。前方領域Fは、着用者の腹側の肌表面に接触する。中央領域Mは、着用者の膣孔周辺の肌表面に接触する。後方領域Rは、着用者の尻側の肌表面に接触する。吸収性物品1は、着用者の肌に当接する表面シート10と、液体を透過しない液不透過性の裏面シート20と、吸収体30とを有する。吸収性物品1は、表面シート10と裏面シート20との間に、着用者に対して清涼感を与える冷感材100を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面シートと裏面シートと吸収体とを備える吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品において、着用者の肌と当接する肌当接面に着用者に冷感を与える冷感剤が配置されたものがある(特許文献1参照)。冷感剤は、水によって溶解するマイクロカプセル化剤により包まれて、着用者の肌と当接する肌当接面に配置される。着用者の尿によって膜が溶解すると、冷感剤の成分が発散し、着用者の肌に接触して刺激を与える。これにより、着用者におむつの替え時を意識させることができる。
【0003】
また、上述のように「替え時」を示唆する機能だけでなく、例えば、装着時の蒸れやべたつきを軽減する目的で、着用者に清涼感を与える物質が塗布された吸収性物品が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−006277号公報(第4頁、第1図)
【特許文献2】特表2007−525245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように、着用者に清涼感を与える機能を有する従来の吸収性物品には、次のような問題があった。清涼感を与える化合物(以下、清涼剤という)は、着用者の肌に直接当接する位置に配置されるため、刺激が強いと感じる着用者もいる。過度の刺激は、着用者に清涼感よりもむしろ違和感を与える。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、清涼剤によって着用者に過度の刺激が与えられることを防止し、蒸れやべたつきなどによる不快感をより確実に抑制できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、次の特徴を有する。着用者の肌に当接する当接面を有する表面シートと、液体を透過しない液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配設される吸収体とを備える吸収性物品であって、前記表面シートと前記裏面シートとの間に清涼剤を含む材料を備え、前記清涼剤を含む材料は、前記吸収体の幅方向の両側に配設されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清涼剤によって着用者に過度の刺激が与えられることを防止することができ、蒸れやべたつきなどによる不快感をより確実に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
【図2】図2は、図1に示すF1−F1’線における断面図である。
【図3】図3は、冷感材を配置する装置の概略を説明する構成図である。
【図4】図4は、コーター塗工装置の概略を説明する図である。
【図5】図5は、コーター塗工装置を用いて実現可能な塗布パターンの例を示す図である。
【図6】図6は、MD方向に不連続な位置に冷感材を配置した塗工パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る吸収性物品の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0011】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
(吸収性物品の構成)
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る吸収性物品1の平面図である。図2は、図1に示すF1−F1’線における断面図である。
【0013】
図1における吸収性物品1は、例えば、生理用ナプキンである。図1に示すように、吸収性物品1は、前方領域Fと中央領域Mと後方領域Rとを有する。前方領域Fは、着用者の腹側の肌表面に接触する。中央領域Mは、着用者の膣孔周辺の肌表面に接触する。後方領域Rは、着用者の尻側の肌表面に接触する。
【0014】
吸収性物品1は、着用者の肌に当接する表面シート10と、液体を透過しない液不透過性の裏面シート20と、吸収体30とを有する。吸収性物品1は、表面シート10と裏面シート20との間に、着用者に対して清涼感を与える化合物(以下、清涼剤という)を含む材料100を備える。本実施形態では、清涼剤を含む材料を冷感材100と記す。
【0015】
吸収体30は、表面シート10と、裏面シート20との間に配設される。従って、吸収体30は、図1において破線で示される。吸収体30は、吸収性物品1の長手方向における中央部分に配設される。冷感材100は、吸収体30の幅方向の両側に配設される。すなわち、冷感材100は、図1において、網掛けで表示された領域A1,A2に対応する位置であって、且つ表面シート10と裏面シート20との間の空間に配設される。
【0016】
表面シート10は、少なくとも吸収体30の着用者側の表面を覆う第1シート11と、第1シート11の幅方向の両側に配置される第2シート12,13とを有する。
【0017】
裏面シート20は、ウイング21、ウイング22を有する。ウイング21とウイング22は、吸収性物品1の幅方向の対応する位置に一対形成される。ウイング21とウイング22は、中央領域Mにおいて吸収性物品1の幅方向に延出されている。裏面シート20の中央領域Mの幅は、前方領域F及び後方領域Rの幅よりも大きい。
【0018】
第1シート11は、裏面シート20の長さと略同一の長さを有する。第1シート11の端部の形状は、裏面シート20の形状と略同一である。第1シート11は、少なくとも吸収体30の表面を覆う。
【0019】
第2シート12,13は、第1シート11の両側に配設される。第2シート12は、吸収体30の端部の一部及びウイング21を覆う。第2シート12の長手方向の一方の端部は、略直線であり、第1シート11の長手方向の一方の端部と重なる。第2シート12の長手方向の他方の端部は、裏面シート20の外周の一部及びウイング21の形状と一致する。
【0020】
吸収性物品1の長手方向の寸法は、100〜500mmの範囲が好ましく、具体的には、150〜350mmの範囲がより好ましい。また、幅方向の寸法は、30〜200mmの範囲が好ましく、具体的には、40〜180mmの範囲がより好ましい。
【0021】
第2シート13は、吸収体30の側縁の一部及びウイング22を覆う。第2シート13の長手方向の一方の端部は、略直線であり、第1シート11の長手方向の他方の端部と重なる。第2シート13の長手方向の他方の端部は、裏面シート20の外周の一部及びウイング22の形状と一致する。
【0022】
図2は、吸収性物品1のF1−F1’線における断面図である。図2に示すように、吸収体30は、表面シート10と、裏面シート20との間に配設される。ウイング21は、第2シート12によって覆われる。ウイング22は、第2シート13によって覆われる。
【0023】
図2に示すように、第2シート12,13は、第1シート11の幅方向の縁部11a,11bにおいて、第1シート11と接合されている。冷感材100は、第2シート12,13の裏面側に配設される。冷感材100は、第2シート12,13の裏面に接する。
【0024】
また、第2シート12は、第2シート12の幅方向の縁部12aと、縁部12aよりも幅方向内側に位置する折返し部12bとを有する。第2シート12が第1シート11に重ねられて、第1シート11の幅方向の縁部11aと第2シート12の縁部12aとが接合された状態で、折返し部12bが第1シート11の幅方向外側に向けて折り返されることにより、着用者の肌に当接する当接面10aが形成される。第2シート13も第2シート12と同様に、第2シート13の幅方向の縁部13aと、縁部13aよりも幅方向内側に位置する折返し部13bとを有し、第1シートの端部11bに接合される。
【0025】
また、吸収性物品1において、第1シート11、第2シート12,13、裏面シート20、及び吸収体30は、互いに接合されている。第1シート11、第2シート12,13、及び裏面シート20の周縁が接合されて、吸収体30が内封されている。
【0026】
表面シート10と裏面シート20との接合方法としては、ヒートエンボス加工、超音波、又はホットメルト型接着剤のいずれか一つ、又は複数を組み合わせることが可能である。第1シート11と吸収体30は、圧着部41と圧着部42とによって、互いに圧着される。圧着部41及び圧着部42は、吸収体30の幅方向の両側に、吸収体30の長手方向に沿って形成される。本実施形態において、圧着部41及び圧着部42は、ヒートエンボス加工により圧着される。
【0027】
裏面シート20において、ショーツと接触する表面には、裏面シート20の長手方向に沿って、図示しない接着材がライン状に塗布される。接着材は、裏面シート20の長手方向に沿って複数ライン塗布される。ウイング21及びウイング22において、ショーツと接触する表面にもまた、接着材が塗布される。接着材には、粘着性を保持するための保護シートが接着されている。保護シートは、使用時には着用者によって剥離される。
【0028】
次に、第1シート11,12について具体的に説明する。
【0029】
本実施形態において、第1シート11は、不織布である。第1シート11の素材は、織布、有孔プラスチックシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0030】
天然繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロースが挙げられる。化学繊維の例としては、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、又は親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。
【0031】
熱可塑性疎水性化学繊維の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、ポリエチレンとポリプロピレンをグラフト重合してなる繊維、芯鞘構造等の複合繊維が挙げられる。
【0032】
不織布のウェブフォーミング方法としては、乾式(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)及び湿式のいずれか一つの方法を用いることができる。乾式法と湿式法のうち、複数の方法を組み合わせてもよい。また、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディング等の方法が挙げられる。不織布を作成する方法は、上述の方法に限定されない。
【0033】
また、水流交絡法によりシート状に形成したスパンレースを第1シート11に用いることもできる。また、不織布の上層側に凹凸を付けた不織布、又はウェブ形成時にエアーを当てることにより不織布に目付ムラを設けた凹凸不織布を第1シート11に用いることもできる。表面に凹凸を形成することにより、体液が第1シート11を透過する前に第1シート11の表面を伝わって拡散することを軽減できる。
【0034】
第2シート12,13は、第1シート11と同様の材料から選ぶことができる。但し、第2シート12,13を乗り越えて吸収性物品1外方へ経血が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。具体的には、スパンボンド不織布やSMS不織布などが挙げられる。第2シート12,13は、肌との当接面10aを構成する。そのため、肌への擦れ刺激を低減するためには、エアスルー不織布を用いることが好ましい。
【0035】
次に、裏面シート20について具体的に説明する。
【0036】
本実施形態において、裏面シート20は、ポリエチレン、ポリプロピレン等を主体としたフィルム、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を主体とし、目付(単位面積当りの重さ(g))が15〜30g/mの範囲のフィルムを使用することが好ましい。
【0037】
次に、吸収体30について具体的に説明する。
【0038】
吸収体30は、親水性繊維、パルプを含む。親水性繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロース、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、又は、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維等を単独又は混合して用いることができる。これらの中でも、低コストと吸収体の成形し易さとを考慮すると、粉砕パルプを使用することが好ましい。
【0039】
親水性繊維と高分子吸収体とを被覆材で覆うことにより、吸収体30を構成しても良い。本実施形態では、高分子吸収体は、吸収性、吸湿性のあるアクリル酸ナトリウム共重合体等の粒状ポリマーである。また、吸収体30は、例えば、銀・銅・亜鉛・シリカ・活性炭・アルミノケイ酸塩化合物・ゼオライト等の粒状消臭材、又は粒状抗菌材を添加してもよい。更に、吸熱反応により冷却効果のある粒状冷却剤などを添加しても良い。
【0040】
吸収体30は、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートでもよい。吸収体30として、エアレイドシートを使用する場合、エアレイドシートの厚さは、0.3〜5.0mmであるのが好ましい。エアレイドシートの例としては、繊維と粒子状ポリマーとをバインダー等でシート物に成形したものが挙げられる。なお、粒子状ポリマーは、エアレイドシートにおいて、層状に分散されていてもよいし、厚み方向に偏っていてもよい。
【0041】
吸収体30には、着用中の型崩れやヨレの防止、又は厚みを調整するため、エンボスが形成されていてもよい。吸収体30へのエンボスは、パターニングされたエンボスロールとフラットロールとの間に、吸収体を通紙することによって形成できる。エンボスロールのパターンは、格子状・ドット状・波状等が用いられるが、厚みを調整しやすい格子状のパターンが好ましい。
【0042】
次に、冷感材100について具体的に説明する。
【0043】
本実施形態では、冷感材100は、清涼剤が多数の細孔に分子を吸着できる多孔質材料に担持されたものであることが好ましい。清涼剤とは、例えば、シクロヘキサノール誘導体であるメントール、カンファー、及びチオール等である。また、多孔質材料は、例えば、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、ナノポーラスマテリアル等である。
【0044】
多孔質材料に担持(吸着)された清涼剤は、高湿度下において、毛管凝縮により水(水蒸気)と置換され、多孔質材料の外部に放出される。毛管凝縮が起こる多孔質材料の細孔径と相対湿度との関係は、いわゆるケルビン式に従う。
【0045】
一般的に「快適」と判断される湿度は、45%〜55%であると言われている。また、ショーツ内の温度が33〜37℃であるとき、湿度が60%程度に達すると、着用者は蒸れを感じるという結果が得られている。
【0046】
そこで、多孔質材料の細孔径を所望の湿度において吸着された分子と水分との置換が起こる細孔径を有する多孔質材料を使用する。具体的に、多孔質材料は、温度20〜40℃、相対湿度60〜85%の範囲のときに水蒸気が毛管凝縮を起こす細孔径を有する。また、温度20〜40℃、相対湿度60〜85%の範囲のときに水蒸気が毛管凝縮を起こす条件に合致した細孔径を有する細孔が多孔質材料の全細孔の30〜100%を占める。
【0047】
一例として、多孔質材料がシリカゲルの場合、ケルビン式によれば、細孔径は、4〜13nmである。細孔径が4nmよりも小さいと、相対湿度が60%よりも低い状態、すなわち、着用者が蒸れを感じていない快適な条件下において、清涼剤が放出される。これにより、着用者に刺激感をもたらすため、不適である。
【0048】
また、細孔径が13nmを超える場合には、湿度が85%を超えても清涼剤が放出されないため、着用者が蒸れを感じる条件下になっても、着用者に清涼感を与えることができない。また、多孔質材料の平均粒子径は、1.5mm以下であることが好ましい。多孔質材料の平均粒子径が1.5mmを超えると、着用者に違和感を与える。
【0049】
多孔質材料に担持させる清涼剤の量は、清涼剤の種類、多孔質材料の平均粒子径、細孔径分布等によって異なるが、概ね1g/m〜100g/mであることが好ましい。1g/m以下では、着用者に清涼感を与えることが難しい。また、100g/mを超えると、着用者にとって刺激が強くなりすぎるため、好ましくない。
【0050】
清涼剤は、上述したように、多孔質材料に担持された状態で所定の位置に配置される。また、特定の溶媒に可溶な乳酸メンチルやメントングルセリンアセタール等の清涼剤は、溶液の状態で所定の位置に塗布することができる。
【0051】
(冷感材の配置方法1)
上述した実施形態に例示した位置に冷感材100を配置する配置方法には、以下の方法がある。配置方法1は、清涼剤が多孔質材料に担持された冷感材100を配置する方法である。具体的には、ホットメルト型接着剤を塗布した領域に、ロールを用いて冷感材100を接着する。
【0052】
図3は、冷感材100を配置する配置装置200の概略を説明する構成図である。図3に示すように、配置装置200は、資材110を所定の搬送方向(MD方向)に搬送する搬送部201と、資材110の表面にホットメルト型接着剤(以下、HMAという)を塗布するHMA塗工部202とを有する。また、配置装置200は、HMAが塗布された資材110の表面に冷感材100を配置する表面処理ロール203と、冷感材100が蓄えられた貯留槽204とを有する。表面処理ロール203は、表面に細孔が形成されている。
【0053】
表面処理ロール203が貯留槽204に貯留された冷感材100に接触された状態で回転すると、表面に形成された細孔が冷感材100で充填される。表面処理ロール203が資材110の表面に接触することにより、冷感材100は、HMAが塗布された資材110の表面に転写される。
【0054】
ここで、資材110は、例えば、第2シート12,13又は裏面シート20である。すなわち、図3の配置装置200によって、冷感材100は、第2シート12,13の裏面(着用者の肌と当接する肌当接面の反対面)、或いは裏面シート20の肌側に配置される。冷感材100は、HMAにより資材110の表面に接着されるため、HMAの塗布間隔、塗布面積等を変更することによって、資材110において単位面積当りに配置する冷感材100の量を変更することができる。HMAの塗布量は、5〜100g/mであることが好ましい。また、HMAの塗布間隔は、MD方向の幅が0.5mmであって、MD方向方向の間隔が0.5mm以上であることが好ましい。
【0055】
また、この配置方法は、HMAにより第2シート12,13又は裏面シート20に冷感材100を接着するため、所定の配置位置(領域A1,A2)から冷感材100が脱落することを防止することができ、着用者に快適な清涼感を与えることができる。
【0056】
なお、裏面シート20として熱に弱い素材を使用している場合、裏面シート20にHMAを塗布することが困難な場合もある。従って、第2シート12,13の裏面に配置することが好ましい。
【0057】
(冷感材の配置方法2)
配置方法2は、特定の溶媒に可溶な乳酸メンチルやメントングルセリンアセタール等の清涼剤を溶液の状態で所定の位置に塗布する方法である。清涼剤が溶液の場合には、コーター塗工を適用することができる。図4は、コーター塗工装置の概略を説明する図である。
【0058】
資材110の所定の領域の表面に、コーター300によって冷感材100を塗布する。冷感材100は、塗布領域PA,PBに塗布される。吸収性物品を構成する資材110の長手方向を搬送方向MDに一致させて搬送する。
【0059】
図5は、コーター塗工装置を用いる場合に実現可能な、塗布領域PAに配置される冷感材100の塗布パターンの例を示す。冷感材100を塗布領域PAの全面に塗布するパターンA、冷感材100を塗布領域にストライプ状に塗布するパターンB、冷感材100を塗布領域の外側(すなわち、図4において、吸収性物品の幅方向外側に向けて幅広になるように塗布するパターンC、流れ方向に間欠的に塗布するパターンDなどが挙げられる。冷感材100の塗布量は、例えば、L−メントール含有マイクロスフィア(シムライズ社製)メントール比率25%を用いた場合には、好ましくは、0.5〜5g/mである。
【0060】
更に、いわゆる、フレキソ塗工法、グラビア塗工法等を用いれば、例えば、図6に示すように、MD方向に不連続な位置に冷感材100を配置することもできる。
【0061】
以上説明したように、実施形態に係る吸収性物品1によれば、表面シート10と裏面シート20との間であって、かつ吸収体30の幅方向の両側に冷感材100を配設することにより、冷感材100は、着用者の肌と直接接触しない。
【0062】
冷感材100は、高湿度環境下において、多孔質材料から放出される。放出された冷感材100は、肌の冷感受容器TRPM8(CMR1)と接触し、受容器の閾値を0〜5℃程度上昇させる。これにより、肌の環境温度が変わらない状態で肌の体感温度が0〜5℃程度低減する。従って、着用者は、蒸れを感じる環境下において、体感温度が低減するため、着用者は清涼感を得ることができる。
【0063】
更に、冷感材100は、体液(水分)と直接接触しない位置に配置される。従って、冷感材100が体液と直接触れることによる清涼材の放出を防止できる。これにより、清涼作用を持続させることができる。また、着用者が蒸れを感じる条件下になる前に、水分と接触することにより、清涼材が放出されるという誤作動を防止することができる。
【0064】
冷感材100は、第2シート12,13の裏面側に配設される。第2シート12,13が液不透過性の場合には、冷感材100が水分と直接接触しないという効果を高めることができる。従って、着用者が蒸れを感じる条件下になるまで清涼材が放出されることがない。
【0065】
また、吸収性物品1では、第2シート12が第1シート11に重ねられて、第1シート11の幅方向の縁部11aと第2シート12の縁部12aとが接合された状態で、折返し部12bが第1シート11の幅方向外側に向けて折り返されることにより、着用者の肌に当接する当接面10aが形成される。これにより、第1シート11と第2シート12,13との裏面同士を貼り合わせた場合に比べて、貼り合わせたシートの間から第2シート12,13の裏面側に水分が滲み出ることを防止できる。従って、第1シート11の表面の水分が冷感材100に触れることを防止する効果が高められる。
【0066】
以上説明したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0067】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。上述の各実施形態では、吸収性物品は、生理用ナプキンであるとして説明したが、本発明は、いわゆるライナー、失禁用品(失禁パットという)等にも適用できる。
【0068】
また、吸収性物品は、上述した図1に開示された平面形状に限定されない。着用者の股下の形状、及びショーツの形状に適合する形状であればよい。吸収性物品の平面形状は、長方形、楕円型、瓢箪型等とすることができる。
【0069】
吸収性物品は、経血等の体液の横漏れを防止するため、弾性材等のエラスティック材を用いたギャザーを、吸収体の幅方向の両方の端部に設けてもよい。
【0070】
高分子吸収体として、一般的に、吸収性や吸湿性のあるアクリル酸ナトリウム共重合体などの粒状ポリマーを用いることができる。また、表面シートと裏面シートとの間には、吸収体、高分子吸収体及び吸湿材のほか、銀・銅・亜鉛・シリカ・活性炭・アルミノケイ酸塩化合物・ゼオライトなどの粒状消臭材を配設してもよい。
【0071】
銀・銅・亜鉛・シリカ・活性炭・アルミノケイ酸塩化合物・ゼオライト、吸湿材として使用可能な電解質などのなかには、雑菌の繁殖を抑制する効果(抗菌作用又は殺菌作用)を有するものがある。例えば、雑菌の繁殖を抑制する効果を有する電解質を吸湿材として使用した場合には、吸収性物品に雑菌の繁殖を抑制する効果を付与することができる。
【0072】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0073】
[実施例]
試験製品を被験者に着用させて、官能評価により「蒸れ」を測定した。
【0074】
○製品形状
製品長:230mm、製品幅:100mm
多孔質材料:B型シリカゲル(Lメントール10%)
配合:B型シリカゲル90%、Lメントール10%
平均粒子径50μm、平均細孔径:7.5nm
メントール溶液にシリカゲルを浸漬した後、乾燥させる
担持処理に要する時間は、2〜8h
吸収体:150g/mのパルプと15g/mの吸収性ポリマーの混合体、この混合体を15g/mのティッシュで挟み込んだ
表面シート:PE/PETエアスルー25g/m
セカンドシート:PE/PETエアスルー20g/m
サイドシート(第2シート):ポリプロピレンスパンボンド(疎水性)20g/m
バックシート:ポリエチレンフィルム25g/m
被覆材としてティッシュを用いた。ティッシュと吸収体としての混合体との間にL−メントール担持B型シリカゲルを配置し、ホットメルト接着剤で固定した
L−メントール担持B型シリカゲルをホットメルト接着材で固着した第2シート12,13と第1シート11との間の領域に配置した。配置量は、50g/mとした。
【0075】
○試験
テスト環境:温度27℃、湿度70%、
衣服:下着、ポロシャツ、スカート、
ショーツにサンプル製品を装着。
生理用ナプキン上の会陰部相対位置に小型の温湿度計を取り付けた。
【0076】
上記環境内において、被験者に60分間、立位姿勢を維持させた。その結果、被験者は、装着直後(湿度55%)では蒸れを感じなかった。装着から15分後、股間内の蒸れが60%を超えてから、清涼感を感じた。その後、45分間で湿度は80%まで上昇したが、蒸れを感じなかったという結果が得られた。これは、試験中の条件下において、清涼材が放出されたものと考えられる。
【符号の説明】
【0077】
1…吸収性物品、 10…表面シート、 10a…当接面、 11…第1シート、 11a,11b…縁部、 12…第2シート、 12a…縁部、 12b…折返し部、 13…第2シート、 20…裏面シート、 21…ウイング、 22…ウイング、 30…吸収体、 41…圧着部、 42…圧着部、 100…冷感材、 110…資材、 200…配置装置、 201…搬送部、 202…HMA塗工部、 203…表面処理ロール、 204…貯留槽、 300…コーター、 A1,A2…領域、 F…前方領域、 M…中央領域、 MD…搬送方向、 PA,PB…塗布領域、 R…後方領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の肌に当接する当接面を有する表面シートと、
液体を透過しない液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に配設される吸収体とを備える吸収性物品であって、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に清涼剤を含む材料を備え、
前記清涼剤を含む材料は、前記吸収体の幅方向の両側に配設される吸収性物品。
【請求項2】
前記表面シートは、
少なくとも前記吸収体の前記着用者側の表面を覆う第1シートと、
前記第1シートの幅方向の両側に配置される第2シートとを有し、
前記第2シートは、前記第1シートの幅方向の縁部において前記第1シートと接合されており、前記清涼剤を含む材料は、前記第2シートの裏面側に配設される請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記清涼剤を含む材料は、前記第2シートの裏面に接触した状態で前記第2シートの裏面に接着される請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第2シートは、第2シートの幅方向外側に位置する縁部と、前記縁部よりも前記第2シートの幅方向内側に位置する折返し部とを有し、
前記第2シートが前記第1シートに重ねられて、前記第1シートの幅方向の縁部と第2シートの幅方向外側に位置する縁部とが接合された状態で、前記折返し部が前記第1シートの幅方向外側に向けて折り返されることにより、
前記着用者の肌に当接する当接面を形成する請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1シートは、液体を透過する液透過性シートであり、
前記第2シートは、液体を透過しない液不透過性シートである請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記清涼剤は、多孔質材料に把持される請求項1に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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