説明

吸収性物品

【課題】清涼剤の持続性を高める。
【解決手段】吸収性物品1は、表面シート10において、着用者の排泄部が当接する当接領域Sにおける単位面積当りの冷感材100の量が当接領域Sの縁部Saの外側の領域における単位面積当りの冷感材100の量よりも多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面シートと裏面シートと吸収体とを備える吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品において、着用者の肌と当接する肌当接面に着用者に冷感を与える清涼材が配置されたものがある(特許文献1参照)。清涼材は、水によって溶解するマイクロカプセル化剤により包まれて、着用者の肌と当接する肌当接面に配置される。着用者の尿によって膜が溶解すると、清涼材の成分が発散し、着用者の肌に接触して刺激を与える。これにより、着用者におむつの替え時を意識させることができる。
【0003】
また、上述のように「替え時」を示唆する機能だけでなく、例えば、装着時のムレやべたつきを軽減する目的で、着用者に清涼感を与える化合物(以下、清涼剤という)が塗布された吸収性物品が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−006277号公報(第4頁、第1図)
【特許文献2】特表2007−525245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように、着用者に清涼感を与える機能を有する従来の吸収性物品には、次のような問題があった。すなわち、着用者の尿が吸収体の局所に集中すると、その箇所にある清涼剤が早い段階で消耗されてしまい、清涼作用の持続性が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、清涼剤の持続性を高めることのできる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有する。液体を透過する液透過性の表面シートと、液体を透過しない液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配設される吸収体とを備える吸収性物品であって、前記表面シートと前記裏面シートとの間に清涼剤を含む冷感材料を備え、前記表面シートにおいて前記着用者の排泄部が当接する当接領域における単位面積当りの前記冷感材料の量は、前記当接領域の外側の領域における単位面積当りの前記冷感材料の量よりも多いことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清涼剤の持続性を高めることのできる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
【図2】図2は、図1に示すF1−F1’線における断面図である。
【図3】図3は、吸収性物品1のF2−F2’線における断面図である。
【図4】図4は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品1’の断面図である。
【図5】図5は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品1’の断面図である。
【図6】図6は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品2の断面図である。
【図7】図7は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品2の断面図である。
【図8】図8は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品2’の断面図である。
【図9】図9は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品2’の断面図である。
【図10】図10は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品3の断面図である。
【図11】図11は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品3の断面図である。
【図12】図12は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品3’の断面図である。
【図13】図13は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品3’の断面図である。
【図14】図14は、冷感材を配置する配置装置の構成図である。
【図15】図15(a)は、吸収性物品を構成する資材110の長手方向を搬送方向MDに一致させて搬送する場合の塗布方法を説明する図である。図15(b)は、冷感材100の塗布パターンの例を説明する図である。
【図16】図16(a)は、吸収性物品を構成する資材110の幅方向を搬送方向MDに一致させて搬送する場合の塗布方法を説明する図である。図16(b)は、冷感材100の塗布パターンの例を説明する図である。
【図17】図17は、吸収性物品を構成する部材に冷感材100を段階的に塗布する方法を説明する図である。
【図18】図18は、吸収体30を製造する吸収体成型装置400の概略を説明する側面図である。
【図19】図19(a)は、型430の形状を説明する斜視図である。図19(b)は、図19(a)におけるF3−F3’線における断面図である。
【図20】図20は、本発明のその他の実施形態として示す吸収性物品4の幅方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る吸収性物品の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0011】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る吸収性物品について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る吸収性物品1の平面図である。図2は、図1に示すF1−F1’線における断面図である。
【0013】
図1における吸収性物品1は、例えば、生理用ナプキンである。図1に示すように、吸収性物品1は、前方領域Fと中央領域Mと後方領域Rとを有する。前方領域Fは、着用者の腹側の肌表面に接触する。中央領域Mは、着用者の膣孔周辺の肌表面に接触する。後方領域Rは、着用者の尻側の肌表面に接触する。
【0014】
吸収性物品1は、着用者の肌に当接する表面シート10と、液体を透過しない液不透過性の裏面シート20と、吸収体30とを有する。吸収性物品1は、表面シート10と裏面シート20との間に、着用者に対して清涼感を与える化合物(以下、清涼剤という)を含む材料100を備える。本実施形態では、清涼剤を含む材料を冷感材100と記す。
【0015】
吸収体30は、表面シート10と、裏面シート20との間に配設される。従って、吸収体30は、図1において破線で示される。吸収体30は、吸収性物品1の長手方向における中央部分に配設される。
【0016】
吸収性物品1は、表面シート10において、着用者の排泄部が当接する当接領域Sにおける単位面積当りの冷感材100の量が当接領域Sの縁部Saの外側の領域における単位面積当りの冷感材100の量よりも多い。冷感材100は、当接領域Sの中央部から吸収体30の縁部30aに向かうほど単位面積当りの冷感材100の量が少なくなるように配設される。具体的に、冷感材100は、当接領域Sにおいて、吸収体30の縁部30aの幅方向の両側に向かうほど単位面積当りの冷感材100の量が少なくなるように配設される。冷感材100は、当接領域Sにおいて、吸収体30の端部の長手方向の両側に向かうほど単位面積当りの冷感材100の量が少なくなるように配設される。吸収性物品1において、表面シート10と裏面シート20との間であって、且つ当接領域Sに冷感材100を配設する方法は、後述する。
【0017】
表面シート10は、少なくとも吸収体30の着用者側の表面を覆う第1シート11と、第1シート11の幅方向の両側に配置される第2シート12,13とを有する。
【0018】
裏面シート20は、ウイング21、ウイング22を有する。ウイング21とウイング22は、吸収性物品1の幅方向の対応する位置に一対形成される。ウイング21とウイング22は、中央領域Mにおいて吸収性物品1の幅方向に延出されている。裏面シート20の中央領域Mの幅は、前方領域F及び後方領域Rの幅よりも大きい。
【0019】
第1シート11は、裏面シート20の長さと略同一の長さを有する。第1シート11の端部の形状は、裏面シート20の形状と略同一である。第1シート11は、少なくとも吸収体30の表面を覆う。
【0020】
第2シート12,13は、第1シート11の両側に配設される。第2シート12は、吸収体30の端部の一部及びウイング21を覆う。第2シート12の長手方向の一方の端部は、略直線であり、第1シート11の長手方向の一方の端部と重なる。第2シート12の長手方向の他方の端部は、裏面シート20の外周の一部及びウイング21の形状と一致する。
【0021】
吸収性物品1の長手方向の寸法は、100〜500mmの範囲が好ましく、具体的には、150〜350mmの範囲がより好ましい。また、幅方向の寸法は、30〜200mmの範囲が好ましく、具体的には、40〜180mmの範囲がより好ましい。
【0022】
第2シート13は、吸収体30の側縁の一部及びウイング22を覆う。第2シート13の長手方向の一方の端部は、略直線であり、第1シート11の長手方向の他方の端部と重なる。第2シート13の長手方向の他方の端部は、裏面シート20の外周の一部及びウイング22の形状と一致する。
【0023】
次に、第1実施形態の吸収性物品1の厚み方向における、冷感材100が配設される位置について説明する。図2は、吸収性物品1のF1−F1’線における断面図である。図3は、吸収性物品1のF2−F2’線における断面図である。図2、図3に示すように、吸収性物品1では、当接領域Sであって、かつ表面シート10と吸収体30との間に冷感材100が配設される。
【0024】
吸収性物品1において、第1シート11、第2シート12,13、裏面シート20、及び吸収体30は、互いに接合されている。第1シート11、第2シート12,13、及び裏面シート20の周縁が接合されて、吸収体30が内封されている。
【0025】
表面シート10と裏面シート20との接合方法としては、ヒートエンボス加工、超音波、又はホットメルト型接着剤のいずれか一つ、又は複数を組み合わせることが可能である。第1シート11と吸収体30は、圧着部41と圧着部42とによって、互いに圧着される。圧着部41及び圧着部42は、吸収体30の幅方向の両側に、吸収体30の長手方向に沿って形成される。本実施形態において、圧着部41及び圧着部42は、ヒートエンボス加工により圧着される。
【0026】
裏面シート20において、ショーツと接触する表面には、裏面シート20の長手方向に沿って、図示しない接着材がライン状に塗布される。接着材は、裏面シート20の長手方向に沿って複数ライン塗布される。ウイング21及びウイング22において、ショーツと接触する表面にもまた、接着材が塗布される。接着材には、粘着性を保持するための保護シートが接着されている。保護シートは、使用時には着用者によって剥離される。
【0027】
次に、第1シート11について具体的に説明する。
【0028】
本実施形態において、第1シート11は、不織布である。第1シート11の素材は、織布、有孔プラスチックシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0029】
天然繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロースが挙げられる。化学繊維の例としては、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、又は親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。
【0030】
熱可塑性疎水性化学繊維の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、ポリエチレンとポリプロピレンをグラフト重合してなる繊維、芯鞘構造等の複合繊維が挙げられる。
【0031】
不織布のウェブフォーミング方法としては、乾式(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)及び湿式のいずれか一つの方法を用いることができる。乾式法と湿式法のうち、複数の方法を組み合わせてもよい。また、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディング等の方法が挙げられる。不織布を作成する方法は、上述の方法に限定されない。
【0032】
また、水流交絡法によりシート状に形成したスパンレースを第1シート11に用いることもできる。また、不織布の上層側に凹凸を付けた不織布、又はウェブ形成時にエアーを当てることにより不織布に目付ムラを設けた凹凸不織布を第1シート11に用いることもできる。表面に凹凸を形成することにより、体液が第1シート11を透過する前に第1シート11の表面を伝わって拡散することを軽減できる。
【0033】
第2シート12,13は、第1シート11と同様の材料から選ぶことができる。但し、第2シート12,13を乗り越えて吸収性物品1外方へ経血が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。具体的には、スパンボンド不織布やSMS不織布などが挙げられる。第2シート12,13は、肌との当接面10aを構成する。そのため、肌への擦れ刺激を低減するためには、エアスルー不織布を用いることが好ましい。
【0034】
次に、裏面シート20について具体的に説明する。
【0035】
本実施形態において、裏面シート20は、ポリエチレン、ポリプロピレン等を主体としたフィルム、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を主体とし、目付(単位面積当りの重さ(g))が15〜30g/mの範囲のフィルムを使用することが好ましい。
【0036】
次に、吸収体30について具体的に説明する。
【0037】
吸収体30は、親水性繊維、パルプを含む。親水性繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロース、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、又は、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維等を単独又は混合して用いることができる。これらの中でも、低コストと吸収体の成形し易さとを考慮すると、粉砕パルプを使用することが好ましい。
【0038】
親水性繊維に高分子吸収体を混合したものを吸収体30として使用しても良い。本実施形態では、高分子吸収体は、吸収性、吸湿性のあるアクリル酸ナトリウム共重合体等の粒状ポリマーである。また、吸収体30は、例えば、銀・銅・亜鉛・シリカ・活性炭・アルミノケイ酸塩化合物・ゼオライト等の粒状消臭材、又は粒状抗菌材を添加してもよい。更に、吸熱反応により冷却効果のある粒状冷却剤などを添加しても良い。
【0039】
吸収体30は、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートでもよい。吸収体30として、エアレイドシートを使用する場合、エアレイドシートの厚さは、0.3〜5.0mmであるのが好ましい。エアレイドシートの例としては、繊維と粒子状ポリマーとをバインダー等でシート物に成形したものが挙げられる。なお、粒子状ポリマーは、エアレイドシートにおいて、層状に分散されていてもよいし、厚み方向に偏っていてもよい。
【0040】
吸収体30には、着用中の型崩れやヨレの防止、又は厚みを調整するため、エンボスが形成されていてもよい。吸収体30へのエンボスは、パターニングされたエンボスロールとフラットロールとの間に、吸収体を通紙することによって形成できる。エンボスロールのパターンは、格子状・ドット状・波状等が用いられるが、厚みを調整しやすい格子状のパターンが好ましい。
【0041】
次に、冷感材100について具体的に説明する。
【0042】
本実施形態では、冷感材100は、可溶性であり、清涼剤を内包する構造を有することが好ましい。具体的には、清涼剤が包接化合物、マイクロカプセル、マイクロスフィアなどのポリマーセルに内包されたものであることが好ましい。清涼剤とは、例えば、シクロヘキサノール誘導体であるメントール、カンファー、及びチオール等である。冷感材100が液体に接触すると、清涼剤の外側を覆うポリマーセルが崩壊し、内部の清涼剤が放出される。
【0043】
冷感材100は、清涼剤の種類、ポリマーセルの種類等により異なるが、0.1〜50g/mである。具体的に、L−メントール含有マイクロスフィア(シムライズ社製)メントール比率25%を用いた場合には、好ましくは、0.5〜5g/mである。
【0044】
以上説明したように、実施形態に係る吸収性物品1によれば、当接領域Sであって、且つ表面シート10と吸収体30との間における単位面積当りの冷感材100の量が当接領域Sの外側よりも多い。また、冷感材100は、当接領域Sの中央部から吸収体30の縁部30aに向かうほど単位面積当りの冷感材100の量が少なくなるように配設される。このように、吸収性物品1は、水分が集中する領域において冷感材100が多く配置される。従って、着用者に与える清涼作用を持続させることができる。
【0045】
また、冷感材100は、表面シート10と吸収体30との間に配設される。すなわち、冷感材100は、着用者の肌と直接接触しない。従って、着用者に過度の刺激を与えることを防止できる。また、ムレやべたつきなどによる不快感をより確実に抑制できる。
【0046】
冷感材100は、水分と接触することによって溶解し、清涼剤が放出される。放出された清涼剤は、肌の冷感受容器TRPM8(CMR1)と接触し、受容器の閾値を0〜5℃程度上昇させる。これにより、肌の環境温度が変わらない状態で肌の体感温度が0〜5℃程度低減する。従って、着用者は、蒸れを感じる環境下において、体感温度が低減するため、着用者は清涼感を得ることができる。
【0047】
清涼剤をマイクロスフィアに内包させた冷感材100の場合、マイクロスフィアの粒子径を異ならせると、径のサイズによって溶解するまでの時間が異なるため、全体として清涼感を持続させることができる。マイクロカプセルの場合には、膜厚を異ならせることにより、同様の効果が得られる。
【0048】
(第1実施形態の変形例)
吸収性物品1’は、第1実施形態の変形例である。吸収性物品1’は、厚み方向において冷感材100が配設される位置が吸収性物品1とは異なるが、外観に差異はないため平面図は省略する。図4は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品1’の断面図である。図5は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品1’の断面図である。図4、図5に示すように、吸収性物品1’の吸収体30は、親水性繊維、高分子吸収体等が被覆材31で覆われたものである。吸収性物品1’では、表面シート10と被覆材31との間であって、且つ図1に示す当接領域Sに相当する位置における単位面積当りの冷感材100の量が当接領域Sの外側の領域より多い。
【0049】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態として示す吸収性物品2について説明する。吸収性物品2は、厚み方向において冷感材100が配設される位置が吸収性物品1とは異なるが、外観に差異はないため平面図は省略する。図6は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品2の断面図である。図7は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品2の断面図である。図6、図7に示すように、吸収性物品2では、吸収体30と裏面シート20との間であって、且つ図1に示す当接領域Sに相当する位置における単位面積当りの冷感材100の量が当接領域Sの外側の領域より多い。
【0050】
このように、吸収性物品2は、水分が集中する領域において冷感材100が多く配置される。従って、着用者に与える清涼作用を持続させることができる。また、冷感材100は、表面シート10と吸収体30との間に配設される。すなわち、冷感材100は、着用者の肌と直接接触しない。従って、着用者に過度の刺激を与えることを防止できる。また、ムレやべたつきなどによる不快感をより確実に抑制できる。
【0051】
(第2実施形態の変形例)
吸収性物品2’は、第2実施形態の変形例である。吸収性物品2’は、厚み方向において冷感材100が配設される位置が吸収性物品1とは異なるが、外観に差異はないため平面図は省略する。図8は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品2’の断面図である。図9は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品2’の断面図である。図8、図9に示すように、吸収性物品2’の吸収体30は、親水性繊維、高分子吸収体等が被覆材31で覆われたものである。吸収性物品2’では、被覆材31と裏面シート20との間であって、且つ図1に示す当接領域Sに相当する位置における単位面積当りの冷感材100の量が当接領域Sの外側の領域より多い。
【0052】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態として示す吸収性物品3について説明する。吸収性物品3は、厚み方向において冷感材100が配設される位置が吸収性物品1とは異なるが、外観に差異はないため平面図は省略する。図10は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品3の断面図である。図11は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品3の断面図である。図10、図11に示すように、吸収性物品3では、吸収体30の内部であって、且つ図1に示す当接領域Sに相当する位置における単位面積当りの冷感材100の量が当接領域Sの外側の領域より多い。すなわち、冷感材100は、吸収体30を構成する親水性繊維、高分子吸収体等に混合されている。
【0053】
このように、吸収性物品3は、水分が集中する領域において冷感材100が多く配置される。従って、着用者に与える清涼作用を持続させることができる。また、冷感材100は、吸収体30に混合されて配設される。すなわち、冷感材100は、着用者の肌と直接接触しない。従って、着用者に過度の刺激を与えることを防止できる。また、ムレやべたつきなどによる不快感をより確実に抑制できる。
【0054】
特に、パルプと冷感材100とを混合する、すなわち吸収体30の内部に配置する場合には、表面シート10に近い側(吸収体30の上層側)に偏在させることが好ましい。冷感材100を上層側に偏在させることにより、体液が出たとき、より早い段階で冷感材100が液体に触れることになり、着用者にすぐに清涼感を与えることができる。
【0055】
(第3実施形態の変形例)
吸収性物品3’は、第3実施形態の変形例である。吸収性物品3’は、厚み方向において冷感材100が配設される位置が吸収性物品1とは異なるが、外観に差異はないため平面図は省略する。図12は、吸収性物品1のF1−F1’線と同じ位置における吸収性物品3’の断面図である。図13は、吸収性物品1のF2−F2’線と同じ位置における吸収性物品3’の断面図である。図12、図13に示すように、吸収性物品3’の吸収体30は、親水性繊維、高分子吸収体等が被覆材31で覆われたものである。吸収性物品3’では、被覆材31の内側であって、且つ図1に示す当接領域Sに相当する位置における単位面積当りの冷感材100の量が当接領域Sの外側の領域より多い。すなわち、冷感材100は、吸収体30を構成する親水性繊維、高分子吸収体等に混合されている。すなわち、冷感材100は、親水性繊維、高分子吸収体等に混合されて、被覆材31により覆われている。
【0056】
(冷感剤の配置方法1)
上述した実施形態に例示した位置に冷感材100を配置する配置方法には、以下の方法がある。配置方法1は、清涼剤がポリマーセルに内包された冷感材100を配置する方法である。具体的には、ホットメルト型接着剤を塗布した領域に、ロールを用いて冷感材100を接着する。
【0057】
図14は、冷感材100を配置する配置装置200の概略を説明する構成図である。図14に示すように、配置装置200は、資材110を所定の搬送方向(MD方向)に搬送する搬送部201と、資材110の表面にホットメルト型接着剤(以下、HMAという)を塗布するHMA塗工部202とを有する。また、配置装置200は、HMAが塗布された資材110の表面に冷感材100を配置する表面処理ロール203と、冷感材100が蓄えられた貯留槽204とを有する。表面処理ロール203の表面には、細孔が形成されている。
【0058】
表面処理ロール203が貯留槽204に貯留された冷感材100に接触された状態で回転すると、表面に形成された細孔が冷感材100で充填される。表面処理ロール203が資材110の表面に接触することにより、冷感材100は、HMAが塗布された資材110の表面に転写される。
【0059】
吸収体30における当接領域Sに対応する位置に部分的に冷感材100を配置するには、表面処理ロール203の表面に部分的に細孔を形成すればよい。吸収体30における当接領域Sに対応する位置にのみ細孔を形成する。また、当接領域Sに対応する位置にのみHMAを塗布すればよい。
【0060】
資材110は、例えば、吸収体30である。すなわち、図14の配置装置200によって、冷感材100は、表面シート10の裏面(着用者の肌と当接する肌当接面の反対面)、或いは吸収体30の肌側に配置される。冷感材100は、HMAにより資材110の表面に接着されるため、HMAの塗布間隔、塗布面積等を変更することによって、資材110において単位面積当りに配置する冷感材100の量を変更することができる。HMAの塗布量は、5〜100g/mであることが好ましい。また、HMAの塗布間隔は、MD方向の幅が0.5mmであって、MD方向の間隔が0.5mm〜10mmである。より好ましくは、0.5mm以上2mm以下である。HMAの塗工方法としては、例えば、スパイラル塗工が挙げられる。スパイラル塗工は、透液性を阻害しない方法であるため好適に用いることができる。
【0061】
吸収体30表面シート10の裏面或いは吸収体30の肌側に直接配置する方法の他、別のシート(セカンドシートという)に冷感材100を配置したものを、所定位置に配置してもよい。所定位置としては、例えば、表面シート10と吸収体30との間が挙げられる。
【0062】
なお、裏面シート20として熱に弱い素材を使用している場合、裏面シート20にHMAを塗布することが困難な場合もある。この場合には、第2シート12,13の裏面に配置することが好ましい。
【0063】
図14に示した配置装置200を用いた配置方法は、清涼剤がポリマーセルに内包された冷感材100を配置する方法に限定されない。冷感材100が粒子状を有する場合に有効である。例えば、清涼剤が多孔質材料に担持されたものを配置する際に適用することもできる。
【0064】
(冷感材の配置方法2)
配置方法2は、特定の溶媒に可溶な乳酸メンチルやメントングルセリンアセタール等の清涼剤を溶液の状態で所定の位置に塗布する方法である。清涼剤が溶液の場合には、コーター塗工を適用することができる。図15は、コーター塗工装置の概略を説明する図である。
【0065】
コーター300によって、当接領域Sに相当する領域に冷感材100を塗布する。冷感材100は、塗布領域PSに塗布される。吸収性物品を構成する資材110の長手方向を搬送方向MDに一致させて搬送する場合(図15(a))と、吸収性物品を構成する資材110の幅方向を搬送方向MDに一致させて搬送する場合(図16(a))とがある。
【0066】
図15(b)は、吸収性物品を構成する資材110の長手方向を搬送方向MDに一致させて搬送する場合、塗布領域PSに配置することのできる冷感材100の塗布パターンの例を示す。例えば、冷感材100を塗布領域PSの全面に塗布するパターンA、冷感材100を塗布領域PSにストライプ状に塗布するパターンBなどがある。パターンBは、当接領域Sにおいて吸収体の幅方向の両側に向かうほど、単位面積当りの冷感材100の量が少なくなるように配設されている。
【0067】
図16(b)は、吸収性物品を構成する資材110の幅方向を搬送方向MDに一致させて搬送する場合、塗布領域PSに配置することのできる冷感材100の塗布パターンの例を示す。例えば、冷感材100を塗布領域PSの全面に塗布するパターンC、冷感材100を塗布領域PSにストライプ状に塗布するパターンD,Eなどがある。パターンEは、当接領域Sにおいて吸収体の長手方向の両側に向かうほど、単位面積当りの冷感材100の量が少なくなるように配設されている。
【0068】
また、例えば、図17に示すように、塗布領域の異なる複数のコーター301、302を用いて、冷感材100を段階的に塗布することもできる。コーター301は、冷感材100を塗布領域PS1に塗布する。続いて、コーター302は、塗布領域PS1よりも内側の領域PS2に冷感材100を塗布する。これにより、当接領域Sの中央部から吸収体の幅方向の端部に向かうほど、単位面積当りの冷感材100の量が少なくなるように、冷感材100を配設することができる。
【0069】
本実施形態では、当接領域Sにおける冷感材100の単位面積当りの量が当接領域Sの外側よりも多ければよい。従って、当接領域Sの外側に冷感材100が配置されていても良い。更に、いわゆる、フレキソ塗工法、グラビア塗工法等を用いることにより、吸収性物品を構成する資材110に対して、図15(b)、図16(b)、図17に例示したと同様に冷感材100を配置することができる。この塗工方法では、例えば、複数回の塗工を繰り返すことにより、単位面積当りの冷感材100の量を変更することができる。
【0070】
また、第3実施形態のように、吸収体30の内部に冷感材100を混合する場合には、次の方法を用いることができる。
【0071】
図18は、吸収体30を製造する吸収体成型装置400の概略を説明する側面図である。図18に示すように、吸収体成型装置400は、パルプシートを粉砕して形成された粉砕パルプ、高分子吸収体、冷感材100などが混合された吸収体原資を噴出する噴出部410と、噴出された吸収体原資500を型430内に堆積させることにより吸収体を成型する成型ドラム420とを有する。成型ドラム420に組み込まれた型430に吸収体原資が堆積し、所定の厚さ及び形状を有する吸収体30が形成される。
【0072】
図19(a)は、型430の形状を説明する斜視図である。図19(b)は、図19(a)におけるF3−F3’線における断面図である。型430は、第1底面431と、第1底面よりも更に深い第2底面432とを有する。平面視において、第2底面432が形成された領域は、吸収性物品における当接領域Sに相当する。このような形状を有する型の内部に吸収体原資が堆積されると、第2底面432には、より多くの吸収体原資が堆積される。従って、吸収性物品になった際、当接領域Sにおける吸収体の量が当接領域Sよりも外側の領域における吸収体の量よりも多い。
【0073】
上述のように、吸収体原資には、粉砕パルプ、高分子吸収体、冷感材100などが混合される。従って、吸収体原資が他の領域よりも一層厚く堆積する当接領域Sにおいて、単位面積当りの冷感材100の量を多くすることができる。
【0074】
以上説明したように、本発明の第1〜第3実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0075】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。上述の各実施形態では、吸収性物品は、生理用ナプキンであるとして説明したが、本発明は、いわゆるライナー、失禁用品(失禁パットという)等にも適用できる。
【0076】
また、吸収性物品は、上述した図1に開示された平面形状に限定されない。着用者の股下の形状、及びショーツの形状に適合する形状であればよい。吸収性物品の平面形状は、長方形、楕円型、瓢箪型等とすることができる。
【0077】
吸収性物品は、経血等の体液の横漏れを防止するため、弾性材等のエラスティック材を用いたギャザーを、吸収体の幅方向の両方の端部に設けてもよい。
【0078】
高分子吸収体として、一般的に、吸収性や吸湿性のあるアクリル酸ナトリウム共重合体などの粒状ポリマーを用いることができる。また、表面シートと裏面シートとの間には、吸収体、高分子吸収体及び吸湿材のほか、銀・銅・亜鉛・シリカ・活性炭・アルミノケイ酸塩化合物・ゼオライトなどの粒状消臭材を配設してもよい。
【0079】
銀・銅・亜鉛・シリカ・活性炭・アルミノケイ酸塩化合物・ゼオライト、吸湿材として使用可能な電解質などのなかには、雑菌の繁殖を抑制する効果(抗菌作用又は殺菌作用)を有するものがある。例えば、雑菌の繁殖を抑制する効果を有する電解質を吸湿材として使用した場合には、吸収性物品に雑菌の繁殖を抑制する効果を付与することができる。
【0080】
表面シート10と裏面シート20との間であって、且つ図1に示す当接領域Sに相当する位置に、単位面積当りの冷感材100の量がより多い領域が存在すればよく、厚み方向において冷感材100が配置される位置は、上述の実施形態に限定されない。上述した実施形態では、表面シート10と、裏面シート20とを有し、吸収体30が表面シート10と裏面シート20との間に配設される場合について説明した。また、吸収体30は、被覆材31によって覆われていても良いことを説明した。しかし、吸収性物品は、表面シート10と吸収体30との間に更に別のシート(例えば、セカンドシート120)が配置されていても良い(図20参照)。この場合には、冷感材100は、表面シート10とセカンドシート120の間に、上述した配置方法1又は配置方法2により配置することができる。なお、セカンドシート120と吸収体30との間に配置してもよい。
【0081】
冷感材100は、清涼剤が多数の細孔に分子を吸着できる多孔質材料に担持されたものであってもよい。多孔質材料は、例えば、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、ナノポーラスマテリアル等である。
【0082】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0083】
1,2,3,4…吸収性物品、 10…表面シート、 10a…当接面、 11…第1シート、 12…第2シート、 13…第2シート、 20…裏面シート、 21…ウイング、 22…ウイング、 30…吸収体、 30a…縁部、 31…被覆材、 41…圧着部、 42…圧着部、 100…冷感材、 110…資材、 120…セカンドシート、 200…配置装置、 201…搬送部、 202…HMA塗工部、 203…表面処理ロール、 204…貯留槽、 300…コーター、 301…コーター、 302…コーター、 400…吸収体成型装置、 410…噴出部、 420…成型ドラム、 430…型、 431…第1底面、 432…第2底面、 500…吸収体原資、 F…前方領域、 M…中央領域、 MD…搬送方向、 PS…塗布領域、 R…後方領域、 S…当接領域、 Sa…縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を透過する液透過性の表面シートと、
液体を透過しない液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に配設される吸収体とを備える吸収性物品であって、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に清涼剤を含む冷感材料を備え、
前記表面シートにおいて前記着用者の排泄部が当接する当接領域における単位面積当りに配置される前記冷感材料の量は、前記当接領域の外側の領域における単位面積当りの前記冷感材料の量よりも多い吸収性物品。
【請求項2】
前記当接領域において前記吸収体の幅方向の両側に向かうほど単位面積当りの前記冷感材料の量が少ない請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記冷感材料は、前記当接領域の前記吸収体の長手方向の両側の縁部に向かうほど単位面積当りの前記冷感材料の量が少なくなるように配設される請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記冷感材料は、前記表面シートと前記吸収体との間に配設される請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記当接領域における前記吸収体の量は、前記当接領域よりも外側の領域における前記吸収体の量よりも多い請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記冷感材料は、前記清涼剤を内包する構造を有し、水に可溶である請求項1に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−234031(P2010−234031A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88499(P2009−88499)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】