説明

吸収性物品

【課題】装着感が良好な吸収性物品を提供する。
【解決手段】液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、これらの間に配された吸収性コア4とを有する吸収性物品1であって、トップシート2と吸収性コア4との間に、中空繊維を有する不織布からなるセカンドシート5が配されていることを特徴とする吸収性物品。前記中空繊維は中空複合繊維であり、セカンドシート5を構成する不織布は、中空複合繊維が融着して形成されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、尿パッド、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配された吸収性コアとを有し、前記トップシートと前記吸収性コアとの間にセカンドシートが配されている吸収性物品が知られている。例えば、特許文献1には、不織布製のセカンドシート(中間シート)を有し、吸収性物品の厚みに対するセカンドシートの厚みが20%〜70%である吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−49529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セカンドシートは一般に、尿等の排泄物を平面方向により拡散させるために設けられ、セカンドシートとして不織布を用いる場合は、ある程度の厚みを有する不織布が用いられる。特許文献1に開示される吸収性物品においても、セカンドシートとして不織布が用いられているが、セカンドシートが厚く嵩高であるため、吸収性物品の重量や剛性が高くなる。そのため、吸収性物品の装着時、着用者が違和感を覚えやすくなる。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装着感が良好な吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性物品であって、前記トップシートと前記吸収性コアとの間に、中空繊維を有する不織布からなるセカンドシートが配されているところに特徴を有する。本発明の吸収性物品は、セカンドシートとして中空繊維を有する不織布を用いているため、不織布の目付を低減できるとともに、不織布にクッション性が付与され、吸収性物品の剛性を低減することができる。そのため、吸収性物品の装着感が良好となる。
【0007】
前記中空繊維は中空複合繊維であり、セカンドシートを構成する不織布は、中空複合繊維が融着して形成されていることが好ましい。すなわち、セカンドシートを構成する不織布は、サーマルボンド法により得られる不織布であることが好ましい。サーマルボンド法により不織布を形成すれば、接着剤が硬化することにより不織布がごわつくおそれがなくなる。また、中空繊維として中空複合繊維を用いることで、サーマルボンド法により不織布を形成した場合でも、中空繊維の穴が潰れにくくなる。従って、クッション性に優れ、剛性が低減され、尿等の排泄物の拡散性に優れたセカンドシートを得やすくなる。
【0008】
前記不織布は、4.0dtex以上の繊度を有することが好ましい。セカンドシートを構成する不織布が4.0dtex以上の繊度を有していれば、不織布を構成する繊維の繊維径が大きくなりやすくなる。従って、不織布の繊維間の空隙が大きくなり、尿等の排泄物の拡散性が良好となる。
【0009】
セカンドシートは、2層以上の不織布からなる積層体であってもよい。具体的には、セカンドシートは、中空繊維を有さない第1不織布層と中空繊維を有する第2不織布層とを有する積層体であり、第1不織布層はトップシートに隣接していてもよい。中空繊維を有する不織布は、繊維に穴が空いているため柔軟であり、圧力がかかると繊維が変形しやすく、尿等の排泄物の拡散性が低下しやすい。しかし、トップシートに隣接する第1不織布層に中空繊維を有さない不織布を配することで、セカンドシートは圧力がかかった状態でも第1不織布層の繊維間の空隙が維持されやすくなり、その結果、トップシートを通過した尿等の排泄物がセカンドシートに速やかに移行するとともに、セカンドシートは圧力がかかった状態でも尿等の排泄物の拡散性が維持されるようになる。
【0010】
上記実施態様において、第1不織布層は第2不織布層に隣接し、第1不織布層が第2不織布層と同じかそれより大きい繊度を有していることが好ましい。大きい繊度を有する不織布層は、不織布の繊維間の空隙が十分確保されやすくなる。従って、トップシート側の第1不織布層が、吸収性コア側の第2不織布層と同じかそれよりも大きい繊度を有していれば、トップシートを通過した尿等の排泄物がセカンドシートに速やかに移行しやすくなり、吸収性物品による尿等の排泄物の速やかな吸収が実現できる。
【0011】
セカンドシートは、また、中空繊維を有さない第1不織布層と中空繊維を有する第2不織布層と中空繊維を有さない第3不織布層とを有する積層体であり、第2不織布層が第1不織布層と第3不織布層との間に配されているものでもよい。セカンドシートが、中空繊維を有さない第3不織布層を吸収性コア側にさらに有していれば、セカンドシートに圧力がかかった状態でも第3不織布層の繊維間の空隙が維持され、セカンドシートから吸収性コアへ尿等が速やかに移行しやすくなる。
【0012】
上記実施態様において、第2不織布層は第1不織布層と第3不織布層とに隣接し、第1不織布層は第2不織布層と同じかそれより大きい繊度を有し、第2不織布層は第3不織布層と同じかそれより大きい繊度を有していることが好ましい。この場合、トップシートを通過した尿等の排泄物がセカンドシートに速やかに移行しやすくなり、吸収性物品による尿等の排泄物の速やかな吸収が実現する。
【0013】
セカンドシートが2層以上の不織布からなる積層体である場合、セカンドシートは、隣接する不織布層どうしが融着していることが好ましい。隣接する不織布どうしが、接着剤によって接合しているのでなく、融着していることにより、接着剤により不織布層間が目詰まりせず、セカンドシート内の尿等の排泄物の速やかな移行が実現できる。従って、吸収性物品の尿等の排泄物の吸収性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸収性物品は、装着感が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の吸収性物品の一実施態様としての生理用ナプキンの平面図を表す。
【図2】図1の生理用ナプキンのA−A断面図を表す。
【図3】図2に示した生理用ナプキンの断面図におけるセカンドシートの他の実施態様を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配された吸収性コアとを有し、トップシートと吸収性コアとの間に、中空繊維を有する不織布からなるセカンドシートが配されている。
【0017】
トップシートは、吸収性物品の着用の際、着用者側に位置するシートであり、液透過性であれば、その材料は特に限定されない。
【0018】
バックシートは、吸収性物品の着用の際、着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であれば、その材料は特に限定されない。
【0019】
トップシートやバックシートは、例えば、不織布、織布、編布、プラスチックフィルム、プラスチックフィルムと不織布との積層体等から構成される。前記積層体としては、例えば、不織布とプラスチックフィルムとが一層ずつ重ねられたものや、プラスチックフィルムを不織布で挟んで重ねられたものが示される。なお、プラスチックフィルムやプラスチックフィルムを含む積層体をトップシートに用いる場合は、プラスチックフィルムには液を透過させるための孔が形成されていることが好ましい。好ましくは、トップシートは不織布から構成され、バックシートは液不透過性のプラスチックフィルムから構成される。
【0020】
トップシートとバックシートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブロー法、エアレイド法やそれらの製法の組み合わせ等により製造されるものが好ましい。また、スパンボンド法とメルトブロー法を組み合わせたSMS法により製造された不織布を用いてもよい。
【0021】
トップシートとバックシートとして不織布を用いる場合、不織布の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド等の合成繊維、パルプ、絹等の天然繊維から適宜選択できる。また、合成繊維として、複合繊維を用いてもよい。なかでも、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET、またはそれらを組み合わせた複合繊維が好ましい。このような不織布を用いれば、高強度で風合いに優れたシートが得やすくなる。なお、トップシートとバックシートとして不織布を用いる場合、当該不織布は、後述するセカンドシートに使用されるような中空繊維は有さないことが好ましい。
【0022】
トップシートに用いられる不織布の目付は、10g/m2以上が好ましく、15g/m2以上がより好ましく、また100g/m2以下が好ましく、50g/m2以下がより好ましい。不織布の目付が10g/m2〜100g/m2の範囲にあれば、適度な強度と柔軟性を有するトップシートを得やすくなる。
【0023】
吸収性コアは、トップシートとバックシートの間に配され、尿等の排泄物を吸収できるものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパー)や液透過性不織布シート等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。
【0024】
吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、粉砕したパルプ繊維、セルロース繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。吸収性材料としては、少なくとも吸水性樹脂を含んでいることが好ましい。また、吸収性材料として、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いてもよい。
【0025】
吸収性コアの形状は特に限定されない。吸収性コアの形状としては、例えば、長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が挙げられる。
【0026】
セカンドシートは、トップシートと吸収性コアとの間に配されるシートであり、中空繊維を有する不織布からなる。好ましくは、セカンドシートは、トップシートと吸収性コアと隣接して配される。
【0027】
セカンドシートは、トップシートに接合していても、そうでなくてもよいが、セカンドシートがトップシートに接合している方が、吸収性物品の構造安定性の点から好ましい。この場合、セカンドシートはトップシートに接着剤により固定されていることが、吸収性物品の製造容易性の点から好ましい。前記接着剤としては、ゴム系、ポリオレフィン系、酢酸ビニル系等のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。
【0028】
セカンドシートは、不織布からなる。本発明の吸収性物品は、不織布製のセカンドシートを有することにより、トップシートを通過した尿等の排泄物がセカンドシートの平面方向に拡散され、その結果、吸収性コア全体で尿等の排泄物を吸収しやすくなる。従って、吸収性コアに排泄物が速やかに吸収されやすくなるとともに、吸収性コア全体が排泄物の吸収に寄与して、排泄物の吸収容量が増大しやすくなる。
【0029】
セカンドシートにおいて、尿等の排泄物の拡散性を向上させるためには、ある程度の嵩高な不織布をセカンドシートとして用いることが好ましい。しかし、嵩高な不織布の使用は、一般に目付の増大を招き、その結果、吸収性物品の重量や剛性を増大させる。そのため、吸収性物品の装着時、着用者が違和感を覚えやすくなる。
【0030】
そこで本発明の吸収性物品は、セカンドシートとして、中空繊維を有する不織布を用いている。中空繊維を有する不織布を用いれば、嵩高な不織布であっても、繊維に穴が空いている分、不織布の目付を低減することができる。また、中空繊維を有する不織布を用いれば、不織布にクッション性を付与することができ、吸収性物品の剛性を低減できる。従って、本発明の吸収性物品は、装着感が良好となる。
【0031】
セカンドシートの目付は特に限定されないが、30g/m2以下であることが好ましい。本発明の吸収性物品は、セカンドシートとして中空繊維を有する不織布を用いているため、セカンドシートの目付は30g/m2以下であっても、セカンドシートを嵩高くすることができる。セカンドシートの目付は、より好ましくは28g/m2以下であり、さらに好ましくは25g/m2以下である。一方、セカンドシートの嵩高さをある程度確保する点から、セカンドシートの目付は、18g/m2以上が好ましく、20g/m2以上がより好ましい。なお、セカンドシートの目付とは、セカンドシートが複数層の不織布からなる積層体の場合は、積層体の目付を意味する。
【0032】
セカンドシートに使用される不織布は、不織布を構成する繊維の少なくとも一部として中空繊維を有していればよい。前記不織布としては、例えば、以下の態様が示される:中空繊維のみから構成される不織布;中空繊維と中空でない(中身の詰まった)繊維とを混合状態で有する不織布;中空繊維を有する不織布と中空でない繊維のみを有する不織布との積層体;中空繊維を有する不織布2層からなる積層体。
【0033】
セカンドシートが1層の不織布からなる場合、前記不織布は中空繊維を50質量%以上含有することが好ましく、75質量%以上含有することがより好ましい。前記不織布が中空繊維を50質量%以上含有していれば、不織布の目付の低減とクッション性の付与とを、効果的に行いやすくなる。特に好ましくは、前記不織布は中空繊維のみを有し、中空でない繊維を実質的に有さない。
【0034】
セカンドシートが2層以上の不織布からなる積層体の場合、セカンドシートを構成する少なくとも1つの不織布層が、中空繊維を50質量%以上含有することが好ましく、75質量%以上含有することがより好ましく、中空繊維のみを有し、中空でない繊維を実質的に有さないことがさらに好ましい。セカンドシートが中空繊維を50質量%以上含有する不織布層を少なくとも1つ有することにより、セカンドシートにクッション性を効果的に付与しやすくなる。
【0035】
中空繊維としては、繊維断面に穴を有する繊維であれば特に限定されない。繊維断面に形成される穴の数は、1個であっても、2個以上であってもよい。中空繊維は、従来公知の方法により製造できる。中空繊維は、例えば、繊維断面に穴を形成可能な吐出孔形状を有する吐出孔を用いて、溶融紡糸することにより得られる。
【0036】
中空繊維を有する不織布を製造する方法としては、接着剤を用いない製造方法を採用することが好ましい。そのような方法として、例えば、スパンボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、カレンダー法等のサーマルボンド法を採用することが好ましい。サーマルボンド法により得られた不織布(サーマルボンド不織布)は、不織布を構成する繊維どうしが、接着剤によってではなく、融着して形成されているため、接着剤が硬化することにより不織布がごわつくおそれがなくなる。従って、セカンドシートにクッション性を付与することが容易になり、尿等の排泄物の拡散性に優れたセカンドシートを得やすくなる。特に、エアスルー法により得られる不織布(エアスルー不織布)を用いることが、前記物性に優れたセカンドシートを容易に得られる点で、より好ましい。
【0037】
前記中空繊維としては、中空複合繊維が好ましい。中空複合繊維であれば、中空複合繊維を構成する成分が互いに異なる融点を有することとなり、サーマルボンド法により不織布を製造した場合でも、中空複合繊維の低融点成分のみが溶融して、中空繊維の穴が潰れにくくなる。従って、クッション性に優れ、剛性が低減されたセカンドシートを得やすくなる。また、中空複合繊維の高融点成分が溶融しにくく、不織布を構成する繊維間の空隙が十分確保され、尿等の排泄物の拡散性が良好となる。
【0038】
中空複合繊維としては、繊維断面に穴を有する複合繊維であれば特に限定されない。複合繊維としては、断面が芯鞘型に成分配置された芯鞘複合繊維、断面が並列型に成分配置された並列複合繊維、断面が放射型に成分配置された放射複合繊維等が挙げられる。複合繊維を構成する成分は、互いに異なる融点を有することが好ましい。芯鞘複合繊維の場合は、芯に高融点成分が配置され、鞘に低融点成分が配置されることが、サーマルボンド法による不織布の製造容易性の点から好ましい。芯鞘複合繊維は、芯と鞘とが同芯であっても偏芯であってもよい。中空複合繊維としては、中空芯鞘複合繊維を用いることが、中空を維持しつつ繊維どうしを融着することが容易な点で、特に好ましい。中空複合繊維は、従来公知の方法により製造できる。中空複合繊維は、例えば、繊維断面に穴を形成可能な吐出孔形状を有する吐出孔を用いて、溶融紡糸することにより得られる。なお、セカンドシートの不織布を構成する繊維として、中空でない複合繊維が使用される場合であっても、前記構造の複合繊維を用いることが好ましい。
【0039】
セカンドシートを構成する不織布が中空複合繊維を有する場合、セカンドシートを構成する不織布は中空複合繊維が融着して形成されていることが好ましい。すなわち、セカンドシートを構成する不織布は、中空複合繊維を用いて、サーマルボンド法(より好ましくは、エアスルー法)により得られる不織布が好ましい。中空複合繊維の融着対象は、セカンドシートの不織布を構成する繊維により異なり、中空複合繊維どうしが融着してもよく、中空複合繊維がそれ以外の繊維と融着していてもよい。例えば、セカンドシートの不織布に中空を有さない繊維や単一成分からなる中空繊維が含まれる場合は、中空複合繊維はそれらの繊維と融着していてもよい。
【0040】
セカンドシートが1層の不織布からなる場合、前記不織布は、中空複合繊維を50質量%以上有することが好ましく、75質量%以上有することがより好ましく、中空複合繊維のみから構成されることがさらに好ましい。セカンドシートが2層以上の不織布からなる積層体の場合、セカンドシートを構成する層の少なくとも1つの不織布層が、中空複合繊維を50質量%以上含有することが好ましく、75質量%以上含有することがより好ましく、中空複合繊維のみを有することがさらに好ましい。セカンドシートが、中空複合繊維を含有する不織布層を有していれば、当該不織布層で、繊維間の空隙が十分確保され、尿等の排泄物の拡散性が良好となる。また、クッション性に優れ、剛性が低減されたセカンドシートを得やすくなる。
【0041】
中空繊維の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリイソブチレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等のポリエステル等を用いることができる。これらの中でも、製造容易性や製造コストの点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはPETを用いることが好ましい。なお、セカンドシートの不織布を構成する繊維として、中空でない繊維が使用される場合であっても、前記材料の繊維を用いることが好ましい。
【0042】
中空複合繊維の材料としては、中空繊維の材料として例示した各材料を組み合わせて用いればよい。なお、中空でない複合繊維を用いる場合も、中空繊維の材料として例示した各材料を組み合わせて用いればよい。これらの中でも、PETとポリエチレンとの組み合わせ、ポリプロピレンとポリエチレンとの組み合わせ、PETとポリプロピレンとの組み合わせが好ましい。中空芯鞘複合繊維を含む芯鞘複合繊維の場合は、芯にPETを用い鞘にポリエチレンを用いる組み合わせ、芯にPETを用い鞘にポリプロピレンを用いる組み合わせ、芯にポリプロピレンを用い鞘にポリエチレンを用いる組み合わせが好ましい。これらの中でも、PETとポリエチレンとの組み合わせが特に好ましい。
【0043】
セカンドシートを構成する不織布は、4.0dtex以上の繊度を有することが好ましい。なお、不織布が4.0dtex以上の繊度を有するとは、不織布が、実質的に4.0dtex以上の繊度を有する繊維のみから構成されることを意味する。前記繊度は、6.0dtex以上がより好ましい。セカンドシートを構成する不織布の繊度の上限は特に限定されないが、繊度の一般的な上限として、10.0dtex以下が好ましく、8.0dtex以下がより好ましい。繊度が4.0dtex以上の不織布は、吸収性物品に使用される不織布の中では、比較的繊維径が太いものとなる。セカンドシートを構成する不織布が4.0dtex以上の繊度を有していれば、不織布の繊維間の空隙が大きくなり、尿等の排泄物の拡散性が良好となる。
【0044】
本発明の吸収性物品は、セカンドシートとして2層以上の不織布からなる積層体を用いることが好ましく、具体的には以下の態様が示される。
【0045】
セカンドシートは、中空繊維を有さない第1不織布層と中空繊維を有する第2不織布層とを有する積層体であり、第1不織布層がトップシートに隣接していることが好ましい。ここで、中空繊維を有さない不織布層とは、中空でない(中身の詰まった)繊維のみを有する不織布層を意味する。
【0046】
中空繊維を有する不織布は、繊維に穴が空いているため柔軟であり、圧力がかかると繊維が変形しやすい。従って、吸収性物品の着用時に着用者が着座すると、中空繊維を有する不織布に圧力がかかって、不織布の繊維間の空隙が比較的大きく減少する。この場合、着座した状態で尿等の排泄物が排泄されると、中空繊維を有する不織布層での尿等の排泄物の拡散性が低下しやすくなる。しかし、トップシートに隣接する第1不織布層に中空繊維を有さない不織布を配することで、セカンドシートは、圧力がかかった状態でも第1不織布層の繊維間の空隙が維持されやすくなる。その結果、トップシートを通過した尿等の排泄物がセカンドシートに速やかに移行するとともに、セカンドシートは圧力がかかった状態でも尿等の排泄物の拡散性が維持されるようになる。もちろん、セカンドシートに圧力がかかっていない場合は、第2不織布層によっても、尿等の排泄物の拡散性が向上する。
【0047】
セカンドシートは、また、中空繊維を有さない第1不織布層と中空繊維を有する第2不織布層と中空繊維を有さない第3不織布層とを有する積層体であり、第2不織布層が第1不織布層と第3不織布層との間に配されているものでもよい。セカンドシートが、中空繊維を有さない第3不織布層を吸収性コア側にさらに有していれば、セカンドシートに圧力がかかった状態でも第3不織布層の繊維間の空隙が維持され、セカンドシートから吸収性コアへ尿等の排泄物が速やかに移行しやすくなる。
【0048】
セカンドシートが2層以上の不織布からなる積層体である場合、隣接する不織布層は、トップシート側の不織布層が、吸収性コア側の不織布層と同じかそれより大きい繊度を有していることが好ましい。大きい繊度を有する不織布層は、不織布層を構成する繊維の繊維径が大きくなりやすくなる。従って、大きい繊度を有する不織布層は、不織布の繊維間の空隙が十分確保されやすくなり、尿等の排泄物が速やかに移動できるようになる。つまり、トップシート側の不織布層が、隣接する吸収性コア側の不織布層と同じかそれよりも大きい繊度を有していれば、トップシートを通過した尿等の排泄物がセカンドシートに速やかに移行しやすくなる。従って、吸収性物品による尿等の排泄物の速やかな吸収が実現する。
【0049】
具体的には、セカンドシートが第1不織布層と第2不織布層とを有する積層体である場合は、第1不織布層と第2不織布層が隣接し、第1不織布層が第2不織布層と同じかそれより大きい繊度を有していることが好ましい。セカンドシートが第1不織布層と第2不織布層と第3不織布層とを有する積層体である場合は、第2不織布層が第1不織布層と第3不織布層とに隣接し、第1不織布層が第2不織布層と同じかそれより大きい繊度を有し、第2不織布層が第3不織布層と同じかそれより大きい繊度を有していることが好ましい。
【0050】
各不織布層は、いずれも同じ繊度を有していることも、好ましい実施態様である。この場合、各不織布層は同程度の繊維径を有しやすくなり、トップシートを通過してセカンドシートに移行した尿等の排泄物が、速やかに吸収性コアに収容されやすくなる。
【0051】
上記実施態様において、各不織布層はいずれも、4.0dtex以上の繊度を有することが好ましい。繊度のより好ましい範囲は、上記説明と同様である。
【0052】
セカンドシートが中空を有さない不織布層を有する場合、中空を有さない不織布層は、サーマルボンド不織布であることが好ましく、エアスルー不織布であることがより好ましい。上記実施態様では、第1不織布層と第3不織布層がサーマルボンド不織布であることが好ましく、エアスルー不織布であることがより好ましい。サーマルボンド不織布であれば、接着剤が硬化することにより不織布がごわつくおそれがなくなり、クッション性が向上しやすくなる。
【0053】
上記実施態様において、第1不織布層および第3不織布層は、中空を有さない複合繊維から構成されることが好ましく、第2不織布層が中空複合繊維から構成されていることが好ましい。複合繊維を用いれば、サーマルボンド法により各不織布層を形成することが容易になるとともに、各不織布層の繊維間の空隙を十分確保しやすくなる。
【0054】
セカンドシートが2層以上の不織布からなる積層体である場合、セカンドシートは、隣接する不織布層どうしが融着していることが好ましい。隣接する不織布どうしが、接着剤によって接合しているのでなく、融着していることにより、接着剤により不織布層間が目詰まりせず、セカンドシート内の尿等の排泄物の速やかな移行が実現できる。従って、吸収性物品の尿等の排泄物の吸収性が向上する。好ましくは、隣接する不織布層どうしは、層の全面にわたって繊維の交点で融着している。
【0055】
次に、本発明の吸収性物品の具体的な適用例について説明する。本発明の吸収性物品は、生理用ナプキン、尿パッド、使い捨ておむつ等に適用できる。
【0056】
吸収性物品が、生理用ナプキンである場合、生理用ナプキンは、例えば、トップシートとバックシートとの間に、セカンドシートと吸収性コアとがトップシート側からこの順番で配されて、形成される。生理用ナプキンの形状としては、略長方形、砂時計型、ひょうたん型等が示される。
【0057】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、後背部または前腹部の左右に一対の止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ型に形成するオープン型使い捨ておむつであったり、前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
【0058】
吸収性物品が、使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、内側シートと外側シートとからなる積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とからなるおむつ本体を形成し、前記股部に、トップシートとバックシートとの間にセカンドシートと吸収性コアとがトップシート側からこの順番で配された吸収性本体が備えられていてもよい。また、使い捨ておむつは、例えば、トップシートとバックシートとの間に、セカンドシートと吸収性コアとがトップシート側からこの順番で配された積層体からなり、この積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有していてもよい。なお、前腹部、後背部、股部とは、使い捨ておむつを着用の際に、着用者の腹側に当てる部分を前腹部と称し、着用者の尻側に当てる部分を後背部と称し、前腹部と後背部との間に位置し着用者の股間に当てる部分を股部と称する。前記内側シートは、親水性または撥水性であることが好ましく、前記外側シートは、撥水性であることが好ましい。
【0059】
吸収性物品には、吸収性コアの両側縁部に沿って、立ち上がりフラップが設けられていることが好ましい。立ち上がりフラップは、例えば、吸収性コアの上面の幅方向両側縁部に設けられてもよく、吸収性コアの幅方向両外側に設けられてもよい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップは、トップシートの幅方向両側に設けられたサイドシートの内方端が立ち上げられて、形成されてもよい。前記立ち上がりフラップおよびサイドシートは、撥水性であることが好ましい。
【0060】
次に、本発明の吸収性物品について、生理用ナプキンを例に挙げ、図1〜図3を参照して説明する。図1は、生理用ナプキンの平面図を表す。図2は、図1の生理用ナプキンのA−A断面図を表す。図3は、図2に示した生理用ナプキンの断面図におけるセカンドシートの他の実施態様を表す。なお、図では、矢印xを幅方向とし、矢印yを長手方向と定義付ける。また、矢印x,yにより形成される面上の方向を、平面方向と定義付ける。
【0061】
ナプキン1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、これらの間に配された吸収性コア4とを有し、トップシート2と吸収性コア4との間にセカンドシート5が配されている。図2に生理用ナプキン1の断面図を示すが、図2では、セカンドシート5は、中空繊維を有する不織布1層のみから構成されている。
【0062】
トップシート2は、着用者の股部の肌に面するように配置され、尿等の液体の排泄物を透過する。トップシート2を通過した尿等の排泄物は、セカンドシート5で平面方向に拡散し、その後吸収性コア4に移行して収容される。セカンドシート5が配されることにより、吸収性コア4は平面全体で尿等の排泄物を吸収しやすくなる。従って、ナプキン1は、尿等の排泄物を速やかな吸収でき、吸収性コア4に含まれる吸収性材料の全体が、排泄物の吸収に効果的に寄与できるようになる。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0063】
トップシート2の幅方向xの両側縁には、ナプキン1の長手方向yに延在するサイドシート6が接合している。サイドシート6は、液不透過性のプラスチックフィルムや撥水性不織布等により構成される。サイドシート6には、ナプキン1の幅方向内方端に起立用弾性部材7が設けられている。ナプキン1の使用時には、起立用弾性部材7の収縮力によりサイドシート6の内方端が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより尿等の排泄物の横漏れが防止される。
【0064】
図3には、セカンドシート5の他の実施態様を示す。図3(a)に示した実施態様では、セカンドシート5は、中空繊維を有さない第1不織布層5Aと中空繊維を有する第2不織布層5Bとを有する積層体であり、積層体は、第1不織布層5Aがトップシート2に隣接するように配されている。図3(a)に示した実施態様によれば、第2不織布層5Bにより、セカンドシート5の尿等の排泄物の拡散性が向上する。また、第1不織布層5Aにより、セカンドシート5に圧力がかかった状態でも、トップシート2を通過した尿等の排泄物がセカンドシート5に速やかに移行するとともに、尿等の排泄物の拡散性が維持される。
【0065】
図3(b)に示した実施態様では、セカンドシート5は、中空繊維を有さない第1不織布層5Aと中空繊維を有する第2不織布層5Bと中空繊維を有さない第3不織布層5Cとを有する積層体であり、第2不織布層5Bが第1不織布層5Aと第3不織布層5Cとの間に配されている。図3(b)に示した実施態様によれば、第3不織布層Cにより、セカンドシート5に圧力がかかった状態でも、セカンドシート5から吸収性コア4へ尿等の排泄物が速やかに移行する。
【符号の説明】
【0066】
1: 生理用ナプキン(吸収性物品)
2: トップシート
3: バックシート
4: 吸収性コア
5: セカンドシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性物品であって、
前記トップシートと前記吸収性コアとの間に、中空繊維を有する不織布からなるセカンドシートが配されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記中空繊維は、中空複合繊維であり、
セカンドシートを構成する前記不織布は、中空複合繊維が融着して形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記不織布は、4.0dtex以上の繊度を有する請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記セカンドシートは、中空繊維を有さない第1不織布層と中空繊維を有する第2不織布層とを有する積層体であり、
前記第1不織布層はトップシートに隣接している請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1不織布層は、前記第2不織布層に隣接し、前記第2不織布層と同じかそれより大きい繊度を有する請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記セカンドシートは、前記第1不織布層と前記第2不織布層と中空繊維を有さない第3不織布層とを有する積層体であり、
前記第2不織布層は、前記第1不織布層と前記第3不織布層との間に配されている請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第2不織布層は、前記第1不織布層と前記第3不織布層とに隣接し、
前記第1不織布層は、前記第2不織布層と同じかそれより大きい繊度を有し、
前記第2不織布層は、前記第3不織布層と同じかそれより大きい繊度を有する請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記セカンドシートは、隣接する不織布層どうしが融着している請求項4〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−55959(P2011−55959A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207390(P2009−207390)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】