説明

吸収性物品

【課題】 血液、浸出液、汗、尿の吸収性、創傷部の保護性、肌触りの良い快適性、端部の糸や繊維のほつれの少ない衛生性、製造の容易性、並びに手術後の取り出し忘れ防止に優れる吸収性物品を提供する。
【解決手段】 液体透過性を有する吸水性繊維の織布又は不織布である表面基材11、両面ヒートシール性を有する不織布であるヒートシール材層13、液体透過性を有する吸水性繊維の織布又は不織布である裏面基材15をこの順に重ね合わせ、周縁端部にヒートシール部21が形成されてなる袋体並びに筒状体で、表面基材11とヒートシール材層13とで形成された第一空隙室31、及び/又はヒートシール材層13と裏面基材15とで形成された第二空隙室33に吸液性コア101が収納され、かつ、ヒートシール部が袋体又は筒状体の両端部の先端部まで延在していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関し、さらに詳しくは、端部の織布又は不織布がほつれ難い吸収性物品に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準である。また、「PE」は「ポリエチレン」、「LDPE」は「低密度ポリエチレン」、「LLDPE」は「直鎖状低密度ポリエチレン」、「PA」は「ポリアミド」、「PP」は「ポリプロピレン」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。また、PAとは、所謂ナイロン(デュポン社、登録商標)で、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン11なども含むものとする。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)従来、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に介在する吸液性コアを有して使い捨ての体液処理物品であるおむつカバーや使い捨ておむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド等に用いられている。しかしながら、表面シートと裏面シートとの接着に用いるホットメルト樹脂は接着部の一部分にしか塗付できず、周縁端部の外側に未接着部が生じ、糸や不織布の繊維がバタついてほつれたり、繊維カスが生じたりしやすいという欠点がある。また、ホットメルトの焦げた樹脂の混入や、曲線や矩形等の一定形状に塗付する装置が大がかりで、さらに、吸水面をより多く確保するために、ホットメルトの塗付線幅を狭くすると、気温が低い場合に接着性が低下したり、製造が複雑で品質の安定性に難がある。さらにまた、表面シートとして、ガーゼのように目の粗い布や、坪量の小さい不織布を使用した場合、表面シートの隙間からホットメルトが表面にはみ出してしまうため、皮膚等に接触する用途への使用は好ましくない。また、不織布、ガーゼ等からなる表面シートと、多孔質ポリエチレンフィルムからなる裏面シートとを重ね合わせ、周縁端部を熱融着した内部空隙に、吸液性層として脱脂綿、不織布、ガーゼ、綿線維不織布、吸水ポリマーシート等を収納した、創傷部保護用パッドも使用されている。しかしながら、手術中に血液等をぬぐったり、臓器等を傷つけないためのカバー等に用いられているが、切開部を縫合する際、臓器の陰になって見えない場所に前記ガーゼ類があると、取り出すのを忘れてしまう医療事故が後を絶たない。
吸収性物品は、血液、浸出液、汗、尿の吸収性、創傷部の保護性はもとより、直接人肌の触れるので、蒸れ難く肌触りが良い等の使用者の快適性、端部の糸や繊維のほつれの少ない衛生性、製造の容易性、並びに手術後の取り出し忘れ防止が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−95837号公報
【特許文献2】特開2009−189418号公報
【特許文献3】特開2004−194994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術)従来、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に介在する吸液性コアを有して使い捨ての体液処理物品を構成し、前記表面シートと前記裏面シートと前記コアとが、前記表裏面シートの対向するシート面の少なくとも一方に塗布された接着剤を介して互いに接着され、おむつカバーや使い捨ておむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、衛生マット等に用いる吸収性物品が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしながら、表面シートと裏面シートとの接着に、接着剤としてホットメルト樹脂を用いるしかなく、ホットメルト樹脂は接着部の一部分にしか塗付できないため、周縁端部の外側に未接着部が生じ、糸や不織布の繊維がバタついて繊維カスが生じやすい構造になってしまう。また、ホットメルトは焦げた樹脂が混入しないように管理するのが大変であったり、曲線や矩形等の一定形状に塗付するための装置が大がかりであったり、吸水面をより多く確保するために塗付線幅を狭くすると、気温が低い場合に接着性が低下してしまう等、管理に手間がかかる。また、表面シートとして、ガーゼのように目の粗い布や、坪量の小さい不織布を使用した場合、表面シートの隙間からホットメルトが表面にはみ出してしまうため、皮膚等に接触する用途への使用は好ましくないという欠点がある。
また、不織布、ガーゼ等からなる表面シートと、多孔質ポリエチレンフィルムからなる裏面シートとを重ね合わせ、周縁端部を熱融着した内部空隙に、吸液性層として脱脂綿、不織布、ガーゼ、綿線維不織布、吸水ポリマーシート等を収納した、創傷部保護用パッドガーゼは、折り畳んだり、縫って作った袋の中に吸液性素材を収納したりして、手術中に血液等をぬぐったり、臓器等を傷つけないためのカバー等に用いられているが、切開部を縫合する際、臓器の陰になって見えない場所に前記ガーゼ類があると、取り出すのを忘れてしまう医療事故が後を絶たない。そのため、除去し忘れたまま縫合しても外部からX線撮影することでその存在が明らかになるように、縦糸の一部にX線造影剤として硫酸バリウムを含む、X線造影糸を使用したガーゼがが知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、X線造影糸を使用したガーゼでは、縦糸の一部に硫酸バリウムを含むX線造影糸を用いているので、X線造影糸が表面に露出しているが、熱可塑性樹脂に、結合性のない硫酸バリウムの粒子を、大量に練り込んでX線遮蔽効果を上げているため、糸の強度が非常に弱く、かつ、脆いので、X線造影糸を織り込んだ部分をピンセットで摘むだけで糸がちぎれたり、硫酸バリウムが脱落したりしてしまう場合もあり、手術に使用することを目的とする衛生材料として好ましくない。さらに、前記の理由からX線造影糸の織り込み本数は少ない方が良いこと、X線造影糸が切れ易く織機適性が悪いこと、および、X線造影糸が非常に高価であること等から、一般的なX線造影糸入りガーゼには、1枚につき1本のX線造影糸しか使用しないことから、最終的なガーゼの製品幅に合わせてX線造影糸を織り込む必要があり、ガーゼの標準幅である300mm以外のガーゼにはX線造影糸入りの製品が少なく、利用者は不便を強いられるという問題点がある。
さらに、X線造影糸入り綿繊維不織布も市販されているが、同様の理由で幅の限定や、硫酸バリウムの脱落、X線造影糸の切断等の問題点もある。さらにまた、X線造影糸の有無に係らず、ガーゼは目の粗い平織り布からなるので糸がほつれ易く、これを防止するために、医療用ガーゼでは縦糸の両端数本を密にし、横糸で縦糸の両端をかがるようにし、また、ガーゼの切断部は、切断部から内側に10mm前後の位置にある横糸を縦糸方向に寄せて縦糸を糸のれんのようにぶらつかせることによって横糸の抜けを防止する等、非常に手間の掛かる製造工程が必要で、寸法変更の自由度が極めて低い。さらにまた、家庭用ガーゼ等、厳密に糸のほつれを防止する必要が無い場合でも、周縁の一方向の切断部の両側を10mm程度縁折りして、残りの切断部が内側に入り込むように複数回折り畳むといった、機械化困難な方法で切断部の処理が行われ、人海戦術で製造しているのが現状であり、製造が容易性でないという欠点もある。
上記の特許文献1〜3のいずれの吸収性物品でも、周縁端部がヒートシール法によるヒートシール部が形成されていることについては記載も示唆もされていない。
【0006】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、血液、浸出液、汗、尿の吸収性、創傷部の保護性はもとより、直接人肌の触れるので、蒸れ難く肌触りが良い等の使用者の快適性、端部の糸や繊維のほつれの少ない衛生性、製造の容易性、並びに手術後の取り出し忘れ防止に優れる吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係わる吸収性物品は、表面基材、ヒートシール材層及び裏面基材をこの順に重ね合わせてなる吸収性物品であって、前記表面基材が液体透過性を有する吸水性繊維の織布又は不織布であり、前記ヒートシール材層が両面ヒートシール性を有する不織布であり、前記裏面基材が液体透過性を有する吸水性繊維の織布又は不織布であり、前記吸収性物品の周縁端部がヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる袋体、並びに両端部のみをヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる長尺の筒状体で、前記表面基材と前記ヒートシール材層とで形成された第一空隙室、及び/又はヒートシール材層と裏面基材とで形成された第二空隙室に吸液性コアが収納され、かつ、前記ヒートシール部が前記袋体の周縁端部又は前記筒状体の両端部の先端部まで延在し、織布又は不織布の糸や繊維がほつれ難いことを特徴とする吸収性物品である。
請求項2の発明に係わる吸収性物品は、前記表面基材及び前記裏面基材の吸水性繊維が綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンであることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品である。
請求項3の発明に係わる吸収性物品は、前記裏面基材がヒートシール剤を塗付したポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品である。
請求項4の発明に係わる吸収性物品は、前記ヒートシール材層が両面ヒートシール性を有するプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品である。
請求項5の発明に係わる吸収性物品は、請求項1に記載の吸収性物品において、前記表面基材がガーゼ又は綿繊維不織布であり、前記ヒートシール材層が両面ヒートシール性を有する不織布であり、前記裏面基材がガーゼ又は綿繊維不織布であり、前記第一空隙室及び第二空隙室が空室であることを特徴とする吸収性物品である。
請求項6の発明に係わる吸収性物品は、表面基材及び裏面基材をこの順に重ね合わせてなる吸収性物品であって、前記表面基材が綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンの織布又は不織布であり、前記裏面基材が綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンの織布又は不織布の片面にポリオレフィン系樹脂を押し出しラミネートしたフィルムであり、前記吸収性物品の周縁端部が前記表面基材と前記裏面基材のポリオレフィン系樹脂面とを重ね合わせて、ヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる袋体、並びに両端部のみをヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる長尺の筒状体で、前記表面基材と前記裏面基材とで形成された空隙室に吸液性コアが収納され、かつ、前記ヒートシール部が前記袋体の周縁端部又は前記筒状体の両端部の先端部まで延在し、織布又は不織布の糸や繊維がほつれ難いことを特徴とする吸収性物品である。
請求項7の発明に係わる吸収性物品は、請求項6に記載の吸収性物品において、前記裏面基材としてポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面にポリオレフィン系樹脂を押し出しラミネート又はドライラミネートしたフィルムを用いて、該ポリオレフィン系樹脂面と前記表面基材を重ね合わせてなることを特徴とする吸収性物品である。
請求項8の発明に係わる吸収性物品は、請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性物品において、前記ヒートシール部の少なくとも1辺に、X線造影糸が挟持されていることを特徴とする吸収性物品である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1〜7の本発明によれば、血液、浸出液、汗、尿の吸収性、創傷部の保護性はもとより、直接人肌の触れるので、蒸れ難く肌触りが良い等の使用者の快適性、端部の糸や繊維のほつれの少ない衛生性、製造の容易性に優れるという効果を奏する。即ち、表面基材11及び裏面基材15として、液体透過性を有する吸水性繊維、特に綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンよりなる織布又は不織布を使用することによって、蒸れ難く肌触りが良い等、使用者が快適である。また、ヒートシール部が袋体の周縁端部又は筒状体の両端部の先端部まで延在しているので、織布又は不織布の切断面がヒートシール材層13によって固着されるため、糸や繊維のほつれが発生し難く、衛生的である。さらに、ヒートシールによってのみで、表面基材11と裏面基材15とを積層するため、従来のホットメルト等の接着剤を使用せずに済むので製造装置の管理も容易であり、かつ、ウレタン樹脂系などの溶剤可溶型の接着剤を用いないので、該接着剤に由来する溶出物や残留溶剤がなく、極めて衛生的であり、かつ、ガーゼ等の切断部で糸がほつれないように、端部が内側になるように折り畳む必要もなくなる。
請求項8の本発明によれば、吸収性物品は、請求項1〜7の効果に加えて、手術後の取り出し忘れ防止性に優れるという効果も奏する。即ち、ヒートシール部21でX線造影糸17を表面基材11と裏面基材15との間に挟持し、固定することにより、使用中のX線造影糸17の切断や、X線造影剤の脱落を防止することができ、衛生的である。また、ヒートシール部21でX線造影糸17を挟持するだけでX線造影糸17を固定できるため、製造者の任意のサイズのX線造影糸17入りガーゼ体、または、吸収性物品の製造が可能である。さらに、織布又は不織布であれば素材を選ばずX線造影糸17を固定できるため、従来製造が不可能であった、例えば、晒、絹布等にも、更には、ヒートシール性を有するフィルムにもX線造影糸17を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の吸収性物品の1実施例を示す袋体の平面図、及び筒状体の斜視図である。
【図2】吸液性コアの収納状況を示す図1のAA’断面図である。
【図3】本願発明の吸収性物品の1実施例を示す袋体のAA’断面図である。
【図4】本願発明のX線造影糸入り吸収性物品の1実施例を示す袋体の平面図、及び筒状体の斜視図である。
【図5】本願発明のX線造影糸入り吸収性物品の吸液性コアの収納状況を示す図1のAA’断面図である。
【図6】本願発明の吸収性物品の1実施例を示す袋体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0011】
(吸収性物品)本願発明の吸収性物品10は、図2(D)に示すように、表面基材11、ヒートシール材層13及び裏面基材15をこの順に重ね合わせてなる吸収性物品である。表面基材11は液体透過性を有する吸水性繊維の織布又は不織布とし、ヒートシール材層13は両面ヒートシール性を有する不織布とし、裏面基材15は液体透過性を有する吸水性繊維の織布又は不織布とする。図1(A)に示すように、吸収性物品10の周縁端部がヒートシール法によるヒートシール部21が形成されてなる袋体の吸収性物品10である。並びに、図1(B)に示すように、両端部のみをヒートシール法によるヒートシール部21が形成されてなる長尺の筒状体の吸収性物品10である。表面基材11とヒートシール材層13とで形成された第一空隙室31、及び/又はヒートシール材層13と裏面基材15とで形成された第二空隙室33に吸液性コア101が収納されている。このようにすることで、ヒートシール部21が前記袋体の周縁端部又は前記筒状体の両端部の先端部まで延在し、織布又は不織布の糸や繊維がほつれ難い。
【0012】
なお、図面は使用状態を考慮して、表面基材11側を下側に描いてある。ポリアミドとは、所謂ナイロン(デュポン社、登録商標)で、ナイロン(登録商標)6、ナイロン(登録商標)66、ナイロン(登録商標)10、ナイロン(登録商標)11なども含むものとする。
【0013】
(吸液性コア)吸液性コア101の収納位置は、図1(A)に示すような第一空隙室31だけでも、図1(B)に示すような第二空隙室33だけでも、また、図1(C)に示すように、第一空隙室31と第二空隙室33の両方に収納されていてもよい。
【0014】
吸液性コア101は透過してきた液体を保持できる液体吸収保持機能を有するものであれば、特に限定されるものではなく、吸収性物品10の用途によって使い分ければよい。
例えば、脱脂綿、パルプ類、繊維類、粉砕パルプなどのパルプ類、と吸水性樹脂の混合物をティッシュペーパーや不織布で被覆したもの、吸水紙、ガーゼ、綿線維不織布、レーヨン不織布等を単独で、あるいは接着剤等で積層したり、単に重ねたり、被覆したりして使用する。また、本発明の吸収性物品を吸収性素材として用いても良い。10cm角の吸液性コア101を水中に1分間浸漬した後引き上げ、10分間風乾後の重量を測定して求めた吸水量としては、1m2当たり150g以上が好ましく、さらに好ましくは1m2当たり250g以上である。また、吸液性コア101の大きさや厚さは、吸収性物品10の用途によって適宜選択すればよい。
【0015】
吸液性コア101を収納する空隙は、吸収性を重視する場合や、ヒートシール材層13に液体透過性が無い場合等では、表面基材11とヒートシール材層13との間の第一空隙室31にするのが好ましく、吸液性コア101から発生する繊維カスや細かい異物が表面に出にくくしたい場合はヒートシール材層13と裏面基材15との間の第二空隙室33のに収納するのが好ましい。
【0016】
図2(D)に示すように、表面基材11とヒートシール材層13との間の第一空隙室31、および、ヒートシール材層13と裏面基材15との間の第二空隙室33の双方に吸液性コア101を収納してもよい。この場合、どちらの空隙室にも同じ吸液性コア101を収納してもよいし、の第一空隙室31と第二空隙室33で異なる吸液性コア101を収納してもよい。例えば、体に接触する表面基材11側には溶出物の心配が無いガーゼを収納し、裏面基材15側には吸水性樹脂を用いた吸液性コア101を収納してもよい。
【0017】
(表面基材)表面基材11としては、吸水性繊維を素材とし、液体透過性を有する織布又は不織布であればよい。織布としては、綿、麻、絹等の天然繊維製の糸や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の縒り糸、または、単糸を平織り、綾織り、メリヤス織り等によって形成したものが例示できる。不織布としては、綿、麻、絹等の天然繊維や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の短繊維を、湿式の抄紙方式や、乾式のケミカルボンド方式、ニードルパンチ方式、ウォーターパンチ方式、サーマルボンド方式等によって不織布化したもの、あるいは、ポリアミド長繊維をスパンボンド方式やメルトブロー方式等の直接式で不織布化したものが例示できる。これらの織布及び不織布に共通の、表面基材11として要求される性質は、吸水性素材であるため肌触りが良く、かつ、繊維の隙間から容易に汗、尿、血液、膿等の液体が透過できることである。
【0018】
素材の吸水性繊維の吸水性としては、自重に対する吸収した水分%で表し、厚さが1mm、50mmφ円板を50℃の水中へ50時間浸漬した後で、0.1%以上程度、好ましくはい0.3%以上である。なお、吸収する水分%は、ポリアミドは5%、レーヨンは0.3%程度である。また、織布及び不織布には、繊維と繊維の間に水分が吸収する性質もあり、表面張力や毛細管現象で繊維全体の隙間に浸透することもある。
【0019】
これらの織布又は不織布は、必要に応じて撥水剤、抗菌剤、防臭剤、殺菌剤、等や医薬品を練り込み、含浸、あるいは塗布してもよい。例えば、創傷部保護用織布又は不織布は、表面に撥水剤を塗付するか、全体に撥水剤を含浸させることによって、血液が凝固しても傷口に貼り付かないようにすることができるし、尿パッドや汗取りパッド等、創傷部ではない箇所に用いる吸収性物品10の場合には抗菌剤を塗付しても良い。また、短繊維不織布の場合、ポリエチレンやポリプロピレン等、ヒートシール性を有する樹脂の短繊維を、肌触りや液体透過性を阻害しない範囲で使用しても良く、そうすることによって、ヒートシール部の繊維のほつれが減少し、ヒートシール部を切断する際に発生する繊維カスの量を減少させることができ、衛生面でより好ましい。また、皮膚や粘膜に表面基材11が接触する場合、接触面積を減少させる目的で、表面基材11側から熱エンボス型を押し当てて、多数の小突起、ひだ、網目、梨地等を表面に設けてもよい。
【0020】
(ヒートシール材層)ヒートシール材層13は両面ヒートシール性を有する不織布を用いる。ヒートシール材層13としては、湿式、乾式、および、直接式を問わず、サーマルボンド方式、または、ケミカルボンド方式で繊維同士を接合した不織布を、繊維かすが出にくいことから、好適に用いることができる。特に、サーマルボンド方式は、接着剤やバインダーを使用せずに済むため、創傷部の保護等、出血部位と接触する用途に適している。不織布の繊維長は短繊維、および、長繊維のいずれでも構わないが、特に、長繊維のサーマルボンド方式は切断部における繊維かすの発生が少なく、糸抜けも少ないので、より好適に用いることができる。
【0021】
不織布を形成する繊維の原料としては、ヒートシール性を有する一般的なポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂を用いることができ、更に、熱可塑性樹脂を芯鞘構造に共押し出しした繊維も使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートを芯として、その周囲をポリエチレンで被覆した共押し出し繊維を用いた、ユニチカ株式会社製サーマルボンド長繊維不織布(商品名:エルベス)を用いることができる。
また、一般的な不織布は、繊維同士をランダムに絡ませて接合するが、網目状に太目の繊維を規則的に重ね合わせて接合させた不織布(例えば、製品名「ワリフ」、新日石プラスト株式会社製)等も用いることができる。
【0022】
不織布の坪量は特に限定されるものではないが、一般的には5〜100g/m2程度で、吸収性物品10の要求仕様によって適宜使い分ければよい。不織布の坪量が5g/m2未満ではヒートシール材層13や裏面基材15との接着力が不足し、100g/m2を越えるものは、接着力や強度の点で過剰品質で無駄である。
【0023】
ポリエチレン系樹脂を用いた吸収性物品10の場合、水蒸気滅菌はできないが、エチレンオキサイドガス滅菌、γ線滅菌、電子線滅菌を施すことができる。また、ポリプロピレン樹脂を用いた吸収性物品10の場合、エチレンオキサイドガス滅菌、γ線滅菌、電子線滅菌に加えて、水蒸気滅菌も可能である。
【0024】
更に、ヒートシール材層13としては、ヒートシール性フィルムを用いることができる。ヒートシール性フィルムとしては、ポリオレフィン系フィルムが樹脂や厚さの種類も多く、用途に応じた選択が可能で好ましいが、両面がヒートシール可能な、未延伸フィルムであれば、未延伸フィルムは柔軟性があるので、単体フィルム、共押しフィルム等を含めて用いることができる。特に、ポリエチレンフィルムは添加材を一切含まず、合成時の触媒残渣も実質的に含まないグレードがあり、手術に用いる吸収性物品10に用いると良い。また、ポリプロピレンフィルムは、酸化防止剤無しに製造できないが、吸収性物品10を水蒸気殺菌する場合に使用できるメリットがある。いずれにせよ、吸収性物品10が要求する性能や、衛生性を考慮して適宜選択すればよい。
【0025】
またヒートシール材層13としては、孔の無いフィルム、孔開きフィルムを用いてもよく、孔の無いヒートシール性フィルムを用いれば、表面基材11側から吸収した液体が、裏面基材15から漏洩することを防止でき、逆に孔開きフィルムを用いることにより、ヒートシール性フィルムに液体透過性が生じ、用途を広げることができるが、裏面基材15側に吸収した液体を透過させたくない場合には孔の無いフィルムを用いる。
【0026】
ヒートシール材層13に用いるヒートシール性フィルムの厚さとしては、通常20μm〜100μmのものを好適に用いることができる。20μmに満たないフィルムは、表面基材11及び裏面基材15層への食い込みが少なく、また、機械適性も良くない点で好ましくない。また、100μmを越えるフィルムは、接着力や強度の点で過剰品質となり無駄である。但し、吸収性物品10の腰を強くしたい場合や、X線造影糸17をヒートシール材層13に埋没させたい場合には、100μm以上、300μm程度なで使用することもある。
【0027】
なお、特に図示していないが、ヒートシール材層13は、互いにヒートシール可能な材質同士であれば複数層設けても良く、例えば、予め吸液性コア101を複数層のヒートシール材層13間に収納して周縁端部にヒートシールを施したものを製造しておき、これを表面基材11と裏面基材15で挟持氏した後、更に周縁端部にヒートシールを施してもよい。
【0028】
(裏面基材)裏面基材15は液体透過性を有する吸水性繊維の織布又は不織布とする。裏面基材15に求められる性能は、吸水性素材を用いて肌触りが良いことであり、織布としては、綿、麻、絹等の天然繊維製の糸や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の縒り糸、または、単糸を平織り、綾織り、メリヤス織り等によって形成したものを用いることができ、不織布としては、綿、麻、絹等の天然繊維や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の短繊維を、湿式の抄紙方式や、乾式のケミカルボンド方式、ニードルパンチ方式、ウォーターパンチ方式、サーマルボンド方式等によって不織布化したもの、あるいは、ポリアミド長繊維をスパンボンド方式やメルトブロー方式等の直接式で不織布化したものを用いることができる。
【0029】
これらの織布又は不織布は、必要に応じて撥水剤、抗菌剤、防臭剤、殺菌剤等や医薬品を練り込み、含浸、あるいは塗布する。例えば、創傷部保護用ポリアミド単糸製織布は、ポリアミド単糸表面に撥水剤を塗付することによって、血液が凝固しても傷口に貼り付かないようにすることができるし、尿パッドや汗取りパッド等、創傷部ではない箇所に用いる吸収性物品の場合には抗菌剤を塗付すると良い。
【0030】
また、短繊維不織布の場合、ポリエチレンやポリプロピレン等、ヒートシール性を有する樹脂の短繊維を、肌触りや液体透過性を阻害しない範囲で使用しても良く、そうすることによって、ヒートシール部の繊維のほつれが減少し、ヒートシール部を切断する際に発生する繊維カスの量を減少させることができ、衛生面で非常に好ましい。
【0031】
また、ヒートシール剤を塗付した未延伸、または、二軸延伸ポリアミドフィルムを用いれば、吸液性コア101が吸収した液体が裏面基材15からその外面に滲み出ることを防止でき、更に、前記ポリアミドフィルムの内側に、温度、湿度、血液、滅菌済等のインジケーター、文字や図柄等、および、滲出液隠蔽のためのベタ印刷等を施したりすることができる。
ヒートシール剤としては、ヒートシール剤層とのヒートシール性を考慮した上で、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂等、一般的に用いられているヒートシール剤から選定すれば良い。
【0032】
なお、未延伸又は二軸延伸ポリアミドフィルムを裏面基材15に用いた場合、裏面基材15の外面側に、綿、麻、絹等の天然繊維製の糸や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の縒り糸、または、単糸を平織り、綾織り、メリヤス織り等によって形成した織布や、綿、麻、絹等の天然繊維や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の短繊維を、湿式の抄紙方式や、乾式のケミカルボンド方式、ニードルパンチ方式、ウォーターパンチ方式、サーマルボンド方式等によって不織布化したもの、あるいは、ポリアミド長繊維をスパンボンド方式やメルトブロー方式等の直接式で不織布化したものを貼り合わせて用いることができる。
【0033】
また、下着に吸収性物品10を固定するために、裏面基材15面へおむつカバーや両面テープや面ファスナーなどを貼り付けても良い。
【0034】
(ヒートシール)図1(B)に示すように、吸収性物品10の両端部のみをヒートシール法により形成されてなる長尺の筒状体においては、両サイドの二方のみをヒートシール部21とした四角形の筒状袋体形状とする。好ましくは、複数列を同時にヒートシールしたヒートシール部21の中間部分でスリットすることで、1列毎の吸収性物品10とすれば、ヒートシール部21が筒状体の両端部の先端部まで延在させることができ、織布又は不織布の糸や繊維をほつれ難くできる。
【0035】
図1(A)に示すように、吸収性物品10の周縁端部がヒートシール法により形成されてなる袋体におけるヒートシール部21の形状は、一般的には加工が簡単な、直線状熱板を用いて四方をヒートシールした四角形袋体形状とする。また、曲線、波型やL字型等の熱板や、複雑なヒートシール形状の凸部を削り出したプレート等を用いて、三角形、台形、円形、樽形、カプセル形、T字型、ダルマ形等のヒートシールを施し、外周縁、または、ヒートシール形状に沿ったヒートシール部をトリミングすることにより、任意の形状の吸収性物品10を得ることができ、ヒートシール部21が前記袋体の周縁端部の先端部まで延在し、織布又は不織布の糸や繊維がほつれ難くできる。
【0036】
また、筒状体及び袋体の吸収性物品10においても、連続的にヒートシールを施す装置を用いることや、複数列のヒートシールを同時に施した後に、ヒートシール部21の中間部分で切断することで、ヒートシール部21を先端部まで延在させながら、複数個の吸収性物品10を同時に製造することもできて、好適である。また、周縁端部のヒートシール部21の腰が強すぎる場合や、吸収性物品10を柔らかく傷付き易い部位に使用する場合等において、図1(A)に示すように、周縁端部にヒートシールを施した後、尖った角を丸くトリミングすると良い。
【0037】
ヒートシール部21を形成させるヒートシール法は特に限定されるものではないが、熱板シール法、インパルスシール法、超音波シール法、溶断シール法などが例示できる。
なお、本願発明の明細書での、ヒートシールとは、2種の素材が熱と圧力で溶着する通常のヒートシールに加えて、軟化点又は融点を越えた片方の素材が、他方の素材の繊維などの隙間に食い込んだ見かけのヒートシール、及びこれらが混在又は並行したヒートシールも含むものとする。これらのヒートシールのいずれでも、2種の素材が固定されるので、本願発明の効果を発現させることができる。
【0038】
(包帯)筒状体の吸収性物品10は細長く製造し、巻き取ることも容易であるため、包帯のように使用することもできる。製造装置としてプラスチックフィルムを用いた軟包装用の製袋機を使用できるため、幅、巻き長さは自由に設計可能で、かつ、多列製造も可能である。この場合、例えば、表面基材11として撥水剤を塗付したポリアミド糸の目の粗い織布とし、創傷部に癒着しにくくすれば、浅い傷の場合は当て布等を省略することも可能であり、また、表面基材11に軟膏等を塗付して用いても良く、また、面積の大きい創傷部に巻き付けて使用することにより、ある程度の患部の固定も可能である。尚、吸液性包帯として形成し、使用する場合、切り取って使用することを前提とすれば、両端のヒートシールは実施しなくても良い。
【0039】
(吸収性物品)また、表面基材11及び裏面基材15の吸水性繊維が綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンとすることが好ましい。表面基材11及び裏面基材15に液体透過性を有する吸水性繊維として、綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンよりなる織布又は不織布を使用することによって、蒸れ難く肌触りが良い等、使用者が快適である。また、ヒートシール部が袋体の周縁端部又は筒状体の両端部の先端部まで延在しているので、織布又は不織布の切断面がヒートシール材層13によって固着されるため、糸や繊維のほつれが発生し難く、衛生的である。
【0040】
(吸収性物品)さらに、裏面基材15がヒートシール剤を塗付したポリアミドフィルムとすることが好ましい。裏面基材15として、ポリアミドフィルムを使用すれば、該ポリアミドフィルムへ、インジケーター機能を有する印刷層やラベルを貼着、添付することができ、新しい性能を有する吸収性物品10を提供することができる。インジケーター機能としては、特に限定されるものではないが、例えば温度インジケーター、湿度インジケーター、pHインジケーター、滅菌インジケーターなどが例示できる。
【0041】
(吸収性物品)ヒートシール材層13が両面ヒートシール性を有するプラスチックフィルムであることが好ましい。ヒートシール材層13にヒートシール性プラスチックフィルムを用いた場合、第一空隙室31に吸液性コア101を収納し、液体が到達しない第二空隙室33には消臭剤や芳香剤を含浸させた不織布や紙等を収納することができる。
【0042】
ヒートシール材層13、及び/又は裏面基材15にフィルムを使用すれば、表面基材11側から吸収され液体が、裏面基材15側から漏洩することも防止できる。
【0043】
(吸収性物品)図2(D)に示すように、吸収性物品10において、表面基材11がガーゼ又は綿繊維不織布であり、ヒートシール材層13が両面ヒートシール性を有する不織布であり、裏面基材15がガーゼ又は綿繊維不織布とし、第一空隙室31及び第二空隙室33を空室としてもよい。なお、第一空隙室31及び第二空隙室33は、作図の都合上空間があるが、実際は表面基材11、ヒートシール材層13、裏面基材15が接している。
【0044】
図2(D)に示すように、吸収性物品10として、ガーゼ又は綿線維不織布からなる表面基材11と、両面ヒートシール性を有する不織布からなるヒートシール材層13と、ガーゼ又は綿線維不織布からなる裏面基材15とをこの順に重ね合わせ、周縁端部にヒートシールを施して積層してもよい。第一空隙室31、第二空隙室33に吸液性コア101を収納していないが、液体を拭き取ったり、滲出液を吸収させても良いし、手術中に臓器の乾燥を防ぐため、および、手術中に誤って臓器を傷つけないように、生理食塩水に浸した吸収性物品10を、手術対象臓器以外の臓器に被せる等の使い方もある。
【0045】
(吸収性物品)図3に示すように、吸収性物品10は、表面基材11及び裏面基材15をこの順に重ね合わせて、ヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる袋体、並びに両端部のみをヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる長尺の筒状体とし、表面基材11と裏面基材15とで形成された空隙室35に吸液性コア101が収納されているようにしてもよい。
【0046】
表面基材11を綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンの織布又は不織布とし、裏面基材15を綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンの織布又は不織布の片面にポリオレフィン系樹脂を押し出しラミネートしたフィルムとした後に、吸収性物品10の周縁端部が表面基材11と裏面基材15のポリオレフィン系樹脂面とを重ね合わせて、ヒートシールすればよい。袋体の周縁端部又は前記筒状体の両端部の先端部までヒートシール部21が延在し、織布又は不織布の糸や繊維がほつれ難い。表面基材11と裏面基材15の間にポリオレフィン系樹脂が存在するため、吸液性コア101が吸収した液体は、裏面基材15表面に滲み出てくることがなく、着衣やシーツ等を汚しにくい。また、ヒートシール材層13の不織布を使用しないため二層構成とシンプルな構造になり、製造が容易になる。
【0047】
裏面基材15に押し出しラミネートする方法は、包装材料の製造に一般的に用いられているTダイを用いた溶融樹脂の押し出しラミネーションを好適に用いることができる。裏面基材15が織布、または、不織布であれば、溶融樹脂をあてがって加圧しつつ冷却することによって裏面基材15の繊維に溶融樹脂が食い込み、見かけの接着強度を得ることができる。また、必要に応じて裏面基材15の貼り合わせ面にはコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の表面処理や、アンカー剤等の接着性向上剤の塗付を実施することもできる。
【0048】
裏面基材15に押し出しラミネートするポリオレフィン系樹脂としては、加熱によって溶融し相互に融着し得るヒートシール性を有し、押出機等により溶融押出して形成する樹脂であればよく、例えば、ポリプロピレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン・αオレフィンとの共重合体樹脂、エチレン・ポリプロピレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン・マレイン酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂、無水マレイン酸をポリオレフィン樹脂にグラフト変性した樹脂等を一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
尚、吸収性物品10を水蒸気滅菌する場合、耐熱性が必要なため、押し出し樹脂はポリプロピレン系樹脂を用いる。
【0049】
片面にポリオレフィン系樹脂を押し出しラミネートする裏面基材15に液体透過性は不要だが、肌触りの良さが必要な場合が多く、表面基材11に用いることができる織布としては、綿、麻、絹等の天然繊維製の糸や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の縒り糸、または、単糸を平織り、綾織り、メリヤス織り等によって形成したものを用いることができ、不織布としては、綿、麻、絹等の天然繊維や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の短繊維を、湿式の抄紙方式や、乾式のケミカルボンド方式、ニードルパンチ方式、ウォーターパンチ方式、サーマルボンド方式等によって不織布化したもの、あるいは、ポリアミド長繊維をスパンボンド方式やメルトブロー方式等の直接式で不織布化したものを用いることができる。更に、伸縮性が不要な用途には、未延伸、または、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポエチレンテレフタレートフィルム、または、二軸延伸ポリプロピレンフィルムも用いることができるが、多少なりとも肌触りの良さが必要であれば、前記ポリアミドフィルムを用いると良い。
【0050】
また、二層構成の表面基材11としては、他の実施例同様、吸水性繊維を素材とし、液体透過性を有する織布、または、不織布であり、織布としては、綿、麻、絹等の天然繊維製の糸や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の縒り糸、または、単糸を平織り、綾織り、メリヤス織り等によって形成したものを用いることができ、不織布としては、綿、麻、絹等の天然繊維や、レーヨン、ポリアミド等の合成樹脂製繊維の短繊維を、湿式の抄紙方式や、乾式のケミカルボンド方式、ニードルパンチ方式、ウォーターパンチ方式、サーマルボンド方式等によって不織布化したもの、あるいは、ポリアミド長繊維をスパンボンド方式やメルトブロー方式等の直接式で不織布化したものを用いることができる。
【0051】
ポリアミドの繊維製品はヒートシール可能だが、シール温度が高く、連続的に熱板シールを施すのが困難なため、一般的にはヒートシールして用いることが少ない。但し、吸収性物品10においては、表面基材11及び/又は裏面基材15にポリアミド製品を使用し、ヒートシールの熱でポリアミド繊維同士を融着させることにより、糸のほつれのみならず、繊維のほつれも防止でき、衛生的に好ましい。尚、このようにシール温度が高く、通常の熱板シールではシール部の発泡や樹脂の分解物によるシールバーの汚れが懸念される場合のヒートシール方式として、被シール材を電熱リボンで挟んで圧力を加え、電熱リボンに通電した時間のみ加熱するインパルスシール方式を好適に用いることができる。尚、インパルスシール方式は、一般的なヒートシール材のヒートシールにも用いることができる。
【0052】
(吸収性物品)二層構成の吸収性物品10において、裏面基材15としてポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面にポリオレフィン系樹脂を押し出しラミネート又はドライラミネートしたフィルムを用いて、該ポリオレフィン系樹脂面と表面基材11を重ね合わせてもよい。このように、ポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用すれば、これらのフィルムへ、インジケーター機能を有する印刷層やラベルを貼着、添付することができ、新しい性能を有する吸収性物品10を提供することができる。インジケーター機能としては、特に限定されるものではないが、例えば温度インジケーター、湿度インジケーター、pHインジケーター、滅菌インジケーターなどが例示できる。
【0053】
(EC)押し出しラミネートとは、所謂、当業者がエクストルージョンコーティング(EC)と呼ぶ方法である。まず、押出機で押出樹脂を加熱し溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押出し、該溶融樹脂層を基材上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、押し出し樹脂層の形成と基材への接着と積層が同時に行われる。また、押出樹脂を、基材へ強固に接着させるために、通常、アンカーコート剤(AC剤)とよぶ接着促進剤などの他、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、オゾンガス処理などの易接着処理を施しても良い。
【0054】
(ドライラミネート)ドライラミネートとは、溶媒へ分散または溶解した接着剤を塗布し乾燥させて、貼り合せ基材を重ねて積層した後に、30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤を硬化させることで、2種の材料を積層させる方法である。ドライラミネート法で用いる接着剤としては、熱、または紫外線・電子線などの電離放射線で硬化する接着剤が適用できる。具体的には、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エボキシ系接着剤、ゴム系接着剤などが適用できるが、2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。
【0055】
(吸収性物品)図4(A)に示すように、上記いずれの吸収性物品10において、ヒートシール部21の少なくとも1辺に、X線造影糸17を挟持させればよい。X線造影糸17は、図5(A)(B)(C)(D)に示すように、表面基材11、ヒートシール材層13、裏面基材15とのいずれかの間に挟持し、ヒートシールすることで、ヒートシール部21に固定することができる。また、X線造影糸17の位置は、袋体の場合には、図4(A)に示すように、X線造影糸17全体をヒートシール部で挟持したり、図6に示すように、袋体の中ほどに挿入して両端のみをヒートシール部で挟持したり、また、筒状体の場合には、図4(B)に示すように、X線造影糸17全体を端部のヒートシール部で挟持したりしてもよく、いずれの場合にも、表面基材11と裏面基材15の間に挿入しながら、ヒートシール加工を行えばよく、容易に製造することができる。
【0056】
このようにすることで、吸収性物品10の使用中にX線造影糸17が切断したり、X線造影剤の脱落を防止したりでき、衛生的である。さらに、ヒートシール部21でX線造影糸17を挟持するだけでX線造影糸17が固定できるため、所望の任意のサイズのX線造影糸17入りガーゼ体、または、吸収性物品10の製造が可能である。また、織布又は不織布であれば素材を選ばずX線造影糸17を固定できるため、従来製造が不可能であった、例えば、晒、絹布等にも、更には、ヒートシール性を有するフィルムにもX線造影糸17を固定することができる。
【0057】
X線造影糸17は、通常用いられているもので良く、塩化ビニル樹脂又はポリプロピレン樹脂に硫酸バリウム末と着色剤を練り込んで、押し出した単糸、又は単糸を束ねてフィルムで被覆したもの等、糸としてヒートシール装置に供給できるものであればよい。
【0058】
X線造影糸17は、万一造影剤が脱落しても、体に接触する表面基材11側から出難くするため、ヒートシール材層13と裏面基材15の間に挟持するのが好ましく、ヒートシール材層13が不織布からなる場合は、可能な限り目の細かい不織布を用いるのが好ましい。現在市販されているX線造影糸17入りガーゼや不織布は、X線造影糸17の存在が一目で分かるように、X線造影糸17が中央に配置されるように折り畳まれているので、その慣例に従えば袋体中央部近辺にX線造影剤を配置すればよく、また、よりX線造影剤の脱落や、X線造影糸17の切断を防止したい場合は、X線造影糸17全体をヒートシール部で挟持するのが好ましい。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)表面基材11として100mm×200mmにカットしたガーゼ(綿織布)の中央に、吸液性コア101として70mm×160mmにカットした坪量60g/m2の綿線維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「コットエースC060S/A01」)を5枚重ね合わせて置き、更にその上に、ヒートシール材層13として100mm×200mmにカットした坪量20g/m2PP長繊維不織布(三井化学株式会社製、製品名「シンテックスPS104」)と、裏面基材15として100mm×200mmにカットした坪量30g/m2の綿線維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「コットエースC030S/A01」)とをこの順に重ね合わせ、シール幅10mmの上下ヒーター式インパルスシーラーで四方の周縁端部にヒートシールを施した後、シール部外周を5mm幅で切り取って、実施例1の吸収性物品10を得た。即ち、中央部の断面構造は、表面基材11側から、ガーゼ(綿織布)/綿線維不織布(5枚)/PP長繊維不織布/綿線維不織布で、ヒートシール部の断面構造は、表面基材11側から、ガーゼ/PP長繊維不織布/綿線維不織布である。
該吸収性物品10を水蒸気滅菌用滅菌袋に収納し、滅菌条件121℃×15分の水蒸気滅菌を施した後、触感を調べた結果、表面及び裏面とも、柔軟性、肌触りが良好で、水に浸すと容易に水を吸収した。また、ヒートシール部21が袋体の周縁端部の先端部まで延在しており、織布又は不織布の糸や繊維がほつれは滅菌後もなく、さらに、滅菌後に手で10回揉みくちゃした後でも糸や繊維のほつれは認められなかった。
【0061】
(実施例2)表面基材11として100mm×500mmにカットした坪量60g/m2の綿線維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「コットエースC060S/A18」)と、吸液性コア101入りヒートシール材層13として、片面が坪量30gの芯鞘構造で表面材質がPEの長繊維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「エルベスS0303WDO」)、もう一方の面が厚み25μmのLLDPEからなる袋体に、粉砕パルプと吸水性樹脂の混合物をティッシュペーパーで被覆した尿取りパッド用吸液性コア101を収納した外寸100mm×500mmでヒートシール幅10mmの四方シール袋を用いて、この長繊維不織布面を表面基材11側にして重ね合わせた後、裏面基材15として、100mm×500mmにカットした晒を重ね合わせ、シール幅10mmの上下ヒーター式インパルスシーラーで四方の周縁端部にヒートシールを施した後、周縁シール部を5mm残して切り取って、実施例2の吸収性物品10を得た。即ち、中央部の断面構造は、表面基材11側から、綿線維不織布/PE長繊維不織布(尿取りパッド)LLDPE/晒で、ヒートシール部の断面構造は、表面基材11側から、綿線維不織布/PE長繊維不織布−LLDPE/晒である。
該吸収性物品10の表面基材11を上にして机上に置き、表面基材11面に水500mlを垂らしたところ、吸液性コア101が水を吸収し、吸収性物品10を持ち上げても水が垂れることはなく、かつ、机面は全く濡れなかった。また、ヒートシール部21が袋体の周縁端部の先端部まで延在しており、手で10回揉みくちゃした後でも糸や繊維のほつれは認められなかった。尚、該吸収性物品10の端に、バイアステープ等を縫いつけるか、または、バイアステープ等を裏面基材15とLLDPEの間に挟持して周縁部にヒートシールを施すことによって、T字帯も製造できる。
【0062】
(実施例3)四軸型製袋機を用い、2本ある横軸に、表面基材11として、幅240mm、坪量30g/m2の綿線維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「コットエースC030S/A25」)と、裏面基材15として、幅240mm、坪量30g/m2のポリアミド不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「ナイエースP0303WTO」)とをセットし、2本ある縦軸の片方に、ヒートシール材層として、幅240mm、坪量30g/m2の芯鞘構造で表面材質がポリエチレンの長繊維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「エルベスS0303WDO」)をセットして横取り三方シール袋の2列取り製袋を実施し、幅70mm、長さ110mm、ヒートシール幅10mmの、層構成、綿線維不織布/PE長繊維不織布/PA不織布からなる袋体を製造した。その際、製袋機に設置されている2箇所のチャックテープ供給部に、チャックテープの代わりにX線造影糸17をセットして、PE長繊維不織布とPA不織布の間で、袋体の横方向のほぼ中央の位置に連続的に供給し、袋体の横シール部でX線造影糸17を挟持して袋体を製造した。X線造影糸17としては、塩化ビニル樹脂に硫酸バリウム末と着色剤を練り込んだ単糸を用いた。吸液性コア101として、幅40mm、長さ80mmにカットした、坪量150g/m2の綿線維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「コットエースC150S/A07」)を、前記袋体開口部から、綿線維不織布とポリエチレン長繊維不織布の間に詰め、シール幅10mmの上下ヒーター式インパルスシーラーで、ヒーターが前記開口部を挟み込むように、ヒートシール幅6〜8mmのヒートシールを施すことにより、実施例3の吸収性物品10を得た。
該吸収性物品10のヒートシール部21は袋体の周縁端部の先端部まで延在しており、X線造影糸17は両端を基材間に固定され、かつ袋体内部に収納されていて、表面に露出していない。このために、連続的に製造した吸収性物品10は、肉眼的には外周縁に繊維のほつれが無く衛生的であり、X線造影剤及びX線造影糸17の断裂による糸くずが吸収性物品10外にこぼれ落ちる心配の無い吸収性物品10を得ることができた。また、手で10回揉みくちゃした後でも糸や繊維のほつれ、及びX線造影剤及びX線造影糸17の断裂による糸くずは認められなかった。また、該吸収性物品10を両手で挟んでX線写真を撮影したところ、明確にX線造影糸17が写っていた。
【0063】
(実施例4)実施例3と同じ4軸製袋機を用い、横軸に、表面基材11として、幅180mm、坪量30g/m2の綿線維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「コットエースC030S/A25」)と、裏面基材15として、厚さ15μmのPAフィルム(東洋紡株式会社製、製品名「NAP02」)に、厚さ15μmのPE樹脂を押し出しラミネートして幅180mmに裁断しつつ巻き取った積層フィルムとをセットし、2本の縦軸のいずれにも、幅60mm、坪量60g/m2の綿線維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「コットエースC060S/A18」)をセットした。表面基材11と裏面基材15のPE樹脂面とを重ね合わせ、連続的に幅10mmの縦シールを80mm間隔で3箇所施し、縦シール部間の未シール部に、前記幅60mmの綿線維不織布を連続的に挿入し、各ヒートシール部のほぼ中央で裁断しつつ巻き取ることにより、幅80mm、両サイドシール幅5mmの筒状体の、実施例4の吸収性物品10を得た。
該吸収性物品10を、手で10回揉みくちゃした後でも糸や繊維のほつれは認められなかった。実施例4で使用した裏面基材15は透水性が無いので患部に外部から水が滲み込むのを防止できるが、防水性より通気性を重視する用途には、裏面基材15としてヒートシール性を有する不織布等を用いるか、ヒートシール性の無い織布、または、不織布と、ヒートシール材層を重ね合わせたものを用いるとよい。筒状体の吸収性物品10は、幅の設定が自由であり、任意の長さに巻き取ること、および、包帯のように患部に巻き付けることができ、かつ、使用する分だけ切り取って使用することができる。また、当該筒状体にX線造影糸17を組み入れる場合には、抜け落ちを防止するためにヒートシール部に挟持させる。
【0064】
(実施例5)表面基材11として、100mm×200mmにカットしたガーゼと、ヒートシール材層として、100mm×200mmにカットした坪量20g/m2のポリプロピレン長繊維不織布(三井化学株式会社製、製品名「シンテックスPS104」)と、裏面基材15として、100mm×200mmにカットした坪量30g/m2の綿線維不織布(ユニチカ株式会社製、製品名「コットエースC030S/A01」)とをこの順に重ね合わせ、短辺側の端から6mmの位置の、裏面基材15とヒートシール材層13の間にX線造影糸17を挟持し、シール幅10mmの上下ヒーター式インパルスシーラーで四方の周縁端部にヒートシールを施した後、周囲を幅2mmずつカットして、、実施例5の吸収性物品10を得た。
該吸収性物品10は、外周縁に糸や繊維のほつれが認められず、衛生的であった。また、柔軟性に富み、かつ、適度な重量感を有する、ピンセットでの取り扱いに適していた。また、ピンセットでX線造影糸17を挟持するヒートシール部を摘んでも、X線造影糸17が表面に露出していないので、X線造影糸17を傷つけることが無かった。また、該吸収性物品10を両手で挟んでX線写真を撮影したところ、明確にX線造影糸17が写っていた。
【0065】
(比較例1)市販のX線造影糸17入りガーゼは、切断部の縦糸が固定されていないため、繊維のほつれが認められ、衛生的に好ましくない。また、縦糸として織り込まれているX線造影糸17は、表面に露出しているため、ピンセットで摘めば容易に傷がつき、X線造影剤が簡単に脱落する危険性をはらんでいる。この市販のX線造影糸17入りガーゼを、手で10回揉みくちゃしたところ、糸やX線造影糸17がほつれ、さらにX線造影剤の一部が脱落していた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
(産業上の利用可能性)本発明は、おむつカバー、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、尿取りパッドなどの使い捨ての体液処理物品や、手術中に血液等の拭き、臓器等のカバー等に利用することができる。しかしながら、血液、浸出液、汗、尿など粘液体の吸収性を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
10:吸収性物品
11:表面基材
13:ヒートシール材層
15:裏面基材
17:X線造影糸
21:ヒートシール部
31:第一空隙室
33:第二空隙室
35:空隙室
101:吸液性コア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面基材、ヒートシール材層及び裏面基材をこの順に重ね合わせてなる吸収性物品であって、前記表面基材が液体透過性を有する吸水性繊維の織布又は不織布であり、前記ヒートシール材層が両面ヒートシール性を有する不織布であり、前記裏面基材が液体透過性を有する吸水性繊維の織布又は不織布であり、前記吸収性物品の周縁端部がヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる袋体、並びに両端部のみをヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる長尺の筒状体で、前記表面基材と前記ヒートシール材層とで形成された第一空隙室、及び/又はヒートシール材層と裏面基材とで形成された第二空隙室に吸液性コアが収納され、かつ、前記ヒートシール部が前記袋体の周縁端部又は前記筒状体の両端部の先端部まで延在し、織布又は不織布の糸や繊維がほつれ難いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記表面基材及び前記裏面基材の吸水性繊維が綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンであることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記裏面基材がヒートシール剤を塗付したポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記ヒートシール材層が両面ヒートシール性を有するプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
請求項1に記載の吸収性物品において、前記表面基材がガーゼ又は綿繊維不織布であり、
前記ヒートシール材層が両面ヒートシール性を有する不織布であり、前記裏面基材がガーゼ又は綿繊維不織布であり、前記第一空隙室及び第二空隙室が空室であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
表面基材及び裏面基材をこの順に重ね合わせてなる吸収性物品であって、前記表面基材が綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンの織布又は不織布であり、前記裏面基材が綿、麻、絹、ポリアミド又はレーヨンの織布又は不織布の片面にポリオレフィン系樹脂を押し出しラミネートしたフィルムであり、前記吸収性物品の周縁端部が前記表面基材と前記裏面基材のポリオレフィン系樹脂面とを重ね合わせて、ヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる袋体、並びに両端部のみをヒートシール法によるヒートシール部が形成されてなる長尺の筒状体で、前記表面基材と前記裏面基材とで形成された空隙室に吸液性コアが収納され、かつ、前記ヒートシール部が前記袋体の周縁端部又は前記筒状体の両端部の先端部まで延在し、織布又は不織布の糸や繊維がほつれ難いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性物品において、前記裏面基材としてポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面にポリオレフィン系樹脂を押し出しラミネート又はドライラミネートしたフィルムを用いて、該ポリオレフィン系樹脂面と前記表面基材を重ね合わせてなることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性物品において、前記ヒートシール部の少なくとも1辺に、X線造影糸が挟持されていることを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−157438(P2012−157438A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17970(P2011−17970)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】