説明

吸収性物品

【課題】吸収性物品の周縁部におけるシール部について柔軟性を維持して風合いのよい、かつ漏れにくい吸収性物品を提供すること。
【解決手段】吸収性物品1は、表面シート部と、裏面シート部と、吸収体と、を備える。該吸収性物品の外周縁には、表面シート部と裏面シート部とを接合する接合領域50が、外周縁に沿うように吸収性物品1の外周縁の全周にわたって形成される。接合領域50の全部又は一部には、複数の圧着部51が形成される。複数の圧着部51それぞれは、第1方向Xにおける長さが、第1方向Xに直交する第2方向Yにおける長さよりも長くなるよう形成される。複数の圧着部51における全部又は一部は、第1方向Xが、吸収性物品1の長手方向に略直交するように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
身体から排泄される排泄物等の液体を吸収するものとして、生理用ナプキンやおりもの用シート等の吸収性物品が広く知られている。吸収性物品は、通常、液保持性の吸収層と、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートとで構成されており、その周縁部が熱エンボス処理等でシールされている。このようにシールされたシール部は、使用中に破けないような強度を維持すると共に、使用中に違和感が生じないようにすることが求められている。
【0003】
従来、吸収性物品の周縁部をシールするにあたっては、熱エンボス処理等によって面状にシール部を形成する方法が広く知られている。しかし、このように形成されたシール部は、該当領域においてエンボス処理により圧縮されているためにその部分が固くなり、吸収性物品の使用中に使用者に違和感が生じる場合がある。さらには当該領域が固くなるために吸収性物品が身体の湾曲に沿うように変形し難くなり、身体と吸収性物品との間に隙間が生じ、漏れの原因ともなる。
【0004】
そこで、面状にエンボス処理をするのではなく、小さな略正方形状のエンボス部を複数形成することで、シール部における、互いに隣り合うエンボス部とエンボス部間の非エンボス部に形成される折れ起点の数を増加させ、身体の湾曲に沿いやすくした発明が開示されている(例えば、特許文献1)。また、エンボス部は、常に隣り合うエンボス部に対して直列的になるように配置されており、坪量が大きい部分や厚みのある部分ではエンボス部の一つ当たりの面積を大きくし、またそれ以外の部分ではエンボス部の一つ当たりの面積を小さくするように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−129019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された吸収性物品は、坪量が高い部分のエンボス部が熱により固くなり、吸収性物品の装着中に使用者が違和感を覚えることになる。また、エンボス部の一つ当たりの面積が大きくなると、非エンボス部に形成される折れ起点の間隔が広がり、周縁部における柔軟性が低下する。これにより身体の湾曲に沿って吸収性物品が変形しにくくなるため、隙間が生じて漏れるおそれがある。
【0007】
本発明は、吸収性物品の周縁部におけるシール部について柔軟性を維持して風合いのよい、かつ漏れにくい吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)少なくとも一部が液透過性のシートを有する表面シート部と、液不透過性のシートを有する裏面シート部と、前記表面シート部と裏面シート部との間に配置される液保持性の吸収体と、を備える縦長状の吸収性物品であって、該吸収性物品の外周縁には、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合領域が形成され、前記接合領域の全部又は一部には、複数の圧着部が形成され、前記複数の圧着部それぞれは、第1方向における長さが、前記第1方向に直交する第2方向における長さよりも長くなるよう形成される
吸収性物品。
【0009】
(2)前記複数の圧着部それぞれは、第1方向における長さが、前記第2方向における長さに対して1.7から20である(1)に記載の吸収性物品。
【0010】
(3)前記複数の圧着部それぞれは、前記第1方向における長さが1.0から10mmであり、前記第2方向における長さが0.5から2.0mmである(1)又は(2)に記載の吸収性物品。
【0011】
(4)前記複数の圧着部は、第1圧着部と第2圧着部とを有し、前記第2圧着部は、前記第1圧着部における前記第2方向側に形成される(1)から(3)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0012】
(5)前記第1圧着部と前記第2圧着部との間の前記第2方向における距離は、前記第1圧着部の前記第2方向における長さに対して0.3から4.0である(4)に記載の吸収性物品。
【0013】
(6)前記第1圧着部と前記第2圧着部との間の前記第2方向における距離は、1.0から5.0mmである(4)又は(5)に記載の吸収性物品。
【0014】
(7)該吸収性物品の長手方向における端部側に形成される前記複数の圧着部における全部又は一部それぞれは、前記第1方向が前記長手方向に略直交するよう形成される(4)から(6)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0015】
(8)前記複数の圧着部における全部又は一部それぞれは、前記第1方向が前記外周縁と略平行になるように形成される(4)から(7)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0016】
(9)前記第2圧着部は、前記第1圧着部の第1方向における一方の端部から前記第2方向に延びる直線と交差し、前記第2方向における他方の端部から前記第2方向に延びる直線とは交差しないように形成される(4)から(8)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0017】
(10)前記第1圧着部及び第2圧着部は、それぞれ複数形成され、前記複数の第1圧着部及び前記複数の第2圧着部は、前記第1方向が前記外周縁に略平行になるように形成されると共に、前記外周縁方向に連続的に形成され、前記複数の第1圧着部と前記複数の第2圧着部との間に形成される非圧着領域は、前記外周縁方向と略平行になるように形成されると共に、前記外周縁方向に延びるように形成される(4)から(9)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0018】
(11)前記複数の圧着部それぞれは、略同じ形状である(1)から(10)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0019】
(12)前記接合領域は、前記複数の圧着部とは異なる形状の複数の補助圧着部と、を更に有し、前記複数の圧着部と前記複数の補助圧着部とが前記外周縁方向において交互に形成される(11)に記載の吸収性物品。
【0020】
(13)前記外周縁における所定位置には、前記接合領域が形成されない又は前記複数の圧着部が少ない領域が形成される(1)から(12)のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、吸収性物品の周縁部におけるシール部について柔軟性を維持して風合いのよい、かつ漏れにくい吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1(A)は、本発明の吸収性物品の第1実施形態を示す平面図であり、図1(B)は、第1実施形態における第1圧着部の形状を示す拡大図である。図3(B)は、第2実施形態における圧着部の形状を示す拡大図である。
【図2】図2は、図1のZ−Z線断面図である。
【図3】図3(A)は、本発明の吸収性物品の第2実施形態を示す平面図であり、図3(B)は、第2実施形態における圧着部の形状を示す拡大図である。
【図4】図4は、本発明の吸収性物品の第3実施形態を示す平面図である。
【図5】図5は、本発明の吸収性物品の第4実施形態を示す平面図である。
【図6】図6(A)は、本発明の吸収性物品の第5実施形態を示す平面図であり、図6(B)は、第4実施形態における圧着部の形状を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態について図を用いて説明する。なお、本実施形態は好適な実施形態を示したものであり、図面に示したものや説明には限定されない。図1(A)は、本発明の吸収性物品の第1実施形態を示す平面図である。図1(B)は、第1実施形態における第1圧着部の形状を示す拡大図である。図2は、図1(A)のZ−Z線断面図である。図3(A)は、本発明の吸収性物品の第2実施形態を示す平面図である。図3(B)は、第2実施形態における圧着部の形状を示す拡大図である。図4は、本発明の吸収性物品の第3実施形態を示す平面図である。図5は、本発明の吸収性物品の第4実施形態を示す平面図である。図6(A)は、本発明の吸収性物品の第5実施形態を示す平面図である。図6(B)は、第4実施形態における圧着部の形状を示す拡大図である。
【0024】
1.第1実施形態
1−1.吸収性物品の全体構成
図1及び図2に示すように、本発明にかかる吸収性物品1は、縦長状に形成される。吸収性物品1は、少なくとも一部分が液透過性である表面シート部2と、防漏層となる裏面シート部3と、排泄物等の液体を吸収して保持する吸収体4と、を備える。
【0025】
表面シート部2と、裏面シート部3を構成する後述の裏面シート30とは、吸収性物品1の外周縁に沿うように熱エンボス処理により接合され、接合領域であるシール部50が形成される。
【0026】
表面シート部2は、図1及び図2に示すように、吸収性物品1の幅方向WD中央に配置される表面シート20と、表面シート20の幅方向WD両側に長手方向LDに沿って配置されるサイドシート21,21と、表面シート20と吸収体4との間に配置されるセカンドシート22と、により構成される。
【0027】
表面シート20は、液透過性のシートであって、吸収体4及びセカンドシート22を覆うように配置され、吸収性物品1において身体に当接するシートである。表面シート20は、通常の吸収性物品に用いられる既知の液透過性シートを用いることができる。例えば、熱可塑性繊維等で形成された不織布を用いることができる。そして、排泄物等の液体を吸収体4側に透過させる。
【0028】
表面シート20の幅方向WDにおける両側には、吸収性物品1の長手方向LDに沿うようにサイドシート21,21が配置される。サイドシート21,21は、吸収性物品1の長手方向LDにおける一部分が幅方向WD外方に向かって突出した状態となっており、後述の裏面シート30と共にウイング5L、5Rを形成する。
【0029】
サイドシート21,21は、表面シート20の幅方向WDの両側において長手方向LDに沿って略等間隔で形成される図示しないエンボス部及びホットメルト接着剤により表面シート20と接合される。詳細には、サイドシート21,21は、図2に示すように、吸収性物品1の幅方向WD内方に位置する内方の領域が折り返し端となるように表面シート20及び吸収体4に重なる部分において折り返される。サイドシート21,21は、吸収性物品1の幅方向WD外方側の端部が吸収体4の外方に延出している表面シート20に接合される。
【0030】
セカンドシート22は、表面シート20と吸収体4との間に配置される。セカンドシート22は、液透過性のシートを二つ折りにした状態で配置される。そして、セカンドシート22は、表面シート20と同様の材料で形成することができるが、表面シート20よりも密度が高くなるように形成されることが好ましい。セカンドシート22は、表面シート20よりも密度が高いことにより、表面シート20からの液移行性を高めることができる。
【0031】
表面シート20及びサイドシート21の長手方向LDにおける長さは、吸収体4の長手方向LDにおける長さよりも大きくなるように形成される。また、表面シート20の幅方向WDにおける長さは、吸収体4の幅方向WDにおける長さと同じか大きくなるように形成される。
【0032】
裏面シート部3は、吸収性物品1において防漏層を構成する。裏面シート部3は、液不透過性の裏面シート30と、吸収性物品1を固定するズレ止め部31及びウイング側ズレ止め部32L、32Rとにより構成される。裏面シート30は、例えばプラスチックフィルム等の液不透過性シートにより形成され、吸収体4において保持する排泄物等の液体が下着へ付着しないように制御する。ズレ止め部31は、裏面シート30における吸収体4が配置される面とは反対側の面に配置され、下着に粘着して該吸収性物品1を固定する。また、ウイング側ズレ止め部32L、32Rは、吸収性物品1を下着のクロッチ部分に配置した後に、ウイング5L、5Rを下着側に折り返して該吸収性物品1を下着に固定する。
【0033】
裏面シート30の長手方向LDにおける長さは、吸収体4の長手方向LDにおける長さよりも大きくなるように形成される。また、上述したように、表面シート部2を構成する表面シート20及びサイドシート21の長手方向LDにおける長さは、吸収体4の長手方向LDにおける長さよりも大きくなるように形成される。つまり、吸収性物品1の前方縁8及び後方縁9は、吸収体4が配置されず、表面シート部2、裏面シート30が長手方向LDの外方へ延出された状態となる。そして、この表面シート部2及び裏面シート30で形成される部分において吸収性物品1の外周縁に沿うようにシール部50が形成される。
【0034】
吸収性物品1の長手方向LDにおける長さは、100から500mm、好ましくは150から350mmである。また、幅方向WDにおける長さは、30から200mm、好ましくは40から180mmである。
【0035】
吸収体4は、吸収性物品1の幅方向WD中央に配置され、身体から排泄された排泄物等の液体を吸収して保持する。吸収体4の大きさは、後述の表面シート部2よりも長手方向LD及び幅方向WDにおける長さが小さくなるように形成される。
【0036】
吸収性物品1における幅方向WDの両側それぞれには、幅方向WDの外方向に突出するようにウイング5L、5Rが形成される。ウイング5L、5Rは、表面シート20の幅方向WDにおける両側において、サイドシート21と、裏面シート30の一部とにより形成される。
【0037】
そして、該吸収性物品1の外周縁に沿うようにシール部50が形成される。吸収性物品1は、ウイング5L、5Rを含めて全体として外縁が曲線で形成されることが好ましい。
【0038】
1−2.シール部
図1に示すように、シール部50は、吸収性物品1の外周縁に沿うように形成される。シール部50は、吸収性物品1の外周縁に沿うように該吸収性物品1の全周にわたって連続的又は断続的に形成される。
【0039】
シール部50は、熱エンボス処理により形成される複数の圧着部51と非圧着部52とにより構成される。
第1実施形態においては、シール部50は、複数の圧着部51と、複数の圧着部51とは異なる形状の補助圧着部55と、非圧着部52とからなる。
【0040】
圧着部51の形状は、該圧着部51における第1方向Xにおける長さが、第1方向Xに直交する第2方向Yにおける長さよりも長くなるように形成される。ここで、圧着部51の第1方向Xにおける長さとは、圧着部51の第1方向Xにおける両端部間を結んだ線分の長さをいう。また、圧着部51の第2方向Yにおける長さとは、圧着部51に対して第1方向Xに直交する直線(第2方向Yに延びる直線)をひいた場合に、圧着部51とこの第2方向Yに延びる直線とが交差してできる2つの交点間の長さが最も長い部分の長さをいう。
【0041】
また、圧着部51は、第1圧着部53と、その第2方向Y側に形成される第2圧着部54からなる。
第1圧着部53は、図1に示すように、その第1方向Xが吸収性物品1の外周縁の延びる方向に略平行になるように、吸収性物品1の略全周に亘ってそれぞれ所定間隔をあけて形成されている。また、第1圧着部53の幅方向WD内方には、第1圧着部53と所定距離をあけて、第2圧着部54が、その第1方向Xが吸収性物品1の外周縁の延びる方向に略平行になるように、吸収性物品1の略全周に亘ってそれぞれ所定間隔をあけて形成されている。即ち、複数の第1圧着部53により形成される破線状の形状と、複数の第2圧着部54により形成される破線状の形状とが吸収性物品1の略全周に亘って2列形成されている。
【0042】
そして、第1圧着部53と第2圧着部54との間に形成される非圧着部52は、吸収性物品1の外周縁の延びる方向に略平行で、かつ外周縁の延びる方向に連続して形成されている。
また、第2圧着部54は、第1圧着部53の第1方向Xにおける一方の端部から第2方向Yに延びる直線とは交差するが、その第1圧着部53の第1方向Xにおける他方の端部から第2方向Yに延びる直線とは交差しないように配置されている。即ち、第1圧着部53と第2圧着部54とは千鳥状に配置されている。
【0043】
第1実施形態においては、第1圧着部53はすべて同形状を有している。また、吸収性物品1の長手方向LD両側部に形成されている第2圧着部54aは、第1圧着部53と同形状を有している。
【0044】
第1圧着部53及び吸収性物品1の長手方向LD両側部に形成されている第2圧着部54aの形状は、図1(B)に示すように、第1方向Xにおける長さが第2方向Yにおける長さより大きくなるように形成される。また、第1圧着部53及び吸収性物品1の長手方向LD両側部に形成されている第2圧着部54aを形成する各辺又は一部の辺は曲線で形成することができる。第1実施形態においては、第1圧着部53及び吸収性物品1の長手方向LD両側部に形成されている第2圧着部54aは、その外周が曲線で形成される。第1圧着部53は第1方向Xの両端部を頂点とし、一方の端部から他方の端部へ向けて全体として蛇行した形状である。また、第1圧着部53及び吸収性物品1の長手方向LD両側部に形成されている第2圧着部54aは、第1方向Xに延びる辺が互いに略平行となるように蛇行して、第1方向Xの両端部にて頂点を形成するように交わるような形状である。
【0045】
吸収性物品1の前方縁8及び後方縁9近傍のシール部50においては、第2圧着部54bの形状は、吸収性物品1の長手方向LD両側部に形成されている第2圧着部54aの形状とは異なっている。第2圧着部54bの形状は、その第1方向Xの両端を頂点とし、第1方向Xに延びる辺は、第1方向Xにおける略中央が最も第2方向Y外方にふくらむような曲線で形成される。
【0046】
また、吸収性物品1の前方縁8及び後方縁9近傍のシール部50においては、第2圧着部54から吸収性物品1の内方側に、さらに第1圧着部53が、その第1方向Xが吸収性物品1の外周縁の延びる方向に略平行になるように、それぞれ所定間隔をあけて形成されている。そしてそのさらに吸収性物品1の内方側には第2圧着部54bが、その第1方向Xが吸収性物品1の外周縁の延びる方向に略平行になるように、それぞれ所定間隔をあけて形成されている。即ち、吸収性物品1の前方縁8及び後方縁9近傍のシール部50においては、第1圧着部53で形成される破線状の形状と、第2圧着部54bで形成される破線状の形状とが交互に計4列形成されている。
【0047】
第1実施形態においては、シール部50は、上述のように、複数の圧着部51(第1圧着部53及び第2圧着部54)とは異なる形状の補助圧着部55を有しており、この補助圧着部55は、吸収性物品1の外周縁方向に隣り合う2つの第1圧着部53,53の間、及び吸収性物品1の外周縁方向に隣り合う2つの第2圧着部54,54の間にそれぞれ形成されている。換言すれば、複数の圧着部51と複数の補助圧着部55とが、吸収性物品1の外周縁方向に交互に形成されている。
【0048】
補助圧着部55は、第1圧着部53及び第2圧着部54による表面シート部2と裏面シート30との接合を補助するものである。補助圧着部55は、第1圧着部53及び第2圧着部54とは異なり、第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとが同じ長さであってもよく、第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さのいずれかが長くてもよい。
第1実施形態においては、補助圧着部55は、吸収性物品1の長手方向LD両側部に形成されているハート型の補助圧着部55aと吸収性物品1の前方縁8及び後方縁9近傍に形成されている略円形の補助圧着部55bとからなる。
【0049】
したがって、第1実施形態においては、吸収性物品1の長手方向LD両側部においては、その外周縁側に第1圧着部53とハート型の補助圧着部55aとが交互に配された破線状の形状が形成され、その内側に第2圧着部54aとハート型の補助圧着部55aとが交互に配された破線状の形状が形成されている。
また、吸収性物品1の前方縁8及び後方縁9近傍のシール部50においては、その外周縁側から、第1圧着部53と略円型の補助圧着部55bとが交互に配された破線状の形状と、第2圧着部54bと略円型の補助圧着部55bとが交互に配された破線状の形状とが、交互に計4列形成されている。
【0050】
吸収性物品1における前方縁8及び後方縁9と、吸収性物品1の長手方向LDに沿う側縁との境界には、圧着部51の数が少ない領域が形成されている。第1実施形態においては、この前方縁8及び後方縁9と長手方向LDの側縁との境界近傍における長手方向LD側縁側には、圧着部51が一列のみ配されている領域が形成されている。
【0051】
第1圧着部53及び第2圧着部54における第1方向Xに延びる長さは、1.0から10mm、好ましくは2.0から7.0mmである。第1圧着部53及び第2圧着部54における第1方向Xに延びる長さが10mmより大きい場合には、シール部50の柔軟性が低くなったり、第1圧着部53及び第2圧着部54が占める領域の範囲内、もしくは第1圧着部53及び第2圧着部54とその周辺の非圧着部52との境界の剛性差が生じる部位が折れ起点となって端折れが生じ、それによって装着時の違和感や体液漏れが生じるおそれがある。また、第1圧着部53及び第2圧着部54は熱エンボス処理により形成されるため、熱によりその部分が溶融していたり、薄化している。このため、吸収性物品1の使用中にシール部50の部分が引っ張られた場合に破れの起点となる可能性が生じる。
【0052】
第1圧着部53及び第2圧着部54における第2方向Yに延びる長さは、0.5から2.0mm、好ましくは、0.7から1.5mmである。第2方向Yに延びる長さが0.5mmより小さい場合には、第1圧着部53及び第2圧着部54の配置パターンによっては、第1圧着部53及び第2圧着部54がいわゆるミシン目のような機能を果たし、途中で資材が切れてしまう場合がある。また、第1圧着部53及び第2圧着部54における第2方向Yに延びる長さが1.5mmより長い場合には、第1圧着部53及び第2圧着部54によって圧縮されている面積が大きくなり、風合いが低下するおそれがある。
【0053】
さらには、第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとの比は、1.7から20、好ましくは3から7である。第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとの比が1.7より小さい場合には、圧着部51の第1方向Xの長さと第2方向Yの長さとを異ならせることによって圧着部51の強度を維持しつつ風合いを向上させるという効果が得られにくくなるおそれがある。第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとの比が20より大きい場合には、第1方向Xの長さが長くなり、上述した端折れが生じやすくなったり、表面シート20が引っ張られた際に、表面シート20に破れが生じやすくなるおそれがある。
【0054】
第1方向Xにおいて隣り合う2つの第1圧着部53の間の距離は、第1圧着部53の第1方向Xにおける長さに対して好ましくは0.08から2.5である。また、隣り合う2つの第1圧着部53の間の第1方向Xにおける距離は、好ましくは0.8から5.0mm、さらに好ましくは1.0から2.5mmである。
【0055】
隣り合う2つの第1圧着部53の間の距離が0.8mmより小さい場合には、圧着部51間の間隔が狭くなって非圧着部52の剛性が高くなり、吸収性物品1の着用時の風合いを損ねるおそれがある。隣り合う2つの第1圧着部53の間の距離が5.0mmより大きい場合には、圧着部間の間隔が広くなり、非圧着部52からの体液漏れが生じるおそれがある。また、シール部50中の圧着部51の領域に比して非圧着部52の領域が大きくなることに起因して、シール部50に口開きが生じるおそれがある。
【0056】
第2方向Yにおいて隣り合う第1圧着部53と第2圧着部54との間の距離は、第1圧着部53の第2方向Yにおける長さに対して0.5から1.5が好ましい。また、第1圧着部53と第2圧着部54との第2方向Yにおける距離は、好ましくは1.0から5.0mm、さらに好ましくは1.2から2.5mmである。
【0057】
例えば、第1圧着部53のみをシール部50に形成し、第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとの比を1.7とし、長手方向LDに対する短辺の長さを0.5mmとした場合を例に挙げる。この場合、互いに隣り合う第1圧着部53間の間隔を0.5mmとして配置できる第1圧着部53の数は1.2倍となる。また、この場合、第2方向Yに延びる長さを0.5mmにしたときの長辺の長さは(0.65×0.65)÷0.5=0.845mmとなる。
【0058】
第1実施形態においては、第2方向Yにおける隣り合う圧着部51間の距離を大きくして配置することができる。このため、吸収性物品1にシール部50を柔軟に維持することができ、風合いを損ねずにかつ使用者に違和感を生じさせないようにすることができる。
【0059】
また、吸収性物品1の周縁に沿うように第1圧着部53及び第2圧着部54を配置した場合に、第2方向Yにおいて隣り合う圧着部間の距離を小さく配置することができる。このため、互いに第2方向Yにおいて隣り合う圧着部間に形成される非圧着部52により形成される折れ起点が増加して身体の湾曲に沿って変形させることができる。これにより、身体との隙間が生じることによる漏れを防止することができる。
【0060】
例えば、圧着部51において矩形状の圧着部のみが形成されるとする。そして、矩形上の圧着部一つ当たりの面積が2.25mmであるとする。矩形状の圧着部における第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとが異なる場合に同じ面積で矩形状の圧着部を形成する場合には、当該矩形状の圧着部は、例えば第1方向Xに延びる長さが2.25mm、第2方向Yに延びる長さが1.0mmとなる。また、第2方向Yに互いに隣り合う第1圧着部53間の距離が上記と同じ0.5mmとすると、第1方向Xのピッチは2.75mmとなり、第2方向Yのピッチが1.5mmとなる。
【0061】
ここで、第1方向Xのピッチとは、第1方向Xに互いに隣り合う一組の第1圧着部53におけるそれぞれの第1方向Xの中心間の距離をいう。また、第2方向Yのピッチとは、互いに隣り合う一組の第1圧着部53におけるそれぞれの第2方向Yの中心間の距離をいう。
【0062】
一方で、第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとが同じ長さの圧着部を形成する場合には、上記と同じ面積で各辺が共に1.5mm必要である。また、隣り合う当該圧着部間の距離が0.5mmとすると、互いに隣り合う圧着部間のピッチは第1方向X及び第2方向Y共に2.0mmとなる。
【0063】
このように、第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとが同じ長さの圧着部における第2方向Yのピッチよりも、第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとが異なる圧着部の方が第2方向Yのピッチが小さくなる。具体的には、第2方向Yのピッチは、1.5mmとなる。したがって、単位面積当たりの圧着部の面積を維持する場合には、第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとが異なる圧着部を形成する方が第2方向Yのピッチを広くすることができる。これにより、圧着部が形成されない領域を広くすることができ、風合いや柔らかさを維持することができる。
【0064】
また、第1方向Xに延びる長さと第2方向Yに延びる長さとが異なる圧着部の方が、第2方向Yにおいて、圧着部を配置する数を多くすることができる。単位面積当たりの圧着部の面積を容易に増やすことができるため、接合力を大きくすることができる。また、折れ起点も増加するため、シール部50における柔軟性も維持することができる。
【0065】
第1実施形態においては、圧着部51を吸収性物品1の外周縁に沿うように配置する。このため、特に前方縁8又は後方縁9において幅方向WDへの曲げに対する抵抗を高くすることができる。また、前方縁8及び後方縁9は曲線で形成されており、圧着部51もこの曲線に沿うように形成される。このため、前方縁8及び後方縁9においては、圧着部51が吸収性物品1の長手方向LD及び幅方向WDのいずれの直線上に配置されないため、折れにくくなる。
【0066】
第1実施形態においては、圧着部51の形状は、その外周が曲線となるように形成される。したがって、直線を形成するように圧着部51が配置されないため、折れ起点が分散され、装着時に吸収性物品1の端部が折れることを防止することができる。
【0067】
第1実施形態においては、第2圧着部54は、第1圧着部53の第1方向Xにおける一方の端部から第2方向Yに延びる直線とは交差するが、その第1圧着部53の第1方向Xにおける他方の端部から第2方向Yに延びる直線とは交差しないように配置されている。即ち、第1圧着部53と第2圧着部54とは千鳥状に配置されている。これにより、吸収性物品1の長手方向LD又は幅方向WDにおいて非圧着部52が第2方向Yに連続的に形成されない。特に吸収性物品1の前方縁8及び後方縁9においては、非圧着部52が吸収性物品1の長手方向LDに連続的に形成されないため、幅方向WDに折れにくくなる。吸収性物品1を拡げた状態で維持することができ、着用中に吸収性物品1がよれることを抑制する。
【0068】
第1実施形態によれば、第1圧着部53の形状において、第1方向X及び第2方向Yに延びる長さがそれぞれ異なるようにしたので、シール部50の強度や圧着部51の面積を維持した状態で圧着部51の配置パターンの選択肢を拡げ、任意に選択することができる。
【0069】
第1実施形態によれば、第1圧着部53及び第2圧着部54を構成する辺を曲線にしたり、補助圧着部55の形状をハート型等の任意の形状にすることができる。このような形状の第1圧着部53及び第2圧着部54と補助圧着部55とを交互に配置することにより、吸収性物品1の外周縁において視認性が向上する。特に曲線で形成することにより、直線で形成した場合よりも柔らかい印象を使用者に与えることができる。
【0070】
第1実施形態においては、補助圧着部55の形状をハート型、又は円形としているが、これに限らない。他の形状としては、三角形、正方形、スペード型等のトランプのマーク、星形、花形等、任意の形状に形成することができる。
【0071】
表面シート20は、液透過性を有していれば、第1実施形態のものには限られない。例えば、表面に凹凸が形成された不織布を用いることができる。この場合、凹凸のある不織布の表面に形成された凹凸をまたぐように第1圧着部53又は第2圧着部54が形成されることになる。すると、表面シート20の凹部と凸部との坪量の差により圧着部51の剥離強度が異なるが、凸部配置された圧着部51の剥離強度が強くなるように形成される。したがって、シール部50において表面シート部2又は裏面シート30が剥がれた場合に、剥離強度の強い凸部に配置された圧着部51の部分で食い止めることができ、接合されたシートが全部剥がれてしまうことを防止することができる。
【0072】
凹凸が形成された不織布としては、例えば、不織布の一面側に複数の溝部が略等間隔で並列的に形成され、複数の溝部それぞれの間に、複数の凸状部が形成されたものを用いることができ、複数の溝部それぞれには、所定間隔をあけて複数の開口部が形成されていることが好ましい。
このような複数の溝部及び複数の凸状部を有し、溝部それぞれに複数の開口部が形成された不織布は、例えば、繊維集合体である繊維ウェブを、通気性を有する網状の支持部材等により下面側から支持し、上面側から気体を噴き当てて、該繊維ウェブを構成する繊維を移動させることにより形成される。この繊維集合体はシート状であり、繊維集合体の中で繊維が移動可能な自由度を有する。繊維の繊維配向、繊維疎密又は坪量は、適宜調整される。表面シート20に溝部が形成され、溝部に開口部が設けられていることで、液透過性の良好な吸収性物品1が得られる。
また、このような不織布を表面シート20として用いる場合には、溝部の延びる方向が吸収性物品1の長手方向LDに一致するように用いられることが好ましい。溝部の延びる方向と吸収性物品1の長手方向LDを一致させることにより、排泄された体液が吸収性物品1の幅方向WDに広く拡散することを防止できる。
【0073】
なお、空気流を噴き当てて繊維を配列、再配列する場合は、比較的長繊維を使用するカード法で形成した繊維ウェブが適している。複数の空気流により溝部(凹凸化)等を形成した後に、その形状を保持したまま不織布化させるには、オーブン処理(加熱処理)で熱可塑性繊維を熱融着させるスルーエアー法が好ましい。この製法に適した繊維としては、繊維同士の交点が熱融着するために芯鞘構造、サイドバイサイド構造の繊維を使用することが好ましく、さらには鞘同士が確実に熱融着しやすい芯鞘構造の繊維で構成されていることが好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンとからなる芯鞘複合繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンとからなる芯鞘複合繊維を用いることが好ましい。これらの繊維は、単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、繊維長は20から100mm、特には35から65mmが好ましい。
【0074】
第1実施形態においては、圧着部51は、シール部50において均等となるように形成されるが、これに限らない。具体的には、ズレ止め部31又はウイング側ズレ止め部32L、32R近傍において圧着部51を他の部分よりも密になるように形成することができる。シール部50において部分的に圧着部51の単位面積を大きくすることにより、吸収性物品1の外周縁において部分的に剛性を大きくすることができる。これにより、剛性をより大きくした部分においてよれにくくすることができる。ズレ止め部31又はウイング側ズレ止め部32L、32R近傍に密になるように圧着部51を配置することにより、装着中にズレ止め部31又はウイング側ズレ止め部32L、32R同士がくっついてしまうことを防止することができる。
【0075】
第1実施形態においては、吸収性物品1における表面シート20には、セカンドシート22及び吸収体4を圧縮して接合する圧縮溝を形成してもよい。例えば、圧縮溝は、高圧縮部と低圧縮部とが交互に連続的に形成されることにより、表面シート20において線状に生成される。そして、圧縮溝は、上記各部を圧縮して接合すると共に、高圧縮部が凹部を形成することにより、排泄物等の液体が表面シート20上に広がることを防止することができる。
【0076】
第1実施形態においては、サイドシート21はいわゆるギャザーが形成されないが、ギャザーを形成してもよい。具体的には、表面シート20側において二つ折りにされた内側に糸状ゴム等所定の倍率で伸長した状態で固定する。すると、糸状ゴムが元の長さに収縮する際にサイドシート21に皺がより、ギャザーが形成される。これにより、サイドシート21が身体に沿うように立体的に立ち上がるようになり、表面シート20における防漏壁として作用する。
【0077】
第1実施形態においては、ウイング5L、5Rが形成されるが、これに限らずウイング5L、5Rは無くてもよい。吸収性物品1は、長手方向LDに縦長状の形状として形成することができる。
【0078】
2.他の実施形態
以下において他の実施形態について説明する。第2実施形態から第5実施形態は、シール部50における圧着部51の形状又は配置において第1実施形態と異なる。なお、以下においては、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。また、第1実施形態と同様の部分は同じ番号を付しており、特に説明のない部分は、第1実施形態と同様である。
【0079】
2−1. 第2実施形態
図3に示すように、第2実施形態における吸収性物品1は、吸収性物品1の外周縁に沿うように形成されるシール部50における圧着部51の形状及び配置パターンが異なる。
【0080】
第2実施形態の圧着部51は、図3に示すように、すべて、その第1方向Xが吸収性物品1の幅方向WDに沿うように配置されている。即ち、圧着部51は、第1方向Xに延びる辺が吸収性物品1の長手方向LDに略直交するように配置されている。圧着部51は、その外周が直線で形成され、矩形状である。そして、第2方向Yに隣り合う圧着部51は、互いに直列的に配置される。つまり、圧着部51は第2方向Yにおいて互いに同じ位置に並ぶように配置される。したがって、非圧着部52は、吸収性物品1の長手方向LDに略平行に線状に形成される。
【0081】
また、第1方向Xにおいて互いに隣り合う圧着部51も、第1方向Xにおいて互いに同じ位置に並ぶように配置される。したがって、非圧着部52は、第1方向Xにおいても吸収性物品1の幅方向WDに略平行になるように線状に形成される。
【0082】
圧着部51は、吸収性物品1の外周縁における全周に形成される。圧着部51は、吸収性物品1の長手方向LDに沿う側縁においても、前方縁8及び後方縁9近傍の領域においても第1方向Xに延びる辺が吸収性物品1の幅方向WDに略平行となるように配置される。
【0083】
圧着部51は、第2方向Yに延びる長さが小さいため、シール部50に形成する際に第2方向Yに隣り合う他の圧着部51とのピッチを拡げることができる。このため、吸収性物品1の外周縁に沿う領域の剛性を小さくすることができ、当該領域の風合いを維持し、使用者に違和感が生じることを低減させることができる。
【0084】
また逆に、第2方向Yに延びる辺が長手方向LDに略平行となるように形成され、矩形状の圧着部51における短辺が長手方向LDに略平行となるように配置される。これにより、長手方向LDのピッチを小さくして圧着部51を形成ことができ、単位面積当たりに形成する圧着部51を長手方向LDにおいて密に形成することができる。
【0085】
このため、吸収性物品1の外周縁に沿うように形成されるシール部50には、長手方向LDに折れ起点が増加するため、吸収性物品1全体が長手方向LDに対して湾曲した場合に、その外周縁においても身体の湾曲に沿うように変形することができる。そして身体の湾曲に沿うように変形できることにより、身体との隙間を無くし、漏れを防ぐことができる。
【0086】
2−2. 第3実施形態
図4に示すように、第3実施形態における吸収性物品1は、第1実施形態に比して、吸収性物品1の外周縁に沿うように形成されるシール部50における圧着部51の形状及び配置パターンが異なる。なお、第3実施形態における圧着部51の形状は、第2実施形態における圧着部51と同様である。また、形状が略同一の圧着部51が複数形成される。
【0087】
圧着部51は、ウイング5L、5Rを含む吸収性物品1の長手方向LDに沿う側縁に形成されるシール部50においては、第2実施形態と同様に、圧着部51の第1方向Xが幅方向WDに略平行となるように形成される。
【0088】
一方、吸収性物品1における前方縁8及び後方縁9の形状に沿うように形成されるシール部50においては、圧着部51は、その第1方向Xに延びる辺が、吸収性物品1の外縁形状に沿うように形成される。そして、所定の圧着部51の第2方向Yに隣り合う他の圧着部51は、所定の圧着部51に対して直列的に配置される。つまり、第2方向Yに隣り合う圧着部51における第1方向Xに延びる辺は、互いに平行になるように配列し、かつ第2方向Yに延びる辺は、他の第2方向Yに延びる辺の延長線上になるように配置される。
【0089】
このように、圧着部51における第1方向Xが、吸収性物品1の外周縁の形状に沿うように形成されることにより、前方縁8及び後方縁9近傍のシール部50において圧着部51が幅方向WDに直線上に配列されない。つまり、非圧着部52は、吸収性物品1における前方縁8又は後方縁9側の端部において、吸収性物品1の幅方向WDに連続する直線状に形成されない。このため、吸収性物品1における前方縁8又は後方縁9側の端部において、長手方向LDの曲げに対する抵抗が高くなり、長手方向LDにおける曲げ起点となりにくくすることができる。したがって、装着時等において吸収性物品1の前方縁8端部又は後方縁9端部が折れることにより、折れた部分の角が身体に当たって痛み等の違和感が生じるのを抑制することができる。
【0090】
2−3. 第4実施形態
図5に示すように、第4実施形態における吸収性物品1は、第1実施形態に比して吸収性物品1の外周縁に沿うように形成されるシール部50における圧着部51の形状及び配置パターンが異なる。なお、第4実施形態における圧着部51の形状は、第2実施形態における圧着部51と同様である。また、シール部50においては、形状が略同一の圧着部51が複数形成される。
【0091】
圧着部51は、ウイング5L、5Rを含む吸収性物品1の長手方向LDに沿う側縁に形成されるシール部50においては、第2実施形態と同様に、圧着部51は、第1方向Xが幅方向WDに略平行となるように形成される。
【0092】
また、吸収性物品1の前方縁8及び後方縁9近傍に形成されるシール部50においても、圧着部51は、第1方向Xが吸収性物品1の幅方向WDに略平行となるように形成される。
【0093】
さらに、シール部50に形成される複数の圧着部51のうち所定の圧着部51は、第2方向Yにおいて隣り合う他の圧着部51の第1方向Xにおける一方の端部から第2方向Yに延びる直線と交差するように配置される。また、複数の圧着部51のうち所定の圧着部51は、第2方向Yにおいて隣り合う他の圧着部51の第1方向Xにおける他方の端部から第2方向Yに延びる直線とは交差しない。つまり、所定の圧着部51における第2方向Yに延びる辺の延長線上に、常に第2方向Yにおいて隣り合う他の圧着部51における第1方向Xに延びる辺が交わるような関係で、複数の圧着部51が配置される。なお、所定の圧着部51における第2方向Yに延びる辺の延長線上に、他の圧着部51の第1方向Xに延びる辺の略中央が配置されることが好ましい。
【0094】
したがって、圧着部51は、吸収性物品1の長手方向LDに直線的に配置されない。また、長手方向LDに連続した非圧着部52が形成されない。このため、吸収性物品1が幅方向WDに折れることを防止し、吸収性物品1は拡げられた状態で維持されるため、吸収性物品1の装着中によれることを防止する。また、長手方向LDに連続した非圧着部52が形成されないため、特に吸収性物品1の前方縁8側及び後方縁9側端部において、体液が流れる方向に対して隙間が無くなるため、漏れを防止することができる。
【0095】
2−4. 第5実施形態
図6に示すように、第4実施形態における吸収性物品1は、吸収性物品1の外周縁に沿うように形成されるシール部50における圧着部51の配置パターンが異なる。
【0096】
なお、第5実施形態における圧着部51の形状は、第1実施形態における第1圧着部53と同様である。また、シール部50においては、形状が略同一の圧着部51が複数形成される。また、圧着部51の配置パターンは、第4実施形態における圧着部51の配置パターンと同様である。
【0097】
第5実施形態においては、圧着部51の形状は、該圧着部51を形成する外縁がすべて曲線で構成された形状である。また、非圧着部52が吸収性物品1の長手方向LDに沿うように連続的に直線状に形成されない。つまり、圧着部51の第2方向Yへ延びる辺の延長線上には、第2方向Yに隣り合う他の圧着部51における第1方向Xに延びる辺が配置されるように複数の圧着部51が配置される。
【0098】
本実施形態において、圧着部51の形状は曲線により構成されるため、シール部50において直線で構成された領域が存在しないこととなる。したがって、吸収性物品1の長手方向LDへ曲がる折れ起点を分散させることができ、シール部50の触感をよくすることができる。さらには、吸収性物品1の装着中に、特に前方縁8又は後方縁9近傍のシール部50が折れてしまうことを防止することができる。
【符号の説明】
【0099】
LD 長手方向
WD 幅方向
X 第1方向
Y 第2方向
1 吸収性物品
2 表面シート部
3 裏面シート部
4 吸収体
5L、5R ウイング
8 前方縁
9 後方縁
20 表面シート
21 サイドシート
30 裏面シート
33 セカンドシート
50 シール部
51 圧着部
52 非圧着部
53 第1圧着部
54 第2圧着部
55 補助圧着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が液透過性のシートを有する表面シート部と、液不透過性のシートを有する裏面シート部と、前記表面シート部と裏面シート部との間に配置される液保持性の吸収体と、を備える縦長状の吸収性物品であって、
該吸収性物品の外周縁には、前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合する接合領域が、前記外周縁に沿うように前記吸収性物品の外周縁の全周にわたって形成され、
前記接合領域の全部又は一部には、複数の圧着部が形成され、
前記複数の圧着部それぞれは、第1方向における長さが、前記第1方向に直交する第2方向における長さよりも長くなるよう形成され、
前記複数の圧着部における全部又は一部は、前記第1方向が、前記吸収性物品の長手方向に略直交するように形成される吸収性物品。
【請求項2】
前記複数の圧着部それぞれは、第1方向における長さが、前記第2方向における長さに対して1.7から20である請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記複数の圧着部それぞれは、前記第1方向における長さが1.0から10mmであり、前記第2方向における長さが0.5から2.0mmである請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
該吸収性物品の長手方向における端部側に形成される前記複数の圧着部における全部又は一部それぞれは、前記第1方向が前記長手方向に略直交するよう形成される請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記複数の圧着部それぞれは、略同じ形状である請求項1から4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記外周縁における所定位置には、前記接合領域が形成されない又は前記複数の圧着部が少ない領域が形成される請求項1から5のいずれかに記載の吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−179436(P2012−179436A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141857(P2012−141857)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2007−138221(P2007−138221)の分割
【原出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】