説明

吸収性物品

【課題】真珠粉の奏する着用者の皮膚への良効果を十分に発揮する。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品1は、液透過性の表面シート11と、液不透過性の裏面シート12と、前記表面シート11と前記裏面シート12との間に配置される吸収体2とを有し、表面シート11の肌当接面側には、親水性樹脂と乳酸カルシウムとの混合物が塗布されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、天然の真珠を粉末状にした真珠粉をセルロース繊維に練り込んで、スパンレース法によって製造される不織布が開示されている。
【0003】
この不織布の表面は、平滑で真珠のような光沢がある。また、この不織布は、多種のアミノ酸、微量元素を含有しており、皮膚との親和性がよく、皮膚への栄養供給機能を有する。また、この不織布は、清涼感、抗菌、消臭、かゆみ止め、紫外線抵抗、皮膚の保湿、解毒作用、炎症除去などの種々の効果を奏すると考えられているため、吸収性物品の表面材料、マスクシートなどの衛材分野へ応用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】CN101629358A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の不織布によれば、着用者の皮膚に対して様々な良効果を奏することができるが、上述の不織布は、不織布を構成する繊維に真珠粉が練り込まれているため、肌と真珠粉との接触機会が少なく、添加した真珠粉の効果を十分に発揮することができない。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、真珠粉の奏する着用者の皮膚への良効果を十分に発揮できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、少なくとも前記表面シートの肌当接面側には、親水性樹脂と乳酸カルシウムとの混合物が塗布されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、真珠粉の奏する着用者の皮膚への良効果を十分に発揮できる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の断面図である。
【図3】本発明の変更例1に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。例えば、本実施形態に係る吸収性物品1は、パンティライナーや失禁パッドや生理用ナプキン等である。
【0011】
本実施形態に係る吸収性物品1は、液透過性の表面シート11と、液不透過性の裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12との間に配置される吸収体2とを有する。なお、本実施形態に係る吸収性物品1において、表面シート11と吸収体2との間に、セカンドシートが配置されていてもよい。
【0012】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図を示す。
【0013】
吸収体2は、粉砕パルプ及び高分子吸収ポリマーと両者を包み込むコアラップとによって構成されている。ここで、高分子ポリマーは、ポリアクリル酸をナトリウムにより部分中和した架橋体の粒状のポリマーである。
【0014】
また、コアラップは、液体を吸収する任意の材料のシートである。例えば、コアラップとして、ティッシュを用いてもよいし、親水性繊維や粉砕パルプをエアレイド法によってシート状にしたエアレイドシートを用いてもよい。
【0015】
また、本実施形態に係る吸収性物品1には、図1に示すように、複数の圧搾溝21、22、23が設けられていてもよい。ここで、圧搾溝及21、22、23は、表面シートから吸収体までを圧搾するように構成されている。
【0016】
また、本実施形態に係る吸収性物品1は、図1に示すように、吸収性物品1の幅方向Wの両外側に延出するように形成されている1対のウィング部41を有していてもよい。さらに、本実施形態に係る吸収性物品1は、吸収性物品1の長手方向Lにおいて、ウィング部41の後方に、1対のヒップフラップ部42を有していてもよい。
【0017】
ここで、ウィング部41及びヒップフラップ部42では、裏面シートの衣服当接面側に、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤43が塗布されている。
【0018】
着用者は、吸収性物品1を下着に着用する際に、ウィング部41を下着のクロッチに巻き込み、ヒップフラップ部42を下着の上に広げて、吸収性物品1を下着に固定する。
【0019】
本実施形態に係る吸収性物品1の表面シート11の肌当接面側には、親水性樹脂と乳酸カルシウムとの混合物が塗布されている。
【0020】
例えば、乳酸カルシウムは、液状の親水性樹脂に分散された状態で表面シート11の肌当接面側に塗布されている。
【0021】
常温で液状の親水性樹脂として、例えば、分子量1500以下のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、1−3ブタンジオール等が挙げられる。このように、常温で液状の親水性樹脂には、乳酸カルシウムを直接分散させることができる。
【0022】
また、乳酸カルシウムは、親水性樹脂の水溶液に分散された状態で表面シート11の肌当接面側に塗布されていてもよい。
【0023】
例えば、分子量1500以上のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどの水溶液に乳酸カルシウムが分散したものが、表面シート11の肌当接面側に塗布されていてもよい。親水性樹脂の水溶液に乳酸カルシウムを分散させたものは、塗布後に、水分が蒸発して、固相となった親水性樹脂に乳酸カルシウムが分散された状態で付着する。
【0024】
本実施形態では、乳酸カルシウムは、表面シート11の全面に塗布されている。なお、下着のクロッチに巻き込まれるウィング部41には、乳酸カルシウムが塗布されていなくてもよい。
【0025】
乳酸カルシウムは、真珠由来の炭酸カルシウムから生成されたものであり、粉砕された真珠に乳酸を加えることにより生成される。難溶性の炭酸カルシウムは、乳酸カルシウムに変化させられることにより、水に可溶となる。
【0026】
乳酸カルシウムの生成方法は、特開2005−2041号公報に記載された方法を適用することができる。
【0027】
真珠由来の炭酸カルシウムの奏する良効果としては、多種のアミノ酸、微量元素を含有することによる皮膚への栄養供給機能、清涼感、抗菌、消臭、かゆみ止め、紫外線抵抗、皮膚の角質層への保湿効果、解毒作用、炎症除去、血液浄化作用と血液粘度低下、血中脂肪を低減し血液循環を改善することによる皮膚の老化防止効果、及びニキビ、湿疹等の予防効果などの種々の効果が考えられている。
【0028】
吸収性物品の表面シート11に乳酸カルシウムを塗布した場合には、特に、生理不順改善、出血量のばらつきの低減、抗菌、消臭、かゆみ止め、清涼感などの効果を奏することができる。
【0029】
本実施形態に係る吸収性物品1によれば、装着時に着用者の汗又は体液により、水溶性成分である親水性樹脂とともに乳酸カルシウムが溶解し、着用者の肌へ付着し易くなることにより、カルシウムの人体への吸収率を高めることができる。
【0030】
本実施形態に係る吸収性物品1では、乳酸カルシウムが表面シート11の肌当接面側に塗布されている場合について説明したが、乳酸カルシウムが塗布される位置は、着用者の肌に接することができる位置であればよく、表面シート11の肌当接面側に限定されない。
【0031】
例えば、乳酸カルシウムは、吸収体2の内部、セカンドシートの表面シート11側又は吸収体2側、裏面シート12の吸収体側の表面などに塗布されていてもよい。乳酸カルシウムは、水溶性を有するため、吸収体2に体液が吸収されることによって流出し、着用者の肌に達し、上述した良効果を奏することができる。
【0032】
(変更例1)
以下、図2を参照して、本発明の変更例1に係る吸収性物品1について、上述の第1の実施形態に係る吸収性物品1との相違点に着目して説明する。
【0033】
図2に示すように、本変更例1に係る吸収性物品1では、吸収性物品1の長手方向Lに沿った両側縁部10に防漏壁3が設けられている。
【0034】
本変更例1に係る吸収性物品1では、乳酸カルシウムは、両側縁部10に設けられている防漏壁3に塗布されている。
【0035】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0036】
1…吸収性物品
2…吸収体
10…両側縁部
11…表面シート
12…裏面シート
21、22、23…圧搾溝
3…防漏壁
41…ウィング部
42…ヒップフラップ部
43…粘着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、
少なくとも前記表面シートの肌当接面側には、親水性樹脂と乳酸カルシウムとの混合物が塗布されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記乳酸カルシウムは、前記吸収性物品の長手方向に沿った両側縁部に設けられている防漏壁に塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−75655(P2012−75655A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223251(P2010−223251)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】