説明

吸引機付きホッパ

【課題】メンテナンス性に優れ、コンパクトで安価な吸引機付きホッパを提供することである。
【解決手段】ホッパ1の投入口に、ばら状の輸送物を吸引輸送する回転式吸引機2と、輸送物を輸送空気と分離する回転式セパレータ3とを並べて配設し、これらをモータ4により同一の回転軸5で回転駆動することにより、回転式セパレータ3用の別途の回転駆動装置を不要にするとともに、高さ寸法の低い設計を可能とし、メンテナンス性に優れ、コンパクトで安価な吸引機付きホッパを提供できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気輸送されるばら状の輸送物が投入され、輸送空気をセパレータで分離するようにしたホッパに関するものである。ばら状の輸送物としては、刈草、穀物、各種粉粒体等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
空気輸送されるばら状の輸送物が投入され、輸送空気をセパレータで分離するようにしたホッパとしては、セパレータにバグフィルタを用いたもの(例えば、特許文献1参照。)や、サイクロンを用いたもの(例えば、特許文献2参照。)がある。この他にも、セパレータとしては固定スクリーンや回転式セパレータ等を用いることが考えられる。
【0003】
これらのセパレータには、それぞれ長所短所があり、バグフィルタやサイクロンは高さ寸法が大きくなるので、コンパクトな設計を要求されるものには不向きである。固定スクリーンは、コンパクトな設計が可能であるが、目詰まりを生じやすいのでメンテナンスに手間がかかる。また、回転式セパレータは、バグフィルタやサイクロンよりもコンパクトな設計が可能で目詰まりも生じ難いが、回転駆動装置を別途に必要とする。
【0004】
一方、輸送空気流の発生手段としては、コンプレッサ等で圧縮空気を供給する手段と、吸引機で吸引空気流を発生させる手段とがあるが、吸引機を用いる方が安価でコンパクトな設計が可能である。
【0005】
【特許文献1】特開平6−278866号公報(第2頁、第1−2図)
【特許文献2】特開平9−206693号公報(第2−4頁、第1−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、メンテナンス性に優れ、コンパクトで安価な吸引機付きホッパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、空気輸送される輸送物が投入され、輸送空気をセパレータで分離するようにしたホッパにおいて、前記ホッパの投入口に、前記輸送物を吸引輸送する回転式吸引機を設け、前記セパレータを回転式セパレータとして前記回転式吸引機と並べて配設し、これらの回転式吸引機と回転式セパレータとを同一軸で回転駆動する構成を採用した。
【0008】
すなわち、輸送空気流の発生手段として回転式吸引機を用い、セパレータを回転式セパレータとしてこの回転式吸引機と並べて配設し、これらの回転式吸引機と回転式セパレータとを同一軸で回転駆動することにより、回転式セパレータ用の別途の回転駆動装置を不要にするとともに、高さ寸法の低い設計を可能とし、コンパクトで安価な吸引機付きホッパを提供できるようにした。この吸引機付きホッパは、回転式セパレータが目詰まりし難く、かつ、回転駆動部も1つだけであるので、メンテナンス性も優れている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸引機付きホッパは、輸送空気流の発生手段として回転式吸引機を用いるとともに、セパレータを回転式セパレータとして回転式吸引機と並べて配設し、これらの回転式吸引機と回転式セパレータとを同一軸で回転駆動するようにしたので、回転式セパレータ用の別途の回転駆動装置が不要であり、メンテナンス性が優れ、かつ、コンパクトで安価な設計とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図1乃至図7に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図6は、第1の実施形態を示す。この吸引機付きホッパは、図1および図2に示すように、ホッパ1の投入口に、ばら状の輸送物を吸引輸送する回転式吸引機2と、輸送物を輸送空気と分離する回転式セパレータ3とを並べて配設し、これらをモータ4により同一の回転軸5で回転駆動するようにしたものである。
【0011】
前記回転式吸引機2は、輸送物を輸送空気と一緒に吸引する吸引口6aを有し、下方がホッパ1の投入口に開口するケーシング6に、回転軸5で回転する羽根車7を組み込んだものである。図3に示すように、羽根車7はリング7aの外周に等間隔で複数の羽根7bを取り付け、その軸方向両端を円板7cで固定したものである。
【0012】
前記回転式セパレータ3は、分離した輸送空気を排出する排風口8aを側部に有し、図4に示すように、下方がホッパ1の投入口に開口するケーシング8に、回転軸5で回転する回転スクリーン9を組み込んだものである。回転スクリーン9は回転軸5の先端に円板9aを取り付け、この円板9aに円筒状スクリーン9bを固定したものであり、円筒状スクリーン9bの一端は、円形の排風口8aに連通している。
【0013】
図5(a)、(b)、(c)は、前記円筒状スクリーン9bの例を示す。(a)は円筒状の金網を用いたもの、(b)はパイプに多数の小孔を形成したもの、(c)はパイプに複数のスリットを形成したものである。
【0014】
図6は、上述した吸引機付きホッパを、車両Aに車載された刈草の圧縮成形装置用のホッパ1に採用した例を示す。この刈草の圧縮成形装置は、ホッパ1に投入される刈草を定量ずつ供給する定量供給機10と、定量供給機10から供給される刈草を圧縮成形する圧縮成形機11とで基本的に構成され、圧縮成形機11のノズル11aから押し出される棒状の圧縮成形物がカッタ12で定寸に切断されるようになっている。車両Aには、発電機や制御盤等の付帯設備13も搭載されている。本発明に係る吸引機付きホッパは、高さ寸法をコンパクトに設計できるので、このような車載式の装置にも好適に採用することができる。
【0015】
前記吸引機付きホッパの回転式吸引機2の吸引口6aにはホース14が接続され、野積みされた刈草がこのホース14から空気と一緒に吸引される。この吸引でホース14から空気輸送された刈草は、回転式セパレータ3で輸送空気と分離されてホッパ1内に落下し、輸送空気は排風口8aから排出される。したがって、この吸引機付きホッパを採用した車載式の刈草圧縮成形装置は、ホース14の先端を野積みされた刈草の位置に移動させるのみで、各所に野積みされた刈草を簡単にホッパ1へ投入することができる。
【0016】
図7は、第2の実施形態を示す。この吸引機付きホッパは、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、回転式セパレータ3が、前記回転スクリーン9の替りに、分級羽根車15を備えている点のみが異なる。この分級羽根車15は、回転軸5の先端に取り付けられた円板15aに、円周方向等間隔で分級羽根15bの一端を取り付け、その排風口8a側の他端を環状円板15cで固定したものである。したがって、この回転式セパレータ3は、輸送物を輸送空気と分離するとともに、その細かさのサイズで分級することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態の吸引機付きホッパを示す縦断面図
【図2】図1の平面図
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図
【図5】a、b、cは、それぞれ図1の円筒状スクリーンの例を示す斜視図
【図6】図1の吸引機付きホッパを採用した車載式の刈草圧縮成形装置を示す切欠き縦断面図
【図7】第2の実施形態の吸引機付きホッパを示す縦断面図
【符号の説明】
【0018】
1 ホッパ
2 回転式吸引機
3 回転式セパレータ
4 モータ
5 回転軸
6 ケーシング
6a 吸引口
7 羽根車
7a リング
7b 羽根
7c 円板
8 ケーシング
8a 排風口
9 回転スクリーン
9a 円板
9b 円筒状スクリーン
10 定量供給機
11 圧縮成形機
11a ノズル
12 カッタ
13 付帯設備
14 ホース
15 分級羽根車
15a 円板
15b 分級羽根
15c 環状円板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気輸送される輸送物が投入され、輸送空気をセパレータで分離するようにしたホッパにおいて、前記ホッパの投入口に、前記輸送物を吸引輸送する回転式吸引機を設け、前記セパレータを回転式セパレータとして前記回転式吸引機と並べて配設し、これらの回転式吸引機と回転式セパレータとを同一軸で回転駆動するようにしたことを特徴とする吸引機付きホッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−131392(P2006−131392A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324912(P2004−324912)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】