説明

吸気ホース

【課題】添加剤を少量とした場合であっても、高い耐油性及び高い機械的強度を有する内燃機関の吸気系に配される吸気ホースの提供。
【解決手段】内燃機関の吸気系に配される吸気ホース1にエラストマー組成物を含有させ、エラストマー組成物には、エラストマー樹脂と前記エラストマー樹脂中に分散しているナノカーボンとを含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車エンジン等の内燃機関の吸気系に設置する吸気ホースに関する。より詳細には、ナノカーボンを混練した吸気ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジンの等の内燃機関の吸気系において、空気を取り入れる吸気口と、取り入れた空気中より塵、埃等を除去するためのエアクリーナーとの間に配されるクールエアダクト(吸気ダクト)や、該エアクリーナーとインテークマニホルド(吸気マニホルド)との間に配されるエアクリーナーホースが用いられている。これらの吸気ホースは一般的に、合成樹脂、加硫ゴム等よりなる筒状の成形品である。
【0003】
吸気ホースは、その使用環境に鑑み十分な耐熱性、機械的強度及び耐油性が必要とされる。殊に吸気ホースとしての使用においては、更に所定の耐負圧性が要求される。耐負圧性を表す指標としてはJIS6251に規定される100%応力(100%モジュラス)が使用され、この100%応力が3.0MPa以上であれば、前記吸気ホースとして使用するに十分であることが経験的に知られている。
【0004】
エチレンプロピレンジエンコーポリマーゴム100重量部に対して少なくとも250〜300重量部の範囲のカーボンブラック、炭酸カルシウム等の充填材を混合することで耐負圧性及び耐油性を有するエアクリーナーホースが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−295743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、添加剤を少量とした場合であっても、高い耐油性及び高い機械的強度を有する吸気ホースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、エラストマー樹脂と前記エラストマー樹脂中に分散しているナノカーボンとを含有するエラストマー組成物を含有してなる、内燃機関の吸気系に配される吸気ホースである。
【0008】
本発明(2)は、前記ナノカーボンが、カーボンナノチューブである、前記発明(1)の吸気ホースである。
【0009】
本発明(3)は、前記エラストマー組成物は、耐燃料油体積膨潤試験において体積膨潤率が、150%以下である、前記発明(1)又は(2)の吸気ホースである。
【0010】
本発明(4)は、前記エラストマー組成物は、25℃での100%モジュラスが、3.0MPa以上である、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの吸気ホースである。
【0011】
本発明(5)は、前記エラストマー組成物は、150℃での100%モジュラスが、3.0MPa以上である、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの吸気ホースである。
【0012】
本発明(6)は、空気の流路を有する筒形状の本体と、
前記本体の少なくとも一部に形成された蛇腹部を有する、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つの吸気ホースである。
【0013】
本発明(7)は、前記本体の両端に、配管に接続するための端部を更に有する、前記発明(6)の吸気ホースである。
【0014】
本発明(8)は、エラストマー樹脂と前記エラストマー樹脂中に分散しているナノカーボンとを含有する内燃機関の吸気系に配される吸気ホース用エラストマー組成物である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吸気ホースによれば、エラストマー樹脂の添加剤として、ナノカーボンを選択することで、少量添加であっても、高い耐油性、機械的強度を与えることができる。
【0016】
さらに、本発明では、ナノカーボンを添加することにより高い機械的強度がえられるため、本発明に係る吸気ホースは、薄肉化を可能とし、その結果、吸気ホースの軽量化が可能となる。
【0017】
吸気ホースは、耐油性に加えて、吸気系に用いられる際にエンジンからの熱風に晒されることから、高温での低伸張応力の向上も要求されている。このため、材料をさらに高剛性化することで高温でのモジュラス(弾性)を保持させるなどの試みがなされているが、硬度の上昇や振動吸収性の低下などを招き、十分な効果が得られているとは言いがたかった。しかし、本発明によれば、エラストマー樹脂にナノカーボンを添加することで、高温においても高いモジュラスを示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の吸気ホースの一態様である。
【図2】本発明の吸気ホースを使用する一態様である。
【図3】低伸張モジュラス試験の結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の吸気ホースは、自動車エンジン等の内燃機関の吸気系に設置され、エラストマー樹脂と、前記エラストマー樹脂中に分散しているナノカーボンとを含有するエラストマー組成物を含有してなる。尚、本発明に係る吸気ホースとは、内燃機関の吸気系に使用されるものであれば、特に限定されないが、例えば、内燃機関の吸気口と、エアクリーナーを結ぶクールエアダクト(吸気ダクト)や、エアクリーナーとインテークマニホルドを結ぶエアクリーナーホース等の内燃機関用吸気ホースを意味する。
【0020】
エラストマー組成物は、添加剤としてナノカーボンを選択することによって、高い耐油性向上効果が得られ、更に、高い機械的強度向上効果が得られる。したがって、添加剤を少量添加したエラストマー組成物を用いた場合であっても、十分に高い耐油性及び機械強度を得ることができる。
【0021】
上記効果は、特に、吸気ホースの軽量化において顕著な効果を発揮する。エラストマー組成物の強度を従来よりも高めることが可能であるため、吸気ホースを薄肉化できる。更に、添加剤の量を減らしても高い強度が得られるため、吸気ホースに使用されるエラストマー組成物が低比重となる。吸気ホースによれば、これらの薄肉化、材料の低比重化の両作用によって、顕著な軽量化が可能となる。以下、本発明に係る各構成について詳細に説明する。
【0022】
(エラストマー組成物)
本発明の吸気ホースは、エラストマー組成物を含有する。エラストマー組成物は、エラストマー樹脂と、エラストマー樹脂中に分散したナノカーボンを含有する。
【0023】
ナノカーボン
本発明のエラストマー組成物に用いられる「ナノカーボン」とは、その材料の形状において、一辺が1000nm以下(好適には500nm以下)の大きさを有するカーボンを意味し、例えば、カーボンナノチューブ(単層・二層・多層タイプ、カップスタック型)、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン又はフラーレンを挙げることができる。これらのナノカーボンの中でも、カーボンナノチューブが好適である。カーボンナノチューブを使用することによって、特に顕著な、耐油性向上効果及び機械的強度向上効果が得られる。カーボンナノチューブは、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)であっても、マルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)であってもよい。カーボンナノチューブの長さは、0.1〜100μmが好適であり、0.1〜50μmがより好適であり、0.1〜20μmが更に好適である。カーボンナノチューブの直径は、5〜200nmが好適であり、8〜160nmがより好適であり、9〜120nmが更に好適である。尚、当該チューブの長さ、直径は、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、所定範囲内に存在する100個以上の構造体について測定し、90%以上の個数が入る範囲とする。
【0024】
本発明の吸気ホースに用いられるエラストマー組成物における構成比は、エラストマー樹脂100重量部に対して、好ましくはナノカーボン10〜50重量部、より好ましくは15〜30重量部、さらに好ましくは18〜25重量部である。当該範囲では、エラストマー組成物の耐油性及び機械強度を高めることができる。特に、実施例で示されるようにカーボンナノチューブは、添加量を多くすればするほど、耐油性及び機械的強度を向上させることが出来る傾向にある。
【0025】
エラストマー樹脂
本発明のエラストマー組成物に用いられるエラストマー樹脂としては、天然ゴム及び合成ゴム、熱可塑性エラストマーのいずれも好適に用いられる。合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエン(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)及びエチレン−プロピレン−ジエンコーポリマーゴム(EPDM)等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマーが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーの中でも、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーが好適である。スチレン系エラストマーとしては、ポリスチレン−ポリオレフィンブロック共重合体が挙げられる。より具体的には、ポリスチレン‐ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック(SEP)、ポリスチレン‐ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック‐ポリスチレン(SEPS)、ポリスチレン‐ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック-ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン‐ポリ(エチレン‐エチレン/プロピレン)ブロック‐ポリスチレン(SEEPS)が挙げられる。オレフィン系エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)が挙げられる。以上のエラストマーの中でも好ましくは、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンコーポリマーゴム(EPDM)であり、より好ましくは、エチレン−プロピレン−ジエンコーポリマーゴム(EPDM)である。これらのゴムは単独でも、二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0026】
任意成分
本発明の吸気ホースに用いられるエラストマー組成物には、任意成分として、例えばガラス繊維、その他無機・有機系各種フィラー類等を含有することができる。また樹脂・ゴム工業で一般的に用いられている各種添加剤を用いることができる。例えば、加硫剤、加硫助剤、酸化・老化防止剤、着色剤、加工助剤等が挙げられる。これらの添加剤の含有量は、エラストマー樹脂100重量部に対し、0.5〜30重量部が好適であり、10〜30重量部がより好適である。
【0027】
本発明において用いられるエラストマー組成物は、軟化剤を添加することが特に好適である。軟化剤としては、例えば、オイルが挙げられる。エアクリーナーホースに用いられる場合には、カーボンで補強することで、高くなった硬度を落とため、成型加工性の改善の目的で軟化剤が加えられる。軟化剤のオイルとしては、特に限定されず、鉱物油系、植物油系、合成系などの各種オイルを使用することができる。鉱物油系オイルとしては、例えば、ナフテン系、パラフィン系等のプロセス油が挙げられる。植物油系オイルとしては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油等が挙げられる。これらの軟化剤の含有量は、エラストマー樹脂100重量部に対し、1〜150重量部が好適である。
【0028】
本発明のエアクリーナーホースに用いられるエラストマー組成物には、ナノカーボン以外にも、カーボンブラックや、シリカ、アルミナ等の補強用充填材を用いることができる。本発明においては、この補強用充填材は、例えば、前記エラストマー樹脂100重量部に対し、それぞれ1〜250重量部の範囲で配合してもよい。
【0029】
本発明に係る吸気ホースに用いられるエラストマー組成物は、公知の方法により製造することができ、例えば、混練によってエラストマー樹脂とナノカーボンを混合することができる。ここで、混練は、ニーダー、ラボプラストミル、ロール等の周知の混練装置を用いて行うことができる。製造するに際しては、エラストマー樹脂及びナノカーボンに対して、軟化剤、加硫剤及び加工助剤を混合してもよい。また必要に応じて加硫促進剤、老化防止剤及び/又は安定剤等を混合してもよい。
【0030】
本発明に係る吸気ホースに用いられるエラストマー組成物は、25℃での100%モジュラスが、3.0MPa以上であることが好適である。当該範囲のエラストマー組成物を使用することによって、吸気ホースとして十分な耐負圧性を得ることができる。上限値は特に限定されないが、例えば、10MPaである。「100%モジュラス」とは、JISダンベル状3号形サンプルを用意し、JISK6251に準拠して、引張試験を行い、100%の歪における引張応力を測定した値である。
【0031】
エラストマー組成物は、150℃での100%モジュラスが、3.0MPa以上であることが好適である。当該範囲のエラストマー組成物を使用することによって、エンジンの近隣などの高温環境下で使用される吸気ホースとして十分な耐負圧性を得ることができる。上限値は特に限定されないが、例えば、10MPaである。
【0032】
エラストマー組成物は、耐燃料油体積膨潤試験において体積膨潤率が、150%以下であることが好適である。尚、下限値は、特に限定されないが、例えば、0%(あるいは80%)である。ここで、耐燃料油体積膨張試験とは、実施例に記載された試験方法である。
【0033】
エラストマー組成物の硬度は、60〜80が好適である。尚、ここで硬度とは、JISK 6253に準拠したデュロメータ硬さ試験(タイプA)の測定により得られる値である。
【0034】
本発明の吸気ホースは、単層であってもよく、二層以上重ねたものであってもよい。好ましくは、本発明の吸気ホースは蛇腹構造を少なくとも一部に有する管状構造である。材料となるエラストマー組成物は可撓性を有することから、本発明の吸気ホースは蛇腹構造と可撓性が相まって、狭いエンジンルームの中でも自在に位置を調整することができ、エンジンの振動吸収性を有する。
【0035】
図1は、本発明に係る吸気ホースの具体的な構成の一例を示した概略図である。図1(a)は吸気ホースの外観側面図であり、図1(b)は吸気ホースのAA断面図であり、図1(c)は吸気ホースの平面図である。
【0036】
本発明に係る吸気ホース1は、空気の流路を有する筒形状の本体10と、前記本体の少なくとも一部に形成された蛇腹部12を有する。更に、本体の両端には、内燃機関の吸気口、エアクリーナー、インテークマニホルドの入り口又は出口の配管に接続するための端部14が形成されている。図1に示すように端部14は、接続可能なように円筒状に形成されている。また端部14は、配管に接続される際にクランプを用いて固定される。このため、クランプのずれ防止のために、クランプの位置を固定するガイド溝が形成されていても良い(図示せず)。また、本発明に係る吸気ホースは、負圧時の変形を防止するために、硬質ポリオレフィン等の硬質樹脂でリング状に形成された補強部材を、本体の内部に設けてもよい。当該吸気ホースに、上記エラストマー組成物を用いることにより、当該組成物が高い機械的強度を有するため、肉厚dをより小さくすることが可能となる。
【0037】
本発明のエアクリーナーホースの成型は、公知の方法により行うことができるが、例えば、上記強化エラストマーをコンプレッション成型、トランスファー成型、押出成型、射出成型、注型成型、ウォータージェット加工、キャスト成型、圧縮成型等の方法によって製造して、所定のホース形状物とすることができる。
【0038】
本発明の吸気ホースは、自動車用エンジンの吸気系に配設される。図2はその一例の模式図を示す。吸気ホース1は、吸気口30とエアクリーナー40との間に吸気ダクトとして設けられる(当該吸気ホースを1Aとした。)。また、吸気ホース1は、エアクリーナー40とインテークマニホルド50との間にエアクリーナーホースとして設けられる(当該吸気ホースを1Bとした。)。吸気ホース1Aの一つの端部14Aは吸気口30に接続し、もう一方の端部14Aはエアクリーナー40と接続する。また、エアクリーナー40より下流側では、吸気ホース1Bの一つの端部14Bはエアクリーナー40と接続し、もう一方の端部14Bはインテークマニホルド50と接続する。エアクリーナーホースと接続する機器は、いずれもクランプ等の圧搾手段20で係合されている。吸気ホース1Aおよび1Bは蛇腹部を有しているので、配設が容易である。エンジン60を作動させる際に吸気口30より外気を取り入れ、吸気ホース1Aを介してエアクリーナー40に外気が導かれる。エアクリーナー40で外気が浄化された後、もう一つの吸気ホース1Bを介し、インテークマニホルド50を通ってエンジン60内のシリンダ62に取り込まれる。本発明に係る吸気ホースによれば、自動車のエンジンルーム内など苛酷条件下においても使用可能である。
【実施例】
【0039】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、これの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0040】
実施例1〜実施例3
以下の表1の組成でカーボンナノチューブ(シーナノテクノロジー社製「FloTube9000」、平均直径11nm、平均長さ11μm)及びエラストマー樹脂(EPDM)等を混合し、ラボプラストミルとロールによって混練し、エラストマー組成物を製造した。得られたエラストマー組成物を常法に従って吸気ホースに成型した。
【0041】

【表1】

【0042】
比較例1
エラストマー樹脂(EPDM)100重量部に対して、カーボンナノチューブの代わりにカーボンブラック60重量部を用いて、実施例1と同様の方法によって比較例1の吸気ホースを製造した。
【0043】
試験例1 常態物性
・硬度(JIS−A)
JISK6253に準拠し、実施例1〜3および比較例1のエラストマー組成物についてタイプAデュロメータにより測定した。
・引張強さ(Tb)及び破断伸び(Eb)
JISK6251に準拠し、実施例及び比較例に係るエラストマー組成物からダンベル状3号形試験片を作製し、引張強さと破断伸びを測定した。
これらの測定結果を、表2に示す。

【表2】

【0044】
試験例2 低伸張モジュラス(耐負圧性試験)
実施例1〜3及び比較例1のエアクリーナーホースを用いて、JIS K6251の引張り試験に準拠し、ダンベル(形状3号)使用して25%伸張時、50%伸張時及び100%伸長時の応力(MPa)を25℃、150℃のそれぞれにおいて測定した(100%伸張時の応力が100%モジュラスの値である)。結果を図3、表3及び表4に示す。カーボンブラックの代わりにナノカーボンを用いると、カーボンブラックの添加量よりも少ないにも関わらず、いずれの伸張条件においても高い応力値を示すため、高い機械的強度を有することを示している。当該効果は、常温域(25℃)だけではなく、高温域(150℃)においても伸張時の応力が著しく向上しており、機械的強度が高いことが明らかである。したがって、エアクリーナーホースとしての使用にも耐えうる物性を有している。
【0045】
【表3】

【表4】

【0046】
試験例3 耐燃料油体積膨潤試験
実施例1〜3及び比較例1のエラストマー組成物の試験片をJIS6258に準拠し、試験用潤滑油(IRM903)内に浸漬し、100℃×72時間接触させて放置した後、試験片の体積膨潤率を測定した。
【0047】
【表5】

【0048】
試験例3の耐燃料油体積膨張試験では、エラストマー樹脂100重量部に対してカーボンブラック60重量部を配合したもの(比較例1)よりも、カーボンナノチューブ15〜25重量部を配合したもの(実施例1〜3)の方が良好な結果が得られることが確認された。従って、カーボンナノチューブを用いることによって、少量の添加であっても高い耐油性を得ることができることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0049】
1 吸気ホース
10 本体
12 蛇腹部
14 端部
20 圧搾手段
30 吸気口
40 エアクリーナー
50 インテークマニホルド
60 エンジン
62 シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー樹脂と前記エラストマー樹脂中に分散しているナノカーボンとを含有するエラストマー組成物を含有してなる、内燃機関の吸気系に配される吸気ホース。
【請求項2】
前記ナノカーボンが、カーボンナノチューブである、請求項1記載の吸気ホース。
【請求項3】
前記エラストマー組成物は、耐燃料油体積膨潤試験において体積膨潤率が、150%以下である、請求項1又は2記載の吸気ホース。
【請求項4】
前記エラストマー組成物は、25℃での100%モジュラスが、3.0MPa以上である、請求項1〜3のいずれか一項記載の吸気ホース。
【請求項5】
前記エラストマー組成物は、150℃での100%モジュラスが、3.0MPa以上である、請求項1〜4のいずれか一項記載の吸気ホース。
【請求項6】
空気の流路を有する筒形状の本体と、
前記本体の少なくとも一部に形成された蛇腹部を有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の吸気ホース。
【請求項7】
前記本体の両端に、配管に接続するための端部を更に有する、請求項6記載の吸気ホース。
【請求項8】
エラストマー樹脂と前記エラストマー樹脂中に分散しているナノカーボンとを含有する内燃機関の吸気系に配される吸気ホース用エラストマー組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−167737(P2012−167737A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29165(P2011−29165)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000127307)株式会社イノアック技術研究所 (73)
【Fターム(参考)】