説明

吸水性樹脂の製造方法

【課題】物性に優れた粒子状吸水性樹脂を、低コストで高い生産性を確保しながら効率的に得ることができる吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】単量体水溶液を重合する工程(1)、得られた含水ゲル重合体を乾燥する工程(2)、乾燥物を粉砕して、または、粉砕及び分級して粒度を制御する工程(3)、および粒度制御された吸水性樹脂粉末に表面架橋を行う工程(5)を順次含み、表面架橋を行う工程(5)の前に、粒度制御された吸水性樹脂粉末にさらに第2の加熱乾燥を行う工程(4)を含む。また、表面架橋を行う工程(5)に供する吸水性樹脂の含水率(180℃で3時間の乾燥減量で規定)を0〜3重量%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、物性に優れた粒子状吸水性樹脂を、低コストで高い生産性を確保しながら効率的に得ることができる吸水性樹脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂は、自重の数倍から数百倍という多量の水性液を吸収する性質から紙オムツや生理用ナプキン、成人用失禁製品等の衛生材料、土壌用保水剤等の各種用途に幅広く利用され、大量に生産および消費されている。このような吸水性樹脂(高吸水性樹脂、吸水性ポリマーとも呼ばれる)は、例えば、日本工業規格(JIS)K7223−1996に記載されており、また、市販の多くの参考図書でも紹介されており、既に公知である。
【0003】
近年、特に紙オムツや生理用ナプキン、成人用失禁製品等の衛生用品用途では、製品の薄型化のために吸水性樹脂の使用量を増やし、パルプ繊維の使用量を減らす傾向にある。これにより、吸収体内において従来パルプが行ってきた液体の通液性や拡散性といった機能を吸水性樹脂が担う必要が生じる。そのような機能の優劣を評価する公知の指標として、吸水性樹脂の加圧下の吸水倍率や液透過性が提唱されており、その値の大きいものが望まれている。一方で、この薄型化の傾向は衛生用品1枚当りの吸水性樹脂の使用量増加につながり、従って、低コストの吸水性樹脂に対する要望が高まる。
【0004】
一般に、吸水性樹脂は、親水性単量体および架橋剤を含む水溶液を重合することにより得られる含水ゲル状重合体を乾燥し、表面架橋を行うことで製造される。上記含水ゲル状重合体は、塊状または含水ゲル粒子の凝集体として得られ、通常は、ニーダーやミートチョッパー等の粉砕機を用いて1〜10mm程度の粒径に粗粉砕(粗解砕)される。そして、この粗粉砕(粗解砕)された含水ゲルは、固形分量95重量%程度まで乾燥される。
【0005】
乾燥後の粉砕工程では、粉砕機で重量平均粒子径の値が300μm以上600μm以下となるように粉砕される。このとき、目的とする粒子径(粒径)範囲以外の粒子も発生する。そこで、この乾燥後の粉砕物を分級機で篩分けして、目的とする粒径範囲の大きさの粒子を調整する。その結果、粒子状吸水性樹脂が得られる。用途によっての違いはあるが、衛生用品に用いられる粒子状吸水性樹脂としては、通常、150μm以上850μm未満の範囲にある粒径のものが好ましく用いられる。
【0006】
上記吸水性樹脂は、表面架橋工程を経て、衛剤(衛生用品)向け等に望ましい加圧下の吸収倍率や液透過性などの物性を得る。表面架橋工程とは、通常、上記吸水性樹脂と表面架橋剤ないし重合成単量体とを反応させることにより、表面近傍に高架橋層を設ける工程である。
【0007】
これまで検討されてきた表面架橋技術は、例えば、表面架橋剤の併用についてのもの(特許文献1)、吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する装置についてのもの(特許文献2)、吸水性樹脂と表面架橋剤とを反応させるための加熱装置についてのもの(特許文献3)、吸水性樹脂と表面架橋剤とを反応させるための加熱温度の昇温制御についてのもの(特許文献4)、高含水率の吸水性樹脂の表面架橋処理についてのもの(特許文献5)などが挙げられる。また、通常の表面架橋処理と異なり、表面架橋剤を使用せずに、熱を加えることで吸水性樹脂の改質を行うもの(特許文献6,7)といった例もある。
【0008】
また、各種表面架橋剤も提案され、オキサゾリン化合物(特許文献8)、ビニルエーテル化合物(特許文献9)、エポキシ化合物(特許文献10)、オキセタン化合物(特許文献11)、多価アルコール化合物(特許文献12)、ポリアミドポリアミン−エピハロ付加物(特許文献13,14)、ヒドロキシアクリルアミド化合物(特許文献15)、オキサゾリジノン化合物(特許文献16)、ビスまたはポリ−オキサゾリジノン化合物(特許文献17)、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサゾリジン化合物(特許文献18)、アルキレンカーボネート化合物(特許文献19)などが知られている。また、単量体を重合して表面架橋する技術(特許文献20)や過硫酸塩などでラジカル架橋する技術(特許文献21,22)も知られている。
【0009】
さらに、表面架橋剤の混合に添加剤を併用する技術も提案され、添加剤としてアルミニウム塩などの水溶性カチオン(特許文献23,24)、アルカリ(特許文献25)、有機酸や無機酸(特許文献26)などが知られている。また、表面架橋剤の混合機に特定の混合機を使用する技術(特許文献27)も知られている。
【0010】
また、加熱工程において、表面架橋を2度行う技術(特許文献28)、加熱処理装置を複数用いる技術(特許文献29)、予め表面架橋前の吸水性樹脂を加熱しておく技術(特許文献30,31)も提案されている。
【0011】
【特許文献1】米国特許5422405号公報(1995年6月6日公開)
【特許文献2】日本国公開特許公報「特開平4−214734号公報(公開日:平成4年8月5日)」
【特許文献3】日本国公開特許公報「特開2004−352941号公報(公開日:平成16年12月16日)」
【特許文献4】米国特許6514615号公報(2003年2月4日公開)
【特許文献5】米国特許6875511号公報(2005年4月5日公開)
【特許文献6】米国特許5206205号公報(1993年4月27日公開)[日本国公開特許公報「特開平5−194762号公報(公開日:平成5年8月3日)」]
【特許文献7】欧州特許0603292号公報(1994年6月29日公開)
【特許文献8】米国特許6297319号公報(2001年8月2日公開)
【特許文献9】米国特許6372852号公報(2002年4月16日公開)
【特許文献10】米国特許6265488号公報(2001年7月24日公開)
【特許文献11】米国特許6809158号公報(2004年8月26日公開)
【特許文献12】米国特許4734478号公報(1988年3月29日公開)
【特許文献13】米国特許4755562号公報(1988年7月5日公開)
【特許文献14】米国特許4824901号公報(1989年4月25日公開)
【特許文献15】米国特許6239230号公報(2001年3月29日公開)
【特許文献16】米国特許6559239号公報(2003年3月6日公開)
【特許文献17】米国特許6472478号公報(2002年10月29日公開)
【特許文献18】米国特許6657015号公報(2003年12月2日公開)
【特許文献19】米国特許5672633号公報(1997年9月30日公開)
【特許文献20】米国特許2005−48221号公報(2005年3月3日公開)
【特許文献21】米国特許4783510号公報(1988年11月8日公開)
【特許文献22】欧州特許1824910号公報(2007年8月29日公開)
【特許文献23】米国特許6605673号公報(2003年8月12日公開)
【特許文献24】米国特許6620899号公報(2003年9月16日公開)
【特許文献25】米国特許2004−106745号公報(2004年6月3日公開)
【特許文献26】米国特許5610208号公報(1997年3月11日公開)
【特許文献27】米国特許6071976号公報(2000年6月6日公開)
【特許文献28】米国特許5672633号公報(1997年9月30日公開)
【特許文献29】米国特許2007−0149760号公報(2007年6月28日公開)
【特許文献30】日本国公開特許公報「特開平7−242709号公報(公開日:平成7年9月19日)」
【特許文献31】日本国公開特許公報「特開平7−224204号公報(公開日:平成7年8月22日)」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記多くの表面架橋剤(特許文献18〜32参照)やその併用(特許文献11参照)、その混合装置(特許文献12,37参照)、表面架橋の助剤(特許文献33〜36参照)、その加熱処理方法(特許文献13,14,38〜41参照)などが多く提供されているにもかかわらず、表面架橋技術だけでは、ユーザーからの、吸水性樹脂の加圧下吸収倍率や液透過性などの物性に対する、高まる要求に対応していくのが困難であった。
【0013】
また、表面架橋剤の変更や新たな助剤の使用に伴って、コストアップ、安全性低下、他の物性低下(例、着色の低下)などが見られる場合もあった。
【0014】
さらに、上記手法は、実験室レベルの小スケールやバッチ式(回分式)での製造では一定の効果を示すが、工業的スケール(例えば、単位時間あたり1000kg以上)の連続生産では小スケールほどの効果を示さないことがあった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、物性に優れた、表面架橋された吸水性樹脂を、低コストで高い生産性を確保しながら効率的に得ることができる吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明者らは各種検討を行った結果、従来注目されてこなかった「吸水性樹脂粉末の乾燥の表面架橋への影響」に着目し、表面架橋前の特定の乾燥や低い含水率が表面架橋の結果に大きな影響を与えることを見出し、本発明を完成させた。表面架橋前の特定の乾燥や低い含水率に着目した本発明は、以下、2つの吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【0016】
すなわち、本発明の吸水性樹脂の製造方法は、単量体水溶液を重合する工程(1)、前記工程(1)により得られた含水ゲル重合体を乾燥する工程(2)、前記工程(2)により得られた乾燥物を粉砕して、または、粉砕及び分級して粒度を制御する工程(3)、および前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に表面架橋を行う工程(5)を順次含む吸水性樹脂の製造方法であって、前記表面架橋を行う工程(5)の前に、前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に第2の加熱乾燥を行う工程(4)を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の吸水性樹脂の製造方法は、単量体水溶液を重合する工程(1)、前記工程(1)により得られた含水ゲル重合体を乾燥する工程(2)、前記工程(2)により得られた乾燥物を粉砕して、または、粉砕及び分級して粒度を制御する工程(3)、および前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に表面架橋を行う工程(5)を順次含む吸水性樹脂の製造方法であって、前記表面架橋を行う工程(5)に供する吸水性樹脂の含水率(180℃で3時間の乾燥減量で規定)が0〜3重量%であることを特徴とする。
【0018】
上記の発明によれば、吸水性樹脂の表面架橋において、表面架橋剤の変更や新たな助剤を使用せずに、表面架橋後の吸水性樹脂の物性(例えば、加圧下吸収倍率AAP、通液性SFCなど)を向上させることができる。また、従来、生産工程におけるスケールアップは物性の低下を伴っていたが、上記の発明によれば、連続生産やスケールアップでも物性の低下がほとんどない。
【0019】
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明によって明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施し得るものである。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において、「質量」と「重量」とは同義であるものとする。
【0021】
〔実施の形態1〕
本発明の実施形態について、以下に説明する。なお、代表的な吸水性樹脂の製造方法は下記(1)〜(5)、表面架橋方法は下記(7)に示すが、本発明の特徴部分である「粒度制御された吸水性樹脂粉末にさらに第2の加熱乾燥を行う工程(4)」および「表面架橋を行う工程(5)に供する吸水性樹脂の含水率」は下記(6)、(6−2)および(6−3)に示す。これらの各工程はバッチでもよく、連続でもよいが、工業的には各行程は連結されて、全体として連続製造されることが好ましい。
【0022】
(I)粒子状吸水性樹脂
(1)ポリアクリル酸塩系吸水性樹脂
本発明の吸水性樹脂の製造方法で得られる吸水性樹脂は、各種の高分子構造に広く適用できるが、最適にはポリアクリル酸塩系吸水性樹脂であり、好ましくは繰り返し単位中(架橋剤を除く)でアクリル酸(塩)を、30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%含む水膨潤性・水不溶性架橋剤重合体である。なお、水膨潤性とは、後述の吸水倍率(GV)が5g/g以上、さらには10g/g以上を指す。また、水不溶性とは、後述の水可溶成分が50%以下、さらには30%以下、特には20%以下を指す。
【0023】
重合体の繰り返し単位としてのアクリル酸塩ないしアクリル酸基は、一価塩、好ましくはアルカリ金属塩ないしアンモニウム塩、より好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩として、0〜100モル%、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは50〜99モル%、さらに好ましくは60〜90モル%の範囲で中和される。
【0024】
使用できる不飽和単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の親水性モノマー類、並びにそれらの塩である。これら単量体のうちで、例えば、アクリル酸単独、または、アクリル酸とアクリル酸以外の単量体とを併用して、または、アクリル酸以外の単量体のみから、吸水性樹脂を適宜得ることができる。
【0025】
前記不飽和単量体で、吸水性樹脂の物性(吸水倍率や可溶分量、残存モノマー、通液性等)の観点から、アクリル酸および/またはその塩が好ましい。不飽和単量体としてアクリル酸および/またはその塩を使用する場合、アクリル酸1〜50モル%とアクリル酸のアルカリ金属塩50〜99%からなるアクリル酸(塩)が最も好適に使用される。
【0026】
使用できる架橋剤としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリオキシエチレン)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(β−アクリロイルオキシプロピオネート)、トリメチロールプロパントリ(β−アクリロイルオキシプロピオネート)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン等の分子内に重合性二重結合を少なくとも2個有する化合物;ポリグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテル)、ポリオール(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール)等のカルボキシル基と反応して共有結合を形成し得る化合物の1種または2種以上を例示することができる。
【0027】
架橋剤を使用する場合には、得られる吸水性樹脂の吸水特性等を考慮して、分子内に重合性二重結合を少なくとも2個有する化合物を必須に用いることが好ましい。また、架橋剤は、物性面から、前記単量体に対して0.0001〜5モル%、好ましくは0.005〜2モル%の範囲で使用される。
【0028】
これらの単量体は、通常、水溶液で重合され、その単量体濃度は、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは40〜60重量%の範囲である。また、水溶液には、界面活性剤、ポリアクリル酸(塩)やその架橋体(吸水性樹脂)、澱粉、ポリビニルアルコール等の高分子化合物、各種キレート剤、各種添加剤等を、前記単量体に対して0〜30重量%併用してもよい。なお、本願で水溶液とは、飽和濃度を超えた分散液も含むが、好ましくは飽和濃度以下で重合される。
【0029】
(2)重合工程
本発明の吸水性樹脂は、前記不飽和単量体を架橋重合し、含水架橋重合体を得ることにより製造される。重合方法は、性能面や重合の制御の容易さから、通常、噴霧重合、滴下重合、水溶液重合または逆相懸濁重合により行われる。
【0030】
本発明の効果をより発揮する点から、好ましくは水溶液重合または逆相懸濁重合、さらに好ましくは水溶液重合、より好ましくは連続水溶液重合、特に好ましくは連続ベルト重合ないし連続ニーダー重合が適用される。物性や乾燥効率の観点から、かかる重合時の重合熱によって、重合溶媒の少なくとも一部を揮発させることが好ましく、例えば、重合前後で固形分を上昇0.1重量%以上、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%程度上昇させればよい。固形分上昇は重合時の温度(例えば、沸点で重合)、気流や形状(重合ゲルの粒径やシート厚み)などで適宜決定される。
【0031】
これらの重合は、空気雰囲気下でも実施できるが、窒素やアルゴン等の不活性気体雰囲気下、例えば、酸素濃度1%以下で行われる。また、単量体成分は、その溶解酸素が不活性気体で十分に置換されて、酸素濃度が1ppm未満となった後に重合に用いられることが好ましい。
【0032】
逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、例えば、米国特許4093776号、同4367323号、同4446261号、同4683274号、同5244735号等の米国特許に記載されている。一方、水溶液重合は、分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許4625001号、同4873299号、同4286082号、同4973632号、同4985518号、同5124416号、同5250640号、同5264495号、同5145906号、同5380808号等の米国特許や、欧州特許0811636号、同0955086号、同0922717号、同1178059号等の欧州特許に記載されている。なお、重合に際し、これらに記載されている単量体、架橋剤、重合開始剤、その他の添加剤等も本発明では使用可能である。
【0033】
水溶液重合の重合方法については単量体水溶液を静置状態で重合する静置重合法、攪拌装置内で重合する攪拌重合法などがある。静置重合法では、エンドレスベルトを用いるのが好ましい。攪拌重合法では、一軸攪拌機でも可能であるが、ニーダーなどの複数攪拌軸の攪拌機が好ましく用いられる。本発明における重合方法の、より具体的な例としては、特開2005−307195に記載されているような、エンドレスベルトを用いた高モノマー濃度での連続重合法が挙げられる。かかる連続ベルト重合ないし連続ニーダー重合が、本発明にも好適に適用される。
【0034】
本発明で使用される重合開始剤は、重合の形態によって適宜選択される。このような重合開始剤としては、例えば、光分解型重合開始剤、熱分解型重合開始剤、レドックス系重合開始剤等を例示することができる。光分解型重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等を例示することができる。また、熱分解型重合開始剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;アゾニトリル化合物、アゾアミジン化合物、環状アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキルアゾ化合物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等のアゾ化合物等を例示することができる。レドックス系重合開始剤としては、例えば、前記過硫酸塩や過酸化物に、L−アスコルビン酸や亜硫酸水素ナトリウムのような還元性化合物を併用し、両者を組み合わせた系を例示することができる。
【0035】
また、本発明においては、光分解型重合開始剤と熱分解型重合開始剤とを併用することも好ましい。重合開始剤の量は、前記モノマーに対し、0.0001〜1モル%、好ましくは0.001〜0.5モル%の範囲で使用される。
【0036】
本発明における重合方法の、より具体的な例としては、特開2005−307195に記載されているような、エンドレスベルトを用いた高モノマー濃度での連続重合法が挙げられる。連続ベルト重合、連続ニーダー重合は、本発明に好適に適用できる高濃度の含水架橋重合体が得られやすいので好ましい。
【0037】
(3)ゲル細粒化工程
物性面と乾燥効率の面とから、乾燥前の含水ゲル重合体が重合中ないし重合後に細粒化されていることが好ましい。
【0038】
本発明で重合に水溶液重合、特に連続ベルト重合を用いる場合、前記重合工程で水溶液重合により得られる、例えば塊状、シート状等の含水架橋重合体は、粉砕装置によって粉砕され粒子状含水架橋重合体とされた後、乾燥される。また、噴霧重合、滴下重合、逆相懸濁重合では、重合によって粒子状含水架橋重合体が得られるが、重合後の粒子状含水架橋重合体はそのまま乾燥してもよく、また、必要によりさらに粉砕ないし造粒して粒度を調整してもよい。上記粒子状含水架橋重合体の好ましい粒径としては、後述する測定(標準篩分級)により求められる重量平均粒子径が0.5〜10mmの範囲内であり、1〜5mmの範囲内、さらには1〜3mm、特に1〜2mmであることがさらに好ましい。重量平均粒子径が10mmを超えると後述の流動層内での流動化が困難で層内への通風量も増やす必要があり好ましくない。
【0039】
なお、ゲル細粒化工程で、上記の範囲内に制御する方法としては、米国特許6906159号、米国特許5275773号、米国特許6100305号、米国特許6140395号、米国特許6875511号、米国公開公報2004/234607号、米国公開公報2005/46069号等が採用される。
【0040】
(4)乾燥工程(第1の乾燥)
上記の含水ゲル重合体、好ましくは粒子状含水ゲル重合体は、粉砕可能な固形分まで乾燥される。ここで、乾燥工程に供される親水性架橋重合体の形態は、ニーダー、ミートチョッパーおよびカッターなどによる粗砕含水ゲルおよびその凝集物、シート状含水ゲルである。この乾燥工程の中に適宜、凝集物の解砕工程や粗砕工程を入れてもよい。このような技術として、例えば米国特許6187902号が採用される。
【0041】
粗砕された含水ゲルの粒度(重量平均粒子径)は、1〜5mmが好ましい。乾燥処理方法としては、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等、目的の含水率となるように種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。
【0042】
乾燥を熱風乾燥にて行う場合には、使用する乾燥方法として静置状態で乾燥を行う方法、攪拌状態で乾燥を行う方法、振動状態で乾燥を行う方法、流動状態で乾燥を行う方法、気流で乾燥を行う方法等がある。乾燥温度は、通常60〜250℃、好ましくは100〜220℃、より好ましくは120〜200℃の温度範囲(熱風温度)で行われる。乾燥時間は、重合体の表面積、含水率、および乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう選択される。例えば、乾燥時間は、1分〜5時間の範囲内で適宜選択すればよい。この乾燥により親水性架橋重合体の固形分量は、好ましくは70〜95%、より好ましくは80〜95%に上昇する。
【0043】
固形分量が90%未満である場合に比べ、固形分量が90%以上である場合には、乾燥工程での固形分の上昇が遅くなり、固形分量が95%を超えると、固形分はほとんど上昇しなくなる。これは固形分量が90〜95%で定率乾燥期間から減率乾燥期間に変わるためと考慮される。したがって、粉砕工程の前の乾燥工程で固形分量が95%を超えるようにするのは効率的ではない。なお、下記(6)および(6−2)で述べるが、かかる理由もあり、従来の表面架橋は、固形分量95%以下(言い換えると含水率5%以上)で行われてきた。
【0044】
乾燥時の雰囲気は、吸水性樹脂の着色を抑えるため、酸素分圧を低くすることが望ましい。吸水性樹脂は、加熱時に酸素の存在によって起こる反応により、着色しているためである。ここで、本発明を達成するうえで、乾燥物の含水率(180℃で3時間の乾燥減量で規定)が5〜15重量%であることが好ましい。乾燥物の重量平均粒子径(篩分級で規定)は1〜5mmであることが好ましく、1.5〜4mmであることがより好ましい。
【0045】
(5)粒度を制御する工程
乾燥により得られた吸水性樹脂粒子は、粒径制御のため、粉砕、および必要により分級される。これらの方法については、例えば、WO2004/69915号(米国特許2006024755号)に記載されている。
【0046】
衛材向けであれば、好ましくは重量平均粒子径が100〜1000μm、より好ましくは200〜800μm、特に好ましくは300〜600μmである。
【0047】
この工程で発生する、粒度が150μm以下の微粉は、吸水性樹脂の物性を低下させ、また、安全衛生上問題となるため、分級して取り除かれる。この分級して微粉を取り除く工程は、後述のとおり、加熱乾燥工程の途中または後に行っても構わない。この微粉は適宜回収され、再度粒状に成形され、単量体水溶液に回収される等の工程を経る。
【0048】
(6)加熱乾燥工程(粒度制御後の第2の乾燥)
以上の手法で得られた吸水性樹脂粉末について、上記特許文献11〜41などでは、さらに表面架橋がなされてきたが、本発明では従来注目されてこなかった「吸水性樹脂粉末の乾燥の表面架橋への影響」に着目し、表面架橋前の特定の乾燥や低い含水率が表面架橋の結果に大きな影響を与えることを見出し、本発明を完成させた。
【0049】
すなわち、本発明の吸水性樹脂の製造方法は、単量体水溶液を重合する工程(1)、前記工程(1)により得られた含水ゲル重合体を乾燥する工程(2)、前記工程(2)により得られた乾燥物を粉砕して、または、粉砕及び分級して粒度を制御する工程(3)、および前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に表面架橋を行う工程(5)を順次含む吸水性樹脂の製造方法であって、前記表面架橋を行う工程(5)の前に、前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に第2の加熱乾燥を行う工程(4)を含むことを特徴とする。
【0050】
以下、第2の加熱乾燥工程(粒度制御後の第2の乾燥)について説明する。
【0051】
本発明は乾燥工程、粉砕および必要により分級工程を経て、粒度制御された吸水性樹脂をさらに加熱乾燥するというものである。具体的な実施形態として、加熱乾燥に供する吸水性樹脂の粒度は、重量平均粒子径(篩分級で規定)が好ましくは100〜1000μm、より好ましくは200〜800μm、特に好ましくは300〜600μmである。また、上記の重量平均粒子径に近い粒度を持つ粒子の集合体の中に粒度が1mm(篩分級で規定)を超える吸水性樹脂粒子が存在すると、大きい粒子は固形分上昇が遅いので、粒子間で不均一な乾燥となりやすい。そのため、粒度が1mmを超える粒子の含有量は、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%であることが望ましい。
【0052】
本発明に用いることができる加熱乾燥法としては、静置乾燥、流動層乾燥、撹拌乾燥などが挙げられる。加熱乾燥の装置としては、吸水性樹脂粒子を加熱することのできる通常の乾燥機であればよく、回分式あるいは連続式でも、直接加熱式および/または間接加熱式でも、公知の乾燥方法のいずれを用いてもよい。例えば、ベルト式静置乾燥機、通気竪型乾燥機、円筒攪拌乾燥機、溝型攪拌乾燥機、回転乾燥機、水蒸気管付き回転乾燥機、通気回転乾燥機、流動層乾燥機、円錐型乾燥機、振動流動層乾燥機、気流乾燥機等が挙げられる。中でも、不均一な乾燥を防ぐため、流動層乾燥機を用いることが望ましい。さらに好ましくは、吸水性樹脂粒子を効率よく加熱するために伝熱管を用いることである。工業的には、複数の乾燥室を持つ連続流動層乾燥機を用いるのが望ましい。また、流動層乾燥を用いることにより気流分級を行うことができる。すなわち、乾燥に用いられる熱風の風量を調節することにより、製品として好ましい粒度以下の微粒子を風で飛ばし、粒度制御を行うことができる。
【0053】
加熱乾燥時の雰囲気は、乾燥工程と同様、吸水性樹脂の着色を抑えるため、酸素分圧を低くすることが望ましい。
【0054】
本発明で、加熱乾燥(第2の乾燥)の温度は、好ましくは150〜300℃、より好ましくは180〜270℃、特に好ましくは200〜250℃である。温度が低いと熱効率が悪くなり、また、乾燥速度が遅くなるため乾燥機が大きくなるという問題と、表面処理後の物性が向上するために望ましい吸水性樹脂粒子内の変化が起きなくなるという問題とがある。本発明で、加熱乾燥時間は、吸水性樹脂粒子の含水率が、好ましくは4.5%以下、0〜3%、0〜2.5%、さらに好ましくは0〜2%、0〜1.5%、特に好ましくは0〜1%となるように設定される。なお、下限として0%は、長時間を要し、吸水性樹脂の劣化を伴う場合があるため、下限は0.1%、さらには0.2%程度でよい。このとき、本発明では、含水率が2%以下となったところで適宜加熱乾燥を終了してもよいが、乾燥方法により熱のかかり方が不均一な場合や、連続式加熱乾燥機において粒子間に滞留時間のばらつきが大きい場合には、さらに加熱を続けることにより、粒子間で物性の揃った吸水性樹脂を得ることができる。乾燥方法、乾燥温度と乾燥前の吸水性樹脂の固形分量などによるが、加熱乾燥時間は、好ましくは5分以上10時間以内、さらに好ましくは10分以上3時間以内、特に好ましくは15分以上1時間以内で加熱乾燥される。
【0055】
粒度制御された吸水性樹脂にさらに加熱乾燥を行う工程(4)において、固形分あたりの吸収倍率(GV)が増加するまで加熱することが好ましい。GVの増加は1〜50g/g、さらには2〜30g/g、特に3〜20g/gの範囲で、温度や時間を選ぶことが好ましい。なお、固形分当たりとは、実測値を樹脂固形分の重量あたりに補正した値であり、例えば、含水率95%なら、実測のGVを0.95で除して求める。
【0056】
本発明において、加熱乾燥を行う際、表面架橋剤等の表面処理剤は不要であるが、加熱乾燥の均一性を向上させる目的、またはプロセスダメージによる微粉の増加を防ぐ目的で、流動補助剤等の添加物を加えてもよい。
【0057】
加熱乾燥後の吸水性樹脂粒子は高温になっているので、適宜冷却室を設けて冷却してもよい。また、加熱乾燥工程の後に分級工程を経てもよく、加熱乾燥工程の前に分級が行われなかった場合や、加熱乾燥工程で吸水性樹脂粒子がプロセスダメージを受け、新たに微粉が発生した場合等に有効である。
【0058】
なお、米国特許6187902号では、粒子状含水ゲル状重合体を静置乾燥した後、凝集部を粗解砕し、さらに攪拌または流動乾燥する吸水性樹脂の製造方法を開示している。該乾燥方法と異なり、本発明ではmm程度への凝集物の解砕ではなく、上記(5)のような粒度制御を特徴とすることで、すなわち、第2の乾燥前に粉砕ないし分級することで、粒度を制御して表面架橋後の物性を向上させる。
【0059】
また、従来、上記特許文献30,31のように、予め加熱した吸水性樹脂中に加熱装置で表面架橋剤を添加する場合や、特許文献28のように2度の表面架橋を行う場合には、十分な物性が得られないが、本発明では、表面架橋を行う工程(5)の前に、粒度制御された吸水性樹脂粉末にさらに第2の加熱乾燥を行う工程(4)、すなわち、表面架橋剤の混合とは別の乾燥機を含むことで、飛躍的な物性向上を達成する。
【0060】
なお、本発明では上記(6)ないし(6−2)後、下記(7)の表面架橋が必須であり、上記特許文献8,9のような表面架橋剤の不存在での加熱処理だけでは十分な物性の向上が達成されない。
【0061】
(6−2)本発明における第2の発明
また、本発明の吸水性樹脂の第2の製造方法は、単量体水溶液を重合する工程(1)、前記工程(1)により得られた含水ゲル重合体を乾燥する工程(2)、前記工程(2)により得られた乾燥物を粉砕して、または、粉砕及び分級して粒度を制御する工程(3)、および前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に表面架橋を行う工程(5)を順次含む吸水性樹脂の製造方法であって、前記表面架橋を行う工程(5)に供する吸水性樹脂の含水率(180℃で3時間の乾燥減量で規定)が0〜3重量%であることを特徴とする。
【0062】
なお、上記(4)でも述べたが、吸水性樹脂は強度に水を保持するため、乾燥後の吸水性樹脂粉末でも重合溶媒である水を含水率で約5〜10重量%程度保持する。かかる以上の乾燥は、コスト的にも非常に困難であり、また、長時間の乾燥に伴う劣化を生じる場合ある。よって、上記特許文献1〜31では、含水ゲルの表面架橋やかかる含水率の吸水性樹脂がそのまま表面架橋に使用される。
【0063】
しかし、本発明では、表面架橋前の含水率が重要であることを見出し、従来の含水率より低含水率の吸水性樹脂を表面架橋に使用することで、吸水性樹脂の物性向上を行うことを特徴とする。なお、かかる含水率の制御には、粒度制御なしでそのまま乾燥するという従来の手法で含水率の調整を行ってよいが、一般に長時間を要するため、上記粒度制御後の加熱乾燥(第2の乾燥)を行うことが好ましい。
【0064】
(6−3)加熱乾燥工程(粒度制御後の第2の乾燥)のより好ましい形態
上記加熱乾燥後の、または含水率が制御された吸水性樹脂は、表面架橋されるが、好ましくは表面架橋後の物性のさらなる向上のために、下記のように冷却ないし貯蔵されることが好ましい。
【0065】
すなわち、前記加熱乾燥を行う工程(4)の後の吸水性樹脂が冷却されたのち、表面架橋を行う工程(5)に供給されることが好ましい。表面架橋を行う工程(5)に供する吸水性樹脂の温度は、好ましくは100℃以下、より好ましくは100〜40℃、さらに好ましくは95〜45℃、特に好ましくは90〜50℃に冷却される。
【0066】
また、前記加熱乾燥を行う工程(4)の後の吸水性樹脂が貯蔵されたのち、表面架橋を行う工程(5)に供給されることが好ましい。貯蔵時間としては、平均で0.1分〜100時間、さらには1分〜50時間、特に5分〜10時間であり、貯蔵によって一定時間の熟成がなされるため、より均一な表面架橋が達成できる。
【0067】
加熱乾燥中に後述の表面架橋剤を添加したり、加熱乾燥直後(乾燥機出口)で後述の表面架橋剤を添加すると、物性が向上しない場合もあり、上記冷却や貯蔵が行われる。冷却には、冷風や冷却伝面などの冷媒と接触させて強制冷却してもよく、また、加熱乾燥後(乾燥機から取り出し後)の放置時間を調整したり、輸送や貯蔵時に放熱させてもよい。貯蔵には各種ホッパーやサイロ、輸送には空気輸送、コンベア輸送などが例示でき、用いられる輸送機や貯蔵機は、米国特許6164455号などに開示されているものを適用でき、これら貯蔵ないし輸送時には、上記冷却温度(例えば、100〜40℃)に装置を保てばよい。冷却温度が低すぎると、物性低下が起こる場合がある。
【0068】
(7)表面架橋工程
本発明において、上記の(6)加熱乾燥工程を経た吸水性樹脂は、従来から知られている表面架橋工程を経て、より衛生材料向けに好適な吸水性樹脂とすることができる。表面架橋とは、吸水性樹脂の表面層(表面近傍、吸水性樹脂表面から通常は数10μm前後)にさらに架橋密度の高い部分を設けることであり、表面でのラジカル架橋や表面重合、表面架橋剤との架橋反応等により形成することができる。
【0069】
本発明では上記(6)の「粒度制御後の第2乾燥」または上記(6−2)の「含水率」が守られる限り、上記の表面架橋剤(特許文献8〜22参照)やその併用(特許文献1参照)、その混合装置(特許文献2,27参照)、表面架橋の助剤(特許文献23〜26参照)、その加熱処理方法(特許文献3,4,28〜31参照)などが適用できる。また、表面架橋は、一度でもよく、複数回行ってもよい。
【0070】
本発明に用いることができる表面架橋剤としては、種々の有機架橋剤または無機架橋剤を例示することができるが、物性や取り扱い性の観点から、カルボキシル基と反応し得る架橋剤が好ましい。例えば、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、モノ,ジまたはポリオキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物等が挙げられる。
【0071】
より具体的には、米国特許6228930号、同6071976号、同6254990号等に例示されている化合物を挙げることができる。例えば、モノ,ジ,トリ,テトラまたはポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物;2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン化合物;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート化合物;オキセタン化合物;2−イミダゾリジノンのような環状尿素化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0072】
表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂粒子100重量部(質量部)に対して、0.001重量部〜10重量部の範囲内が好ましく、0.01重量部〜5重量部の範囲内がより好ましい。本発明において、表面架橋剤とともに水が使用され得る。この際、使用される水の量は、吸水性樹脂粒子100重量部に対し、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。また、本発明において、水以外に、親水性有機溶媒を用いることも可能である。この際使用される親水性有機溶媒の量は、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部の範囲である。また、吸水性樹脂粒子への架橋剤溶液の混合に際し、本発明の効果を妨げない範囲、例えば、0〜10重量%以下、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜1重量%で、水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよい。好ましい界面活性剤やその使用方法は、例えば、米国特許7381775号に例示されている。
【0073】
表面架橋剤を混合後の吸水性樹脂は、好ましくは加熱処理され、必要によりその後に冷却処理される。加熱温度は、70〜300℃、好ましくは120〜250℃、より好ましくは150〜250℃の範囲である。また、加熱時間は、好ましくは1〜120分の範囲である。加熱処理は、通常の乾燥機または加熱炉を用いて行うことができる。
【0074】
上記表面架橋剤の添加は、種々の手法で行うことができる。ただし、表面架橋剤を、必要により水および/または親水性有機溶媒と予め混合した後、粒子状吸水性樹脂に噴霧あるいは滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。噴霧する方法の場合には、噴霧される液滴の大きさは、平均粒径で0.1〜300μmの範囲内が好ましく、0.1〜200μmの範囲がより好ましい。
【0075】
粒子状吸水性樹脂と、表面架橋剤と、水または親水性有機溶媒とを混合する際に用いられる混合装置は、これら各物質を均一に、かつ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。上記の混合装置としては例えば、円筒型混合機、二重壁円錐混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、粉砕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、タービュライザー、バッチ式レディゲミキサー、連続式レディゲミキサー等が好適である。
【0076】
また、本発明における表面架橋処理の別の形態としては、ラジカル重合性化合物を含む処理液を粒子状吸水性樹脂に添加した後に、活性エネルギーを照射して表面架橋処理する方法が挙げられ、例えば、特願2003−303306公報(米国特許7201941号)に記載されている。また、上記処理液に界面活性剤を添加し、活性エネルギーを照射して表面架橋処理することもできる。さらに、本発明における表面架橋処理の別の形態としては、過酸化物ラジカル開始剤を含む水性溶液を粒子状吸水性樹脂に添加した後に、加熱して表面架橋処理する方法が挙げられ、例えば特公平7−8883号公報(米国特許4783510号)に記載されている。
【0077】
(8)通液性向上剤
本発明の吸水性樹脂の製造方法により得られた粒子状吸水性樹脂は、表面架橋処理された後、さらに通液性向上剤が添加されることが好ましい。通液性向上剤を添加することにより、上記粒子状吸水性樹脂は、通液性向上剤層を有することになる。これにより、上記粒子状吸水性樹脂は、さらに、液透過性に優れていることになる。
【0078】
通液性向上剤としては、ポリアミン、多価金属塩、水不溶性微粒子が例示でき、特に、硫酸アルミニウム等の多価金属塩、特に水溶性多価金属塩が好ましく、米国特許7179862号、欧州特許1165631号、米国特許7157141号、米国特許6831142号、米国公開公報2004/176557号、米国公開公報2006/204755号、米国公開公報2006/73969号、米国公開公報2007/106013号に記載の技術が適用される。なお、ポリアミンや水不溶性微粒子は、WO2006/082188A1,WO2006/082189A1,WO2006/082197A1などに例示される。
【0079】
通液性向上剤の使用量は、粒子状吸水性樹脂100重量部に対して、0.001重量部〜5重量部の範囲内が好ましく、0.01重量部〜1重量部の範囲内がより好ましい。通液性向上剤の使用量が、上記範囲内であれば、粒子状吸水性樹脂の加圧下吸収倍率(AAP)、生理食塩水流れ誘導性(SFC)を向上させることができる。
【0080】
上記通液性向上剤の添加は、必要により水および/または親水性有機溶媒と予め混合した後、粒子状吸水性樹脂に噴霧あるいは滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。なお、上記通液性向上剤の添加は、粒子状吸水性樹脂の流動層内での冷却工程で行われることが好ましい。
【0081】
(9)その他の工程
上記の工程以外に、必要により、造粒工程、微粉除去工程、微粉リサイクル工程等を設けてもよい。例えば、米国特許5264495号、米国特許5369148号、米国特許5478879号、米国特許6228930号、米国公開公報2006/247351号、国際公開公報WO2006/101271号等に記載の工程が挙げられる。
【0082】
(10)粒子状吸水性樹脂に添加されるその他の物質
粒子状吸水性樹脂は、重合中または重合後に、表面架橋剤、通液性向上剤、滑剤、キレート剤、消臭剤、抗菌剤、水、界面活性剤、水不溶性微粒子、還元剤等が吸水性樹脂に0〜30%、さらには0.01〜10%程度で添加混合されうる。重合後に添加混合する場合には、乾燥前、乾燥後、粉砕前または粉砕後に添加混合することができる。また、粒子状吸水性樹脂は、吸水性樹脂の特性を阻害しない限り、他の物質を添加してもよい。他の物質を添加する方法としては、特に限定されるものではない。なお、本発明では吸水性樹脂に少量の添加剤(例えば、0を超えて30重量%)を含む場合でも、すなわち、吸水性樹脂組成物である場合でも、吸水性樹脂と総称する。
【0083】
(II)吸水性樹脂の製造方法により得られた粒子状吸水性樹脂の物性
本発明の吸水性樹脂の製造方法により得られた粒子状吸水性樹脂の重量(質量)平均粒子径(D50)、生理食塩水流れ誘導性(SFC/Saline Flow Conductivity)、加圧下吸収倍率(AAP/Absorbency Against Pressure)について説明する。なお、それぞれの具体的な測定方法は、後述する実施例に示す。
【0084】
<重量平均粒子径(D50)>
重量平均粒子径(D50)とは、米国特許5051259号公報等にあるように、一定目開きの標準篩で粒子全体の50重量%に対応する標準篩の粒子径のことである。
【0085】
例えば、粒子を8000μm、5600μm、3350μm、2800μm、2000μm、1000μm、850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm等のJIS標準篩(z8801)で篩分けし、各粒度の残留百分率を対数確率紙にプロットする。これにより、R=50%に相当する粒径から重量平均粒子径(D50)を読み取る。
【0086】
なお、最終的な吸水性樹脂としては、物性面から重量平均粒子径が好ましくは300〜600μm、さらには350〜500μmの範囲であり、850〜150μmの割合が90〜100重量%さらには95〜100重量%特に98〜100重量%であるに制御されることが好ましい。
【0087】
<生理食塩水流れ誘導性(SFC/Saline Flow Conductivity)>
生理食塩水流れ誘導性は、粒子状吸水性樹脂の膨潤時の液透過性を示す値であり、その値が大きいほど高い液透過性を有することを示している。
【0088】
本発明の吸水性樹脂の製造方法により得られた粒子状吸水性樹脂は、生理食塩水流れ誘導性(SFC)が、好ましくは10(単位;10−7・cm・s・g−1)以上、より好ましくは20以上、特に好ましくは50以上、最も好ましくは80以上の範囲である。これにより、上記粒子状吸水性樹脂は、液透過性に優れていることになる。
【0089】
<加圧下吸収倍率(AAP/Absorbency Against Pressure)>
加圧下吸収倍率は、荷重をかけた状態での、粒子状吸水性樹脂の吸収倍率を示している。本発明の吸水性樹脂の製造方法により得られた粒子状吸水性樹脂は、加圧下吸収倍率(AAP)が、好ましくは10g/g以上28g/g以下、さらに好ましくは15〜27g/g、特に20〜26g/gの範囲である。これにより、上記粒子状吸水性樹脂は、優れた吸収特性を有していることになる。
【0090】
<適用される吸水性樹脂>
本発明の製造方法では特に上記吸水性樹脂を得るのに適している。すなわち、従来の手法に比べて、吸水倍率(GV),加圧下吸水倍率(AAP)、通液性(SFC)の関係が向上、すなわち、同じある1種類の物性を一定に比較する場合(例えば、同じ吸水倍率)、他の物性値は向上(例えば、SFCやAAPが向上)するので好ましい。
【0091】
よって、本発明では、吸水倍率(GV)が20〜100g/g、好ましくは25〜50g/g、27〜45g/gで、加圧下吸収倍率(AAP)が好ましくは10g/g以上28g/g以下、または、生理食塩水流れ誘導性(SFC)が好ましくは10(10−7・cm・s・g−1)の吸水性樹脂の製造に好適に使用できる。好ましくはこれらの物性の2つ以上、さらに好ましくは3つ同時に満足する。固形分量は85〜99.9%、さらには90〜99.9%、特に95〜99.9%の範囲であり、固形分量(言い換えれば、100−含水率)が外れると、物性が低下することがある。
【0092】
(III)吸収体および/または吸収性物品
本発明の吸水性樹脂の製造方法により得られた粒子状吸水性樹脂は、吸水を目的とした用途に用いられ、吸収体や吸収性物品として広く使用されるが、特に、尿や血液等の体液を吸収するための衛生材料として好適に用いられる。
【0093】
具体的には、本発明の吸水性樹脂の製造方法により得られた粒子状吸水性樹脂に表面架橋剤を添加して表面架橋処理し、その後、通液性向上剤、界面活性剤、滑剤等の他の物質を添加することにより、粒子状吸水剤を製造する。そして、この粒子状吸水剤を用いて、吸収体や吸収性物品を製造する。なお、他の物質を添加する方法としては、特に限定されるものではない。
【0094】
ここで、上記吸収体とは、粒子状吸水剤(吸水性樹脂)と親水性繊維とを主成分して成型された吸収剤のことである。上記吸収体は、粒子状吸水剤と親水性繊維とを用いて、例えば、フィルム状、筒状、シート状に成型され、製造される。上記吸収体は、粒子状吸水剤と親水性繊維との合計質量に対する粒子状吸水剤の含有量(コア濃度)が、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは30〜100重量%、さらに好ましくは40〜100重量%の範囲である。上記吸収体は、粒子状吸水剤のコア濃度が高いほど、吸収体や紙おむつ等の作製時における粒子状吸水剤の吸収特性低下効果が顕著に表れてくるものとなる。また、上記吸収体は、厚みが0.1〜5mmの薄型であることが好ましい。
【0095】
上記吸収性物品とは、上記吸収体、液透過性を有する表面シート、及び液不透過性を有する背面シートを備える吸収性物品である。上記吸収性物品の製造方法は、まず、例えば繊維材料と粒子状吸水剤とをブレンドないしサンドイッチすることで吸収体(吸収コア)を作製する。次に、上記吸収体を、液透過性を有する表面シートと液不透過性を有する背面シートとでサンドイッチして、必要に応じて、弾性部材、拡散層、粘着テープ等を装備することで、吸収性物品、特に大人用紙オムツや生理用ナプキンとされる。上記吸収体は、密度0.06〜0.50g/cc、坪量0.01〜0.20g/cmの範囲に圧縮成型されて用いられる。なお、用いられる繊維材料としては、親水性繊維、例えば粉砕された木材パルプ、コットンリンターや架橋セルロース繊維、レーヨン、綿、羊毛、アセテート、ビニロン等を例示できる。好ましくは、それらをエアレイドしたものである。
【0096】
上記吸水性物品は、優れた吸収特性を示すものである。このような吸収性物品としては、具体的には、近年成長の著しい大人用紙オムツをはじめ、子供用オムツ、生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等が挙げられる。ただし、それらに限定されるものではない。上記吸水性物品は、吸収性物品の中に存在する粒子状吸水剤の優れた吸収特性により、戻り量も少なく、ドライ感が著しく、装着している本人・介護の人々の負担を大きく低減することができる。
【実施例】
【0097】
以下に、製造例、実施例、比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。異なる実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例についても、本発明の範囲に含まれる。
【0098】
なお、実施例において使用される電気機器は、特に指定がない場合、すべて200Vまたは100Vで使用した。さらに、吸水性樹脂は、特に指定がない場合、25±2℃、相対湿度50%RHの条件下で使用した。下記測定法や製造例、実施例、比較例で例示された試薬や器具は適宜相当品で代替されてよい。
【0099】
〔物性の測定方法〕
<無荷重下吸収倍率(GV)>
粒子状吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋(60mm×60mm、南国パルプ工業(製)ヒートロンペーパー GS−22)に均一に入れ、ヒートシール後、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離器を用いて250×9.81m/s(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W(g)を測定した。また、同様の操作を、粒子状吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの質量W(g)を測定した。そして、これら質量W、Wから、式(5)に従ってGV(無荷重下吸収倍率)を算出した。
GV(g/g)=((W−W)/粒子状吸水性樹脂の質量)−1・・・式(5)
ただし、加熱乾燥工程より前の粒子状吸水性樹脂のGV測定については、固形分で0.2gを用い、GV算出時に固形分補正を行う以外は、上記方法に従った。
【0100】
<GEX値>
上記pH可溶分量をx(重量%),上記GVをy(g/g)とした場合、GEX値を式(6)で定義する。
GEX値=(y−15)/ln(x)・・・式(6)
ln(x):xの自然対数を表す。
【0101】
<生理食塩水流れ誘導性(SFC)>
生理食塩水流れ誘導性(SFC)は、米国公開特許US2004−0106745、特表平9−509591の生理食塩水流れ誘導性(SFC)試験に準じて行った。
【0102】
具体的には、セルに均一に入れた粒子状吸水性樹脂0.90gを、人工尿中で0.3psi(2.07kPa)の加圧下、60分間膨潤させ、ゲル層の高さを記録した。次に、0.3psi(2.07kPa)の加圧下、0.69重量%塩化ナトリウム水溶液を、一定の静水圧でタンクから膨潤したゲル層に通液させた。
【0103】
タンクには、ガラス管が挿入されている。ガラス管は、セル中の0.69重量%塩化ナトリウム水溶液の液面が、膨潤ゲルの底部から5cm上の高さに維持されるように、下端の位置を調整して配置されている。タンク中の0.69重量%塩化ナトリウム水溶液は、コック付きL字管を通じてセルへ供給される。セルの下には、通過した液を捕集する捕集容器が配置されており、捕集容器は上皿天秤の上に設置されている。セルの内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)が設置されている。ピストンの下部には、液が通過するのに十分な穴があり、底部には粒子状吸水性樹脂またはその膨潤ゲルが、穴に入り込まないように、透過性のよいガラスフィルターが取り付けてある。セルは、セルを載せるための台の上に置かれ、この台は、液の透過を妨げないように、ステンレス製の金網の上に設置されている。
【0104】
上記人工尿は、塩化カルシウム2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウム6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、リン酸2水素アンモニウム0.85g、リン酸水素2アンモニウム0.15g、及び、純水994.25gを加えたものを用いる。
【0105】
なお、SFC試験は、室温(20〜25℃)で行った。コンピュータと天秤とを用いて、時間の関数として20秒間隔でゲル層を通過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル(主に粒子間)を通過する流速Fs(t)は、増加質量(g)を増加時間(s)で割ることによりg/sの単位で決定した。一定の静水圧と安定した流速が得られた時間をtsとし、tsから10分間に得た流速を使用して、Fs(t=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。Fs(t=0)は、Fs(t)の対時間の最小2乗法の結果をt=0に外挿することにより計算した。そして、式(7)を用いて生理食塩水流れ誘導性SFC(加圧下通液速度)を求めた。なお、加圧下通液速度の単位は、(10−7×cm×s×g−1)である。
加圧下通液速度(10−7×cm×s×g−1)=Fs(t=0)×L/(ρ×A×ΔP)・・・式(7)
Fs(t=0):g/sで表した流速
:cmで表したゲル層の高さ
ρ:NaCl溶液の密度(1.003g/cm
A:セル中のゲル層上側の面積(28.27cm
ΔP:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm
<加圧下吸収倍率(AAP)>
4.83kPa(0.7Psi)の圧力になるように調製した荷重を準備した。そして、底に400メッシュ(目開き38μm)の金網を貼着した直径60mmのプラスチック円筒の金網上に、粒子状吸水性樹脂0.90gを均一に散布した。その上に、上記荷重を載せて、この測定装置一式の質量W(g)を測定した。
【0106】
次に、直径150mmのペトリ皿の内側に、直径90mmのガラスフィルター(株式会社相互理化学硝子製作所製、細孔直径100〜120μm)を置き、0.90重量%の塩化ナトリウム水溶液(20〜25℃)を、ガラスフィルターの上面と同じレベルになるように加えた。
【0107】
その上に、直径90mmの濾紙(商品名:「JIS P 3801 No.2」、ADVANTEC東洋株式会社製、厚さ0.26mm、保留粒径5μm)を1枚載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
【0108】
上記測定装置一式を、上記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間(60分)後、測定装置一式を持ち上げ、その質量W(g)を測定した。そして、これら質量W、Wから、式(8)に従って、加圧下吸収倍率(g/g)を算出した。
加圧下吸収倍率(g/g)=(W−W)/粒子状吸水性樹脂の質量(g)・・・式(8)
なお、4.83kPa(0.7Psi)の圧力下(荷重下)での加圧下吸収倍率を用いたのは、乳幼児の寝ている状態及び座った状態で、吸収体または紙おむつ等の吸収性物品が使用される状況を想定したものである。
【0109】
<含水率>
含水ゲルないし吸水性樹脂1gを6cmのアルミ皿に薄く広げて、180℃の無風オーブンで3時間乾燥することで、その乾燥減量(重量%)を測定し、それをもって含水率した。なお、固形分(%)は、(100−含水率)(%)で規定される。
【0110】
〔製造例1〕
48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を9.7g/秒、アクリル酸を12.1g/秒、30重量%ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)水溶液(流量0.0513g/秒)と46重量%ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム水溶液(流量0.0016g/秒)との混合溶液を0.0529g/秒、および水を5.286g/秒の流量になるように設定して連続的にミキサーに供給することによって、単量体水溶液を調整した。このとき、単量体水溶液の温度は103℃であった。
【0111】
この調整された単量体水溶液に、さらに、1.0重量%過硫酸ナトリウム水溶液を流量0.589g/秒で加えた後、約100℃に保温された230cm/分の速度で走行するエンドレスベルトに、単量体水溶液を連続的に供給した。ベルト上に連続的に供給された単量体水溶液は速やかに重合を開始し、帯状の含水ゲルシート(含水ゲル重合体)が得られた。
【0112】
この含水ゲルシートを直径8mmのスクリーンを有するカッターミル(商品名:「U−280」、株式会社ホーライ製)を用いて連続的に粗解砕(細分化)した。そして、温度が約35℃で約2〜5mmの大きさの粒子状含水架橋重合体(a)を得た。このとき、粒子状含水架橋重合体(a)の含水率は29重量%であった。
【0113】
〔実施例1〕
粒子状含水架橋重合体(a)21.5kgを、予め熱風温度を180℃、風速2.4m/秒、伝熱管温度を180℃に設定しておいたコンダクションフロー乾燥機(商品名:「FCA−2」、株式会社大川原製作所製、流動床長さ850mm/流動床幅240mm=3.54)に投入した。そして、11分間乾燥を行い、重合体乾燥物を得た(1段目乾燥)。この操作を5回行い、含水率10.0重量%の乾燥物(A1)90kgを得た。乾燥物(A1)の重量平均粒子径は2.4mmであった。
【0114】
続いて、乾燥物(A1)を、ロールグラニュレーター(クリアランス10mm/5mm)を用いて粉砕し、重量平均粒子径が410μmである粒子状粉砕物(B1)(粒度制御された吸水性樹脂粉末)を得た。
【0115】
次に、得られた粒子状粉砕物(B1)20.0kgを、予め熱風温度を180℃、風速0.5m/秒に設定しておいたコンダクションフロー乾燥機に投入した。そして、40分間乾燥を行い(2段目乾燥)、含水率4.3重量%の乾燥物(C1)を得た。
【0116】
〔比較例1〕
実施例1と同様の操作を行い、乾燥物(A1)を得た(1段目乾燥)。
【0117】
続いて、乾燥物(A1)14.0kgを、予め熱風温度を180℃、風速2.4m/秒に設定しておいたコンダクションフロー乾燥機に投入した。そして、40分間乾燥を行い、含水率3.6重量%の粗粒乾燥物(D1)を得た(2段目乾燥)。
【0118】
〔実施例2〕・・・粒度制御後の加熱乾燥あり
実施例1において得られた粉砕乾燥物(C1)を目開き850μmと150μmとの篩網を用いて分級することにより、大部分が150〜850μmの粒子径を持ち、重量平均粒子径が414μmの粒子を得た。この分級した粒子400gに、1,4−ブタンジオール:プロピレングリコール:水=0.34:0.56:3.0の比からなる表面架橋剤含有水溶液14.04gを、レディゲミキサーで噴霧・混合を行った。その後、予めオイルバス温度を205℃にしておいたモルタルミキサーで40分間熱処理を行った。熱処理後、850μmの篩で分級し、表面処理物(E1)(表面架橋された吸水性樹脂)を得た。
【0119】
表面処理物(E1)35gとガラスビーズ10gとを、225mlのマヨネーズ瓶に入れ、ペイントシェイカーで30分間振とうした。次いで、振とう後の粉30gに、50%硫酸アルミニウム:プロピレングリコール:乳酸ナトリウム=1.0:0.025:0.167の比からなる通液性向上剤0.36gを添加・混合後、60℃の乾燥機で30分間硬化を行った。硬化後、ガラスビーズ10gの入った225mlのマヨネーズ瓶に入れ、ペイントシェイカーで10分間振とうし、アルミ表面処理物(F1)を得た。
【0120】
〔比較例2〕・・・粒度制御後の加熱乾燥なし
粗粒乾燥物(D1)をロールグラニュレーター(クリアランス10mm/5mm)を用いて粉砕した。次いで、目開き850μmと150μmとの篩網を用いて分級することにより、大部分が150〜850μmの粒子径を持ち、重量平均粒子径が397μmの粒子を得た。この粒子を実施例5において、40分間熱処理を55分間熱処理に変更したこと以外は、実施例5と同様の操作を行うことにより表面処理物(G1)およびアルミ表面処理物(H1)を得た。
【0121】
<物性比較>
表1は、アルミ表面処理物(F1)およびアルミ表面処理物(H1)の物性をまとめたものである。
【0122】
【表1】

【0123】
表1に示したように、実施例2(粒度制御後の第2乾燥あり,含水率4.3%)と比較例2(第2乾燥なし、含水率3.6%)とを比較すると、アルミ表面処理物(F1)では、アルミ表面処理物(H1)と比べて、GV30の場合のAAP0.7PsiおよびSFCの物性が向上するという結果になった。つまり、粒度制御後の第2乾燥を行うことにより、第2乾燥を行わない場合よりも、アルミ表面処理物の物性が向上するということが明らかになった。
【0124】
〔製造例2〕
48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を13.3g、アクリル酸を45.5g、工業純水を19.8gの割合で混合した中和液を連続的に作製した。
【0125】
上記中和液を78.6g/秒、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を23.3g/秒、20重量%ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)を0.199g/秒の流量になるように設定して連続的にミキサーに供給することによって、単量体水溶液を調整した。このとき、単量体水溶液の温度は95〜100℃であった。
【0126】
この調整された単量体水溶液に、さらに、46重量%ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム水溶液(流量0.0278g/秒)、4.0重量%過硫酸ナトリウム水溶液を流量0.635g/秒で加えた後、7m/分の速度で走行するエンドレスベルトに、単量体水溶液を連続的に供給した。ベルト上に連続的に供給された単量体水溶液は速やかに重合を開始し、帯状の含水ゲルシート(含水ゲル状重合体)が得られた。
【0127】
この含水ゲルシートを直径8mmのスクリーンを有するカッターミル(商品名:「RC450」、吉工製)を用いて連続的に粗解砕(細分化)し、約1〜3mmの大きさの粒子状含水架橋重合体(b)を得た。このとき、粒子状含水架橋重合体(b)の含水率は29重量%であった。
【0128】
粒子状含水架橋重合体(b)を280kg/hの量で、流動層乾燥機(商品名:「CT−FBD−0.91m」、株式会社奈良機械製作所、流動床長さ800mm/流動床幅550mm=1.45)に連続的に投入して乾燥を行った。なお、流動層内は、2枚の仕切り板で長さ方向をほぼ2対1対1の比で区切り3室構成とした。乾燥機の熱風の風速は2.4m/秒で、熱風の温度は1室目で130℃、2,3室目で190℃とした。乾燥機の出口は流動部の上部および下部に設けており、乾燥物の抜き出し量の比は上部出口/下部出口=4/1になった。粒子状含水架橋重合体(b)の滞留量は乾燥機の上部出口にある堰の高さにより制御した。乾燥中の流動層高は約900mm、粒子状含水架橋重合体(b)が乾燥機内を滞留する時間の平均は約50分とした。
【0129】
乾燥機を出た乾燥物(A2)は空気輸送を経て、ロールミルにより粉砕され、さらに連続的に目開きが850μmと213μmの篩を用いて分級することにより、大部分が150〜850μmの粒子径を持ち、重量平均粒子径が480μmの粒子状粉砕物(B2)を得た。この粒子状粉砕物(B2)のサンプリングを行い、含水率を測定すると、8.7重量%であった。
【0130】
〔実施例3〕
粒子状粉砕物(B2)500gを、予め熱風温度を220℃に設定した流動層乾燥機(商品名:「スプレードライヤー Pulvis GB−22」、ヤマト社製)に投入した。この乾燥機の流動層部のガラスセルにはマントルヒーターを取り付け、予め200℃に設定しておいた。40分加熱乾燥した後、加熱乾燥物(C2)を取り出し、含水率を測定したところ、1.3重量%であった。また、加熱乾燥物(C2)は粒子状粉砕物(B2)に比べ、含有水分を除いた部分の吸収倍率GV(固形分補正値)が7.3g/g増加した。
【0131】
〔実施例4〕
粒子状粉砕物(B2)500gを、熱風温度およびマントルヒーター温度を180℃に設定した実施例14の流動層乾燥機投入した。40分加熱乾燥した後、加熱乾燥物(C3)を取り出し、含水率を測定したところ、2.7重量%であった。また、加熱乾燥物(C3)は粒子状粉砕物(B2)に比べ、含有水分を除いた部分の吸収倍率GV(固形分補正値)が2.5g/g増加した。
【0132】
〔実施例5〕
粒子状粉砕物(B2)を40kg/hの量で、熱風温度および伝熱管温度を210℃、風速0.5m/秒に設定された実施例13のコンダクションフロー乾燥機に連続的に投入して加熱乾燥を行った。なお、流動層内は、3枚の仕切り板で長さ方向をほぼ等分に4分割して4室構成とした。この加熱乾燥中の流動層高は約250mmであり、粒子状粉砕物(B2)の滞留時間の平均は40分とした。層内温度が安定したところで乾燥機出口から排出された加熱乾燥物(C4)のサンプリングを行い、含水率を測定したところ、1.1重量%であった。また、加熱乾燥物(C4)は粒子状粉砕物(B2)に比べ、含有水分を除いた部分の吸収倍率GVが9.4g/g増加した。
【0133】
〔実施例6〕・・・粒度制御後の加熱乾燥あり(含水率1.3重量%)
上記実施例3(粒度制御後の加熱乾燥あり)で得られた含水率1.3重量%の加熱乾燥物(C2)500gに、1,4−ブタンジオール:プロピレングリコール:水=0.34:0.56:3.0の比からなる表面架橋剤含有水溶液17.55gを、レディゲミキサーで噴霧・混合した。その後、予めオイルバス温度を207℃にしておいたモルタルミキサーで30分間熱処理を行った。熱処理後、850μmの篩で分級し、表面架橋処理物(E2)を得た。
【0134】
〔実施例7〕・・・粒度制御後の加熱乾燥あり(含水率2.7重量%)
実施例6において、加熱乾燥物(C2)を実施例4の加熱乾燥物(C3)(含水率2.7重量%)に変更したうえ、表面架橋剤混合後の熱処理時間を25分に変更した以外は、実施例6と同様の操作を行い、表面架橋処理物(E3)を得た。
【0135】
〔実施例8〕・・・粒度制御後の加熱乾燥あり(含水率1.1重量%)
実施例6において、加熱乾燥物(C2)を実施例5の加熱乾燥物(C4)(含水率1.1重量%)に変更したうえ、表面架橋剤混合後の熱処理時間を35分に変更した以外は、実施例6と同様の操作を行い、表面架橋処理物(E4)を得た。
【0136】
〔比較例3〕・・・粒度制御後の加熱乾燥なし
上記製造例2(粒度制御後の加熱乾燥なし)で得られた含水率8.7重量%の粒子状粉砕物(B2)500gに、1,4−ブタンジオール:プロピレングリコール:水=0.34:0.56:3.0の比からなる表面架橋剤含有水溶液19.5gを、レディゲミキサーで噴霧・混合した。その後、予めオイルバス温度を207℃にしておいたモルタルミキサーで30分間熱処理を行った。熱処理後、850μmの篩で分級し、表面架橋処理物(I5)を得た。
【0137】
<物性比較>
表2は、表面架橋処理物(E2,E3,I5)の物性をまとめたものである。下記表6に示すように、粒度制御後の加熱乾燥あり、または、表面架橋前の含水率を3重量%以下とすることで、加圧下吸収倍率(AAP)が向上し、さらに、通液性(SFC)は飛躍的に向上する。
【0138】
【表2】

【0139】
〔実施例9〕
表面架橋処理物(E4)35gとガラスビーズ10gとを、225mlのマヨネーズ瓶に入れ、ペイントシェイカーで30分間振とうした。次いで、振とう後の粉30gに、50%硫酸アルミニウム:プロピレングリコール:乳酸ナトリウム=1.0:0.025:0.3の比からなる通液性向上剤0.3gを添加・混合後、60℃の乾燥機で30分間硬化を行った。硬化後、ガラスビーズ10gの入った225mlのマヨネーズ瓶に入れ、ペイントシェイカーで10分間振とうし、アルミ表面処理物(F4)を得た。
【0140】
表面処理物(E4)とアルミ表面処理物(F4)との物性は表3のようになった。下記表3に示すように、物性の低下しやすい連続表面架橋を行っても、物性の低下はなく、加熱乾燥工程を連続式加熱乾燥機で実施しても、表3で示した回分式加熱乾燥機で加熱乾燥を行った場合と同等の物性が得られた。
【0141】
【表3】

【0142】
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、物性に優れた粒子状吸水性樹脂を、低コストで高い生産性を確保しながら効率的に得ることができるという効果を奏する。
【0143】
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内において、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0144】
以上のように、本発明の吸水性樹脂の製造方法は、吸水特性等の効果を低減することなく、被乾燥物を乾燥するものである。このため、本発明の吸水性樹脂の製造方法により得られた粒子状吸水性樹脂は、優れた吸収特性等を示すものである。このような粒子状吸水性樹脂は、例えば、近年成長の著しい大人用紙オムツ、子供用オムツ、生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料用吸収剤として、凝集剤、凝結剤、土壌改良剤、土壌安定剤、増粘剤等に好適に用いられる水溶性重合体として、あるいは農園芸用分野、土木業分野において保水剤、脱水剤等として広く利用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体水溶液を重合する工程(1)、
前記工程(1)により得られた含水ゲル重合体を乾燥する工程(2)、
前記工程(2)により得られた乾燥物を粉砕して、または、粉砕及び分級して粒度を制御する工程(3)、および
前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に表面架橋を行う工程(5)を順次含む吸水性樹脂の製造方法であって、
前記表面架橋を行う工程(5)の前に、前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に第2の加熱乾燥を行う工程(4)を含むことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記第2の加熱乾燥を行う工程(4)の後の吸水性樹脂を冷却した後、前記表面架橋を行う工程(5)に供給することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記第2の加熱乾燥を行う工程(4)の後の吸水性樹脂を貯蔵した後、前記表面架橋を行う工程(5)に供給することを特徴とする請求の範囲第2項または第3項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記第2の加熱乾燥を行う工程(4)において、固形分あたりの無荷重下吸収倍率(GV)が増加するまで加熱することを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記第2の加熱乾燥を行う工程(4)を150〜300℃で行うことを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記第2の加熱乾燥を行う工程(4)を少なくとも10分以上行うことを特徴とする請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記表面架橋を行う工程(5)に供する吸水性樹脂の含水率(180℃で3時間の乾燥減量で規定)が0〜3重量%であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
単量体水溶液を重合する工程(1)、
前記工程(1)により得られた含水ゲル重合体を乾燥する工程(2)、
前記工程(2)により得られた乾燥物を粉砕して、または、粉砕及び分級して粒度を制御する工程(3)、および
前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に表面架橋を行う工程(5)を順次含む吸水性樹脂の製造方法であって、
前記表面架橋を行う工程(5)に供する吸水性樹脂の含水率(180℃で3時間の乾燥減量で規定)が0〜3重量%であることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記表面架橋を行う工程(5)の前に、前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に第2の加熱乾燥を行う工程(4)を含むことを特徴とする請求の範囲第8項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記工程(2)により得られた乾燥物の含水率(180℃で3時間の乾燥減量で規定)が5〜15重量%であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第9項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記工程(2)により得られた乾燥物の重量平均粒子径(篩分級で規定)が1〜5mmであることを特徴とする請求の範囲第1項〜第10項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末の重量平均粒子径(篩分級で規定)が200〜800μmであることを特徴とする請求の範囲第1項〜第11項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項13】
前記表面架橋を行う工程(5)に供する吸水性樹脂が100℃以下の温度に冷却されていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第12項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項14】
前記含水ゲル重合体が重合中ないし重合後に細粒化されていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第13項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項15】
前記含水ゲル重合体を乾燥する工程(2)または前記第2の加熱乾燥を行う工程(4)において、乾燥を流動層乾燥機で行うことを特徴とする請求の範囲第1項〜第15項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
【請求項16】
吸水性樹脂が下記(a)〜(c)の少なくとも1つの物性を満たすポリアクリル酸塩系吸水性樹脂であることを特徴とする請求の範囲第14項〜第28項のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
(a)無荷重下吸水倍率(GV)が20〜100g/gである。
(b)加圧下吸収倍率(AAP)が10g/g以上、28g/g以下の範囲内である。
(c)生理食塩水流れ誘導性(SFC)が少なくとも10(10−7・cm・s・g−1)である。