説明

吸水性樹脂

【課題】ゲル弾性率に優れた吸水性樹脂を提供することである。
【解決手段】式(1)で表されるビニルモノマーを必須構成単量体としてなる吸水性樹脂を用いる。
【化1】


OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜200の整数、Xは−CO2H、、−CO2R’、−CO2M、−CO2NR’4、−CONR’2又は−CNで表される基、Mは金属原子、R及びR’は水素原子又は炭素数1〜6の有機基を示す。
Xが−CO2M、−CO2NR’4又は−CONH2で表される基であることが好ましい。さらに(メタ)アクリル酸(塩)を必須構成単量体としてなることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸水性樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレン鎖をもつビニルモノマーを構成単量体とした吸水性樹脂が知られている(特許文献1等)。
【特許文献1】特開2004−123835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の吸水性樹脂は、ゲル弾性率が不十分な場合があるという問題がある。すなわち、従来の吸水性樹脂では、加水分解によりポリオキシアルキレン鎖が容易に切断されたり、カルボキシル基濃度が低いという問題がある。そこで、本発明の目的は、ゲル弾性率に優れた吸水性樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の吸水性樹脂は、式(1)で表されるビニルモノマーを必須構成単量体としてなる点を要旨とする。
【化1】

OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜200の整数、Xは−CO2H、−CO2R’、−CO2M、−CO2NR’4、−CONR’2又は−CNで表される基、Mは金属原子、R及びR’は水素原子又は炭素数1〜6の有機基を示す。
【発明の効果】
【0005】
本発明の吸水性樹脂は、加水分解されにくくい。また、カルボキシル基濃度を低下させない。この結果、本発明の吸水性樹脂は、著しく優れたゲル弾性率を発現し得る。したがって、本発明の吸水性樹脂は、荷重下における吸収量が極めて優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
一般式(1)において、炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが挙げられる。
これらのうち、製造しやすさの観点等から、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましい。
これらのオキシアルキレン基は、1種類でも2種類以上の混合でもよい。2種類以上の混合のとき、結合様式はブロック、ランダム及びこれらの組合せのいずれでもよい。
【0007】
また、nは、1〜200の整数が好ましいが、この範囲を超えてもよい。
また、R(炭素数1〜6の有機基)としては、アルキル、アルケニル及びアシル等が含まれる。
アルキルとしては、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル及びn−ヘキシル等が挙げられる。
アルケニルとしては、ビニル、1−プロペニル、2−ブテニル及び2,2−ジメチル−3−ブテニル等が挙げられる。
アシルとしては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル及びプロピオロイル等が挙げられる。
Rのうち、製造しやすさの観点等からは、水素原子及びアシルが好ましいが、加水分解性の観点等からは、水素原子、アルキル及びアルケニルが好ましく、さらに好ましくは水素原子及びアルキルである。
【0008】
また、R’(炭素数1〜6の有機基)としては、アルキル及びアルケニル等が含まれる。
R’のうち、水素原子及びアルキルが好ましく、さらに好ましくは加水分解性の観点等から水素原子である。
また、M(金属原子)としてはカルボン酸金属を形成し得るものでれば制限がないが、塩を形成し得る金属{アルカリ金属(リチウム、カリウム及びナトリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)及び遷移金属(銅及び亜鉛等)}等が好ましい。
Xのうち、−CO2H、−CO2M、−CO2NR’4、−CONR’2又は−CNで表される基が好ましく、さらに好ましくは−CO2M、−CO2NH4又は−CONH2で表される基、特に好ましくは−CO2M又は−CONH2で表される基である。
【0009】
一般式(1)で表されるビニルモノマーとしては、以下の、(1)カルボン酸(Xが−CO2H)、(2)カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)、(3)カルボン酸金属塩(Xが−CO2M)、(4)カルボン酸アンモニウム塩(Xが−CO2NR’4)、(5)アミド(Xが−CONR’2)及び(6)カルボン酸ニトリル(Xが−CN)等が好ましく例示される。
【0010】
(1)カルボン酸(Xが−CO2H)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシエチルオキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸等。
【0011】
(2)カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸メチル及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸メチル等。
【0012】
(3)カルボン酸金属塩(Xが−CO2M)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸カリウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキプロピルオキシシメチル)アクリル酸ナトリウム塩及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩等。
【0013】
(4)カルボン酸アンモニウム塩(Xが−CO2NR’4
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩等。
【0014】
(5)アミド(Xが−CONR’2
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド及びN,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド等。
【0015】
(6)カルボン酸ニトリル(Xが−CN)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸ニトリル及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル等。
【0016】
本発明で使用するビニルモノマーは、以下の公知の製造方法を組み合わせて得ることができる。
(1)α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドの製造
アクリル酸エステル、アクリロニトリル又はN,N−ジアルキルアクリルアミドとホルムアルデヒドとを三級アミンの存在下に反応させることにより、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドを得る(たとえば、特開昭61−134353号、USP4654432号、特開平5−70408号)。
【0017】
(2)α−ヒドロキシメチル基へオキシアルキレン基の導入
α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドと、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド等)とを反応させる(公知の反応触媒が使用できる)。
または、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドと、脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加体とをアルカリ存在下で反応させる(ウイリアムソン合成)。
脂肪族アルコールとしては、アルカノール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール及びn−ヘキサノール等)及びアルケノール(プロペノール、ブテノール及び2,2−ジメチル−3−ブテノール等)等が挙げられる。
【0018】
(3)必要により加水分解により、カルボン酸(Xが−CO2H)、カルボン酸金属塩(Xが−CO2M)、カルボン酸アンモニウム塩(Xが−CO2NR’4)へ誘導
α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドにオキシアルキレン基を導入したオキシアルキレン化合物を、加水分解しカルボン酸、カルボン酸金属塩又はカルボン酸アンモニウム塩とする(たとえば、第4版実験化学講座22、有機合成IV−酸・アミノ酸・ペプチド−、平成4年11月30日、(財)日本化学会編、丸善株式会社発行)。
また、カルボン酸ニトリル(Xが−CN)から、アミド(Xが−CONR’2)へ加水分解することもできる(たとえば、上記の実験化学講座22、151〜156頁)。
また、カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)から、アミド(Xが−CONR’2)へ変換することもできる(たとえば、上記の実験化学講座22、148〜151頁)。

また、カルボン酸ニトリル(Xが−CN)から、カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)へ変換することができる(たとえば、上記の実験化学講座22、53頁)。
【0019】
本発明の吸水性樹脂は、式(1)で表されるビニルモノマーを必須構成単量体としてなれば、このビニルモノマーの他に、他の構成単量体を含んでもよい。
他の構成単量体としては、特許文献1に記載されたラジカル重合性モノマー(a)及び架橋ラジカル重合性モノマー(c)等が挙げられる。
ラジカル重合性モノマー(a)としては、(メタ)アクリル酸(塩)が好ましく、さらに好ましくはアクリル酸(塩)である。なお、(メタ)アクリル酸(塩)とは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸塩を意味する。塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)塩、アンモニウム塩、アミン(アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルアミン等:たとえば、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、モノブチルアミン)塩、第4級アンモニウム塩(アルキル基の炭素数が1〜4のテトラアルキルアンモニウム塩:たとえば、テトラメチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩)等が含まれる。塩としては、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはカリウム塩及びナトリウム塩である。
架橋ラジカル重合性モノマー(c)としては、アリルオキシ基を含有するモノマーが好ましく、さらに好ましくはテトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールのトリアリルエーテルである。
【0020】
ラジカル重合性モノマー(a)を用いる場合、ビニルモノマーの使用量(重量%)は、ビニルモノマー及びラジカル重合性モノマー(a)の合計重量に基づいて、10〜95が好ましく、さらに好ましくは20〜85、特に好ましくは30〜75、次に好ましくは40〜65、最も好ましくは50〜65である。また、この場合、ラジカル重合性モノマー(a)の使用量(重量%)は、ビニルモノマー及びラジカル重合性モノマー(a)の合計重量に基づいて、5〜90が好ましく、さらに好ましくは15〜80、特に好ましくは25〜70、次に好ましくは35〜60、最も好ましくは35〜50である。
【0021】
架橋ラジカル重合性モノマー(c)を用いる場合、架橋ラジカル重合性モノマー(c)の使用量(重量%)は、ビニルモノマー及びラジカル重合性モノマー(a)の合計重量に基づいて、0.001〜20が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10、特に好ましくは1〜5である。
【0022】
ビニルポリマーを得るための重合方法としては公知の重合方法(特許文献1等)等が適用でき、たとえば、水溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合又は乳化重合のいずれでもよい。
これらの重合方法のうち、水溶液重合、懸濁重合、逆相懸濁重合又は乳化重合が好ましく、さらに好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合又は乳化重合、特に好ましくは水溶液重合又は逆相懸濁重合である。
この重合には、公知(特許文献1等)の、重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は水溶性有機溶媒等が使用できる。
【0023】
本発明の吸水性樹脂は、必要に応じて、公知の表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる(特許文献1等)。
本発明の吸水性樹脂の大きさは、特に制限がないが、公知の粒子径に調整することができる(特許文献1等)。
【0024】
本発明の吸水性樹脂には、必要により、公知の他の成分等を含ませてもよい。
他の成分としては、特許文献1に記載された添加剤(e)等が含まれ、添加量や添加する時期は特許文献1に記載された範囲等である。
【0025】
本発明の吸水性樹脂は、水を含む液体であれば制限なく吸液できるが、無機塩等を含有する水性液体の吸液に好適である。無機塩を含有する水性液体としては、尿、血液、海水、工業廃水及び泥水等が挙げられる。無機塩としてはアルカリ金属塩(塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム等)及びアルカリ土類金属塩(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム及び水酸化マグネシウム等)等が含まれる。
【0026】
本発明の吸水性樹脂は、吸水(吸液)及び/又は保水(保液)が要望される吸収成物品等に適しており、衛生用品(紙おむつ、生理ナプキン、失禁パット、母乳パット、手術用アンダーパット及びペットシート等)に好適である。本発明の吸水性樹脂は、鮮度保持剤、保冷剤、乾燥剤、ドリップ吸収剤、結露防止剤、土壌保水剤、ヘドロ凝固剤、止水材及び人工雪等にも適用できる。
【実施例】
【0027】
実施例において、部及び%は、特記しない限り、重量部及び重量%を意味する。
<合成例1>
アクリル酸メチルエステル86部(1モル部)、37%ホルムアルデヒド水溶液(メタノール含有量7%)122部(1.5モル部)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)7部(63ミリモル部)、メトキシハイドロキノン0.03部及びアセトニトリル100部を均一混合した後、80〜82℃で1時間反応させた。この反応液を40℃に冷却し、濃塩酸でpH5.0に調整した後、トルエン200部で抽出した。ついで、抽出物からトルエンを留去して、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルエステル(MHMA)の粗生成体を得た。
MHMAの粗生成体30部を水150部に溶解した後、石油エーテル60部を用いて不純物を3回抽出除去した。ついで、MHMA水溶液に食塩を飽和になるまで溶解させた後、トルエン抽出し、MHMAを精製した(純度98.5%)。
MHMA116部(1モル部)及び水酸化カリウム2部を混合し、100℃に調整した後、100℃でエチレンオキシド440部(10モル部)を滴下して反応させることにより、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)を得た。
【0028】
<合成例2>
アクリル酸メチルエステル86部(1モル部)をアクリル酸ニトリル50部(1モル部)に変更した以外、合成例1と同様にして、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル(HMAN)を得た後、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(HPEMAN)を得た。
【0029】
<合成例3>
アクリル酸メチルエステル86部(1モル部)をN,N−ジメチルアクリル酸アミド99部(1モル部)に変更した以外、合成例1と同様にして、N,N−ジメチル−α−ヒドロキシメチルアクリル酸アミド(HMAA)を得た後、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド(HPEMAA)を得た。
【0030】
<合成例4>
合成例1で得た(MHMA)116部(1モル部)及びTHF200部を混合し、5℃に調整した後、5℃で三臭化リン135部(0.5モル部)を滴下して反応させることにより、α−臭化メチルアクリル酸メチルエステル(MBMA)を得た。
ブタノールのエチレンオキシド8モル付加物426部(1モル部)及び水酸化カリウム112部(2モル部)を混合し、100℃に調整した後、上記で得た(MBMA)を滴下して反応させて、反応生成物を得た。その後、反応生成物を塩酸で中和し、析出した塩化カリウムを濾別することにより、α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MBPEMA)を得た。
【0031】
<合成例5>
合成例1で得た(MHMA)116部(1モル部)を合成例2で得た(HMAN)83部(1モル部)に変更した以外、合成例4と同様にして、α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(BPEMAN)を得た。
【0032】
<合成例6>
合成例1で得た(MHMA)116部(1モル部)を合成例3で得た(HMAA)129部(1モル部)に変更した以外、合成例4と同様にして、N,N−ジメチル−α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド(BPEMAA)を得た。
【0033】
<合成例7>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)556部(1モル部)と10%水酸化ナトリウム水溶液440部とを混合した後、60℃で8時間反応させて、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム(SHPEMA)を得た。
【0034】
<合成例8>
合成例5で得たα−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(BPEMAN)491部(1モル部)と10%水酸化ナトリウム水溶液440部とを混合した後、60℃で8時間反応させて、α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム(SBPEMA)を得た。
【0035】
<実施例1>
重合反応容器に、合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部、アクリル酸81.7部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.25部及び脱イオン水241部を仕込み、撹拌混合しながら内容物の温度を3℃に保った。次いで、内容物に窒素を流入して溶存酸素を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.3部、0.2%アスコルビン酸水溶液0.8部及び2%2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロリド水溶液0.8部を添加混合して重合を開始した。80℃になってから、この温度で5時間重合して、含水ゲルを得た。
この含水ゲルをインターナルミキサーで細断しながら30%水酸化ナトリウム水溶液162部を添加し混練した後、通気型バンド乾燥機で加熱乾燥(140℃、風速2m/秒)して、乾燥体を得た。
この乾燥体をジューサーミキサーで微粉砕し、篩(JIS Z8801−1:2000)を用いて、目開き250〜600μmの粒度に調整して粉状体を得た後、この粉状体100部を高速撹拌(細川ミクロン製高速撹拌タービュライザイー:回転数2000rpm)しながら、これにエチレングリコールジグリシジルエーテルの10%水/メタノール(体積比70/30)混合溶液2部を加え、140℃、30分間加熱処理することにより、本発明の吸水性樹脂(1)を得た。
【0036】
<実施例2>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部を、合成例2で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(HPEMAN)42部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂(2)を得た。
【0037】
<実施例3>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部を、合成例3で得たN,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド(HPEMAA)50部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂(3)を得た。
【0038】
<実施例4>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部を、合成例4で得たα−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MBPEMA)40部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂(4)を得た。
【0039】
<実施例5>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部を、合成例5で得たα−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(BPEMAN)30部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂(5)を得た。
【0040】
<実施例6>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部を、合成例6で得たN,N−ジメチル−α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド(BPEMAA)45部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂(6)を得た。
【0041】
<実施例7>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部を、合成例7で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム(SHPEMA)60部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂(7)を得た。
【0042】
<実施例8>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部を、合成例8で得たα−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム(SBPEMA)56部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂(8)を得た。
【0043】
<比較例1>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部を、ポリエチレングリコール(重合度10)モノメタクリレート42部に変更した以外実施例1と同様にして、比較用の吸水性樹脂(H1)を得た。
【0044】
<比較例2>
合成例1で得たα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)44部を、ブチルポリオキシエチレン(重合度8)メタクリレート39部に変更した以外実施例1と同様にして、比較用の吸水性樹脂(H2)を得た。
【0045】
<評価>
吸水性樹脂(1)〜(8)、(H1)又は(H2)について、それぞれゲル弾性率(N/m2)、加圧下における吸収倍率(g/g)を測定し、これらの結果を表1に示した。
【0046】
<ゲル弾性率の測定法>
吸水性樹脂1gに生理食塩水(食塩濃度0.9%)39gを加え、40倍ゲルを作成した後、この40倍ゲルを密閉容器中で40℃で1時間保温し、その後、25℃になるまで放冷した。
放冷したゲルから、任意に0.1gづつ10個の測定サンプルをはかりとり、1個づつクリープメーター(山電社製、型式RE−3305)のテーブル上に平坦になるようにのせて、一定速度(10mm/分)で40倍ゲルに断面積2cm2のプローブで荷重をかけて(0.1kgfから10kgfまで)、連続的に変化する応力を測定し、最大ピーク高さに対応する応力F(g)を求めた後、このFについて10個の算術平均値(Fa)を求め、次式に代入してゲル弾性率を算出した。
【数1】

【0047】
<加圧下での吸収倍率の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2000)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)内に吸水性樹脂0.1gを秤量し、プラスチックチューブの軸方向を垂直にしてナイロン網上に吸水性樹脂がほぼ均一厚さになるように整え、この吸水性樹脂の上に20g/cm2の荷重となるように外径29.5mm×22mmの分銅を乗せた。
次いで、人工尿(塩化カルシウム0.03%、硫酸マグネシウム0.08%、塩化ナトリウム0.8%、イオン交換水99.09%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に吸水性樹脂及び分銅の入ったプラスチックチューブをナイロン網側を下面にして浸し、放置した。60分後に吸水性樹脂及び分銅の入ったプラスチックチューブを計量し、吸水性樹脂が人工尿を吸収して増加した重量を算出し、60分後の増加量の10倍値を人工尿に対する加圧下での吸収倍率(g/g)とした。
【0048】
【表1】

【0049】
本発明の吸水性樹脂は、比較用の吸水性樹脂に比較して、優れたゲル弾性率を示し、極めて優れた加圧下における吸収倍率を発現することがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるビニルモノマーを必須構成単量体としてなることを特徴とする吸水性樹脂。
【化1】

OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜200の整数、Xは−CO2H、−CO2R’、−CO2M、−CO2NR’4、−CONR’2又は−CNで表される基、Mは金属原子、R及びR’は水素原子又は炭素数1〜6の有機基を示す。
【請求項2】
Xが−CO2M、−CO2NR’4又は−CONH2で表される基である請求項1に記載の吸水性樹脂。
【請求項3】
さらに(メタ)アクリル酸(塩)を必須構成単量体としてなる請求項1又は2に記載の吸水性樹脂。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の吸水性樹脂を構成成分として含んでなる吸収性物品。

【公開番号】特開2006−57039(P2006−57039A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242107(P2004−242107)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】