説明

吸着装置

【課題】本発明は、低気圧源に接続し、基板の吸着に用いる吸着装置に関する。
【解決手段】吸着装置は、吸着本体と、気圧制御装置とを含む。吸着本体は、分布範囲を有し基板に接触する平面と、複数の孔とを含む。これらの孔は、平面上に形成され、実質的に平面の分布範囲内に均等に分布する。気圧制御装置は、制御により、低気圧源とこれらの孔とを空圧的に接続する。基板が平面に接触し、かつ気圧制御装置がこれらの孔と低気圧源とを空圧的に接続すると、基板と吸着本体とは相互に固着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着装置に関し、特に基板の吸着に用いる吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展および半導体工程の進歩に伴い、フラットディスプレイパネルはすでに日常生活において重大な役割を果たしており、映像を鑑賞するための薄型テレビ、携帯電話やカメラに搭載された小型液晶画面(LCD)などは、いずれもフラットディスプレイパネルの製品タイプに属す。
液晶パネルの工程ステップにおいて、多くの場合、先に大型の基板を製造し、異なる顧客の要求に基づき、異なるパネルサイズにより、液晶セルマザー基板(LCD cell mother board)の工程を行い、独立した液晶セルに分割し、液晶画面を製造する。
【0003】
詳細に言えば、セル切断(Cell cut)ステップは、セル組立(Cell assembly)ステップの後に行なわれる。セル組立は、カラーフィルター(Color Filter)のA面ガラスと、液晶セル(LCD Cell)のB面ガラスとを上下に位置決めして組み合わせることにより、液晶セルマザー基板を形成するものである。セル切断ステップとは、特定サイズの液晶画面の仕様に合わせて、この液晶セルマザー基板を切断するものである。A面ガラスとB面ガラスとの間にIC搭載領域またはその他の端子配線領域が存在しているため、パネル切断ステップを行うときに、先ずA面ガラスの切断を完了してからこのパネル基板を反転させB面ガラスを切断するか、反対の順序で切断することによって、特定サイズのセルを形成し、IC搭載領域またはその他の端子配線領域に傷がつかないようにすることができる。
【0004】
公知技術においては、液晶セルマザー基板の切断ステップを行うときに、公知のチャックを使用して、液晶セルマザー基板を反転させ移動させるなどのステップが必要である。しかしながら、公知のチャックの吸着力は、ガラス基板の一点に集中し、応力が集中しやすく、かつ公知のチャックを使用して大型基板を吸着するときには、各点のチャックの移動が一致せず、または移動速度が速すぎ、基板に割れが生じやすくもなる。上述した公知のチャックの制限により、現在、大型の基板の切断ステップを行うときには、多くの場合、先ず大型基板、例えば液晶セルマザー基板を、4つの比較的小さなサイズの基板に四等分に切断するか、さらに多くのさらに小さなサイズの基板に切断してから、人の手で注意深くパネル基板を反転させ移動させるなどのステップを行っている。しかしながら、前記工程は、パネル基板サイズの大型化および日増しに薄型化する基板の厚さのため、労務コストが高すぎ、生産効率が下がり、工程歩留まりが低くなるなどの問題がすでに生じている。
【0005】
これに鑑み、大型基板を確実に吸着可能な吸着装置を提供することが、業界で解決が求められている課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、大型基板を吸着可能であり、かつ損傷なしに、高効率に前記基板を搬送し反転させるなどの動作を完了する吸着装置を提供し、前記パネル基板の割れを防止し、生産歩留まりを高め、労務コストを節約し、生産効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、吸着装置は、吸着本体と、気圧制御装置とを有する。吸着本体は、平面と、複数の孔とを含む。平面は、分布範囲を有し、基板に接触する。これらの孔は、平面上に形成され、実質的に平面の分布範囲内に均等に分布する。気圧制御装置は、制御により、低気圧源とこれらの孔とを空圧的に接続し、平面に接触する基板と吸着本体とを相互に固着させる。基板が平面に接触し、かつ気圧制御装置がこれらの孔と低気圧源とを空圧的に接続すると、基板と吸着本体とは相互に固着する。これにより、本発明の吸着装置は、応力が集中して基板を吸着することを防止し、後続する自動化した基板の反転および基板の搬送などの工程に有利である。
【0008】
前記目的、技術的特徴、および利点をさらに分かりやすくするため、以下、好ましい実施例と図面を合わせ、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の吸着装置の立体図である。
【図2】本発明の吸着本体の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の吸着装置10の立体図である。吸着装置10は、低気圧源(図には未表示)に接続され、かつ基板(図には未表示)を吸着するために用いられる。吸着装置10は、吸着本体20と、気圧制御装置30とを含む。図2に示したように、吸着本体20は、平面22と、複数の孔24とを含む。平面22は分布範囲26を有し、かつ平面22は基板に接触する。孔24は、平面22上に形成され、実質的に平面22の分布範囲26内に均等に分布する。気圧制御装置30は、制御により、低気圧源と孔24とを空圧的に接続し、平面22に接触する基板と吸着本体20とを相互に固着させる。
これにより、基板が平面22に接触し、かつ気圧制御装置30が孔24と低気圧源とを空圧的に接続すると、基板は吸着本体20と相互に固着することができ、脱落しない。このとき、吸着装置10は、平面22の分布範囲26内の孔24に実質的に均等に分布し、均一に分布した吸着力を基板の表面上に付勢し、応力集中によって基板が割れてしまうことを防止することができるだけでなく、基板の搬送および反転などの工程を機械により自動化することができる。特に説明が必要なことは、本実施例において、基板は、分割し液晶表示装置の液晶セルマザー基板を製造可能なガラス基板であることが好ましく、かつ低圧源は、真空ポンプであることが好ましいことである。
【0011】
好ましい実施例において、吸着本体20の孔24は、複数の群に分けることができ、かつ気圧制御装置30は、複数の気圧制御弁を対応して含む。これらの気圧制御弁は、これらの群にそれぞれ空圧的に接続し、かつ各前記気圧制御弁は、各前記群内の孔24を独立して制御し、それぞれ低気圧源と空圧的に接続する。本発明の実施例において、これらの気圧制御弁は、好ましくは、それぞれ電磁弁であり、孔24は、好ましくは、第一群、第二群、第三群、第四群および第五群の、計5群に分けることができる。これらの気圧制御弁は、好ましくは、前記5群にそれぞれ空圧的に接続した、5つの気圧制御弁である。図2に示したように、平面22の分布範囲26は、第一領域261、第二領域262、第三領域263、第四領域264、第五領域265および第六領域266に分けられる。第二領域262、第三領域263および第四領域264は、第一領域261を順次外で囲んで設けられ、かつ第五領域265および第六領域266は、第四領域264の2つの対向側にそれぞれ設けられる。孔24の第一群、第二群、第三群および第四群は、それぞれ第一領域261内、第二領域262内、第三領域263内および第四領域264内に実質的に均等に分布し、かつ孔24の第五群は、第五領域265および第六領域266内に実質的に均等に分布する。
【0012】
これにより、平面22の分布範囲26が基板に接触し、かつ気圧制御装置30がこれらの気圧制御弁で孔24と低気圧源とを空圧的に接続すると、吸着本体20は、第一領域261、第二領域262、第三領域263、第四領域264、第五領域265および第六領域266と基板とを相互に固着することができる。このような配置の利点は、上述した第一領域261、第二領域262、第三領域263、第四領域264、第五領域265および第六領域266のうちのいずれかの領域で、気圧制御弁に故障が生じたなどの原因により、基板と密着できず低圧が漏洩し、基板を吸着できないときに、他の領域は依然として正常に動作するこれらの気圧制御弁により基板吸着の動作を維持することができ、吸着力を失ったことにより基板が脱落し基板を破損するに至らないことである。また、孔24の配置は、吸着力を分散し、吸着応力が集中して基板に傷がつくことを防止する効果も有する。また、吸着本体20の平面22には、第一領域261と、第二領域262と、第三領域263と、第四領域264と、第五領域265と、第六領域266との間に設けられた複数の溝28がさらに形成されている。
【0013】
吸着装置10は、緩衝装置40と、支持構造50とをさらに含むことができ、緩衝装置40は、支持構造50と吸着本体20との間に設けられる。支持構造50は、基板を反転させ搬送するなどの工程を行う他の機械化設備とさらに接続する。緩衝装置40が、吸着本体20が基板と瞬間的に接触するときに生じる衝撃力を吸収することにより、基板に傷がつくことを防止し、生産歩留まりを高める。
【0014】
本発明の吸着装置10は、液晶セルマザー基板の切断工程に広範に応用することができる。例えば、1つの応用において、吸着装置10は基板反転装置の反転部に設けられ、かつ吸着装置10が基板を吸着し固着したときに、反転部が吸着装置10を動かし基板とともに反転することができる。もう1つの応用において、吸着装置10は、基板搬送装置に設けられ、かつ吸着装置10が基板を吸着し固着したときに、基板搬送装置が吸着装置10を動かし、基板とともに、第一位置から第二位置に移動する。
【0015】
以上を総合すると、本発明の吸着装置10は、気圧制御装置30が、制御により、低気圧源と孔24とを空圧的に接続することを介し、吸着本体20の接触領域26が基板を吸着し固着することができる。気圧制御装置20のこれらの気圧制御弁は、各前記群内の孔24を独立して制御するため、いずれかの領域またはいずれかの気圧制御弁が正常に動作できなくても基板を吸着し、他の気圧制御弁または領域の正常な動作にも影響を及ぼさず、これにより、吸着装置10の基板固着の信頼性を大幅に高め、基板に傷をつけることを防止する。さらに、平面22の分布範囲26内に均等に分布する孔24も吸着力を均等に分散し、吸着応力が集中しすぎて基板の機能を損傷することを防止することによって、基板の生産歩留まりを高める。
【0016】
前記実施例は、本発明の実施形態を例示し、本発明の技術的特徴を説明するためのものであり、本発明の保護範疇を制限するためのものではない。当業者が容易に行うことができる変更または同等の配置は、本発明の請求の範囲に属し、本発明の権利保護範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0017】
10 吸着装置
20 吸着本体
22 平面
24 孔
26 分布範囲
261 第一領域
262 第二領域
263 第三領域
264 第四領域
265 第五領域
266 第六領域
28 溝
30 気圧制御装置
40 緩衝装置
50 支持構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を吸着するために用いられ、かつ低気圧源と接続する吸着装置において、
分布範囲を有し該基板に接触する平面、および該平面上に形成され該平面の該分布範囲内に実質的に均等に分布する複数の孔を含む吸着本体と、
制御により、該低気圧源とこれらの孔とを空圧的に接続(pneumatically connecting)し、該平面に接触する該基板と該吸着本体とを相互に固着させる気圧制御装置と、
を備えた吸着装置。
【請求項2】
該吸着本体のこれらの孔は複数の群に分けられ、該気圧制御装置は複数の気圧制御弁を対応して含み、これらの気圧制御弁はこれらの群にそれぞれ空圧的に接続し、かつ各該気圧制御弁は、各該群内のこれらの孔を独立して制御し、該低気圧源と空圧的に接続する請求項1に記載の吸着装置。
【請求項3】
これらの孔は、第一群と、第二群と、第三群と、第四群と、第五群とに分けられ、かつこれらの気圧制御弁は、これらの群にそれぞれ対応して空圧的に接続する5つの気圧制御弁である請求項2に記載の吸着装置。
【請求項4】
該平面の該分布範囲は、第一領域と、第二領域と、第三領域と、第四領域と、第五領域と、第六領域とに分かれ、該第二領域と、該第三領域と、該第四領域とは、該第一領域を順次外で囲んで設けられ、該第五領域と第六領域とは、該第四領域の2つの対向側にそれぞれ設けられ、該第一群と、該第二群と、該第三群と、該第四群とは、それぞれ該第一領域内、該第二領域内、該第三領域内、および該第四領域内に実質的に均等に分布し、該第五群は、該第五領域および該第六領域内に実質的に均等に分布する請求項3に記載の吸着装置。
【請求項5】
緩衝装置と、支持構造とをさらに含み、該緩衝装置は、該支持構造と該吸着本体との間に設けられ、該吸着本体が該基板と瞬間的に接触するときに生じる衝撃力を吸収する請求項4に記載の吸着装置。
【請求項6】
該吸着本体の該平面に、第一領域と、第二領域と、第三領域と、第四領域と、第五領域と、第六領域との間に設けられた複数の溝がさらに形成されている請求項5に記載の吸着装置。
【請求項7】
これらの気圧制御弁は、それぞれ電磁弁である請求項2に記載の吸着装置。
【請求項8】
該吸着装置は、基板反転装置の反転部に設けられ、かつ該反転部が該吸着装置を動かし、該吸着装置が吸着し固着した該基板とともに反転する請求項1に記載の吸着装置。
【請求項9】
該吸着装置は、基板搬送装置に設けられ、かつ該基板搬送装置が該吸着装置を動かし、該吸着装置が吸着し固着した該基板とともに、第一位置から第二位置に移動する請求項1に記載の吸着装置。
【請求項10】
該低圧源は、真空ポンプである請求項1に記載の吸着装置。
【請求項11】
該基板は、液晶表示装置のガラス基板である請求項1に記載の吸着装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−93081(P2011−93081A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16726(P2010−16726)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(510026493)
【Fターム(参考)】