説明

吸遮音性能を有する浄化ユニット、及びこれを用いた浄化構造体

【課題】本発明は、騒音及び大気汚染の著しい道路沿道や工業地帯等の環境であって、ある程度通風量を確保できる場所で、騒音を低減すると共に、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵等の汚染物質を除去する技術を提供する。
【解決手段】活性炭素繊維を含んで構成され、プリーツ状に加工されるとともにプリーツ表裏間に通風性を有する活性炭素繊維成型体3と、活性炭素繊維成型体3のプリーツ表面側に配設される表面板4と、プリーツ裏面側に配設される遮音性能を有する背面板1とを備えて構成され、表面板4に当該表面板表裏間において通風を許容する通風孔4aを備え、プリーツ状に加工された活性炭素繊維成型体3により画定されるプリーツ谷部に形成される、プリーツ折り目に沿った連通空間を、表面板4に設けられる通風孔4aから侵入する浄化対象流体を浄化する浄化空間として形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の交通量が非常に多い道路沿道、発電所や工場などが密集する工業地帯などの大気汚染が著しい環境において、通風路を通流する空気などの浄化対象流体に含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するのに有効な触媒繊維を用いた浄化ユニットの構造、及び当該浄化ユニットを用いた浄化構造体、並びに当該浄化ユニットを用いた浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大都市の幹線道路や、工場の密集する工業地帯などでは、車両の走行や工場の設備の稼働に伴う騒音と大気汚染が著しく、生活環境への影響が深刻な問題となっている。特に、遮音壁で囲まれた車道では、高濃度の汚染大気が滞留し、その近傍の住宅地等において、環境基準を大きく超えるなど深刻な問題となっている。
【0003】
このような地域では、大気(空気)浄化のために、遮音壁の全面に光触媒を塗布した構造が従来広く用いられ、また、騒音軽減のために、遮音壁の内部にグラスウール等の吸音材を充填した構造が広く用いられている。
ここで、前述の光触媒を塗布する構造の遮音壁では、その触媒作用で空気中の窒素酸化物を硝酸へ酸化し、雨水により洗い流すことができるが、遮音壁自身に通風性が無いため、当該遮音壁の表面付近に貯留して接触した空気のみが反応することとなるので、広範囲の浄化には適さない。また、このような光触媒による酸化は、太陽光中の紫外線を用いる反応なので、日陰部位や、夜間には浄化作用は現れない。一方、光触媒を塗布しない遮音壁やグラスウール等の吸音材を充填しただけの遮音壁は、単に遮音・吸音だけであり、空気浄化効果は持たなかった。そのため、窒素酸化物等の有害物質は、遮音壁を越えて生活環境へ拡散し、被害をもたらしている。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1には、遮音板と複数の木材との間に粒状木炭を入れた網状の袋を設置し、遮音・吸音と大気の浄化とを行う吸遮音性能を有する空気浄化構造体が開示されている。
また、特許文献2には、木材屑を不織布などの膜材に充填し、当該膜材を遮音壁の内部に設置し、遮音と大気の浄化とを行う空気浄化構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3828109号公報
【特許文献2】特開2007−21275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の粒状木炭や木材屑は、遮音壁の内部の入り組んだ箇所、すなわち、遮音板と木材との間の閉鎖された空間や膜材により形成された空間であって、通風路(道路等)を通流する空気の流入圧力では直接接触し難い箇所に設置されており、自然風や車両の走行風だけで有効な空気浄化を行うことは困難である。
また、当該粒状木炭や木材屑は、一般に空気浄化能力が低く、充分な空気浄化を行なうことは困難と考えられる。さらに、粒状木炭や木材屑は吸音性能が殆ど無いため、遮音壁が有するべき吸音性を充分に確保することは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、自動車の交通量が非常に多く、道路交通騒音および大気汚染の著しい道路沿道や、発電所や工場などが密集し、工場騒音と大気汚染が著しい工業地帯などの環境であって、ある程度の通風量を確保できる場所において、騒音を低減すると共に、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するのに使用可能な吸遮音性を有する浄化ユニットの構造、及びそれを用いた浄化構造体の技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る浄化ユニットの第1特徴構成は、活性炭素繊維を含んで構成され、プリーツ状に加工されるとともにプリーツ表裏間に通風性を有する活性炭素繊維成型体と、前記活性炭素繊維成型体のプリーツ表面側に配設される表面板と、プリーツ裏面側に配設される遮音性能を有する背面板とを備えて構成され、前記表面板に、当該表面板表裏間において通風を許容する通風孔を備え、前記プリーツ状に加工された活性炭素繊維成型体により画定されるプリーツ谷部に形成される、プリーツ折り目に沿った連通空間を、前記表面板に設けられる通風孔から侵入する浄化対象流体を浄化する浄化空間として形成した点にある。
【0009】
上記第1特徴構成の浄化ユニットによれば、活性炭素繊維成型体がプリーツ状に加工されているので、活性炭素繊維成型体のプリーツにより画定されるプリーツ谷部に形成される、プリーツ折り目に沿った連通空間を形成することができる。そして、上記プリーツ状に加工された活性炭素繊維成型体のプリーツ表面側に通風孔を備えた表面板が配設され、プリーツ裏面側に背面板が配設されるので、上記連通空間を、上記表面板に設けられる通風孔から侵入する浄化対象流体を浄化する浄化空間とすることができる。よって、通風孔から浄化ユニット内に侵入する浄化対象流体が良好に通風可能な浄化空間を確実に確保することができ、当該浄化空間を通風する際の圧力損失も非常に小さいものとすることができる。この際には、活性炭素繊維成型体の表面側には表面板が設けられていることから、当該表面板の通風孔から侵入した浄化対象流体が直接活性炭素繊維に接触することが可能な位置に活性炭素繊維成型体が配置されており、この点においても、上記浄化空間を通風する際の圧力損失を非常に小さいものとすることができている。
また、上記浄化空間内を通風する浄化対象流体は、プリーツの折り目方向に流れることから比較的長い間活性炭素繊維成型体に接触し、さらには若干の浄化対象流体が活性炭素繊維成型体の繊維間に入り込むので、その浄化対象流体に含まれる汚染物質は良好に活性炭素繊維成型体に接触して酸化除去されることとなる。特に、NOXの酸化除去には、比較的長い接触時間が必要であるので、上記のように比較的長い間活性炭素繊維成型体に沿って通流させるという構成が効果的となる。なお、活性炭素繊維成型体を構成する活性炭素繊維は、NOX等の酸化除去について非常に優れた触媒作用を有しているため、当該活性炭素繊維を用いることにより良好にNOX等の汚染物質を除去することができる。
一方、上記表面板から伝播する騒音は、活性炭素繊維成型体に接触し、この活性炭素繊維成型体が有する吸音性能により、良好に吸音されることとなる。また、上記騒音の全てを活性炭素繊維成型体により吸音できない場合であっても、当該騒音は遮音性能を有する背面板により遮音され、良好に低減することができる。
従って、本発明により、通風路を通風する自然風や車両の走行風だけで、空気などの浄化対象流体の浄化を良好に行なうことができるとともに、騒音を吸音・遮音して有効に低減させることができる。
【0010】
本発明に係る浄化ユニットの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記プリーツの折り目方向において相互に所定の間隔を維持して、複数の前記活性炭素繊維成型体が配置される点にある。
【0011】
上記第2特徴構成の浄化ユニットによれば、複数の活性炭素繊維成型体がプリーツの折り目方向において相互に所定の間隔を維持して配置されているので、単体の活性炭素繊維成型体に関してプリーツの浄化空間を比較的短いものとすることができ、浄化対象流体が当該浄化空間を通風する際の圧力損失を低減して、比較的容易に当該浄化空間を通風させることができる。よって、浄化対象流体の流入圧力が比較的低い場合であっても、浄化対象流体の浄化を確実に行なうことができる。また、上記所定の間隔が形成されることにより、当該間隔において複数のプリーツの並び方向への通風が生じる場合があり、この場合には、浄化空間における浄化対象流体の通風を良好に誘導することができる。ただし、浄化空間の長さは、汚染物質をある程度酸化除去することができる長さを最低限確保する必要がある。
【0012】
本発明に係る浄化ユニットの第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成の浄化ユニットの構成に加えて、前記活性炭素繊維成型体と前記背面板との間に前記表面板側から伝播する音を吸音する吸音空間が設けられた点にある。
【0013】
上記第3特徴構成の浄化ユニットによれば、活性炭素繊維成型体と背面板との間に吸音空間が設けられるので、表面板側から伝播して活性炭素繊維成型体を通過して減衰させられた騒音(音波)は吸音空間に侵入し、当該吸音空間内において背面板による反射及び活性炭素繊維成型体による吸音が繰り返されることで、さらに減衰して、騒音を充分に低減することができる。
【0014】
本発明に係る浄化ユニットの第4特徴構成は、上記第3特徴構成の浄化ユニットの構成に加えて、前記吸音空間に吸音材が充填されてなる点にある。
【0015】
上記第4特徴構成の浄化ユニットによれば、吸音空間内に吸音性能を有するグラスウール、ロックウール、発泡ウレタンなどの吸音材が充填されているので、吸音空間に侵入し、当該吸音空間内において背面板による反射及び活性炭素繊維成型体による吸音が繰り返される騒音(音波)を、さらにグラスウール等の吸音材によって吸音することができる。従って、より確実に騒音を低減することができる。
【0016】
本発明に係る浄化ユニットの第5特徴構成は、上記第1から第4特徴構成の何れかに加えて、前記活性炭素繊維成型体を前記表面板と前記背面板との間に備えて、前記表面板と前記背面板とを一体とする枠部材を備えた点にある。
【0017】
上記第5特徴構成の浄化ユニットによれば、活性炭素繊維成型体を表面板と背面板との間に配置した状態で、これら表面板と背面板とを枠部材により確実に固定することができる。これにより、浄化ユニットとして一体化を簡単に図ることができ、当該浄化ユニットを浄化対象場所に設置する際の取り扱いを比較的容易にすることができる。
【0018】
本発明に係る浄化ユニットの第6特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、前記枠部材が、少なくとも前記プリーツの折り目方向において、前記浄化空間を通風する浄化対象流体が当該浄化空間と外部空間との間で出入り可能な出入孔を備えた点にある。
【0019】
上記第6特徴構成の浄化ユニットによれば、プリーツの折り目方向において、浄化空間を通風する浄化対象流体がこの浄化空間と外部空間との間で出入り可能な、浄化ユニットの端に位置する出入孔を枠部材が備えるので、浄化空間への浄化対象流体の通風を促進することができる。すなわち、表面板の通風孔から浄化空間に侵入した浄化対象流体を、この浄化対象流体の通風方向(プリーツの折り目方向)の延長上にある出入孔を通じて、この通風方向を変えることなく浄化ユニットの外部空間へ排出できることとなる。したがって、浄化対象流体の流入圧力が小さい場合であっても、浄化空間内に浄化対象流体を滞留させずに、当該浄化空間内から排出して、表面板から新たな浄化対象流体を比較的容易に流入させることができる。これにより、浄化空間へできるだけ多くの浄化対象流体を通風させることができ、汚染物質の浄化量を増加することができる。ここで、出入孔は、浄化ユニットの浄化空間から浄化対象流体を外部空間に排出するのみではなく、当該排出の場合と同様に、浄化対象流体を外部空間から浄化空間に流入させて、当該浄化空間へできるだけ多くの浄化対象流体を通風させることができ、汚染物質の浄化量を増加することも可能である。
なお、上記外部空間とは、浄化ユニットの外部空間であるが、浄化ユニットが複数ある場合には、ある浄化ユニット内を通風した浄化対象流体が出入孔を通じて別の浄化ユニットの浄化空間に流入若しくは排出されたときの、当該浄化空間も外部空間に該当する。
【0020】
上記目的を達成するための本発明に係る浄化構造体の第1特徴構成は、上記第1から第6特徴構成の何れかの浄化ユニットを、前記浄化対象流体が通風する通風路に沿って設けてなる浄化構造体において、前記表面板を前記通風路に沿って配設し、前記通風路から前記浄化ユニット内に侵入して前記浄化空間を通風する浄化対象流体を、前記浄化空間で浄化させる点にある。
【0021】
上記第1特徴構成の浄化構造体によれば、これまで説明してきたように、上述した第1から第6特徴構成の何れかを有する浄化ユニットは、活性炭素繊維成型体の浄化空間を浄化対象流体が通風する際に発生する圧力損失が小さいので、通風路を通風する自然風・車両の走行風等だけで、浄化対象流体を表面板を介して浄化空間に良好に通風させることができる。また、浄化対象流体を比較的長い時間、活性炭素繊維成型体に接触させることができるので、その浄化対象流体に含まれる汚染物質を良好に酸化除去することができる。さらには、活性炭素繊維成型体による吸音、及び背面板による遮音によって騒音を良好に低減することもできる。また、通風路を流れる浄化対象流体による通風を、浄化のドライブフォースとして利用することができる。
【0022】
本発明に係る浄化構造体の第2特徴構成は、上記浄化構造体の第1特徴構成に加えて、前記浄化空間の連通方向を、前記通風路を通風する浄化対象流体の通風方向と同じ方向となるように設置してなる点にある。
【0023】
上記第2特徴構成の浄化構造体によれば、上記浄化ユニット内の浄化空間の連通方向が、通風路を通風する浄化対象流体の通風方向と同じ方向となるように当該浄化ユニットが配置されているので、通風路を通風する自然風や車両の走行風(浄化対象流体を含む)が上記浄化ユニットの表面板を介して浄化空間に侵入し、そのままの通風方向を維持したまま、浄化空間を通風することができる。よって、通風路を通風する自然風等が表面板を介して浄化空間に侵入する際の流入圧力が比較的小さい場合であっても、浄化空間内に浄化対象流体を良好に通風させることができ、当該浄化対象流体を良好に浄化できるとともに、吸音をも行なうことができる。ここで、通風路を通風する浄化対象流体の通風方向は、通風路の路面に平行な方向(水平方向)、通風路の路面に垂直な方向(垂直方向)を主として想定することができ、この通風方向と同じ方向となるように、活性炭素繊維成型体により形成される浄化空間の連通方向を、例えば、上記水平方向や垂直方向として浄化構造体を設置することができる。なお、通風路を通風する浄化対象流体のほとんどが上記水平方向に通流する場合には、これに合わせて浄化空間の連通方向も当該水平方向にし、通風路を通風する浄化対象流体のほとんどが上記垂直方向に通流する場合には、これに合わせて浄化空間の連通方向も当該垂直方向となるように浄化構造体を設置することができる。
【0024】
本発明に係る浄化構造体の第3特徴構成は、上記浄化構造体の第2特徴構成に加えて、前記通風路を通風する浄化対象流体の通風状態に対応して、上記浄化ユニットを、複数組合わせて設置されてなる点にある。
【0025】
上記第3特徴構成の浄化構造体によれば、通風路を通風する浄化対象流体の通風状態に対応して、上記浄化ユニットを複数組合わせて設置することができるので、複数設置された浄化ユニットの表面板の表面付近において、浄化対象流体の通風方向がそれぞれ異なる場合であっても、通風路を通流する浄化対象流体の通風方向を変えることなく当該浄化対象流体を浄化空間に導くことができる。例えば、通風路を通流する浄化対象流体が、ある浄化ユニットの表面板の表面付近では上記水平方向に通風し、別の浄化ユニットの表面板の表面付近では上記垂直方向に通風している場合には、これら浄化対象流体の通風方向に対応して、浄化空間の連通方向が水平方向の浄化ユニットと連通方向が垂直方向の浄化ユニットとを組合わせて浄化対象区域に設置することができ、通風路に通風する浄化対象流体を確実に浄化空間に導いて、汚染物質の浄化を行なうことができる。
【0026】
本発明に係る浄化構造体の第4特徴構成は、上記浄化構造体の第1から第3の何れかの特徴構成に加えて、前記活性炭素繊維成型体を前記表面板と前記背面板との間に備えて、前記表面板と前記背面板とを一体とする枠部材を備えた前記浄化ユニットを複数、前記枠部材同士を接触させて積層してなる点にある。
【0027】
上記第4特徴構成の浄化構造体によれば、活性炭素繊維成型体を表面板と背面板との間に配置した状態で、これら表面板と背面板とを枠部材により確実に固定した浄化ユニットとすることができるとともに、この枠部材を備えた浄化ユニットの複数を枠部材同士が接触した状態で積層することができるので、浄化ユニットとして一体化を簡単に図ることができるとともに、当該浄化ユニットを浄化対象場所に設置する際の取り扱いを比較的容易にすることができる。
【0028】
本発明に係る浄化構造体の第5特徴構成は、上記浄化構造体の第4特徴構成に加えて、前記枠部材が、少なくとも前記プリーツの折り目方向において、前記浄化空間を通風する浄化対象流体が当該浄化空間と外部空間との間で出入り可能な出入孔を備えてなる点にある。
【0029】
上記第5特徴構成の浄化構造体によれば、上記枠部材に出入孔を備えた上記浄化ユニットの複数を、枠部材同士が接触した状態で積層することができるので、浄化ユニットの浄化空間を通風する浄化対象流体を、枠部材が有する出入孔を介して、さらに別の浄化ユニットの浄化空間に通風させることができ、浄化された浄化対象流体をさらに浄化することが可能となる。また、積層されて最上部となった浄化ユニットの出入孔から浄化対象流体を排出することが可能となり、通風路から浄化空間内への浄化対象流体の侵入を促進することができる。
【0030】
上記目的を達成するための本発明に係る浄化方法の第1特徴手段は、上記第1から第6特徴構成の何れかの浄化ユニットを、前記浄化対象流体が通風する通風路に沿って設けて、前記浄化対象流体を浄化する浄化方法において、前記表面板を前記通風路に沿って配設し、前記浄化対象流体を前記表面板の通風孔から侵入させて前記浄化空間に通風させ、当該浄化空間で浄化するとともに、前記表面板側から伝播された音を吸音する点にある。
【0031】
上記第1特徴手段の浄化方法によれば、これまで説明してきたように、上述した第1から第6特徴構成の何れかを有する浄化ユニットは、活性炭素繊維成型体の浄化空間を浄化対象流体が通流する際に発生する圧力損失が小さいので、通風路を通風する自然風・車両の走行風等だけで、浄化対象流体を表面板の通風孔から侵入させ、浄化空間に良好に通風させることができる。また、浄化対象流体を比較的長い時間、活性炭素繊維成型体に接触させることができるので、その浄化対象流体に含まれる汚染物質を浄化空間において良好に酸化除去することができる。さらには、活性炭素繊維成型体による吸音、及び背面板による遮音によって、表面板側から伝播された騒音を良好に低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態に係る空気浄化ユニットの分解斜視図
【図2】第1及び第2実施形態に係る空気浄化ユニットの全体図
【図3】第1実施形態に係る空気浄化ユニットの部分側断面図
【図4】第1及び第2実施形態に係る空気浄化構造体を配置した状態を示す斜視図
【図5】(a)第1実施形態に係る空気浄化構造体100の部分平断面図,(b)第1実施形態に係る空気浄化構造体100の部分斜視図
【図6】第2実施形態に係る空気浄化ユニットの分解斜視図
【図7】(a)第2実施形態に係る空気浄化構造体の部分側断面図,(b)第2実施形態に係る空気浄化構造体の部分斜視図
【図8】活性炭素繊維のNO吸着破過曲線を示すグラフ図
【図9】第3実施形態に係る空気浄化ユニットの分解斜視図
【図10】第4実施形態に係る空気浄化ユニットの分解斜視図
【図11】第4実施形態に係る空気浄化ユニットの全体図
【図12】第4実施形態に係る空気浄化ユニットの側断面図
【図13】別実施形態に係る空気浄化構造体の斜視図
【図14】別実施形態に係る空気浄化ユニットの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第1実施形態〕
本発明に係る浄化ユニット、浄化構造体、及び、浄化方法の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
ここで、本第1実施形態では、浄化対象流体を空気とし、上記浄化ユニットとしての空気浄化ユニット30、上記浄化構造体としての空気浄化構造体100、浄化方法としての空気浄化方法について説明する。
【0034】
〔空気浄化ユニット〕
本発明に係る空気浄化ユニット30の第1実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。
尚、図1は、空気浄化ユニット30の分解斜視図、図2は、空気浄化ユニット30の全体図、図3は、空気浄化ユニット30の側断面図である。
【0035】
図1〜図3に示すように、空気浄化ユニット30は、遮音性能を有する背面板1、吸音性能を有する吸音材2、酸化触媒機能及び吸音性能を有する活性炭素繊維からなる活性炭素繊維成型体3、表裏間において通風を許容する通風孔4aを備えた表面板4、背面板1と表面板4とを一体的に固定する枠部材5とを備えて構成されている。そして、空気浄化ユニット30は、枠部材5により背面板1と表面板4とが一体的に固定されることにより、背面板1、吸音材2、活性炭素繊維成型体3、表面板4の順に配置され、当該表面板4が、汚染物質を含んだ空気Aが通風する通風路20側となるように配置されて使用される。
【0036】
すなわち、空気浄化ユニット30は、詳細は後述するが、図4、図5に示すように、通風路20に通風する空気Aを表面板4に設けられた通風孔4aから侵入させることで、その空気Aに含まれる汚染物質を活性炭素繊維成型体3を構成する活性炭素繊維に接触させ、その触媒機能により酸化除去するものである。
また、空気浄化ユニット30は、活性炭素繊維成型体3に空気Aを通風させる際に発生する圧力損失を小さくして、別途送風機を設けなくても自然風等だけで活性炭素繊維成型体3の表面近傍に空気Aを通風させることができ、さらに空気Aを当該空気浄化ユニット30から浄化済み空気Bとして外部空間に排出させて、空気Aに含まれる汚染物質を良好に除去可能とするように構成されている。
さらに、空気浄化ユニット30は、表面板4側から伝播する騒音を吸音性能を有する活性炭素繊維成型体3及び吸音材2により吸音し、遮音性能を有する背面板1により遮音して、当該騒音を低減することが可能に構成されている。
以下、この空気浄化ユニット30の詳細構成について説明する。
【0037】
1.背面板
背面板1は、平板状に形成された遮音性能を有する公知の遮音板により構成されており、例えば、図1に示すように、長方形で平板状の金属材料からなる遮音板を用いて構成することができる。背面板1の厚さは、後述する表面板4側からの騒音を遮音することができる程度の厚みであれば良いが、浄化ユニット30内に収まる厚さであることが必要であり、1mm〜3mm程度の厚みとすることが好ましい。金属材料としては、鉄、アルミ、ステンレスなどを用いることができる。なお、図1において示すように、背面板1の長手方向に凸部を設けて、当該凸部により分断される背面板1の短手方向において、後述する吸音材2を複数配置するための領域を設けることもできる。
【0038】
2.吸音材
吸音材2は、平板状に形成された吸音性能を有する公知の材料、例えばグラスウール、ロックウール、発泡ウレタンなどにより構成されている。例えば、図1に示すように、長方形で平板状に成型されたグラスウールを用いて吸音材2とすることができ、上記背面板1の表面の凸部により形成された領域に複数(例えば、2つ)配置することができる。このグラスウールからなる吸音材2は、後述する表面板4側からの騒音をある程度吸音することができる程度の厚みであれば良いが、浄化ユニット30内に収まる厚さであることが必要であり、20mm〜30mm程度の厚みとすることが好ましい。なお、グラスウールの密度は、吸音性能を確保するため、30kg/m3〜40kg/m3程度とすることが好ましい。
【0039】
3.活性炭素繊維成型体
活性炭素繊維成型体3は、活性炭素繊維をフェルト状、シート状、板状に加工するとともに、さらにプリーツ状に形成されて構成される。
【0040】
まず、活性炭素繊維成型体3を構成する活性炭素繊維は、空気A中の汚染物質、特にNOXを良好に酸化除去し得るので好適に用いることができる。特に、窒素吸着法による比表面積が400m2/g〜500m2/gの範囲内であり、MP法で解析した細孔分布において、直径2nm以下のミクロポアの内、直径1nm以下のものが全ミクロポア容積の80%以上を占めるものを用いることが好ましく、このような活性炭素繊維の吸着機能と触媒機能により、大気汚染の原因となるNOXの内、特に常温で除去することが困難な一酸化窒素(NO)を常温で長期間除去することができる。
また、上記活性炭素繊維成型体3を構成する活性炭素繊維としては、ピッチ系活性炭素繊維(例えば、アドール株式会社製の「A−15」)やポリアクリロニトリル系活性炭素繊維を用いることが好ましく、除去が比較的容易なNO2に加え、従来除去が困難であったNOも良好に除去することができる。
【0041】
以下、下記の表1に示すような5種類(A〜E)の活性炭素繊維を用いたNO除去性能試験を行った結果を説明する。
尚、本試験では、A〜Eの各活性炭素繊維に、20ppmのNOを含む25℃の乾燥空気を流通させ、その活性炭素繊維を通過後に出口から排出された空気中のNO濃度を単位時間毎に計測した。尚、各活性炭素繊維の質量は1g、全空気流量は500mL/minであり、空気と活性炭素繊維との接触時間は2〜3秒に揃えた。
図8に、A〜Eの各活性炭素繊維について、上記出口NO濃度の経時的な変化状態をプロットしたNO吸着破過曲線を示す。このNO吸着破過曲線から判るように、活性炭素繊維Aは、20時間経過後の出口NO濃度が14ppmと最も低く、更に、50時間経過後も15ppm前後と、入口濃度(20ppm)に対し5ppmも低い状態で安定していた。なお、活性炭素繊維Dは、出口濃度が一番高いが、20時間経過時、50時間経過時においても入口濃度(20ppm)に対し2ppm程度低い状態とすることができており、ある程度の酸化除去性能を維持していた。
更に、50時間後のNO吸着量の積分値を求めた場合、下記の表1に示すように、活性炭素繊維Aが9.9ml/gと最も高かった。
なお、活性炭素繊維Aは、直径2nm以下のミクロポアの内、直径1nm以下のものが全ミクロポア容積の80%以上を占める活性炭素繊維である。
【0042】
【表1】

【0043】
次に、上記のような活性炭素繊維をフェルト状、シート状、板状に加工する。例えば、活性炭素繊維を公知の方法を用いて平板状の不織布に加工することにより、フェルト状、シート状、板状の活性炭素繊維を得ることができる。なお、この活性炭素繊維の厚さ方向の中心部には、保形するための網状の芯材を埋め込んで構成することもできる。
さらに、フェルト状、シート状、板状に加工された活性炭素繊維をプリーツ状に加工して、活性炭素繊維成型体3として構成する。なお、フェルト状、シート状の活性炭素繊維は柔軟で、形状安定性が無いので、適宜、金網、アルミ、SUS製のメッシュ、樹脂製のネットなど、活性炭素繊維を通気性のある材料に挟んでプリーツ状に加工することもできる。さらに、熱を加え、ヒートセット処理して形状を安定させることもできる。
ここで、プリーツ状とは、山折りと谷折りとを交互に繰り返して平板状の繊維に折り目(プリーツ折り目)を形成することにより、当該繊維の表裏面それぞれに、折り目方向に連通空間を形成した谷部(プリーツ谷部)が形成されている状態をいう。
具体的には、図3に示すように、活性炭素繊維がプリーツ状に加工されることにより、当該プリーツにより画定されるプリーツ谷部が形成され、プリーツ折り目に沿ったプリーツ谷部で連通空間が形成されることとなる。この連通空間は、後述する表面板4の少なくとも通風孔4aから侵入する空気Aを活性炭素繊維に接触させて浄化する浄化空間7となる。活性炭素繊維は通気性を有するので、空気Aは活性炭素繊維成型体3に形成されたプリーツ表裏間を通風することも可能に構成されている。なお、上記プリーツは、空気Aを良好に通風することができる浄化空間7を形成することができる形状であればよいが、プリーツの高さ(山と谷との距離)が10mm〜40mm程度、プリーツの山と山との間隔が10mm〜80mm程度であることが好ましい。
本実施形態では、図1に示すように、長方形の背面板1や表面板4の長手方向に上記浄化空間7を形成した活性炭素繊維成型体3を用いているとともに、当該活性炭素繊維成型体3を複数(具体的には、3つ)用いて、これら活性炭素繊維成型体3がプリーツの折り目方向D(上記背面板1の長手方向)において相互に所定の間隔を維持するように配置している。なお、プリーツの折り目方向は、矢印Dとして表している。
【0044】
4.表面板
表面板4は、平板状に形成されたアルミ板等の金属材料により構成されている。さらに、この表面板4は、この表面板4の表裏間において、通風路20を通風する空気Aの通風を許容する通風孔4aを備えて構成されている。この通風孔4aは、表面板4の表面(通風路20側)から表面板4の裏面(活性炭素繊維成型体3側)に通風路20を通風する空気Aを良好に侵入させることができるように、表面板4の表面および裏面を貫通するように構成され、表面板4の表面及び裏面の全体に配設されている。通風孔4aは、例えば、表面板4を金網状、メッシュ状、格子状、パンチングメタル状に形成することにより形成することができる。この表面板4は、外部からの衝撃を受けた場合でも上記活性炭素繊維成型体3の破壊を防止することができる程度の厚みであれば良いが、浄化ユニット30内に収まる厚さであることが必要であり、1mm〜3mm程度の厚みとすることが好ましい。
【0045】
5.枠部材
枠部材5は、図1に示すように、鉄板やアルミ板等の金属材料により、それぞれ平板状の上面枠部材5a、下面枠部材5b、側面枠部材5c、5dから構成され、これらが組み合わされて矩形状の筒体を形成することができる。そして、これら枠部材5により背面板1と表面板4とが上記筒体の内部に配設された状態で一体的に固定され、背面板1、吸音材2、活性炭素繊維成型体3、表面板4の順の配置を維持したまま、一体的に固定することができる(図1〜図3参照)。この際、枠部材5同士の固定は、ビス、リベット等公知の固定方法を用いて行い、矩形状の筒体とすることができる。
また、上面枠部材5a、下面枠部材5bには、それぞれ矩形状の筒体となった際に当該筒体の内部と外部との間で空気を通風させることが可能な出入孔6aが設けられている。この出入孔6aは、図1に示すように、例えば、長孔とすることができる。同様に、側面枠部材5c、5dには、それぞれ矩形状の筒体となった際に当該筒体の内部と外部との間で空気を通風させることが可能な出入孔6bが設けられている。この出入孔6bは、図1に示すように、例えば、通風性のあるパンチングメタル孔とすることができる。
【0046】
6.空気浄化ユニット
空気浄化ユニット30は、図1〜図3に示すように、上述した背面板1、吸音材2、活性炭素繊維成型体3、表面板4が枠部材5により一体的に固定されて構成される。
よって、空気浄化ユニット30は、通風路20に通風する空気A(空気浄化ユニット30の背面板1の長手方向に通風する空気A)を、少なくとも表面板4に設けられた通風孔4aから侵入させることで、その空気Aを通風方向を変化させずに活性炭素繊維成型体3により形成された浄化空間7内に通風させて、空気Aに含まれる汚染物質を活性炭素繊維成型体3を構成する活性炭素繊維に接触させ、その触媒機能により酸化除去することができるものである。
また、空気浄化ユニット30は、活性炭素繊維成型体3に空気A(空気浄化ユニット30の背面板1の長手方向に通風する空気A)を通風させる際には、活性炭素繊維成型体3にプリーツ谷部を形成してこのプリーツ谷部を浄化空間7として通風させることにより、浄化空間7を空気Aの通風方向を変化させずに通風させて、この浄化空間7を通風する際の圧力損失を小さくして、別途送風機を設けなくても自然風等だけで活性炭素繊維成型体3に空気Aを通風させることができ、さらに空気Aを当該空気浄化ユニット30から浄化済み空気Bとして外部空間に排出させて、空気Aに含まれる汚染物質を良好に除去可能とするように構成されている。
さらに、空気浄化ユニット30は、表面板4側から伝播する騒音を吸音性能を有する活性炭素繊維成型体3及び吸音材2により吸音し、遮音性能を有する背面板1により遮音して、当該騒音を低減することが可能に構成されている。
【0047】
〔空気浄化構造体及び空気浄化方法〕
本発明に係る空気浄化構造体100及び空気浄化方法の実施の形態について図4、図5に基づいて説明する。
尚、図4は、浄化対象区域に対して、空気浄化ユニット30を積層して空気浄化構造体100を配置した状態を示す斜視図、図5(a)は、空気浄化構造体100の部分平断面図、図5(b)は、空気浄化構造体100の部分斜視図である。
【0048】
空気浄化構造体100は、汚染物質を含んだ空気Aが通風する通風路20(例えば、道路)に沿って設けられる。この際には、上記空気浄化ユニット30の表面板4の表面が通風路20側となるように空気浄化構造体100が設けられる。
具体的には、図4に示すように、通風路20に沿って所定の間隔で支柱31を配設し、2つの支柱31の間に上記空気浄化ユニット30を積層して配置して、空気浄化構造体100が設けられる。すなわち、支柱31としてH型鋼を用いた場合について説明すると、当該H型鋼の中空部分Xを通風路20に沿った方向となるように配置し、当該中空部分Xに平板状に形成された空気浄化ユニット30を上部から落とし込むように建て込む方式で、複数の空気浄化ユニット30を下段から順次設置する。この際には、図4、図5に示すように、支柱31の中空部分Xに上部から建て込むことが可能となるように概略U字形状の空気排出部材9が上記空気浄化ユニット30の側面枠部材5c、5dの外側にそれぞれ設けられ、この空気排出部材9が上記支柱31の中空部分Xに収まることにより空気浄化ユニット30と支柱31とを固定することができる。この空気排出部材9には、浄化空間7を通風した空気Aを出入孔6bを介して、支柱31の中空部分Xに排出することができるように、当該出入孔6bに対応する箇所に排出孔9aが設けられている。
【0049】
そして、図5に示すように、空気浄化ユニット30の活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向が、通風路20において通風する空気Aの通風方向と同じ方向とされており、浄化空間内において空気Aは通風路20と同じ方向に通風することとなる。なお、空気Aは、空気浄化ユニット30の背面板1の長手方向と同じ方向(水平方向)に通風しており、この空気Aは、そのままの方向を維持したまま側面枠部材5cの出入孔6b及び空気排出部材9の排出孔9aを介して支柱31の中空部分Xに排出され、浄化済み空気Bとなって外部空間へと排出することが可能に構成されている。
【0050】
次に、実際に上記空気浄化構造体100を通風路20に沿って、設置した場合において通風路20を通風する空気Aの空気浄化方法について説明する。
図4に示すように、空気浄化ユニット30の表面板4の表面が、通風路20側となるように空気浄化構造体100を通風路20に沿って設置する。ここで、空気浄化ユニット30の活性炭素繊維成型体3としては、背面板1及び表面板4の長手方向と同じ方向のプリーツ折り目を有する活性炭素繊維成型体3を3つ用いており、当該プリーツ折り目の方向D(浄化空間7の連通方向)は通風路20を通風する空気Aの通風方向と同じ方向(水平方向)とされている。
自然風や車両の走行風などにより通風路20を通風する空気Aは、図5(a)、(b)に示すように、空気浄化ユニット30の表面板4の通風孔4aを介して、空気浄化ユニット30内に侵入する。この空気Aは、表面板4の裏面側に配置された活性炭素繊維成型体3の浄化空間(プリーツ谷部)7に直接導かれて、当該浄化空間7内を、通風路20を通風していた通風方向と同じ方向のまま通風することとなる。この際には、活性炭素繊維成型体3を構成する活性炭素繊維と接触し、また、その一部は活性炭素繊維の表裏間を通風して良好に空気Aに含まれる汚染物質を酸化除去することができる。同時に、表面板4を介して伝播してきた騒音は、当該活性炭素繊維成型体3及び吸音材2により吸音、背面板1により遮音されて良好に低減されることとなる。
そして、浄化空間7を通風する空気Aは、空気浄化ユニット30の側面枠部材5c(側端部分)に到達し、出入孔6b、及び排出孔9aを介して支柱31の中空部分Xに排出され、さらに、この中空部分X内を支柱31の高さ方向に沿って通風し、浄化済み空気Bとして空気浄化構造体100の外部に排出されることとなる。
【0051】
したがって、通風路20を通風する空気Aが、空気浄化ユニット30内の浄化空間7を通風して、空気浄化ユニット30(空気浄化構造体100)の外部空間に浄化済み空気Bとして排出されるまでの循環路を形成することができる。そして、上述のとおり、浄化空間7を含む循環路を通風する際の圧力損失が極めて低くなるように構成されていることから、通風路20を通風する空気Aが自然風や車両の走行風などであっても別途送風機等を用いることなく、上記循環路に空気Aを通風させて汚染物質の浄化を行うことができる。また、上述のとおり、騒音は、活性炭素繊維成型体3及び吸音材2により吸音、背面板1により遮音されて良好に低減することができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る空気浄化ユニット30、空気浄化構造体100、及び、空気浄化方法の第2実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については簡単のため説明を省略する。
【0053】
上記第1実施形態の空気浄化ユニット30では、活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向を背面板1の長手方向(水平方向)となるように配置し、さらに当該活性炭素繊維成型体3を3つ配置する構成とした。しかし、汚染物質を良好に酸化除去し、騒音を低減できる構成であればこの構成に限定されることなく、図6に示す第2実施形態のように、活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向を背面板1の短手方向(垂直方向)となるように単数配置する構成の空気浄化ユニット30とすることもできる。
以下、第2実施形態に係る空気浄化ユニット30、これを用いた空気浄化構造体100及び空気浄化方法について説明する。
【0054】
第2実施形態に係る活性炭素繊維成型体3は、活性炭素繊維をフェルト状、シート状、板状に加工するとともに、さらにプリーツ状に形成されて構成されるが、図6に示すように、長方形の背面板1や表面板4の短手方向(垂直方向)に上記浄化空間7を形成した活性炭素繊維成型体3を1つ用いて、表面板4の裏面側に配置するものとされている。
【0055】
空気浄化ユニット30は、図2、図6、図7に示すように、上述した背面板1、吸音材2、活性炭素繊維成型体3、表面板4が枠部材5により一体的に固定されて構成される。
尚、図2は、第2実施形態に係る空気浄化ユニット30の全体図、図6は、空気浄化ユニット30の分解斜視図、図7(a)は、空気浄化構造体100の部分側断面図、図7(b)は、空気浄化構造体100の部分斜視図である。
よって、空気浄化ユニット30は、通風路20に通風する空気A(空気浄化ユニット30の背面板1の短手方向に通風する空気A)を表面板4に設けられた通風孔4aから侵入させることで、その空気Aを活性炭素繊維成型体3により形成された浄化空間7を通風方向を変化させずに通風させて、空気Aに含まれる汚染物質を活性炭素繊維成型体3を構成する活性炭素繊維に接触させ、その触媒機能により酸化除去することができるものである。
また、空気浄化ユニット30は、活性炭素繊維成型体3に空気A(空気浄化ユニット30の背面板1の短手方向に通風する空気A)を通風させる際には、活性炭素繊維成型体3にプリーツ谷部を形成してこのプリーツ谷部を浄化空間7として通風させることにより、浄化空間7を空気Aの通風方向を変化させずに通風させて、この浄化空間7を通風する際の圧力損失を小さくして、別途送風機を設けなくても自然風等だけで活性炭素繊維成型体3に空気Aを通風させることができ、さらに空気Aを当該空気浄化ユニット30から浄化済み空気Bとして外部空間に流入若しくは排出させて、空気Aに含まれる汚染物質を良好に除去可能とするように構成されている。
さらに、空気浄化ユニット30は、表面板4側から伝播する騒音を吸音性能を有する活性炭素繊維成型体3及び吸音材2により吸音し、遮音性能を有する背面板1により遮音して、当該騒音を低減することが可能に構成されている。
【0056】
本発明に係る空気浄化構造体100及び空気浄化方法の実施の形態について図4、図7に基づいて説明する。
尚、図4は、浄化対象区域に対して、空気浄化ユニット30を積層して空気浄化構造体100を配置した状態を示す斜視図、図7(a)は、空気浄化構造体100の部分側断面図、図7(b)は、空気浄化構造体100の部分斜視図である。
【0057】
空気浄化構造体100は、汚染物質を含んだ空気Aが通風する通風路20(例えば、道路)に沿って設けられる。この際には、上記空気浄化ユニット30の表面板4の表面が通風路20側となるように空気浄化構造体100が設けられる。
具体的には、図4に示すように、通風路20に沿って所定の間隔で支柱31を配設し、2つの支柱31の間に上記空気浄化ユニット30を積層して配置して、空気浄化構造体100が設けられる。すなわち、支柱31としてH型鋼を用いた場合について説明すると、当該H型鋼の中空部分Xを通風路20に沿った方向となるように配置し、当該中空部分Xに平板状に形成された空気浄化ユニット30を上部から落とし込むように建て込む方式で、複数の空気浄化ユニット30を下段から順次設置する。なお、この際には、図4、図7に示すように、支柱31の中空部分Xに上部から建て込むことが可能となるように概略U字形状の空気排出部材9を上記空気浄化ユニット30の側面枠部材5c、5dの外側にそれぞれ設け、この空気排出部材9が上記支柱31の中空部分Xに収まることにより空気浄化ユニット30と支柱31とを固定することもできる。この空気排出部材9には、浄化空間7を通風した空気Aを出入孔6bを介して、支柱31の中空部分Xに排出することができるように、当該出入孔6bに対応する箇所に排出孔9aが設けられている。
【0058】
そして、図7に示すように、空気浄化ユニット30の活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向が、通風路20において通風する空気Aの通風方向と同じ方向とされており、浄化空間7内において空気Aは通風路20の空気Aと同じ方向に通風することとなる。なお、空気Aは、空気浄化ユニット30の背面板1の短手方向と同じ方向(垂直方向)に通風しており、この空気Aは、そのままの方向を維持したまま上面枠部材5aの出入孔6aを介して浄化済み空気Bとして空気浄化ユニット30の外部空間へと排出することが可能に構成されている。この際、空気浄化ユニット30が積層されて配置されているため、空気浄化ユニット30の上面枠部材5aの出入孔6aから排出された浄化済み空気Bは、さらに上部に配置された別の空気浄化ユニット30の下面枠部材5bの出入孔6aを介して当該空気浄化ユニット30内に流入し浄化空間7を通風して、再度浄化・吸音されることとなる。したがって、少なくとも表面板4の通風孔4aから侵入した空気Aは、複数の空気浄化ユニット30の浄化空間7を通過して最終的に浄化済み空気Bとして、最上部の空気浄化ユニット30の上面枠部材5aの出入孔6aから外部空間に円滑に排出されることとなる。なお、この場合には、空気浄化ユニット30の側面枠部材5c、5dに出入孔6bを設けても設けなくてもよく、同様に、空気排出部材9に排出孔9aを設けても設けなくてもよい。
【0059】
次に、実際に上記空気浄化構造体100を通風路20に沿って、設置した場合において通風路20を通風する空気Aの空気浄化方法について説明する。
図4に示すように、空気浄化ユニット30の表面板4の表面が、通風路20側となるように空気浄化構造体100を通風路20に沿って設置する。ここで、空気浄化ユニット30の活性炭素繊維成型体3としては、背面板1及び表面板4の短手方向と同じ方向のプリーツ折り目を有する活性炭素繊維成型体3を1つ用いており、当該プリーツ折り目の方向D(浄化空間7の連通方向)は通風路20を通風する空気Aの通風方向(垂直方向)と同じ方向とされている。
自然風や車両の走行風などにより通風路20を通風する空気Aは、図7(a)、(b)に示すように、空気浄化ユニット30の表面板4の通風孔4aを介して、空気浄化ユニット30内に侵入する。この空気Aは、表面板4の裏面側に配置された活性炭素繊維成型体3の浄化空間(プリーツ谷部)7に直接導かれて、当該浄化空間7内を、通風路20を通風していた通風方向と同じ方向のまま通風することとなる。この際には、活性炭素繊維成型体3を構成する活性炭素繊維と接触して、また、その一部は活性炭素繊維の表裏間を通風して良好に空気Aに含まれる汚染物質を酸化除去することができる。同時に、表面板4を介して伝播してきた騒音は、当該活性炭素繊維成型体3及び吸音材2により吸音、背面板1により遮音されて良好に低減されることとなる。
そして、浄化空間7を通風する空気Aは、空気浄化ユニット30の上面枠部材5a(上端部分)に到達し、出入孔6aを介して浄化済み空気Bとして空気浄化構造体100の外部に排出されることとなる。この際、当該空気浄化ユニット30の上部に別の空気浄化ユニット30が配置されている場合には、上記浄化済み空気Bは、当該別の空気浄化ユニット30の下面枠部材5bの出入孔6aから当該別の空気浄化ユニット30内に流入して、再度浄化空間7内を通風する。そして、最終的に上記空気Aは、最上部に設けられた空気浄化ユニット30の上面枠部材5aの出入孔6aから浄化済み空気Bとして外部空間に排出されることとなる。
【0060】
したがって、通風路20を通風する空気Aが、空気浄化ユニット30内の浄化空間7を通風して、空気浄化ユニット30(空気浄化構造体100)の外部空間に浄化済み空気Bとして排出されるまでの循環路を形成することができる。そして、上述のとおり、浄化空間7を含む循環路を通風する際の圧力損失が極めて低くなるように構成されていることから、通風路20を通風する空気Aが自然風や車両の走行風などであっても別途送風機等を用いることなく、上記循環路に空気Aを通風させて汚染物質の浄化を良好に行うことができる。また、上述のとおり、騒音は、活性炭素繊維成型体3及び吸音材2により吸音、背面板1により遮音されて良好に低減することができる。
【実施例】
【0061】
次に、図1に示す空気浄化ユニット30と同じ構成のもの(実施例1)、図6に示す空気浄化ユニット30と同じ構成のもの(実施例2)と、従来の構成の空気浄化ユニット(比較例)との夫々のNOX浄化率、遮音性能(透過損失)、吸音性(垂直入射吸音率)を
計測した試験を行った。
【0062】
〔実施例1〕
実施例1の空気浄化ユニット30は、背面板1が、縦500mm×横2000mm×厚さ1.6mmの鉄板で構成され、吸音材2は、縦200mm×横2000mm×厚さ20mm、密度32kg/m3のグラスウールが背面板1の凸部を挟んで上下二段に配置されて構成される。
活性炭素繊維成型体3は、縦500mm×横500mm×厚さ(プリーツの山高さ)30mmで構成される。この活性炭素繊維成型体3を構成する前の活性炭素繊維は、前述の比表面積1500m2/g、繊維直径15μmのピッチ系活性炭素繊維(アドール株式会
社製の「A−15」)を厚さ6mmのフェルト状の不織布に乾式加工されたものであり、このフェルト状の活性炭素繊維をアルミ網で挟んで、隙間(プリーツの折り目と折り目の間隔)が12mm、プリーツの山高さ30mmとなるようにプリーツ状に加工して、上記活性炭素繊維成型体3として構成した。なお、この活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向は、長方形の背面板1や表面板4の長手方向に形成されており、また、当該活性炭素繊維成型体3を3つ用いて、これら活性炭素繊維成型体がプリーツの折り目方向(上記背面板1の長手方向)において相互に所定の間隔(50mm)を維持して配置することとしている。
また、表面板4は、縦500mm×横2000mm×厚さ1.6mmのアルミ板で構成され、表面板4の通風孔4aは直径10mmのパンチング孔であり(3mm〜20mmとしてもよい)、表面板4の表面に対する開口率が50%以上程度として構成されている。さらに、枠部材5は、縦500mm×横2000mm×厚さ100mmの鉄板により構成されている。
したがって、当該枠部材5は空気浄化ユニットの最外部を構成するため、空気浄化ユニットも縦500mm×横2000mm×厚さ100mmの大きさに構成されている。
【0063】
〔実施例2〕
上記実施例1とほぼ同様の構成であるが、活性炭素繊維成型体3が、縦500mm×横2000mmに構成され、この活性炭素繊維成型体3を1つだけ用いることとした。また、この活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向は、長方形の背面板1や表面板4の長手方向とは垂直に形成されている。
【0064】
〔比較例〕
実施例1及び2の構成とほぼ同様の構成であるが、活性炭素繊維成型体3を配置せず、その代わり、吸音材2と合わせて、グラスウールを厚さが50mmとなるように設置した。さらに、表面板4には、通風孔4aを設けず、通風性のない光触媒塗布面とした。
【0065】
本試験では、実施例1〜2及び比較例の各空気浄化ユニットを用い、これら各浄化ユニットの表面板4の表面における面風速を1.0m/secとして、NOX濃度が1.0ppmの空気を送り、通過する空気の浄化度合い(NOX浄化率)、遮音性能(透過損失)、吸音性(垂直入射吸音率)を測定する試験を行なった。尚、測定条件は、温度20〜25℃、相対湿度45〜55%である。
【0066】
ここで、各空気浄化ユニットの風速、NOXの濃度、及び、それから計算されるNOX浄化量を計算して、通過する空気の浄化度合いとして用いている。これは単なるNOX濃度差のみの浄化率では、各空気浄化ユニットを通過した風量が含まれないため、通過風量の小さな空気浄化ユニットが見かけ上良好に見える。しかし、微小な自然風だけで空気を通過させる空気浄化ユニットのNOX浄化性能は、送風機等の動力を用いないので、通過できる風量が重要であり、通風量に入口NOX濃度から通過後NOX濃度を差し引いた濃度差を乗じたNOX浄化量を持って計算する必要がある。
よって、NOX浄化量の計算は、次式により行った。
NOX浄化量=(通過後の風速×浄化空間の断面積)×(入口NOX濃度−通過後NOX
濃度)
【0067】
試験の結果、下記の表2に示すように、実施例1〜2の空気浄化ユニット30は、いずれもNOX浄化率が非常に高く、微小な自然風に対し有効に作用することが確認された。また、実施例1〜2の空気浄化ユニット30は、いずれも比較例の遮音性能及び吸音性能と同等の性能を発揮していることが確認された。
【0068】
【表2】

【0069】
〔第3実施形態〕
次に、本発明に係る空気浄化ユニット30、空気浄化構造体100、及び、空気浄化方法の第3実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、上記第1及び第2実施形態と同様の構成については簡単のため説明を省略する。
【0070】
上記第1及び第2実施形態では、枠部材5を上面枠部材5a、下面枠部材5b、側面枠部材5c、5dから構成して、これらを背面板1及び表面板4とは別部材とするとともに、当該枠部材5を矩形状の筒体として当該背面板1及び表面板4を固定したが、これに限らず、本第3実施形態のように、上面枠部材5a及び下面枠部材5b(枠部材5)に相当する部材として、背面板1と一体に設けられる部材10及び表面板4と一体に設けられる突出部11とをそれぞれ形成することもできる。
具体的には、図9に示すように、平板状の背面板1の長手方向の上下端に、当該背面板1が断面視概略M字形状となるよう上記上面枠部材5a及び下面枠部材5bに相当する部材10をそれぞれ一体成型し、さらに、平板状の表面板4の長手方向の上下端に、当該表面板4が断面視概略コの字形状となるように上記背面板1の部材10と重ね合わせることが可能な突出部11をそれぞれ一体成型して、これら部材10と突出部11とが重ね合わせられることにより、背面板1及び表面板4を一体的に固定するように構成することもできる。この際には、背面板1及び表面板4とは別部材である上記側面枠部材5c、5dに相当する部材12a、12bによって、より確実に背面板1及び表面板4を固定することができる。この場合、側面枠部材5c、5dに相当する部材12a、12bが枠部材5となる。なお、当該部材12a、12bとしては、図9に示すように、空気が通風可能な複数の孔(出入孔6b)を有する断面視概略コの字形状の部材を用いることができる。当該部材12a、12bは、上述の実施形態における空気排出部材9と同様に、浄化空間内7を通風する空気を出入孔6bを介して中空部分Xに排出する機能を発揮することができるため、この場合には、空気排出部材9を設けずに構成することもできる。
これにより、上記実施形態と同様に良好に空気の浄化ができるとともに、騒音の低減を図ることができる。
【0071】
〔第4実施形態〕
次に、本発明に係る空気浄化ユニット30、空気浄化構造体100、及び、空気浄化方法の第4実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本第4実施形態は、上記第1から第3実施形態の空気浄化ユニット30の空気浄化性能、吸音性能、遮音性能を向上させる改良を行った構成であり、上記第1及び第2実施形態と同様の構成については簡単のため説明を省略する。
【0072】
具体的には、本第4実施形態の空気浄化ユニット30は、図10から図12に示すように、以下のように構成される。なお、図10は、第4実施形態に係る空気浄化ユニット30の分解斜視図であり、図11は当該空気浄化ユニット30の全体図であり、図12は当該空気浄化ユニット30の側断面図である。
背面板1は、図10から図12に示すように、上記第1及び第2実施形態と同様に、長方形で平板状の金属材料からなる遮音板を用いて構成され、背面板1の長手方向に凸部を設けて、当該凸部により分断される背面板1の短手方向において、後述する吸音材2aを複数配置するための領域が設けられる。さらに、上記第3実施形態と同様に、平板状の背面板1の長手方向の上下端に、当該背面板1が断面視概略M字形状となるよう上記上面枠部材5aに相当する部材10a、及び下面枠部材5bに相当する部材10bがそれぞれ一体成型される。これら部材10a、10bには複数の出入孔6aが設けられており、当該部材10a、10bは枠部材5の一部として機能する。なお、これら部材10a、10bの長手方向両端にはそれぞれ、平面視で半円形の切欠き部10a2、10b2が設けられている。
そして、本第4実施形態では、図12に示すように、背面板1の上面枠部材5aに相当する部材10a、下面枠部材5bに相当する部材10bが、それぞれ側断面視で背面板1から表面板4側に向かうにつれて斜め上方に延出するように形成されている。上面枠部材5aに相当する部材10aの延出端には下方に突出する背面板突出部10a1が設けられているとともに、下面枠部材5bに相当する部材10bの延出端には下方に突出する背面板突出部10b1が設けられている。これら背面板突出部10a1、10b1は、背面板1と表面板4とを一体化して空気浄化ユニット30を確実に固定する際に利用される。また、本第4実施形態では、この背面板1の活性炭素繊維成型体3側(表面板4側)の表面に防振ゴム1aが配置され、当該背面板1自身の振動を抑制するとともに、表面板4側から空気浄化ユニット30内に伝播する音波を減衰可能に構成されている。
【0073】
吸音材2は、図10及び図12に示すように、吸音材2a及び吸音材2bからなり、背面板1と活性炭素繊維成型体3との間(吸音領域)で二重となるように配置されている。すなわち、吸音材2は、上記背面板1の表面の凸部により形成された領域に複数(図示する例では、2つ)配置する吸音材2aと、複数の吸音材2a(背面板1)の全面をカバーするように当該吸音材2aの活性炭素繊維成型体3側(表面板4側)に配置される単一の吸音材2bとから構成されている。これにより、表面板4側から空気浄化ユニット30内に伝播する音波を、より効果的に吸音可能に構成されている。
【0074】
活性炭素繊維成型体3は、第1実施形態と同様の構成であるが、図10に示すように、長方形の背面板1や表面板4の長手方向に上記浄化空間7を形成した活性炭素繊維成型体3を用いているとともに、当該活性炭素繊維成型体3を複数(具体的には、4つ)用いて、これら活性炭素繊維成型体がプリーツの折り目方向D(上記背面板1の長手方向)において相互に所定の間隔を維持するように配置している。なお、当該活性炭素繊維成型体3は、例えば、縦480mm×横460mmに形成される。
【0075】
表面板4は、図10、図11、図12に示すように、平板状の表面板4の上下端に長手方向に、当該表面板4が断面視概略コの字形状となるように上記上面枠部材5aに相当する突出部11a、及び下面枠部材5bに相当する突出部11bがそれぞれ一体成型される。これら突出部11a、11bは枠部材5の一部として機能するが、上面枠部材5aに相当する突出部11aにのみ複数の出入孔6aが設けられている。そして、表面板4の上面枠部材5aに相当する突出部11aは、側断面視で表面板4から背面板1側に向かうにつれて斜め下方に延出するように形成され、当該突出部11aの延出端には下方に突出する表面板突出部11a1が設けられている。また、突出部11aの表面板突出部11a1の反対側には、上記背面板1の背面板突出部10a1と接触するように表面板凹部11a2が設けられている。一方、表面板4の下面枠部材5bに相当する突出部11bは、上記背面板1の背面板突出部10b1に係合するように側断面視J字状のフック形状に形成されている。これら表面板突出部11a1、表面板凹部11a2、突出部11bは、背面板1と表面板4とを一体化して空気浄化ユニット30を確実に固定する際に利用される。なお、突出部11aの長手方向両端には、平面視で、表面板凹部11a2側が長手方向に延出し表面板突出部11a1側が大きく切り欠かれて形成された長方形状の切欠き部11a3が設けられている。
【0076】
枠部材5は、それぞれ上面枠部材5a、下面枠部材5b、側面枠部材5c、5dから構成されるが、上述のとおり、上面枠部材5a、下面枠部材5bは、背面板1及び表面板4と一体的に形成されている。側面枠部材5c、5dは、上記実施形態と同様に背面板1及び表面板4とは別部材として形成されるが、本第4実施形態においては、平面視で概略コの字状に形成されるとともに、側面枠部材5c、5dには、それぞれ矩形状の筒体となった際に当該筒体の内部と外部との間で空気を通風させることが可能な出入孔6bが設けられていない。このように側面枠部材5c、5dに出入孔6bを設けないことにより、表面板4の通風孔4aから侵入した騒音が出入孔6bから空気浄化ユニット30の外部に伝播することを防止して、吸音材2a及び2bによる吸音および背面板1による遮音を確実に行うことができるので、より騒音の吸音性能及び遮音性能を向上させることが可能となる。
【0077】
空気浄化ユニット30は、図10から図12に示すように、上述した背面板1、吸音材2、活性炭素繊維成型体3、表面板4が枠部材5により一体的に固定されて構成される。
本第4実施形態においては、空気浄化ユニット30は、背面板1、防振ゴム1a、防音材2a、防音材2b、活性炭素繊維成型体3、表面板4の順に配置される。この際には、表面板4のフック形状に形成された突出部11bを背面板1の背面板突出部10b1に係合させた後、表面板4の表面板突出部11a1を背面板1(背面板1における背面板突出部10a1の反対側)に係合させ、表面板4の表面板凹部11a2を背面板1の背面板突出部10a1に接触させることにより、背面板1と表面板4とをより簡易かつ確実に一体的に固定することができる。次に、長手方向からそれぞれ側面枠部材5c、5dを組み込むことにより、背面板1、防振ゴム1a、吸音材2、活性炭素繊維成型体3、表面板4の順の配置を維持したまま、一体的に固定することができる(図10から図12参照)。この側面枠部材5c、5dの固定は、ビス、リベット、スポット溶接等公知の固定方法を用いて行うことができる。なお、側面枠部材5c、5dが組み込まれた状態では、これら側面枠部材5c、5dは、背面板1及び表面板4の内部の所定位置で固定される。
よって、空気浄化ユニット30は、各構成部材の一体化にあたり、その組み立てが非常に容易であるとともに、確実な固定が可能である。
また、空気浄化ユニット30は、通風路20に通風する空気A(空気浄化ユニット30の背面板1の長手方向に通風する空気A)を、少なくとも表面板4に設けられた通風孔4aから侵入させることで、その空気Aを通風方向を変化させずに活性炭素繊維成型体3により形成された浄化空間7内に通風させて、空気Aに含まれる汚染物質を活性炭素繊維成型体3を構成する活性炭素繊維に接触させ、その触媒機能により酸化除去することができるものである。
さらに、空気浄化ユニット30は、活性炭素繊維成型体3に空気A(空気浄化ユニット30の背面板1の長手方向に通風する空気A)を通風させる際には、活性炭素繊維成型体3にプリーツ谷部を形成してこのプリーツ谷部を浄化空間7として通風させることにより、浄化空間7を空気Aの通風方向を変化させずに通風させて、この浄化空間7を通風する際の圧力損失を小さくして、別途送風機を設けなくても自然風等だけで活性炭素繊維成型体3に空気Aを通風させることができ、さらに空気Aを当該空気浄化ユニット30から浄化済み空気Bとして外部空間に排出させて、空気Aに含まれる汚染物質を良好に除去可能とするように構成されている。
加えて、空気浄化ユニット30は、表面板4側から伝播する騒音を吸音性能を有する活性炭素繊維成型体3及び吸音材2(吸音材2a及び吸音材2b)により吸音し、遮音性能を有する背面板1により遮音して、当該騒音をより効果的に低減することが可能に構成されている。
したがって、上記実施形態よりも空気浄化性能、吸音性能、遮音性能の面で有利な状態の空気浄化ユニット30を、空気浄化構造体100及び空気浄化方法に用いることができる。
【0078】
次に、図10に示す空気浄化ユニット30と同じ構成のもの(実施例3:第4実施形態の空気浄化ユニット30)のNO2浄化率、遮音性能(透過損失)、吸音性(残響室法吸
音率)を計測した試験を行った。
【0079】
〔実施例3〕
実施例3の空気浄化ユニット30は、背面板1が、縦520mm×横1960mm×厚さ1.6mmの鉄板で構成される。また、吸音材2aは、縦185mm×横1830mm×厚さ30mm、密度32kg/m3のグラスウールが背面板1の凸部を挟んで上下二段
に配置されて構成され、吸音材2bは、縦480mm×横1830mm×厚さ30mm、密度32kg/m3のグラスウールから構成される。なお、防振ゴム1aは、縦535m
m×横1000mm×厚さ2mmの形状に形成され背面板1の長手方向に2枚配置される。
活性炭素繊維成型体3は、縦490mm×横460mm×厚さ(プリーツの山高さ)30mmで構成される。この活性炭素繊維成型体3を構成する前の活性炭素繊維は、前述の比表面積1500m2/g、繊維直径15μmのピッチ系活性炭素繊維(アドール株式会
社製の「A−15」)を厚さ6mmのフェルト状の不織布に乾式加工されたものである。
なお、この活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向は、長方形の背面板1や表面板4の長手方向に形成されており、また、当該活性炭素繊維成型体3を4つ用いて、これら活性炭素繊維成型体3がプリーツの折り目方向(上記背面板1の長手方向)において相互に所定の間隔を維持して配置することとしている。
また、表面板4は、縦520mm×横1960mm×厚さ1.0mmのアルミ板で構成され、表面板4の通風孔4aは直径12mmのパンチング孔であり(3mm〜20mmとしてもよい)、表面板4の表面に対する開口率が50%以上程度(例えば、本実施例では55%)として構成されている。なお、側面枠部材5c、5dは空気浄化ユニット30に組み込まれた状態で、背面板1や表面板4の長手方向の端部から60mm程度内部に挿入された位置に、側面枠部材5c、5dのコの字状の基端部分が配置されるようにスポット溶接により固定される。
したがって、実施例3の空気浄化ユニット30は、縦520mm×横1960mm×厚さ95mmの大きさに構成されている。
【0080】
表3に、実施例3の空気浄化ユニット30を用い、NO2浄化率、遮音性能(透過損失)、吸音性(残響室法吸音率)を計測した試験を行った結果を示す。
ここで、NO2浄化率は、空気浄化ユニット30の一端側から表面板4に対して45度の角度でNO2を含んだ空気を送風し、当該空気を活性炭素繊維成型体3の浄化空間7を通過させた後、空気浄化ユニット30の表面板4の他端側から排出された空気におけるNO2の浄化度合いである。当該送風する空気の風速(空気浄化ユニット30の入口)は0.7〜3.2m/secの範囲で変化させ、当該空気におけるNO2の濃度は30〜1080ppbの範囲で適宜変化させて、空気浄化ユニット30における空気の入口部分のNO2濃度、及び空気の排出(出口)部分のNO2濃度をそれぞれ測定した。これら濃度に基づいて、NO2浄化率(入口濃度−出口濃度/入口濃度)を算出した。
また、遮音性能は、JIS A 1416:2000「実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法」に基づいて、空気浄化ユニット30の透過損失を測定した。測定条件は、温度27℃、相対湿度84%であった。
さらに、吸音性は、JIS A 1409:1998「残響室法吸音率の測定方法」に基づいて、空気浄化ユニット30の残響室法吸音率を測定した。測定条件は、温度28℃、相対湿度77%であった。
【0081】
【表3】

【0082】
表3に示すように、実施例3の空気浄化ユニット30によるNO2浄化率は、空気中のNO2の濃度、及び空気の風速が上記範囲で変動した場合であっても平均的に40〜80%となっており、当該空気浄化ユニット30内を通過させるだけで空気中のNO2濃度を低減して空気を良好に浄化できることが確認できた。
また、実施例3の空気浄化ユニット30による遮音性能は、中心周波数が400Hz時において透過損失(1/3オクターブ)は27.1dBであり、中心周波数が1000Hz時において透過損失(1/3オクターブ)は35.1dBであった。ここで、高速道路等に設置される遮音壁に関するNEXCO(東日本、西日本、中日本の各高速道路株式会社)の遮音性能(透過損失)の基準では、400Hz時において25dB以上であり、中心周波数が1000Hz時において30dB以上であることが要求されていることを考慮しても、実施例3に係る空気浄化ユニット30の透過損失は当該基準を上回っており、充分な遮音性能を備えていることが確認できた。
さらに、実施例3の空気浄化ユニット30による吸音性能は、1/3オクターブバンド中心周波数が400Hz時において残響室法吸音率は1.05であり、1/3オクターブバンド中心周波数が1000Hz時において残響室法吸音率は1.05であった。ここで、高速道路等に設置される遮音壁に関するNEXCO(東日本、西日本、中日本の各高速道路株式会社)の吸音性能(残響室法吸音率)の基準では、400Hz時において0.7以上であり、中心周波数が1000Hz時において0.8以上であることが要求されていることを考慮しても、実施例3に係る空気浄化ユニット30の残響室法吸音率は当該基準を上回っており、充分な吸音性能を備えていることが確認できた。
よって、実施例3に係る空気浄化ユニット30によれば、NO2浄化率が非常に高く、微小な自然風に対し有効に作用すること、さらには、このようにNO2を充分に浄化できるにもかかわらず、騒音の遮音性能及び吸音性能も充分に備えていることが確認できた。
【0083】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、複数の空気浄化ユニット30に配置する活性炭素繊維成型体3として、それぞれ同じ構成を有する活性炭素繊維成型体3を用いることとしたが、通風路20を通風する空気Aの状態に応じて、空気浄化ユニット30毎に異なる構成の活性炭素繊維成型体3を配置することもできる。
具体的には、車両の通行する通風路20に沿うように複数の空気浄化ユニット30を積層して配置して空気浄化構造体100とするが、例えば、図13に示すように、4つの空気浄化ユニット30のうち下側の3つを活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向が背面板1の長手方向(水平方向)となるように配置し、最上部の1つを活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向が背面板1の短手方向(垂直方向)となるように配置する。すなわち、車両が通行する箇所に近い比較的下部の空気浄化ユニット30の表面板4付近には、空気Aが主として車両の通行方向(背面板1の長手方向)に通風しており、一方、車両が通行する箇所から遠い比較的上部の空気浄化ユニット30の表面板4付近には、空気Aが主として車両の通行する路面に垂直な方向(背面板1の短手方向)に通風しているため、これら空気Aの通風方向に合わせて活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向を配置することにより、どの位置に設置された空気浄化ユニット30であっても良好に空気Aを浄化空間7内を通風させることができる。したがって、通風路20を通風する空気Aの流入圧力が小さい場合であっても確実に複数の空気浄化ユニット30の浄化空間7内に当該空気Aを通風させて、確実に汚染物質の除去及び騒音の低減を行うことができる。
なお、当該別実施形態では、4つの空気浄化ユニット30を積層して、そのうち3つを上記長手方向を連通方向とする浄化空間7とし、1つを上記短手方向を連通方向とする浄化空間としたが、空気浄化ユニット30の数、及び浄化空間7の連通方向の向き及び空気浄化ユニット30の配置は、通風路20を通風する空気Aの状態(方向、強さなど)に応じて、適宜変更して設置することができる。
例えば、空気浄化ユニット30が通風路20としての高架道路に沿って積層配置される場合には、上部付近の空気浄化ユニット30の表面板4付近では、通風路20(路面)付近の空気浄化ユニット30の表面板4付近よりも上空にあるため、車両による走行風よりも上空を通風する自然風を考慮する必要がある。そこで、上部付近の空気浄化ユニット30では当該自然風と同じ向きに活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向を配置することが好ましく、一方、路面付近では車両の走行風と同じ向きに活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向を配置することが好ましい。具体的には、5つの空気浄化ユニット30を用いた場合には、下部から3つの空気浄化ユニット30を車両の走行風と同じ向き(水平方向)に浄化空間7の連通方向を配置し、上部の2つの空気浄化ユニット30を車両の通行する路面に垂直な方向(垂直方向)に浄化空間7の連通方向を配置することにより、良好に空気Aを浄化空間7に通風させることができる。
同様に、例えば、山間部の谷を上記高架道路が横断している場合には、谷を通風する自然風の通風の影響が複数の空気浄化ユニット30の上部付近に強く及ぶこととなる。そこで、上部付近の空気浄化ユニット30では当該自然風と同じ向きに比較的多くの活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向を配置することが好ましく、一方、路面付近では車両の走行風と同じ向きに活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向を配置することが好ましい。具体的には、5つの空気浄化ユニット30を用いた場合には、下部から2つの空気浄化ユニット30を車両の走行風と同じ向き(水平方向)に浄化空間7の連通方向を配置し、上部の3つの空気浄化ユニット30を車両の通行する路面に垂直な方向(垂直方向)に浄化空間7の連通方向を配置することにより、良好に空気Aを浄化空間7に通風させることができる。
さらに、例えば、トンネルの出入り口では、通風路20を通行する車両の走行風の影響が大きいので、全ての空気浄化ユニット30が車両の走行風と同じ向き(水平方向)に活性炭素繊維成型体3の浄化空間7の連通方向を配置することが好ましい。
【0084】
(2)上記実施形態では、例えば、縦500mm×横2000×厚さ100mmの大きさの空気浄化ユニット30を採用したが、これに限らず、設置場所の状況に応じて空気浄化ユニット30の寸法を適宜調整して用いることができる。この際には、背面板1、吸音材2、活性炭素繊維成型体3、表面板4、枠部材5の大きさも適宜選択して用いることができる。例えば、設置箇所に余裕がある場合には、図14に示すように、縦500mm×横4000mm×厚さ100mmの大きさの空気浄化ユニット30を採用して空気浄化構造体100を構成することもできる。この際には、この空気浄化ユニット30の寸法に合わせて、背面板1は、縦500mm×横4000mm×厚さ1.6mmの大きさとし、また、吸音材2は、縦200mm×横2000mm×厚さ32mmの大きさで上下2段、左右2列にグラスウールを背面板1の表面に配置して構成することもできる。なお、上記背面板1には、長手方向の中間部分の付近に補強部材13が設けられている。さらに、上記空気浄化ユニット30の寸法に合わせて、活性炭素繊維成型体3は、縦500mm×横4000mmの大きさのもの(プリーツの折り目方向Dが背面板1の長手方向)を単数、或いは縦500mm×横500mmの大きさのもの(プリーツの折り目方向Dが背面板1の短手方向)を複数(6つ)用いることができ、表面板4は、縦500mm×横4000mm×厚さ1.6mmの大きさとし、枠部材5(部材12a、12b)は、縦500mm×横60mm×厚さ100mmの大きさとして構成することもできる。
【0085】
(3)上記実施形態では、空気を浄化対象流体として説明したが、汚染物質が含まれる流体であれば特に制限されずに浄化対象流体とすることができる。
【0086】
(4)上記実施形態では、活性炭素繊維をプリーツ状に加工するにあたり、山折り、谷折りを繰り返してこの折り目が線として認識できる程度にまで加工したが、このようにプリーツ折り目が線として認識できることまで必要とせず、プリーツ谷部を形成して浄化空間7を確保できる程度になだらかな曲線を描くように波状に形成されたものであってもよい。すなわち、活性炭素繊維からなる平板状体をジグザグ状(波状)に加工し、折り目間にプリーツの谷部が形成されればよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る浄化ユニット、浄化構造体、及び浄化方法は、自動車の交通量が非常に多く、道路交通騒音および大気汚染の著しい道路沿道や、発電所や工場などが密集し、工場騒音と大気汚染が著しい工業地帯などの環境であって、ある程度の通風量を確保できる場所において、騒音を低減すると共に、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するものとして有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1: 背面板
2: 吸音材
3: 活性炭素繊維成型体
4: 表面板
4a: 通風孔
5: 枠部材
6a、6b:出入孔
7: 浄化空間
8: 吸音空間
9: 空気排出部材
20: 通風路
30: 空気浄化ユニット(浄化ユニット)
100:空気浄化構造体(浄化構造体)
A: 通風路を通流する空気(浄化対象流体)
B: 浄化済み空気(浄化対象流体)
D: プリーツの折り目方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭素繊維を含んで構成され、プリーツ状に加工されるとともにプリーツ表裏間に通風性を有する活性炭素繊維成型体と、
前記活性炭素繊維成型体のプリーツ表面側に配設される表面板と、プリーツ裏面側に配設される遮音性能を有する背面板とを備えて構成され、
前記表面板に、当該表面板表裏間において通風を許容する通風孔を備え、
前記プリーツ状に加工された活性炭素繊維成型体により画定されるプリーツ谷部に形成される、プリーツ折り目に沿った連通空間を、前記表面板に設けられる通風孔から侵入する浄化対象流体を浄化する浄化空間として形成した浄化ユニット。
【請求項2】
前記プリーツの折り目方向において相互に所定の間隔を維持して、複数の前記活性炭素繊維成型体が配置される請求項1に記載の浄化ユニット。
【請求項3】
前記活性炭素繊維成型体と前記背面板との間に前記表面板側から伝播する音を吸音する吸音空間が設けられた請求項1又は2に記載の浄化ユニット。
【請求項4】
前記吸音空間に吸音材が充填されてなる請求項3に記載の浄化ユニット。
【請求項5】
前記活性炭素繊維成型体を前記表面板と前記背面板との間に備えて、前記表面板と前記背面板とを一体とする枠部材を備えた請求項1から4の何れか一項に記載の浄化ユニット。
【請求項6】
前記枠部材が、少なくとも前記プリーツの折り目方向において、前記浄化空間を通風する浄化対象流体が当該浄化空間と外部空間との間で出入り可能な出入孔を備えた請求項5に記載の浄化ユニット。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の浄化ユニットを、前記浄化対象流体が通風する通風路に沿って設けてなる浄化構造体であって、
前記表面板を前記通風路に沿って配設し、前記通風路から前記浄化ユニット内に侵入して前記浄化空間を通風する浄化対象流体を、前記浄化空間で浄化させる浄化構造体。
【請求項8】
前記浄化空間の連通方向を、前記通風路を通風する浄化対象流体の通風方向と同じ方向となるように設置してなる請求項7に記載の浄化構造体。
【請求項9】
前記通風路を通風する浄化対象流体の通風状態に対応して、前記浄化ユニットを、複数組合わせて設置されてなる請求項8に記載の浄化構造体。
【請求項10】
前記活性炭素繊維成型体を前記表面板と前記背面板との間に備えて、前記表面板と前記背面板とを一体とする枠部材を備えた前記浄化ユニットを複数、前記枠部材同士を接触させて積層してなる請求項7から9の何れか一項に記載の浄化構造体。
【請求項11】
前記枠部材が、少なくとも前記プリーツの折り目方向において、前記浄化空間を通風する浄化対象流体が当該浄化空間と外部空間との間で出入り可能な出入孔を備えてなる請求項10に記載の浄化構造体。
【請求項12】
請求項1から6の何れか一項に記載の浄化ユニットを、前記浄化対象流体が通風する通風路に沿って設けて、前記浄化対象流体を浄化する浄化方法であって、
前記表面板を前記通風路に沿って配設し、前記浄化対象流体を前記表面板の通風孔から侵入させて前記浄化空間に通風させ、当該浄化空間で浄化するとともに、前記表面板側から伝播された音を吸音する浄化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−30230(P2012−30230A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239289(P2011−239289)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2008−256784(P2008−256784)の分割
【原出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(593122310)中央復建コンサルタンツ株式会社 (5)
【出願人】(592163918)ヒロセ技研株式会社 (5)
【Fターム(参考)】