説明

吸音性をもった不織布の二次絨毯裏地

本発明は吸音性の二次絨毯裏地を製造する方法、特に耐久性のある三次元の影像をもち、二次絨毯裏地システムに使用した場合通常に使用する(上を歩く)際の変形を減少させ、吸音性を増加させ、二次絨毯裏地システムの用途に対して与えられる被覆量を改善することができる不織布の製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本出願は2004年2月4日出願の米国特許出願60/541,241号の優先権を請求する。該特許出願は引用により本明細書に包含される。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に吸音性の二次絨毯裏地を製造する方法、特に耐久性のある三次元の影像をもち、二次絨毯裏地システムに使用した場合通常に使用する(上を歩く)際の変形を減少させ、吸音性を増加させ、二次絨毯裏地システムの用途に対して与えられる被覆量を改善することができる不織布の製造法に関する。
【背景技術】
【0003】
通常の織物繊維布の製造は複雑な多段工程であることが知られている。ステープル繊維から繊維布を製造は、繊維を開口して配向させ、当業界において「スライバー」と呼ばれている供給原料にするカージング(梳毛)工程から開始される。次にスライバーの数本のストランドを延伸フレームの上で多数回延伸し、繊維をさらに配向させ、配合し、均一性を改善し、スライバーの直径を減少させ、同時に僅かな擬撚を賦与する。次いで延伸したスライバーを粗紡フレームに供給し、さらに直径を減少させると共に僅かな擬撚を賦与して粗紡糸をつくる。次にこの粗紡糸を紡糸フレームに供給し、ここで紡糸して糸にする。次いでこの糸を巻取り機の上に移し、糸を大きなパッケージに変える。この時点で糸は何時でも繊維布をつくるのに使用できる状態になる。
【0004】
織物繊維布に対しては、糸は縦糸または横糸としての特定の用い方を指定されている。横糸(y軸方向に走っており、 ピック(pick)として知られている)は織機に対して直線的に配置される。さらに縦糸(x軸方向に走り、エンド(end)として知られている)を処理しなければならない。糸の大きなパッケージを縦糸フレームの上に置き、それらが互いに平行に並ぶようにセクションビーム(section beam)に巻き付ける。次いでセクションビームをスラッシャー(slasher)に供給し、サイズ(織物用の糊)を糸に被覆して糸をかため、これによって織物工程に耐えるために必要な摩耗抵抗性を増加させる。糸はスラッシャーを出る際に織機のビームに巻き付けられ、次いで織機の背後に取り付けられる。縦糸は織機のニードルに通され、横糸が織り合わされるパターンをなして垂直に挿入され織られて繊維布にされる際、ニードルは個々の糸を上昇また下降させる。一旦繊維布が織られると、繊維布に対し染色または仕上げができるようにする前に、これを洗浄工程にかけて縦糸からサイズを除去する必要がある。現在、工業用の高速織機は毎分1000〜1500個の杼を打ち込む速度で操作される。ここで杼は繊維布の幅全体を横切って挿入された横糸の数である。シート地および床敷き(bedding)用の繊維布は典型的にはそれぞれ80×80〜200×200の番手(count)、即ち1インチ当たりの縦糸および横糸の数をもっている。織り操作の速度は横糸がどれだけ迅速に縦糸の中に織り込まれるかによって決定される。従って床敷き用の繊維布をつくる織機は一般に毎分5〜18.75インチの速度の生産能力をもっている。
【0005】
これとは対照的に、ステープル繊維から不織布を製造する方法では、繊維はカージング工程から直接製造されるから、この方法は伝統的な織物工程よりも効率が良いことが知られている。
【0006】
不織布は多様な種類の用途に適しており、繊維布を製造できる効率により伝統的な織物に比べこれらの繊維布は著しい経済的な利点をもっている。しかし、繊維布の性質を通常の織物と比べた場合、特に横方向の応力および共直線性の応力が加えられる用途における
伸び抵抗性を比較した場合、不織布は通常欠点をもっている。必要なレベルの繊維布の一体性を与えるために複雑な複合体構造物をつくることにより、水力絡み合わせ処理を行った改善された性質をもつ繊維布が開発されている。絡み合わせを行った後に、接合剤組成物を被覆するかおよび/または絡み合わされた繊維のマトリックスを熱的に安定させることによって繊維布の耐久性がさらに強化されてきた。
【0007】
典型的には不織布の複合体構造物は、支持層またはスクリム(scrim)を混入することによって伸びのような物理的性質が改善される。支持層の材料は例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、およびこれらの組み合わせのような重合体の配列を含んで成ることができ、フィルム、繊維のシート地、または格子状の網の形をしていることができる。金属のスクリーン、ガラス繊維、および植物繊維も支持層として使用される。支持層は通常複合繊維布を補強する機械的手段または化学的手段によって混入される。「スクリム」材料とも呼ばれる補強層は特許文献1に詳細に記載されている。この特許は引用により本明細書に包含される。スクリム材料、特にスパンボンド・スクリム材料は当業界の専門家には公知である。
【0008】
スパンボンド材料は典型的には熱可塑性樹脂を紡糸口金アセンブリーを通して押し出し、多数の連続フィラメントをつくることによってつくられた連続フィラメント含んで成っている。次にこのフィラメントを急冷して延伸し、捕集して不織ウエッブにする。スパンボンド材料は伸びに対し比較的高い抵抗性をもち、補強層即ちスクリムと同様な挙動をする。エバンス等の特許文献2には、最初水力絡み合わせによって不規則なステープル繊維のバットを機械的に取り付け、次いでやはり水力絡み合わせによって第2の不規則なステープル繊維のバットを取り付けた連続フィラメントのウエッブが記載されている。この特許は引用により本明細書に包含される。特許文献3〜5にも連続フィラメントのウエッブが使用されている。これらの特許は補強の目的をもった、或いは複合体の伸び特性を減少させるための連続フィラメントのウエッブを含んでいる。
【0009】
さらに最近になって、三次元の影像転写装置の上で水力絡み合わせを行うことにより絡み合った繊維布に影像またはパターンを賦与する水力絡み合わせ法が開発された。このような影像移送装置は特許文献6に記載されている。この特許は引用により本明細書に包含される。このような影像転写装置を使用し物理的性質が強化され且つ機能的な寸法をもった繊維布をつくることが望ましい。
【0010】
三次元の影像が賦与された不織布は絨毯の裏地の用途に有利な特定の物理的性質の組み合わせをもっている。さらに、工業的な用途に使用される三次元の影像が賦与された不織布は伸びに対して十分な抵抗性をもち、該繊維布が最終用途の製品に変えられる際および最終的な用途に使用される場合、影像の変形に対して抵抗性をもっていることが必要である。
【0011】
従来、不織布は二次的な絨毯裏地に有利に使用されてきた。一般にこの種の用途に使用される不織布は、突起をもった針を繊維性のウエッブ構造物に繰り返し穿し込み引き出す操作を行う、しばしば「ニードル・フェルティング(needle−felting)」とも呼ばれる機械的なニードルパンチング法により絡み合わされ一体化されてきた。この種の加工は繊維構造物を一体化させてそれに一体性を賦与するが、突起のついた針は多数の構成繊維を変形させることが避けられず、繊維構造物の中に望ましくない穿孔を生じ、これによって絨毯裏地の一体性が損なわれ品質の悪い被覆面を生じる可能性がある。またニードルパンチング法は得られる繊維布の強度を損なう可能性があり、二次絨毯裏地の用途に対して十分な強度を示すためには、適当な不織布はもっと大きな坪量をもっている必要がある。
【0012】
絨毯システムに対し吸音性の二次絨毯裏地を開発する従来法の種々の試みにも拘わらず、通常の摩耗作用、例えば上を歩くことに対して抵抗性を増加させるために不織布に対しはっきりとした影像を賦与する必要性がなお現在も存在している。
【特許文献1】米国特許第4,636,419号明細書。
【特許文献2】米国特許第3,485,706号明細書。
【特許文献3】米国特許第5,144,729号明細書。
【特許文献4】米国特許第5,187,005号明細書。
【特許文献5】米国特許第4,190,695号明細書。
【特許文献6】米国特許第5,098,764号明細書。
【本発明の開示】
【0013】
本発明の概要
本発明は吸音性の二次絨毯裏地の製造法、特に耐久性のある三次元の影像をもち、二次絨毯裏地システムに使用した場合通常に使用する(上を歩く)際の変形を減少させ、吸音性を増加させ、二次絨毯裏地システムの用途に対して与えられる被覆量を改善することができる不織布の製造法に関する。
【0014】
特に本発明は、スパンボンドおよび/または注型スクリムを含んで成り、影像賦与面の上で水力により絡み合わされた場合補強された製品を生じる前駆体ウエッブから吸音性の二次絨毯裏地をつくることを意図している。このような方法で製造することにより前駆体ウエッブを水力により絡み合わせた結果一層はっきりとした三次元の影像をもった繊維布が得られ、影像は摩耗および変形に対して耐久性をもち、音を吸収することにより雑音が少ない二次絨毯裏地に適した繊維布がつくられる。
【0015】
本発明に従えば、本発明を具体化した不織布の製造法は、繊維マトリックスを含んで成る前駆体ウエッブを与える段階を含んでいる。典型的にはステープル長の繊維が使用されるが、繊維マトリックスは実質的に連続フィラメントを含んで成っていることもできる。特に好適な形では繊維マトリックスはカージングおよびクロスラッピング(cross−lapping)されたステープル長の繊維を含んで成っている。本発明の一具体化例においては、前駆体ウエッブを孔の開いた成形面の上で予備的に絡み合わせ、しかる後に連続フィラメントおよび/または注型スクリムと並べて配置し、三次元の影像を賦与する。別法として、一つまたはそれ以上の繊維マトリックスを一つまたはそれ以上の連続フィラメントおよび/または注型スクリムと並べて配置した後、層状の複合体を予備的に絡み合わせて前駆体ウエッブをつくり、これに直接影像を賦与するか、または繊維、フィラメント、支持層、またはスクリムを取り付けた後影像を賦与する。
【0016】
本発明はまた、動き得る影像賦与面を有する三次元影像転写装置を提供することを意図している。典型的な形態においては、この影像転写装置はドラム状の装置を具備し、これは1個またはそれ以上の水力絡み合わせ多岐管に対して回転することができる。
【0017】
前駆体ウエッブを影像転写装置の影像賦与面へと移動させる。前駆体ウエッブを水力により絡み合わせて三次元の影像が賦与された繊維布をつくる。重要なことは、少なくとも一つの連続フィラメントまたは注型スクリムを混入することがその中に繊維布の張力を集中させる作用をし、ステープル繊維の層の影像の賦与を改善し、その結果一層はっきりとした影像が得られることである。
【0018】
水力による絡み合わせの後で、三次元の影像が賦与された繊維布に対し一つまたはそれ以上の種々の後絡み合わせ処理を行うことができる。このような処理には重合体結合剤組成物の被覆、機械的な緻密化、添加物またはエラストマー組成物の被覆、および同様な処理が含まれる。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、はっきりした且つ弾力性をもった三次元性を示し、同時に広範囲の工業的用途における使用を容易にするのに必要な変形に対する抵抗性を与える耐久性をもった不織布の製造法に関する。この繊維布は高度の繊維保持性を示し、従って該繊維布ゐ絨毯裏地システムの二次絨毯裏地として使用することが可能になる。さらにスクリムは、日常的な処理および使用の際複合繊維布に張力がかかった場合、賦与された影像が変形するのを防ぐ助けをする。
【0020】
本発明の耐久性をもった不織布の製造法は、前駆体ウエッブを与え、これを水力により絡み合わせる段階を含んでいる。前駆体ウエッブを三次元影像転写装置の上で水力により絡み合わせることにより三次元の影像が賦与された不織布をつくる。影像転写装置は水力による絡み合わせ操作の間前駆体ウエッブを押し付ける三次元要素を規定し、三次元要素と影像転写装置の表面の凹凸部分の間の区域を移動することによってウエッブの繊維成分に影像が賦与される。
【0021】
好適な形においては、影像賦与面の上で水力により絡み合わせを行う前に、孔の開いた表面の上で前駆体ウエッブの予備的な絡み合わせを行う。前駆体ウエッブの予備的な絡み合わせはウエッブの繊維成分を一体化させる作用をするが、三次元影像転写装置を用いて得られるような三次元の影像を賦与することはない。
【0022】
三次元の影像を賦与した後に、性能または美的効果を変性する組成物を用い影像が賦与された不織布を随時処理し、繊維布の構造をさらに変えるか、或いは最終用途の製品に適合させることができる。繊維布の耐久性を強化するために重合体結合剤組成物を選ぶことができ、或いは細菌または黴の成長を遅らせるために抗微生物剤を使用することができる。
【0023】
本発明の不織布は二次絨毯裏地として使用することができ、吸音性を示す。ASTM E1050により垂直方向に入射する音の吸収および垂直方向に入射する音の伝播損失に関して吸音性の試験を行った。結果を表1および2に示す。
【0024】
本発明の他の特徴および利点は下記の詳細な説明、添付図面、および特許請求の範囲から容易に明らかになるであろう。
【0025】
本発明の詳細な説明
本発明は種々の形の具体化を行うことができるが、以下の説明は本発明の一例とし考えられれるべきであり、本発明を図示の具体化例に限定するつもりはないという了解の下で、下記に本発明の好適な具体化例を図示し説明する。
【0026】
本発明は、少なくとも一つの連続フィラメント支持層および/または注型スクリムの混入によって繊維布の三次元影像の賦与が強化されている、絨毯裏地システムの二次絨毯裏地として使用するのに適した耐久性をもった三次元影像を賦与された不織布の製造法に関する。種々の方法で影像の賦与を強化することができるが、このような一つの方法は、2002年12月28日出願の「耐久性のある三次元影像を有する不織布」と題するPutnamなどに対する同時出願の米国特許出願第60/344,259号に記載されているような、ウエッブが影像転写装置の動き得る影像賦与面の方へ進んで行く際に前駆体ウエッブ全体の中の張力を最低限度に抑制するか除去することを含んでいる。この特許出願は引用により本明細書に包含される。連続フィラメントの支持層またはスクリム、注型スクリム、或いはその組み合わせを用いることにより、強化された繊維の絡み合いが得られ、得られる繊維布の物理的性質は美学的性質および機械的性質の両方とも望ましい程度に強化される。前駆体ウエッブが影像転写装置の方へ進んで行く際、支持層またはスクリムによって前駆体ウエッブを内部的に支持すると、これは支持層またはスクリムに張力を集中させる作用をすると考えるのが合理的である。張力がない場合、前駆体ウエッブをつくっている繊維マトリックスの繊維またはフィラメントは水力により絡み合わせを行う際いっそう容易に動いてずれを起こし、影像転写装置の上で改善された三次元の影像を生じる。よりいっそう明瞭に定義された耐久性のある影像が得られる。
【0027】
図1を参照すれば、不織布をつくるための本発明方法を実施する装置が図示されている。繊維布は、典型的にはステープル繊維長の繊維を含んで成る繊維のマトリックスるからつくられるが、このマトリックスは実質的に連続フィラメントを含んで成っていることができる。繊維性のマトリックスは好ましくはカージングおよびクロスラッピングが行われ、Pで示されるような繊維性のバットをつくっている。この具体化例においては、繊維性のバットはクロスラッピングされた繊維を100%含んで成っている。即ちウエッブのすべての繊維はカージングされたウエッブをクロス・ラッピングすることによりつくられ、繊維は得られたウエッブの機械方向に関して或る角度で配向している。米国特許第5,475,903号明細書にはウエッブのドラフト装置が例示されている。この特許は引用により本明細書に包含される。
【0028】
次に、連続フィラメントの支持層、即ちスクリム、注型スクリム、またはこれらの組み合わせを面と面を合わせ繊維性のウエッブと並べて配置し、水力絡み合わせを行って前駆体ウエッブPをつくる。別法として、繊維性のウエッブを水力で絡み合わせて先ず前駆体ウエッブPをつくり、次いでこの前駆体ウエッブに少なくとも一つの支持層即ちスクリムを被覆し、この複合体構造物に対しさらに随時影像を賦与しない水力多岐管を用いて水力絡み合わせを行い、次に影像賦与面の上で三次元の影像を賦与することができる。
【0029】
図1にはさらに本発明による不織布をつくるための水力絡み合わせ装置が図示されている。この装置はベルと10の形をした孔の開いた成形面を含み、絡み合わせ用の多岐管12によって予備的な絡み合わせを行うために該ベルトの上に前駆体ウエッブPを載せる。次に、三次元の影像を賦与する前に、ウエッブの絡み合わせを行う絡み合わせ用の多岐管16を用い、孔の開いた成形面を有するドラム14の上にウエッブPを順次動かすことにより前駆体ウエッブPの予備的な絡み合わせを行う。それ以上のウエッブの絡み合わせは絡み合わせ用の多岐管20によりドラム18の孔の開いた成形面上で行われ、次いでウエッブは次の孔の開いたドラム22の上を通過し、多岐管24’、24’によって次の絡み合わせ処理が行われる。
【0030】
図1の絡み合わせ装置は三次元の影像賦与用のドラム24を含み、これは今や絡み合わされた前駆体ウエッブに影像を賦与する三次元影像転写装置を含んで成っている。影像転写装置は多数の絡み合わせ用の多岐管26に対して移動する動き得る影像面を含み、これは影像転写装置の映像賦与面によって規定される三次元要素と一緒に作用し、つくられた繊維布に影像およびパターンを賦与する。
【0031】
本発明によれば、支持層即ちスクリムは任意の適当な連続フィラメントの不織材料、注型スクリム、またはこれらの組み合わせであることができ、これだけには限定されないが、伸び特性が低いスパンボンド繊維布、スパンボンド−熔融吹き込み積層品、またはスパンボンド−スパンボンド積層品が含まれる。支持層即ちスクリムの特に好適な具体化例は熱可塑性スパンボンド不織布である。支持層は巻取ったロールの形で保持され、次いでこれを前駆体ウエッブの製造の際に連続的に供給するか、および/または三次元影像賦与ドラム24の前方に配置された直接紡糸織機により供給されることができる。
【0032】
本発明の原理を具体化した耐久性をもつ二次絨毯裏地繊維布の製造は、繊維マトリックスを与えることによって開始される。このマトリックスを与える方法はステープル繊維長
の繊維、連続フィラメント、および同じおよび/または異なった組成の繊維および/またはフィラメントの配合物の使用を含むことができる。繊維および/またはフィラメントは均一なまたは混合した繊維長をもつ天然または合成の組成物から選ばれる。適当な天然繊維には、これだけには限定されないが、綿、木材パルプ、およびビスコース・レーヨンが含まれる。合成繊維は全部または一部が配合物であることができるが、これには熱可塑性重合体および熱硬化性重合体が含まれる。分散剤の熱可塑性樹脂と配合するのに適した熱可塑性重合体にはポリオレフィン、ポリアミド、およびポリエステルが含まれる。熱可塑性重合体はさらに単独重合体;共重合体、共役体または熔融添加剤または表面活性剤が混入された熱可塑性重合体を含む他の誘導体から選ぶことができる。ステープル長は0.25〜10インチの範囲で選ばれ、1〜3インチの範囲が好適であり、繊維のデニールは1〜22の範囲で選ばれ、一般の用途に対しては1.2〜6デニールが好適である。繊維および/またはフィラメントの輪郭は本発明の適用性を限定するものではない。
【0033】
実施例
【対照実施例1】
【0034】
図1に示した製造装置を用い、100重量%のポリプロピレン繊維を含んで成る前駆体ウエッブをつくることにより不織布を製造した。このウエッブは坪量が3オンス/平方ヤード(±7%)であった。ドラフト比を2.5:1にして前駆体ウエッブを100%カージングしクロスラッピングした。
【0035】
前駆体ウエッブに三次元の影像を賦与する前に、図1に模式的に示したような一連の絡み合わせ用の多岐管によりウエッブを絡み合わせた。図1にはベルト10の形の孔の開いた成形面の上に前駆体ウエッブPが沈積し、このウエッブに絡み合わせ用の多岐管12が作用している様子が示されている。次にウエッブは連続した孔の開いた成形面を有するドラム14の上を通って絡み合わせ用の多岐管16により絡み合わせられ、しかる後ウエッブはドラム18の孔の開いた成形面の周りへと向かい、絡み合わせ用の多岐管20により絡み合わせられる。その後でウエッブは連続した孔の開いたドラム22の上を通過し、次いで絡み合わせ用の多岐管24’、24’によって絡み合わせ処理を受ける。この実施例では各絡み合わせ用の多岐管は1インチ当たり42.3個の間隔で120μのオリフィスを含んでおり、多岐管は順次100、300、700、および1300psi(ポンド/平方インチ)で操作され、ライン速度は毎分45ヤードであった。幅72インチのウエッブを用いた。
【0036】
図1の絡み合わせ装置は、このようにして絡み合わせられた前駆体ウエッブに影像およびパターンを賦与する三次元影像転写装置を具備した三次元影像賦与ドラム24をさらに含んでいる。この絡み合わせ装置は多数の絡み合わせ用の多岐管26を具備し、これはドラム24の三次元影像転写装置と一緒に作用して繊維布にパターンを賦与する。この例においては影像賦与用の多岐管26を順次2800、2800、および2800psiで動作させ、ライン速度は予備的な絡み合わせの際に使用した速度と同じであった。
【実施例1】
【0037】
対照実施例1記載の方法で三次元の影像を賦与した不織布をつくったが、この場合本発明に従う別法として軽量の1.5オンス/平方ヤードのポリエステルのステープル繊維のウエッブを約2.0デニールの1.5オンス/ヤードのポリエステル・スパンボンド・ウエッブと並べて配置した。このステープル繊維/スパンボンド・ウエッブの層状のマトリックスに対照実施例1記載と同等な水圧をかけた。
【0038】
本発明に従ってつくられた影像を賦与された不織布は、支持層即ちスクリムのない同等な坪量の材料に賦与された影像に比べ、三次元の影像が明瞭でありはっきりとしていた。
実施例1のような影像を賦与された不織布は伸び特性が著しく小さく、その結果機械的な加工および使用中における影像の保持性が改善されている。
【0039】
本発明の材料は、吸音性の二次絨毯裏地として使用することができ、また浮遊積層床システムを含む種々の床システムの裏地材料、および三次元の影像を賦与された不織布が使用できる他の最終用途製品を与えることができる。ASTM E1050に従い垂直方向に入射した音の吸収率および垂直方向に入射した音の伝播損失について二次絨毯裏地の吸音特性を試験した。63Hz〜200Hz、250Hz〜1,000Hz、および1,250Hz〜4,000Hzの1/3オクターブの中心周波数の範囲において、二次絨毯裏地は好ましくはそれぞれ0.02dB〜0.06dB、0.07dB〜0.19dB、および0.25dB〜0.72dBの範囲の吸音を示す。さらに125Hz〜400Hz、500Hz〜1,250Hz、および1,600Hz〜4,000Hzの1/3オクターブの中心周波数範囲において、二次絨毯裏地は垂直方向に入射した伝播損失(NI−TL)の値は好ましくはそれぞれ7.3dB〜8.8dB、9.3dB〜10.7dB、および14.0dB〜17.5dBである。結果を表1および2に掲げる。
【0040】
これに加えて、本発明の不織布の二次絨毯裏地を、織ったポリプロピレンの二次絨毯裏地と比較して試験した。その結果雑音低減係数(NRC)は不織布の基質に対し0.21dBであったのに比べ織った基質では0.17dBであり、不織布の方が織った基質に対して約20%の改善が見られた。音の伝播クラス(STC)も試験したが、織った基質は値7を受け取ったのに対し、本発明の不織布は値13を受け取った。同等な重さの絨毯で試験した場合、不織布の二次絨毯裏地は織った絨毯の裏地に比べ約50%改善されていた。
【0041】
他の最終用途には音響壁システムの製作、自動車への応用、クリーニングなどを行うために手で容易にもてる湿ったまたは乾いたかたい表面をもつワイパー、産業用の保護着、例えばガウンまたは仕事着、シャツ、ボトム・ウエイト(bottom weight)、実験着、顔マスクなど、自動車、トラック、ボート、飛行機、オートバイ、自転車、ゴルフカートのような車両用のカバーを含む保護カバー、並びに焼き網(グリル)、中庭および庭園用の装置、例えば草刈り機および回転耕運機、芝生用備品のようにしばしば戸外に放置される装置のカバー、床カバー、テーブルクロス、およびピクニック区域のカバーが含まれる。
【0042】
上記の説明から、本発明の新規概念の精神および範囲を逸脱することなく多くの変更および変形をなし得ることが判るであろう。また本明細書に例示された特定の具体化例に関して全く限定を行うつもりもないしまた行うべきではないことも理解されるであろう。本明細書における説明では、添付特許請求の範囲によってこのようなすべての変形が該請求の範囲に入ることが意図されている。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の原理を具体化した耐久性のある不織布を製造する装置の模式図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音性の二次絨毯裏地用繊維布を製造する方法において、該方法は
繊維マトリックスを与え;
支持層を与え;
孔の開いた表面を与え;
該繊維マトリックスと該支持層を並べて配置し、水力エネルギーをかけて該繊維マトリックスおよび該支持層を絡み合わせて前駆体ウエッブにし;
該孔の開いた表面の上で該前駆体ウエッブを水力により絡み合わせて三次元の影像が賦与された繊維布をつくる段階を含んで成り;
ここで該絨毯裏地は、125Hz〜400Hz、500Hz〜1,250Hz、および1,600Hz〜4,000Hzの各1/3オクターブの中心周波数範囲において垂直方向に入射した伝播損失(NI−TL)の値が7.3dB〜8.8dB、9.3dB〜10.7dB、および14.0dB〜17.5dBであり、また63Hz〜200Hz、250Hz〜1,000Hz、および1,250Hz〜4,000Hzの各1/3オクターブの中心周波数範囲において垂直方向に入射した音の吸収範囲が0.02dB〜0.06dB、0.07dB〜0.19dB、および0.25dB〜0.72dBであることを特徴とする方法。
【請求項2】
繊維マトリックスおよび支持層を含んで成る吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布であって、該支持層は該不織布の絨毯裏地用繊維布の中に少なくとも一つの三次元の影像を賦与するために孔の開いた表面の上で水力により絡み合わせられた連続フィラメントの層を含んで成り、ここで該絨毯裏地は、125Hz〜400Hz、500Hz〜1,250Hz、および1,600Hz〜4,000Hzの各1/3オクターブの中心周波数範囲において垂直方向に入射した伝播損失(NI−TL)の値が7.3dB〜8.8dB、9.3dB〜10.7dB、および14.0dB〜17.5dBであり、また63Hz〜200Hz、250Hz〜1,000Hz、および1,250Hz〜4,000Hzの各1/3オクターブの中心周波数範囲において垂直方向に入射した音の吸収範囲が0.02dB〜0.06dB、0.07dB〜0.19dB、および0.25dB〜0.72dBであることを特徴とする吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布。
【請求項3】
繊維マトリックスおよび支持層を含んで成る吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布であって、該支持層は該不織布の絨毯裏地用繊維布の中に少なくとも一つの三次元の影像を賦与するために孔の開いた表面の上で水力により絡み合わせられた注型スクリムを含んで成り、ここで該絨毯裏地は、125Hz〜400Hz、500Hz〜1,250Hz、および1,600Hz〜4,000Hzの各1/3オクターブの中心周波数範囲において垂直方向に入射した伝播損失(NI−TL)の値が7.3dB〜8.8dB、9.3dB〜10.7dB、および14.0dB〜17.5dBであり、また63Hz〜200Hz、250Hz〜1,000Hz、および1,250Hz〜4,000Hzの各1/3オクターブの中心周波数範囲において垂直方向に入射した音の吸収範囲が0.02dB〜0.06dB、0.07dB〜0.19dB、および0.25dB〜0.72dBであることを特徴とする吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布。
【請求項4】
該孔の開いた表面は三次元影像転写装置であることを特徴とする請求項1記載の吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布。
【請求項5】
該繊維マトリックスはステープル長の繊維を含んで成っていることを特徴とする請求項1記載の吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布。
【請求項6】
該繊維マトリックスは実質的に連続フィラメントを含んで成っていることを特徴とする
請求項1記載の吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布。
【請求項7】
該繊維マトリックスはカージングおよびクロスラッピングされていることを特徴とする請求項1記載の吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布。
【請求項8】
該支持層はスパンボンド繊維布であることを特徴とする請求項1記載の吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布。
【請求項9】
該支持層はスパンボンド繊維布および注型スクリム積層品であることを特徴とする請求項1記載の吸音性の二次不織布絨毯裏地用繊維布。

【図1】
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【公表番号】特表2007−522356(P2007−522356A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552207(P2006−552207)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/003222
【国際公開番号】WO2005/076865
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505443414)ポリマー・グループ・インコーポレーテツド (2)
【Fターム(参考)】