説明

周囲状況センサによって調合品の特性を自動的にまたは半自動的に調整し得るような調合品導出デバイス

本発明は、化粧品または皮膚用製剤に関するシステム(10)を開示するものであって、収容導出デバイスと;システムの周囲状況の物理量に関連した情報を提供し得るよう構成された周囲状況センサと;導出される調合品の少なくとも1つの特性を変えることができる調整システムと;情報に基づいて自動的に調整システムを起動するための、および/または、情報に基づいて調整システムに対して実施される操作をユーザーに対して知らせるための、手段と;を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品または皮膚用製剤の導出に関するものである。より詳細には、本発明は、日焼け防止用の調合品(sun exposure preparation)の導出に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品は、多くの場合、様々な状況へと適合し得るよう、様々な変形で利用される。
【0003】
よって、例えば日焼け止めといったような日焼け防止剤は、様々なレベルの効能(例えば、様々なSPF)を有するものとして調製することができ、また、例えばフィルタといったような活性成分の含有量を様々に変更することができ、これにより、日焼け状況の様々な変化に適応することができる。
【0004】
そのような製品のユーザーは、日光の状況(例えば、強度、向き、露出時間、その他)に関する特定の状況に対してどのような製品を選択して使用するかを決定する際に、問題点に直面することとなる。このため、日光状況が様々に変化するであろうことをユーザーが前もって知り得ることにより、どのレベルの効能の製品を選択するかにおいて、ユーザーが躊躇することとなる。ユーザーは、様々な効能の複数の製品を選択することができる。しかしながら、そのような解決策は、望ましくないものである。少なくとも、複数の製品によって占有されるスペースと、複数の製品のための購入費用と、のために、望ましくないものである。
【0005】
他の選択肢は、最も効能の大きな製品を使用することである。しかしながら、そのような解決策は、状況的に必要ではないのに最大級の保護を行うことでいくつかの欠点が引き起こされることのために、望ましくないものである。例えば、日光スペクトルの全部または一部は、実質的に皮膚に到達することを防止され、これにより、日焼けが防止される。これにより、ユーザー自身の保護機能(例えば、メラニン生成)を引き起こしてしまうような生理的変化を引き起こすことがない。
【0006】
1つの潜在的に可能な解決策は、特定の時刻に日光に曝される前に専門家からアドバイスを受けることである、あるいは、光束を測定し得るよう構成された機器を使用して測定を行うことである。そのような解決策は、専門家または機器の利用可能性が制限されていることのために、また、毎日毎日アドバイスを受けられないことのために、望ましいものではない。さらに、受領したアドバイスに基づいて所望の効能の製品を選択する際に、ユーザーは、追加的な労力を払わなければならない。例えば、換算表を作成することができ、これにより、そのような選択は、魅力的なものではなくなり、エラーの傾向が発生する。
【0007】
また、様々な効能を有した製品を選択することに関連した問題点は、製品自体を、例えば乾燥や高温や低温からの保護といったように、状況の変化から保護することである。
【0008】
さらに、様々な理由により、多数のケア製品は、例えば製造的理由の結果としておよび/または経済的理由の結果として、単一の効能のものとされるあるいは複数の効能のものとされる。製造業者は、多くのユーザーの要望を満たし得るよう、多種多様な製品を製造することを望むけれども、製造業者は、例えば経済的理由に基づいて、製品の種類を制限することとなる。
【0009】
特に適切な量および適切な濃度で使用されたときには、紫外線(UV)フィルタが、髪の色の保護に関して効果的であることが、知られている。そのような濃度は、製品の適用後に、なんか「重い」感じ、すなわち、ユーザーにとって好ましくない感じ、を引き起こす。そのため、日光の量が少なくてそのような高濃度の使用が適切でない場合には、そのような高濃度の使用は、好ましくない。また、ユーザーは、例えば製品の適用時に好ましくない「重い」感じを制限するために、保護活性成分を中程度の濃度で含有した製品を選択して使用することができる。しかしながら、そのような中程度の濃度では、日光の量が多くなった場合には、不十分な保護しかもたらすことができない。そのため、髪の色と状態とに関して、潜在的に、損傷をもたらし得るものであり、場合によっては不可逆的な損傷をもたらし得るものである。
【0010】
また、髪が空気の電気伝導度に敏感であることも、知られている。空気が非常に小さな電気伝導度を有する場合には、例えば乾いた空気の場合には、髪は、静電気によって帯電する。そのため、髪にブラシをかけたり櫛でとかしたりすることが困難となる、あるいは、不可能とさえなる。製造業者は、髪に関してはこの現象がむしろ珍しいことであることのために、静電気に対抗するための製品を製造することを、躊躇してきた。さらに、静電気に対して効果的に対抗する目的で、例えばシャンプーといったような従来製品の中に、活性成分を含有させることができるけれども、そのような活性成分は、また、好ましくない「重い」感じをもたらす。したがって、そのような活性成分の存在が望ましいような雰囲気条件でない限りにおいては、髪に対してそのような活性成分を付与することは、好ましくない。
【0011】
製品の効能レベルの選択に関連した問題点は、予想できない経時的変化でもって雰囲気条件が変化する場合には、より困難なものとなる。例えば、日光のレベルがどのように変化するかについては時には予測できるけれども、温度や湿気や風速がどのように経時的に変化するかを予測することは、より困難である。
【0012】
このように、製品を選択することは、複雑な問題であり、失敗してしまう場合がある。このことは、特定の期間にわたって温度または湿度が急激に変化する場合には、特に当てはまる。そのような変化は、既に適用された製品の品質に悪影響を与えたり、既に適用された製品の効果に悪影響を与えたり、する。その理由は、とりわけ、ユーザーにとってそのような変化が、不意のものであるからであり、そのため、ユーザーが、不適切なレベルのおよび/または望ましくないレベルの保護効果および/または化粧効果を有した製品を選択してしまうことが、珍しくないからである。例えば、洗練されたヘアスタイル(例えば、ボリュームのあるヘアスタイル)を有した人にとっては、そのヘアスタイルの形状を維持することが好ましい。そのため、そのような人は、大量のヘアスプレーを適用することとなる。しかしながら、大量のヘアスプレーは、いささか望ましくない外見や感じをもたらしかねない。さらに、そのような適用は、天気が乾燥してそのままである場合には、好ましくないことが判明している。
【0013】
米国特許出願No.2003/0064350(特許文献1)に開示された方法においては、例えば年齢や皮膚タイプや髪タイプに関するデータといったような対象者に関する情報が取得され、その対象者の場所に応じて、製品の使用についてアドバイスが提供される。
【0014】
米国特許No.4,962,910(特許文献2)に開示されたデバイスは、UV放射線センサと、計算手段と、を具備している。計算手段は、皮膚タイプと日焼け止め製品とに応じて機能し、受領されたUV量が斑点(erythemia )を引き起こし得るようになると、アラームを起動させるように機能する。
【0015】
米国特許出願No.2005/0005678(特許文献3)に開示された収容導出デバイスは、天気予報を受信できるプロセッサを具備しており、これにより、ユーザーに対して推奨動作をアドバイスする際には、その天気予報を考慮する。この特許文献3は、また、湿度計を開示している。この湿度計は、物質が適用されるべき頻度に関する推奨を表示し得るように、あるいは、使用される物質の性質を変更するための要望に関する推奨を表示し得るように、構成されている。プロセッサは、湿度センサから供給される情報を、あるいは要望によっては、例えば皮膚と接触し得るよう構成されたセンサや温度センサや太陽光放射センサといったような他のセンサから供給される情報を、受領することができる。
【0016】
収容導出デバイスに関しては、さらに、ストッパ上に設けられたスライダを使用することによって、適用される物質の日焼け止めインデックスを手動で調節し得るものが、知られている。
【0017】
米国特許出願No.2006/0108247A1(特許文献4)は、2つの物質の相対比率を、要望される性質に応じて手動で変更可能とされたような、収容導出デバイスを開示している。
【0018】
米国特許No.7,247,140(特許文献5)に開示されたディスペンサは、UV放射センサと、受領されたUVレベルが予め設定されたしきい値を超えたことを通知するための手段と、を具備している。
【0019】
独国特許出願DE 20 200 40 11 856(特許文献6)に開示された収容導出デバイスは、互いに異なる組成物を収容した2つまたはそれ以上のカートリッジと、組成物を混合するための手段と、を具備している。このデバイスは、さらに、組成物の混合を、例えば湿度成分を決定する目的のセンサといったような、被処置領域に対しての適用のためのセンサから供給される情報に基づいて制御し得るような、調整手段を具備している。
【0020】
米国特許出願No.2006/0258946(特許文献7)は、例えば皮膚湿潤センサまたは様々な他のセンサといったようなデバイスを備えた容器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許出願No.2003/0064350
【特許文献2】米国特許No.4,962,910
【特許文献3】米国特許出願No.2005/0005678
【特許文献4】米国特許出願No.2006/0108247A1
【特許文献5】米国特許No.7,247,140
【特許文献6】独国特許出願DE 20 200 40 11 856
【特許文献7】米国特許出願No.2006/0258946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の様々な実施態様は、化粧品または皮膚用製剤のためのシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明による化粧品または皮膚用製剤に関するシステムは、
・導出されるべき調合品を調製するための1つまたは複数の出発組成物を収容した収容導出デバイスと;
・システムの周囲状況の物理量(あるいは、物理的パラメータ)に関連した情報を提供し得るよう構成された周囲状況センサと;
・収容導出デバイスに対して結合されているあるいは収容導出デバイスに対して結合し得るように構成されている調整システムであるとともに、導出される調合品の少なくとも1つの特性を変えることができる調整システムと;
・情報に基づいて自動的に調整システムを起動するための、および/または、情報に基づいて調整システムに対して実施される操作をユーザーに対して知らせるための、手段と;
を具備している。
【0024】
本発明により、周囲状況センサからの情報と、システムの周囲環境の少なくとも1つの物理量(あるいは、物理的パラメータ)に関連する情報と、のうちの少なくとも1つに基づいて、導出される調合品の特性を、自動的にまたは半自動的に、変更することができる。
【0025】
様々な実施形態によると、調合品は、気体ではない形態で供給され、例えば、液体やクリームやゲルや懸濁液やエマルジョンやあるいは流動可能な粉末といったような流体という形態で、供給される。
【0026】
『自動的』という用語は、ユーザーが調整部材を操作することなく、調整が実施されることを意味するものとして理解されたい。『半自動的』という用語は、調整を行うに際して、ユーザーが調整部材を起動することを必要とすることを意味するものとして理解されたい。例えば、システムは、調整値を表示あるいは通知し、ユーザーは、情報に応じて、システムの調整部材を駆動する。
【0027】
システムは、携行可能なものまたは携帯可能なものとすることができる。すなわち、片手で保持し得るものとすることができ、片手で操作し得るものとすることができる。
【0028】
調整システムにより、周囲状況センサから供給された少なくとも1つの情報に基づいて、導出される調合品の内部における少なくとも1つの活性成分の濃度を変えることができる。よって、システムの使用時には、調合品中における主活性成分の濃度または副活性成分の濃度は、使用の際に最適化される。
【0029】
『主活性成分』という用語は、例えばシャンプーの場合の湿潤剤といったように、調合品において主要な効果をもたらす1つまたは複数の活性成分を示すのに使用されている。『副活性成分』という用語は、調合品を魅力的にするという役割を果たしている1つまたは複数の活性成分を示すのに使用されている。例えば、シャンプーの場合には、副活性成分は、香りを提供する活性成分、あるいは、流動性を制御する活性成分とされる。
【0030】
例示としての実施形態においては、主活性成分の濃度は、例えば0とCmax との間といったように2つの値の間において連続的に変化させることができる。
【0031】
本発明により、周囲状況センサをその瞬間の状況に単に露出させて調合品を導出することにより、最適化された調合品を導出することが可能となる。すなわち、使用の瞬間において理想的であるような、主活性成分の濃度および副活性成分の濃度を有した調合品を導出することが可能となる。本発明の例示としての実施形態によるシステムが他の瞬間において使用された際には、システムは、その瞬間の新しい状況に基づいて、活性成分に関する濃度を最適に調整することができる。
【0032】
付加的には、化粧品または皮膚用製剤に関するシステムは、周囲状況に関する1つまたは複数のセンサからの情報を処理することに適したエキスパートシステムと通信し得るように構成される。これにより、本発明の例示としての実施形態によるシステムを、単純化することができる。これにより、コンピュータ手段を最小化したり、コンピュータ手段を設けないことができる。
【0033】
周囲状況センサと調整システムとに対して供給されるエネルギーは、内部電気エネルギー源によって、あるいは、周囲光によって、あるいは、ユーザーがエネルギー変換システムを使用することによって、例えばユーザーが電気機械的機構を使用することによって、提供することができる。
【0034】
調合品を導出するためのエネルギーは、および要望によっては調合品を一様化するためのエネルギーは、エネルギーコンバータに対してユーザーがもたらすことによって、あるいは、ユーザーが直接的に力をもたらすことによって、例えばデバイスの1つまたは複数の壁をユーザーが押圧することによって、提供することができる。エネルギーは、また、内部電源または外部電源によって提供することもできる。例えば、周囲光を太陽電池によって電気へと変換することができる。
【0035】
本発明は、日焼け止め用の調合品の調製に適用することができる。このような状況においては、周囲状況センサは、UV放射センサとすることができる。デバイスから導出される調合品は、UV放射の強度に基づいて1つまたは複数の日焼け止め剤を自動的に計量することにより、UV光の照射強度に基づいて本発明によって保護強度が自動的に調節された日焼け止め用の調合品とすることができる。
【0036】
周囲状況センサは、システムに属している光源によって放出される光に対してではなく、受領される周囲の光に対して敏感なセンサとすることができる。センサは、皮膚色センサではない。システムは、例えば皮膚フォトタイプを決定するために、皮膚色を測定するためのさらなるデバイスまたはさらなるセンサを備えることができる。
【0037】
システムは、UV放射に基づいてだけではなく、皮膚フォトタイプに基づいても、自動的に保護強度を調節することができる。本発明は、また、皮膚の乾燥に対抗し得るような、調合品を調製することができる。このような状況においては、周囲状況センサは、温度センサと、湿度センサと、光束センサと、のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0038】
デバイスから導出される調合品は、また、スキンケア製品とすることができる。この場合、調合品の特性は、周囲温度に基づいて自動的に調節される。このような状況においては、例えば、周囲状況センサは、温度センサを備えている。
【0039】
本発明は、また、冬の気候に対する保護を提供するための調合品の調製に関しても、適用することができる。このような状況においては、周囲状況センサは、温度センサと、湿度センサと、光束センサと、のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0040】
本発明の利点は、工場で調製された製品では様々な強度のものを利用できないのに対し、様々な強度の調合品を調製し得ることである。
【0041】
例えば、発汗抑制剤、デオドラント、および、芳香剤は、単一の強度だけでしか利用できないことが多い製品である。本発明によれば、例えばアルミニウム塩や抗菌薬や香料といったような発汗抑制剤の内容物は、屋外の状況に応じて調節することができる。周囲状況センサは、温度センサと、湿度センサと、光束センサと、のうちの少なくとも1つを備えることができ、当然のことながら、調合品の活性は、高温または高湿の場合には、または、光強度に応じて、増強されなければならない。これらの状況は、毎日毎日変化するものであるので、本発明は、非常に有用である。
【0042】
蚊に対しての保護を提供するための製品も、また、同様に、単一の強度だけでしか利用できない。本発明においては、例えばN,N−ジエチル−メタ−トルアミド(DEET)といったような活性成分の濃度を、温度センサおよび/または湿度センサを備えた周囲状況センサによって、屋外の状況に応じて、本発明に基づき、調節することができる。
【0043】
身体や髪を洗うための製品も、また、同様に、単一の強度だけでしか利用できない。本発明により、例えば湿潤剤といったような活性成分の濃度は、特に温度または湿度といったような外部状況に応じて、調節することができる。
【0044】
洗浄のための、化粧のための、また、髪を整えるための、調合品は、温度または湿度を測定する周囲状況センサを使用することにより、本発明によって改良することができる。これにより、例えば調合品内に含有される香料といったような副活性成分の強度を調節することができる。
【0045】
髪のための、洗浄のための、ケア目的のための、また、髪を整えるための、調合品は、光量を測定する少なくとも1つの周囲状況センサを使用することによって、本発明により改良することができる。これにより、日焼け止め剤とされる副活性成分の濃度を調節することができる。本発明により、周囲状況センサとしての光センサを使用することによって、日焼けに対しての保護活性成分の量が適用時点の状況に適合された髪用の調合品を使用することができる。出発組成物は、他の活性成分は別として、とりわけ、日焼け止め剤を備えることができる。例示するならば、本発明の例示としての実施形態によるシステムには、湿度センサおよび/または温度センサを設けることができる。これにより、必要に応じて、髪トリートメント調合品の中に、静電気防止活性成分を重み付けしつつ含有させることができる。『出発組成物』という用語は、リザーバに対して初期的に供給された組成物であって、調合品内へと含有される組成物を意味するものとして理解されたい。そのような出発組成物は、必要に応じて、活性成分、中性成分、および/または、これらの任意の組合せ、を含有することができる。組成物は、流体とすることができ、例えば、液体、クリーム、ゲル、懸濁液、エマルジョン、流動可能な粉末等とすることができる。組成物は、また、例えばスティック等といったような固体とすることができる。
【0046】
収容導出デバイスは、出発組成物とも称される2つの組成物を収容した2つのリザーバを備えることができる。それら組成物は、互いに混合されることにより、導出される調合品を形成する。収容導出デバイスは、調整システムを備えることができる。調整システムは、周囲状況センサから供給された少なくとも1つのデータに基づいて、導出される調合品の中における、他方の出発組成物に対しての一方の出発組成物の比率を変更することができる。
【0047】
収容導出デバイスは、互いに異なる出発組成物を含有した2つのリザーバと、それら出発組成物のうちの一方を選択的に抽出し得るよう構成された調整システムと、を備えることができる。例えば、出発組成物は、互いに異なる活性成分、および/または、互いに異なる内容物、を備えている。この例においては、複数の出発組成物は、出発組成物どうしを互いに混合することなく、導出することができる。
【0048】
物理量(あるいは、物理的パラメータ)は、UV放射線の強度;周囲温度または周囲圧力;例えば花粉や生物学的組成物といったような粒子の存在のインジケータや;例えばダニといったような動物種の存在;を備えていることができる。
【0049】
調合品の導出のために必要とされるエネルギーは、ユーザーがデバイスに対して及ぼす力によって、特に、ユーザーがデバイスの壁を押圧する力によって、提供することができる。
【0050】
デバイスは、導出される調合物が調製される1つまたは複数の出発組成物を収容した1つまたは複数の着脱可能なリザーバを備えることができる。
【0051】
化粧品または皮膚用製剤に関するシステムは、ユーザーインタフェースを備えることができる。ユーザーインタフェースは、ユーザーが、皮膚タイプ、髪タイプ、年齢、および/または、活性度合い(activity)のうちの少なくとも1つを入力することを可能とする。システムは、このようにして入力された情報を考慮することができる。そして、実施すべき調整を計算することができる。ユーザーインタフェースは、付加的には、収容導出デバイスの内部に組み込むことができる。
【0052】
調整システムは、ピンチバルブ、または、少なくとも1つの回転カム、または、他の調節手段、を備えることができる。
【0053】
収容導出デバイスは、活性化チャンバを備えることができる。活性化チャンバの中においては、不活性状態とされた活性成分を、刺激手段に対して露出することができる。これにより、不活性状態とされた活性成分を、活性状態へと、移行させることができる。
【0054】
例示としての実施形態においては、デバイスは、調節可能な比率でもって組成物が導出される少なくとも2つのリザーバを備えている。リザーバは、フレキシブルな壁を備えている。これにより、ユーザーは、壁を押圧することによって、組成物を導出することができる。
【0055】
システムは、それぞれ対応する2つのリザーバに対して流体連通可能に接続された2つのチャネルを有したヘッドを備えることができる。チャネルは、フレキシブルチューブを備えることができ、そして、システムは、アクチュエータを備えることができる。アクチュエータは、チューブの内部横断面積を変更することができ、チューブ内を流れる流体の流速を変更することができる。システムの動作時には、複数のチャネルは、同時に開放され得るものの、互いに異なる横断面積とすることができる。これにより、流体どうしの混合を、様々な比率で行うことができる。変形例においては、複数のチャネルが、所定時間にわたって所定シーケンスで開放される。これにより、各流体の量は、導出される調合品の全体に関して、所定比率に対応することとなる。
【0056】
本発明は、また、方法を提供するものであり、この方法においては、
・センサによって測定された少なくとも1つの周囲状況に応じて、上述したようにして調整システムによる調整操作を、自動的にあるいは半自動的に変更する。
【0057】
本発明は、また、化粧品または皮膚用製剤を調製するための方法を提供するものであり、この方法においては、
・周囲状況センサによって少なくとも1つの周囲状況を測定し、
・実施された少なくとも1つの測定に応じて、導出される調合品の特性を、自動的にあるいは半自動的に調節する。
【0058】
例えば、携帯用デバイスによって、測定が実施され、調整が実行される。そして、デバイスは、少なくとも、周囲状況センサと調整システムとを備えている。変形例においては、システムは、ハンドピースという態様の収容導出デバイスを備えている。ハンドピースは、不使用時には、ベースステーション上に載置することができる。ハンドピースは、出発組成物を収容した1つまたは複数のリザーバと、例えば出発組成物どうしを所望の比率で互いに混合することによって、所望の特性を有した調合品を導出するための手段と、を備えることができる。ハンドピースは、さらに、例えばバルブといったような調整部材を備えることができる。調整部材は、ハンドピースがベースステーション上に取り付けられている際には、ベースステーションによって駆動される。ベースステーションは、アクチュエータと、ハンドピースの調整部材に対しての接続のための機械的トランスミッションと、を備えることができる。これにより、バルブを、所望の調整に対応した位置に配置することができる。
【0059】
調整システムは、調合品の導出後には、調整状況を維持するように構成することができる。そして、そのような調整は、周囲状況センサからの新たな情報がプロセッサによって受領されるまでは、維持することができる。
【0060】
システムは、収容導出デバイスの少なくとも頂部を実質的に覆い得るよう構成された閉塞キャップを備えることができる。閉塞キャップは、また、スイッチを駆動し得るように構成することができる。そして、スイッチの駆動により、プロセッサに対して信号が送信され、これにより、キャップの開放状態またはキャップの閉塞状態が知らされる。この場合、閉塞キャップの開放により、周囲状況センサおよび/またはプロセッサの動作を引き起こすことができる。
【0061】
いくつかの実施形態においては、システムは、システム状態インジケータを備えることができる。システム状態インジケータは、LEDとすることができる。システム状態インジケータは、導出の待受状態と、周囲状況データ取得状態と、組成物の残量低下状態と、のうちの少なくとも1つを表示し得るよう構成されている。
【0062】
いくつかの実施形態においては、リザーバは、フレキシブルなおよび/またはソフトな材料から形成され、少なくとも1つの内部分割壁を備えている。
【0063】
いくつかの実施形態においては、プロセッサは、周囲状況センサにより提供される電圧との線形関係に基づく調整を決定するようにプログラムすることができる。プロセッサは、周囲状況センサにより提供される電圧との線形関係に基づいて調整を決定し得るようにプログラムすることができる。プロセッサは、また、1つまたは複数のインターフェースを介して、再プログラム可能なものとすることができる。
【0064】
いくつかの実施形態においては、収容導出デバイスは、ヘッドユニットとボディユニットとを備えることができる。そのようなヘッドユニットは、着脱可能および/または再使用可能なものとすることができる。ボディユニットは、1つまたは複数の出発組成物を備えることができ、ヘッドユニットは、調整システムとプロセッサとのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0065】
いくつかの実施形態においては、システムは、測定アクチュエータを具備することができる。測定アクチュエータは、例えば、ヘッドユニットおよび/またはボディ上に取り付けられる。測定アクチュエータは、情報を得る目的で、プロセッサと周囲状況センサとの少なくとも一方を起動し得るように構成することができる。
【0066】
上述した構成の他にも、本発明は、例えば後述するような様々な他の構成を備えることができる。上述の説明および後述の説明が例示に過ぎないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による例示としての実施形態による例示としての化粧品または皮膚用製剤のためのシステムを概略的に示す図である。
【図2】本発明による例示としての実施形態による例示としての化粧品または皮膚用製剤のためのシステムを概略的に示す図である。
【図3】本発明による例示としての実施形態による例示としての化粧品または皮膚用製剤のためのシステムを概略的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態に基づく例示としての調整システムの一部を概略的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態に基づく例示としての調整システムの一部を概略的に示す図である。
【図6】本発明の実施形態に基づく例示としての調整システムの一部を概略的に示す図である。
【図7】本発明の例示としての実施形態によるシステムの中に好適に組み込まれ得るような電子回路の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に基づく例示としての調整システムの一部を概略的に示す図である。
【図9A】本発明によるシステムの様々な構成を示す図である。
【図9B】本発明によるシステムの様々な構成を示す図である。
【図9C】本発明によるシステムの様々な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
添付図面は、明細書の一部を構成するものであって、本発明の非制限的な実施形態のいくつかの例示としての特徴点を図示しており、明細書と一緒に、本発明の原理を説明するためのものである。
【0069】
図1は、本発明の例示としての実施形態に基づく、例示としてのシステム10を示している。システム10は、1つまたは複数の周囲状況センサ11と、調整システム12と、1つまたは複数のリザーバ13と、を具備することができる。1つまたは複数のリザーバ13は、出発組成物を含有しているものであり、所望の性質を有した最終的に適用される調合品が得られるよう所望に混合して導出するためのものである。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数のセンサ11と、調整システム12と、1つまたは複数のリザーバ13とは、収容導出デバイス(あるいは、パッケージングとディスペンシングのためのデバイス、packaging and dispenser device)の中に組み込むことができる。『出発組成物』という用語は、リザーバに対して当初的に供給された組成物であって、調合品内に含有されるための組成物を意味するものとして理解されたい。そのような出発組成物は、活性成分や、中性成分や、それらの任意の組合せを有することができる。
【0070】
1つまたは複数のリザーバ13は、着脱可能な詰替品(レフィル)の態様とすることができる、あるいは、詰め替え可能なものとすることができる。要望によっては、1つまたは複数のリザーバは、収容導出デバイスのベースステーションに対して着脱可能に固定され得るものとして、収容導出デバイス内に組み込まれる。ベースステーションは、1つまたは複数の周囲状況センサ11と、調整システム12の全部または一部と、1つまたは複数の周囲状況センサ11から供給されるデータを処理するためのプロセッサ手段であるとともに、調整システム上において機能するプロセッサ手段と、を備えている。
【0071】
1つまたは複数の周囲状況センサ11は、取外しが着脱が実質的に不可能であるような態様でもって、システム10上に固定的に取り付けることができる。あるいはこれに代えて、1つまたは複数の周囲状況センサ11は、システム10上に取外し可能な態様で取り付けることができる。これにより、ある種の状況に敏感な周囲状況センサ11を、可能であれば使用される出発組成物に基づいたような他の状況に対して敏感な周囲状況センサ11といったような他のセンサへと交換することができる。
【0072】
例示としての実施形態においては、例えば図1に示すように、システム10は、独立に機能し得るように構成することができる。すなわち、システム10は、外部エキスパートシステムとの情報交換なしで機能することができる。
【0073】
例示としての実施形態においては、例えば図2に示すように、システム10は、任意の有線のまたは無線の通信手段を介して、システム10の外部のエキスパートシステム30に対してデータ交換することができる。エキスパートシステム30は、1つまたは複数の周囲状況センサ11から供給されるデータの一部または全部を、処理することができる。システム10は、可能であれば、外部エキスパートシステムが動作中であることをシステム10が検出した際に自動的に外部エキスパートシステム30を選択して使用することができる。
【0074】
いくつかの実施形態においては、調合品の特徴点は、ユーザーの好みとは無関係に調節することができる。あるいはこれに代えて、例えば皮膚タイプや髪タイプやユーザーの年齢やユーザーの皮膚色等といったようなユーザーの好みを考慮して、調節することができる。
【0075】
「周囲状況センサ」
本発明の例示としての実施形態によるシステムは、1つまたは複数の周囲状況センサ11を備えている。1つまたは複数の周囲状況センサ11は、湿度や、光(可視スペクトルの全部または一部、紫外線B(UVB)、紫外線A(UVA)、赤外線(IR))や、温度や、電気伝導度や、磁界や、電界や、圧力や、高度や、風や、降水や、霧や、イオン化や、電磁放射(X線、ガンマ線)や、電離放射線や、液体粒子や、固体粒子や、空気の透明度や、ガス状の化学化合物(例えば、CO、CO、N、O、O、NO、NO)や、あるいは、特定の原子(例えば、硫黄)、に関するセンサから選択することができる。さらに、1つまたは複数の周囲状況センサ11は、花粉やダニや他の昆虫の存在下で反応することができる。
【0076】
『周囲状況センサ』という用語は、皮膚または髪の特徴点を測定するためのセンサを意味するために使用されているのではなく、人々が位置している環境、より詳細にはシステム10が位置している環境、と関連したパラメータを測定し得るよう構成されたセンサを意味するのために使用されている。例えば、周囲空気の特徴点の測定、または、太陽放射に対する露出の測定は、周囲状況センサ11によって行うことができる。そのようなセンサは、周囲空気の特徴点、例えばイオン化、を測定することができる。
【0077】
いくつかの実施形態においては、周囲状況センサは、システム10の上部(地面と比較して上部)に配置することができる。例えば、周囲状況センサ11がUV放射を測定するように構成されたものである場合には、太陽および/または空からの光は、好ましい位置に周囲状況センサ11が配置されていることにより、周囲状況センサ11を直接的に衝撃することができる。このことは、例えばUV放射の強度レベルの測定を改良することができる。
【0078】
このように、周囲状況センサ11は、皮膚または髪に関する湿潤センサや色センサ以外のものとされている。周囲状況センサ11は、測定時には皮膚または髪と接触しないように構成されている。言い換えれば、周囲状況センサ11によって測定される物理的パラメータは、ユーザーの身体の一部(例えば、皮膚色、髪色、その他)を測定するものではない。湿度または温度を測定する際には、周囲状況センサ11は、システムの内部に配置することができる。例えば、収容導出デバイスのハウジングの壁に当接させて、または、収容導出デバイスのベースステーションの壁に当接させて、配置することができる。
【0079】
システム10は、単純な周囲状況センサ11と一緒に動作することができる。単純な周囲状況センサ11は、他の何らの処理および/または変換を行うことなく、その周囲状況センサ11のデータを調整システム12へと送信する。調整システム12は、受領したデータに基づいて調合品を調製する。例えば収容導出デバイスのリザーバ13の壁を押すことによってといったようにして、ユーザーが導出を望んだ場合にのみ、混合が行われて混合済み調合品の供給が行われる。
【0080】
いくつかの実施形態においては、システムは、2つ以上の周囲状況センサ11と一緒に動作する。2つ以上の周囲状況センサ11は、調整システム12に対してデータを送信することができる。調整システム12は、例えば信号どうしの加算といったような様々な手法でもって、様々なデータを処理することができる。この態様は、例えば、光に関する周囲状況センサと温度に関する周囲状況センサとを利用して皮膚の乾燥に対抗するための調合品を供給するような本発明の例示としての実施形態によるシステムにおいて、有利なものとすることができる。光に関する周囲状況センサと温度に関する周囲状況センサとからの各信号は、互いに加算することができる。これにより、システム10は、光単独の変化や温度単独の変化や光と温度との双方の変化に応じて、適応することができる。
【0081】
本発明の実施形態によるシステム10のいくつかの例示としての構成においては、2つの周囲状況センサ11からの信号の差分を、決定することができる。例えば、この態様は、昆虫(例えば、蚊)に対抗するための調合品を供給するシステムにおいて、有利なものとすることができる。そのような実施形態においては、システム10は、光センサと湿度センサとを備えることができる。供給される調合品中の蚊に対抗する活性成分の含有量は、光強度の増大につれて減少させることができ、また、湿度の増大につれて増加させることができる。
【0082】
システム10は、また、例えばそれぞれ個別のリザーバ13内に収容されたものといったような様々な活性成分に関連した2つ以上の周囲状況センサ11を備えることができる。そのような実施形態においては、導出されるべき調合品中に含有される各活性成分の量は、1つまたは複数の周囲状況センサ11に依存することができる。例えば、各々の活性成分は、供給される調合品中において、それぞれの活性成分に専用の周囲状況センサ11から供給されるデータに関連したと含有量を有している。
【0083】
図3は、本発明の実施形態による例示としてのシステム10を示している。システム10は、ハンドピース18の形態とされた収容導出デバイスを備えることができる。ハンドピース18は、ベースステーション19に対して着脱可能なものとすることができる。ベースステーション19は、1つまたは複数の周囲状況センサ11と、ハンドピース18がベースステーション19上に配置される際にハンドピース18内に配置されたバルブに作用するためのアクチュエータと、を備えることができる。よって、ハンドピース18がベースステーション19から取り外されるときには、ハンドピース18は、ベースステーション19が実行したすべての実行操作(例えば、バルブ操作)を保存することができる。要望された場合には、ベースステーション19は、順次的にあるいは同時に、1つまたは複数の互いに異なる出発組成物を含有している互いに異なる複数のハンドピース18を受領することができる。ベースステーション19は、このベースステーション上に設置される収容導出デバイスを識別し得るように、構成されている。この識別に際しては、例えば、ラジオ周波数識別(RFID)チップや、電気的コンタクトや、光学式読み取り装置や、機械触覚装置や、他の適切なデバイス、が使用される。
【0084】
「信号処理」
システム10は、1つまたは複数の周囲状況センサ11からのデータに基づき調整システム12に対して作用するための作用手段を備えている。このような手段は、様々な処理を実行する処理手段を備えることができる。それら様々な処理は、多かれ少なかれ複雑なものとすることができ、アナログ的な態様であるいはデジタル的な態様で実施することができる。使用される処理手段は、例えば収容導出デバイスの内部に全体的に組み込むといったようにして、システム10の内部に全体的に組み込むことができる。あるいはこれに代えて、1つまたは複数の周囲状況センサ11から供給される信号の処理の全部または一部は、システム10の外部に位置したまた収容導出デバイスの外部に位置したエキスパートシステム30において実施することができる。
【0085】
作用および/または処理のための手段は、マイクロプロセッサおよび/またはマイクロコントローラや、専門化された集積回路や、電子的比較器や、トランジスタや、ダイオードや、アンプや、および/または、処理を行い得るよう構成された他の任意の適切なデジタル的なまたはアナログ的な電子部品、を備えることができる。例えば、作用手段および/または処理手段のための手段は、i386アーキテクチャプロセッサやRISCプロセッサやおよび/または指示の実行を引き起こし得るよう構成された他の部品を有した回路を備えることができる。
【0086】
周囲状況センサ11から供給される信号は、経時的に集積することができる、あるいは、例えば平均化処理や正確であろうと思われる関数による処理や非線形性を形成する処理といったような他の処理を施すことができる。
【0087】
信号を解析することができ、この解析に基づいて、所望の情報を決定することができる。例えば、信号を解析することによって、システム10が屋内スペースに位置しているかあるいは屋外スペースに位置しているかを決定することができる。特に、この解析を実行するに際しては、スペクトルを、または、スペクトルの一部を、複数の典型的なスペクトルと比較することができる。
【0088】
考慮されるべきデータとして、システム10は、周囲状況センサ11により提供される値(例えば、瞬間的な最大値または最小値)を選択することができる。例えば、予め設定された期間にわたって観測された値を選択したり、一日あたりに得られた最大値または最小値を選択したり、することができる。
【0089】
本発明によるいくつかの実施形態においては、システム10は、周囲状況センサ11として光センサを備えることができる。光センサがUV光を検出したときには、システム10は、システムが構造の内部に位置しているのか、あるいは、遮光されたスペース(例えば、建物または住居)の内部に位置しているのか、を決定することができる。その結果、測定のためにユーザーがシステム10を外部に持ち出すことを、提案することができる(例えば、表示によって、および/または、可聴信号によって)。あるいはこれに代えて、システム10は、センサからの信号を数学的に変換することができ、これにより、結果を、屋外光を表す値へとより精密に近似することができる。光センサが急激な光量変化を検出した際には、また、UV光を検出した際には、システム10は、システムがある場所から他の場所へと移動したことを決定することができる。その結果、光センサから受領された最大値に基づいて、例えば新しい場所に対応する調整といったような調整を行うことを、選択することができる。
【0090】
システム10は、ユーザーの好みの入力を可能とするユーザーインターフェースと、外部源からのデータの受領を可能とするネットワークインターフェースと、を備えることができる。例えば、そのような外部源は、ネットワーク(例えば、電話ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット)、および/または、機器(例えば、コンピュータ、携帯電話、国内または地域のメトロロジカル(metrological)ステーション、あるいは、パーソナルデジタル補助機器(PDA))とすることができる。
【0091】
システム10は、1つまたは複数の追加的なセンサ980を備えることができる。追加的なセンサ980は、例えば、フォトタイプのセンサおよび/または身体的特徴センサとすることができ、周囲状況センサ11ではない。そのような実施形態においては、例えば、身体的特徴センサは、例えば、湿気レベルや、皮膚色や、髪の色、を測定するために設けることができる。そのような実施形態においては、システム10は、そのような追加的なデータを考慮に入れることができる。例えば、皮膚測定が身体的特徴センサによって行われ、なおかつ、UVセンサが特定のUV放射レベルを示している場合には、システム10は、ユーザーの皮膚色に基づいて、導出される調合品の中に日焼け防止フィルタの態様で保護をもたらすことを、決定することができる。言い換えれば、人の皮膚内に存在するメラニンによりもたらされる自然的な保護に基づいて、システム10は、導出される調合品をよりその当事者に適応させたようにして補償することができる。
【0092】
追加的なセンサ980は、測定を行う目的のために、内部にまたは外部に、光源を備えることができる。そのような光源は、周囲状況センサ11の動作時には起動しないものとすることができる。これにより、例えば、正確な測定を可能とし得るとともに、電力を節約することができる。
【0093】
いくつかの実施形態においては、ユーザーインタフェースは、システム10が屋内に位置しているかあるいは屋外に位置しているかをシステム10に対して通知することができ、また、調合品を受領する人の皮膚のタイプをシステム10に対して知らせることができ、また、とりわけ、操作モードを選択することができる、例えば、活性成分の濃度を手動で調整するかあるいは自動調整するかを選択することができる。
【0094】
システム10は、1つまたは複数の周囲状況センサ11に加えて、内部クロックを備えることができる。クロックにより、システム10は、例えば日付および時間に基づいて、現存する光量または予想される光量を決定することができる。周囲状況センサ11としてUVセンサが設けられている場合には、UV放射に関連した値を取得することができ、クロックは、特定の時刻を表示することができる(例えば、早朝)。システム10は、例えば調整されるべきインデックスを計算することによって(例えば、測定値に対応するインデックスよりも大きな値)、導出されるべき調合品の保護インデックスの調整時に、そのような要因を考慮することができる。他の例においては、クロックが、一日のうちの遅い時刻を示すデータを提示した場合には、システム10は、この点を考慮することができる。これにより、UV放射の測定値に対応するインデックスよりも小さな保護インデックスを提供することができる。当業者であれば、提供されたデータに基づく他の補償を考慮することにより、導出されるべき所望の調合品を提供し得ることは、理解されるであろう。そのようなすべての補償は、本発明の範囲内に属するものである。
【0095】
「導出」
本発明の例示としての実施形態によるシステムの収容導出デバイスは、1つまたは複数の周囲状況センサ11により提供されるデータに基づき様々な比率で混合され得る各成分(例えば、液体、粉、クリーム、その他)を収容した複数のリザーバ13を備えることができる。例えば、収容導出デバイスは、2つのリザーバを備えることができ、調整システム12は、それらリザーバのうちの少なくとも1つに由来する組成物の流量を制御することによって(例えば、ポンプ、および/または、バルブ)、機能することができる。
【0096】
いくつかの実施形態においては、システム10に関連した少なくとも1つのリザーバ13は、不活性な出発組成物すなわち「中性の」出発組成物を備えることができ、なおかつ、他のリザーバ13は、1つまたは複数の活性成分が多く含有された出発組成物を備えることができる。そのような構成においては、例えば1つまたは複数の周囲状況センサ11により提供されるデータの機能として、導出される調合品の中における活性成分の濃度を変えることができる。
【0097】
活性成分を備えた組成物の流量は、不活性成分を備えた組成物との混合前に、システム10によって調節することができる。これにより、混合物内における活性成分の濃度を所望のものとすることができる。流量を変更するに際しては、組成物のための流通部分に対して操作を行うことができる。例えば、所望の力でフレキシブルダクトを締め付けることができる。および/または、流体の流通チャンネル内へとバルブニードルを動かすことができる。流量のそのような変更は、調整システム12の可動部材によって実行することができる。例えば、そのような可動部材は、並進移動および/または回転移動および/または他の任意の移動が可能であるように構成され、さらに、モータによっておよび/または磁界によっておよび/または電界によっておよび/または他の手段によって、駆動される。
【0098】
収容導出デバイスが2つのリザーバを備えているような本発明の例示としての実施形態においては、例えば組成物の供給のために、ユーザー駆動し得るよう構成された複数のピストンを設けることができる。調整システム12は、2つのピストンの一方または双方のストロークに対して作用することができる。これにより、組成物どうしの相対的な比率を制御することができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態においては、1つまたは複数のポンプの流量を制御することによって、吐出される調合品内の活性成分の内容を制御することが望ましい。ポンプは、例えば、対応するリザーバ13から活性成分を抽出することができ、抽出した活性成分を、収容導出デバイスの吐出口へと供給することができる。
【0100】
収容導出デバイスは、2つ以上のリザーバ13を備えることができ、調整システム12は、各リザーバ13からの出発組成物の全部またはいくつかの流量を調節することができ、これにより、所望の濃度の1つまたは複数の活性成分を有した調合品を供給することができる。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態においては、収容導出デバイスは、各出発組成物の所定量を順次的にまたは同時に混合チャンバ内へとおよび/または導出口へと通過させることによって、容積を計測し得るように構成することができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態においては、所定態様のエネルギーを使用することにより、出発組成物内に含有されている初期的に非活性化された活性成分を活性化することができる。そのような活性化は、1つまたは複数の周囲状況センサ11により提供される情報に基づいて起動することができる。例えばワックスといったような溶融可能な活性成分を加熱することができ、また、感熱的な官能基上に懸架された活性成分を加熱することができ、また、溶融可能な活性成分内に閉じ込められた活性成分を加熱することができる。また、例えば感光性の化学官能基上に懸架された活性成分といったような感光性組成物に対して、光照射を行うことができる。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、他の任意の活性化を実施し得ることを、理解されるであろう。
【0103】
いくつかの実施形態においては、調整システム12は、活性成分を活性化させるに際し、オン/オフ的な態様で(すなわち、活性化あるいは非活性化)機能することができる。あるいは、調整システム12は、漸次的な態様で(例えば、経時的に線形な活性化)機能することができる。さらに、いくつかの実施形態においては、例えば活性成分を活性化チャンバ内を通過させることにより、調合品を供給しながら、活性成分の活性化を行うことができる。あるいはこれに代えて、活性成分は、収容導出デバイスからの吐出前に、調合品内において一定的な量でもってあるいは可変的な量でもって活性化することができる。例えば、活性化チャンバから、導出口へと、不活性化された活性成分を含有した所望量の流体を、抽出することができる。吐出前に、デバイスは、エネルギーを供給することにより、不活性化された活性成分を活性化することができる。その場合、活性化チャンバ内に抽出された活性成分だけを、リザーバ13からの隔離に基づき、活性化することができる。よって、リザーバ13内に残っている活性成分は、非活性化されたままである。各利用時には、活性成分の活性化度合いは、1つまたは複数の周囲状況センサ11により提供されるデータに従い、様々なものとすることができる。
【0104】
活性化チャンバ内へと出発組成物を導入させるための1つの例示としてのデバイスが、図4に示されている。デバイスは、1つまたは複数のフレキシブルな壁を備えることができる。ユーザーは、1つまたは複数のフレキシブルな壁を押圧することができ、これにより、組成物を、リザーバ36から、活性化チャンバ50内へと、例えばディップチューブ51を介して、移送することができる。活性化デバイス52は、活性化チャンバ50の内部に、あるいは、活性化チャンバ50の近傍に、配置することができる。これにより、活性成分の活性化を引き起こすことができる。活性化の後には、組成物を、活性化チャンバ50から、例えば、ポンピングによって、あるいは、圧力差(例えば、活性化チャンバ内においてユーザーによって生成された圧力差)によって、あるいは、注入によって、あるいは、アプリケータを使用して、あるいは、その他によって、取り出すことができる。ここに示した例においては、組成物は、活性化の後に、ディップチューブ54によって取り出される。
【0105】
いくつかの実施形態においては、収容導出デバイスは、ユーザーがリザーバ13を押圧したときに所定量の組成物を受領するための小さなチャンバを有したリザーバ13を備えたものとされる。ディップチューブは、リザーバとチャンバとを連結している。ヒータ(例えば、抵抗式のヒータ)は、活性化デバイスを構成することができ、チャンバを囲むことができる、あるいは、チャンバの近傍に位置することができる。ヒータは、例えば、電気の供給源(例えば、メインリザーバの下方に配置されたバッテリ)に対して接続することができる。ヒータへの電力の供給は、例えば、UVセンサとオペアンプとからなるアセンブリによって、制御することができる。
【0106】
その後、リザーバは、例えば溶融可能な活性成分を含有したものといったような、流体組成物によって充填することができる。検出されたUV放射レベルが比較的大きなものである場合には、ヒータを駆動することによって、活性化チャンバの内容物の温度を、例えば、3℃〜15℃という範囲の分だけ、上昇させることができる。その結果、チャンバ内の組成物内に含有されている溶融可能な活性成分が、温度上昇に基づいて、溶融される。いくつかの実施形態においては、ユーザーは、その後、収容導出デバイスを上下さかさまに回すことができる。これにより、活性化チャンバ内に存在する組成物の所定量を取り出すことができる。
【0107】
複数の出発組成物が混合される実施形態においては、収容導出デバイスには、少なくとも1つの混合チャンバを備えることができる。混合チャンバにより、導出の前に、複数の活性成分を組み合わせることができる(例えば、混合の一様性を改良することができる)。いくつかの実施形態においては、混合を、収容導出デバイスの導出口のところで、引き起こすことができる。収容導出デバイスは、導出前に混合物を攪拌するための、例えばボールといったような、攪拌部材を備えることができる。デバイスは、さらに、混合を引き起こすために、バッフルを備えているディスペンサーエンドピースを備えることができる。
【0108】
収容導出デバイスが互いに即興的に混合されるための複数の組成物を含有した2つのリザーバを備えている本発明の実施形態においては、複数の出発組成物の混合を、デバイスの外部で引き起こすことができる。例えば、混合のための複数の出発組成物は、個別の複数の吐出オリフィスを介して、外部に供給することができる。これら複数のオリフィスは、吐出された所定量をユーザーがより容易に受領し得るよう、互いに近接して配置することができる。複数の出発組成物は、収容導出デバイスの外部で、例えばユーザーがそれら組成物を受領する表面上で、互いに接触することができる。本発明によるいくつかの実施形態においては、デバイスは、フレキシブルな壁を有した2つのリザーバを備えることができ、各リザーバは、供給チャネルを有している。それら供給チャネルは、複数の出発組成物を互いに近接させつつ供給することができる。例えば、離れて5ミリメートル(mm)未満といったような距離でもって、例えば4mmといったような距離でもって、互いに近接させつつ供給することができる。
【0109】
図9Aは、本発明の実施形態に基づくシステム10の他の例示としての構成を示しており、図9Bは、ディスペンサーヘッド905の例示としての構成を、半透明な図示として、示している。システム10は、ヘッド905と、フレキシブルなおよび/またはしなやかな容器900と、を備えて構成することができる。容器900は、1つまたは複数の内部分割壁を備えることができる。内部分割壁により、容器900の内部に、所望容積の1つまたは複数のリザーバを形成することができる。各リザーバは、同程度の粘度を有した出発組成物を収容することができる。例えば、互いに異なる日焼け止め指数(SPF)を有した日焼け止めクリームを収容することができる。例えば、容器900は、フレキシブルなプラスチック材料から作製することができ、1つの分割壁によって2つのリザーバへと分割することができる。各リザーバは、100mlという容積を有することができ、第1リザーバは、SPFが10の日焼け止め剤を収容することができ、第2リザーバは、SPFが50の日焼け止め剤を収容することができる。
【0110】
ディスペンサーヘッド905は、容器900に対して流体連通するように配置される(例えば、容器900上に取り付けられる)。これにより、ディスペンサーヘッド905の組成物は、例えばチューブ960(例えば、フレキシブルな5mm直径のチューブ)を介して、容器900の複数のリザーバ内の出発組成物に対してアクセスすることができる。ディスペンサーヘッド905は、再使用可能なものとすることができ、様々な容器900に対して互換的に使用可能なものとすることができる。あるいはこれに代えて、ディスペンサーヘッド905は、単一の容器900だけに対して使用可能であるように構成することができる。
【0111】
ディスペンサーヘッド905は、とりわけ、1つまたは複数の構成要素として、調整システム12と、プロセッサと、組成物オリフィス920と、1つまたは複数の周囲状況センサ11と、を備えることができる。例えば、ディスペンサーヘッド905は、1つまたは複数の周囲状況センサ11(例えば、UVセンサ)と、回路基板930と、電源(例えば、バッテリ)(図示せず)と、調整システム12と、測定アクチュエータ(あるいは、測定活性化デバイス)935と、閉塞キャップ915と、視覚的インジケータ945(例えば、LED)と、開放インジケータ(あるいは、オープンインジケータ)947と、ハウジング950と、を備えることができる。
【0112】
図9Cは、調整システム12に関するいくつかの実施形態について、他の例示としての構成を示している。調整システム12は、チューブ960に対して接触した1つまたは複数の偏心ホイール970を備えることができる。偏心ホイール970は、シャフト975に対して動作可能に連結されている。シャフト975は、所定角度(例えば、180度)にわたって回転可能に構成されたモータ(例えば、サーボモータ)(図示せず)に対して動作可能に連結されている。モータは、回路基板930から指示に応じて、シャフト975を、さらには、偏心ホイール970を、回転させることができる。これにより、偏心ホイール970は、チューブ960を押圧することとなり、これにより、チューブ960を抑えつけて、チューブ960を通しての出発組成物の流れを制限することができる。そのような回転時には、モータおよび/またはシャフト975および/または偏心ホイール970は、新しい指示(例えば、測定アクチュエータ935の起動、および/または、キャップ915の再開放)が実行されるまでは、最後に指示された位置を維持し得るように構成することができる。言い換えれば、調整システム12は、システム10のシャットダウン(停止)後においてさえ、例えば回路基板930からの新たな指示によって所定条件が満たされるまでは(例えば、キャップ915の閉塞および再開放、測定アクチュエータ935の起動、その他)まで、同様の状況を実質的に維持することができる。
【0113】
回路基板930は、処理機能を実行し得るように構成することができ、そのような機能を実行するための、プロセッサまたは他の様々な回路を備えることができる。例えば、回路基板930は、様々な構成要素(例えば、プロセッサ、集積回路、その他)の接続を可能とする様々な部分(例えば、ピン、ソケット、その他)を有したような、様々なプリント基板を備えることができる、いくつかの実施形態においては、回路基板930は、Parallax社によって提供されるSX20AC/SSGシリーズというプロセッサを備えることができる。
【0114】
回路基板930は、とりわけ、周囲状況センサ11と、開放インジケータ947と、調整システム12と、測定アクチュエータ935と、視覚的インジケータ945と、電源932と、外部接続部材(例えば、RS−232、USB、その他)と、に対して通信可能に接続し得るように、構成することができる。例えば、回路基板930は、周囲状況センサ11からデータを受領することができ、受領したデータを処理することによって、調整システム12を使用して実行されるべき調整操作を決定することができる。受領したデータに基づいて指示を生成することができ、回路基板930から調整システム12へと送信されたこれら指示により、調整システム12の1つまたは複数の構成要素の駆動することができる。
【0115】
加えて、開放インジケータ947は、スイッチ(例えば、スプリング式スイッチ)、あるいは、他の適切なデバイス、を備えることができる。これにより、キャップ915が開放されたときには、信号(例えば、ピン電圧変化)を、回路基板930に対して送信することができる。これにより、キャップ915の開放が伝達される。同様に、キャップ915の閉塞時には、開放インジケータ947から、信号が再び送信され、これにより、キャップの閉塞が伝達される。回路基板930がそのような伝達を受領することにより、回路基板930の構成部材は、例えば周囲状況センサ11を使用してといったようにして、測定を開始することができ、調整システム12をオン/オフ動作させることができ、および/または、視覚的インジケータ945によってシステム10の現状を表示することができる(例えば、赤色によって、測定を表示することができ、黄色によって、調整を表示することができ、緑色によって、吐出の待ち受け状態を表示することができ、点滅によって、出発組成物の液位低下を表示することができる、等)。
【0116】
加えて、回路基板930に対する外部接続(例えば、RS−232、USB、その他)により、回路基板930およびこの回路基板に関連する様々なプロセッサの、プログラミングおよび再プログラミングを可能とすることができる。例えば、ユーザーおよび/または技術者は、プロセッサをプログラムする目的のために、ターミナル(例えば、ラップトップコンピュータ)または他の適切なデバイスを、USBケーブルを介して、システム10に対して接続することができる。そのようなプログラミングは、例えば、ソフトウェアの更新、ソフトウェアの削除、調整アルゴリズムの修正、その他、とすることができる。
【0117】
ハウジング950は、ディスペンサーヘッド905に関連した構成要素を収容し得るように構成することができ、例えばファッション性や機能性や耐久性などといったような様々な観点を考慮しつつ、任意の所望の材料から形成することができる。例えば、アルミニウム製のハウジング(例えば、陽極処理される)には、ヘッド905の構成要素のための様々な位置決め箇所を設けることができる。
【0118】
周囲状況センサ11は、ディスペンサーヘッド905の表面(例えば、上面)上に取り付けることができるあるいは配置することができる。周囲状況センサ11は、プリント回路基板930を介してプロセッサに対して通信可能に接続することができ、プロセッサに対して、周囲状況(例えば、紫外光)に関連したデータを提供することができる。加えて、周囲状況センサ11は、例えば、測定アクチュエータ935の起動時には起動され得るように、および/または、常に起動されているように、および/または、は閉塞キャップ915の最初の開放時には起動され得るように、および/または、その他の際に起動され得るように、構成することができる。
【0119】
キャップ915は、ディスペンサーヘッド905に対して、例えばディスペンサーヘッド905の頂部に対して、取り付けられることができる、あるいは、取り付け得るように構成することができる。キャップ915は、例えば、ヒンジ留めすることができる、あるいは、ネジ留めすることができる、あるいは、スナップ留めすることができる、あるいは、他の取付方法で取り付けることができる。閉塞キャップ915は、ディスペンサーヘッド905の上面を実質的にカバーし得るように、あるいは、ディスペンサーヘッド905の上面を完全にカバーし得るように、構成することができる。周囲状況センサ11は、閉塞キャップ915を閉じた際には、実質的に覆うことができる。このことは、とりわけ、UVセンサの汚れ防止および損傷防止を補助することができる(例えば、指による汚れ、組成物の乾燥、その他)。
【0120】
いくつかの実施形態においては、システム10は、さらに、例えば、1つまたは複数のバルブ(図示せず)を備えることができる。そのようなバルブは、軸方向に駆動することができる、および/または、回転駆動することができる、および/または、他の任意の適切な方法によって駆動することができる。そのようなバルブは、閉塞キャップ915と同様の機能を提供し得るように構成することができる。例えば、収容導出デバイスの閉塞、開放の伝達、その他、という機能を提供し得るように構成することができる。例えば、システム10には、システム10の長手方向軸線に沿って作用し得るよう構成されたバルブを設けることができる。そのようなバルブの開放時には(例えば、引っ張り力によるバルブの開放時には)、開放インジケータ947の駆動により、回路基板930に対して信号を送信することができ、これにより、システム10を起動することができる。さらに、その後、調合品は、ヘッド905から流通することができる。
【0121】
「実施例1」
この実施例においては、図5に部分的に示すように、システム10は、2つのリザーバを有した収容導出デバイスを備えている。2つのリザーバは、2つの導出ダクト210,220に対して連結されている。導出ダクトは、例えば、フレキシブルなプラスチックチューブとされ、およそ3mmという直径と、およそ25mmという長さと、を有している。
【0122】
一方のダクト210は、恒久的に開放することができる。他方のダクト220は、ワイヤ230を有したピンチバルブによって、選択的に開放したり閉塞したりすることができ、さらに、開放は、可変的な度合いでもって行うことができる。ワイヤ230は、例えば、ピアノ線とされ、およそ1mmという断面直径と、およそ3センチメートル(cm)という長さと、を有している。ワイヤ230は、プレストレスを有した状態で配置することができる。これにより、剛直な静止した部分240に対してダクトを押しつけてダクトを平坦化することができる。部分240は、例えば、他のダクトを支持している部分とされる。ワイヤ230の自然的な弾性は、ダクト220を挟み付けるのに十分なものである。これにより、ユーザーが対応するリザーバを押圧したとしても、組成物がダクト220を通って流れることを防止することができる。
【0123】
ワイヤ230の他端は、スロットを有した小さな歯付きホイール250に係合している。ホイール250は、モータ260(例えば、直流(DC)電流のモータ)とギア列270とによって駆動することができ、例えば、電流に比例して、モータ260によって供給されるトルクを増大させることができる。
【0124】
モータ260に対して電力が供給された際には、モータは、ホイール250に対してトルクを伝達する。そして、ホイール250が、ワイヤ230を引っ張り、ワイヤ230を固定部分240から遠ざかる向きに移動させる。モータ260に対して供給される電流が大きくなればなるほど、ワイヤがダクト220を平坦化する度合いが、より小さなものとなる。これにより、第2リザーバに対して押圧力が印加されたときに、より多くの組成物を通過させることができる。モータ260に対しての電力供給が停止されたときには、ワイヤ230の弾性により、ワイヤ230は、再びダクト220を押し付けた状態へと復帰することとなる。これにより、ダクト220は、固定部分240に対して押し付けられて平坦化することとなる。
【0125】
出発組成物の搬送のためのエネルギーは、例えば、2つのフレキシブルなリザーバをユーザーが押圧することによって、提供することができる。そのような実施形態においては、押圧力がリザーバに対して印加されない限りにおいては、液体は、実質的に、リザーバから出ることができず、導出ダクト220,230を通過することができない。
【0126】
例示するならば、例えば Scitec Instruments 社製の EryF という商標名のセンサといったようなUVセンサを、周囲状況センサ11として使用することができる。そのようなセンサは、UVB放射に対して特に良好な感度を有している。UVセンサは、例えば図7に示す回路といったような任意の適切な回路内において、任意の適切な位置において、任意の所望の方法によって、取り付けることができる。図7は、本発明の実施形態に基づく例示としての回路を示している。図7においては、UVセンサは、例えばAD8675といったようなオペアンプの差分入力のところに配置されており、ネガティブフィードバックを構成している。
【0127】
回路のための電力は、1つまたは複数のバッテリ(例えば、直列接続された2つの4.5ボルト(V)のバッテリ)によって供給することができ、例えば、接地端子として使用される中間点が設けられる。よって、オペアンプは、検出器のスペクトル帯域内における太陽フラックスに比例した電圧を供給することができる。
【0128】
システム10は、例えばAD8017、AD8052、等といったようなパワーアンプを備えている。パワーアンプは、ネガティブフィードバック構成として接続することができ、モータに対して電力を供給することができる。
【0129】
トリガーボタン280を、パワーアンプから出力のところに配置することができる。
【0130】
電子回路を、収容導出デバイスの任意の適切な位置に設けることができる(例えば、収容導出デバイスの頂部)。そして、この実施例においては、UVセンサとトリガーボタンとは、地面に対して上向きに設けることができる。
【0131】
保護および/または閉塞のためのキャップは、デバイスの頂部を覆うことができる。これにより、例えば、センサおよび他の構成要素の汚れを防止することができる。そのような構成においては、閉塞キャップは、システム10および/または収容導出デバイスを実質的にまたは完全に空気から遮断し得るようにして、システム10に対して取り付け得るように構成することができる。これにより、例えば、乾燥または損傷を防止することができる。閉塞キャップは、任意の適切な様々な取付態様でもって取り付けることができ、例えば、ネジ留めによって取り付けたり、スナップ留めによって取り付けたり、ヒンジ留めによって取り付けたり、することができる。
【0132】
この実施例においては、第1リザーバは、日焼け止め剤を2%という濃度で含有したエマルジョンによって充填され、第2リザーバは、日焼け止め剤を30%という濃度で含有したエマルジョンによって充填されている。
【0133】
この実施例においては、システム10は、ユーザーによって取り扱われる収容導出デバイス(例えば、手持ち式のデバイス、携帯型のデバイス)の内部に組み込まれる。
【0134】
システム10を使用するに際しては、ユーザーは、保護キャップを取り外す。ユーザーは、すべてのセンサが測定開始可能となるまでの少しの時間(例えば、少なくとも2、3秒)だけ待った後に、使用を開始することができる。組成物を抽出するために、ユーザーは、フレキシブルなリザーバに対して押圧力(例えば、圧搾する)を印加しつつ、同時に、(例えば、手の指で)トリガーボタンを駆動することができる。これにより、ユーザーは、リザーバ内に収容されている2つの出発組成物を、それぞれの導出ダクトの中を通して流れさせる。
【0135】
所望量の組成物を抽出した後には、ユーザーは、トリガーボタンを解除することができる。
【0136】
システム10によって検出された周囲のUV光量に応じて、より詳細には、UVセンサによって検出された周囲のUV光量に応じて、抽出された調合品の特性は、例えば2つの出発組成物の混合比率は、変えることができる。例えば、検出された光量が強い場合には、調合品は、UVフィルタを多く含有したものとすることができる。一方、検出された光量が弱い場合には、あるいは、光量が検出されなかった場合には、UVフィルタのような活性成分は、少ない比率とすることができる。同じシステム10のその後の使用時には、活性成分の濃度は、検出された紫外線レベルに関する最新データに応じて、変更することができる。
【0137】
「実施例2」
実施例1において説明したものと同じシステムが使用され、第1リザーバは、シリコーンオイルベースのゲルエマルジョンによって充填され、第2リザーバは、例えばパラペンティア(para-pentear)タイプのものといったようなリーブイン(leave-in)クリームコンディショナーによって充填される。
【0138】
昼間の場合、ユーザーは、保護キャップを取り外し、例えば2、3秒といったような少しの時間だけ待つ。その後、ユーザーは、容器に対して押圧力(例えば、圧搾する)を印加しつつ、同時に、トリガーボタンを起動する。これにより、2つの出発組成物を、それぞれの導出ダクトの中を通して流れさせる。
【0139】
検出された周囲のUV光量に応じて、導出される調合品の特徴は、例えばリーブインクリームコンディショナーの濃度において、変えることができる。例えば、UV光量が大きい場合には、抽出さた調合品の中のコンディショナーの濃度は、ゲルエマルジョンと比較して大きなものとすることができる。これにより、髪の色と品質とを保護する効果を生成することができる。すなわち、光量が大きいという状況に、調合品を適合させることができる。検出されたUV光量が小さな場合には、抽出される調合品は、コンディショナーと比較してゲルエマルジョンの比率を大きなものとすることができる。これにより、髪に対してコンディショナーを提供しつつ髪を所望の状態にすることができる。髪の色と品質とを保護する効果は、光量の状況に適合して、緩和される。
【0140】
「実施例3」
この実施例においては、システム10は、フレキシブルな壁を有した3つのリザーバを備えており、図6において部分的に示されている。各リザーバには、それぞれ対応する抽出ダクト310〜330が設けられている。各ダクトは、開口しており、例えば、互いに4mmという間隔とされている。よって、3つの出発組成物が抽出される際には、ユーザーは、これらの3つの組成物の混合によって形成された調合品を受領することができる。
【0141】
この実施例においては、各ダクトは、3mmの直径と25mmの長さとを有したフレキシブルなプラスチックチューブから、形成されている。第2リザーバおよび第3リザーバに関連したダクト320,330は、リザーバに対して固定された剛直な部分350によって保持されることができる。
【0142】
システム10は、複数のカムからなる対300を備えることができる。カム301,302は、互いにオフセットされているとともに、ダクト320,330の前方に配置されている。休止位置においては、カム301,302は、それぞれ対応するダクト320,330を押圧することができる。カム対300を支持しているシャフトを回転させた際には、カム301は、対応するダクト320を解放することができる。その後、カム対のシャフトが回転を継続した際には、カム302が、ダクト330を解放することができる。
【0143】
出発組成物の搬送のためのエネルギーは、例えば、ユーザーがフレキシブルなリザーバを押圧することによる圧力によって、提供することができる。よって、出発組成物は、リザーバに対しての押圧力(例えば、圧搾力)が存在しない場合には、実質的に、リザーバから抽出されることがなく、導出ダクト310〜330内を流れることもない。
【0144】
この実施例においては、システム10は、温度センサとされた周囲状況センサ11を備えている。温度センサは、例えば Dexter社の ST 60 という商標名の熱電対タイプの温度センサといったような、非接触型の温度センサを備えることができる。そのようなセンサは、例えば、温度と比例している負荷比率(duty ratio)を有したパルス幅変調(PWM)タイプの校正済み信号を供給することができる。温度センサは、例えばPWM信号に応じて回転し得るサーボモータ(図示せず)に対して直接的に接続することができる。サーボモータは、例えば5Vの電源といったような電源に対して接続することができる。
【0145】
トリガーボタンを、電源とサーボモータとの間に直列に設けることができる。温度センサは、収容導出デバイス上の任意の所望の位置に固定される、例えば、デバイスの頂部に固定される。
【0146】
第1リザーバは、中性ゲルによって充填することができ、第2リザーバは、グリセリンを20%含有したゲルによって充填することができ、第3リザーバは、20%のグリセリンと15%のUVフィルタとを含有したゲルによって充填することができる。
【0147】
システム10の使用に際しては、ユーザーは、保護キャップを取り外し、トリガーボタンを起動する。例えば2、3秒といったような少しの時間の後に、ユーザーは、トリガーボタンを押圧しながら、容器を圧搾する。これにより、3つの出発組成物を、それぞれの導出ダクトの中を通して流れさせることができる。
【0148】
温度が中程度(例えば、20℃)のときには、第1リザーバの中の液体を、第2リザーバおよび第3リザーバからの内容物の追加を行うことなく、ダクト310を通して導出することができる。温度がより高温である場合(例えば、およそ30℃〜40℃)には、サーボモータが、カム301,302を支持しているシャフトを、所望の回転度合いでもって、例えばおよそ4分の1回転という回転度合いでもって、回転させる。カム301は、第2リザーバに関連したダクト320を解放する。これにより、第1リザーバおよび第2リザーバからの内容物を含有した調合品が導出される。そのような調合品は、例えば、およそ10%のグリセリンを含有することができる。これにより、周囲温度に適応させた皮膚用ケア製品が提供される。
【0149】
さらに高温の場合(例えば、40℃あるいはそれ以上)には、サーボモータは、所望の回転度合いでもって、例えばおよそ2分の1回転という回転度合いでもって、カム301,302を支持しているシャフトを回転させる。この場合、カム301,302は、それぞれ関連したダクト320,330の双方を解放する。これにより、すべての3つのリザーバからの内容物を含有した調合品が抽出される。そのような混合は、例えば、16%のグリセリンと、5%の太陽フィルタ(日焼け止め剤)と、を含有することができる。これにより、周囲温度に適応させた皮膚用ケア製品が提供される。
【0150】
いくつかの実施形態においては、カムの形状は、有利には、導出ダクトを漸次的に解放し得るように選択することができる。これにより、デバイスは、中間度合いの調合品を、混合によって調合することができる。
【0151】
「実施例4」
この実施例においては、システム10は、各々が出発組成物を収容した2つのフレキシブル壁のリザーバを備えている。各リザーバには、それぞれ対応する抽出ダクトが設けられている。各ダクトは、開口しており、例えば、互いに4mmという間隔とされている。よって、複数の出発組成物が抽出される際には、ユーザーは、2つの組成物の混合によって形成された調合品を受領することができる。
【0152】
例示するならば、一方のダクトは、3mmの直径と25mmの長さとを有したフレキシブルなプラスチックチューブから、形成され、他方のダクトは、3mmの直径と55mmの長さとを有したフレキシブルなプラスチックチューブから、形成されている。
【0153】
この実施例の部分的な図示が、図8に示されている。図8においては、システム10は、ピンチバルブを備えている。ピンチバルブは、一方のダクト110に対して作用し、一端が、固定部分111上に保持され、他端が、三角形という横断面形状を有した可動部分112によって支持されている。
【0154】
スプリングが、可動部分112を、ダクト110に向けて、押圧している。ピンチング(締めつけ)により、ダクトを通しての組成物の流れが最小限とされている。
【0155】
可動部分は、モータによって、例えばPerformaxという商標のステッパーモータによって、駆動することができる。モータを起動させた際には、可動部分112が、ダクト110から離れる向きに移動する。その結果、可動部分112がダクト110からより離れる向きに移動すればするほど、出発組成物がダクト110を通過する速度が、より大きなものとなる。
【0156】
出発組成物を導出するためのエネルギーは、例えば、2つのフレキシブルなリザーバに対して印加された押圧力(例えば、圧搾力)によって、提供することができる。
【0157】
この実施例においては、UVセンサが、例えば、Scitec Instruments社の部品番号UV_Air_ABC_AMP0−5V_plugというブロードバンドUVプローブが、周囲状況センサ11として設けられる。内部に組み込まれたアンプによって、このセンサは、検出されたUV光(紫外線)の強度に応じて、0〜5Vという範囲の信号を供給する。この場合、システム10は、UVセンサから供給された信号に応じて、ステッパーモータを制御することができる。
【0158】
この実施例においては、UVセンサは、収容導出デバイスの頂部に対して接着的に取り付けられるとともに、ステッパーモータに対して接続され、バッテリが、センサとモータとに対して電力を供給する。
【0159】
保護キャップは、デバイスの頂部を覆う。これにより、UVセンサの汚れや損傷を回避することができる。トリガーボタンスイッチにより、デバイスの回路のスイッチングを行うことができる。
【0160】
第1リザーバは、2%の太陽フィルタを含有したエマルジョンによって充填することができ、第2リザーバは、30%の太陽フィルタを含有したエマルジョンによって充填することができる。
【0161】
昼間は、ユーザーは、保護キャップを取り外し、トリガーボタンを動作させる。
【0162】
UV測定を行うための少しの時間(例えば、2、3秒)の後、ユーザーは、容器に対して押圧力を印加する。これにより、リザーバの出発組成物を、それぞれの導出ダクトを通して導出する。UVセンサによって検出された周囲UV光に応じて、導出される調合品の特性を、例えば出発組成物要素の濃度を、変えることができる。例えば、UV光が強い場合には、導出される調合品内の活性成分の濃度が大きなものとされる。UV光が弱い場合には、あるいは、UV光が存在しない場合には、導出される調合品内の活性成分の濃度が小さなものとされる。
【0163】
「実施例5」
この実施例においては、実施例4において説明したのと同じシステムが使用される。
【0164】
第1リザーバは、太陽フィルタを含まないシャンプーによって充填され、第2リザーバは、20%の太陽フィルタを含有したリーブインクリームコンディショナーによって充填される。
【0165】
昼間は、ユーザーは、保護キャップを取り外し、トリガーボタンを動作させる。
【0166】
UV測定を行うための例えば2、3秒といったような少しの時間の後、ユーザーは、リザーバを圧搾し、リザーバの内容物を導出する。
【0167】
検出された周囲UV光に応じて、導出される調合品の特性を、変えることができる。例えば、UV光が強い場合には、活性成分の濃度が大きなものとされ、UV光が弱い場合には、あるいは、UV光が存在しない場合には、活性成分の濃度が小さなものとされる。
【0168】
「実施例6」
実施例4において説明したのと同じシステムが使用されるものの、この実施例においては、周囲状況センサ11は、例えばハネウェル社によって製造されたものといったような、湿度センサである。
【0169】
センサは、調整システム12のステッパーモータを制御する。
【0170】
第1リザーバは、40%のグリセリンを含有したゲルによって充填され、第2リザーバは、湿潤剤を含有していないゲルによって充填される。
【0171】
検出された湿度に応じて、導出される調合品の特性を、例えば2つのゲルの比率を、変えることができる。例えば、湿度が低い場合には、グリセリンの比率が大きなものとされ、湿度が高い場合には、グリセリンの比率が小さなものとされる。
【0172】
「実施例7」
この実施例においては、システム10は、周囲状況センサ11としてのUVセンサによって、UV露出に関連した周囲状況センサからのデータを受領することができる。付加的には、皮膚タイプ等に関連した周囲状況センサからのデータを受領することができる。この実施例のための1つの例示としての構成は、上述した図9A〜図9Cがある。
【0173】
この実施例においては、収容導出デバイスは、出発組成物を含有した2つのリザーバを備えている。一方の出発組成物は、10SPFの日焼け止め剤とされ、他方の出発組成物は、50SPFの日焼け止め剤(例えば、日焼け止めクリーム)とされる。日焼け止め剤の各々は、同程度の粘度とすることができる。いくつかの実施形態においては、そのような粘性の値は、日焼け止め剤が容易に流動し得るものとされる(例えば、重力と同程度の力が印加された場合に、10秒以内に流れる)。加えて、収容導出デバイスは、例えばAdvanced Photonics社のPDU−GS 106B−SM UVB検出器といったようなUVセンサと、Parallax社のSX20AC/SSGをベースとしたプロセッサと、を備えている。収容導出デバイスは、さらに、プロセッサからの指示に基づいて出発組成物を導出するために、例えばFytaba社のS3107といったような2つまたはそれ以上のサーボモータを備えることができる。
【0174】
UVセンサは、収容導出デバイスの任意の適切な位置に配置することができる。この実施例においては、この目的のために、UVセンサは、収容導出デバイスの頂部に配置されている。
【0175】
動作時には、ユーザーは、閉塞キャップを開けることができる。これにより、開放インジケータが、プロセッサに対して(例えば、ピン電圧の変化によって)送信を行うことができる。視覚的インジケータは、発光することができる。例えば赤色に発光することができる。これにより、視覚的インジケータは、ユーザーに対して、例えば周囲UV光の測定といったような測定のためのセンサの測定時間(例えば、2、3秒)であることを、知らせることができる。データの読取および調整の実行の後に、視覚的インジケータは、発光することができる。例えば、緑色に発光することができる。これにより、視覚的インジケータは、収容導出デバイスが調合品を導出し得る待受状態となったことを知らせることができる。
【0176】
調合品の導出に際しては、ユーザーは、フレキシブルなものとされ得るリザーバを圧搾することができ、これと同時に、指によって、トリガー/測定ボタンを押圧する。あるいはこれに代えて、トリガー/測定ボタンを押さない状態を、導出可能モードとして設定することができる。UVセンサ(すなわち、UV光フラックスに関して)によって検出されたデータは、プロセッサに対して提供することができる。これにより、プロセッサは、収容導出デバイスが位置している場所の現時点でのUV光フラックスを考慮して所望のSPFを決定することができる。例えば、提供されたデータに基づいて、プロセッサは、例えば一次関数を使用することによって、UV光の実測値を考慮した所望のSPFを得るために互いに混合される複数の出発組成物(例えば、10SPFのクリーム、および、50SPFのクリーム)の各々の量を、計算することができる。
【0177】
そのような実施形態においては、UV光フラックスが高レベルであることをデータが示している地域においては、導出されるクリームの実質的に大部分はまたはすべては、50SPFのクリームとすることができる。これにより、所望の保護を提供することができる。同様に、UV光フラックスが低レベルであることをデータが示している場合には、導出されるクリームの実質的に大部分はまたはすべては、10SPFのクリームとすることができる。これにより、所望の保護のみを提供することができる。データに基づいて、導出される調合品の特性は、例えば導出される調合品のSPFは、サーボモータに対してのプロセッサからの指示を介して、10SPF〜50SPFの間において、要望とおりに変えることができる。よって、日焼け止め剤の濃度は、太陽光に対しての所望の保護を提供し得るように、変更することができるおよび/または最適化することができる。以下の表1は、UVセンサから出力に基づいての、各リザーバからの、例示としての導出データを示している。
【0178】
【表1】

【0179】
皮膚タイプに関連したデータを備えている実施形態においては、システム10は、どの程度の濃度の日焼け止め剤を提供するかを決定するに際して、皮膚タイプおよび/または皮膚色を考慮することができる。例えば、皮膚色が濃いユーザーに関しては、自然的な日焼け防止機能(例えば、メラニン)を可能として保護プロセスを補助し得るよう、小さな値のSPFを提供することが好ましい。同様に、皮膚色が淡いユーザーに関しては、自然的な日焼け防止機能の少なさを補償し得るよう、追加的なSPFを提供することが好ましい。
【0180】
本発明は、上述した様々な実施例に限定されるものではない。例えば、様々な実施形態における様々な特徴点は、図示していない変形例においては、互いに組み合わせることができる。
【0181】
特許請求の範囲も含めて本明細書においては、『備える』という用語は、特に明記しない限り、『少なくとも1つのものを備える』ことと同義であるものとして、理解されたい。加えて、特許請求の範囲も含めて本明細書においては、すべての数値範囲は、特に明記しない限り、上限値および下限値を有するものとして、理解されたい。記述された構成部材に関する特定の数値例は、一般的に許容される製造誤差または工業的誤差の範囲内であるものとして、理解されたい。そして、実質的にという用語の使用、および/または、およそという用語の使用は、そのような一般的に許容される製造誤差内に属するものとして、理解されたい。
【0182】
本発明に関し、複数の特定の実施形態について上述したけれども、それら実施形態が本発明の原理および応用に関する例示に過ぎないことは、理解されるであろう。したがって、例示としての実施形態に対して様々な修正を加え得ること、および、特許請求の範囲に規定されたような本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な構成によって代替し得ることは、理解されるであろう。
【符号の説明】
【0183】
10 システム
11 周囲状況センサ
12 調整システム
13 リザーバ
18 ハンドピース
19 ベースステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品または皮膚用製剤に関するシステム(10)であって、
・導出されるべき調合品を調製するための1つまたは複数の出発組成物を収容した収容導出デバイスと;
・システムの周囲状況の物理量に関連した情報を提供し得るよう構成された周囲状況センサと;
・前記収容導出デバイスに対して結合されているあるいは前記収容導出デバイスに対して結合し得るように構成されている調整システムであるとともに、導出される調合品の少なくとも1つの特性を変えることができる調整システムと;
・前記情報に基づいて自動的に前記調整システムを起動するための、および/または、前記情報に基づいて前記調整システムに対して実施される操作をユーザーに対して知らせるための、手段と;
を具備することを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、
前記システムが、前記周囲状況センサから供給された前記情報に基づいて、導出される調合品の前記少なくとも1つの特性を、自動的に変え得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2記載のシステムにおいて、
前記システムが、前記周囲状況センサから供給されたデータに基づいて、前記収容適用デバイスから導出される調合品の中の少なくとも1つの活性成分の濃度を変え得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記収容導出デバイスが、導出される調合品の形成のために互いに混合されることとなる2つの組成物を収容した2つのリザーバを備え、
前記調整システムが、前記周囲状況センサから供給された少なくとも1つのデータに基づいて、導出される調合品の中における他方の組成物に対しての一方の組成物の濃度を変更するように、機能することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記収容導出デバイスが、互いに異なる組成物を収容した2つのリザーバを備え、
前記調整システムが、それら組成物のうちの一方を選択的に導出し得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記2つの組成物の一方が、日焼け止め剤を含有していることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記物理量が、UV放射線の強度を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記物理量が、周囲温度と周囲圧力とのうちの一方を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
導出されるべき調合品を導出するためのエネルギーが、ユーザーが前記収容導出デバイスに及ぼす作用によって、提供されることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムにおいて、
前記作用が、前記収容導出デバイスの壁に対する押圧を有していることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記収容導出デバイスが、各々が1つまたは複数の組成物を収容している1つまたは複数の着脱可能なリザーバを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
システムが、さらに、ユーザーによる入力を可能とするユーザーインタフェースを具備し、
前記入力は、皮膚タイプと、髪タイプと、年齢と、活動度と、のうちの少なくとも1つを有し、
前記調整システムが、前記入力に基づいて操作されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記調整システムが、ピンチバルブを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記調整システムが、回転カムと、偏心ホイールと、のうちの少なくとも一方を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
システムが、さらに、活性化チャンバを具備し、
この活性化チャンバ内においては、不活性化された活性成分が刺激剤に対して露出され、これにより、前記不活性化された活性成分が、活性化状態へと移行することを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記調整システムが、調合品の導出後に調整状況を維持し得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16記載のシステムにおいて、
前記調整状況が、前記周囲状況センサからの新たな情報が前記起動のための手段によって受領されるまで、維持されることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記システムが、さらに、閉塞キャップを具備していることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18記載のシステムにおいて、
前記閉塞キャップが、前記収容適用デバイスの少なくとも頂部を実質的に覆い得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項18記載のシステムにおいて、
前記閉塞キャップが、スイッチを駆動し得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項19記載のシステムにおいて、
前記スイッチの駆動により、前記起動のための手段に対して信号が送出され、これにより、前記キャップの開放状態、または、前記キャップの閉塞状態、が表示されることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
システムが、さらに、システム状態インジケータを具備していることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項20記載のシステムにおいて、
前記システム状態インジケータが、LEDを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項20記載のシステムにおいて、
前記システム状態インジケータが、導出の待受状態と、周囲状況データ取得状態と、組成物の残量低下状態と、のうちの少なくとも1つを表示し得るよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項4,5,または11に記載のシステムにおいて、
前記リザーバが、フレキシブルな材料から形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項4,5,または11に記載のシステムにおいて、
前記リザーバが、少なくとも1つの内部分割壁を有した容器から形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記起動のための手段が、周囲状況センサにより提供される電圧との線形関係に基づいて調整を決定し得るようにプログラムされていることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記収容導出デバイスが、ヘッドユニットとボディユニットとを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28記載のシステムにおいて、
前記ヘッドユニットが、着脱可能および/または再使用可能とされていることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項28記載のシステムにおいて、
前記ボディユニットが、1つまたは複数の出発組成物を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項28記載のシステムにおいて、
前記ヘッドユニットが、前記調整システムと、前記起動のための手段と、のうちの少なくとも1つを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記システムおよび/または前記収容導出デバイスが、携帯式のものとされていることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記システムが、さらに、測定アクチュエータを具備していることを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項33記載のシステムにおいて、
前記測定アクチュエータが、前記情報を得る目的で、前記起動のための手段と前記周囲状況センサとの少なくとも一方を起動し得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項35】
化粧品または皮膚用製剤を導出するための方法であって、
・前記情報に基づいて、請求項1〜34のいずれか1項に記載されたシステムにおける前記調整システムによる調整操作を、自動的にあるいは半自動的に変更することを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、
さらに、閉塞キャップを開け、および/または、バルブを駆動し、
これにより、周囲状況センサを起動する、および/または、前記起動のための手段を起動する、ことを特徴とする方法。
【請求項37】
化粧品または皮膚用製剤に関するシステム(10)であって、
・導出されるべき調合品を調製するための1つまたは複数の出発組成物を収容した収容導出デバイスと;
・システムの周囲状況の物理量に関連した情報を提供し得るよう構成された周囲状況センサと;
・前記収容導出デバイスに対して結合されているあるいは前記収容導出デバイスに対して結合し得るように構成されている調整システムであるとともに、導出される調合品の少なくとも1つの特性を変えることができる調整システムと;
・前記情報に基づいて自動的に前記調整システムを駆動し得るよう構成された、および/または、前記情報に基づいて前記調整システムに対して実施される操作をユーザーに対して知らせるように構成された、プロセッサと;
を具備することを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項37記載のシステムにおいて、
前記1つまたは複数の出発組成物が、第1日焼け止め指数を有した第1組成物と第2日焼け止め指数を有した第2組成物と、を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項38記載のシステムにおいて、
前記第1日焼け止め指数が、10とされ、
前記第2日焼け止め指数が、50とされていることを特徴とするシステム。
【請求項40】
請求項38記載のシステムにおいて、
前記システムが、さらに、身体的特徴センサ、および/または、身体的特徴に関する情報を受領し得るよう構成されたユーザーインタフェース、を具備していることを特徴とするシステム。
【請求項41】
請求項40記載のシステムにおいて、
前記身体的特徴が、皮膚色と、髪色と、皮膚湿潤度合いと、のうちの少なくとも1つを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項42】
請求項37,40,または41記載のシステムにおいて、
前記プロセッサが、前記身体的特徴センサからのデータに基づいて前記調整システムを駆動し得るように構成されていることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公表番号】特表2012−506287(P2012−506287A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532763(P2011−532763)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054699
【国際公開番号】WO2010/046883
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】