説明

周波数合成装置及び周波数合成方法

【課題】 正確に位相が合わされた複数のキャリア周波数を生成する。
【解決手段】 基準周波数4224MHzを8分周して、528MHzを生成する。DLLを用いて生成した120度位相差のある528MHz矩形波の加算により基本波を打ち消して3逓倍した後、2分周して796MHzを得る。また、528MHzの複素信号対を2分周して45度ずつ位相が異なる264MHz波形を生成し、これらを重み付け電流加算して、3次と5次の高調波が抑圧されたデジタル正弦波を得る。そして、796MHzと264MHzを4224MHzに選択的に周波数加算して、所要の周波数帯を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の周波数を合成して新たな周波数を得る周波数合成装置及び周波数合成方法に係り、特に、複数のバンドからなるマルチバンド・システムにおける各バンドの中心周波数を得る周波数合成装置及び周波数合成方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、基準となる周波数の分周と周波数演算により複数バンドの中心周波数を得る周波数合成装置及び周波数合成方法に係り、特に、単一の基準周波数から位相誤差や振幅誤差なく複数バンドの中心周波数を得る周波数合成装置及び周波数合成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有線方式によるLAN配線からユーザを解放するシステムとして、無線LANが注目されている。無線LANによれば、オフィスなどの作業空間において、有線ケーブルの大半を省略することができるので、パーソナル・コンピュータ(PC)などの通信端末を比較的容易に移動させることができる。近年では、無線LANシステムの高速化、低価格化に伴い、その需要が著しく増加してきている。特に最近では、人の身の回りに存在する複数の電子機器間で小規模な無線ネットワークを構築して情報通信を行なうために、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)の導入が検討されている。例えば、2.4GHz帯や、5GHz帯など、監督官庁の免許が不要な周波数帯域を利用して、異なった無線通信システム並びに無線通信装置が規定されている。
【0004】
無線ネットワークに関する標準的な規格として、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11(例えば、非特許文献1を参照のこと)や、HiperLAN/2(例えば、非特許文献2又は非特許文献3を参照のこと)やIEEE802.15.3、Bluetooth通信などを挙げることができる。IEEE802.11規格については、無線通信方式や使用する周波数帯域の違いなどにより、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格…などの各種無線通信方式が存在する。
【0005】
また、近年では、「ウルトラワイドバンド(UWB)通信」と呼ばれる、非常に広い周波数帯域でキャリアを使用せず1ナノ秒以下の超短パルス波に情報を載せて無線通信を行なう方式が、近距離超高速伝送を実現する無線通信システムとして注目され、その実用化が期待されている(例えば、非特許文献4を参照のこと)。現在、IEEE802.15.3などにおいて、ウルトラワイドバンド通信のアクセス制御方式として、プリアンブルを含んだパケット構造のデータ伝送方式が考案されている。
【0006】
また、UWBが用いられるPAN(Personal Area Network)では、基地局のようなものが一元的に周波数リソースを管理するのではなく、偏在する各無線局が周辺局のリソース利用の様子を把握し、分散的な制御により周波数を利用することが空間的周波数再利用の観点から好ましいと思料される。UWBの場合、超広帯域を利用し、周波数分割による空間的周波数再利用ができないので、特にその要求は高い。
【0007】
将来、UWBに代表される近距離通信のWPAN(Wireless Personal Access Network)はあらゆる家電品やCE(Consumer Electronics)機器に搭載されることが予想され、100Mbps超のCE機器間のP−to−P伝送や家庭内ネットワークの実現が期待されている。ミリ波帯の利用が普及した場合には1Gbps超の短距離無線も可能となり、ストレージデバイスなどを含む超高速な近距離用のDAN(Device Area Network)も実現可能となる。
【0008】
ところで、室内で多数の機器が混在する作業環境下で無線ネットワークを構築した場合、複数のネットワークが重なり合って構築されていることが想定される。単一チャネルを使用した無線ネットワークでは、通信中に他のシステムが割り込んできたり、干渉などにより通信品質が低下したりしても、事態を修復する余地はない。
【0009】
このため、通信チャネルをあらかじめ複数用意しておくというマルチチャネル通信方式が採用される。通信中に他のシステムが割り込んだり、参入局数が多くなって帯域の余裕がなくなってきたりしたことが原因で、干渉により通信品質が低下したときときに、使用する通信チャネルを選択して動作を開始することにより、ネットワーク動作を維持し、他のネットワークとの共存を実現することができる。
【0010】
例えば、IEEE802.15.3の高速無線PANシステムにおいても、マルチチャネル通信方式が採用されている。すなわち、システムで利用可能な周波数チャネルが複数用意され、無線通信デバイスは、電源投入後にすべての利用可能なチャネルにわたってスキャン動作を行なうことで、周囲にピコネット・コーディネータ(PNC)としてビーコン信号を送信しているデバイスの有無を確認し、利用する周波数チャネルを選択する、というアルゴリズムが採用されている。
【0011】
また、室内で無線ネットワークを構築した場合、受信装置では直接波と複数の反射波・遅延波の重ね合わせを受信するというマルチパス環境が形成される。マルチパスにより遅延ひずみ(又は、周波数選択性フェージング)が生じ、通信に誤りが引き起こされる。そして、遅延ひずみに起因するシンボル間干渉が生じる。
【0012】
主な遅延ひずみ対策として、マルチキャリア(多重搬送波)伝送方式を挙げることができる。マルチキャリア伝送方式では、送信データを周波数の異なる複数のキャリアに分配して伝送するので、各キャリアの帯域が狭帯域となり、周波数選択性フェージングの影響を受け難くなる。
【0013】
例えば、マルチキャリア伝送方式の1つであるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式では、各キャリアがシンボル区間内で相互に直交するように各キャリアの周波数が設定されている。情報伝送時には、シリアルで送られてきた情報を情報伝送レートより遅いシンボル周期毎にシリアル/パラレル変換して出力される複数のデータを各キャリアに割り当ててキャリア毎に振幅及び位相の変調を行ない、その複数キャリアについて逆FFTを行なうことで周波数軸での各キャリアの直交性を保持したまま時間軸の信号に変換して送信する。また、受信時はこの逆の操作、すなわちFFTを行なって時間軸の信号を周波数軸の信号に変換して各キャリアについてそれぞれの変調方式に対応した復調を行ない、パラレル/シリアル変換して元のシリアル信号で送られた情報を再生する。
【0014】
OFDM変調方式は、例えばIEEE802.11a/gにおいて無線LANの標準規格として採用されている。また、IEEE802.15.3においても、DSの情報信号の拡散速度を極限まで高くしたDS−UWB方式や、数100ピコ秒程度の非常に短い周期のインパルス信号列を用いて情報信号を構成して送受信を行なうインパルス−UWB方式以外に、OFDM変調方式を採用したUWB通信方式についての標準化が進められている。OFDM_UWB通信方式の場合、3.1〜4.8GHzの周波数帯をそれぞれ528MHz幅からなる複数のサブバンドを周波数ホッピング(FH)し、各周波数帯が128ポイントからなるIFFT/FFTを用いたOFDM変調が検討されている(例えば、非特許文献5を参照のこと)。
【0015】
図10には、マルチバンドOFDM_UWB通信方式において規定されている周波数割り当て例を示している。同図に示すように、中心周波数をそれぞれ3432MHz、3960MHz、4488MHzとするバンド#1〜#3からなるグループ1と、中心周波数をそれぞれ5016MHz、5548MHz、6072MHzとするバンド#4〜バンド#6からなるグループ2と、中心周波数をそれぞれ6600MHz、7128MHz、7656MHzとするバンド#7〜#9からなるグループ3と、中心周波数をそれぞれ8184MHz、8712MHz、9240MHzとするグループ#10〜#12からなるグループDと、中心周波数をそれぞれ9768MHz並びに10296MHzとするバンド#13〜#14からなるグループ5とで構成される。このうち、グループ1の3バンドを用いることが義務化(mandatory)されているとともに、それ以外のグループや帯域は将来の拡張のために用意されている。
【0016】
一般には、周波数切り替えにはPLL(Phase Lock Loop)により同一の発振周波数を逓倍することが考えられるが、マルチバンドOFDM_UWBシステムにおいては、図10に示したようにチャネルの切り替え幅が大きいという問題があり、単一のPLLではこのような広帯域での周波数切り替えを行なうことができない。
【0017】
また、複数の発振器を備え、それぞれの周波数帯域を生成するようにすれば、高精度のマルチバンド・ジェネレータを構成することができるが、回路の面積や消費電力、発振器毎の周波数の位相差などの点で問題となる。したがって、単一の発振器から分周により複数の周波数帯域を作りたいという技術的要望がある。
【0018】
例えば、発振器から出力される単一周波数に分周を繰り返し、各分周出力を基準周波数とミキシングすること(すなわち、周波数の和又は差のいずれかを出力する)により、マルチバンド・ジェネレーションを行なうことができる。
【0019】
図11には、マルチバンドOFDMシステムで用いられる周波数ホッピング(FH)のための周波数合成ブロック(但し、グループ1の3バンド・モードとする)の従来例を図解している(例えば、非特許文献6を参照のこと)。各バンドの中心周波数は、図示の通り、単一の発振器(例えば、TCXO(温度補償方水晶発振器))から得られる基準周波数を分周並びにミキサを用いて合成(周波数加減算)することができる。
【0020】
同図に示す例では、発振器から出力される発振周波数をPLL(Phase Lock Loop)により逓倍して得られる周波数4224MHzを基準周波数とする。まず、4分周により1056MHzの周波数が取り出され、続いて2分周により528MHzの周波数が取り出され、これからサンプル・クロックに使用される。さらに2分周により528MHzから264MHzの周波数が取り出される。
【0021】
次いで、SSB(Single Side Band)と記載されている各ミキサでは、上述のようにして得られた各周波数信号についての周波数加減算すなわちミキシングを行なう。すなわち、528MHzと264MHzの周波数加算を行なうことにより、さらに794MHzの周波数を得る。そして、選択器(Select)により264MHz又は794MHzの一方が選択される。後段のSSBでは、その選択出力された264MHz又は794MHzいずれかの周波数信号と元の4224MHzの周波数信号との周波数加減算を行なうことにより、4通りの周波数を得ることができる。
【0022】
但し、グループ1としては、このうち3432MHz、3960MHz、4488MHzの3通りのみを使用する。すなわち、4224MHzから792MHzを周波数減算して3422MHzを生成し、4224MHzから264MHzを周波数減算して3960MHzを生成し、4224MHzに264MHzを周波数加算して4488MHzを生成する。
【0023】
図11中でSSBと記載されているデバイスは周波数の加算又は減算すなわちミキシングを行なうデバイスであり、例えばイメージ・リジェクション・ミキサが挙げられる。イメージ・リジェクション・ミキサは、それぞれ位相の直交した2つの複素信号対をアナログ乗算することにより片側波帯の信号を得ることができる。すなわち、図12及び図13に示すように、それぞれの周波数信号f1及びf2において互いに直交成分を用意し、三角関数の加法定理を用いて周波数の加算、減算を行なうことで周波数合成することができる。ここで、f1=4224MHzであり、f2=264MHz又は794MHzである。但し、図13では、一方の入力の制限は成分sin(2πf2t+φ2)の極性を図12から切り替えている。
【0024】
しかしながら、図12及び図13に示したような従来の周波数合成ブロックにおいては、以下のような問題点がある。
【0025】
(1)264MHzは矩形波なので、3次高調波によって最大で−10dBc程度のスプリアスがグループ1内に生じてしまう。
【0026】
具体的には、792MHzを生成するための前段のSSBには、528MHzと264MHzの他に、264MHzの3次高調波である−792HMzが入力され、出力として所望周波数である792MHzの他に、−264MHzが生成され、グループ1内でのスプリアスの原因になる。
【0027】
図14には、4224MHzと264MHzの周波数加算を行なうことにより4488MHzを生成する際に、264MHzの高調波によって3432MHzに−10dBc程度のスプリアスが生じる様子を示している。3432MHzと4488MHzはともにグループ1内の周波数帯なので、バンドパス・フィルタなどを用いて除去することはできない。
【0028】
(2)264MHzは矩形波なので、5次高調波によって最大で−14dBc程度のスプリアスがグループ1内に生じてしまう。
【0029】
(3)264MHzの高調波を除去するために、アナログ・フィルタを用いると(例えば、図11中で、528MHzを2分周する分周器の後段にアナログ・フィルタを設ける)、フィルタの周波数ばらつきによって出力レベルの個体差が生じ易く、また消費電力も大きくなる。
【0030】
(4)792MHzは528MHzと264MHzがSSBを通過して生成されるため、264MHzと792MHzの振幅レベルに不揃いが生じ易く、周波数帯域間での出力レベルが不揃いになる。
【0031】
(5)周波数切り替えにアナログ・スイッチを用いているので、アイソレーション不足によるスプリアスが生じる。高周波ゆえ、わずかな容量でも結合が生じてしまうからである。
【0032】
(6)FHでキャリアの周波数が変わる度に初期位相が変化する。264MHzがアナログ・フィルタを通過すると位相が遅延する。また、264MHzと792MHzをそれぞれ別にフィルタに掛けると、位相差が生じる。
【0033】
【非特許文献1】International Standard ISO/IEC 8802−11:1999(E) ANSI/IEEE Std 802.11, 1999 Edition, Part11:Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) Specifications
【非特許文献2】ETSI Standard ETSI TS 101 761−1 V1.3.1 Broadband Radio Access Networks(BRAN); HIPERLAN Type 2; Data Link Control(DLC) Layer; Part1: Basic Data Transport Functions
【非特許文献3】ETSI TS 101 761−2 V1.3.1 Broadband Radio Access Networks(BRAN); HIPERLAN Type 2; Data Link Control(DLC) Layer; Part2: Radio Link Control(RLC) sublayer
【非特許文献4】日経エレクトロニクス2002年3月11日号「産声を上げる無線の革命児Ultra Wideband」 P.55−66
【非特許文献5】IEEE802.15.3a TI Document<URL:http://grouper.ieee.org/groups/802/15/pub/2003/May03 ファイル名:03142r2P802−15_TI−CFP−Document.doc>
【非特許文献6】Anuj Batra,“03267r1P802−15_TG3a−Multi−band−OFDM−CFP−Presentation.ppt”,pp.17,July 2003.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明の目的は、複数のバンドからなるマルチバンド・システムにおける各バンドの中心周波数を正確に得ることができる、優れた周波数合成装置及び周波数合成方法を提供することにある。
【0035】
本発明のさらなる目的は、基準となる単一の周波数から分周と周波数演算を利用して、マルチバンド・システムにおける各バンドの中心周波数を正確に得ることができる、優れた周波数合成装置及び周波数合成方法を提供することにある。
【0036】
本発明のさらなる目的は、マルチバンド・システムにおける各バンドの中心周波数を位相誤差や振幅誤差なく正確に得ることができる、優れた周波数合成装置及び周波数合成方法を提供することにある。
【0037】
本発明のさらなる目的は、マルチバンドOFDMシステムにおける周波数ホッピングに用いるための、正確に位相が合わされたキャリア周波数を生成することができる、優れた周波数合成装置及び周波数合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、基準周波数Fを基に複数の周波数を合成する周波数合成装置であって、
前記基準周波数Fを2N分周する2N分周手段と(但し、Nは正の整数)、
前記の2N分周された位相が直交する複素信号対I(F/2N)及びQ(F/2N)をそれぞれ2分周し、4N分周された複素信号対I(F/4N)及びQ(F/4N)、並びに45度だけ位相が遅延した4N分周複素信号対I(F/4N−45deg)及びQ(F/4N−45deg)を得る2分周手段と、
45度ずつ位相差のある4N分周された周波数I(F/4N)、I(F/4N−45deg)、Q(F/4N)を重み付け電流加算してデジタル余弦波DCOS(F/4N)を生成するとともに、45度ずつ位相差のある4N分周された周波数Q(F/4N)、Q(F/4N−45deg)、−I(F/4N)を重み付け電流加算してデジタル正弦波DSIN(F/4N)を生成し、第1の分周周波数として出力する第1の分周周波数生成手段と、
前記基準周波数を3/2M倍した複素信号対I(3F/2M)及びQ(3F/2M)からなる第2の分周周波数を生成する第2の分周周波数生成手段と(但し、4N=2M)、
前記第1の分周周波数及び前記第2の分周周波数を前記基準周波数F(若しくはその他の所要の周波数)と選択的に周波数加算して、複数の周波数を生成する周波数加算手段と、
を具備することを特徴とする周波数合成装置である。
【0039】
2分周器は一般にフリップ・フロップで構成され、フリップの初期状態に応じて位相遅延が−45度又は−225度のいずれか不定となる。そこで、前記2分周手段において45度ずつ位相差のある4つの4N分周波形を生成する際に、波形が正しい極性となるように位相関係を判定して極性を切り替える極性切り替え手段をさらに備えていてもよい。
【0040】
前記極性切り替え手段は、前記デジタル正弦波の極性の切り替えを行なうXORにより構成することができる。この場合、XORを2重に通過して遅延時間が大きくならないようにすることができる。
【0041】
また、前記第1の分周周波数生成手段は、各波形の重み付けを整数比で行なうようにしてもよい。デジタル正弦波形を生成する場合、4N分周した波形に対し、これと45度だけ遅延した波形にsqr(2)の重み付けを行なうことが理想的であるが、整数比としてもわずかな誤差で近似することができ、回路で実現する場合は整数比にすることが好ましい。
【0042】
また、前記第2の分周周波数生成手段は、前記基準周波数の2N分周周波数を3逓倍した後に2分周して第2の分周周波数を生成するようにしてもよい。
【0043】
ここで、前記第2の分周周波数生成手段は、前記基準周波数の2N分周周波数からDLLを用いて120度位相差のある3つの波形を生成し、これらを加算することにより、基本波を打ち消して3次高調波成分を合成して3逓倍することができる。
【0044】
また、前記周波数加算手段は、前記第1の分周周波数と前記第2の分周周波数の切り替えを電流源のオン/オフ操作により行なうようにしてもよい。電荷は電流の積分であり、高速な切り替えが可能である。ここで、前記第1の分周周波数と前記第2の分周周波数の振幅が等しくなるように電流源の重み付けを行なうようにしてもよい。
【0045】
また、前記周波数加算手段において周波数切り替えを行ない周波数ホッピングする度に、前記2分周手段をリセットすることにより、周波数ホッピングでキャリアの周波数が変わっても初期位相を同じに揃えるようにすることができる。
【0046】
図1には、本発明に係る周波数合成装置の構成を模式的に示している。図示の周波数合成装置は、例えばマルチバンドOFDM_UWB通信システムに適用され、基準となる周波数の分周と周波数加算により、グループ1を構成する3バンドの各中心周波数を好適に得ることができる。
【0047】
図示の周波数合成装置は、4224MHzを基準周波数として用いる。この4224MHz発振出力から、位相の直交した2つの複素信号対I(4224MHz)及びQ(4224MHz)を生成する。
【0048】
次に、基準周波数I(4224MHz)を8分周して、位相の直交した2つの複素信号対I(528MHz)及びQ(528MHz)を生成する。
【0049】
そして、I(528MHz)を3逓倍して1584MHzを得た後に、さらにこれを2分周して792MHzの周波数信号を生成する。ここで、528MHzを3逓倍した1584MHzの波形を生成する際に、DLLを用いて120度位相差のある3つの528MHz矩形波を生成し、これらの加算により基本波を打ち消して3次高調波成分を合成しているので、共振回路などのフィルタを用いる必要がない。
【0050】
また、I(528MHz)を2分周してI(264MHz)並びにQ(264MHz)を生成するとともに、Q(528MHz)を2分周して、I(264MHz)とは−45度位相差のあるI(264MHz−45deg)並びにQ(264MHz−45deg)を生成する。
【0051】
ここで、Q(264MHz)とI(264MHz−45deg)並びにQ(264MHz−45deg)を重み付けして電流加算することにより、階段状の正弦波形をしたデジタル正弦波DSIN(264MHz)を得ることができる。
【0052】
このようにして得られたデジタル正弦波は、3次と5次の高調波が抑圧された波形であり、スプリアスが生じないという特徴がある。
【0053】
このようにして得られた周波数信号I(794MHz)並びにDSIN(264MHz)は、周波数ホッピング・コントローラにより指定された極性で、周波数合成部に供給される。
【0054】
周波数合成部では、周波数ホッピング・コントローラの指示に従い、Q(4224MHz)と、極性指定された周波数信号I(794MHz)又はDSIN(264MHz)のいずれかと選択的に周波数加算される。この結果、4224MHz±794MHz、4224MHz±264MHzの4通りの中心周波数を得ることができる。但し、マルチバンドOFDMシステムとしては、グループ1を構成する3432MHz、3960MHz、4488MHzという3バンドのみを使用する。
【0055】
周波数ホッピング・コントローラは、マルチバンドOFDMシステムのグループ1における周波数ホッピング動作を制御するために、周波数信号I(794MHz)及びデジタル正弦波DSIN(264MHz)の極性指定信号と、周波数合成部に対するI(794MHz)又はデジタル正弦波DSIN(264MHz)の周波数選択信号、並びに2分周器を構成するDフリップ・フロップのリセット信号を出力する。
【0056】
本発明によれば、マルチバンドOFDM_UWB通信方式において規定されているグループ1の各周波数帯を単一の基準周波数から生成する際に、264MHzのデジタル正弦波を用いるので、スプリアスの少ない周波数合成を実現することができる。また、264MHzの高調波除去にアナログ・フィルタを使わないので、位相差、振幅差などの誤差を生じることはなく、且つ、周波数の切り替えを高速に行なうことができる。
【0057】
また、264MHzのデジタル正弦波を生成する際に、45度ずつ位相が異なる264MHz波形を生成する必要があるが、2分周器内のフリップ・フロップの初期状態に応じて位相差が−45度又は−225度のうちいずれか不定となるという問題がある。これに対し、本発明によれば、波形が常に正しい極性になるように位相関係を判定して切り替えるので、264MHzのデジタル正弦波に誤りを生じることがない。
【0058】
また、本発明によれば、周波数の切り替えは高周波信号そのものをアナログ・スイッチで切り替えないのでアイソレーション不足によるスプリアスが生じることがない。
【0059】
また、周波数を3逓倍する際に、DLLで生成した120度ずつ位相差のある3つの矩形波の加算により基本波を打ち消して3次高調波成分を合成しているので、共振回路などのフィルタを用いる必要がない。
【0060】
また、本発明によれば、周波数ホッピングでキャリアの周波数が変わっても、初期位相を同じに揃えることができる。
【0061】
また、有線伝送など他の用途にUWB−OFDMの変調方式を用いる場合には、基準周波数4224MHzを2分周した2112MHzと、上述のようにして生成した264MHz及び792MHzとの周波数加算(複素数乗算)を行なうことにより、1320MHz、1848MHz、2376MHz、2904MHzの周波数を合成することができる。
【発明の効果】
【0062】
本発明によれば、基準となる単一の周波数から分周と周波数演算を利用して、マルチバンド・システムにおける各バンドの中心周波数を正確に得ることができる、優れた周波数合成装置及び周波数合成方法を提供することができる。
【0063】
また、本発明によれば、マルチバンド・システムにおける各バンドの中心周波数を位相誤差や振幅誤差なく正確に得ることができる、優れた周波数合成装置及び周波数合成方法を提供することができる。
【0064】
また、本発明によれば、マルチバンドOFDMシステムにおける周波数ホッピングに用いるための、正確に位相が合わされたキャリア周波数を生成することができる、優れた周波数合成装置及び周波数合成方法を提供することができる。
【0065】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0067】
図2には、本実施形態に係る周波数合成装置の具体的な回路構成を示している。
【0068】
8448MHzの発振出力を2分周する、4224MHzの発振出力を多位相フィルタ(Polyphase filter)でI(4224MHz)とQ(4224MHz)を生成する、又はI(4224MHz)とQ(4224MHz)をQuadrature VCOで直接発振する、のうちいずれかの方法によって、I(4224MHz)とQ(4224MHz)を生成する。但し、本発明の要旨は、基準周波数4224MHzに特に限定されない。
【0069】
続いて、このI(4224MHz)又はQ(4224MHz)の何れかを8分周して(図示の例ではI(4224MHz)を8分周)、I(528MHz)とQ(528MHz)を生成する。
【0070】
以降では、I(528MHz)とQ(528MHz)を用いて、264MHzと792MHzを生成するが、まず264MHzを生成する部分について説明する。
【0071】
I(528MHz)を2分周して、I(264MHz)とQ(264MHz)を生成するとともに、Q(528MHz)を2分周してI(264MHz+φ)とQ(264MHz+φ)の4つの波形を生成する。
【0072】
2分周器はフリップ・フロップにより構成されるが、その内部の初期状態によりφの値は−45度又はφ=−225度のいずれか不定になる。図3には、φ=−45度並びにφ=−225度とした場合にそれぞれ得られる周波数信号を示している。ここでは、これら矩形波の電流加算によりデジタル正弦波を生成する(後述)という目的で、図5の上部に示すような45度位相の異なる4つの波形を生成したい。そこで、常にφ=−45[degree]となるようにする。具体的には、DFFを用いてQ(264MHz+φ)をI(264MHz)の立ち上がりエッジで判定する。そして、もし値が“1”であればφ=−225[degree]であるから、DFFの出力QとのXOR(排他的論理和)をとることで、I(264MHz+φ)並びにQ(264MHz+φ)の位相を180度だけ反転してφ=−45[degree]と同じになるようにする。
【0073】
次に、図4に示すように、I(264MHz)とI(264MHz−45deg)とQ(264MHz)にそれぞれA1、A2、A1の重み付けをして電流加算することにより、階段状の波形すなわちデジタル余弦波DCOS(264MHz)を生成する。同様に、図5に示すように、Q(264MHz)とQ(264MHz−45deg)と−I(264MHz)にそれぞれA1、A2、A1の重み付けをして電流加算することにより、階段状の波形すなわちデジタル正弦波DSIN(264MHz)を生成する。
【0074】
ここで、電流加算時における各周波数信号に対する重み付けは、理想的には下表の1行目に示すように、A1=1、A2=sqrt(2)であるが、2行目以下に示すように整数比でも僅かな誤差で近似できるので回路で実現する場合は整数比にするのが望ましい。
【0075】
【表1】

【0076】
このようにして得られたデジタル余弦波DCOS(264MHz)とデジタル正弦波DSIN(264MHz)は3次と5次の高調波が抑圧された波形であるので、従来例で問題になったスプリアスが生じない特徴がある。このようにして、3次と5次の高調波を抑圧した264MHzを生成することができる訳である。
【0077】
続いて、792MHzを生成する部分について説明する。
【0078】
まず、I(528MHz)又はQ(528MHz)のいずれかを(図示の例ではI(528MHz))、Delay Locked Loop (DLL)回路を用いて、位相差が120度ある3つの波形を生成する。図6には、それぞれの位相差が120度だけある3つの波形I(528MHz)、I(528MHz−120deg)、I(528MHz−240deg)を示している。
【0079】
これらの3波形を等しい重み付けをして加算すると、基本波成分は打ち消され、3次高調波成分は同相加算されて、図示のように1584MHzを得る。次にこの1584MHzを2分周して、I(792MHz)とQ(792MHz)を得ることができる。
【0080】
このI(792MHz)とQ(792MHz)には、デジタル余弦波DCOS(264MHz)及びデジタル正弦波DSIN(264MHz)とレベルを等しくするために、A3の重み付けをする。A3は、A1が1の場合、およそ2から3程度になる。
【0081】
I(792MHz)とQ(792MHz)は矩形波であるので、高調波成分を含んでいる。但し、これによるスプリアスはグループ1の外であるのでバンドパス・フィルタで容易に除去が可能である。
【0082】
このようにして生成した264MHz及び792MHzと、4224MHzとの周波数加算(複素数乗算)を行なうことで、3432MHz、3960MHz、4488MHzを得ることができる。
【0083】
264MHzと792MHzの切り替えは、重み付けを行なう電流源のオン/オフ操作によって行なえる。図7には、重み付けを行なう電流源のオン/オフ操作によって行なう切り替え回路の構成例を示している。図示の回路構成では、264MHzと792MHzの切り替えを、M1〜M4の電流源FETの各ゲートでオン/オフ操作する。ここで、デジタル余弦波DCOS(264MHz)と振幅が同じになうようにI(792MHz)に重みを付ける。M1〜M4の電流源FETのゲート幅を、M1のゲート幅∝A3、M2のゲート幅∝A1、M3のゲート幅∝A2、M4のゲート幅∝A1とする(∝は比例関係を表す)。図8には、I(792MHz)の重み付けにより、デジタル余弦波DCOS(264MHz)とレベルを等しくした様子を示している。
【0084】
例えば、電流源に用いたFETのゲート容量や配線容量(C)の和が500fFでゲート電圧(V)が0.6Vである場合に蓄積された電荷(Q)は、Q=CVの関係より、300fCである。電荷Qは電流Iの時間積分なので、300uAで電荷を移動すれば、1ナノ秒で電流源の切り替えが可能である。
【0085】
また、264MHz及び792MHzを加算するか減算するかは、I(264MHz)とI(264MHz−45deg)とQ(264MHz)、及びQ(792MHz)の極性をXORで切り替えることで行なう。ここで、I(264MHz−45deg)は既にXORを用いて極性を切り替えているので、I(264MHz−45deg)が2重にXORを通過して遅延時間が大きくならないように、制御信号をXORで切り替えている。XORは2進数の“1”を“−1”に、“0”を“1”にマッピングすると乗算器と同じ回路になるので、例えば100ピコ秒以下といった高速な切り替えが可能である。
【0086】
さらにこれらの周波数切り替えは、高周波信号そのものをアナログ・スイッチでオン/オフ操作する訳ではないので、アナログ・スイッチのアイソレーション不足によるスプリアス発生の心配がない。
【0087】
キャリア周波数が3.2MHzで割り切れないことから、周波数ホッピングの度にキャリアの位相が反転するという問題がある。そこで、図2に示した回路構成では、太線で囲った3箇所の2分周器を、周波数ホッピングの度にリセットすることによって初期位相を同じに揃えるようにしている。
【0088】
図9には、図2に示した周波数合成装置の変形例を示している。図示の周波数合成装置は、上述した周波数合成の仕組みを利用して、生成可能な周波数帯を拡張している。
【0089】
図示の例では、発振出力により得られた4224MHzを2分周して211MHzを生成し、これを上述のようにして生成した264MHz及び796MHzとそれぞれ周波数加算(複素数乗算)することによって、さらに1320MHz、1848MHz、2376MHz、2904MHzを得ている。
【0090】
現在のUWB−OFDMの仕様(例えば、非特許文献5、非特許文献6を参照のこと)には含まれないが、このような周波数帯域を用いて、有線伝送など他の用途にもUWB変調方式を適用することが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0092】
本明細書では、マルチバンドOFDMを採用するUWB無線通信システムに適用した実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。
【0093】
例えば、UWB以外の通信方式に基づくマルチバンド・システムや、無線ではなく有線を伝送路とするマルチバンドUWB通信システムに対しても、同様に本発明を適用することができる。UWBを用いた有線伝送の適用例として、ケーブルTVなどの同軸ケーブルを用いたデータ伝送や電力線搬送などを挙げることができる。
【0094】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る周波数合成装置の構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、周波数合成装置の具体的な回路構成を示した図である。
【図3】図3は、φ=−45[degree]並びにφ=−225[degree]とした場合に得られる周波数信号を示した図である。
【図4】図4は、I(264MHz)とI(264MHz−45deg)とQ(264MHz)にそれぞれA1、A2、A1の重み付けをして電流加算することにより、デジタル余弦波DCOS(264MHz)を生成する様子を示した図である。
【図5】図5は、Q(264MHz)とQ(264MHz−45deg)と−I(264MHz)にそれぞれA1、A2、A1の重み付けをして電流加算することにより、デジタル正弦波DSIN(264MHz)を生成する様子を示した図である。
【図6】図6は、位相差が120度だけある3つの波形I(528MHz)、I(528MHz−120deg)、I(528MHz−240deg)により3逓倍し、さらに2分周して796MHzを生成する様子を示した図である。
【図7】図7は、重み付けを行なう電流源のオン/オフ操作によって行なう切り替え回路の構成例を示した図である。
【図8】図8は、I(792MHz)の重み付けにより、デジタル余弦波DCOS(264MHz)とレベルを等しくした様子を示した図である。
【図9】図9は、図2に示した周波数合成装置の変形例を示した図である。
【図10】図10は、マルチバンドOFDM_UWB通信方式において規定されている周波数割り当てを示した図である。
【図11】図11は、マルチバンドOFDMシステムで用いられる周波数ホッピング(FH)のための周波数合成ブロック(従来例)を示した図である。
【図12】図12は、イメージ・リジェクション・ミキサの動作原理を説明するための図である。
【図13】図13は、イメージ・リジェクション・ミキサの動作原理を説明するための図である。
【図14】図14は、4224MHzと264MHzの周波数加算を行なうことにより4488MHzを生成する際に、264MHzの高調波によって3432MHzに−10dBc程度のスプリアスが生じる様子を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準周波数Fを基に複数の周波数を合成する周波数合成装置であって、
前記基準周波数Fを2N分周する2N分周手段と(但し、Nは正の整数)、
前記の2N分周された位相が直交する複素信号対I(F/2N)及びQ(F/2N)をそれぞれ2分周し、4N分周された複素信号対I(F/4N)及びQ(F/4N)、並びに45度だけ位相が遅延した4N分周複素信号対I(F/4N−45deg)及びQ(F/4N−45deg)を得る2分周手段と、
45度ずつ位相差のある4N分周された周波数I(F/4N)、I(F/4N−45deg)、Q(F/4N)を重み付け電流加算してデジタル余弦波DCOS(F/4N)を生成するとともに、45度ずつ位相差のある4N分周された周波数Q(F/4N)、Q(F/4N−45deg)、−I(F/4N)を重み付け電流加算してデジタル正弦波DSIN(F/4N)を生成し、第1の分周周波数として出力する第1の分周周波数生成手段と、
前記基準周波数を3/2M倍した複素信号対I(3F/2M)及びQ(3F/2M)からなる第2の分周周波数を生成する第2の分周周波数生成手段と(但し、4N=2M)、
前記第1の分周周波数及び前記第2の分周周波数を所要の周波数と選択的に周波数加算して、複数の周波数を生成する周波数加算手段と、
を具備することを特徴とする周波数合成装置。
【請求項2】
前記2分周手段において45度ずつ位相差のある4つの4N分周波形を生成する際に、波形が正しい極性となるように位相関係を判定して極性を切り替える極性切り替え手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の周波数合成装置。
【請求項3】
前記極性切り替え手段は、前記デジタル正弦波の極性の切り替えを行なうXORにより構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の周波数合成装置。
【請求項4】
前記第1の分周周波数生成手段は、各波形の重み付けを整数比で行なう、
ことを特徴とする請求項1に記載の周波数合成装置。
【請求項5】
前記第2の分周周波数生成手段は、前記基準周波数の2N分周周波数を3逓倍した後に2分周して第2の分周周波数を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の周波数合成装置。
【請求項6】
前記第2の分周周波数生成手段は、前記基準周波数の2N分周周波数からDLLを用いて120度位相差のある3つの波形を生成し、これらの加算により基本波を打ち消して3次高調波成分を合成して3逓倍する、
ことを特徴とする請求項4に記載の周波数合成装置。
【請求項7】
前記周波数加算手段は、前記第1の分周周波数と前記第2の分周周波数の切り替えを電流源のオン/オフ操作により行なう、
ことを特徴とする請求項1に記載の周波数合成装置。
【請求項8】
前記周波数加算手段は、前記第1の分周周波数と前記第2の分周周波数の振幅が等しくなるように電流源の重み付けを行なう、
ことを特徴とする請求項6に記載の周波数合成装置。
【請求項9】
前記周波数加算手段において周波数切り替えを行ない周波数ホッピングする度に、前記2分周手段をリセットする、
ことを特徴とする請求項1に記載の周波数合成装置。
【請求項10】
基準周波数Fを基に複数の周波数を合成する周波数合成方法であって、
前記基準周波数Fを2N分周する2N分周ステップと(但し、Nは正の整数)、
前記の2N分周された位相が直交する複素信号対I(F/2N)及びQ(F/2N)をそれぞれ2分周し、4N分周された複素信号対I(F/4N)及びQ(F/4N)、並びに45度だけ位相が遅延した4N分周複素信号対I(F/4N−45deg)及びQ(F/4N−45deg)を得る2分周ステップと、
45度ずつ位相差のある4N分周された周波数I(F/4N)、I(F/4N−45deg)、Q(F/4N)を重み付け電流加算してデジタル余弦波DCOS(F/4N)を生成するとともに、45度ずつ位相差のある4N分周された周波数Q(F/4N)、Q(F/4N−45deg)、−I(F/4N)を重み付け電流加算してデジタル正弦波DSIN(F/4N)を生成し、第1の分周周波数として出力する第1の分周周波数生成ステップと、
前記基準周波数を3/2M倍した複素信号対I(3F/2M)及びQ(3F/2M)からなる第2の分周周波数を生成する第2の分周周波数生成ステップと(但し、4N=2M)、
前記第1の分周周波数及び前記第2の分周周波数を所要の周波数と選択的に周波数加算して、複数の周波数を生成する周波数加算ステップと、
を具備することを特徴とする周波数合成方法。
【請求項11】
前記2分周手段において45度ずつ位相差のある4つの4N分周波形を生成する際に、波形が正しい極性となるように位相関係を判定して極性を切り替える極性切り替えステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項10に記載の周波数合成方法。
【請求項12】
前記極性切り替えステップは、前記デジタル正弦波の極性の切り替えを行なう排他的論理和演算により構成される、
ことを特徴とする請求項11に記載の周波数合成方法。
【請求項13】
前記第1の分周周波数生成ステップでは、各波形の重み付けを整数比で行なう、
ことを特徴とする請求項10に記載の周波数合成方法。
【請求項14】
前記第2の分周周波数生成ステップでは、前記基準周波数の2N分周周波数を3逓倍した後に2分周して第2の分周周波数を生成する、
ことを特徴とする請求項10に記載の周波数合成方法。
【請求項15】
前記第2の分周周波数生成ステップでは、前記基準周波数の2N分周周波数からDLLを用いて120度位相差のある3つの波形を生成し、これらの加算により基本波を打ち消して3次高調波成分を合成して3逓倍する、
ことを特徴とする請求項14に記載の周波数合成方法。
【請求項16】
前記周波数加算ステップでは、前記第1の分周周波数と前記第2の分周周波数の切り替えを電流源のオン/オフ操作により行なう、
ことを特徴とする請求項10に記載の周波数合成方法。
【請求項17】
前記周波数加算ステップでは、前記第1の分周周波数と前記第2の分周周波数の振幅が等しくなるように電流源の重み付けを行なう、
ことを特徴とする請求項16に記載の周波数合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−67520(P2006−67520A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251006(P2004−251006)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bleutooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】