説明

周辺装置及び周辺装置接続方法

【課題】複数の論理ユニットの全てに対して設定ファイルの検索を行うことができ、また、応答に時間のかかる論理ユニットが新たに市場に出てきた場合でも、容易に対応することができる周辺装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の論理ユニットを具備する外部ストレージ機器が、周辺装置に接続された場合、固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットが存在する場合、タイムアウト時間を設定することを特徴とする周辺装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周辺装置及び周辺装置接続方法に関し、詳しくは、USBメモリ等の外部ストレージ機器を、着脱自在に接続する周辺装置及び周辺装置接続方法に関する。
【0002】
本発明は、周辺装置である複合型プリンタのうちで、特に、コピー、プリンタ、ファクシミリ、インターネットファクシミリ、及び、これらの機能のうちで、少なくとも1つの機能を有する複合型プリンタに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、USBメモリやUSBフラッシュメモリと呼ばれる外部記憶装置(以下、「USBメモリ」という)が様々な用途で、幅広く使用されている。
【0004】
USBメモリとのIF(インタフェース)を具備し、アプリケーション等を用いて、画像をUSBメモリに保存する装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
USBメモリから設定情報を読み取り、上記設定情報を用いて、本体装置を設定する装置が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
また、近年USBメモリは、大容量化、多機能化が進み、1つのUSBメモリに複数の論理ユニット(LogicalUnit)を具備するUSBメモリが様々、存在し、市場においても販売されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0007】
複数の論理ユニットを具備するUSBメモリは、論理的に独立した複数のメモリとして扱うことができる。
【0008】
また、複合型プリンタ等の周辺装置も高機能化し、様々なアプリケーションをユーザに提供している。
【特許文献1】特開2006−157140号公報
【特許文献2】特開2007−219909号公報
【特許文献3】特開2006−79634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、様々なUSBメモリが数多く存在するが故に、動作が遅いものや、動作が不安定なUSBメモリも珍しくはない。
【0010】
複数の論理ユニットを持つUSBメモリ内の全ての論理ユニットを用いて実行するアプリケーションや、全ての論理ユニットを参照してファイル等を探すアプリケーションでは、動作が遅いか、正常に動作しないUSBメモリが接続された場合を考慮していない。
【0011】
たとえば、ユーザが、周辺機器の設定情報を、外部ストレージに予め保存し、この外部ストレージを周辺機器に接続すると、周辺機器が外部ストレージから設定情報を読み出し、周辺機器の設定を変更する機能は、既に存在している。
【0012】
このような機能を持つ周辺機器において、複数論理ユニットを有する外部ストレージ機器のいずれかの論理ユニットに、ユーザが設定情報を保存した状態で、上記外部ストレージ機器を周辺機器に接続した場合、次の問題がある。つまり、複数論理ユニット内のいずれかの論理ユニットに、ユーザが入れた周辺機器設定ファイルを、周辺機器が確実に発見するためには、次の処理が必要である。つまり、全ての論理ユニットがセクター情報や最大論理アドレス値などの固有情報要求に正しく応答することを待ち、その後に、全ての論理ユニットを検索する必要がある。
【0013】
しかし、その際に固有情報要求に対する応答が遅い場合や、応答しない論理ユニットが存在する場合に、検索時間が非常に長くなり、または、検索を実行できないという問題がある。
【0014】
また、全ての論理ユニットが固有情報要求に正しく返してこなくても、検索の実施ができるようにし、応答の遅い論理ユニットが存在すると、検索を実施するタイミングによっては、検索結果が変わる可能性があるという問題がある。
【0015】
本発明は、複数の論理ユニットの全てに対して設定ファイルの検索を行うことができ、また、応答に時間のかかる論理ユニットがある場合でも、容易に対応することができる周辺装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、複数の論理ユニットを具備する外部ストレージ機器が、周辺装置に接続された場合、固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットが存在すれば、タイムアウト時間を設定することを特徴とする周辺装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の論理ユニットの全てに対して設定ファイルの検索を行うことができ、また、タイムアウト時間を調整するので、応答に時間のかかる論理ユニットがある場合でも、容易に対応することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0019】
複数の論理ユニットを有する外部ストレージ機器が接続された際に、次のようにする。つまり、少なくとも1つの固体情報取得要求に、固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また少なくとも1つの上記固体情報取得要求に、固体情報を返却した論理ユニットが存在すれば、任意のタイムアウト時間を設定する。
【0020】
上記論理ユニットは、具体的には、SCSI規格における最大LUN(LogicalUnitNumber)であり、ホスト機器は、各論理ユニットとSCSIプロトコルとを用いて通信し、データの転送、ステータスの取得を行う。なお、上記SCSIは、Small Computer System Interfaceである。
【0021】
外部ストレージ機器は、具体的には、USBメモリ、HDD、メモリカードを接続した状態のカードリーダである。
【0022】
固体情報取得要求は、たとえば、SCSIコマンドにおいて、ReadCapacityコマンド、ModeSenseコマンドであり、各論理ユニットに対し送信するSCSI規定のコマンドである。固体情報取得要求は、ホストである周辺装置が、デバイスである外部ストレージ機器に対して送信するコマンドである。
【0023】
上記ReadCapacityコマンド、ModeSenseコマンドの返答としてデバイスは、固体情報を返却する。上記固体情報は、セクター情報、最大論理アドレス値、ライトプロテクトの有無などのRead/Writeに必須の情報である。
【0024】
ただし、固体情報取得手段は、上記ReadCapacity/ModeSenseコマンドに限定するものではない。
【0025】
SCSIコマンドにおいて、各種コマンドを受けたデバイスは、要求されたデータを返却するとともに、通信成功したか否かの情報も返却する。
【0026】
固体情報を取得できない条件は、なんらかの理由で通信が成功しない場合、コマンドに応答してこない場合等である。
【0027】
固有情報を取得できない論理アドレスに対しては、Read/Writeアクセスを行わない。このために、外部ストレージ機器に保存されている情報のリード、外部ストレージ機器へのライト処理を実行できない。
【0028】
実施例1において、周辺装置と外部ストレージ機器との間における通信は、Universal Serial Bus(USB)と呼ばれるインタフェースが用いられる。通信プロトコルは、いわゆるSCSI規格で定義されているプロトコルを用いる。SCSI規格は、主としてSCSI−2を示す。
【0029】
図1は、本発明の実施例1である複合型プリンタ10と、USBメモリ2とを示す図である。
【0030】
複合型プリンタ10は、周辺装置の例である外部ストレージを着脱可能なプリンタである。USBメモリ2は、内部的に複数の論理ユニットを具備するメモリである。
【0031】
まず、複合型プリンタ10の構成について説明する。
【0032】
複合型プリンタ10は、印字した原稿の排紙機構3と、着脱可能なUSB機器とのIF部であるUSBホスト部4と、表示部5と、印刷する紙を搭載する給紙部6と、操作部7とを有する。また、複合型プリンタ10は、LAN接続が可能なIF部や、FAX機能を具備している。
【0033】
複合型プリンタ10には、PC等の外部機器によりプリンタ設定ファイルが保存されたUSBメモリが接続される。その状態で、ユーザによる操作部7の操作に応じてプリンタのファイル検索アプリケーションを選択し、実行する。これによって、プリンタがUSBメモリ内の設定ファイルを発見し、設定ファイルに含まれている設定情報に従って、本体の設定を変更する。この本体の設定は、具体的には、FAX設定や、ネットワーク設定である。
【0034】
また、ここではユーザが操作部7を操作してファイル検索アプリケーションを実行させているが、ファイル検索機能の開始方法はこれに限定するものではない。たとえば、USBメモリが接続されると自動的にファイル検索機能を実行するようにしてもよい。
【0035】
また、実施例1では、ファイル検索を例として示すが、ファイル検索のみではなく、複数の論理ユニットの情報を使用するアプリケーションにも適用することができる。
【0036】
USBメモリ2は、内部的に複数の論理ユニットを有する。
【0037】
論理ユニットは、SCSIにおけるLUN(LogicalUnitNumber)である。
【0038】
複合型プリンタ10、USBメモリ2は、共にUSBマスストレージクラス、及びSCSIコマンドに対応しているコントローラを具備し、SCSI通信を実現する。
【0039】
また、複合型プリンタ10には、複数の論理ユニットを具備するストレージ機器が接続された場合、複数の論理ユニットのそれぞれに対して、接続に必要な固体情報を要求するコマンドを送信する固体情報取得コマンド送信手段が設けられている。
【0040】
複数の論理ユニットを具備する外部ストレージ機器が接続された場合、次の条件を満たせば、任意のタイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定手段が、複合型プリンタ10に設けられている。上記条件は、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットが存在するという条件である。
【0041】
さらに、複合型プリンタ10には、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットに対して、上記固体情報取得コマンドを繰り返し送信する送信手段が設けられている。しかも、複合型プリンタ10には、上記タイムアウト時間を経過した後は、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットのみに対して、アプリケーションに読み書きさせることを許可する許可手段が設けられている。
【0042】
そして、上記アプリケーションは、接続された外部ストレージ機器が保持する複数の論理ユニットの全てについて、リード処理、またはライト処理を実行し、周辺装置に設けられている。
【0043】
加えて、上記外部ストレージ機器が着脱可能であり、複合型プリンタ10は、上記外部ストレージ機器の論理ユニット数に応じて、上記タイムアウト時間を変化させる。また、複合型プリンタ10は、上記タイムアウト時間が終了した後に、ユーザインタフェースを用いて、外部ストレージが接続された旨を、ユーザに通知する。
【0044】
なお、複合型プリンタ10に、ストレージ機器に記憶された情報を読み取る読取手段が設けられている。
【0045】
次に、接続時の処理と、使用するSCSIコマンドとについて説明する。
【0046】
図2は、接続時の処理と、使用するSCSIコマンドとを示す図である。
【0047】
図2の左側が、ホスト装置である複合型プリンタであり、図2の右側が、デバイス装置であるUSBメモリである。図2の上から下の順番で、コマンドを送受信する。
【0048】
接続時に、ホストである複合型プリンタ10と、デバイスであるUSBメモリ2との間で、エナミュレーションと呼ばれる初期識別処理を実施する。つまり、ホストは、デバイスがマスストレージクラスのデバイスであることを認識し、しかも、SCSIコマンドに対応することを認識する。
【0049】
その後に、図2に記載してあるSCSIコマンドでの通信を開始する。
【0050】
S0:GetMaxLunコマンドは、ホストよりデバイスに送信されるコマンドであり、論理ユニット数の問い合わせコマンドである。
【0051】
図2において、外部ストレージ機器の論理ユニット数を2つとしている。
【0052】
S1:S0を受けたデバイスが送信するGetMaxLunに対する応答コマンドである。これを受けることによって、ホストは、デバイスの論理ユニット数を取得する。
【0053】
S2:Inquiryコマンドは、ホストから、指定論理ユニット(実施例1では論理ユニット番号0の論理ユニットに送信している)に対して送信されるコマンドであり、論理ユニットのデバイスタイプを要求するコマンドである。
【0054】
S3:Inquiryコマンドに対する応答コマンドであり、この応答コマンドを受けることで、ホストは論理ユニットのデバイスタイプを取得する。
【0055】
通常のUSBメモリは、デバイスタイプDirectAccessMemoryDeviceが返却される。
【0056】
S4:S2と同じコマンドであり、ここでは論理ユニット番号1の論理ユニットに対してのコマンドであり、デバイスタイプを要求する。
【0057】
S5:上記S3と同じ応答コマンドであり、ここでは論理ユニット番号1の論理ユニットから送られる。この応答コマンドを受けることで、ホストは論理ユニット番号1の論理ユニットのデバイスタイプを取得する。
【0058】
S6:TestUnitReadyコマンドは、ホストより指定論理ユニット(論理ユニット番号0の論理ユニット)に対して送信する、状態問い合わせコマンドである。
【0059】
S7:TestUnitReadyコマンドの応答コマンドである。ホストは、本コマンドを受け、論理ユニット番号0の論理ユニットの状態が準備完了状態か否かの情報を取得する。
【0060】
S8:ReadCapacityコマンドは、指定論理ユニットのセクターサイズ情報や最大アドレス値などの固有情報を要求するコマンドである。
【0061】
S9:ReadCapacityコマンドの応答コマンドである。論理ユニット番号0の論理ユニットのセクターサイズ情報や最大アドレス値などの固有情報を返却する。
【0062】
S10:ModeSenseコマンドは、論理ユニット番号0の論理ユニットのライトプロテクト情報などの固有情報を要求するコマンドである。
【0063】
S11:ModeSenseコマンドの応答コマンドである。論理ユニット番号0の論理ユニットのライトプロテクト情報などの固有情報を返却する。
【0064】
S12〜S17:S6〜S11と同じコマンドのやり取りをする。唯一の違いは、ホストの通信相手が、論理ユニット番号1の論理ユニットに対して行っている点である。
【0065】
図2に示すホストが送信する各種コマンドは、デバイス側の準備ができていなければ、エラー応答をするので、通常、ホストは、固体情報を取得するために、取得できるまで定期的にコマンドを出し続ける。
【0066】
固体情報を取得しなければ、Writeコマンド、Readコマンドを実施できない。
【0067】
当然、上記ファイル検索等も、固体情報を取得できていない論理ユニットに対しては行えない。上記固有情報は、実施例1におけるSCSIコマンドに限定するものではなく、固有情報を返却する全てのSCSIコマンドである。
【0068】
次に、実施例1において、タイマ処理の実施条件と実施方法とについて説明する。
【0069】
図3は、実施例1において、タイマ処理の実施条件と実施方法とを示すフローチャートである。
【0070】
接続した後に、図2のS5(Inquiryコマンド応答コマンド受信後に、図3のSTARTから、固体情報取得処理)が始まる。
【0071】
S20:初期値0は、複合型プリンタがコマンドを送り、論理ユニット番号が0から始まることである。
【0072】
実施例1では、たとえば2つの論理ユニットを有する場合、論理ユニット番号0から1の順番で通信する。SCSI規格でいうLogicalUnitNumberは、0から始まるので、2つの論理ユニットを有する場合、論理ユニット番号は、それぞれ0、1である。
【0073】
接続時は、S20で、論理ユニット番号0に対する通信から始まる。S21〜S30の処理を、全て論理ユニット番号0から実行する。
【0074】
本実施例は、どの論理ユニットがどのコマンドに正しく応答したかということと、取得したデータとを、S24、S28で記録保持し、S21、S25、S30では、この情報が記録されているか否かを参照する。
【0075】
S21で、既に論理ユニット0番から、ReadCapacity情報を取得したか否かを判定する。接続後に、最初のS21で判断処理であれば、未だに取得できていないと判断すると、取得していないので、S22へ進む。
【0076】
S22で、上記ReadCapacityコマンドを送信する。S23で、ReadCapacityコマンドの応答コマンドを正常に受信できたか否かを判断する。正常に受信できれば(S23でYES)、S24で、上記のように、取得データを内部で記録保持する。またこのとき、データの取得が完了したことを示す情報を保存する。
【0077】
一方、正常に受信できなければ(S23でNO)、取得データが無いので、内部に記憶保持しない。このとき、論理ユニット番号0のデータの取得が失敗したという情報を記録保持してもよい。
【0078】
S25〜S28は、上記S21〜S24において、コマンドの種類が異なるのみである。
【0079】
S29で、タイマ起動中でタイマ時間満了したか否かを判定する。タイマ起動中で時間が満了すれば、無条件でタイマを止め、ENDへ向かい、処理を終了する。
【0080】
S30で、全ての論理ユニットのReadCapacityとModesenseで取得する固体情報を、共に取得できたか否かを判断する。この判断は、S24、S28で記憶された、データの取得が完了したことを示す情報に基づき判断される。またはS23、S27でNOのときに、データの取得が失敗したという情報を記録保持する場合には、この情報に基づき判断してもよい。
【0081】
たとえば、2つの論理ユニットを有する外部ストレージ機器を接続した後に、初めてS30を判断した場合、論理ユニット番号0に対する処理のみで、論理ユニット番号1に対して固有情報取得コマンドを送る処理を行っていないので、S31へ進む。S31で、実施例1であるタイマ起動条件を満たすか否かを判定する。
【0082】
タイマ起動条件は、次の条件である。複数の論理ユニットを有する外部ストレージ機器が接続された際に、次の場合であれば、任意のタイムアウト時間を設けた。つまり、少なくとも1つの上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また少なくとも1つの上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットが存在する場合に、任意のタイムアウト時間を設けた。
【0083】
S31で、タイマ起動条件を満たしていると判断したら、S32で、タイマ起動する。
【0084】
このタイマ起動は、プリンタ内部のシステムが保持するシステムタイマ等を用いる。
【0085】
そして、S34で、次の論理ユニットへ移行し、次のS21から始まる処理は、全て次の論理ユニット番号に対して行う。たとえば2つの論理ユニットを有する場合、論理ユニット番号0から、1の順番で進み、1まで行ったら0へ戻る。
【0086】
たとえば、2つの論理ユニットを持つ外部ストレージが接続されている場合、まず、論理ユニット番号0に対して、S21〜S28の処理を行う。その後に、S34で、論理ユニット番号1に対して行うように指示を受けるので、次は、論理ユニット1に対して、S21〜S28の処理を行い、固有情報を取得する。
【0087】
全ての論理ユニットの固有情報を取得できれば、また、S29の条件を満足すれば、S33へ進む。S33では、タイマが起動されている場合にはタイマを停止させて処理を終了する。
【0088】
終了した後は、アプリケーションに対し、外部ストレージ機器が接続されたことを通知し、以後は、ユーザ操作によって、上記ファイル検索機能を行えるように許可し、本体の表示部において、外部ストレージが接続された旨を表示する。
【0089】
本発明は、複数の論理ユニットを有するUSBメモリにおいて、正しく応答しないか、応答に時間がかかる場合に、1つでも固体情報を取得できた論理ユニットが存在すれば、S31の条件を満たし、S32において、タイマを起動する。
【0090】
そして、未だに取得できない論理ユニットに対して、固体情報取得コマンドを、S21〜S28のフロー処理で送信し、取得を試みる。タイマ満了前に取得できれば、S30の条件から、ENDへ進む。また、固体情報を取得できない場合であっても、タイマ満了すれば、S29の条件よりENDへ進む。
【0091】
そしてENDに進んだ際、本実施例であれば、固体情報を取得できた論理ユニットのみに対してファイル検索の実施を、ユーザに許可する。この許可を通知するために、図3のEND処理時には、図1の表示部5を用いてユーザに通知するようにしてもよい。
【0092】
また、ユーザがファイル検索アプリケーションを開始するのは、本実施例のようにUSBメモリ接続後に限定するものではなく、アプリケーション実施中にUSBメモリを接続して、上記タイムアウト処理を実施するようにしてもよい。
【0093】
ファイル検索の実施許可を通知された後に、ユーザは、図1記載の操作部7を用いて、ファイル検索アプリケーションを実施し、ファイル検索を実行する。この際に、ファイル検索アプリケーションは、固体情報を取得できた論理ユニットに対してのみ、ファイル検索を実施する。
【0094】
上記タイムアウト処理後に、どの論理ユニットが固体情報を取得できたかという判断には、上述した図3のS24、S28で保存される記録情報を用いればよい。したがって、この記録情報には、固体情報の取得が完了されたという情報に加え、その論理ユニット番号が記録される。
【0095】
また、上記記録情報に加え、図3のEND後にデバイスが送信するSCSIコマンドの応答結果も引き続き記録情報として記録し続けてもよい。その際に、上記固体情報コマンドや前述のS7のTestUnitReadyコマンドを定期的に送信し続けてもよい。そして、図3のEND後に、固定情報を取得した論理ユニットの状態が準備状態(NOT READY)等の通信不能状態に陥った場合も、その情報を記録情報として保存しておけばよい。
【0096】
このように上記タイムアウト処理後にも継続して上記記録情報に各論理ユニットの状態の情報を保持することで、各論理ユニットの状態を正確に把握することができる。そして、本実施例のファイル検索アプリケーション実施時には、上記記録情報に基づいて固定情報を取得できていて、且つSCSIのREAD、WRITEコマンドを送信できる状態の論理ユニットのみにファイル検索を実施すれば有効である。
【0097】
つまり、上記実施例では、タイムアウト時間を設け、たとえば、複数の論理ユニットのうちで、応答が遅いか、応答しない論理ユニットについて、タイムアウト時間の間だけ、繰り返し固定情報取得要求を行う。タイムアウト時間を経過しても要求に応答しなければ、その論理ユニットは正常に動作していないとみなし、正しく応答している論理ユニットのみに対して、アプリケーションからのアクセスを許可し、ファイルを検索することができる。
【0098】
タイムアウト時間は、動作が正常な論理ユニットであれば、確実に固定情報取得要求を返す時間であり、しかもユーザがストレスを感じないと思われる程度の時間を設定すればよい。
【0099】
上記実施例によって、複数の論理ユニットの全てに対して設定ファイルの検索を行うことができ、また、タイムアウト時間を調整するので、応答に時間のかかる論理ユニットがある場合でも、容易に対応することができる。
【0100】
また、上記実施例では、上記タイムアウトを設ける条件が、複数の論理ユニットを有する外部ストレージを接続したときではなく、少なくとも1つの論理ユニットが固有情報取得要求に正しく応答したときである。したがって、装置としての通電後の立ち上がりが遅いか、接続時の初期化処理に時間がかかる外部ストレージの論理ユニットを、正常に動作していないと誤判定する恐れが無く、動作が不安定な論理ユニットのみを正確に検知することができる。
【0101】
上記実施例によれば、複数の論理ユニットを有する外部ストレージデバイスの着脱が可能な周辺装置であって、複数の論理ユニットを使用するアプリケーションにおいて、正常に動作しない外部ストレージを考慮した処理の実装が容易である。
【0102】
また、上記実施例において、手段を工程に置き換えれば、上記実施例を方法の発明として把握することができる。つまり、上記実施例は、複数の論理ユニットを具備する外部ストレージ機器が、周辺装置に接続された場合、次の条件で、タイムアウト時間を設定する周辺装置接続方法の例である。上記条件は、固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットが存在するという条件である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施例1である周辺装置の例である外部ストレージ着脱可能な複合型プリンタ10と、外部ストレージ装置の例である内部的に複数の論理ユニットを具備するUSBメモリ2とを示す図である。
【図2】接続時の処理と、使用するSCSIコマンドとを示す図である。
【図3】実施例1において、タイマ処理の実施条件と実施方法とを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
10…複合型プリンタ、
2…複数の論理ユニットを有するUSBメモリ、
3…排紙機構、
4…USBホスト部、
5…表示部、
6…給紙部、
7…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の論理ユニットを具備する外部ストレージ機器が、周辺装置に接続された場合、固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットが存在すれば、タイムアウト時間を設定することを特徴とする周辺装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットに対して、固体情報取得コマンドを繰り返し送信する送信手段と;
上記タイムアウト時間を経過した後は、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットのみに対して、読み書きする読み書き手段と;
を有することを特徴とする周辺装置。
【請求項3】
複数の論理ユニットを具備するストレージ機器が接続された場合、複数の論理ユニットのそれぞれに対して、接続に必要な固体情報を要求するコマンドを送信する固体情報取得コマンド送信手段と;
複数の論理ユニットを具備する外部ストレージ機器が接続された場合、固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットが存在すれば、任意のタイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定手段と;
上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットに対して、上記固体情報取得コマンドを繰り返し送信する送信手段と;
上記タイムアウト時間を経過した後は、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットのみに対して、アプリケーションに読み書きさせることを許可する許可手段と;
を有することを特徴とする周辺装置。
【請求項4】
複数の論理ユニットを具備するストレージ機器が接続された場合、複数の論理ユニットのそれぞれに対して、接続に必要な固体情報を要求するコマンドを送信し、接続された外部ストレージ機器が保持する複数の論理ユニットの全てについて、リード処理、またはライト処理を実行する必要があるアプリケーションを有する周辺装置において、
複数の論理ユニットを具備する外部ストレージ機器が接続された場合、固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットが存在すれば、任意のタイムアウト時間を設定することを特徴とする周辺装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項において、
上記ストレージ機器に記憶された情報を読み取る読取手段を有し、
周辺装置の設定を行うための設定情報が上記ストレージ機器に記憶され、上記読取手段によって読み取られた上記設定情報に基づいて設定することを特徴とする周辺装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか1項において、
上記外部ストレージ機器が着脱可能であり、上記外部ストレージ機器の論理ユニット数に応じて、上記タイムアウト時間を変化させることを特徴とする周辺装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項4のいずれか1項において、
上記タイムアウト時間が経過する前に、上記周辺装置に固体情報を要求するコマンドに、全ての論理ユニットが固体情報を返却した際は、直ちに全ての論理ユニットに対する読み書き、及びアプリケーションによる指定を許可することを特徴とする周辺装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項4のいずれか1項において、
上記タイムアウト時間が終了した後に、ユーザインタフェースを用いて、外部ストレージが接続された旨を、ユーザに通知することを特徴とする周辺装置。
【請求項9】
複数の論理ユニットを具備する外部ストレージ機器が、周辺装置に接続された場合、固体情報取得要求に対して固体情報を返却しない論理ユニットが存在し、また、上記固体情報取得要求に対して固体情報を返却した論理ユニットが存在すれば、タイムアウト時間を設定することを特徴とする周辺装置接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−39970(P2010−39970A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205095(P2008−205095)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】