説明

味のマスキングが改善された押出物

本発明は、1種またはそれ以上の医薬的に活性な物質を含み、最大で0.5mmのストランド直径を有する押出物、および、医薬の製造のためのこれらの押出物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種またはそれ以上の医薬的に活性な物質を含み、0.5mm以下のストランド(strand)直径を有する押出物、および、医薬の製造のためのこれらの押出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬物質の制御放出には、消費者にとって、有効成分の不快な味を隠蔽できるという利点がある。これは、各医薬形を摂取することの容易さを高め、それは、最適の治療のために重要である。これに関して、医薬技術において、味を隠蔽するために様々な可能性がある。非常に多くの方法の概要は、適切な文献の情報源への相互参照と共に、Roy [Roy, 1994] または Sohi [Sohi et al., 2004] により与えられている。
【0003】
味を隠蔽する最も簡単な方法は、香味料を添加することであるが、非常に苦く、非常に容易に水に溶ける物質には、問題があることがある。正しい添加物を見出すための方法は、Bienz [Bienz, 1996] により記載されている。
【0004】
有効成分(ヘキサヒドロピラジン誘導体)を疎水性担体と共に加工して顆粒を得ることにより、味をマスキングすることも記載されている(WO98/03157)。
【0005】
他の頻繁に記載された可能性は、医薬形に被覆を用いることである。環境的影響からの保護に加えて、被覆を利用して、医薬形からの有効成分の放出を様々な方法で制御することが可能であり、とりわけ、味の隠蔽をもたらす。この目的で使用される物質は、起源と構造において異なっていてよく、例えば、Eudragit E [Cerea et al., 2004, Lovrecich et al., 1996, Ohta and Buckton, 2004, Petereit and Weisbrod, 1999]、セラック [Pearnchob et al., 2003b, Pearnchob et al., 2003a]または、セルロース誘導体[Al-Omran et al., 2002, Li et al., 2002, Shirai et al., 1993]である。しかしながら、Eudragit E の使用の欠点は、味のマスキングが陽イオン性の補助剤と陰イオン性の有効成分とのイオン性相互作用に由来することである。セラックの使用は、それは組成が変動し得る天然ポリマーであるため、同様に有利ではない。これとは別に、被覆は製造におけるさらなる労働を伴い、時間と金銭を費やさせる。しかしながら、WO2002/058669は、不溶性マトリックス中のキノロンまたはナフチリドンカルボン酸の固体分散物を記載しており、特定の可能性はセラックマトリックスである。
【0006】
イオン交換樹脂または封入複合体の使用は、同様に味のマスキングに適当であり得る。しかしながら、イオン交換樹脂は、イオン特性が存在しなければならないので、多くの医薬物質に対する広範な適用性を欠く [Chun and Choi, 2004, Lu et al., 1991, Prompruk et al., 2005]。封入複合体は、少ない有効成分の負荷しか可能ではないという欠点を有する [Sohi et al., 2004]。
【0007】
脂肪性基剤は、同様に、味を隠蔽する医薬形の製造に使用される。硬質脂肪をベースとする一体化した医薬形の研究(Witepsol, Witocan) [Suzuki et al., 2003, Suzuki et al., 2004]が知られており、そこでは、レシチンおよび甘味料をさらに用いて味を改善する。この場合の欠点は、脂肪性基剤を融解しなければならず、今度は恐らく不安定さを導くことである。直径2cmの鋳造錠剤(cast tablet)は大きすぎて、これらのデータに基づいて動物飼料部門での使用についての結論を導くことができない。加えて、冷たい押出物中の親油性結合剤としての硬質脂肪、ジステアリン酸グリセロールおよびステアリン酸の比較が行われ[Breitkreutz et al., 2003]、この場合、味を隠蔽するために、Eudragit E を被覆として用いることが必要であった。医薬基剤を製造するために、融点より低い温度で脂肪を押出することが、同様に記載された [Reitz and Kleinebudde, 2007]。
【0008】
EP855183A2は、キノロン型のジャイレース阻害剤を含む、味がマスキングされた経口用製剤を開示しており、それは、有効成分を高分子脂肪酸および必要に応じてさらなる添加物と混合し、加熱し、冷却後に、造粒または粉末化することにより製造される。
【0009】
蝋をベースとするペレット剤も製造された [Adeyeye and Price, 1991, Adeyeye and Price, 1994, Zhou et al., 1996, Zhou et al., 1998]。この場合、有効成分の放出は、蝋の融点およびそのペレット中での濃度に依存することが見出された。放出は、融点および蝋の含有量が高まるにつれて遅くなる。
【0010】
味を隠蔽するためのさらなる可能性は、Kin および Choi [Kim and Choi, 2004] により記載され、彼らは、カカオバターまたは硬質脂肪および有効成分の脂肪性の核を製造し、それにアルギン酸ナトリウムまたはカラゲナンの殻を与えた。しかしながら、この場合、脂肪は完全に融解され、製造における被覆段階は、さらなる操作を意味する。
【0011】
加えて、Compritol(登録商標) 888 ATO は、マトリックス形成成分として記載された [Mirghani et al., 2000]。それらは、融解した Compritol(登録商標)、有効成分およびポリサッカライドの被覆からなるペレット剤の製造を記載している。ポリサッカライドによる被覆は、またもや、省かれるべき操作である。Li [Li et al., 2006] は、対照的に、粉末混合物から、または、粉末化した固体分散物から、回転機中での圧縮により製造されたマトリックス錠剤の比較を記載した。粉末化した固体分散物からの錠剤は、より良好な味のマスキングを示した。しかしながら、Compritol(登録商標) 888 ATO は、固体分散物を製造するために、完全に融解された。Barthelemy [Barthelemy et al., 1999] は、Compritol(登録商標) 888 ATO を、テオフィリンのペレット剤および顆粒剤の被覆に使用した。またもや、脂肪は完全に融解された。
【0012】
加えて、リン脂質の使用は、味を改善するための一つの可能性である。これに関して、リン脂質は苦味だけをマスキングし、他の味覚には影響がないことが見出された [Katsuragi et al., 1997, Takagi et al., 2001]。従って、一方では、苦味だけが隠蔽され得るので、普遍的適用の可能性はなく、他方では、リン脂質の添加は脂質の結晶化度に影響を与え、恐らく不安定さを導くことが知られている [Schubert, 2005]。
【0013】
さらなる研究は、粉末混合物の組織化は、同様に、味のマスキングに貢献できることを示した [Barra et al., 1999]。補助剤の粒子が有効成分の粒子に沈着するので、隠蔽を可能にするために、補助剤の粒子(セルロース誘導体)は、有効成分の粒子よりも小さくなければならない。この場合の不都合は、有効成分粒子の適切な大きさであり、微粒子化した物質の使用を妨げる。
【0014】
WO2003/030653は、有効成分が組み込まれており、押出により製造できる動物の飼料に関する。
WO2003/072083は、塩基性医薬物質および(メタ)アクリル酸ポリマーの混合物の溶融押出を記載している;次いで、押出物を顆粒または粉末に砕く。得られる生成物において、有効成分の味の密閉が達成されると言われている。WO2004/066976は、陰イオン性有効成分、メタクリル酸ポリマーおよび中鎖ないし長鎖脂肪酸を融解状態で混合することによる、即時崩壊の経口医薬形の製造方法を開示している。凝固後、生成物を粉砕し、水溶性マトリックスに組み込む。
【0015】
US6171615B1は、ポリグリコール化グリセリドおよび結晶核の形成を改善する物質(「核形成増強剤」)の混合物を含む半固体マトリックス中のテオフィリンの持続放出製剤に関する。FR2753904は、ベヘン酸エステルおよび疎水性希釈剤を含む液体マトリックス中に有効成分を含む制御放出の医薬に関する。
【0016】
WO2004/014346は、愛玩動物に適する制御放出の味の良い製剤に関する。その製剤は、有効成分を制御放出に適する小型粒子(「多粒子(multiparticulate)」)形で含み、そして、嗜好性を改善する添加物を含む。
WO2005/097064は、そのコアがマトリックス物質および水で膨潤できる膨潤剤を含む多数の被覆錠剤を含む医薬に関する。
【0017】
この度、味がマスキングされた製剤または隠蔽された味を有する製剤の製造に、押出物が非常に適し、特にストランド直径が予想外の重要性を有することが見出された。当業者は、通常、小さい粒子では成分の放出の増加を、従って味の弱い隠蔽を予想する。通常の医薬的に使用される押出物は、約1mmの桁のストランド直径で製造される。この度、ストランド直径が低減されると、同様に成分の放出の低減があり、従って、小さいストランド直径を有する押出物を、隠蔽された味を有する医薬の製造に使用できることが見出された。
【発明の概要】
【0018】
従って、本発明は、以下に関する。
・押出物が0.5mm以下のストランド直径を有することを特徴とする、1種またはそれ以上の医薬的に活性な物質を含む押出物、
・医薬の製造のための上述の押出物の使用。
【図面の簡単な説明】
【0019】
(該当する記載無し)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の押出物のストランド直径は、0.5mmを超えず、好ましくは0.3mmを超えない。直径0.2mmからの押出物を通常は使用できる。非円柱状の押出物の場合、最大の縁の長さまたは楕円の長さが0.5mmを超えず、好ましくは0.3mmを超えない。
【0021】
押出物は、押出に適し、熱成形材料または複数の熱成形材料の混合物からなる基剤を含み、必要に応じて、さらなる医薬的に許容し得る補助剤および添加物を含む。
【0022】
基剤は、ポリマー、例えば、ポリアクリル酸またはセルロース誘導体、脂質、例えば、アシルグリセリド、界面活性剤、例えば、モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸ナトリウム、マクロゴール、例えば、ポリエチレングリコール6000、糖または糖アルコール、例えば、マンニトールまたはキシリトールなどの熱形成材料からなる。脂質基剤を好ましくは使用する。脂質基剤として適する例は、脂肪基剤、特に、グリセロールエステル、好ましくはC12−C24脂肪酸のエステルである。言及し得るグリセロールエステルは、グリセロールジエステル、例えば、ジベヘン酸グリセロール、グリセロールトリエステル、例えば、トリラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸グリセロール、トリパルミチン酸グリセロールまたはトリステアリン酸グリセロール、グリセロールモノ、ジおよびトリエステルの混合物、例えば、パルミトステアリン酸グリセロールである。ココナッツ脂、パーム油および/またはパーム核油(例えば、Witocan(登録商標)の名称で購入できる硬質脂肪)をベースとするトリグリセリドにも言及し得る。クエン酸および/または乳酸のモノまたはジグリセリドも用いることができる。
【0023】
さらに、蝋、特に、30個ないし60個の炭素原子を有するもの、例えば、パルミチン酸セチルに言及し得る。そのような脂質は、例えば、Precirol(登録商標)、Compritol(登録商標)および Dynasan(登録商標)の名称で購入できる。特に好ましい例は、ジベヘン酸グリセロールおよびトリミリスチン酸グリセロールである。脂肪基剤は、好ましくは、粉末形である。多くの脂質は多形性であり、いくつかの環境では、温度および圧力が変化すると、準安定な形態を形成し得る。保存中に、いくつかの環境では、変態の変換が起こり得、より安定な変態が形成される。文献の記載 [Reitz and Kleinebudde, 2007] によると、トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) がそのような変化に対して比較的安定であり、従って、医薬用の脂質基剤として特に適する。
【0024】
特に脂肪基剤として使用される物質は、しばしば、例えば、モノ、ジおよび/またはトリグリセリドの混合物として販売されている。これらと比較して、本質的に1種の成分のみからなる均一な脂肪塩基が好ましい。これらの補助剤で製造された製剤は、良好な保存安定性により卓越している。
【0025】
用いる(熱成形材料の)基剤の量は、押出物の他の成分の量によって決まる。通常、20ないし99%[m/m]、好ましくは25ないし80%[m/m]、特に好ましくは30ないし70%[m/m]を用いる。
【0026】
本発明の押出物は、必要に応じて、1種またはそれ以上のさらなる補助剤および添加物を含み得る。そのようなものとして適するのは、流動調節剤、好ましくは0.2%ないし2%[m/m]の濃度のコロイド状二酸化ケイ素;滑沢剤、好ましくは0.2%ないし5%[m/m]の濃度のステアリン酸マグネシウムまたはジベヘン酸カルシウム;界面活性剤、好ましくは0.5%ないし10%[m/m]の濃度のレシチンである。抗酸化剤を用いることがさらに可能であり、適する例は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)またはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)であり、これらは、常套の量、通常は0.01ないし0.5%[m/m]、好ましくは0.05ないし0.2%[m/m]で使用される。有効成分の放出は、例えば、いわゆる孔形成剤を添加することにより制御できる。これらは、例えば、糖、特にラクトース、ポリオール、特にマンニトール、または、ポリエチレングリコール、例えば、Macrogol 1500 である。孔形成剤は、5%ないし40%[m/m]の濃度、好ましくは5%ないし20%[m/m]の濃度で用いる。有効成分の放出に影響を与える他の可能性は、崩壊助剤の添加に代表される。この目的で、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムまたは架橋ナトリウムカルボキシメチルスターチなどの、いわゆる超崩壊剤(superdisintegrant)を用いることが可能である。超崩壊剤は、1%ないし15%[m/m]の濃度、好ましくは3%ないし10%[m/m]の濃度で用いる。その代わりに用いることができる物質は、酸の中で可溶であるもの、および/または、二酸化炭素を放出するもの、例えば、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムである。二酸化炭素を放出する物質は、5%ないし15%[m/m]の濃度で、好ましくは5%ないし10%[m/m]の濃度で用いる。
【0027】
医薬的に活性な物質として、活性医薬成分、特に、その不快な味を隠蔽すべきものを用いることが可能である。
言及し得る例は、抗生物質、例えば、キノロン抗生物質であり、この呼称は、ナフチリドンから誘導される化合物を包含することも意図する。
【0028】
キノロン類、好ましくはフルオロキノロン類は、とりわけ、以下の文献に開示されたものなどの化合物である:US4670444(Bayer AG)、US4472405(Riker Labs)、US4730000(Abbott)、US4861779(Pfizer)、US4382892(Daiichi)、US4704459(Toyama);言及し得るキノロン類の特別な例は、ピペミド酸およびナリジクス酸である;言及し得るフルオロキノロン類の例は、ベノフロキサシン(benofloxacin)、ビンフロキサシン(binfloxacin)、シノキサシン、シプロフロキサシン、ダノフロキサシン(danofloxacin)、ジフロキサシン(difloxacin)、エノキサシン、エンロフロキサシン(enrofloxacin)、フレロキサシン、イバフロキサシン(ibafloxacin)、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、マルボフロキサシン(marbofloxacin)、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルビフロキサシン(orbifloxacin)、ペルフロキサシン(perfloxacin)、テマフロキサシン、トスフロキサシン、サラフロキサシン(sarafloxacin)、スパルフロキサシンである。
【0029】
フルオロキノロン類の好ましい群は、式(I)または(II)
【化1】

[式中、
Xは、水素、ハロゲン、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシ、NHであり、
Yは、構造
【化2】

{式中、
は、ヒドロキシ−またはメトキシ−置換されていることもある直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、シクロプロピル、1個ないし3個のC原子を有するアシルであり、
は、水素、メチル、フェニル、チエニルまたはピリジルであり、
は、水素またはC1−4−アルキルであり、
は、水素またはC1−4−アルキルであり、
は、水素またはC1−4−アルキルである}
のラジカルであり、
そして、
は、1個ないし3個の炭素原子を有するアルキルラジカル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、メトキシ、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニルまたはメチルアミノであり、
は、水素であるか、またはメトキシ−または2−メトキシエトキシ−置換されていることもある、1個ないし6個の炭素原子を有するアルキル、および、シクロヘキシル、ベンジル、2−オキソプロピル、フェナシル、エトキシカルボニルメチル、ピバロイルオキシメチルであり、
は、水素、メチルまたはエチルであり、そして、
Aは、窒素、=CH−、=C(ハロゲン)−、=C(OCH)−、=C(CH)−または=C(CN)であり、
Bは、酸素、メチル−またはフェニル−置換されていることもある=NHまたは=CHであり、
Zは、=CH−または=N−である]
のもの、および、それらの医薬的に使用できる塩および水和物である。
【0030】
式(I)および(II)の化合物は、それらのラセミ体またはエナンチオマー形で存在し得る。
【0031】
好ましいのは、式中、
Aが=CH−または=C−CNであり、
が、ハロゲン置換されていることもあるC−C−アルキルまたはシクロプロピルであり、
が、水素またはC1−4アルキルであり、
Yが、構造
【化3】

{式中、
は、ヒドロキシ置換されていることもある直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、1個ないし4個のC原子を有するオキソアルキルであり、
は、水素、メチルまたはフェニルであり、
は、水素またはメチルであり、
およびRは水素である}
のラジカルである、
式(I)の化合物、および、それらの医薬的に使用できる水和物および塩である。
【0032】
特に好ましいのは、式中、
Aが=CH−または=C−CNであり、
がシクロプロピルであり、
が、水素、メチルまたはエチルであり、
Yが、構造
【化4】

{式中、
は、メチル、ヒドロキシ置換されていることもあるエチルであり、
は、水素またはメチルであり、
は、水素またはメチルであり、
およびRは水素である}
のラジカルである、
式(I)の化合物、および、それらの医薬的に使用できる塩および水和物である。
【0033】
適する塩は、医薬的に使用できる酸付加塩および塩基の塩である。
医薬的に使用できる塩の例は、塩酸、硫酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、エンボン酸(embonic acid)、グルタミン酸またはアスパラギン酸の塩である。本発明の化合物は、また、酸性または塩基性のイオン交換剤に結合していてもよい。言及し得る医薬的に使用できる塩基の塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウムまたはカルシウム塩;亜鉛塩、銀塩およびグアニジウム塩である。
水和物は、フルオロキノロン類自体の水和物およびそれらの塩の水和物の両方を意味する。
【0034】
言及し得る特に好ましいフルオロキノロン類は、WO97/31001に記載の化合物、特に、式
【化5】

を有する8−シアノ−1−シクロプロピル−7−((1S,6S)−2,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−8−イル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸(プラドフロキサシン(pradofloxacin))である。
【0035】
プラドフロキサシンは、好ましくは、無水物としてその遊離形で、例えば、変態B(WO00/31076参照)で、または、三水和物(WO2005/097789参照)として、用いる。
【0036】
また、特に好ましく用いられるのは、エンロフロキサシン:
1−シクロプロピル−7−(4−エチル−1−ピペラジニル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸
【化6】

である。
【0037】
エンロフロキサシンおよびプラドフロキサシンの他に、好ましいキノロン抗感染薬として、マルボフロキサシン、オルビフロキサシン、ジフロキサシンおよびイバフロキサシンに言及し得る。
【0038】
さらなる適する有効医薬成分は、例えば、トリアジノン類、例えば、ジクラズリル(diclazuril)、および、特にポナズリル(ponazuril)およびトルトラズリル(toltrazuril)である。
【0039】
さらに、駆虫作用を有する24員の環状デプシペプチド類、例えば、PF1022、および、特にエモデスピド(emodespide)に言及し得る。
他の駆虫薬も適する。言及し得る例は、エプシプランテル(epsiprantel)、および、特にプラジカンテルである。
【0040】
用いることができるさらなる有効医薬成分は、薬学的に許容し得るホスホン酸誘導体であり、これらは、通常、特に生産用動物および家畜用の代謝刺激剤および強壮剤として適する有機化合物である。言及し得る好ましい例は、昔から知られてきた化合物、トルジムホス(toldimfos)、および、特にブタホスファン(butaphosphan)(例えば、製品 Catosal(登録商標)中で使用される)であり、これらは、とりわけ、ミネラル(リン)補給に役立つ。
【0041】
多くの他の有効医薬成分も、有効成分を融解する必要がないので、原則として本発明の押出物における使用に適する。押出物の味をマスキングする作用のために、それらは、好ましくは、不快な(例えば、苦い)味を有する有効成分に適する。
【0042】
親油性マトリックスへの導入は、用いる有効成分の性質によって、遅延放出を可能にし、かくして低速放出効果も達成される。
【0043】
全ての医薬的有効成分について、キノロン類について上記で詳細に説明した通り、対応する医薬的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物、および、適するならば、異なる変態を使用することが可能である。
【0044】
光学活性物質を、それらの立体異性体の形態で、または、立体異性体の混合物として、例えば、純粋または豊富なエナンチオマーまたはラセミ体として、使用できる。
【0045】
押出物中で用いる有効成分の量は、効力および所望の投与量によって決まる。80%[m/m]まで、好ましくは70%[m/m]まで、特に好ましくは60%[m/m]までの高い有効成分濃度を有する押出物も製造できることが明らかになった。通常の濃度範囲は、例えば、1ないし80%[m/m]、好ましくは5ないし70%[m/m]、特に好ましくは30ないし60%[m/m]である。
【0046】
本発明の押出物は、出発物質(医薬的に活性な物質、基剤、および、必要に応じて、補助剤および添加物)を混合し、次いで押出することにより製造する。押出は、好ましくは熱成形材料の完全な融解を導かない温度で、特に、通常は室温、好ましくは40℃の領域から、熱成形材料の融解範囲より低い温度で実施する。押出工程は、材料の温度をできるだけ一定にして実施するべきである。この目的に適するのは、特に、加熱可能なスクリュー式押出機、特に二軸スクリュー式押出機である。押出されたストランドは、好ましくは、円形の横断面および上記の直径を有する。押出されたストランドは、ナイフを用いる押出により直接的に、または、別段階で、常套のミル中、例えば遠心ミル中での穏やかな粉砕により、ペレット化できる。得られる生成物の粒子サイズは、使用するダイ(die)の直径によって決まり、ペレット化されたストランドの最大の長さは、ストランド直径の3倍に相当する。典型的な粒子サイズは、例えば、300ないし500μmである。好ましい実施態様では、粉砕された材料を篩過することもできる。それにより、細かいものを除去できる。
【0047】
本明細書で時折成される、押出物がそれらの融点より低い温度で押出されるという記述は、押出物が、上記の通り、用いた熱可塑性基剤がまだ融解しない温度で押出されることを意味すると理解されるべきである。他の成分、例えば、有効成分は、しばしば、もっと高い融点を有する。
【0048】
これらの押出物では、ストランドの直径が小さいとき、有効成分の放出は低減される。従って、そのような押出物は、不快な味を有する成分の味を隠蔽するのに適する。
【0049】
本発明の押出物は、穏やかなペレット化の後、必要に応じて、適する医薬形にさらに加工できる。必要に応じて、さらなる加工にはさらなる補助剤の添加が必要である。本発明により好ましい医薬形は、必要に応じて所望の用途に適応した形状を有し得る錠剤のものである。他の適する医薬形は、ペースト剤、懸濁剤、サシェ剤(sachet)、カプセル剤などである。
【0050】
押出物および本発明の医薬は、一般的に、ヒトおよび動物への使用に適する。それらは、好ましくは、生産用および飼育用家畜、動物園、実験室、試験用および愛玩用の動物、特に哺乳動物において、動物の管理および動物の飼育に用いる。
【0051】
生産用および飼育用家畜には、哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラクダ、スイギュウ、ロバ、ウサギ、ダマジカ、トナカイ、毛皮を有する動物、例えば、ミンク、チンチラ、アライグマ、および、鳥類、例えば、ニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒル、ハトおよびダチョウが含まれる。好ましい生産用家畜の例は、ウシ、ヒツジ、ブタおよびニワトリである。
【0052】
実験室および試験用の動物には、イヌ、ネコ、ウサギ並びに齧歯類、例えば、マウス、ラット、モルモットおよびゴールデンハムスターが含まれる。
愛玩動物には、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、齧歯類、例えば、ゴールデンハムスター、モルモット、マウス、並びに、家庭および動物園で飼育するための爬虫類、両生類および鳥類が含まれる。
【0053】
押出物は、通常、直接、または、適する製剤(医薬形)で、経腸で、特に経口で用いる。
有効成分の経腸使用は、例えば、経口で、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ペースト剤、顆粒剤、懸濁剤または薬用飼料の形態で行う。
【0054】
適する製剤は以下のものである:
固体製剤、例えば、顆粒剤、ペレット剤、錠剤、巨丸剤(boli)および有効成分を含有する成形品(shaped article)。
【0055】
固体製剤は、有効成分を適する担体と、必要に応じて補助剤を添加して混合し、所望の形態に変換することにより製造する。
言及し得る担体は、全ての生理的に耐容される固体の不活性物質である。無機および有機物質をそのように使用する。無機物質の例は、塩化ナトリウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、重炭酸塩、酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、沈殿またはコロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩である。
有機物質の例は、糖、セルロース、ヒトおよび動物の食糧、例えば、粉乳、動物粉末、製粉または粉砕した穀物、スターチである。
【0056】
補助剤は、防腐剤、抗酸化剤、着色料である。適する補助剤および用いる必要量は、原則として当業者に知られている。言及し得る防腐剤の例は、ソルビン酸である。適する抗酸化剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)またはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である。適する着色料は、有機および無機着色料、および、医薬の目的に適する色素、例えば、酸化鉄である。
【0057】
さらなる適する補助剤は、滑沢剤および流動剤(glidant)、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ベントナイト類、崩壊促進物質、例えば、スターチまたは架橋ポリビニルピロリドン、結合剤、例えば、スターチ、ゼラチンまたは直鎖状ポリビニルピロリドン、および、乾燥結合剤、例えば、結晶セルロースである。
【0058】
用いることができるさらなる佐剤は、油、例えば、植物油(例えば、オリーブ油、大豆油、ヒマワリ油)、または、動物起源の油、例えば、魚油である。通常量は、0.5ないし20%[m/m]、好ましくは0.5ないし10%[m/m]、特に好ましくは1ないし2%[m/m]である。
【0059】
懸濁剤を経口で使用できる。それらは、有効成分を担体の液体に、必要に応じて、さらなる補助剤、例えば、湿潤剤、着色料、吸収促進物質、防腐剤、抗酸化剤、光安定化剤を添加して、懸濁することにより製造する。
【0060】
適する担体の液体は、それぞれの押出物が溶解しない均一な溶媒または溶媒混合物である。言及し得る例は、生理的に耐容される溶媒、例えば、水、アルコール、例えば、エタノール、ブタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物である。
【0061】
用いることができる湿潤剤(分散剤)は、界面活性剤である。言及し得る例は以下のものである:
非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチル化ヒマシ油、ポリオキシエチル化モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセロール、ステアリン酸ポリオキシエチル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル;
両性界面活性剤、例えば、ジ−NaN−ラウリル−β−イミノジプロピオネートまたはレシチン;
陰イオン性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸Na、脂肪アルコールエーテルサルフェート、モノ/ジアルキルポリグリコールエーテルオルトリン酸エステルモノエタノールアミン塩;
陽イオン性界面活性剤、例えば、セチルトリメチル塩化アンモニウム。
【0062】
言及し得るさらなる補助剤は、例えば、以下のものである:
増粘性物質および懸濁安定化物質、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースおよび他のセルロースおよびスターチ誘導体、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマー、ポリエチレングリコール、蝋、コロイド状シリカまたは上述の物質の混合物。
【0063】
半固体製剤は、経口投与できる。それらは、それらの高い粘性でのみ、上記の懸濁液および乳剤と異なる。
【0064】
有効成分は、共同薬またはさらなる有効成分と組み合わせて用いることもできる。
【0065】
実施例
断りのない限り、百分率のデータは、完成した混合物を基準とする重量パーセントである。
I. 押出物の製造
有効成分エンロフロキサシン(50%[m/m])および補助剤 Compritol(登録商標) 888 ATO(49%[m/m])、主成分ジベヘン酸グリセロールを含む脂肪基剤(それは、モノおよびトリエステル類、および、少量のC16−C20脂肪酸とのエステルも含有する)、および、Aerosil(登録商標) 200(1%[m/m])、発熱性のコロイド状二酸化ケイ素(その使用は、粉末組成物の流動性の改善に貢献する)からなる粉末混合物を、押出の前に、実験用ミキサー中、室温で混合し(15分、40rpm)、粉末混合物を押出機の重量測定供給ユニットに移した。
【0066】
円形断面のダイおよびブラントスクリューアタッチメントを備えた、共回転する二軸スクリュー式押出機を、溶融押出のために使用する。供給速度およびスクリュー速度の設定は、再現可能な過程を確実にするために、使用するダイプレートに適合させる。各設定を表1に挙げる。
表1:押出設定データ
【表1】

【0067】
6個の異なるダイプレートを使用して、異なるバッチを製造する。それらは、ダイ直径、ダイの数およびダイの長さにおいて異なる。これに関して、1.0mm以下のダイ直径を有するダイプレートについて、押出組成物にかかる圧力が常に同じであると仮定できるように、開口面積およびダイの長さの直径に対する比が、一定に保たれるよう注意する。表2は、個々のダイプレートの各パラメーターを示す。
表2:ダイプレートのパラメーター
【表2】

【0068】
溶融押出は、常に同じ温度で行い、Compritol(登録商標) 888 ATO の融解範囲(約70℃)より低い温度で実施する。ダイプレートの温度は60℃であり、ダイプレートから粉末供給部の方向への押出機のバレルの温度は、以下の通りであった:60℃、55℃、55℃、55℃、55℃、25℃、25℃、25℃。溶融押出の後、6000rpmの遠心ミル、12歯のローターおよび1.5mmコニダー(conidur)穿孔を有する篩挿入物を用いて、押出物を粉砕した。各バッチの315−400μmの篩過画分を全ての調査に使用する。
【0069】
さらなる押出物用の製剤設計(断りのない限り、百分率のデータは重量%である):
実施例2
プラジカンテル 50%
ベヘン酸グリセリル (Compritol(登録商標) 888 ATO) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.4mm、ダイプレートの温度60℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0070】
実施例3
エモデプシド(Emodepside) 50%
ベヘン酸グリセリル (Compritol(登録商標) 888 ATO) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.5mm、ダイプレートの温度60℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0071】
実施例4
プラジカンテル 50%
トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.5mm、ダイプレートの温度50℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0072】
実施例5
エモデプシド 50%
トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.4mm、ダイプレートの温度50℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0073】
実施例6
プラジカンテル 50%
トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.33mm、ダイプレートの温度50℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0074】
実施例7
プラジカンテル 50%
トリパルミチン酸グリセロール (Dynasan 116(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.33mm、ダイプレートの温度56℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0075】
実施例8
プラジカンテル 50%
トリステアリン酸グリセロール (Dynasan 118(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.33mm、ダイプレートの温度65℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0076】
実施例9
プラジカンテル 50%
トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.4mm、ダイプレートの温度50℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0077】
実施例10
プラジカンテル 50%
トリパルミチン酸グリセロール (Dynasan 116(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.4mm、ダイプレートの温度56℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0078】
実施例11
プラジカンテル 50%
トリステアリン酸グリセロール (Dynasan 118(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.4mm、ダイプレートの温度65℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0079】
実施例12
エモデプシド 50%
トリパルミチン酸グリセロール (Dynasan 116(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.33mm、ダイプレートの温度56℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0080】
実施例13
エモデプシド 50%
トリステアリン酸グリセロール (Dynasan 118(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.33mm、ダイプレートの温度65℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0081】
実施例14
エモデプシド 50%
トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.33mm、ダイプレートの温度50℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0082】
実施例15
エモデプシド 50%
トリパルミチン酸グリセロール (Dynasan 116(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.4mm、ダイプレートの温度56℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0083】
実施例16
エモデプシド 50%
トリステアリン酸グリセロール (Dynasan 118(登録商標)) 49%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
3種の出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.4mm、ダイプレートの温度65℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0084】
実施例17
ブタホスファン 50%
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.1%
トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) 48.9%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.4mm、ダイプレートの温度50℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0085】
実施例18
プラジカンテル 50%
トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) 39%
ポリエチレングリコール 1500 10%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.33mm、ダイプレートの温度50℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0086】
実施例19
エモデプシド 50%
トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) 39%
ポリエチレングリコール 1500 10%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.33mm、ダイプレートの温度50℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0087】
実施例20
ブタホスファン 50%
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.1%
トリミリスチン酸グリセロール (Dynasan 114(登録商標)) 38.9%
ポリエチレングリコール 1500 10%
コロイド状二酸化ケイ素 (Aerosil(登録商標) 200) 1%
出発物質を混合し、押出する(ダイ直径:0.33mm、ダイプレートの温度50℃)。押出されたストランドのさらなる加工は、実施例1の通りに行うことができる。
【0088】
II. 医薬物質放出の長期的調査
医薬物質放出に関する長期的調査は、Ph. Eur. 2.9.3, Apparatus 2 に準じる放出システムを使用して実施する。中にサンプルを入れるシンカー容器(sinker vessel)も使用する。シンカー容器は、放出容器の底にあり、パドル撹拌機の下縁からの距離は、2.5cmである。全ての測定は、パドル撹拌機で、50rpmで、媒体900ml中、37℃±0.5℃で、1つのバッチにつき6個のサンプルで実施する。放出は、pH7.4(USP27 「緩衝液」に準じる)で、0.001% Polysorbate 20 を添加して実施する。
【0089】
口中のpH範囲に相当するpH7.4の媒体中での放出プロフィールに差が出る(図1:全ての調査したバッチのpH7.4での放出プロフィール[6回の測定の平均]参照)。ここで、単位時間当たりのエンロフロキサシンの放出は、押出物の当初直径が増加するにつれて増加することが明白である。2個の最大の当初直径を有する押出物の粉砕産物について、放出プロフィールに差はない。
【0090】
III. 医薬物質放出の短期的調査
技術的な理由で、長期的放出調査の方法を用いて初期放出の短期的調査を実施することは不可能である。従って、以下の方法を短期的調査に使用する:
崩壊テスターを、pH7.4(長期的調査と同様)の媒体700mlで、37℃±0.5℃で、これらの調査に使用する。サンプルを3つのシンカー容器に分配し、これらを、サンプルホルダー(Ph. Eur. 5.5, 2.9.1. Apparatus for Test B に準じる)に導入し、試験を15秒間または1分間実施する。サンプルホルダーを上げ下げする速度は、全ての試験で一定である。長期的調査と比較するために、短期的試験のスキームに従う60分間の試験も実施する。
【0091】
図2は、15秒後および1分後の短期の試験の結果を示す(平均±標準偏差、6個のサンプルから)。有効成分の放出量をこれらのバッチのストランド直径に対してプロットする。単位時間当たりの放出される有効成分は、ストランド直径が減少するにつれて減少することが非常に明白である。顕著な放出の減少は、0.5mmより小さいストランド直径について特に観察される。
【0092】
用いた2つの放出調査の比較の可能性を裏付けるために、長期的調査の結果を、短期調査のものと相関させる。短期的試験からの1分と60分の試験の値は、各場合で、長期的研究のデータと関連する。これらの値を相関させることは、非常に容易に可能である;直線的関係がある(図3参照)。図中の各点は、特定の直径に対応する。
【0093】
文献リスト
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
【表5】

【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出物が0.5mm以下のストランド直径を有することを特徴とする、1種またはそれ以上の医薬的に活性な物質を含む押出物。
【請求項2】
0.3mm以下のストランド直径を有する、請求項1に記載の押出物。
【請求項3】
補助剤として脂質基剤を含む、請求項1または請求項2に記載の押出物。
【請求項4】
脂質基剤としてC12−C24脂肪酸のグリセロールエステルを含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の押出物。
【請求項5】
脂質基剤としてジベヘン酸グリセロールを含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の押出物。
【請求項6】
脂質基剤としてトリミリスチン酸グリセロール、トリパルミチン酸グリセロールまたはトリステアリン酸グリセロールを含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の押出物。
【請求項7】
脂質基剤としてトリミリスチン酸グリセロールを含む、請求項1ないし請求項4または請求項6のいずれかに記載の押出物。
【請求項8】
融点より低い温度で押出されたものである、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の押出物。
【請求項9】
医薬を製造するための、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の押出物の使用。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の押出物および1種またはそれ以上の医薬的に許容し得る補助剤および/または添加物を含む医薬。

【公表番号】特表2010−529059(P2010−529059A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510673(P2010−510673)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004218
【国際公開番号】WO2008/148484
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(508270727)バイエル・アニマル・ヘルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】BAYER ANIMAL HEALTH GMBH
【Fターム(参考)】