説明

呼制御システム及び呼制御方法

【課題】複数のネットワークを跨ぐ呼に発着共通のサービスを適用すること。
【解決手段】呼制御システムは、IMSネットワークCaに在圏する発信端末MSから受信した呼接続要求信号に基づいて発信者サービス情報をHSS30から取得するサービス判定部41と、呼接続要求信号を他ネットワークCbに送信する接続要求部21と、その呼接続要求信号に基づいて、他ネットワークCbに在圏する着信端末MRに対応する着信者サービス情報を記憶部71から取得し、発信者サービス情報と着信者サービス情報とを比較する照合部72と、その比較結果に基づいて、発信端末MSと着信端末MRとの間の呼に適用するサービスを決定するサービス起動部42と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワークを跨ぐ呼を制御する呼制御システム及び呼制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、移動体通信網のコアネットワーク技術としてIMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークが整備されようとしている。IMSネットワークは、SIP(Session Initiation Protocol)という通信プロトコルを用い、データ通信だけでなく音声や動画のリアルタイム通信を実現するマルチメディアサービスを提供できるネットワークである。IMSネットワークは、HSS(Home Subscriber Server)と呼ばれる加入者データベース、CSCF(Call/Session Control Function)と呼ばれる呼制御装置、AS(Application Server)と呼ばれるサービス制御装置、CS−GW(Circuit Switched Gateway)と呼ばれるゲートウェイノードなどにより構成される。下記特許文献1には、IMSネットワークを備える移動通信システムが記載されている。
【0003】
IMSネットワークにおいて発信端末と着信端末との間の呼を確立する際に、両端末に共通のサービス(例えば定額通話サービス)を提供する場合には、発着双方の加入者情報を読み出してサービス分析を行う必要がある。具体的には、発側のASが、自機内に記憶している発信者情報と、HSSから読み出した着信者情報とに基づいて、確立しようとする呼に所定のサービスを適用できるか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−60181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、IMSネットワークと、HSSとは別個の加入者データベース(例えばHLR(Home Location Register))を備える他のネットワークとによりコアネットワークが構成される場合には、発側の通信制御装置(例えばAS)が着信者情報を読み出すことができない場合がある。具体的には、ネットワーク間で通信方式が異なったり、相手の加入者データベースに直接アクセス可能なインタフェースが設けられていなかったりする場合には、発側の装置が着側の加入者データベースから着信者情報を取得することができない。その結果、ネットワークを跨ぐ呼に発着共通のサービスを適用することができなくなる。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、複数のネットワークを跨ぐ呼に発着共通のサービスを適用することが可能な呼制御システム及び呼制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の呼制御システムは、ユーザが加入しているサービスを示すサービス情報を記憶する第1の加入者データベースを含む第1のネットワークと、サービス情報を記憶し、且つ該第1のネットワークからアクセスできない第2の加入者データベースを含む第2のネットワークとを備え、該第1のネットワークに在圏する発信端末と該第2のネットワークに在圏する着信端末との間の呼を制御する呼制御システムであって、第1のネットワークにおいて、発信端末から受信した呼接続要求信号に基づいて、発信端末に対応する発信者サービス情報を第1の加入者データベースから取得する第1取得手段と、第1のネットワークにおいて、呼接続要求信号を第2のネットワークに送信する送信手段と、第2のネットワークにおいて、送信手段により送信された呼接続要求信号に基づいて、着信端末に対応する着信者サービス情報を第2の加入者データベースから取得する第2取得手段と、発信者サービス情報と着信者サービス情報とを比較して、発信端末と着信端末との間の呼に適用するサービスを決定する比較決定手段と、を備える。
【0008】
また、本発明の呼制御方法は、ユーザが加入しているサービスを示すサービス情報を記憶する第1の加入者データベースを含む第1のネットワークと、サービス情報を記憶し、且つ該第1のネットワークからアクセスできない第2の加入者データベースを含む第2のネットワークとを備え、該第1のネットワークに在圏する発信端末と該第2のネットワークに在圏する着信端末との間の呼を制御する呼制御システム、により実行される呼制御方法であって、第1のネットワークにおいて、発信端末から受信した呼接続要求信号に基づいて、発信端末に対応する発信者サービス情報を第1の加入者データベースから取得する第1取得ステップと、第1のネットワークにおいて、呼接続要求信号を第2のネットワークに送信する送信ステップと、第2のネットワークにおいて、送信ステップにおいて送信された呼接続要求信号に基づいて、着信端末に対応する着信者サービス情報を第2の加入者データベースから取得する第2取得ステップと、発信者サービス情報と着信者サービス情報とを比較して、発信端末と着信端末との間の呼に適用するサービスを決定する比較決定ステップと、を含む。
【0009】
このような呼制御システム及び呼制御方法によれば、まず、第1の(発側の)ネットワークにおいて第1の加入者データベースから発信者サービス情報が読み出される。また、第2の(着側の)ネットワークにおいて、第1のネットワークから送られてきた呼接続要求信号に基づいて、第2の加入者データベースから着信者サービス情報が読み出される。そして、発着双方のサービス情報の比較により端末間の呼に適用するサービスが決定される。したがって、発側ネットワークから着側の加入者データベースにアクセスできない環境においても、複数のネットワークを跨ぐ呼に発着共通のサービスを適用することができる。
【0010】
本発明の呼制御システムでは、第1のネットワークにおいて、第1取得手段により取得された発信者サービス情報に基づいて、着信端末に対応する着信者サービス情報が必要であるか否かを判定する判定手段を更に備え、第2取得手段が、判定手段により着信者サービス情報が必要であると判定された場合に、該着信者サービス情報を第2の加入者データベースから取得し、比較決定手段が、判定手段により着信者サービス情報が必要であると判定された場合に、サービスを決定することが好ましい。
【0011】
この場合、着信者サービス情報が必要であるか否かが事前に判定されるので、着信者サービス情報が不要な場合に処理を省略することができる。
【0012】
本発明の呼制御システムでは、サービス情報が、一のサービスに加入している複数の端末により構成されるグループを識別するグループIDを0個以上含み、判定手段が、発信者サービス情報にグループIDが1個以上含まれる場合に着信者サービス情報が必要であると判定し、比較決定手段が、発信者サービス情報及び着信者サービス情報が同一のグループIDを含んでいる場合に、該グループIDに対応するサービスを適用することを決定することが好ましい。
【0013】
この場合、グループIDの個数により着信者サービス情報の要否を判断し、発着双方でグループIDが一致するか否かでサービスを決定するというように、呼に適用するサービスを簡易に決定することができる。
【0014】
本発明の呼制御システムでは、送信手段が、判定手段により着信者サービス情報が必要であると判定された場合に、発信者サービス情報を呼接続要求信号に付加して第2のネットワークに送信し、比較決定手段が、第2のネットワークにおいて、送信手段により送信された発信者サービス情報のグループIDと、第2取得手段により取得された着信者サービス情報のグループIDとを比較する比較手段と、第1のネットワークにおいて、同一のグループIDに対応するサービスを適用することを決定する決定手段と、を備えることが好ましい。
【0015】
この場合、第2のネットワークにおいて発着双方のサービス情報が比較され、第1のネットワークにおいてサービスが決定される。このように二つのネットワークに処理を分散させることで、一方のネットワークにのみ負荷が掛かることを抑制できる。
【0016】
本発明の呼制御システムでは、第1のネットワークがIMSネットワークであることが好ましい。
【0017】
この場合、IMSネットワークから呼接続要求があった場合に、発着共通のサービスを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
このような呼制御システム及び呼制御方法によれば、第1のネットワークにおいて取得された発信者サービス情報と第2のネットワークにおいて取得された着信者サービス情報とを比較してサービスを決定するので、複数のネットワークを跨ぐ呼に発着共通のサービスを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る呼制御システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すCSCFの機能構成を示す図である。
【図3】図1に示すCSCFのハードウェア構成を示す図である。
【図4】図1に示すASの機能構成を示す図である。
【図5】図1に示すHLRの機能構成を示す図である。
【図6】図1に示す呼制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】図1に示す呼制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【図8】図1に示す呼制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
まず、図1〜5を用いて、実施形態に係る呼制御システム1の機能及び構成を説明する。図1は、呼制御システム1の全体構成を示す図である。図2はCSCF20の機能構成を示す図である。図3はCSCF20のハードウェア構成を示す図である。図4はAS40の機能構成を示す図である。図5はHLR70の機能構成を示す図である。
【0022】
呼制御システム1は、発信端末MSと着信端末MRとの間の呼の制御(確立や切断など)を実行するネットワークシステムである。呼制御システム1は、発信端末MSが在圏する発側アクセスネットワークNSと、着信端末MRが在圏する着側アクセスネットワークNRと、これら二つのアクセスネットワークをつなぐコアネットワークCとを備えている。コアネットワークCは、IMSネットワーク(第1のネットワーク)Caと、他ネットワーク(第2のネットワーク)Cbという二種類の(コア)ネットワークを含んで構成されている。
【0023】
IMSネットワークCaは、CS−GW(ゲートウェイノード)10、CSCF(呼制御装置)20、HSS(第1の加入者データベース)30、AS(サービス制御装置)40、MGCF(Media Gateway Control Function)50を含んで構成されている。
【0024】
他ネットワークCbは、サービス制御や呼制御を実行するサービスノード60と、HLR(第2の加入者データベース)70とを含んで構成されている。HLR70は、サービスノード60によりアクセス可能であり、IMSネットワークCaからは直接アクセスすることができない。他ネットワークCbの構成は図1に示すものに限定されず、任意の規格に基づいて構成してよい。また、発側と着側とで通信方式が異なっていてもよいし、同じでもよい。例えば、従来から存在する第3世代ネットワークや、発側とは異なるIMSネットワークなどが他ネットワークCbとなりうる。ただし、着側コアネットワークの加入者データベースは発側コアネットワークからアクセスできないことが前提となる。
【0025】
以下では、発信端末MSと着信端末MRとが互いに異なるコアネットワークに在圏する場合を説明する。当然ながら、呼制御システム1は共通のコアネットワークに在圏する端末同士の呼を制御することも可能であるが、本実施形態ではその説明を省略する。なお、発信端末MS及び着信端末MRの種類は限定されず、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、携帯型パーソナルコンピュータ、固定電話機、据置型パーソナルコンピュータなどの任意の通信端末を用いてよい。
【0026】
まず、IMSネットワークCaを構成する各機器について説明する。
【0027】
CS−GW10は、発側アクセスネットワークNSと接続する通信制御装置である。CS−GW10は発信端末MSから受信した呼接続要求信号をCSCF20に送信する。また、CS−GW10は、CSCF20から受信した応答信号を発信端末MSに送信する。
【0028】
CSCF20は、発信端末MSと着信端末MRとの間の呼を制御する通信制御装置である。図2に示すように、CSCF20は接続要求部(送信手段)21及び応答処理部22を備えている。
【0029】
CSCF20は、図3に示すように、CPU201と、ROMやRAMで構成される主記憶部202と、ハードディスクなどで構成される補助記憶部203と、他の通信機器との間で信号の送受信を行うための通信インタフェース204と、操作キーなどで構成される入力部205と、モニタなどで構成される出力部206とを備えている。図2に示す各機能は、CPU201又は主記憶部202上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU201の制御の下で通信インタフェース204、入力部205及び出力部206を動作させるとともに、主記憶部202又は補助記憶部203に対してデータの読み出し又は書き込みを行うことで実現される。
【0030】
接続要求部21は、他ネットワークCbに対して呼接続を要求する部分である。接続要求部21は、CS−GW10から呼接続要求信号を受信すると、その信号から発信端末MSのユーザ識別子を含む発信者情報と、着信端末MRのユーザ識別子を含む着信者情報とを抽出する。続いて、接続要求部21はそれらの情報を含むサービス判定要求を生成してAS40に送信する。その後、AS40からサービス判定結果が送信されてくると、接続要求部21はその判定結果に含まれている発信者サービス情報を呼接続要求信号に付加してMGCF50に送信する。サービス判定結果については後述する。
【0031】
応答処理部22は、他ネットワークCbからの応答信号に基づいて呼確立のための最終処理を実行する部分である。応答処理部22はMGCF50から受信した応答信号をAS40に送信する。その後、応答処理部22はサービス起動処理を完了したAS40から受信した応答信号をCS−GW10に送信する。
【0032】
HSS30は、加入者情報を記憶するデータベースである。加入者情報には、通信端末やユーザを識別する情報(例えばユーザIDや電話番号など)や、ユーザが加入しているサービスを示すサービス情報などが含まれる。サービス情報は、通信端末(例えば発信端末MS)に係る呼に適用可能なサービスに関する情報であり、発着双方の加入者情報が必要なサービスについてのものも含まれる。発着双方のユーザ情報が必要なサービスとしては、家族割引サービス、指定割引サービス、リミットサービスなどが挙げられる。発信者及び着信者がこのようなサービスに共に加入している場合には、共通のグループIDが発信者及び着信者双方のサービス情報に含まれることになる。
【0033】
AS40は、発信端末MSと着信端末MRとの間に適用するサービスを決定する通信制御装置である。図4に示すように、AS40はサービス判定部(第1取得手段、判定手段)41及びサービス起動部(決定手段)42を備えている。AS40のハードウェア構成は図3に示すCSCF20と同様であり、AS40の各機能がハードウェア上でどのように実現されるかも、CSCF20について説明したことと同様である。
【0034】
サービス判定部41は、CSCF20から受信したサービス判定要求に基づいて発信端末MSに対応する発信者サービス情報をHSS30から取得し、その発信者サービス情報に基づいて、着信端末MRに対応する着信者サービス情報が必要であるか否かを判定する部分である。
【0035】
サービス判定部41は、サービス判定要求に含まれている発信者情報に対応する発信者サービス情報をHSS30から読み出す。そして、読み出した情報に一又は複数のグループIDが含まれている場合には、サービス判定部41は着信者サービス情報が必要であると判定する。続いて、サービス判定部41はサービス判定要求に含まれる着信者情報を用いてHSS30を検索し、着信端末MRがIMSネットワークCaに在圏しているか別のネットワークに在圏しているかを判定する。着信端末MRが別のネットワーク(例えば図1に示す他ネットワークCb)に在圏している場合には、サービス判定部41は発信者サービス情報(一又は複数のグループID)と着信者サービス情報取得の指示とを含むサービス判定結果をCSCF20に送信する。これに対して、着信者サービス情報が不要な場合には、サービス判定部41はCSCF20に着信者サービス情報の取得を指示する必要はない。
【0036】
サービス起動部42は、発信端末MSと着信端末MRとの間の呼に適用するサービスを起動(決定)する部分である。サービス起動部42は、CSCF20から受信した応答信号からサービス照合結果(後述)を抽出し、発着双方で共通のグループIDが存在したか否かを判断する。このとき、そのようなグループIDが存在すれば、サービス起動部42はそのIDに対応するサービスを呼に適用すると決定し、サービス起動を実行する。そして、サービス起動部42は応答信号をCSCF20に送信する。
【0037】
MGCF50は、他ネットワークCbとの間で通信を行うために必要なプロトコル変換を実行する通信制御装置である。MGCF50は、CSCF20から受信した信号(例えば呼接続要求信号)に対してプロトコル変換を実行し、変換後の信号を他ネットワークCbに送信する。また、MGCF50は、他ネットワークCbから受信した信号(例えば応答信号)に対してプロトコル変換を実行し、変換後の信号をCSCF20に送信する。
【0038】
次に、他ネットワークCbを構成する各機器について説明する。
【0039】
サービスノード60は、発信端末MSと着信端末MRとの間の呼を制御する通信制御装置である。サービスノード60のハードウェア構成は図3に示すCSCF20と同様である。サービスノード60は、IMSネットワークCa(MGCF50)から受信した呼接続要求信号に発信者サービス情報が付加されていることを検出すると、発着双方のユーザ情報が必要であると認識する。そして、サービスノード60は、その発信者サービス情報(グループID)と、呼接続要求信号から抽出した着信者情報とを含むサービス判定要求を生成してHLR70に送信する。その後、HLR70からサービス照合結果(後述)を受信すると、サービスノード60は着信端末MRとの間で呼確立処理を実行すると共に、サービス照合結果を含む応答信号をIMSネットワークCa(MGCF50)に送信する。
【0040】
HLR70は、加入者情報を記憶し、後述するサービス判定処理を実行する通信制御装置である。図5に示すように、HLR70は、加入者情報を記憶する記憶部71と、グループIDの照合を行う照合部(第2取得手段、比較手段)72とを備えている。HLR70のハードウェア構成は図3に示すCSCF20と同様であり、HLR70の各機能がハードウェア上でどのように実現されるかも、CSCF20について説明したことと同様である。
【0041】
照合部72は、サービスノード60からサービス判定要求を受信すると、その要求に含まれている着信者情報を用いて記憶部71から着信者サービス情報を読み出す。続いて、照合部72は読み出した着信者サービス情報(一又は複数のグループID)と、受信した発信者サービス情報(一又は複数のグループID)とを比較し、一致するグループIDが存在するか否かを判定する。続いて、照合部72は、グループID毎の照合結果(一致又は不一致)をサービス照合結果としてサービスノード60に送信する。
【0042】
次に、図6〜8を用いて、図1に示す呼制御システム1の動作を説明するとともに本実施形態に係る呼制御方法について説明する。図6〜8は、呼制御システム1の動作を示すシーケンス図である。以下では、通話時間が所定時間Tを越えると呼を切断する機能(以下では「通話時間制限サービス」という)を適用する場合の例を示す。
【0043】
まず、図6を用いて説明する。発信端末MSのユーザが着信端末MRのユーザに電話を掛けると、発信端末MSから送信された呼接続要求信号がCS−GW10を経由してCSCF20に伝送される(ステップS11)。CSCF20では、接続要求部21が呼接続要求信号から発信者情報及び着信者情報を抽出し、それらの情報を含むサービス判定要求をAS40に送信する(ステップS12)。
【0044】
AS40では、サービス判定部41がサービス判定要求に含まれる発信者情報を用いてHSS30から発信者サービス情報(グループID)を読み出し(ステップS13、第1取得ステップ)、着信者サービス情報の要否を判定する(ステップS14)。ここでは、通話時間制限サービスのグループIDが読み出され、着信者サービス情報が必要であると判定される。続いて、サービス判定部41は着信端末MRに関する情報をHSS30から読み出し、着信端末MRの所在を判断する(ステップS15)。このとき、着信端末MRが他ネットワークCbに在圏していれば、サービス判定部41は発信者サービス情報(グループID)と着信者サービス情報取得の指示とを含むサービス判定結果をCSCF20に送信する(ステップS16)。
【0045】
CSCF20では、接続要求部21が発信者サービス情報(グループID)を呼接続要求信号に付加してMGCF50に送信する(ステップS17、送信ステップ)。MGCF50はこの信号に対してプロトコル変換をした上で、他ネットワークCb側のサービスノード60に送信する(ステップS17)。
【0046】
次に、図7を用いて他ネットワークCb側での処理を説明する。サービスノード60は、発信者サービス情報(グループID)と着信者情報とを含むサービス判定要求をHLR70に送信する(ステップS18)。
【0047】
HLR70では、照合部72が着信者情報を用いて着信者サービス情報(グループID)を読み出し(ステップS19、第2取得ステップ)、発着双方のグループIDを比較する(ステップS20、比較決定ステップ)。続いて、照合部72はその比較に基づいて生成したサービス照合結果をサービスノード60に送信する(ステップS21)。このときのサービス照合結果は、通話時間制限サービスに関するグループIDが発着双方で一致したことを示す情報を含んでいる。
【0048】
サービスノード60は、着信端末MRとの間で呼確立処理を行い(ステップS22)、サービス照合結果を含む応答信号をIMSネットワークCa側のMGCF50に送信する(ステップS23)。MGCF50はこの信号に対してプロトコル変換をした上で、CSCF20に送信する(ステップS23)。
【0049】
次に、図8を用いてIMSネットワークCa側での処理を説明する。CSCF20では、応答処理部22が応答信号をAS40に送信する(ステップS24)。続いて、AS40において、サービス起動部42が応答信号から抽出したサービス照合結果に基づいて、通話時間制限サービスを適用すると決定し、そのサービスを起動する(ステップS25、比較決定ステップ)。続いて、サービス起動部42は応答信号をCSCF20に送信する(ステップS26)。応答信号がCS−GW10を経由して発信端末MSまで伝送されると(ステップS26)、発信端末MSと着信端末MRとの間で呼が確立され、発信者と着信者との間での通話が可能になる(ステップS27)。その後、通話時間が所定時間Tを過ぎると、所定の音声ガイダンスが双方の端末に送出され、呼が切断される(ステップS28)。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、まず、IMSネットワークCaにおいてHSS30から発信者サービス情報が読み出される。また、他ネットワークCbおいて、IMSネットワークCaから送られてきた呼接続要求信号に基づいて、HLR70から着信者サービス情報が読み出される。そして、発着双方のサービス情報の比較により端末間の呼に適用するサービスが決定される。したがって、IMSネットワークCaから着側のHLR70にアクセスできない環境においても、複数のネットワークを跨ぐ呼に発着共通のサービスを適用することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、他ネットワークCbにおいて発着双方のサービス情報が比較され、IMSネットワークCaにおいてサービスが決定される。このように二つのネットワークに処理を分散させることで、一方のネットワークにのみ負荷が掛かることを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、グループIDの個数により着信者サービス情報の要否を判断し、発着双方でグループIDが一致するか否かでサービスを決定するというように、呼に適用するサービスを簡易に決定することができる。
【0053】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0054】
上記実施形態では、他ネットワークCb内にあるHLR70の照合部72がサービス情報(グループID)を比較し、IMSネットワークCa内にあるAS40のサービス起動部がサービスを決定したが、サービス情報の比較及びサービスの決定をどちらのコアネットワークで実行するかは限定されない。例えば、着側コアネットワークで(例えばHLRにおいて)それら二つの処理を実行し、適用するサービスに関する情報を発側コアネットワーク(例えばAS)に送信することでサービスを起動してもよい。また、着側コアネットワークから発側ネットワークに着信者サービス情報を送信し、発側コアネットワークにおいて比較及び決定の処理を実行してもよい。
【0055】
上記実施形態では照合部72がグループIDを用いて比較処理を実行したが、発着双方のサービス情報を比較するために用いるデータは限定されない。
【符号の説明】
【0056】
1…呼制御システム、10…CS−CW、20…CSCF、21…接続要求部(送信手段)、22…応答処理部、30…HSS(第1の加入者データベース)、40…AS、41…サービス判定部(第1取得手段、判定手段)、42…サービス起動部(決定手段)、50…MGCF、60…サービスノード、70…HLR(第2の加入者データベース)、71…記憶部(第2の加入者データベース)、72…照合部(第2取得手段、比較手段)、C…コアネットワーク、Ca…IMSネットワーク(第1のネットワーク)、Cb…他ネットワーク(第2のネットワーク)、MR…着信端末、MS…発信端末、NR…着側アクセスネットワーク、NS…発側アクセスネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが加入しているサービスを示すサービス情報を記憶する第1の加入者データベースを含む第1のネットワークと、前記サービス情報を記憶し、且つ該第1のネットワークからアクセスできない第2の加入者データベースを含む第2のネットワークとを備え、該第1のネットワークに在圏する発信端末と該第2のネットワークに在圏する着信端末との間の呼を制御する呼制御システムであって、
前記第1のネットワークにおいて、前記発信端末から受信した呼接続要求信号に基づいて、前記発信端末に対応する発信者サービス情報を前記第1の加入者データベースから取得する第1取得手段と、
前記第1のネットワークにおいて、前記呼接続要求信号を前記第2のネットワークに送信する送信手段と、
前記第2のネットワークにおいて、前記送信手段により送信された呼接続要求信号に基づいて、前記着信端末に対応する着信者サービス情報を前記第2の加入者データベースから取得する第2取得手段と、
前記発信者サービス情報と前記着信者サービス情報とを比較して、前記発信端末と前記着信端末との間の呼に適用するサービスを決定する比較決定手段と、
を備える呼制御システム。
【請求項2】
前記第1のネットワークにおいて、前記第1取得手段により取得された発信者サービス情報に基づいて、前記着信端末に対応する着信者サービス情報が必要であるか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記第2取得手段が、前記判定手段により前記着信者サービス情報が必要であると判定された場合に、該着信者サービス情報を前記第2の加入者データベースから取得し、
前記比較決定手段が、前記判定手段により前記着信者サービス情報が必要であると判定された場合に、前記サービスを決定する、
請求項1に記載の呼制御システム。
【請求項3】
前記サービス情報が、一のサービスに加入している複数の端末により構成されるグループを識別するグループIDを0個以上含み、
前記判定手段が、前記発信者サービス情報に前記グループIDが1個以上含まれる場合に前記着信者サービス情報が必要であると判定し、
前記比較決定手段が、前記発信者サービス情報及び前記着信者サービス情報が同一のグループIDを含んでいる場合に、該グループIDに対応するサービスを適用することを決定する、
請求項2に記載の呼制御システム。
【請求項4】
前記送信手段が、前記判定手段により前記着信者サービス情報が必要であると判定された場合に、前記発信者サービス情報を前記呼接続要求信号に付加して前記第2のネットワークに送信し、
前記比較決定手段が、
前記第2のネットワークにおいて、前記送信手段により送信された発信者サービス情報のグループIDと、前記第2取得手段により取得された着信者サービス情報のグループIDとを比較する比較手段と、
前記第1のネットワークにおいて、前記同一のグループIDに対応するサービスを適用することを決定する決定手段と、
を備える、
請求項3に記載の呼制御システム。
【請求項5】
前記第1のネットワークがIMSネットワークであることを特徴とする、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の呼制御システム。
【請求項6】
ユーザが加入しているサービスを示すサービス情報を記憶する第1の加入者データベースを含む第1のネットワークと、前記サービス情報を記憶し、且つ該第1のネットワークからアクセスできない第2の加入者データベースを含む第2のネットワークとを備え、該第1のネットワークに在圏する発信端末と該第2のネットワークに在圏する着信端末との間の呼を制御する呼制御システム、により実行される呼制御方法であって、
前記第1のネットワークにおいて、前記発信端末から受信した呼接続要求信号に基づいて、前記発信端末に対応する発信者サービス情報を前記第1の加入者データベースから取得する第1取得ステップと、
前記第1のネットワークにおいて、前記呼接続要求信号を前記第2のネットワークに送信する送信ステップと、
前記第2のネットワークにおいて、前記送信ステップにおいて送信された呼接続要求信号に基づいて、前記着信端末に対応する着信者サービス情報を前記第2の加入者データベースから取得する第2取得ステップと、
前記発信者サービス情報と前記着信者サービス情報とを比較して、前記発信端末と前記着信端末との間の呼に適用するサービスを決定する比較決定ステップと、
を含む呼制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−171515(P2010−171515A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9968(P2009−9968)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】