説明

呼吸用保護具のための装着帯

ユーザーの頭部に接顔部アセンブリを緊締するための装着帯は、装着帯下部及び上部を含む。装着帯下部は、接顔部アセンブリの下部に連結可能な複数の連結部材を有する。装着帯上部は、装着帯下部から分離可能である。装着帯上部は、接顔部アセンブリの先端部に連結可能な複数の連結部材を有する前部と、装着帯下部への取り外し可能な緊締に適する後部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
着用者に呼吸可能な空気を供給するための呼吸用保護具(レスピレータとも呼ばれる)は、様々な異なる用途で用いられる。
【背景技術】
【0002】
レスピレータは、空気源が汚染されている可能性のある火災中、軍事活動、及び有害な工業的用途で用いることができる。レスピレータの主な目的は、呼吸のために着用者の鼻及び口に清浄な空気源を提供することである一方、レスピレータはまた、保護メガネ、保護面(フェイスシールド)、フード、又は全身保護服さえ含む場合があり、着用者をさらに保護する。保護面の構成では、レスピレータは、ユーザーの顔の前方部(典型的には、顎の下から、各耳の前を顔に沿って、額を横切る)に係合する接顔部アセンブリを含み、着用者の顔の口、鼻、及び眼の周囲に液密封止を形成する。
【特許文献1】特願平11−278,265号
【特許文献2】特願平11−278,277号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この型の保護面は、種々の連結点で保護面に連結し、ユーザーの後頭部の周囲に延在する装着帯を用いてユーザーの頭部に保持される。かかる装着帯は、典型的には、保護面が着用者の頭部に対して緊密に引っ張られ、有効に封止できるように、複数の調節可能なストラップを含む。各ストラップは、調節可能であることが多く、保護面に分離可能に連結することができる。調節のためのストラップの手動操作は、一旦保護面が着用者の頭部に実装されると困難である場合が多い。さらに、1回を超える回数、同一の保護面を着用する可能性のある着用者は、確実に保護面を適切且つ正確に適合させる(即ち、比較的着け心地がよく、液密封止されている)ために、毎回ストラップを調節しなければならない。ストラップ及び装着帯は、調節中、着用者の毛髪に絡まる場合があり、これは不快感をもたらす可能性がある。さらに、幾つかの環境では、着用者はまた、ヘルメット又は安全帽も着用しなければならず、保護面及び/又はその装着帯はかかる追加のヘッドギアの着用を妨げる部品を有する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ユーザーの頭部に接顔部アセンブリを緊締するための装着帯は、装着帯下部と装着帯上部を含む。装着帯下部は、接顔部アセンブリの下部に連結可能な複数の連結部材を有する。装着帯上部は、装着帯下部から分離可能であり、前部及び後部を含む。前部は、接顔部アセンブリの先端部に連結可能な複数の連結部材を有し、後部は、装着帯下部への取り外し可能な緊締に適している。
【0005】
この概要は、本明細書に提示された概念の各開示された実施形態又は全ての実施を開示することを意図するものではない。以下の図面及び詳細な説明は、より具体的に実例となる実施形態を例示する。
【0006】
用語解説
以下に記載する用語は、以下に定義するような意味を有する。
【0007】
「接顔部アセンブリ」とは、ユーザーの顔に係合し、レスピレータとユーザーの間を液密封止する保護面レスピレータの一部を意味し、ユーザーに係合する封止部材並びに封止部材のための支持構造体を含んでよい。
【0008】
「頭部装着帯アセンブリ」とは、少なくとも2つの分離可能な装着帯部分を含み、各装着帯部分がその上に連結部材を有する、ユーザーの頭部に接顔部アセンブリを緊締するための装着帯を意味する。
【0009】
「連結部材」とは、接顔部アセンブリに装着帯部分を連結するのに用いるための、装着帯部分から延在する部品を意味する。
【0010】
「締結点」とは、ある装着帯上部が別の装着帯下部に解放可能に緊締される各位置を意味する。
【0011】
「締結要素」とは、2つの装着帯部分をともに緊締するために使用される構造体又は特徴を意味する。
【0012】
「締結支持部材」とは、2つの装着帯部分をともに緊締するために使用される1以上の締結要素を支える部品を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、独自の形態の装着帯としての機能を果たす頭部装着帯アセンブリ及びユーザーの頭部に接顔部アセンブリを緊締するための動作を含む。図1では、頭部装着帯アセンブリが単独で示され、関連接顔部アセンブリに連結しておらず、背後から見て概して平坦に置かれている。
【0014】
図1の装着帯20は、装着帯下部22及び上部24を含む。装着帯下部22及び上部24は、関連接顔部アセンブリの先端部に対して装着帯下部22の相対位置を調節するために、ともに選択的に緊締可能である。装着帯下部22及び上部24は、様々な寸法のユーザー頭部に適合する代替構成でともに緊締可能である。
【0015】
装着帯下部22は、中心本体部分又はその上端部27を有する裏部26を有する。装着帯下部22はまた、裏部26から延在し、装着帯下部22を関連接顔部アセンブリに連結するのに使用する複数の連結部材も有する。図示した実施形態では、4つの連結部材28、30、32及び34が示されている。連結部材28、30、32及び34は、裏部26を二分する垂直中心線(装着帯下部22の中心線36により示されているように(図2を参照のこと))に沿って、裏部26に対して対称に示されている。4つの連結部材が図示されているが、接顔部アセンブリをユーザーの頭部に実装するために、連結部材が関連接顔部アセンブリに連結可能である限り、任意の好適な数で十分である。一実施形態では(図1に図示したように)、各連結部材は、関連連結具28a、30a、32a及び34aを有し、それらは、連結具が装着帯下部22の裏部26から離間される程度の調節を可能にする。例えば、各連結部材28、30、32及び34の自由端部は、それに係合するための対応する連結具28a、30a、32a及び34aの各々のループ又はスロットを通して挿入することができる。対応する連結具のスロットを通じて挿入された連結部材の量により、連結具が装着帯下部22の裏部26から延在する距離が決定される。その距離は、対応する連結具のスロット又はループを通じて連結部材をさらに引っ張ることにより短くすることができる。
【0016】
一実施形態では、装着帯下部22の裏部26は、その上に複数の締結要素を有する。図2に図示した実施形態では、これらの締結要素は、離間する開口部38及び40の対37として示されている。一実施形態では、開口部38及び40は、中心線36の各側に対称に配置される。
【0017】
図3は、装着帯20の装着帯上部24を図示する。装着帯上部24は、前部42及び後部44を有する。前部42は、それから外側に延在する複数の連結部材を含み、保護面の接顔部アセンブリへの連結に適している。図3に示した実施形態では、装着帯上部24は、装着帯上部24を二分する垂直中心線50に対して対称に配置される2つの連結部材(連結部材46及び48)を有する。
【0018】
装着帯下部22の連結部材とは異なり、装着帯上部24の連結部材は長さを独立に調節できない。しかしながら、その自由端部で、装着帯上部24の各連結部材46及び48は、それを関連接顔部アセンブリの先端部に連結する手段を有する。図3に図示した実施形態では、開口部52及び54は、この目的のためにそれぞれ連結部材46及び48上に設けられる。開口部52及び54は、同様に中心線50の各側に対称に配置される。図示した実施形態では、2つの連結部材46及び48が示されているが、中心線50に対して対称に配置される限り、代替番号の連結部材(単独又は他の連結部材と組み合わせて、中心線50に沿って延在する中心連結部材さえ含む)を設けてよい。
【0019】
装着帯上部24の後部44は、一実施形態では、その上に複数の締結要素を含む。図示したように、締結要素は、離間する開口部56a及び58aを含んでよい。一実施形態では、開口部56a及び58aは、開口部の第一対60として、中心線50に対して対称に配置される。後部44は、離間する開口部56b及び58bの第二対62を含んでよく、これは同様に中心線50に対して対称に配置されるが、中心線50に沿って第一対から離間する。後部44は、離間する開口部56c及び58cの第三対64をさらに含んでよく、これは同様に配置され、同様にその上の開口部の第二対62から離間する。図示した実施形態では、後部44上に3対の開口部が示されているが、装着帯上部24上に開口部の2対のみ又はさらなる対がまた企図されてもよい。
【0020】
一実施形態では、装着帯上部及び下部(及びそれらの各連結部材)は、可撓性だが非常に強固な材料で作製される。かかる材料の例は、射出成形された液体シリコーンのような高ジュロ硬度シリコーン材料である。好適であると思われる他の材料としては、例えば、熱可塑性エラストマー、薄型可撓性プラスチック、織布又は不織布繊維製品、及び他の種類のゴムが挙げられる。材料は可撓性であるが、それは本来弾性であることを意図するものではない。
【0021】
装着帯上部22及び下部24は、互いに取り外し可能に緊締され、装着帯20を画定するように設計されている。この目的のために、各装着帯部分は、図1〜3に図示した実施形態では、一対の開口部を設けている。各対の開口部(例えば、装着帯下部22上の開口部38及び40、装着帯上部24上の開口部56a及び58a)は等間隔で離間し、互いの上に置いた場合嵌合するように整列する。
【0022】
図4は、装着帯下部22及び上部24上の締結要素と協働するように設計された、その上に締結要素を有する締結支持部材66を図示する。締結支持部材66は、突出部70及び72として、そこから締結要素が突出している基部68を有する。その自由端部において、各突出部70及び72はそれぞれ拡大頭部74及び76を有する。突出部70及び72は比較的に短く(例えば、高さ0.27m(0.50インチ)未満)、ロープロファイル連結配置を提供する。締結支持部材66は、一実施形態では、装着帯下部22及び上部24に比べて比較的剛性である。一実施形態では、締結支持部材は、剛性プラスチック材料から形成される。好適であると思われる他の材料としては、例えば、高ジュロ硬度ゴム材料(かなり強固な材料)及び金属材料が挙げられる。基部68の縁部は、ユーザーの頭部に接触しているため、丸みをおびており、基部68の底側部78は滑らかである。一実施形態では、底側部78は、1次元以上の湾曲部を有し、ユーザーの頭部に心地よく係合する表面を画定する。
【0023】
図1及び5は、装着帯下部22、装着帯上部24、及び締結支持部材66のアセンブリの一例を図示する。図1では、締結支持部材66の可視部分は、突出部70及び72のそれぞれの拡大頭部74及び76のみである。図1では、締結支持部材66の基部68は、装着帯上部24及び下部22の下にあり、透視で示されている。
【0024】
装着帯下部22、装着帯上部24及び締結支持部材66を組み立てるために、装着帯下部の開口部38及び40の対37は、装着帯上部24の開口部対60、62又は64のうち一つと整列する。締結支持部材上の突出部70及び72は、対になった開口部と同一間隔で離間し、従って図5に図示したように装着帯下部22及び上部24上の整列した開口部対を通して突出できる。拡大頭部74及び76は、開口部に押し込まれ得るが、寸法は開口部より大きく、一旦組み立てられると、部品の機械的連結を画定する。図5では、突出部70及び72は整列し、整列した装着帯下部22の開口部38及び40の対37と装着帯上部24の開口部56b及び58bの第二対62を通して挿入される。従って、図5の図のように組み立てた場合、装着帯上部及び下部はともに緊締され、図1の装着帯20を画定する。対になった開口部と突出部を用いて、装着帯上部及び下部の間の位置関係は、装着帯上部上に設けられた開口部対の数及びそれらの対間の距離に応じて、別々に変動し得る。多くても、位置調節範囲は、図3中に範囲Rによって図示したような、最も外側の開口部の対間で利用可能であり、範囲R及びRによって図示されるような、別個の増分間隔を有する。
【0025】
装着帯上部及び下部を連結するための代替手段は、例えば、図6及び7に図示されており、これらは図1の線5−5についての断面図に対応する。例えば、図6では、装着帯下部122(他の全てに関して装着帯下部22に対応する)は、その上に突出部170及び172を含み(開口部38及び40の代わりに)、各突出部はそれぞれ拡大頭部174及び176を含む。突出部170及び172は、開口部56b及び58bの第二対62のような、装着帯上部24上の開口部対と整列するように配置される。拡大頭部174及び176は、開口部56b及び58bより大きく、よって一旦開口部56b及び58bを通して挿入されると、頭部は装着帯上部24の装着帯下部22との係合を保持するよう機能する。この実施形態では、二部機械的締結具が装着帯上部及び下部自体の上に設けられているため、分離した締結支持部材は必要ない。
【0026】
装着帯上部及び下部自体の上に保有される二部機械的締結具の他の形態もまた企図される。例えば、一般にフック・ループ式締結具と呼ばれる、対向する配列の二部機械的締結具を用いて、装着帯上部及び下部をともに結合してよい。図7では、装着帯下部222は、装着帯上部224に固定されている。装着帯下部222は、その上に頭部付き軸部又はフックの配列を有する一方、対向する接面上には、装着帯上部224が、頭部付き軸部又はフックにより機械的に係合可能な「ループ」材料の配列又は領域を有する。この実施形態では、装着帯上部及び下部上に対になった開口部及び突出部は必要なく、装着帯上部及び下部の間の位置関係は、その中心線に沿った又は隣接する装着帯部分を横切る長手方向の長さに対して、対向するフック及びループ状材料の長さに沿って連続的に変動してよい。
【0027】
装着帯下部22及び上部24を連結するために用いられる締結要素の形態にかかわらず、連結配置は、それぞれの中心線36及び50が同一直線上にある関係に整列するように、2つを連結する。さらに、連結配置は、この同一直線上にある中心線整列関係の他方に対する装着帯部分の一方の移動を抑制する。例えば、図1及び5に図示した実施形態では、装着帯部分の2つの突出部及び関連する開口部を準備することにより、装着帯部分の一方が、それぞれの中心線を基準にして他方に対して(例えば左右に)旋回するのを防止する。
【0028】
図8及び9は、関連接顔部アセンブリ80に実装された本発明の装着帯20を図示し、装着帯20及び接顔部アセンブリ80はユーザーの頭部82に実装されている。接顔部アセンブリ80は、垂直中心線83を有し、典型的には中心線83に対して対称に形成される。接顔部アセンブリ80は、着用者の頭部82の部分に係合し、液密封止を形成するように成形された柔軟な封止縁部84を含む。接顔部アセンブリ80はまた、それを支持し且つその形状を画定し、液密封止を効果的にする際に支援し及び/又は装着帯20に連結するための、柔軟な封止縁部84に隣接する支持構造体又は骨組みも含んでよい。連結された場合、接顔部アセンブリ80の中心線83は、装着帯部分22及び24の中心線36及び50と同一平面上に整列してよい。接顔部アセンブリ80は、のぞきレンズ86及び関連レスピレータ部品及び構造体88(これは、例えば、1以上の濾過要素、呼吸口、供給された空気、電力又は通信機器等のための導管接続部等を含んでよい)を含む。接顔部アセンブリ80はまた、一般に図9に図示されたような、内部鼻及び口封止アセンブリ90を含んでよい。
【0029】
装着帯下部22及び上部24を接顔部アセンブリ80に固定するための手段の1つを、図8に図示する。図示した実施形態では、封止縁部84は、複数の後方に突出するタブを有し、各タブはその上に、外側に突出する延伸部又はボタンを有する。実例となるタブ92a及び92bは、接顔部アセンブリ80の先端部に隣接して(一般にユーザーの額に隣接し且つ上方に)示されている一方、実例となるタブ92cは封止縁部84の下部に隣接して図示されている。各タブ部92a、92b及び92cは、それぞれその上に延伸部94a、94b及び94cを有する。一実施形態では、タブは、接顔部アセンブリ80の中心線83に対して対称に配置される。
【0030】
装着帯上部24の連結部材46及び48上の開口部52及び54は、タブ92a及び92b上の突出部94a及び94bにそれぞれ選択的に受容し、それらに連結し、それにより装着帯上部24を接顔部アセンブリ80の先端部に取り外し可能に固定するように成形される。図示したように、この連結にはバックル又は他の締結部品は必要ない。突出部94a及び94bは、比較的短く(例えば、高さ0.50インチ(12.7mm)未満)、従って連結部材46及び48は、比較的にロープロファイルを有する連結点で接顔部アセンブリ80に固定される。これにより、本発明の頭部装着帯アセンブリを、過度に邪魔することなく安全帽又は他のヘッドギアとともに使用することが容易になる。この単純な連結手段はまた、ユーザーの毛髪に絡まる可能性を最小限に抑える。
【0031】
装着帯下部22の連結部材は、接顔部アセンブリ80のそれぞれのタブ上の突出部と選択的に係合するよう形成された連結具を有する。例えば、図8に見られるように、連結具28aは、タブ92c上の突出部94cを受容し、それと係合するような形状の開口部28bを有する。一実施形態では、具体的には図示されていないが、装着帯下部22の他の連結部材30、32及び34の連結具30a、32a及び34aもまた、同様に接顔部アセンブリ80のそれぞれのタブ上の突出部と選択的に係合し、各連結部材を接顔部アセンブリ80に緊締する開口部を有する。装着帯下部22の各連結部材は、上記のように、長さが調節可能である。一旦連結部材の連結具がその対応するタブに実装されると、連結部材の自由端部を操作して(例えば、引っ張って)連結部材を締め、それにより、連結部材が締められているため、装着帯下部22の裏部26とタブの間の距離を短くすることができる。この方法では、ユーザーは頭部装着帯アセンブリをしっかりと締めて、ユーザーの頭部に対して柔軟な封止縁部84を付勢する(urging)ことにより液密封止を効果的にすることができる。
【0032】
図8に図示した実施形態では、装着帯下部22上の開口部対37(図示せず)は整列し、装着帯上部24上の第二開口部対62と結合し、締結支持部材の突出部の拡大頭部74及び76はこれらの開口部を通して挿入されたように見える。装着帯下部22及び上部24は、従って、互いに対して固定された空間的関係で結合し、その対応する連結部材を介して接顔部アセンブリ80と結合するための初期装着帯寸法を画定する。その初期装着帯寸法は、ユーザーによって、自身の頭部に合わせて選択することができ、装着帯下部22の連結部材の長さを調節することにより頭部装着帯アセンブリの使用及び着用中に調節するだけで、再び変更することはない。しかしながら、ユーザーが初期装着帯寸法が小さすぎる又は大きすぎると判断した場合、装着帯上部24上の異なる開口部対を用いて(例えば、装着帯上部24上の第一開口部対60又は第三開口部対64を用いることにより)装着帯下部22及び上部24を再連結することにより調節することができる。或いは、第二装着帯上部を、図示した装着帯上部24と置換してもよく、ここで第二装着帯部分は異なる間隔で離間する開口部対を有し、それによりユーザーが、頭部装着帯アセンブリに選択した初期装着帯寸法を変更することが可能になる。
【0033】
図10及び11は、頭部装着帯アセンブリのための代替初期装着帯位置を図示する。図10は、装着帯下部22に連結するための、装着帯上部24上の第二開口部対62を用いることにより画定された初期装着帯位置における、図8の頭部装着帯アセンブリを示す。この配置では、装着帯上部24の裏部26の上端部27は、接顔部アセンブリ80の先端部(この例示的な実施形態ではその上の突出部94aにより画定される)から距離Dだけ離間している。図10では、この距離は、上端部27と突出部94aの間に延在する距離Dとして図示されている。図11は、上記のように、装着帯上部24の第一対60を用いた代替初期装着帯位置を図示する。この代替位置では、装着帯は代替装着帯寸法であると仮定し、装着帯下部22の裏部26は、接顔部アセンブリ80の先端部により近接し(例えば、より小さい頭部寸法の場合)、装着帯下部22の裏部26の上縁部27と接顔部アセンブリ80の先端部との間の距離がより短い。図示したように、この距離は上縁部27と突出部94aの間の距離Dとして示される。距離Dは距離Dより長い。装着帯下部22及び上部24が、装着帯上部24の第三開口部対64を用いて連結される場合、第三距離Dは、上縁部27と接顔部アセンブリ80の先端部の間に画定される。距離Dは距離Dより長い。
【0034】
図12は、本発明の装着帯20と関連接顔部アセンブリ80の組立分解等角図である。上述のように、柔軟な縁部84は、接顔部アセンブリの形状の画定を補助するだけでなく、のぞきレンズ86及び呼吸構造体88を柔軟な封止縁部84に緊締するために用いられるフレームアセンブリ96のような支持構造体を含んでよい。図12に図示されたように、呼吸構造体88は、かかる呼吸部品を支持するシャーシ98上に実装可能な1以上のフィルターカートリッジ97及びレンズ86を含んでよい。シャーシ98及びレンズ86の特徴は、本出願の譲受人が所有し、本明細書に参照することにより組み込まれる、同時係属中の出願番号11/278,265号及び11/278,277号に開示されている。
【0035】
図12はまた、装着帯下部22、装着帯上部24及び締結支持部材66の間の連結関係を図示する。上述のように、締結支持部材66の底側部78は、ユーザーの頭部の背後に接触する。この接触領域は、ユーザーの頭頂部に隣接する。
【0036】
締結支持部材66の代替実施形態は、ドーム形締結支持部材366として図13に図示されている。この実施形態では、締結支持部材366は拡大され、ユーザーの頭頂部の湾曲にぴったり密着するよう調節可能に形成される。締結支持部材366は、基部368を含み、一実施形態では、剛性プラスチック材料から形成される。好適である可能性のある他の材料としては、例えば、高ジュロ硬度ゴム材料(かなり強固な材料)及び金属材料が挙げられる。基部368は、それから延在する一対の突出部370及び372を有し、それらは装着帯下部22及び上部24上の開口部対と協働的に係合するために整列し、離間する。突出部は、締結支持部材366の中心線373の各側に対称に配置される。各突出部370及び372は、締結支持部材366と装着帯下部22及び上部24の開口部間の係合を積極的(affirmative)にするために、その外端部に拡大頭部374及び376を有する。
【0037】
締結支持部材366は、様々なユーザーの様々な頭頂部の湾曲に係合及ぴったり密着するための受け台を形成する。締結支持部材366の基部368は、中心部380(突出部370及び372を有する)とともに形成され、それは一般に締結支持部材66の基部68の目的とする役割を果たす。基部368は、中心部380から突出する延伸下部382を有する。延伸下部382は、それを通して、対向する対称に整列した一対の削除部分384及び386を有してよい。中心部380及び延伸下部382は、ユーザーの頭頂部の背後に係合するよう形成され、装着帯下部22及び上部24と組み立てられた場合、図14及び15に見られるように、装着帯上部24の裏部26により被覆される。
【0038】
基部368は、(延伸下部382の下端に)側方下縁部388を有する。第一合致パネル390は、側方下縁部388に取り付けられ、それから上方に延在する端部を有する。第一パネルは、延伸下部382及び中心部380から離間し、それによりそれらの間に第一削除部分392を画定するような形状である。第二合致パネル394は、第一パネル390から離間し、また端部で側方下縁部388に取り付けられる。第二パネル394は、第一パネル390から離間し、それらの間に第二削除部分396を画定するような形状である。各パネル390及び394は、従って、側方下縁部388から上方に延在し、基部368の中心部380の先端部の上で曲がるが、削除部分392及び396によりそれから及び互いに持続的に離間する。各削除部分384、386、392及び396を横切る基部368の対向する縁部は、湾曲してユーザーの頭頂部の形状に合致し、様々なユーザーの様々な形状に適合できるように形成される。第一及び第二パネル390及び394は、基部368の中心部380に対して並びに互いに対して可動であり、受け台により画定されるドーム形を変化させ、必要に応じてユーザーの頭部の形状に合致する。図13に図示したように、突出部370及び372、削除部分384及び386、並びにパネル390及び394は、締結支持部材366に沿って延在する中心線373に対して対称に配置される。装着帯下部22及び上部24に連結する際、図14及び15に図示したように、締結支持部材366の中心線377は、装着帯下部22の中心線36(図2)及び装着帯上部24の中心線50(図3)と同一直線上にある。図示した実施形態は、関連削除部分とともに2つの可動パネル390及び394を含むが、ユーザーの頭部の形状への基部368の所望の容易な(reading)なじみやすさを達成するのに、任意の数のパネルで十分であり得る。所望のなじみやすさが得られる限り、基部のための他の幾何形状も企図される。
【0039】
一実施形態では、突出下部398が基部368上に設けられる。突出下部398は、拡大頭部400を有する。この突出部は、装着帯下部22の本体26(図2を参照)上の開口部402内に受容されるよう形成され、さらにその部品をともに係合させる。
【0040】
図14及び15に図示したように、装着帯下部22とユーザーの頭部の間に位置する、頭部受け台の締結支持部材366の形成は、ユーザーの頭頂部の形状に心地よく適合するよう機能する基部の湾曲を有する受け台を提供する。この特徴はさらに、締結支持部材366のドーム形のなじみやすさ、ユーザーの頭部上の表面摩擦の減少、及びユーザーの頭部上の負荷の分布を通して、本発明の装着系を適切にユーザー上に位置決めすることを容易にするのに役立つ。頭部受け台は、ユーザーの頭頂部に嵌まり、その着用中に装着帯の適切な位置に関して、触覚及び視覚的基準を提供する。そのなじみやすさのために、頭部受け台の基部を画定するために用いられる幾何形状及び基部の可撓性によりドームの湾曲が変化することが可能であるので、1つの頭部受け台は多くの様々な頭部形状及び寸法に適応する。基部は、摩擦係数の低い材料で形成されるが、ユーザーの毛髪を引っ張る又は毛髪に絡まることなく、それがユーザーの頭部上を容易に摺動することを可能にする。頭部受け台の湾曲が実装時ユーザーの頭部の湾曲に適合するため、頭部受け台は装着帯負荷がユーザーの頭部上の大きな領域にわたって分布することを可能にし、それはより均一に圧力を分配し、高圧点の可能性を最小化する。
【0041】
本発明の頭部装着帯アセンブリは、装着帯上部を含み、それは、一実施形態では、装着帯下部に対する調節点の前で2つの先端部連結部材が1つに結合するY字形ストラップである。これは、調節点が1つしか存在せず、2つの異なる位置で接顔部アセンブリを引っ張り続ける間、装着帯上部のストラップ(即ち連結部材)に等しい張力がかかるため、有利である。適切に着用された装着帯は、ユーザーの頭部の中心(横方向の)にあるべきである。2つの別々に調節可能なストラップは、レスピレータ装着帯の先端部に沿って使用される場合、一方のストラップが他方と異なる長さに調節される場合があるため、このセンタリング(芯合わせ)が達成されない場合がある。調節点が1つである場合(本発明の装着帯上部及び下部の相互連結により達成されるような)、装着帯上部上の連結部材はともに等しく調節されるため、装着帯はユーザーの頭部の中心にある。
【0042】
一対の締結要素を用いることによる装着帯下部及び上部の間の連結(図8に図示した実施形態のような)により、独立な一連の距離において、接顔部アセンブリの先端部に対して装着帯下部の距離を調節することが可能になる。一貫した調節を達成する能力、調節点一式、及びバックル又は接顔部アセンブリの先端部に隣接する他の目立つ締結部品の除去は、全て本発明の二部装着帯系により提示された利点である。有害な環境下でユーザーが本発明の装着帯を具現化した呼吸用保護具系を着用する可能性がある前、レスピレータの嵌め合いを点検しなければならない。適合試験過程の一部として、ユーザーは、装着帯をユーザーの頭部上の適切な位置に静置し、好適な気密嵌め合いが得られるように、締結要素を調節する。この位置は、先端部ストラップの長さにより決定され、ユーザーにより選択された特定の且つ別個の調節位置のために、ある着用時から次の着用時まで一貫している。この調節はレスピレータ装置の着脱時に迅速且つ一貫した嵌め合いを必要としないため、この位置は設定されたままである。レスピレータ装置の着脱のためには装着帯下部上の連結部材の操作で十分である。嵌め合い調節部品が、接顔部アセンブリの先端部に沿って配置されないため、その位置においてバックル又は他の締結部品を調節可能にする必要性が存在しない。このような部品が安全帽の適切な位置決めを妨害する可能性があり、ともすれば調節期間中毛髪のもつれの影響を受けやすい位置にあるため、かかる部品の排除は有利である。
【0043】
本発明について、好ましい実施形態を参照して説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形状及び細部において変更をなし得ることが、当業者には理解されよう。
【0044】
本明細書で提示された概念は、添付図面を参照してさらに説明され、ここで類似の構造体又はシステム要素は幾つかの図にわたって類似の参照番号により参照され得る。
【0045】
記載の図は本発明の幾つかの実施形態を記載するが、本明細書で記載したように、他の実施形態もまた企図される。全ての場合において、本明細書で提示した概念は、説明目的で本発明を記載するものであり、制限目的ではない。本発明の原理の範囲及び精神の中で、多くの他の修正及び実施形態が、当業者によって考案され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】背後から見た、関連レスピレータ保護面に連結していない、本発明の頭部装着帯アセンブリの第一実施形態の説明。
【図2】図1の頭部装着帯アセンブリの装着帯下部の背面図。
【図3】図1の頭部装着帯アセンブリの装着帯上部の背面図。
【図4】図1の頭部装着帯アセンブリの装着帯下部及び上部を連結するために用いられる締結支持部材の等角図。
【図5】図1の線5−5についての部分断面図。
【図6】図1の線5−5についての部分断面図であり、本発明の頭部装着帯アセンブリの装着帯下部及び上部を連結するための代替実施形態を示す。
【図7】図1の線5−5についての断面図であり、図1の頭部装着帯アセンブリの装着帯下部及び上部を結合させるための別の代替実施形態を示す。
【図8】関連保護面に連結し、着用者の頭部に実装された、その背後、先端部、及び右側から見た、図1の本発明の頭部装着帯アセンブリの斜視図。
【図9】保護面とそれに連結した本発明の頭部装着帯アセンブリを着用したユーザーの正面図。
【図10】図8の本発明の頭部装着帯アセンブリ(第一初期装着帯寸法構成の)の、背後、先端部及び右側から見た斜視図。
【図11】図8の本発明の頭部装着帯アセンブリ(第二初期装着帯寸法構成の)の、背後、先端部及び右側から見た斜視図。
【図12】本発明の頭部装着帯アセンブリ及び関連接顔部アセンブリの組立分解等角図。
【図13】背後、先端部及び左側から取った、本発明の頭部装着帯アセンブリのための代替締結支持部材の等角図。
【図14】図13の締結支持部材を用いた本発明の頭部装着帯アセンブリの背面図。
【図15】図背後、先端部、及び右側から見た、図14の頭部装着帯アセンブリの斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接顔部アセンブリをユーザーの頭部に緊締するための装着帯であって、前記装着帯が、
複数の連結部材を有し、接顔部アセンブリの下部に連結可能な装着帯下部と、
前記接顔部アセンブリの先端部に連結可能な複数の連結部材を有する前部及び
前記装着帯下部への取り外し可能な緊締に適した後部を含む前記装着帯下部から分離可能な装着帯上部と、を含む、装着帯。
【請求項2】
前記装着帯上部の後部及び前記装着帯下部が、複数の締結点でともに緊締される、請求項1に記載の装着帯。
【請求項3】
前記装着帯上部の後部及び前記装着帯下部が、種々の装着帯寸法位置にともに緊締され、前記接顔部アセンブリの先端部から前記装着帯下部までの距離が変動する、請求項1に記載の装着帯。
【請求項4】
前記距離が、種々の利用可能な距離にわたって個々に変動可能である、請求項3に記載の装着帯。
【請求項5】
前記距離が、種々の利用可能な距離にわたって持続的に変動可能である、請求項3に記載の装着帯。
【請求項6】
前記装着帯上部の後部が、複数の第一締結要素を有し、前記装着帯下部が、前記複数の第一締結要素と協働して前記装着帯上部及び下部をともに緊締する複数の第二締結要素を有する、請求項1に記載の装着帯。
【請求項7】
前記第一及び第二締結要素の一方が、雄型締結部品を含み、前記第一及び第二締結要素の他方が、雌型締結要素を含む、請求項6に記載の装着帯。
【請求項8】
前記複数の第一及び第二締結要素と協働して前記装着帯上部及び下部をともに緊締する、複数の第三締結部品を有する締結支持部材をさらに含む、請求項6に記載の装着帯。
【請求項9】
前記第一及び第二締結要素が、開口部を含み、前記第三締結要素が、前記開口部内での取り外し可能な受容に適した前記締結支持体からの突出部を含む、請求項8に記載の装着帯。
【請求項10】
前記締結支持部材が、ユーザーの頭頂部の湾曲に適応するよう形成された受け台を含む、請求項8に記載の装着帯。
【請求項11】
前記装着帯上部の前部上の連結部材が、前記接顔部アセンブリの先端部に離脱可能に固定されている、請求項1に記載の装着帯。
【請求項12】
前記装着帯上部の前部上の連結部材が、比較的薄型である、請求項11に記載の装着帯。
【請求項13】
前記装着帯下部上の各連結部材が、前記接顔部アセンブリの下部に離脱可能に固定されている、請求項1に記載の装着帯。
【請求項14】
前記接顔部アセンブリが、垂直中心線によって二分され、前記装着帯上部の前部の複数の連結部材が、前記接顔部アセンブリの先端部に固定され、前記接顔部アセンブリの中心線に対して対称に配置されている、請求項1に記載の装着帯。
【請求項15】
前記装着帯下部の各連結部材の長さが、変動可能である、請求項1に記載の装着帯。
【請求項16】
前記装着帯上部が、第一装着帯上部であり、前記第一装着帯上部の後部が、前記装着帯下部に締結される際に、第一距離が前記接顔部アセンブリの先端部と前記装着帯下部の間で規定され、さらに
前記第一装着帯上部の代わりに前記装着帯下部から分離可能な第二装着帯上部を含み、前記第二装着帯上部が、
前記接顔部アセンブリの先端部に固定された少なくとも1つの連結部材を有する前部と
前記装着帯下部への取り外し可能な締結に適した後部であって、前記第二装着帯上部の後部が、前記装着帯下部に締結される際に、第一距離と異なる第二距離が、前記接顔部アセンブリの先端部と前記装着帯下部の間で規定される後部とを含む、請求項1に記載の装着帯。
【請求項17】
下部及び先端部を有し、接顔部が垂直中心線によって二分され、中心線の各側に対称である接顔部アセンブリと、
ユーザーの頭部に前記接顔部アセンブリを緊締するための装着帯であって、
裏部と、前記裏部及び前記接顔部アセンブリの下部の間に延在する複数の連結部材とを有する装着帯下部と、
前記接顔部アセンブリの先端部に少なくとも2つの頂部連結で固定され、各頂部連結が前記接顔部アセンブリに対して対称に位置する前部、及び、
前記装着帯下部の裏部に少なくとも2つの連結点で連結される後部であって、複数の連結位置で前記装着帯下部の裏部に連結可能であり、前記接顔部アセンブリの先端部から前記装着帯下部の裏部までの距離が変動する後部を含む装着帯上部と、を含む装着帯と、を含む呼吸用保護具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−532106(P2009−532106A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503132(P2009−503132)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/063871
【国際公開番号】WO2007/117836
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】