説明

呼気凝縮液採取装置

呼気凝縮液採取装置は、呼気流入口と流出口とを有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合される、空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から蒸発気体の凝縮液を生成するための冷却手段とから構成され、サンプル収集器が部分的蓋付き皿状部で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気凝縮液を採取するための装置に関し、また特に、動物、特に馬や人から呼気凝縮液を採取するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
呼気凝縮液採取装置が知られている。情報提示の観点において、例えば、出願番号第GB2427686号の英国特許出願は、以下のことを開示している。
呼気凝縮液採取装置は、呼気流入口と空気流入口と流出口とを有するチャンバと、チャンバへの空気の流れを許容する一方、空気または呼気のチャンバ外への流れを妨害するように前記空気流入口に配置された一方向バルブと、チャンバの出口から空気を受容するように適合された、空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入る呼気から蒸発気体の凝縮物を生成するための冷却手段とから構成され、そして、呼気流入口からサンプル収集器への流路がバルブによって阻止されないことを特徴とするものである。
【0003】
出願番号第GB2427686号の英国特許出願は、以下の従来技術をまた開示している。
吐き出された呼気に存在する代謝産物質の凝縮物を決定することは多くの臨床適応にとって有用である。このような代謝産物質の一つは過酸化水素であり、そして吐き出された呼気においてこのレベルが上昇することは肺機能不全を示唆することができる。呼気凝縮物の採取のための装置それ自体は知られている。このような装置の一つが図1に例示されている。この装置は本質的にチューブ1とサイドアーム2とから構成される。チューブ内には2つの一方向バルブ、3および4、がサイドアームのいずれかの側に配置される。サイドアームはマウスピースとして作用し、そして特に使用者の唇による密閉を助けるように形作られている。使用中、患者はこのマウスピースを口の中に入れ、そして口(鼻というよりも)を通して呼吸するように指示される。吸い込んだとき、バルブ配列は、図1の(a)に示すように、上方の一方向バルブ3が閉鎖状態に残された状態で、空気が下方の一方向バルブ4を通過するのを許容する。吐き出したとき、下方のバルブ4が閉鎖し、上方のバルブが開放して空気をチューブ1の上方部分へと通過させる。次いで、呼気凝縮物がチューブ1の内面に採取され、そこから収集される。凝縮を生じるように、チューブ1の外側に冷却が適用される。
【0004】
このようなタイプの装置の一つにおいて、ダックビル(カモノハシ)形態と称される−総体的にドーム状の上方のバルブ3は、ゴムのような材料で作成され、そして一対のリップ様構造を形成するスリットをドームの頂端に有する。このことは図1に断面で示されている。その無負荷常態において、ダックビルバルブは閉鎖された形態にある。吸気中に経験するようにバルブのドーム内の圧力が減少すると、この閉鎖状態を維持する傾向にある。吐気中に経験するようにドーム内の圧力が上昇すると、第2のバルブ4が閉鎖するのに対し、バルブ3を開放させる。貯留中、一方向バルブ(そして特にダックビル形態のもの)は「休止」位置に固定する傾向にあることは知られている。その結果、装置は使用者が息を吐き出すことを妨害する。使用前に使用者に知らせていない限り、この現象は不安を引き起こす。通知されていた大人の使用者はこの問題を受け入れて矯正するように行動し得る一方、子供にとっては苦しめられる、または悩まされることになる。
【0005】
バルブシステムを通る空気の道はまた、呼吸に幾分かの抵抗を起こす傾向にある。相対的に良好な肺機能を有する、通知されそして協働可能な使用者にとって、このことは一般的に問題になるものではないが、患者または被験者とのコミュニケーションが困難な状態では重大な欠点となる。
【0006】
加えて、この種の装置は使用者が意識して、鼻を通してというよりも、口を通して呼吸することを要求する。また、知らされそして協働可能な使用者に使用される場合、このことは通常問題にはならないが、患者や被験者とのコミュニケーションが困難な場合に問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】第GB2427686号英国特許出願明細書
【特許文献2】第GB2427686号英国特許出願明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
結局、この種の装置は相対的に複雑であり、そして機能を果たすために細いチューブの本体内に複数の一方向バルブを配置する必要がある。このことは製造コストを高くしてしまう。
【0009】
現在の装置が有するこれらすべての問題は家畜、特に馬の健康管理の分野で特に増大される。このような状況において、被験動物もまた同様に落ち着かず、非協力的となりそして簡単に危機的状況となる。これに加え、意味のあるコミュニケーションは不可能である。
【0010】
その発明以来、従来の採取装置に採取されるサンプルは一般的にエーロゾルと本当の凝縮液との混合物からなることがわかった。
【0011】
現用の呼気凝縮液採取装置には両タイプのサンプルを分離して採取することを容易にするものはない。
【0012】
両者は分析に有用であるが、異なった診断目的に用いられる。それ故、凝縮液採取装置に必要なことは凝縮液またはエーロゾルを豊富にされたサンプルの採取を容易にすることである。
【0013】
加えて、現在の呼気凝縮液採取技術は、その場でのサンプル入手−競馬の出走前の薬物検査を行う必要がある人−或いは移動診療獣医のように、十分な−設備の整った医療施設以外でサンプルを取る必要がある人にとって問題を生じる。
【0014】
勿論、このような環境はより大きなサンプル汚染のリスクを呈し、そして汚染の高リスクは、前述の技術例のものが、ことによると複雑性によって或いはことによるとそれらを清浄にしようとする人に与えられる困難性によって蒙ったものである。
【0015】
これら並びにその他の問題に解決策を提供するように企図することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような観点から、本発明の呼気凝縮液採取装置は、呼気流入口と流出口とを有するチャンバと、チャンバの流出口からの呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、サンプル収集器に入る呼気から気体の凝縮を促進する冷却手段とから構成され、サンプル収集器が部分的蓋付き皿状部により構成される。
【0017】
サンプルはチャンバとサンプル収集器の両者に集められる。チャンバのサンプルは凝縮液が豊富であり、サンプル収集器のサンプルはエーロゾルが豊富である。
【0018】
部分的蓋付き皿状部により、その皿状部の開口区域はその開口直下の皿状部内部の断面区域より小さいことを意味する。
【0019】
部分的蓋付き皿状部は完全に開放された容器よりも有利であり、空気が皿状部内に流れ込むとき、ただちに皿状部の外へ戻されることはない。代わりに、呼気の大部分は蓋の内部にぶつかることになる。サンプル収集器を空にできないと、周囲に渦を発生させる。この渦は、呼気からより多くの凝縮液およびエーロゾルを皿状部自体に貯蔵することになる。このことは、空気によってより容易に担持されるサンプルの一部が皿状部により適当に沈殿するので、より大量のサンプルを与え、そしてまた診断により有用な価値を有する。
【0020】
部分的蓋付き皿状部は、開放皿状部に対し、汚染についてより小さな目標を提供するという別の利点がある。
【0021】
本発明はさらに、チャンバとサンプル収集器の両者が凝縮液を収集するのに用いられるという利点がある。換言すると、本発明は、2つのサンプル収集容器を有し、その一方が呼気凝縮液からなるサンプル主要部を収集するために実質的に呼気の流れに平行な収集面を備え、そして第2の容器が凝縮液と豊富な呼気生成エーロゾルを含むサンプルを収集するために実質的に呼気の流れに垂直な収集面(それにより呼気の流れが収集面に衝突して呼気生成エーロゾル小滴を収集面に押し付けさせる)を備える呼気凝縮液採取装置を提供する。凝縮液の各品質がそれ自体の価値を有することが証明されていることを考えれば、このことは、比較研究が望まれる場合に、そしてさらにまたは互換的に、両サンプルのテストが有利に行われる状況、またはまだ正確なテストが確立していない状況において特に有効であることを証明しており、そしてそれ故、いずれかのサンプルまたは両方のサンプルが有用であることを証明している。
【0022】
さらに別の利点は、被験者の1回の吐き出しによってほとんど同時に両方のサンプルが集められるということである。これはより急速であり、そして実際のサンプル入手作業がストレスを受けた動物に課せられるとき、この速度は有効である。
【0023】
本発明のいかなる観点においても、チャンバが円筒形であることが好ましい。
【0024】
円筒体の外へ凝縮液を擦り取ることはより容易であり、さもなければ矩形または角錐状のチャンバに生じるような、コーナー、または平面間の交差部位に凝縮液が溜まるため、円筒形チャンバを有することは有利である。上述したように、円筒体内に集められた凝縮液は格別な診断的価値を有し、そしてそのため、収集がより容易に行われることが非常に重要である。
【0025】
同様な理由で、円筒形チューブの洗浄はより容易に行える。このことは、伝染性疾患についてテストする場合、衛生状況において非常に重要であるので、特に重要である。
【0026】
また、本発明のいずれの観点おいても、少なくともチャンバの一部がテーパ付けられることが好ましい。
【0027】
テーパ付きチャンバは、そこを流れる空気を分裂させ、層流状態ではなく乱流状態を生じさせる場合に特に有効である。このことは2つの補助的な利点をそれ自体有する。
【0028】
第1は、乱流が空気からより多くの凝縮液とエーロゾルを生じさせる傾向にあるということである。
【0029】
第2は、乱流が、それ自体が凝縮を増大する、チューブの内部に薄い境界層の形成を導くことである。
【0030】
また、本発明のいずれの観点においても、チャンバの内面の少なくとも一部は疎水性材料で構成されるのが好ましい。
【0031】
このことは、疎水性材料が凝縮液を飛散するのではなく小滴を形成しそしてその表面を「湿潤」にするように促進する場合に特に有利である。このことは、凝縮液をチャンバからより早くそしてより効果的に収集することに繋がる。
【0032】
疎水性表面を備えることは、チャンバからサンプル収集器への凝縮液の流れ、特にその流れを促進するような角度で保持されている場合、その流れを助長する傾向であることもまた有利である。
【0033】
また、本発明のいずれの観点においても、サンプル収集器の内面の少なくとも一部は疎水性材料で構成されるのが好ましい。
【0034】
このことは、疎水性材料が凝縮液を飛散させるのではなく小滴を形成させそしてその表面を「湿潤」にするように促進する場合に特に有利である。このことは、凝縮液をサンプル収集器からより早くそしてより効果的に収集することに繋がる。
【0035】
また、本発明のいずれの観点においても、冷却手段がペルティエ装置で構成されるのが好ましい。
【0036】
ペルティエ装置を備えることは、隣接して設置されたサンプル収集器の温度を高精度で制御する手段を提供する場合に有効である。
【0037】
第2の利点は、ペルティエ装置がゲルラッパまたは低温保持材料のようなその他の手段よりも長く冷却する傾向にあることである。
【0038】
最も重要なすべての利点はゲルラッパおよび低温保持材料と異なっていることであり、ペルティエ装置はそれ自体が凝縮液収集器に一体化されそして外部の冷却源に依存しない熱交換手段を提供する。このことは、例えば、その場だけ凝縮液のサンプルを取る必要があり、そして必要な温度に冷却するために他の冷却手段を必要とする外部冷却手段から遠くはなれている移動獣医にとって特に有用である。
【0039】
また、本発明のいずれの観点においても、呼気凝縮液収集器は棒状部をさらに備えることが好ましい。
【0040】
棒状部はチャンバおよびサンプル収集器から凝縮液を収集するように用いられ得るので、装置に棒状部を備えることは特に有利である。
【0041】
また、本発明のいずれの観点においても、棒状部がテーパ付けられることが好ましい。
【0042】
正しく保持されるとき、簡単に収集できるように、テーパが凝縮液を棒状部に沿って移動させそして尖頭部に形成するように助長することが棒状部の利点である。
【0043】
また、本発明のいずれの観点においても、棒状部は弾性的に変形可能であることが好ましい。
【0044】
有利にも、弾性変形可能な棒状部は収集器の内部の形状に適合するように変形し、より早くかつより圧縮した状態で棒状部が擦り取るまたは拭き取ることを可能にし、一動作で表面区域以上をカバーする。
【0045】
また、本発明のいずれの観点においても、棒状部の表面は疎水性であることが好ましい。
【0046】
棒状部の表面を疎水性にすることは、棒状部での小滴の形成を助長し、それが棒状部の端部に大きな小滴を形成できる効力を強める。
【0047】
棒状部が疎水性であることは、棒状部の先端への小滴の移動をさらに助長する。
【0048】
別の観点において、本発明は、呼気流入口および流出口を有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から気体の凝縮を生じさせるための冷却手段とから構成され、そしてチャンバが円筒形である呼気凝縮液採取装置からなる。
【0049】
別の観点において、本発明は、呼気流入口および流出口を有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から気体の凝縮を生じさせるための冷却手段とから構成され、そしてチャンバがテーパ付けられている呼気凝縮液採取装置からなる。
【0050】
別の観点において、本発明は、呼気流入口および流出口を有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から気体の凝縮を生じるための冷却手段とから構成され、そしてチャンバが疎水性材料により構成される呼気凝縮液採取装置からなる。
【0051】
別の観点において、本発明は、呼気流入口および流出口を有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から気体の凝縮を生じさせるための冷却手段とから構成され、そしてサンプル収集器の内面の少なくとも一部が疎水性材料により構成される呼気凝縮液採取装置からなる。
【0052】
別の観点において、本発明は、呼気流入口および流出口を有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から気体の凝縮を生じさせるための冷却手段とから構成され、そして冷却手段がペルティエ装置により構成される呼気凝縮液採取装置からなる。
【0053】
別の観点において、本発明は、呼気流入口および流出口を有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から気体の凝縮を生じさせるための冷却手段と、棒状部とから構成される呼気凝縮液採取装置からなる。
【0054】
別の観点において、本発明は、呼気流入口および流出口を有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から気体の凝縮を生じさせるための冷却手段と、テーパ付き棒状部とから構成される呼気凝縮液採取装置からなる。
【0055】
別の観点において、本発明は、呼気流入口および流出口を有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から気体の凝縮を生じさせるための冷却手段と、弾性変形可能な棒状部とから構成される呼気凝縮液採取装置からなる。
【0056】
別の観点において、本発明は、呼気流入口および流出口を有するチャンバと、チャンバの流出口から呼気を受容するように適合されそして空気排出手段を有するサンプル収集器と、使用時にサンプル収集器に入った呼気から気体の凝縮を生じさせるための冷却手段と、疎水性棒状部とから構成される呼気凝縮液採取装置からなる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、従来技術のものの断面図を示す。
【図2】図2は、呼気採取装置の側面図を示す。
【図3】図3は、部分的蓋付き皿状部の断面側面を図示す。
【図4】図4は、本装置の平面図を示す。
【図5】図5は、使い捨てチューブの平面図を示す。
【図6】図6は、棒状部の立面図を示す。
【図7】図7は、チャンバの立面図を示す。
【図8】図8は、チャンバの別の立面図を示す。
【図9】図9は、チャンバの別の立面図を示す。
【図10】図10は、チャンバの別の立面図を示す。
【図11】図11は、チャンバの別の立面図を示す。
【図12】図12は、棒状部を用いた状態を示す、チャンバと皿状部の断面図を示す。
【図13】図13は、棒状部を用いた状態を示す、チャンバと皿状部の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図2は、参照符号10により全体的に指摘される呼気凝縮液採取装置を示している。本実施例のものは大部分が、丈夫で洗浄容易なポリプロピレンとアルミニウムとでできている。装置10は、呼気流入口14と流出口16とを備えたチャンバ12を有する。本実施例において、チャンバ12は円筒形であり、そして円形の横断面を有する。チャンバはまたテーパ部分18を有する。その他の実施例では円筒形である必要はない。同様に、チャンバ12は全体的にテーパ付けられていてもまったくテーパ付けられていなくてもよい。チャンバ12にとって特に有効な形状は、チャンバ12の内面のテーパ形状に適合するように弾性的に変形可能な棒状部を容易に設計できるので、裁頭円錐形形状またはそれに類似した形状である。
【0059】
本実施例において、流入口14は、部分的蓋付き皿状部110であるサンプル収集器から最も離間する一方、流出口16は部分的蓋付き皿状部110に近接している。チャンバ12は呼気凝縮液採取装置10の内側に摩擦力で適合する。互換的に、補足的アタッチメント手段によって適所に保持することもできる。本実施例において、チャンバ12は着脱自在である。
【0060】
本実施例において、チャンバ12の内部全体は疎水性材料で被覆される。これは、米国19898デラウェア州ウィルミントン、マーケット・ストリート1007のE.I.デュポン・デ・ネモア・アンド・カンパニーにより作成されるテフロン(登録商標)のようなポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ファミリの材料であっても、またはシリコン処理された表面で構成されても、或いは当業者にとって周知のその他の材料または材料の組合せであってもよい。この材料がチャンバ12自体の一部であるか、チャンバ12がそれから作成されてもよい。チャンバ12の内側のすべてまたは一部をカバーしてもよい。
【0061】
チャンバ12は、部分的または全体的に透明であってもよい。
【0062】
本実施例において、チャンバ12は再使用可能であり、プラスチックで作成される。使用間に容易に洗浄できるように作られる。再使用可能なチャンバはまたステンレス鋼または複合材料でも作成し得る。互換的に、使い捨て可能な厚紙またはプラスチックのチャンバを用いることもできる。
【0063】
図3は、部分的蓋付き皿状部110を示している。皿状部は皿部分22と開口部を画定する部分的蓋部分124とから構成される。これら2つの部分22、124はいくつかの実施例では分離不能である。その他の場合、部分的蓋部分124は皿部分22から脱着できる。本実施例において、皿状部110の内部全体は疎水性材料により被覆される。これはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ファミリの材料であっても、またはシリコン処理された表面で構成されても、或いは当業者にとって周知のその他の材料または材料の組合せであってもよい。その他の実施例において、被覆する必要はない−皿状部110をそれらの材料から作成することができる。同様に、表面全体を疎水性材料で作成または被覆する必要はなく−その一部のみを被覆してもよい。部分的蓋付き皿状部の特徴はまた特に、英国特許GB2427686号で用いられているシリンジよりも小さな表面領域であり、そしてそれ故、より容易に冷やせるという点で、この英国特許のシリンジ以上に有利である。本実施例において、部分的蓋部分124は透明である。皿部分22は良好な熱伝導を得るためにアルミニウムで作成される。
【0064】
図2を参照すると、呼気凝縮液採取装置10内の凝縮液受容部に配置された部分的蓋付き皿状部110の実施例が示されている。それは凹所(図示なし)内にある。摩擦接合で十分ではあるが、当業者に周知の保持手段によってそこに保持される。部分的蓋付き皿状部110はその開口が流出口16に対面するように配置される。その長手方向の軸が実質的に水平面に沿って走るような方法で呼気凝縮液採取装置10が配置される場合において、部分的蓋部分124の内部が部分的蓋付き皿状部110の内面と共に受容部を形成するので、部分的蓋部分124は開口の外からくる凝縮液を阻止するように作用する。
【0065】
流出口18に向かう領域における部分的蓋付き皿状部110の模範的な取り付け方は、各々が互いに対面し、凝縮液が下方へ移動するときに部分的蓋付き皿状部110内に指向するように流出口16が寸法付けられ、そして部分的皿部分によって形成される開口と実質的に整合するように配置される。本実施例において、流出口16と部分的皿部分124の間の間隔は約2mmである。その他の配置も考えられるが、これが最適な配置である。流出口16が皿状部10の内部にある場合、皿状部110に入る空気の流れは収集された凝縮液をすべて乾燥するように作用して、その診断上の価値の少なくとも一部を奪ってしまう。流出口16が部分的蓋付き皿状部110からもっと離間している場合には2つの問題がある。第1は、凝縮液を不適切に指向させて、伝染性物質のキャリアさもなければ危険物質のほとんどを少なくとも散乱することである。第2は、空気の流れが、部分的蓋付き皿状部110と接触する際に口笛音を発生し易いことである。馬のような動物から凝縮液を採取するために採取装置が用いられる実施例において、口笛は馬を仰天させるというより狼狽させて、凝縮液の採取を妨げるかまたは採取している人を危険に陥れる。
【0066】
本採取装置10はさらに、冷却手段112が収集凝縮液容器に入った呼気からの蒸発気体の凝縮を助長することを特徴とする。この実施例において、冷却手段112は、冷却面114と6つのみが示されている放熱フィン116とを有するペルティエ装置で構成される。冷却面114は、平坦または湾曲面上の部分的蓋付き皿状部110と作動可能に連携し、部分的蓋付き皿状部110の形状に追随するように配列される。
【0067】
装置は慣用手段(図示なし)により動力を供給され、そして充電式である。本実施例において凹所120に取り付けられた充電端子118を介して電源に接続される。ペルティエ装置112を採用することは外部冷却手段の必要をなくし、移動獣医、そうでなければ別個の冷蔵手段を持たずにいる人にとって特に有用である。ペルティエ装置112はON/OFFスイッチ122を介して作動されるが、互換的に、凹所(図示なし)の蓋付き皿状部110を取り付けまたは取り外すことによっても作動し得る。
【0068】
互換例において、プレコートした金属製エレメントまたは放熱ジャケットのようなものを代用することもできる。
【0069】
図4は本発明の装置10を示している。それは凹所44に部分的蓋付き皿状部110を有する。本実施例において、ペルティエ装置112の冷却面46に隣接する位置に部分的蓋付き皿状部110を位置するように凹所44が適合されていることが明瞭に示されている。本実施例において、帯状壁410は透明かつ着脱自在であり、ねじ412によって取り付けられる。このことは帯状壁410の下にある部品の可視性を増し、そして本装置の洗浄を容易にすることができる。本装置はまたLED414を有し、本実施例において、それは装置がON状態にあるとき緑色に光り、電力が不足しているとき赤色に点滅する。
【0070】
図5は、例えば、厚紙で作成された、人間用の、使い捨て、円筒形、端部開放チューブを示しており、それは、衛生的観点から使用者が装置自体を口の中に入れることなく息を装置に吹き込み得るように装置10の流入口14に接続される。
【0071】
図6は棒状部60を示している。棒状部60は、その他の実施例ではそれらの特徴を選択するか或いはその全てがないが、本実施例においては、テーパ付けられ、弾性的に変形可能であり、そして疎水性材料で形成される。本実施例において、棒状部の寸法は、チャンバの側部に付着された凝縮液を除去するように使用でき、「こそぎ落とし」または「拭き取り」として説明される運動で使用者によって操作するのに最適となるように最大限に拡大される。
【0072】
本実施例の棒状部60は、使用時に、力が棒状部60に加えられとき、装置のチャンバまたはサンプル収集器の湾曲に沿うような方法で変形するような特質の変形プロファイルを有する。このことは凝縮液をより速くかつ効果的に掬い取るように棒状部60を使用できる。棒状部60に凝縮液を得ると、用意された疎水性材料は凝縮液が棒状部60に滴状に形成されることを助長する。テーパはそのとき、細い方の端部を実質的に下方を指すように保持した棒状部60で小滴が先端に向かって移動するのを助長する。
【0073】
図7はチャンバ70を示している。これは棒状部と協働して作業するように開放端の裁頭円錐形形状を有する。
【0074】
図8は別のチャンバ80を示している。これは、例えば、ろ過装置または変形自在なプラスチック製マスクのような別のアイテムを取り付けることができるフランジ82を有する。
【0075】
図9は別のチャンバ90を示している。これは円筒形で端部を開放されている。フランジとして作用する、隆起したテーパ付き流入口92を有する。
【0076】
図10はさらに別のチャンバ1000を示している。これは、この例ではフランジ部分であるが、互換的な手段で設けてもよい取付け手段1002を特徴とする。獣医用に、チャンバ1000は、動物の1つまたはそれ以上の鼻孔に合うように適合されたマスクに結合し得る。マスク(図示なし)は、特に、馬の鼻孔に合うように適合される。マスクは全体的に円筒状の左右対称である。周知の呼気採取用装置は使用者によって装置を口に入れ、鼻ではなく口から装置に息が吹き込まれる。獣医用では、口で息をするよう動物とコミュニケーションを取ることは不可能であり、動物の口に装置を用いることは装置を噛む危険性を伴うかまたは獣医師の管理に危険性を伴う。鼻孔から吐き出された呼気を受容するように適合されたマスクを用意することはこの問題を解消する。ある種の動物では適当なマスクで鼻と口の両方を覆うことが予想される。
【0077】
図11は、前述したタイプの一体型マスク1102を有するさらに別のチャンバ1100を示している。本実施例において、マスク1102は弾性的に変形自在であり、動物の鼻孔の輪郭に合いそして気密シールを与えるように設計されている。マスク1102は、鼻孔にマスクを合わせるのに1つ以上の試みが必要なときに、マスクが試み間の形状に跳ね戻るように、弾性的に変形自在である。マスクはまた、それ故、異なった動物に再使用できる。
【0078】
図12は、ここでは断面で示されているチャンバ12が棒状部60を用いて凝縮液1202を拭き取りまたは掬い取る方法を示している。これは、前述で概略を説明した第1の方法に対する、この装置で可能な収集の第2の方法であり、そこにおいて目的物はチャンバ12を下がって部分的蓋付き皿状部110に吹き込まれる。第1方法がより高いエーロゾル割合を有する凝縮液の収集を促進するのに対し、この第2の方法はより低いエーロゾル割合を有する凝縮液の収集を促進する。皿状部1204がまた示されている。ここでは、チャンバ12は装置10から取り外されている。棒状部60はチャンバ12内に配置される。
【0079】
図13は、チャンバ12の内壁と実質的に接触するよう変形するように操作される棒状部60(操作手段は図示されていない。)を示している。チャンバ12に並んだ凝縮液1202は、棒状部60の接触により、チャンバの内部に沿って拭かれるように取り除かれ、皿状部1204に入れられる。棒状部60がテーパ付きおよび/または疎水性表面を有するとき、棒状部60が流れ落ちるのを助長する。凝縮液1202は小滴1302を形成しがちであり、力が加えられると、適切に配置された皿状部1204内に落ちる。
【0080】
収集される凝縮液のためにチャンバ12が装置10から取り外される必要はない。
【0081】
凝縮液を収集するためにそれ自体にチャンバ12と棒状部60の形態(すなわち、サンプル収集器なしで)を用いることは可能であり、それ故、これらの実施例はチャンバ12と棒状部60とで構成することを想定している。
【符号の説明】
【0082】
10 呼気凝縮液採取装置
12 チャンバ 14 呼気流入口
16 流出口 18 テーパ部分
22 皿部分 44 凹所
46 冷却面 60 棒状部
70 チャンバ
80 チャンバ
90 チャンバ 92 テーパ付き流入口
110 部分的蓋付き皿状部 112 冷却手段(ペルティエ装置)
114 冷却面 116 放熱フィン
118 充電端子 120 凹所
122 ON/OFFスイッチ 124 部分的蓋部分
410 帯状壁 412 ねじ
414 LED
1000 チャンバ 1002 取付け手段
1100 チャンバ 1102 一体型マスク
1202 凝縮液 1204 皿状部
1302 (凝縮液の)小滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気流入口と流出口とを有するチャンバと、
チャンバの流出口から呼気を受容するように適合される、空気排出手段を有するサンプル収集器と、
使用時にサンプル収集器に入った呼気から蒸発気体の凝縮液を生成するための冷却手段と
から構成され、
サンプル収集器が部分的蓋付き皿状部で構成される、
呼気凝縮液採取装置。
【請求項2】
チャンバが円筒形である、請求項1に記載の呼気凝縮液採取装置。
【請求項3】
チャンバの少なくとも一部がテーパ付けされる、請求項1または2に記載の呼気凝縮液採取装置。
【請求項4】
チャンバの内面の少なくとも一部が疎水性材料で構成される、請求項1、2または3に記載の呼気凝縮液採取装置。
【請求項5】
サンプル収集器の内面の少なくとも一部が疎水性材料で構成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の呼気凝縮液採取装置。
【請求項6】
冷却手段がペルティエ装置で構成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の呼気凝縮液採取装置。
【請求項7】
棒状部をさらに有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の呼気凝縮液採取装置。
【請求項8】
棒状部がテーパ付けされている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の呼気凝縮液採取装置。
【請求項9】
棒状部が弾性的に変形可能である、請求項7または8に記載の呼気凝縮液採取装置。
【請求項10】
棒状部の表面が疎水性である、請求項7、8または9に記載の呼気凝縮液採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−534333(P2010−534333A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517474(P2010−517474)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001954
【国際公開番号】WO2009/013450
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510021281)イークワイン ヘルスケア リミテッド (1)
【Fターム(参考)】