説明

呼気分析セット

【課題】小形にして精度良く呼気を分析できる呼気分析セットを提供する。
【解決手段】呼気流入部4の先端には近接センサ4Sが設置されていて、人の顔や手などが近接すると信号を発し、電磁弁4Vと呼気吸入機構5が作動を開始し、呼気流入部4に流入される呼気の吸引が行われる。吸引された呼気は呼気送気機構6からの3本の分流路L1〜L3に分流されてそれぞれキャピラリカラムC1〜C3に導かれ分離が行われる。なお、これら各キャピラリカラムC1〜C3と各ヒータH1〜H3および各検出器D1〜D3は一つの取付枠8に一体的に固定保持されている。検出器D1〜D3にて検出された出力情報はデータ処理器すなわちパーソナルコンピュータ10にそれぞれ入力されてデータ処理される。データ処理の結果が表示器15に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気から体調、健康状態等の情報を得るための呼気分析技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の医療診断における検体の殆どは血液あるいは尿などであるが、最近呼気が検体として有効であることが認められ、呼気を検体とする臨床検査が開発されている(特許文献1参照)。呼気は容器に採取して貯留できるが、診療検査などの装置は小形化、可搬性、高感度、操作性が要求される。本発明の出願人もこのような要求に沿うにおい検査機や呼気分析装置の開発を進めている。
【0003】
この呼気分析装置は、カラムを通じて分離した呼気中の成分を検出器にて検出するもので、検出器としては光イオン検出器やイオン移動度スペクトル検出器あるいは電子捕獲型イオン検出器が採用され、呼気中の検出対象ガス成分に光または放射線を照射して測定するもので安全、小形化できる。呼気の分離については複数個のカラムを組み合わせ、カラムの形状や吸着剤、カラム温度を調整する。同一の分離条件では保持時間に差がある複数の成分を分離精度が低下させないようにし、かつ保持時間の差を少なくして短時間に測定できるようになっている。
【0004】
なお、貯留した呼気ガスを呼気分析部に送気するにあたってはキャリヤガスを利用し、ガスボンベからのキャリヤガスを介して圧送し、各カラムに導くようになっている。検査したい症状を考慮して吸着剤を選定する。なお、カラムは2本または3本使用し、吸着剤や形状に応じて温度設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−58919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
出願人が開発を進めている呼気分析装置は、呼気を収集した包袋を呼気吸込口に取り付け、呼気を分析装置内に取り入れる方式である。この呼気を呼気分析部すなわちカラムを介して検出器に導くためにキャリヤガスを利用している。このキャリヤガスはガスボンベから取り出しその圧力で検出器に圧送する。呼気取り入れ部も一定の容積を有し、ガスボンベも併設ないし架設しなければならない。したがって分析装置全体が大形でかつ重量体となり取り扱いも困難である。価格も高く容易に入手できない。しかも呼気分析行為自体の楽しみを提供するような器械とすることは困難で、自発的に使いたいという欲求を生起させるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が提供する呼気分析セットは、上記課題を解決するために、呼気を吸入し分析するための各構成要素を有機的に結合しセット状に構成したもので大別すれば第1、第2の2つの発明を提案する。
すなわち、本発明が提供する第1の発明は、呼気の流入孔を有し呼気を流入できる呼気流入部と、呼気を呼気流入部から吸入する呼気吸入機構と、吸入した呼気を分析する呼気分析部と、呼気を呼気分析部に送気する呼気送気機構と、呼気の送気量を計量する呼気計量部と、前記呼気分析部と呼気計量部からの出力信号を得てデータ処理し呼気の特性情報を出力するデータ処理部と、データ処理部からの出力を表示する表示部とを備え、かつこれらの各構成要素のうち少なくとも呼気計量部および呼気分析部を器台上の筐体内に収納した呼気分析セットである。したがって呼気送気機構と呼気分析部が筐体内に収納されているので、外気等の侵入、外部への呼気の流出はなく分析精度が保障される。
【0008】
本発明が提供する第2の発明は、呼気の流入孔を有し呼気を流入できる呼気流入部と、この呼気流入部に取り付けられた回転可能な風車と、呼気を呼気流入部から吸引する呼気吸入機構と、吸入した呼気を分析する呼気分析部と、呼気分析部に送気する呼気送気機構と、呼気の送気量を計量する呼気計量部と、前記呼気分析部と呼気計量部からの出力信号を得てデータ処理し呼気の特性情報を出力するデータ処理部と、データ処理部からの出力を表示する表示部とを備え、少なくとも呼気計量部および呼気分析部を筐体内に収納したものである。すなわち、呼気流入部に風車が回転可能な形で結合された点に特徴がある。したがって呼気分析操作が風車の回転にて動的にとらえられる。
【0009】
本発明は上記それぞれの特徴を有する呼気分析セットを基本とするとともに、これらを基本とし各構成要素の結合の仕方が異なるいくつかの具体例を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は筐体収納形のセットを基本とするものであり、全体としては小形軽量となる。本発明は、家庭における洗面所や公共施設さらにはコンビニエンスストア・薬局等の商店に設置しやすく、分析結果に合わせた商品情報を表示することで、健康上必要とする商品を指示し、その購入を手助けする。また、商店としてはこれらの設置が広告として機能する。また家庭での設置は健康管理に有益な情報を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が提供する呼気分析セットの構成を示す図である。
【図2】本発明が提供する呼気分析セットの構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明が提供する呼気分析セットの羽根車の回転により呼気吸入を行う方式のものである。
【図4】本発明が提供する呼気分析セットの図2の変形例である。
【図5】本発明が提供する呼気分析セットの呼気吸入・貯留・送気機構原理図(拡大図)である。
【図6】本発明が提供する呼気分析セットの図5の変形例(拡大図)である。
【図7】本発明が提供する呼気分析セットの構成を示す図である。
【図8】本発明が提供する呼気分析セットの構成を示す縦断面図である。
【図9】従来における呼気分析セットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明が提供する呼気分析セットの第1の特徴は、呼気を内部に貯留するための呼気流入を機械的な吸入手段すなわちスクリュー等にて吸引、圧送する方式を採用していることおよび呼気を呼気分析部に導く方法として機械的な圧送方式、具体的にはコンプレッサを使用することにある。
さらに本発明の第2の特徴は、その主要部の構成を親近感ある筐体に収容し、呼気分析についての関心、欲求を醸し出しあるいは、生起させるものである。
さらに本発明は、呼気流にて回転駆動させる風車が付設され呼気の分析、表示がこの風車にて動的に行われる点にある。これは検出結果の呼気情報をワイヤレスネットワークで風車に送信し、風車に設けた表示部にて表示する点も特徴の一つである。したがって本発明としてはこれら各特徴を備えた実施例が最良の形態である。
【0013】
本発明は特許請求の範囲の請求項1に示すとおり、風車の付設を絶対条件とするものではない。ただ風車を付設させ呼気分析が動的に行われる形態にすることで親近感を覚え、呼気分析が広く利用されることを特徴とするものであり、実施例は風車式となっている。
この風車式呼気分析セットは、3つの方式を挙げることができる。第1の方式は、呼気流で風車を回転させ、その回転で吸引機構を作動させて呼気を筐体内の貯留部に送気する方式であり、第2の方式は、近接センサで人体の近接を検出させ、風車の回転にて呼気吸引機能を生起させて、呼気を回転する風車の内方に貯留させる方式であり、第3の方式は呼気流に関係なく、表示器として機能するだけの方式である。
【実施例1】
【0014】
本発明が第1に提供する呼気分析セットの構成ならびに作動を図1にしたがって説明する。
図1は呼気分析セットを縦断面して示す図で、1は器台であり、呼気分析セットの主体をなす筐体2が設置されている。この筐体2は頂部が球状をなし下方は末広がりの円錐形をなしている。
この筐体2の頂部には左上から右下に向けた傾斜方向に呼気吸入機構5が差し込まれた形で取り付けられ、さらにこの呼気吸入機構5には呼気流入部4が一体的に取り付けられている。以下、この呼気流入部4と呼気吸入機構5の構成および作動を詳細に説明する。
【0015】
呼気流入部4は楕円状の球体をなし、その上方先端には呼気の流入を可能にすべき流入孔4Hが穿設されている。この呼気流入部4の先端には近接センサ4Sが設置されていて、人の顔や手などが近接すると信号を発し、電磁弁4Vと呼気吸入機構5のモータ5Mが作動を開始する。電磁弁4Vは中央内方部に内設されていて入口側の開口部4Kと排出側の開口部4Eが電磁弁4Vの作動にて開閉される。電磁弁4Vの作動にて付勢されると圧縮バネ4Dに抗して弁体4Tが図示のとおり変位する。この変位で開口部4K、4Eが開成され、流入孔4Hからの呼気の流入が可能となる。逆に電磁弁4Vが不作動のときは圧縮バネ4Dにて入口側の開口部4Kが閉塞され、呼気の流入は不可能になる。
【0016】
他方、呼気吸入機構5は呼気流入部4に流入される呼気を吸引し流入を増幅させるためのもので、上記のとおり人の顔が近づいてモータ5Mが駆動されると中空回転体5Pが回転される。したがって、呼気が発生されるとその呼気の吸引が行われる。その構成はモータ5Mにて回転駆動する中空回転体5Pが主体をなし、中空内にスクリュー5Sが内設されている。もちろんこの中空回転体5Pの上方端は呼気流入部4に連通する室内に位置し、したがって中空回転体5Pの回転にて吸引作用が生起されると、呼気は流入孔4Hから積極的に吸引され流入することになる。
【0017】
なお、中空回転体5Pは軸受8Zを介して呼気吸入機構5のブロック5Bに保持されモータ5Mにて円滑に回転駆動される。このブロック5Bの下方端すなわち呼気の開口部5K側には電磁弁5Vが配設されていて呼気吸入時は開口部5Kを開成され、吸入作動停止時は開口部5Kを閉止できるようになっている。
【0018】
つぎに呼気の分析を行う呼気分析部とこの呼気分析部に呼気を送気する呼気送気機構を説明する。
図1から明らかなとおり、筐体2の中段部には、上方から呼気送気機構6とその呼気送気量を計量する呼気送気量計部7および呼気分析部Aがこの順で収納容器3に配設され、この収納容器3が筐体2に内設されている。14は呼気吸入機構5と呼気送気機構6を連接する中空パイプで、この中空パイプ14は呼気貯留部として機能するようにすることもできる。このように呼気送気機構6と呼気分析部Aが収納容器3内に収まりかつ筐体2内に内設されることで、外気が呼気送気機構6や呼気分析部Aに侵入することはなく精度のよい分析が保証される。
【0019】
呼気吸入機構5からの呼気は中空パイプ14を介して導入され配設された中空回転体6Pに導かれる。この中空回転体6Pが回転されることにより呼気を次段の呼気分析部Aに圧送する。中空回転体6Pはモータ6Mにて回転駆動されるが、9Zはその回転を円滑に保障する軸受である。6Sは中空回転体6Pに内設されたスクリューである。
さらに呼気送気機構6の下方には呼気送気量を計量する呼気送気量計部7が設けられている。図示例は簡略な羽根車式の例が示されているが、この方式の器械に限定されるものではない。
【0020】
つぎに呼気の分析を行う呼気分析部Aの構成と作動を説明する。図示の呼気分析部Aは検出器D1〜D3を3個並設した例を示しているが、そのため呼気送気機構6からの呼気は3本の分流路L1〜L3に分流されてそれぞれキャピラリカラムC1〜C3に導かれ分離が行われる。なお、これら各キャピラリカラムC1〜C3と各ヒータH1〜H3および各検出器D1〜D3は一つの取付枠8に一体的に固定保持されている。検出器D1〜D3にて検出された出力情報はデータ処理器すなわちパーソナルコンピュータ10にそれぞれ入力されてデータ処理される。なおキャピラリカラムC1〜C3は温度調節が必要なことから各キャピラリカラムC1〜C3には調節可能なヒータH1〜H3が近接配置されて温調される。この温調は操作部SPからの信号により制御器13にて調整される。
【0021】
さらに本発明においては、時計装置12が器台1に内設されている。この時計装置12は呼気測定があらかじめ設定された時間または時刻に行われるという状況、事情にある場合、時計情報信号が制御器13の制御信号に合わせて入力されるようになっている。
【0022】
たとえば毎朝起床時7時に自分の呼気を測定して体調を確認するように設定している場合、7時より以前のある指定時刻からヒータH1〜H3が加温を開始し、呼気測定時にはヒータがキャピラリカラムC1〜C3を最適温度に加熱した状況を提供することができる。また図示例では器台1上に収納容器3を立設させこの内方に呼気吸入機構5や呼気送気機構6、呼気分析部Aなどを収容した例を示しているが、この収納容器3を設けない形式にすることも可能である。図1において11は蓄電池(バッテリ)で、上述した各種の作動、モータ5Mおよび電磁弁等の駆動力はこの蓄電池11からの出力(電気エネルギ)による。この蓄電池11は充電可能な二次電池が常用できるが、交流電流を利用する方式とすることもできる。
【0023】
以上の構成、作動の説明における電磁弁4V、5Vそしてモータ5M、6Mそしてパーソナルコンピュータ10の作動、時計装置12の作動などについての作動指令は操作部SPからの指示にて行われる。S1〜S4はそれぞれの指令スイッチである。この指令スイッチには呼気吸入から分析完了表示までの工程をすべて自動で行わせる全自動用スイッチも含まれる。
パーソナルコンピュータ10にて処理され出力された呼気情報は筐体2に設置した表示器15にて表示されるとともに、この呼気情報は無線発信器22を介してワイヤレスネットワークにも発信される。したがってワイヤレスネットワーク用の受信器、たとえば携帯電話や別に配置したパーソナルコンピュータ(図示せず)などにて受信でき、表示できる。なお、この呼気情報には身体の疾患名、病名のみならず治療のための薬剤名など含まれ、これらの情報がパーソナルコンピュータ10に収録されている。
【0024】
本発明が第1に提供する実施例の特徴は以上詳述したとおりであるが、その構成は上記ならびに図示例に限定されるものではなく種々の変形例を包含するものである。たとえば図示例では吸引した呼気の一定量を貯留する呼気貯留部を設けない構成であるが、たとえば中空パイプを設けないで呼気吸入機構5と呼気送気機構6との間の空間を呼気貯留部として構成し、貯留部を設けるようにすることができる。この場合、筐体2の内壁を利用することも可能である。なお、呼気流入部4および呼気吸入機構5について図示例に示す構成は一例であって図示例に限定されるものではない。特にモータ5Mや電磁弁4Vの構造、形状などは各種の構造のものを採用できる。吸入のためにスクリュー5S、6Sを利用する例を示したが羽根車にて圧送する方式を採用することも可能である。
【実施例2】
【0025】
つぎに本発明が第2に提供する実施例を説明する。本発明が提供する第2の発明は、図2に示すとおり呼気流入部4に風車Wが取り付けられ、図3に示すとおり呼気流入部4に風車WKが取り付けられている。これらの風車Wと風車WKは、前述のとおり装飾的な機能を備える第1の方式と、風車Wと風車WKが呼気吸入に関連する機能を備えた表示器として機能する第2の方式がある。
図2は本発明が第2に提供する実施例のうち第1の方式による構成を示すもので、呼気分析セットの上部すなわち収納容器3に取り付けられた呼気流入部4と呼気吸入機構5の部分を縦断面しかつ拡大してより詳細に示している。なお図2において図1と同一の符号で示される部品は図1と同様の機能を有するものであり、これらの部品についての詳細な説明は省略する。
【0026】
この第1の方式による実施例の構成の基本は、呼気が呼気流入部4に吹き付けられたとき、その呼気流にて風車Wが回転される方式のものである。そして、この回転を回転センサ19が検知してモータ5Mが駆動され、このモータ5Mの回転にて呼気を吸引する呼気吸入機構5が作動する。このとき開口部5Kを経て呼気が貯留部16に排出流入される方式のものである。貯留部16は収納容器3の外壁と呼気吸入機構5および呼気送気機構6にて形成される。このときモータ5Mの回転にて風車Wも付勢回転される。
【0027】
18は呼気流入部4の外枠と電磁弁4Vとの間に介設されたボール軸受で、呼気流入部4の円滑な回転を保障している。17は呼気を呼気分析部Aに送気する呼気送気機構6の上方の送気口6Hに設置された電磁弁で、呼気が貯留部16に流入されるときは送気口6Hを閉塞し、送気するとき開成するよう作動する。なお図2において呼気送気量計部7および呼気分析部Aの構成作動については図1と同一であり詳細な説明は省略する。
【0028】
以上詳述したとおりであり、図1に示す操作部SPからの指示にて貯留された呼気は呼気分析部Aに圧送され、電磁弁付きの呼気送気機構6を作動させる。そして電磁弁17が送気口6Hを開口すると内設のモータ6Mが作動して呼気が下方へ圧送される。呼気送気量計部7と検出器(図示せず)からの出力はパーソナルコンピュータ(図示せず)に送信されてデータ処理が行われ、呼気分析情報が出力される。
【0029】
この出力は、図2には示していないが図1に示すと同様、筐体2の下方位に付設された発信器にてワイヤレスネットワークで発信され、そして風車Wに付設されたネットワーク受信器20にて情報が受けられ風車Wに情報が表示される。表示の仕方には各種の方式があるが、呼気による健康情報を風車Wの各羽根ごとに、その表面に表示することを基本にしている。たとえば風車Wの各羽根のあるエリアASに文字で表示する方式や、そのエリアASを各種の色で表示する方式などがある。
【実施例3】
【0030】
本発明が第2に提供する実施例の第2の方式による構成は図3に示されている。この方式は人体が呼気流入部4に近づくと近接センサ4Sが検知して呼気流入部4に連設させた呼気吸入機構5と風車WKが同時に作動し呼気吸入が始められる構成となっているものである。すなわち、近接センサ4Sからの信号で電磁弁4Vが図示状態に作動する。この電磁弁4Vの作動と同時にモータ5Mが駆動を開始する。したがって呼気流入部4は中空回転体5Pと一体に回転を開始する。このとき電磁弁4Vは呼気流入孔の開口部4Kが開成されており、他方呼気吸入機構5の流入孔5Hは閉塞されている。
【0031】
他方風車WKには内方には呼気を収容できる包袋Bが内設されている。この包袋Bは伸縮自在な袋たとえばベローズのような形をしており、風車WKの回転による遠心力で外方に付勢されると容積が拡張され、その結果呼気を吸入路4Lを介して吸引する機能が生起する。風車WKは透明体で構成され、包袋Bの拡張により呼気の吸引収容が終了したことを確認できる。収容が確認できた貯留後は風車WKの回転を停止させると同時に電磁弁4Vの作動で開口部4Kが閉鎖され呼気が貯留される。図4はこの状態を示している。なお図3において図1、図2と同一の符号で示される部品は図1、図2と同一の部品であり、図4において図1、図2および図3と同一の符号で示される部品は図1、図2、図3と同一の部品でありそれらの詳細な説明は省略する。
【0032】
つぎに電磁弁4Vの作動を停止させ図5に示す状態にする。この状態では呼気吸入機構5における開口部5Kが開成される。この開口部5Kが開成された後呼気吸入機構5を作動させると風車WKの包袋Bに収容された呼気が、スクリュー5Sの回転にて吸引され中空パイプ14を介して呼気送気機構6側へ移されることになる。
以上の操作以後の操作すなわちキャピラリカラムC1〜C3による分離と検出器D1〜D3などによる呼気分析などの操作は上述したとおりであり説明は省略する。なお、図5に示される符号で図3に示す符号と同一の符号の部品は図3と同一の機能を有するものであり、これらの説明は省略する。
【0033】
本発明が第2に提供する第2の方式の呼気分析セットの特徴は以上詳述したとおりであるが、上記ならびに図示例に限定されるものではなく、種々の変形例を挙げることができる。
たとえば図示例では呼気を貯留する袋をベローズで示したが、弾力性に富んだ風船を代用できるなどの変形例を挙げることができる。
以上、本発明が提供する第1の呼気分析セットと第2の呼気分析セットについて説明したが、本発明はさらに図6から図9に示す各種の変形例を挙げることができる。これらは器台や筐体さらには風車の形態による変形例である。
【0034】
図6は呼気分析セットの呼気の分析本体部ABを小形化して器台1Sに近接させた小形の呼気分析セットで、器台1Sに対して風車WSが相対的に大きくなっている。器台1Sから支柱状の筐体PTが取り付けられその先端に呼気流入部4Wが設置されている。この呼気流入部4Wは風車WSと一体的に形成され、先端部に流入孔4Hが穿設されている。
【0035】
この風車WSは筐体PTの先端に回転自在に取り付けられたモータCMにて回転駆動される。器台1Sには分析本体部ABが設置されていて、この分析本体部ABには図1に示す呼気送気量計部7と呼気分析を行うキャピラリカラムと検出器および呼気送気量計部7からの出力信号を受けてデータ処理するパーソナルコンピュータ等が収納されている。ACは分析本体部ABのカバーであるが、分析結果を表示する表示器も兼ねており、呼気情報が表示される。同時にこのカバーACには呼気情報をワイヤレスネットワークに発信する発信器ADが設置されている。なお、支柱状の筐体PT内は呼気を貯留できるよう中空状で、必要により内方に呼気吸入機構5を配設することもできる。
【0036】
図7は図6で示した支柱状の筐体PTを器台1Sに設置した実施例の変形例で、風車WMの形状に特徴がある。この風車WMは植物の葉あるいは花の形状を2重形にかたどったもので、小さい呼気量でも回転できる。もちろん筐体PTに対してはボール軸受等を介して小抵抗で支持されている。なお、図7に示される符号で図6に示す符号と同一の符号の部品は図6と同一の機能を有するものであり、これらの説明は省略する。
【0037】
図8は花瓶状の筐体FTで構成された呼気分析セットで、筐体FTの頂上部に風車WLが回転自在に設置された例である。この実施例も呼気を風車に吹き付けることにて風車WLを回転させ、呼気を筐体FT内の分析部に送り込むように構成されている。なお、図8において4Zは呼気流入部を示している。
【0038】
図9はこの花瓶状の筐体FTの呼気分析セットを縦断面して示す図である。この図8、図9に示される呼気分析のための各構成要素は図1および図2に示す各要素と同様の機能を有するものであり詳細な説明は省略する。
【0039】
本発明が提供する呼気分析セットは以上詳述したとおりで、各構成要素を小形軽量かつ操作が手軽で、親近感のある形状のセット(花瓶等の筐体)に収納し、しかも特に呼気圧送部をコンプレッサ等にて構成し、呼気を確実にガス検出器に供給するようにする点に特徴がある。したがって、コンビニエンスストア・薬局等の商店や、洗面台等に手軽に設置でき、ユーザが気軽に利用できる。また、玩具(かざぐるま)に似せた形状・動きで、測定情報をダイナミックに表示でき、呼気分析を楽しめる。
この分析セットを目立つ場所に設置すると、呼気分析を試してみたいという気持ちが生起し使用した結果、お勧め商品の広告が見られる頻度が増え、店舗での据付では販売促進に繋がる。
【0040】
本発明が提供する呼気分析セットに関するその他の特徴としては、つぎの4点を挙げることができる。
第1にワイヤレスネットワーク方式の採用であり、第2に風車付設方式で測定の始まりをアフォードするものであり、第3に風車にデータ表示部が設けられている点であり、さらに第4に風車の回転で呼気吸引する方式となっている点である。
【0041】
一例として使用例を説明するとつぎのとおりである。
1)ユーザは商品棚等に設置された呼気分析セット(たとえば図2に示すセット)の風車W(呼気吸入口及び回転表示ディスプレイ部)に呼気を吹きかける。
2)呼気によって風車Wが少しでも回転すると、回転センサ19がそれを検知し、呼気分析セットは流入孔4Hから呼気を吸入し、分析を開始する。
3)分析された結果は、ワイヤレスネットワーク機を利用してデータベースに照合される。照合結果をもとに、データベースから結果表示として相応した情報(測定結果の情報やグラフ、お勧め商品情報)のデータがワイヤレスネットワーク機に送信され、回転中の風車Wに表示される。呼気の吹きかけが終わっても、情報表示中は内蔵されたモータ5Mで風車Wは回転し続ける。
4)情報表示が終了すると、モータ5Mは停止し風車Wは自然に停止する。ユーザは提供された情報をもとに、買い物等をする。
【0042】
本発明が提供する呼気分析セットの特徴は以上詳述したとおりであるが、上記ならびに図示例に限定されるものではない。たとえば、図示例では呼気分析部の主要部であるキャピラリカラムC1〜C3および検出器D1〜D3を3個にした例を示しているが、これらの個数は3個に限定されるものではない。また図示例は呼気送気機構6と呼気分析部Aとを分離別体にしているが、これらを一体的に構成することもできる。なお本発明においては、器台1と筐体2を区別して説明したが、筐体の底部が器台を兼ねる場合もあり、すなわち器台と筐体が一つで構成される場合もあり、本発明における「器台」と「筐体」の特定はこのように解決されるものとする。本発明はこれら変形例をすべて包含するものである。
【符号の説明】
【0043】
1 器台
1S 器台
2 筐体
3 収納容器
4 呼気流入部
4W 呼気流入部
4D 圧縮バネ
4E 開口部
4H 流入孔
4K 開口部
4L 吸入路
4S 近接センサ
4T 弁体
4V 電磁弁
4Z 呼気流入部
5 呼気吸入機構
5B ブロック
5H 流入孔
5K 開口部
5M モータ
5P 中空回転体
5S スクリュー
5V 電磁弁
6 呼気送気機構
6H 送気口
6M モータ
6P 中空回転体
6S スクリュー
7 呼気送気量計部
8 取付枠
8Z 軸受
9Z 軸受
10 パーソナルコンピュータ
11 蓄電池
12 時計装置
13 制御器
14 中空パイプ
15 表示器
16 貯留部
17 電磁弁
18 ボール軸受
19 回転センサ
20 ネットワーク受信器
22 無線発信器
A 呼気分析部
AB 分析本体部
AC カバー
AD 発信器
AS エリア
B 包袋
C1〜C3 キャピラリカラム
CM モータ
D1〜D3 検出器
FT 筐体
H1〜H3 ヒータ
L1〜L3 分流路
PT 筐体
S1〜S4 指令スイッチ
SP 操作部
W 風車
WK 風車
WL 風車
WM 風車
WS 風車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気の流入孔を有し呼気を流入できる呼気流入部と、呼気を呼気流入部から吸引する呼気吸入機構と、吸入した呼気を分析する呼気分析部と、呼気分析部に送気する呼気送気機構と、呼気の送気量を計量する呼気計量部と、前記呼気分析部と呼気計量部からの出力信号を得てデータ処理し呼気の特性情報を出力するデータ処理部と、データ処理部からの出力を表示する表示部とを備え、互いに有機的に結合して器台に設置したことを特徴とする呼気分析セット。
【請求項2】
呼気の流入孔を有し呼気を流入できる呼気流入部と、呼気を呼気流入部から吸引する呼気吸入機構と、吸入した呼気を分析する呼気分析部と、呼気分析部に送気する呼気送気機構と、呼気の送気量を計量する呼気計量部と、前記呼気分析部と呼気計量部からの出力信号を得てデータ処理し呼気の特性情報を出力するデータ処理部と、データ処理部からの出力を表示する表示部とを備え、少なくとも呼気計量部および呼気分析部を器台上の筐体内に収納したことを特徴とする呼気分析セット。
【請求項3】
呼気の流入孔を有し呼気を流入できる呼気流入部と、この呼気流入部に取り付けられた回転可能な風車と、呼気を呼気流入部から吸引する呼気吸入機構と、吸入した呼気を分析する呼気分析部と、呼気分析部に送気する呼気送気機構と、呼気の送気量を計量する呼気計量部と、前記呼気分析部と呼気計量部からの出力信号を得てデータ処理し呼気の特性情報を出力するデータ処理部と、データ処理部からの出力を表示する表示部とを備え、少なくとも呼気計量部および呼気分析部を筐体内に収納したことを特徴とする呼気分析セット。
【請求項4】
呼気吸入機構は、呼気流入部に連通するパイプ内に配設したスクリューと、このスクリューを回転駆動させる回転駆動源にて構成されていることを特徴とする請求項1記載の呼気分析セット。
【請求項5】
呼気吸入機構の回転駆動源が風車であることを特徴とする請求項2記載の呼気分析セット。
【請求項6】
呼気吸入機構の回転駆動源が電動機で構成されていることを特徴とする請求項3記載の呼気分析セット。
【請求項7】
呼気吸入部には風車が呼気にて回転したことを検出するセンサが設置され、風車の回転を検出したセンサからの出力信号で呼気吸入機構が作動することを特徴とする請求項2記載の呼気分析セット。
【請求項8】
呼気吸入部には、人体が呼気吸入部に近接したことを検出する近接センサが設置され、人体の近接によるセンサの出力信号で呼気吸入機構が作動することを特徴とする請求項1記載の呼気分析セット。
【請求項9】
呼気吸入機構と呼気送気機構との間に呼気貯留部を設けたことを特徴とする請求項1記載の呼気分析セット。
【請求項10】
呼気吸入機構と呼気送気機構と呼気分析部とを一体的に保持する保持枠を介して前記各機構を筐体内に収納したことを特徴とする請求項1記載の呼気分析セット。
【請求項11】
呼気分析部は送気されてきた呼気をその成分ごとに分離する分離カラムと、分離された各成分を検出する検出器により構成されていることを特徴とする請求項1記載の呼気分析セット。
【請求項12】
呼気分析部における検出器の温度設定を時間管理する時計装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載の呼気分析セット。
【請求項13】
データ処理部からの出力がワイヤレスネットワークに発信できる無線発信機を介して行い得るよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の呼気分析セット。
【請求項14】
ワイヤレスネットワークの信号受信機が風車に設置され、風車にデータ処理部からの出力を表示する表示部が設けられていることを特徴とする請求項11記載の呼気分析セット。
【請求項15】
筐体は、家屋、店舗、病院、公共施設の出入り口、玄関、休憩室、会議室、化粧室等における棚、台上に載置できる物品であることを特徴とする請求項1記載の呼気分析セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−145424(P2010−145424A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61749(P2010−61749)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3135149号
【原出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】