説明

呼気分析

発明は、制御された強制呼気を送出することができないかもしれない被験者の呼気分析のための方法および装置に関する。呼気サンプリングは本質的に非接触式であり得、周囲空気との混合を防止する部分的還流に基づく濃度保存効果を呈する受け口(2)を介した測定セル(4)への能動的空気取入れによって与えられる。分析は、たとえばエチルアルコールなどの揮発性有機物質、およびたとえば二酸化炭素などの生理的基準物質の濃度の判定を含むIR分光分析によって行なわれる。サンプリングのタイミングはオペレータからの開始コマンドによって制御され、空気取入れの持続時間は測定セルからのセンサ信号によって制御される。装置は、片手ユニット(1)、交換可能受け口(2)、およびドッキングステーション(3)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気中の、たとえばエチルアルコールなどの揮発性物質の検出のための呼気分析の現在の適用可能性を広げることに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の適用可能性は、協力度および被験者に求められる生理的能力に関して厳しい限界を有している。本発明は、強制呼気を与えることによる協力ができない人を意味する無力な人、および肺活量が減少して肉体的または生理的に障害を有する人の呼気分析を可能にする。
【0003】
現在、医療システムにおける意識不明患者のアルコール濃度の判定は、血液サンプルの実験室分析によってのみ可能であるが、これは費用が高くかつ1時間超かかることがしばしばである。現行技術に従う酔度計は、ぴったりフィットするマウスピースを用いて、0.7−1.2リットルのサンプル容量の強制呼気を含む、被験者の能動的協力を必要とするため、呼気分析は意識不明の患者には実際的でない。
【0004】
スウェーデンの救急医療は、毎年約5万件の意識不明患者を受入れており、患者は主に脳卒中、癲癇、心筋梗塞、昏睡、外傷、またはアルコールもしくは薬物中毒を患っている。公表統計値によると、スウェーデンでは、急性アルコール中毒により毎年約250人が死亡しており、これは中毒のうち最も一般的な原因でもある。
【0005】
アルコールによる影響を客観的かつ迅速に判断するための方法および機器がないために、症状の解釈が困難な場合に誤った治療が行なわれたり、または治療が全く行なわれなかったりすることがある。最悪の場合、これは生死を分ける問題となり得る。救急医療において迅速なアルコール判定が利用できれば、心筋梗塞、脳卒中、昏睡、または外傷が、より簡単に対処されるアルコール中毒と間違われる可能性が低くなるであろう。
【0006】
救急車の運用者、救助隊、救急医療センターの臨床医、およびその他は、改良された呼気分析方法および装置から利するであろう。適用例は、警察が行なう飲酒検知法、および飲酒運転防止のためのアルコロック(alcolock)を含む。これらの適用例では、時間がかかるだけでなく、被験者の大きな労力をも必要とする肺活量強制呼気を送出することが一般に要件とされる。さらに、現行技術に従う呼気分析器は一般的に、衛生上の理由により置換可能なマウスピースを備えている。被験者が気密シールをマウスピースに貼ることができることが想定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
適用可能性拡大の見込みのある機器および方法は以下の要件を満たす必要があろう。サンプリングおよび分析は基本的に被験者の肺活量とは独立していなければならない。すなわち、必要なサンプル容量および流量が最小限であるとともに、自発的換気および補助された換気の両方に適用可能でなければならない。意識不明の人または障害のある人は、著しく減少した1回換気量、すなわち通常の受動的呼吸の値500mlと比べた各呼吸の容量、を呈し得る。さらに、容易な操作、速度、精度、選択性(実際の物質の同定)、信頼性、感染からの保護、および環境的持続性に対する要求は高い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以上で表された要件を満たす。サンプリングは、目的のために設計された受け口を人の口および鼻の近くに位置決めすることにより物理的接触が基本的にない状態で、しかし先行技術に従うマウスピースの場合のように開口を封止せずに、行なうことができる。発明に従う受け口は好ましくは、呼吸気流に大きな抵抗を加えずに濃度保存効果を呈する。サンプル容量は50ml未満、すなわち通常の受動的呼吸の10分の1である。エチルアルコールまたは他の揮発性有機物質の濃度の判定は、受け口に接続される測定セルで直接に行なわれる。測定セルへの空気取入れは、有利にはポンプによって能動的に行なわれる。
【0009】
受け口の濃度保存効果は、入口開口を含むその形状に基づいている。受け口は、サンプリングの際、被験者の口および鼻に隣接して保持される。入口開口の面積は典型的に被験者の口または鼻の開口の断面よりも大きい。このように、これは噴流のような呼気流を効果的に集めるであろう。受け口は典型的に、好ましくは被験者の1回換気量よりもはるかに小さい部分的に閉じ込められた内側容量を有するカップ、マグ、漏斗または柄杓のように形作られる。入射呼気流が内側容量を満たし、これにより既に存在する周囲空気を排気する。流れは、呼気分析が行なわれる測定セルの中へ流れる1つの分岐と、入口開口に再方向付けされる別の分岐とに分散される。この還流分岐が保護カーテンを形成し、入射する流れが周囲空気と混ざってしまうのを防止し、こうして濃度保存の効果を与える。すなわち呼気サンプルが周囲空気で希釈されることがない。
【0010】
濃度保存効果により、測定セル内の物質の濃度は内部の気道の濃度に近似し、ずれは、他の誤り源と比較してわずかであると考えられ得る。
【0011】
本発明の重要な性質は、アルコール判定と同時に行なわれる、たとえば二酸化炭素などの生理的基準物質の判定である。内部の気道内の基準物質の濃度はわかっていると考えることができるので、通常よりも低い測定値はサンプルが周囲空気で希釈されてしまっていることの兆候である。通常値に対する基準物質の判定はこのように、分析品質の尺度である。二酸化炭素の通常の分圧は4.8kPaである。代替的に、通常値が45mg/lである水蒸気を生理的基準として用いることができる。
【0012】
生理的基準の同時判定は、精度の向上、誤った負の出力の可能性の最小化、および操作の簡略化を意味する。受け口の位置決めの重要性はより低くなり、口または鼻をぴったり封止する必要性がなくなる。さらにアルコール読取値または他の未知の物質の一義的かつ永続的な品質測定値が得られる。
【0013】
サンプリングの前に測定セルは自動的にゼロ化され、その後準備ができていることが示される。分析結果は好ましくはサンプリング終了後5秒以内に提示される。測定セルを通る空気の流れはサンプリングおよびゼロ化の際にのみ発生し、その結果、測定手順が完全に動作制御される。これは信頼性および環境的持続性にとって重要である。測定セルが破壊的な環境による影響に晒される可能性が最小限である。
【0014】
好ましくは、未知の物質と基準物質との両者の測定原則として赤外(IR)分光分析が用いられる。測定セルは、選択された透過帯用の帯域フィルタを備えるIR検出器に当たる広帯域IRエミッタからの放射により徹照される。エチルアルコールは好ましくは、ゼロ化の際に清浄な空気中で測定される基準レベルと比べて波長範囲3.3−3.5μmで減少していく透過率として検出される。二酸化炭素は、4.2−4.3μmで透過または吸収ピークが対応して低下し、水の場合はこれは2.5−2.8μmである。
【0015】
精度の要件を満たすため、測定セルはIR放射用の長い透過経路を有する必要がある。小さな全体的物理的サイズという競合する要件は、複数の凹面鏡の配置を用いることによって解消できる。
【0016】
IR分光分析により、実際の波長範囲中に吸収ピークを有するすべての物質の同定と定量化との両方が可能である。IR分光分析は、信頼性について、他のセンサ原則分光分析と比べて基本的な利点を有する。すべての測定機会において、基準線の安定性を、これを以前の測定値と比較することによって評価することができる。これにより、IR源、反射面、フィルタ、および検出器の経時的な変化を完全に制御することができるようになる。さらに、方法の感度は基本的に、触媒作用に基づくセンサとは対照的に、時間非依存である。したがって、定期的な較正の必要性がなくなる。
【0017】
発明の詳細な特性は図面に関する以下の本文に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発明に従う方法の実施形態の要素のフローチャートを示す図である。
【図2】発明に従う装置の好ましい実施形態のブロック図である。
【図3】発明に従う受け口の好ましい実施形態および関連の空気の流れを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1のフローチャートは異なる10個の状態を示し、各々の状態がボックスで図示される。10個の状態は2つのカテゴリに分けられる。1つは、実際の呼気分析についての能動的状態を参照する「UD」で標識付けされる一方で、「D」は動作の機会の間の受動的状態である。この省略形は「ドッキング解除」および「ドッキング」を指す。発明に従う呼気分析器は、手持ちユニットのためのドッキングステーションを含む。能動的状態では、手持ちユニットはドッキング解除され、この逆も然りである。
【0020】
発明に従う典型的な手順では、装置は、符号「ON」で図示されるように、ハンドユニットをドッキングステーションから移動させることによって非作動から作動状態カテゴリに移る。次に、測定セルの自動ゼロ化および機能テストが状態「0」で行なわれ、その間ハンドユニットの表示は、図1に図示されるような符号「…」で待機状況を示す。
【0021】
ゼロ化の際、周囲空気が測定セルの中にポンピングされるので、そのゼロレベルは有機物質と二酸化炭素との両者について基本的にゼロである現在の空気組成の周囲空気に関することになる。機能テストは測定変数の絶対値に関し、ここでは、前回の測定値からのずれおよび基線変動は、ある承認される公差内になければならない。そうでない場合、エラー表示が後に続く。
【0022】
ゼロ化が行なわれると、準備ができていることが符号「!」によって示され、サンプリング「X」が始まる。次にオペレータは被験者の口および鼻に隣接して受け口およびハンドユニットを位置決めし、スタートボタンを押すことによってサンプリングを開始する。次に、空気が測定セルを通して受け口を介してポンピングされる。サンプリングおよびポンピングは、あるCO2濃度に達するまでまたはそれよりも長く続く。オペレータは手動でサンプリング停止を選択してもよい。好ましくは、サンプリング、分析および信号提示はリアルタイムで行なわれる。
【0023】
分析状態「Z」は異なる符号「…」および「□」で示され、サンプリングと同時にまたはサンプリングのわずかに後に起こり得る。分析の結果は、その後、図形で、数字で、または他の形態のいずれかでディスプレイ上に提示される。
【0024】
結果の提示の後、オペレータは、ハンドユニットをドッキングステーションに戻すかまたは新たな測定「N」を行なうかを選択してもよく、これにより手順をゼロ化以降から繰返す。ドッキングの際、ハンドユニットの電池の充電「RC」とともにより広範な機能テスト「ST」を行なう。最後に、装置はスリープ状態「S/B」に移る。
【0025】
図2は、発明に従う装置の好ましい実施形態のブロック図を示す。基本的に、装置は、3つの置換可能なユニット、すなわち受け口2、ハンドユニット1、およびドッキングステーション3からなる。ハンドユニット1からの受け口2の置換は、衛生上の理由および感染からの保護の要件が動機となる。受け口2は被験者の口および鼻に近いその位置で容易に汚れ得、したがって、別の被験者のサンプリングの前に交換されるかまたは清浄される必要がある。ドッキングステーション3に対するハンドユニット1の置換は、ハンドユニットをスリープ状態から、時間のかかる機能テストを行なわずに迅速に取出さなければならないことが動機となる。信頼性のある電圧供給という要件が別の理由である。
【0026】
受け口2は典型的に、被験者の口および鼻の開口より大きい、より大きな入口開口24を有するカップ、マグ、漏斗または柄杓のように形作られ、それらに向けられると、サンプリングの際、典型的には噴流を形成する呼息流を効果的に受ける。一方で、吸息流はより湾曲した経路を取り得る。
【0027】
受け口2の形状は、実際の適用例に依存して、10−100mlであり得る内側容量を規定する。ハンドユニット1およびその測定セル4に接続するより小さな内側開口も存在する。好ましくは、液体の滴および粒子の分離のための要素31も存在する。さらに、受け口2は有利には、たとえば鼻および顎先などの身体の部分への固定のための機械的支持要素を含む。これは、呼吸の補助のためのフェースマスクまたは他の補助具に接続するための手段も含んでもよい。これらの実現例の詳細は図2には含まれていない。
【0028】
受け口2の入口開口24の断面積は、典型的な被験者の鼻および口の開口の対応の面積よりも大きい。十分な余裕のある被験者の口または鼻からの噴流のような空気流は、本質的に損失なしにかつ正確な位置制御の必要なく、受け口2の内壁で受けられる。入射する空気の流れが右方向を示す3つの矢印として図2に示される。噴流が受け口2の内壁に当たると、これは、受け口2の内側開口を介して測定セルを通る1つの分岐と、まず中心から移動して、その後入射する流れと比べて逆の流れとなる別の拡張する分岐とに分散される。流れの反射または還流は受け口の側壁から発し、これは少なくとも部分的にそれ以上の径方向の拡張を防止する。還流は、息のサンプルが周囲空気と混ざらないように保護することにより、先に言及した濃度保存効果の元となる。
【0029】
ハンドユニット1は、測定セルの内側容量内の気体のIR分光分析のために設計された測定セル4を含む。IR源10から、典型的には2−6μmの比較的広い波長範囲で電磁放射が黒体放射によって発せられる。好ましくは、システムの基線変動を回避するため、IR源は2Hz以上の繰返し周波数で変調される。測定セル4は、反射係数が0.98以上である金またはアルミニウム製の高反射性面を有する成形壁6によって囲まれる。合焦面に対する複数の反射により、大きなアパーチャおよび長い光路に対する要求と測定セル4の小さな物理的寸法とを組合せてもよい。典型的な外側寸法は40×50×5mmであり、内側容量は5mlである。
【0030】
IR検出器8、9は、IR源10からの放射を受けるため、好適な位置に位置する。検出器8は好ましくはIR源10への光路がより短くなるように位置決めされ、CO2の吸収帯4.2−4.3μm、代替的に水蒸気の場合は2,5−2,8μm、に適合される。検出器の前方には、この波長範囲に厳密に適合された帯域通過型干渉フィルタ13がある。対応して、検出器9は、波長範囲3.3−3.5μmでの、たとえばエチルアルコールなどの有機物質の検出に適合され、したがって干渉フィルタ14を用いて、光路がより長くなるように位置決めされる。光路が20cmの場合、0.02mg/lのエチルアルコールの分解能が得られる。光路を長くすることにより、代替的に検出器9とノイズがより低い増幅器12とを用いて、より高い分解能が得られ得る。
【0031】
発明の好ましい実施形態では、サンプリングおよびゼロ化の際に、測定セル中への空気の流入を停止することができる。サンプリングの際、これは、CO2濃度があるしきい値に達したときに行なわれ得る。流れがないことにより、測定セル4内での空気の動きによって生じる外乱およびノイズが最小化される。これにより、揮発性有機物質の判定について最大の分解能を得ることができる。
【0032】
有機物質の同定の要求がある場合、検出器9は波長範囲が3.0から3.6μmの複数のフィルタ14の組を含んでもよい。この範囲内の信号の関係のある部分を分析することにより、個別の物質の分子構造が吸収ピークの個別に異なる微細な構造を与えるので、当該個別の物質を同定することができる。
【0033】
代替的な実施形態では、フィルタ13、14は、低い作製コストのために有利であり得る、たとえば回折格子などの多変量分析用の他の分散要素によって置換されてもよい。
【0034】
受け口2を介し、測定セル4を通した呼気サンプルの輸送は好ましくは、ポンプ16によって能動的に、配管25、26、27を介して周囲空気への出口開口28へと行なわれる。ポンプ16は有利には、作動されていない際は、たとえば埋込み逆止め弁によって閉じられる。ポンプ16は蠕動ポンプであってもよく、または膜、遠心機もしくははめ歯歯車を用いてもよい。典型的に、体積流量は1秒当たり1−10mlである。測定セルへの空気の流れは、装置がスリープまたは収容状態にある際に環境的影響から測定セル4を保護するために、ゼロ化およびサンプリングの間を除いて常に閉じられていることが好ましいであろう。
【0035】
測定セルは好ましくは、反射面5が体温以上に加熱される加熱構成7を含む。構成7の目的は、反射面上の水滴の結露を回避することである。好ましくは、圧力変換器20を用いて、ポンプの作動から生じる圧力低下をモニタする。このように、受け口2が正しく接続されているか否かを検出することができる。これに代えて、専用センサ構成21、22を用いて受け口2の存在の識別および検出を行なう。
【0036】
IR検出器8、9、圧力変換器20、センサ21、およびスタートボタン23からの信号は、増幅器11、12を介してマイクロプロセッサ18へ取入れられ、ここでは図1のフローチャートに記載のパターンによって定められる予めプログラムされたシーケンスに従って信号処理が行なわれる。マイクロプロセッサ18はアナログからデジタルへの変換を行ない、制御信号をバッファ段19を介してIR源10、加熱構成7、ポンプ10、およびディスプレイ15へ発することができる。
【0037】
ディスプレイ15は、好ましくは不利な照明条件および観察角度でも見ることができる、図形、色または英数字による分析結果およびシステムのさまざまな状態についての情報を提示する。
【0038】
ハンドユニット1は再充電可能電池17によって電源供給され、その状況はディスプレイ15上に象徴的に示される。ハンドユニット1がドッキングステーション3に接続されている場合、電池17は自動的に電源ユニット29に接続され、電源ユニットは、電源または他の源を介してこれに必要なエネルギを供給し、次のドッキングまでの必要な回数の呼気分析を管理する。ドッキングの際、マイクロプロセッサ18とドッキングステーション中の別のマイクロプロセッサ30との間の接続が確立される。次に、ハンドユニットのローカルメモリに記憶される情報のバックアップを与えるデータ通信とともに、より広範な機能制御が実行される。
【0039】
図2のさまざまな構成要素およびブロックはそれらの物理的サイズに従って描かれていないことに留意すべきである。ハンドユニット1は好ましくは、単純な使用に対する要求を満たすため、容量が500ml以下である。ハンドユニット1は好ましくは、ユニットを動作させるのにスタートボタン23しか必要としないことによって可能になる片手使用向けに設計される。予めの設定、プログラミング、較正、および他の調整は好ましくは、ユニットがドッキング状況にある場合およびコンピュータに接続されている場合に行なわれる。
【0040】
図3は、発明に従う受け口の好ましい実施形態を概略的に示す。この実施形態では、受け口は、1つの内側入口チャネルと、流れの方向が反対の1つの外側出口チャネルとに同軸に分割される。
【0041】
口または鼻の開口40からの呼気の流れが右方向を示す3つの矢印として描かれる。受け口41は、鼻/口の開口40に隣接しておよびこれから比較的近い距離に、必ずしもこれまたは他のいずれの身体の部分にも接することなく位置決めされている。受け口41は、口/鼻の開口40に向けた開口とともにある容量を規定する外壁42を有する。そのサイズは所望のサンプル容量を超えない。さらに、受け口41は、外壁42のように、口/鼻の開口40に向けてそれ自身開口している内壁43を含む。内壁43の開口は好ましくは、外壁42の開口によって完全に囲まれる面積を有する。壁42および43は互いに対してピンで固定される、または対応して、図示されないが、最小限の流れ抵抗を有する。口/鼻の開口40から見ると、受け口41は2つの同心の開口を有する。壁42および43が円形の断面を有するように描かれていることは、単なる設計例と見るべきである。他の形状が可能であり、有利であり得る。
【0042】
受け口41の開口47は、好ましくは、口/鼻の開口40をうっかり塞ぎ、そのために被験者が息ができなくならないように設計される。壁42および43は好ましくは、その目的のために、少なくとも1cm2の合計断面積を有する1つまたはいくつかの側方の穴48を備える。受け口41の対称軸に沿って、装置の測定セルへの接続部45を有する受入管44がある。
【0043】
口/鼻の開口40からの呼吸気は内壁43の開口47を通って入射し、次に測定セルへの受入管44を通る1つの分岐と、外壁42の曲率に従う別の分岐とに分散される。その形状は、空気の流れを入射する空気の流れと反対方向に導く。内壁43は、外壁42の曲率と組合さって、渦の形成および乱流を防止する。開口47および中間空気層46は流れの方向が反対の内側および外側流れチャネルを規定する。
【0044】
発明に従う方法および装置は以下に記載する請求項の枠組みの範囲内で多くの態様で変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気分析のための方法であって、
吐き出された空気の流れを受けるために被験者の口および鼻の開口に隣接して位置する、濃度保存効果を有する受け口(2;41)の入口開口(24)を通した測定セル(4)への空気取入れによるサンプリングを行なうステップを含み、
これにより前記流れは、前記受け口の形状により、前記測定セルに繋がる1つの分岐と前記入口に流れて戻る別の分岐とに分散され、これにより入射する流れが周囲空気と混ざることから保護され、これにより前記濃度保存効果が得られ、さらに
前記測定セルによる、たとえばエチルアルコールなどの揮発性有機物質、およびたとえば二酸化炭素などの生理基準物質の濃度の判定のステップを含む、方法。
【請求項2】
オペレータからの呼気サンプリングのための手動開始コマンドと、空気取入れの持続時間が前記測定セル(4)からのセンサ信号によって制御されることと、結果の提示がサンプリングの間にまたはサンプリング終了直後に行なわれることと、サンプリングおよびゼロ化の際の空気の流れが有機物質の分析の前に停止されることとを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サンプリングは1秒当たり50mlおよび10mlをそれぞれ超えない容積および空気の流れを備え、流れの抵抗がわずかな場合、サンプリングは本質的に非接触式であり、空気取入れはポンピング要素(16)によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ゼロ化および機能テストは自動的に行なわれ、測定変数の時間変化の絶対値および受け口(2;41)の存在に対する制御を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記判定はIR分光分析によって行なわれ、前記呼気のサンプル内のエチルアルコール以外の揮発性有機物質の存在を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
サンプリングのタイミングはオペレータからの開始コマンドによって制御され、空気取入れの持続時間は測定セルからのセンサ信号によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
測定セル(4)と、サンプリングの間に吐き出された空気を受けるために被験者の口および鼻に向けられる入口開口(24)を含む、前記測定セルに接続される受け口(2,41)と、測定セルへのコネクタ(45)とを備える呼気分析器であって、
受け口(2,41)は、前記入口開口(24)で受けられた吐き出された空気の流れの一部が前記測定セルに与えられ、一部が前記入口開口(24)に還流して戻るような外形を有するカップ、漏斗、または柄杓の形状を有することを特徴とする、呼気分析器。
【請求項8】
前記受け口(2;41)は交換可能であり、前記呼気のサンプル内から液体の滴または粒子を分離するための要素と、たとえば鼻および顎先などの身体の部分への固定のための機械的支持要素とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の呼気分析器。
【請求項9】
前記測定セル(4)は、多変量IR分光分析のための光源、反射器、分散要素、および検出器を含むことを特徴とする、請求項7に記載の呼気分析器。
【請求項10】
片手で操作されるハンドユニット1と、交換可能受け口(2;41)と、非作動時に前記ハンドユニット(1)を置くためのドッキングステーション(3)とを含むことを特徴とする、請求項7に記載の呼気分析器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−517276(P2012−517276A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549124(P2011−549124)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050146
【国際公開番号】WO2010/093317
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(509215617)ホエーク・インスツルメント・アクチボラゲット (2)
【Fターム(参考)】