品質の向上した偽造媒体の検出
媒体確認のための分類装置を作成するための方法。真性な媒体アイテムからのすべての一組のトレーニング画像からの情報は、後で各トレーニング・セット画像をセグメント分割するために使用されるセグメント分割マップを形成する。特徴は、セグメントから抽出され、好適には、1クラス統計分類装置であることが好ましい分類装置を形成するために使用される。例えば、媒体が、異なる貨幣および金種の銀行券である場合には、偽造紙幣の例を使用しなくても、分類装置を迅速におよび簡単に形成することができる。このような分類装置を使用する媒体確認装置およびこのような分類装置を使用する銀行券を確認するための方法についても説明する。好ましい実施形態の場合には、異なる数のセグメントを有する複数のセグメント分割マップが形成される。高品質の偽造媒体アイテムが媒体アイテムの母集団内に入ってきた場合には、媒体確認装置は、再トレーニングしなくても、もっと多くの数のセグメントを有するセグメント分割マップの使用に切り替わることにより直ちに反応することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を確認するための方法および装置に関する。本発明は、特に、パスポート、小切手、銀行券、債権、株券または他のこのような媒体のような品質の向上した偽造媒体に反応することができるこのような方法および装置に関するものであるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2005年12月16日付けで出願された米国特許出願第11/305,537号の一部継続出願である2006年3月2日付けで出願された米国特許出願第11/366,147号の一部継続出願である。2006年3月2日付け出願された米国特許出願第11/366,147号および2005年12月16日付けで出願された米国特許出願第11/305,537号は、参照により本明細書に組み込むものとする。
【0003】
簡単で、信頼性が高く、コスト・パフォーマンスの良い方法で、異なる貨幣および金種の銀行券の自動検証および確認に対するニーズはますます増大している。このようなチェックおよび確認は、例えば、セルフサービス・キオスク、券売機、預金を受け入れるように配置されている自動金銭受け払い機、セルフサービス両替機等のような銀行券を受け入れるセルフサービス装置の場合に必要になる。パスポート、小切手等のような他のタイプの有価媒体の自動検証も求められている。
【0004】
以前は、媒体確認のための手動式方法は、銀行券、パスポート、小切手等の画像のチェック、すかしのような透過効果、および糸のすき入れ(thread registration mark)、銀行券の手触りおよびさらに匂いを含んでいた。他の周知の方法は、半手動式質問を必要とする半ば公然の特徴に依存していた。例えば、磁気的手段、紫外線センサ、蛍光、赤外線検出器、キャパシタンス、金属ストリップ、画像パターンおよび類似のものを使用していた。しかし、これらの性質そのものにより、これらの方法は手動式または半手動式であり、長時間手動の介入を使用することができない多くの用途に適していない。例えば、セルフサービス装置には適していない。
【0005】
自動媒体確認装置を作成するには、かなり面倒な問題を克服しなければならない。例えば、異なるセキュリティ形体(security feature)および基材のタイプと一緒に多くの異なるタイプの貨幣が存在する。これらの異なる金種においても、異なるレベルのセキュリティ形体を含むものが共通に存在する。それ故、これらの異なる貨幣および金種に対して容易にまた簡単に貨幣の確認を行うための一般的な方法が求められている。
【0006】
要するに、貨幣確認装置のタスクは、所与の銀行券が真券か偽造紙幣かを見分けることである。以前の自動確認方法は、通常、分類装置をトレーニングするために知らなければならない偽造紙幣の比較的多数の例を必要とした。さらに、これらの以前の分類装置は、既知の偽造紙幣のみを検出するためにトレーニングされる。このことは厄介なことである。何故なら、多くの場合、可能な偽造についての情報はほとんど入手することができないか、または全然入手することができないからである。例えば、このことは、新しく導入された金種または新しく導入された貨幣の場合に特に問題になる。
【0007】
Chao He、Mark GirolamiおよびGary Ross(このうちの2人は本願の発明者である)のPattern Recognition 37(2004年)1085〜1096ページ掲載の、「Employing optimized combinations of one−class classifiers for automated currency validation」という名称の以前の論文に自動貨幣確認方法が開示されている(欧州特許第EP1484719号公報、米国第US2004247169号公報)。この方法は、グリッド構造を使用して銀行券全体の画像をいくつかの領域にセグメント分割するステップを含む。個々の「1クラス」分類装置は、各領域に対して組み立てられ、領域特定分類装置の小さなサブセットが全体の判定を提供するように組み合わされる。(「1クラス」という用語については以下にさらに詳細に説明する。)性能をよくするための領域特定分類装置のセグメント分割および組合せは、遺伝的アルゴリズムを使用することにより行われる。この方法は、遺伝的アルゴリズムの段階で少数の偽造サンプルを必要とするので、偽造データが入手できない場合には適していない。
【特許文献1】欧州特許第EP1484719号公報
【特許文献2】米国第US2004247169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、リアルタイムで実行することができる計算コストの安い方法での自動的な貨幣の確認も求められている。
【0009】
もう1つの問題は、自動貨幣確認システムが正しい位置に位置していて、所与の環境で比較的うまく稼働している状況に関連している。例えば、この環境は、所与の品質範囲および分布を含む真券および偽造紙幣の母集団を含む。環境が激変した場合には、通常、このような自動貨幣確認システムは、それに適応するのが難しい。例えば、新しいもっと高い品質の偽造紙幣が銀行券の母集団に突然入り始めたとしよう。警察の情報、手動確認および他の情報源は、高品質の偽造紙幣の存在を示すだろう。このような状況の場合、銀行または他の供給業者が自動貨幣確認機のところで偽造紙幣が受け入れられていることを発見した場合には、通常、これらの機械の使用を中止する商業的判定がなされる。しかし、そうするのは高いコストがかかる。何故なら、代わりに手動確認を行う必要があり、顧客に迷惑がかかるからである。また、高品質の偽造紙幣に対抗するために、自動貨幣確認システムをアップグレードするには、かなりの時間およびコストがかかる。
【0010】
上記多くの問題は、また、パスポート、小切手等のような他のタイプの有価媒体の確認にも関連する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に媒体確認のための分類装置を作成する方法について説明する。真性な媒体アイテムだけからのすべての一組のトレーニング画像からの情報は、後で各トレーニング・セット画像をセグメント分割するために使用されるセグメント分割マップを形成するために使用される。特徴はセグメントから抽出され、好適には、「1クラス」の統計的分類装置であることが好ましい分類装置を形成するために使用される。分類装置は、このようにして、偽造媒体アイテムの例を使用しなくても異なる貨幣および金種に対して迅速に簡単に形成することができる。このような分類装置を使用する媒体確認装置およびこのような分類装置を使用する媒体アイテムを確認する方法についても説明する。好ましい実施形態の場合には、異なる数のセグメントを有する複数のセグメント分割マップが形成される。高品質の偽造媒体アイテムが媒体アイテムの母集団内に入った場合には、媒体確認装置は、再トレーニングしなくても、もっと多くの数のセグメントを有するセグメント分割マップの使用に自動的に切り替わることができる。
【0012】
この方法は、記憶媒体上で機械可読形態でソフトウェアにより実行することができる。この方法ステップは、当業者であれば理解できると思うが、任意の適切な順序でおよび/または並列に実行することができる。
【0013】
このことは、ソフトウェアが、高価で、個々に取引することができる商品であり得ることを示している。所望の機能を実行するために、「ダム(dumb)」端末または標準ハードウェア上で稼働し、または制御するソフトウェアを含むことを意図していて、(およびそれ故、ソフトウェアが、媒体確認装置の機能を本質的に定義し、それ故、その標準ハードウェアと結合する前でも、媒体確認装置と呼ぶことができる)。類似の理由のために、所望の機能を実行する目的で、シリコンチップを設計するために、または汎用プログラマブル・チップを構成するために使用するように、HDL(ハードウェア記述言語)ソフトウェアのようなハードウェアの構成を「記述」または定義するソフトウェアを含めることを意図している。
【0014】
好適な機能は、当業者であれば理解できると思うが、必要に応じて組み合わせることもできるし、本発明の任意の態様と結合することもできる。
【0015】
添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。これらの例は、出願人が現在知っている本発明を実行するための最善の方法を示しているが、本発明は他の方法でも実行することができる。本明細書においては、これらの例は、銀行券確認システムで実施するものとして説明し、図示してあるが、このシステムは例示としてのものであって本発明を制限するためのものではない。当業者であれば理解することができると思うが、これらの例は、パスポート確認システム、小切手確認システム、債券確認システム、および株券確認システムを含むが、これらに限定されない種々のタイプの種々の媒体確認システムでの用途に適している。
【0017】
「1クラス分類装置」という用語は、1つのクラスからだけの例についての情報を使用して形成または構成する分類装置を指すために使用されるが、新しく提示された例をその1つのクラスに割り当てるか割り当てないかを決めるために使用される。これが、2つのクラスからの例についての情報を使用して形成され、これら2つのクラスの一方または他方に新しい例を割り当てるために使用される従来の2進分類装置と異なるところである。1つのクラスの分類装置は、その境界ではみ出す例が、既知のクラスに属さないと見なされるように、既知のクラスの周囲の境界を定義するものと見なされる。
【0018】
図1は、銀行券確認のための分類装置を形成する方法のハイレベルの流れ図である。
【0019】
最初に、真券の画像のトレーニング・セットが入手される(図1のボックス10参照)。これらは、同じ貨幣および金種の銀行券から入手した同じタイプの画像である。画像のタイプは、画像の入手方法に関連し、これは当業者であれば周知の任意の方法で行われる。例えば、反射画像、透過画像、赤、青または緑のチャネルのうちの任意の色の画像、熱画像、赤外線画像、紫外線画像、x線画像または他の画像タイプを使用することができる。トレーニング・セットの画像は、登録されていて、同じサイズである。当業者であれば周知のように、必要な場合には、画像を整合し、適切なサイズにスケーリングするために、前処理を行うことができる。
【0020】
次に、本発明者らは、トレーニング・セットの画像からの情報を使用してセグメント分割マップを生成する(図1のボックス12参照)。セグメント分割マップは、複数のセグメントへの画像の分割方法に関する情報を含む。セグメントは、連続していなくてもよい。すなわち、所与のセグメントは、画像の異なる領域内に2つ以上のパッチを含むことができる。セグメント分割マップは、任意の適切な方法で形成することができ、いくつかの方法の例を以下に詳細に示す。例えば、セグメントは、各画素の振幅の分布、および画像のトレーニング・セットで使用する複数の画像を横切る画像を形成している他の画素の振幅との関係に基づいて形成される。好適には、しかし、必ずしもそうする必要はないが、セグメント分割マップは、また、使用するための指定の数のセグメントを含むことが好ましい。例えば、図6は、図6に1および2で示す2つのセグメントを有するセグメント分割マップ60の略図である。セグメント分割マップは、1で示すこれらの領域を含むセグメント1、および2で示すこれらの領域を含むセグメント2を含む銀行券の表面領域に対応する。1つのセグメント分割マップは、銀行券の全表面領域の表示を含む。セグメントが画素情報に基づいている場合には、セグメントの最大数は、銀行券の画像内の画素の全数である。
【0021】
本発明者らは、セグメント分割マップを使用して、トレーニング・セット内の各画像をセグメント分割する(図1のボックス14参照)。次に、本発明者らは、各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出する(図1のボックス15参照)。「特徴(feature)」という用語は、セグメントの任意の統計的または他の特徴を意味する。例えば、平均画素輝度、中間画素輝度、画素輝度のモード、テクスチャ、ヒストグラム、フーリエ変換記述子、ウェーブレット変換記述子、および/またはセグメント内の任意の他の統計を意味する。
【0022】
次に、特徴情報を使用して分類装置が形成される(図1のボックス16参照)。当業者であれば周知のように、任意の適切なタイプの分類装置を使用することができる。本発明の特に好ましい実施形態の場合には、分類装置は、1クラス分類装置であり、偽造紙幣に関する情報を必要としない。しかし、当業者であれば周知のように、2進分類装置または任意の適切なタイプの他のタイプの分類装置も使用することができる。
【0023】
図1の方法を使用すれば、特定の貨幣および金種の銀行券の確認のための分類装置を簡単に、迅速にまた効果的に形成することができる。他の貨幣または金種に対する分類装置を形成するためには、適当なトレーニング・セット画像でこの方法が反復して使用される。
【0024】
異なる数のセグメント分割のセグメント分割マップを使用した場合には、異なる結果が得られる。さらに、セグメントの数が増大すると、銀行券1枚当たりに必要な処理が増大する。それ故、好ましい実施形態の場合には、セグメント分割マップに対する最適な数のセグメントを選択するために、(偽造紙幣に関する情報を入手することができる場合には)トレーニングおよび試験中に試行を行う。
【0025】
図1はこのことを示す。誤り受け入れ率および/または誤り拒否率で、その性能を査定するために、分類装置の試験が行われる(ボックス17参照)。誤り受け入れ率は、分類装置が偽造紙幣を真券として表示した頻度の表示である。誤り拒否率は、分類装置が真券を偽造紙幣として表示した頻度の表示である。この試験は、試験のために作った既知の偽造紙幣または「ダミー」の偽造紙幣の使用を含む。
【0026】
次に、図1の方法が、セグメント分割マップ内の異なる数のセグメントに対して反復され(ボックス18参照)、最適な数のセグメントが選択される。例えば、このことは、図7および図8のグラフ類似のグラフを描くことにより行われる。試験のために入手することができる偽造紙幣がない場合には、セグメントの数を大部分の貨幣に対してうまく使用できるある数に設定することができる。我々の実験結果は、優れたセキュリティ設計の貨幣は、優れた誤り受け入れ性能および誤り拒否性能を達成するのに、2〜5セグメントしか必要としないことを示している。一方、悪いセキュリティ設計の貨幣は約15セグメントを必要とした。
【0027】
次に、最適なセグメント分割マップおよび1つまたは複数の他の代替セグメント分割マップが格納される(図1のボックス19参照)。これらの各セグメント分割マップに対して、分類パラメータの関連するセットを計算し、格納することができる。
【0028】
図7は、3つの貨幣に対するおよび本明細書に記載する銀行券確認方法を使用するセグメント分割マップ内のセグメントの数に対する誤り受け入れ率/誤り拒否率のグラフである。3つの貨幣に対する誤り受け入れ率は、曲線a、b、cにより表示する。誤り拒否率は、各貨幣に対して類似していて、ライン70で示す。
【0029】
セグメント分割マップ内のセグメントの数が増大すると、偽造紙幣を誤って受け入れる機会が低減することを理解することができるだろう。しかし、真券を拒否するリスクが僅かに増大する。
【0030】
好ましい実施形態の場合には、誤り受け入れ率がほとんどゼロになるように最も少ない数のセグメントを選択する。例えば、図7類似の図8は、この基準により選択した多数のセグメントXを示す。
【0031】
しかし、貨幣の流通期間中に偽造紙幣の品質が良くなる点がある。例えば、貨幣はもっと組織的な偽造集団の標的となる可能性がある。また、より高度な複写技術またはテクニックを使用できるようになる場合があるかもしれない。この状況の場合には、偽造紙幣が自動システムにより真券として受け入れられる可能性がある。そうなると、図9の90に示すように誤り受け入れ率が増大することになる。自動貨幣確認システムが、小さい数Xのセグメントを使用するセグメント分割マップしか有していない場合には(図9および図10参照)、できることといったら、せいぜい誤り拒否率を非常に高くすることぐらいである(図10の100参照)。このことは、偽造紙幣は受け入れないだろうが、多くの割合の真券(極端な場合には、100%、すなわち、この貨幣/金種に対する支持が一時的にオフになるというような、そしてこれは実際には珍しいことではない)の拒否を犠牲にすることを意味する。サービスを中断しないで、または分類装置を再度トレーニングしないでこの問題を解決するために、元のセグメント分割マップの代わりに、もっと多くの数のセグメントを有する予め定義した代替セグメント分割マップを使用する。元のセグメント分割マップに関連する分類パラメータの第1のセットの代わりに、予め定義した代替セグメント分割マップに関連する分類パラメータの他のセットを使用することができる。
【0032】
図11はそのことを示す。セグメント分割マップ内のセグメントの数は、現在Xよりも多いYである。Yのところの誤り拒否率が、誤り受け入れ率と同様に低く維持されていることを理解することができるだろう。
【0033】
この方法で分類パラメータのセットを置き換えることにより、再度のトレーニングを行う必要はない。それ故、自動貨幣確認のためのシステムを、高品質の偽造紙幣の導入に対応できるように迅速に簡単に調整することができる。これについては、本明細書で後で図5を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0034】
ここでセグメント分割技術の例についてより詳細に説明する。
【0035】
(発明の背景のところで説明したように)上記欧州特許第EP1484719号公報および米国特許第US2004247169号公報のところでは、セグメント分割マップを形成するために、画像面上でのグリッド構造の使用、および遺伝的アルゴリズム方法の使用を含むセグメント分割技術を使用した。そのため、偽造紙幣に関する情報を使用しなければならなくなり、遺伝的アルゴリズム探索を行う場合に、計算上のコストがかかるようになった。
【0036】
本発明は、多数の可能なセグメント分割マップ内で優れたセグメント分割マップを探索するために、遺伝的アルゴリズムまたは等価の方法を使用しないですむセグメント分割マップを形成するための異なる方法を使用する。これにより、計算に関するコストが低減し、性能が改善する。さらに、偽造紙幣に関する情報が必要なくなる。
【0037】
本発明者らは、通常、偽造プロセスにおいて、銀行券全体の模造の質を均一にすることは難しく、それ故、銀行券のある領域は他の領域と比較してうまくコピーするのがもっと難しいと考える。それ故、厳格に均一なグリッド・セグメント分割を使用するよりも、もっと精巧なセグメント分割を使用することにより銀行券の確認を改善することができることを認識している。本発明者らが行った経験的な試験は、全くその通りであることを示していた。パターン、色およびテクスチャのような形態的特徴に基づくセグメント分割により、偽造紙幣を検出する際の性能が改善された。しかし、エッジ検出器の使用のような従来の画像セグメント分割方法は、トレーニング・セット内の各画像に適用した場合は使用するのが難しかった。それは、各トレーニング・セット部材に対して入手する結果が変化するからであり、異なるトレーニング・セット画像内の対応する特徴を整合するのが難しいからである。セグメント整合のこの問題を回避するために、ある好ましい実施形態の場合には、いわゆる「時空間画像分解」を使用した。
【0038】
ここでセグメント分割マップを形成するための方法について詳細に説明する。ハイレベルにおいて、この方法は、画像面を、それぞれが複数の指定した画素を含む複数のセグメントに分割するための方法の指定とみなすことができる。セグメントは、すでに説明したように、連続していなくてもよい。本発明の場合には、この指定は、トレーニング・セット内のすべての画像からの情報に基づいて行われる。対照的に、厳格なグリッド構造を使用するセグメント分割は、トレーニング・セット内の画像からの情報を必要としない。
【0039】
例えば、各セグメント分割マップは、トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含む。
【0040】
スタック状態にあって、同じ向きに相互に整合しているトレーニング・セット内の画像について考えてみよう。銀行券画像面内の所与の画素を取り上げてみると、この画素は、各トレーニング・セット画像内の特定の画素位置のところの画素輝度に関する情報を含む「画素輝度プロファイル」を有していると見なされる。任意の適切なクラスタリング・アルゴリズムを使用して、画像面内の画素位置が、セグメント内にクラスタリングされる。この場合、これらセグメント内の画素位置は、類似のまたは相互に関連する画素輝度プロファイルを有する。
【0041】
好ましい例の場合には、これら画素輝度プロファイルを使用する。しかし、画素輝度プロファイルは必ずしも使用しなくてもよい。また、トレーニング・セット内のすべての画像からの他の情報を使用することもできる。例えば、4つの隣接する画素のブロックに対する輝度プロファイル、または各トレーニング・セット画像内の同じ位置のところの画素に対する画素輝度の平均値を使用することもできる。
【0042】
ここでセグメント分割マップを形成するための方法の特に好ましい実施形態について詳細に説明する。この実施形態は、下記の刊行物Lecture Notes in Computer Science、2352:747〜758ページ、2002年に掲載のS.Avidanの、「EigenSegments:A spatio−temporal decomposition of an ensemble of images」に教示されている方法に基づいている。
【0043】
同じサイズr×cの登録され、スケーリングされた画像のアンサンブルの場合には、各画像Iiは、ベクトルの形で、その画素により
【数1】
として表すことができる。ここで、aji(j=1,2,Λ,M)は、i番目の画像のj番目の画素の輝度であり、M=r・cは画像内の画素の全数である。次に、アンサンブル内のすべての画像の(平均値を使用してゼロにした)ベクトルIiをスタックすることにより、デザイン・マトリクス
【数2】
を生成することができる。それ故、
【数3】
となる。A内の行ベクトル
【数4】
は、N個の画像を横切る特定の画素(j番目)に対する輝度プロファイルとみなすことができる。2つの画素が、画像の同じパターン領域からのものである場合には、これらの画素は、類似の輝度値を有する可能性があり、それ故、強い時間的相関を有する可能性がある。本明細書においては、「時間的」という用語は、時間軸に正確に対応しないが、アンサンブル内のいくつかの画像を横切る軸を示すのに借用していることに留意されたい。我々のアルゴリズムは、これらの相関を発見しようとし、画像面を類似の時間的行動を有する画素の領域に空間的にセグメント分割する。本発明者らは、輝度プロファイル間のメトリックを定義することによりこの相関を測定する。簡単な方法としては、ユークリッド距離を使用する方法がある。すなわち、2つの画素jおよびk間の時間的相関は、
【数5】
で表示することができる。d(j,k)が小さくなればなるほど、2つの画素間の相関は強くなる。
【0044】
画素間の時間的相関により画像面を空間的に分解するために、本発明者らは、画素輝度プロファイル(デザイン・マトリクスAの行)上でクラスタリング・アルゴリズムを使用する。それにより時間的に相関付けられた画素のクラスタができる。最も簡単な選択は、K−平均アルゴリズムを使用することであるが、任意の他のクラスタリング・アルゴリズムを使用することもできる。その結果、画像面は、時間的に相関付けられた画素のいくつかのセグメントに分割される。次に、これは、トレーニング・セット内のすべての画像をセグメント分割するためのマップとして使用することができ、分類装置をトレーニング・セット内のすべての画像のこれらのセグメントから抽出した特徴上で構成することができる。
【0045】
偽造紙幣を使用しないで、トレーニングを達成するために、1クラス分類装置を使用することが好ましい。当業者であれば周知のように、任意の適切なタイプの1クラス分類装置を使用することができる。例えば、ニューラル・ネットワーク・ベースの1クラス分類装置および統計ベースの1クラス分類装置を使用することができる。
【0046】
1クラス分類に対する適切な統計的方法は、一般に、考慮対象の観察が、対象クラスから行われるヌル仮説の下のログ尤度比の最大化に基づいていて、これらのものは、対象クラス(真券)に対する多変量ガウス分布を仮定するD2試験(DF.Morrisonの、「Multivariate Statistical Methods」(第3版)、McGraw−Hill Publishing Company社、ニューヨーク、1990年に記載)を含む。任意の非ガウス分布の場合には、対象クラスの密度は、例えば、ガウシアンの半パラメトリック混合(CM.Bishopの、「Neural Networks for Pattern Recognition」、Oxford University Press、ニューヨーク、1995年に記載)、または非パラメトリックParzen window(RO. Duda、PE. Hart、DG. Storkの、「Pattern Classification」(第2版)、John Wiley & Sons,INC社、ニューヨーク、2001年に記載)を使用して推定することができ、ヌル仮説の下のログ尤度比の分布は、ブートストラップ(S. Wang、WA. Woodward、HL. Gary他の、「A new test for outlier detetion from a multivariate mixture distribution」、Journal of Computational and Graphical Statistics社、6(3):285〜299ページ、1997年に記載)のようなサンプリング技術により入手することができる。
【0047】
1クラス分類に使用することができる他の方法は、「支持推定(support estimation)」(P.Hayton、B.Schoelkopf、L.Tarrassenko、P.Anuzisの、「Support Vector Novelty Detection Applied to Jet Engine Vibration Spectra」、Advances in Neural Information Processing Systems、13、eds Todd K.LeenおよびThomas G.DietterichおよびVolker Tresp、MIT Press、946〜952ページ、2001年に記載)とも呼ばれる「支持ベクトル・データ・ドメイン記述(SVDD)」(DMJ.Tax、RPW.Duinの、「Support vector domain description」、Pattern Recognition Letters、20(11〜12)、1191〜1199ページ、1999年に記載)、および「極値理論(Extreme Value Theory (EVT)」(SJ.Robertsの、「Novelty detection using extreme Value statistics」、視覚、画像および信号処理に関するIEE議事録(IEE Proceedings on Vision, Image & Signal Processing)、146(3)、124〜129ページ、1999年に記載)である。SVDDにおいては、データ分布の支持が推定され、一方、EVTは、極端な数値の分布を推定する。この特定の用途の場合には、真券の多数の例を使用することができるので、この場合、対象クラスの分布の信頼性の高い推定値を入手することができる。それ故、本発明者らは、好ましい実施形態内で密度分布をはっきりと推定することができる1クラス分類方法を選択するが、必ずしもそうしなくても良い。好ましい実施形態の場合には、本発明者らは、パラメータD2試験に基づいて1クラス分類方法を使用する。
【0048】
例えば、本発明者らの1クラス分類装置のために使用する統計的仮説試験について以下に詳細に説明する。
【0049】
p(x|θ)で表されるパラメータθを含む基本的密度関数を含むN個の独立していて同様に分布しているp次元ベクトル・サンプル(各銀行券に対する特徴セット)x1,Λ,xN∈Cについて考えてみよう。下記の仮説試験が、
【数6】
になるように新しい点xN+1に対して行われる。ここで、Cはヌル仮説が真であり、p(x|θ)で定義される領域を示す。代替仮説の場合に分布は均一であると仮定した場合、ヌルおよび代替仮説に対する下式
【数7】
で表される標準ログ尤度比を、ヌル仮説に対する試験統計として使用することができる。この好ましい実施形態の場合には、本発明者らは、ログ尤度比を新しく提示された銀行券を確認するための試験統計として使用することができる。
【0050】
多変量ガウス密度を含む特徴ベクトル:サンプル内の個々の点を記述する特徴ベクトルは多変量ガウシアンであるという仮定の下で、サンプル内の各点が共通平均を共有するか否かを査定する、上記尤度比(1)から得られる試験は、(DF.Morrisonの、「Multivariate Statistical Methods」(第三版)、McGraw−Hill Publishing Company社、ニューヨーク、1990年)に記載されている。そのサンプルの推定値が
【数8】
および
【数9】
である平均μおよび共分散Cを有する多変量正規分布からのN個の独立していて同様に分布しているp次元ベクトル・サンプルx1,Λ,xNについて考えてみよう。このサンプルから、x0で表すランダム選択について考えてみよう。下式
【数10】
で表す関連平方マハラノビス距離は、下式
【数11】
で表されるpおよびN−p−1自由度の中央F分布として分布していることを示すことができる。
【0051】
次に、共通母平均ベクトルx0および残りxiのヌル仮説が、下式の場合には拒否される。
【数12】
ここで、Fα;p,N−p−1は、(p,N−p−1)自由度を有するF分布の上部α・100%点である。
【0052】
ここで、x0が、最大D2統計を有する観察ベクトルとして選択されると仮定しよう。サイズNのランダム・サンプルからの最大D2の分布は複雑である。しかし、100αパーセント上部臨界値への内輪の近似値(conservative approximation)は、Bonferroni不等式により入手することができる。それ故、本発明者らは、下式の場合には、x0は外れ値であると結論することができる。
【数13】
【0053】
実際には、外れ値を検出するために両方の式(4)および(5)を使用することができる。
【0054】
本発明者らは、追加のデータxN+1を入手することができる場合には、元のサンプルの一部を形成していない新しい例に対する試験を考える際に、平均および共分散の下記の増分推定値を使用することができる。すなわち、平均は、下式で表すことができ、
【数14】
共分散は、下式で表すことができる。
【数15】
【0055】
式(6)、(7)およびマトリクス反転補助定理を使用することにより、N−サンプルの参照セットおよびN+1番目の試験点の式(2)は、下式のようになる。
【数16】
ここで、
【数17】
および
【数18】
【数19】
による
【数20】
で表した場合、下式のようになる。
【数21】
【0056】
それ故、新しい点xN+1を、共通推定平均
【数22】
および共分散
【数23】
に対する推定されたおよび仮定された正規分布に対して試験することができる。多くの場合、多変量ガウス特徴ベクトルの仮定は実際には当てはまらないが、多くの用途に対する適当な実用的な選択が発見されている。本発明者らは、この仮定を緩和して、下記のセクションで任意の密度について考察する。
【0057】
任意の密度を有する特徴ベクトル:確率密度推定値
【数24】
は、当業者であれば周知のように、任意の適切な半パラメトリック(例えば、ガウスの混合モデル)または非パラメトリック(例えば、Parzenウィンドウ法)密度推定方法により、任意の密度p(x)から引いた有限データ・サンプル
【数25】
から入手することができる。次に、この密度は、ログ尤度比(1)を計算する際に使用することができる。多変量ガウス分布の場合とは異なり、ヌル仮説の下では試験統計(λ)に対する解析的分布はない。それ故、この分布を入手する目的で、推定した密度の下でそうでない解析的ではないヌル分布を入手するために数字ブートストラップ方法を使用することができ、それ故、λcritの種々の臨界値を入手した経験的分布から確立することができる。N→∞のような限界内においては、尤度比を下式により推定することができる。
【数26】
ここで、
【数27】
は、元のN個のサンプルから推定したモデルの下でのxN+1の確率密度を示す。
【0058】
参照データ・セットからのN個のサンプルのBセット・ブートストラップを生成し、密度分布
【数28】
のパラメータを推定するためにこれらのそれぞれを使用した後で、試験統計
【数29】
のBブートストラップ複製は、N+1’番目のサンプルをランダムに選択し、
【数30】
を計算することにより入手することができる。
【数31】
を昇順に並べることにより、
【数32】
である場合には、所望の有意水準でヌル仮説を拒否するために臨界値αを定義することができる。ここで、λαは、
【数33】
のj番目の最も小さな値であり、α=j/(B+1)である。
【0059】
好適には、分類装置を形成するための方法を異なる数のセグメントに対して反復し、偽造紙幣であるのかそうでないことが分かっている銀行券の画像により試験することが好ましい。最善の性能になるセグメントの数、および分類パラメータのその対応する組が選択される。本発明者らは、大部分の貨幣に対するセグメントの最善の数は約2〜15であることを発見した。しかし、任意の適切な数のセグメントを使用することができる。
【0060】
図2は、銀行券確認のための分類装置22を生成するための装置20の略図である。この装置は下記のものを含む。
・銀行券の画像のトレーニング・セットにアクセスするように配置されている入力21。
・トレーニング・セット画像を使用して複数のセグメント分割マップを生成するように配置されているプロセッサ23。各セグメント分割マップは、異なる数のセグメントを有する。
・選択した1つのセグメント分割マップにより、各トレーニング・セット画像をセグメント分割するように配置されているセグメント分割装置24。
・各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置されている特徴抽出部25。
・プロセッサ23は、また、セグメント分割装置24および特徴抽出部25の結果により、各セグメント分割マップに対して一組の分類パラメータを計算するように配置することができる。
・分類パラメータの複数のセットの中から選択した第1のセットを使用するように配置されている分類形成手段26。
・分類パラメータの他のセットのうちの1つにより、分類パラメータの第1の選択したセットを置換するように配置されているアダプタ27。
この場合、プロセッサは、例えば、上記時空画像分解を使用して、トレーニング・セット内のすべての画像からの情報に基づいてセグメント分割マップを生成するように配置されている。
【0061】
そうしたい場合には、分類装置を生成するための装置は、また、それぞれの分類性能を評価することにより、最適のセグメント分割マップおよび/または分類パラメータの関連するセット、ならびに1つまたは複数の代替セグメント分割マップおよび/または分類パラメータの関連するセットを選択する選択装置を備えることもできる。
【0062】
図3は、銀行券確認装置31の略図である。この銀行券確認装置は、下記のものを含む。
・確認する銀行券の少なくとも1つの画像30を受け入れるように配置されている入力。
・1つの最適のセグメント分割マップおよびトレーニング段階中に判定した1つまたは複数の代替セグメント分割マップからなる、それぞれが異なる数のセグメントを有する複数のセグメント分割マップ32。
・セグメント分割マップのうちの第1のマップを使用して銀行券の画像をセグメント分割するように配置されているプロセッサ33。
・銀行券の画像の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置されている特徴抽出部34。
・銀行券を、抽出した特徴に基づいて真券であるかないかに分類するように配置されている分類装置35。
・他のセグメント分割マップのうちの1つにより第1のセグメント分割マップを置換し、他のセグメント分割マップと関連する分類装置により上記分類装置を置換するように配置されているアダプタ36。
この場合、セグメント分割マップは、銀行券のトレーニング画像の各セットに関する情報に基づいて形成される。図3の構成要素が相互に独立していることは必ずしも必要でないことに留意されたい。これらの構成要素は一体に形成することができる。
【0063】
図4は、銀行券を確認するための方法の流れ図である。この方法は下記のステップを含む。
・確認する銀行券の少なくとも1つの画像にアクセスするステップ(ボックス40)
・セグメント分割マップにアクセスするステップ(ボックス41)
・セグメント分割マップにより銀行券の画像をセグメント分割するステップ(ボックス42)
・銀行券の画像の各セグメントから特徴を抽出するステップ(ボックス43)
・分類装置により抽出した特徴に基づいて銀行券を真券であるかないかに分類するステップ(ボックス44)
この場合、セグメント分割マップは、銀行券のトレーニング画像の各セットに関する情報に基づいて作成される。これらの方法のステップは、当業者であれば周知のように、任意の適切な順序または組合せで実行することができる。セグメント分割マップは、暗黙にトレーニング・セット内の各画像に関する情報を含んでいるということができる。何故なら、セグメント分割マップはこの情報に基づいて作成されたものだからである。しかし、セグメント分割マップ内の明示の情報は、各セグメント内に内蔵させる画素・アドレスのリストを含む簡単なファイルであってもよい。
【0064】
図5は、貨幣確認装置を動的に調整するための方法の流れ図である。システムが偽造紙幣を受け入れる可能性があるという情報が受信される(ボックス50参照)。この情報は、貨幣確認装置自身のところ、またはその後で情報を1つまたは複数の貨幣確認装置に伝える中央管理位置のところで受信される。例えば、中央管理ノードは、通信ネットワークを通して、または任意の他の適切な方法で、貨幣確認装置に命令を発行する。
【0065】
情報または受信した命令は、別の格納しているセグメント分割マップの作動をトリガする(ボックス51参照)。このセグメント分割マップは、前に使用したセグメント分割マップよりも(通常はもっと多くの数のセグメント)異なる数を有する。この代替セグメント分割マップは、前に局所的に位置するセルフサービス装置内に格納することもできるし、または中央のサーバ内に格納することもでき、次に、必要な場合には、遠隔地のネットワークを通して影響を受けた装置に配信される。代替セグメント分割マップが作動すると、前のセグメント分割マップは置換され、方法は図4のところで説明したように前に進む。すなわち、画像は代替セグメント分割マップ52によりセグメント分割される。各セグメントから特徴が抽出されると(ボックス53参照)、銀行券は、抽出した特徴に基づいて分類される(ボックス54参照)。各格納しているセグメント分割マップは、それを分類パラメータの予め計算し、格納したセットと関連付けることもできる。その場合、受信した情報(ボックス50)は、本明細書に記載するように媒体アイテムを分類するために、分類装置で使用する分類パラメータの代替セットの作動をトリガすることができる。
【0066】
代替セグメント分割マップを使用している間に、開発者は、代替セグメント分割マップより少ない数のセグメントを使用する偽造紙幣の攻撃に対処するために新しいセグメント分割マップを生成することもできる。それ故、代替テンプレートを使用すれば、任意の再トレーニング、テンプレート開発および結果としての材料を配信している間に、自動貨幣確認プロセスを進めることができる。
【0067】
上記方法の場合には、1つの代替セグメント分割マップだけが生成され、格納される。しかし、異なる数のセグメントを含む複数のこのような代替セグメント分割マップを生成し、格納することもできる。次に、試行錯誤により、または以前の経験に基づいて、および/または受けている特定の偽造紙幣からの攻撃に関する詳細な情報に基づいて、どの代替セグメント分割テンプレートを使用すべきかを選択することができる。
【0068】
また、本明細書に記載する方法は、セグメントの数が増大する状況に焦点を当ててきた。しかし、セグメントの数を低減することもできる。例えば、代替テンプレートを15のセグメントと一緒に使用していると仮定しよう。この場合には、処理コストおよび負担が比較的大きくなる。後で、もっと少ない数のセグメントを有するセグメント分割テンプレートに戻ることができるように、偽造紙幣のソースが防止される。
【0069】
前の場合には、セグメント分割は、空間的位置だけに基づいて行われ、本発明者らは、トレーニング・セット内の画像を横切る画素輝度プロファイルのような特徴値上のセグメント分割に基づいてこれを改善した。このようにして、各トレーニング・セット画像は、セグメント分割に影響を与える。しかし、前の場合には、グリッド・セグメント分割を使用した場合、これとは違う。
【0070】
図12は、銀行券確認装置123を備えるセルフサービス装置121の略図である。この装置は、下記のものを含む。
・銀行券を受け入れるための手段120
・銀行券のデジタル画像を入手するための画像形成手段122
・上記銀行券確認装置123
【0071】
銀行券を受け入れるための手段は、画像形成手段として当業者であれば周知の任意の適切なタイプのものである。特徴選択アルゴリズムは、特徴抽出ステップの際に使用するための1つまたは複数のタイプの特徴を選択するために使用することができる。また、分類装置は、本明細書に記載する特徴情報の他に、銀行券の特定の金種または貨幣に関する指定の情報に基づいて形成することができる。例えば、色または他の情報、所与の貨幣および金種で空間周波数または形状の点で、特にデータの豊富な領域に関する情報に基づいて形成することもできる。
【0072】
本明細書に記載する方法は、銀行券の任意の適切なタイプの画像または他の表示上で実行される。例えば、赤、青および緑のチャネルのうちのいずれの上の画像、または上記他の画像上で実行することができる。
【0073】
セグメント分割は、例えば、赤のチャネルのようなたった1つのタイプの画像に基づいて行うことができる。別の方法としては、セグメント分割マップは、例えば、赤、青および緑のチャネルのようなすべてのタイプの画像に基づいて作成することができる。また、画像の各タイプまたは複数の画像タイプの組合せに対して複数のセグメント分割マップを形成することもできる。例えば、赤のチャネルの画像に対して1つ、青のチャネルの画像に対して1つ、および緑のチャネルの画像に対して1つ、3つのセグメント分割マップを使用することもできる。その場合、個々の銀行券を確認している間に、選択した画像のタイプにより、適当なセグメント分割マップ/分類装置が使用される。それ故、上記各方法は、異なるタイプの画像および対応するセグメント分割マップ/分類装置を使用して修正することができる。
【0074】
本明細書に記載する任意の範囲またはデバイスの値は、当業者であれば理解することができると思うが、必要な効果を失わないで拡張または変更することができる。
【0075】
好ましい実施形態の上記説明は、単に例示としてのものにすぎないこと、および当業者であれば種々の修正を行うことができることを理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】銀行券を確認するための分類装置を作成するための方法の流れ図である。
【図2】銀行券を確認するための分類装置を作成するための装置の略図である。
【図3】銀行券確認装置の略図である。
【図4】銀行券を確認するための方法の流れ図である。
【図5】品質の向上した偽造紙幣の存在に動的に反応する方法の流れ図である。
【図6】2つのセグメントに対するセグメント分割マップの略図である。
【図7】3つの異なる貨幣に対するセグメント分割マップ内のセグメントの数に対する誤り受け入れ率/誤り拒否率のグラフである。
【図8】多数のセグメントの選択を示す図7のグラフ類似のグラフである。
【図9】品質の向上した偽造紙幣が母集団内に入った場合の図8の状況のグラフである。
【図10】高くなった誤り拒否率を示す図8の状況のグラフである。
【図11】図9の状況に対するものであるが、より多くのセグメントを含むセグメント分割マップを使用するグラフである。
【図12】銀行券確認装置を含むセルフサービス装置の略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を確認するための方法および装置に関する。本発明は、特に、パスポート、小切手、銀行券、債権、株券または他のこのような媒体のような品質の向上した偽造媒体に反応することができるこのような方法および装置に関するものであるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2005年12月16日付けで出願された米国特許出願第11/305,537号の一部継続出願である2006年3月2日付けで出願された米国特許出願第11/366,147号の一部継続出願である。2006年3月2日付け出願された米国特許出願第11/366,147号および2005年12月16日付けで出願された米国特許出願第11/305,537号は、参照により本明細書に組み込むものとする。
【0003】
簡単で、信頼性が高く、コスト・パフォーマンスの良い方法で、異なる貨幣および金種の銀行券の自動検証および確認に対するニーズはますます増大している。このようなチェックおよび確認は、例えば、セルフサービス・キオスク、券売機、預金を受け入れるように配置されている自動金銭受け払い機、セルフサービス両替機等のような銀行券を受け入れるセルフサービス装置の場合に必要になる。パスポート、小切手等のような他のタイプの有価媒体の自動検証も求められている。
【0004】
以前は、媒体確認のための手動式方法は、銀行券、パスポート、小切手等の画像のチェック、すかしのような透過効果、および糸のすき入れ(thread registration mark)、銀行券の手触りおよびさらに匂いを含んでいた。他の周知の方法は、半手動式質問を必要とする半ば公然の特徴に依存していた。例えば、磁気的手段、紫外線センサ、蛍光、赤外線検出器、キャパシタンス、金属ストリップ、画像パターンおよび類似のものを使用していた。しかし、これらの性質そのものにより、これらの方法は手動式または半手動式であり、長時間手動の介入を使用することができない多くの用途に適していない。例えば、セルフサービス装置には適していない。
【0005】
自動媒体確認装置を作成するには、かなり面倒な問題を克服しなければならない。例えば、異なるセキュリティ形体(security feature)および基材のタイプと一緒に多くの異なるタイプの貨幣が存在する。これらの異なる金種においても、異なるレベルのセキュリティ形体を含むものが共通に存在する。それ故、これらの異なる貨幣および金種に対して容易にまた簡単に貨幣の確認を行うための一般的な方法が求められている。
【0006】
要するに、貨幣確認装置のタスクは、所与の銀行券が真券か偽造紙幣かを見分けることである。以前の自動確認方法は、通常、分類装置をトレーニングするために知らなければならない偽造紙幣の比較的多数の例を必要とした。さらに、これらの以前の分類装置は、既知の偽造紙幣のみを検出するためにトレーニングされる。このことは厄介なことである。何故なら、多くの場合、可能な偽造についての情報はほとんど入手することができないか、または全然入手することができないからである。例えば、このことは、新しく導入された金種または新しく導入された貨幣の場合に特に問題になる。
【0007】
Chao He、Mark GirolamiおよびGary Ross(このうちの2人は本願の発明者である)のPattern Recognition 37(2004年)1085〜1096ページ掲載の、「Employing optimized combinations of one−class classifiers for automated currency validation」という名称の以前の論文に自動貨幣確認方法が開示されている(欧州特許第EP1484719号公報、米国第US2004247169号公報)。この方法は、グリッド構造を使用して銀行券全体の画像をいくつかの領域にセグメント分割するステップを含む。個々の「1クラス」分類装置は、各領域に対して組み立てられ、領域特定分類装置の小さなサブセットが全体の判定を提供するように組み合わされる。(「1クラス」という用語については以下にさらに詳細に説明する。)性能をよくするための領域特定分類装置のセグメント分割および組合せは、遺伝的アルゴリズムを使用することにより行われる。この方法は、遺伝的アルゴリズムの段階で少数の偽造サンプルを必要とするので、偽造データが入手できない場合には適していない。
【特許文献1】欧州特許第EP1484719号公報
【特許文献2】米国第US2004247169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、リアルタイムで実行することができる計算コストの安い方法での自動的な貨幣の確認も求められている。
【0009】
もう1つの問題は、自動貨幣確認システムが正しい位置に位置していて、所与の環境で比較的うまく稼働している状況に関連している。例えば、この環境は、所与の品質範囲および分布を含む真券および偽造紙幣の母集団を含む。環境が激変した場合には、通常、このような自動貨幣確認システムは、それに適応するのが難しい。例えば、新しいもっと高い品質の偽造紙幣が銀行券の母集団に突然入り始めたとしよう。警察の情報、手動確認および他の情報源は、高品質の偽造紙幣の存在を示すだろう。このような状況の場合、銀行または他の供給業者が自動貨幣確認機のところで偽造紙幣が受け入れられていることを発見した場合には、通常、これらの機械の使用を中止する商業的判定がなされる。しかし、そうするのは高いコストがかかる。何故なら、代わりに手動確認を行う必要があり、顧客に迷惑がかかるからである。また、高品質の偽造紙幣に対抗するために、自動貨幣確認システムをアップグレードするには、かなりの時間およびコストがかかる。
【0010】
上記多くの問題は、また、パスポート、小切手等のような他のタイプの有価媒体の確認にも関連する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に媒体確認のための分類装置を作成する方法について説明する。真性な媒体アイテムだけからのすべての一組のトレーニング画像からの情報は、後で各トレーニング・セット画像をセグメント分割するために使用されるセグメント分割マップを形成するために使用される。特徴はセグメントから抽出され、好適には、「1クラス」の統計的分類装置であることが好ましい分類装置を形成するために使用される。分類装置は、このようにして、偽造媒体アイテムの例を使用しなくても異なる貨幣および金種に対して迅速に簡単に形成することができる。このような分類装置を使用する媒体確認装置およびこのような分類装置を使用する媒体アイテムを確認する方法についても説明する。好ましい実施形態の場合には、異なる数のセグメントを有する複数のセグメント分割マップが形成される。高品質の偽造媒体アイテムが媒体アイテムの母集団内に入った場合には、媒体確認装置は、再トレーニングしなくても、もっと多くの数のセグメントを有するセグメント分割マップの使用に自動的に切り替わることができる。
【0012】
この方法は、記憶媒体上で機械可読形態でソフトウェアにより実行することができる。この方法ステップは、当業者であれば理解できると思うが、任意の適切な順序でおよび/または並列に実行することができる。
【0013】
このことは、ソフトウェアが、高価で、個々に取引することができる商品であり得ることを示している。所望の機能を実行するために、「ダム(dumb)」端末または標準ハードウェア上で稼働し、または制御するソフトウェアを含むことを意図していて、(およびそれ故、ソフトウェアが、媒体確認装置の機能を本質的に定義し、それ故、その標準ハードウェアと結合する前でも、媒体確認装置と呼ぶことができる)。類似の理由のために、所望の機能を実行する目的で、シリコンチップを設計するために、または汎用プログラマブル・チップを構成するために使用するように、HDL(ハードウェア記述言語)ソフトウェアのようなハードウェアの構成を「記述」または定義するソフトウェアを含めることを意図している。
【0014】
好適な機能は、当業者であれば理解できると思うが、必要に応じて組み合わせることもできるし、本発明の任意の態様と結合することもできる。
【0015】
添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。これらの例は、出願人が現在知っている本発明を実行するための最善の方法を示しているが、本発明は他の方法でも実行することができる。本明細書においては、これらの例は、銀行券確認システムで実施するものとして説明し、図示してあるが、このシステムは例示としてのものであって本発明を制限するためのものではない。当業者であれば理解することができると思うが、これらの例は、パスポート確認システム、小切手確認システム、債券確認システム、および株券確認システムを含むが、これらに限定されない種々のタイプの種々の媒体確認システムでの用途に適している。
【0017】
「1クラス分類装置」という用語は、1つのクラスからだけの例についての情報を使用して形成または構成する分類装置を指すために使用されるが、新しく提示された例をその1つのクラスに割り当てるか割り当てないかを決めるために使用される。これが、2つのクラスからの例についての情報を使用して形成され、これら2つのクラスの一方または他方に新しい例を割り当てるために使用される従来の2進分類装置と異なるところである。1つのクラスの分類装置は、その境界ではみ出す例が、既知のクラスに属さないと見なされるように、既知のクラスの周囲の境界を定義するものと見なされる。
【0018】
図1は、銀行券確認のための分類装置を形成する方法のハイレベルの流れ図である。
【0019】
最初に、真券の画像のトレーニング・セットが入手される(図1のボックス10参照)。これらは、同じ貨幣および金種の銀行券から入手した同じタイプの画像である。画像のタイプは、画像の入手方法に関連し、これは当業者であれば周知の任意の方法で行われる。例えば、反射画像、透過画像、赤、青または緑のチャネルのうちの任意の色の画像、熱画像、赤外線画像、紫外線画像、x線画像または他の画像タイプを使用することができる。トレーニング・セットの画像は、登録されていて、同じサイズである。当業者であれば周知のように、必要な場合には、画像を整合し、適切なサイズにスケーリングするために、前処理を行うことができる。
【0020】
次に、本発明者らは、トレーニング・セットの画像からの情報を使用してセグメント分割マップを生成する(図1のボックス12参照)。セグメント分割マップは、複数のセグメントへの画像の分割方法に関する情報を含む。セグメントは、連続していなくてもよい。すなわち、所与のセグメントは、画像の異なる領域内に2つ以上のパッチを含むことができる。セグメント分割マップは、任意の適切な方法で形成することができ、いくつかの方法の例を以下に詳細に示す。例えば、セグメントは、各画素の振幅の分布、および画像のトレーニング・セットで使用する複数の画像を横切る画像を形成している他の画素の振幅との関係に基づいて形成される。好適には、しかし、必ずしもそうする必要はないが、セグメント分割マップは、また、使用するための指定の数のセグメントを含むことが好ましい。例えば、図6は、図6に1および2で示す2つのセグメントを有するセグメント分割マップ60の略図である。セグメント分割マップは、1で示すこれらの領域を含むセグメント1、および2で示すこれらの領域を含むセグメント2を含む銀行券の表面領域に対応する。1つのセグメント分割マップは、銀行券の全表面領域の表示を含む。セグメントが画素情報に基づいている場合には、セグメントの最大数は、銀行券の画像内の画素の全数である。
【0021】
本発明者らは、セグメント分割マップを使用して、トレーニング・セット内の各画像をセグメント分割する(図1のボックス14参照)。次に、本発明者らは、各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出する(図1のボックス15参照)。「特徴(feature)」という用語は、セグメントの任意の統計的または他の特徴を意味する。例えば、平均画素輝度、中間画素輝度、画素輝度のモード、テクスチャ、ヒストグラム、フーリエ変換記述子、ウェーブレット変換記述子、および/またはセグメント内の任意の他の統計を意味する。
【0022】
次に、特徴情報を使用して分類装置が形成される(図1のボックス16参照)。当業者であれば周知のように、任意の適切なタイプの分類装置を使用することができる。本発明の特に好ましい実施形態の場合には、分類装置は、1クラス分類装置であり、偽造紙幣に関する情報を必要としない。しかし、当業者であれば周知のように、2進分類装置または任意の適切なタイプの他のタイプの分類装置も使用することができる。
【0023】
図1の方法を使用すれば、特定の貨幣および金種の銀行券の確認のための分類装置を簡単に、迅速にまた効果的に形成することができる。他の貨幣または金種に対する分類装置を形成するためには、適当なトレーニング・セット画像でこの方法が反復して使用される。
【0024】
異なる数のセグメント分割のセグメント分割マップを使用した場合には、異なる結果が得られる。さらに、セグメントの数が増大すると、銀行券1枚当たりに必要な処理が増大する。それ故、好ましい実施形態の場合には、セグメント分割マップに対する最適な数のセグメントを選択するために、(偽造紙幣に関する情報を入手することができる場合には)トレーニングおよび試験中に試行を行う。
【0025】
図1はこのことを示す。誤り受け入れ率および/または誤り拒否率で、その性能を査定するために、分類装置の試験が行われる(ボックス17参照)。誤り受け入れ率は、分類装置が偽造紙幣を真券として表示した頻度の表示である。誤り拒否率は、分類装置が真券を偽造紙幣として表示した頻度の表示である。この試験は、試験のために作った既知の偽造紙幣または「ダミー」の偽造紙幣の使用を含む。
【0026】
次に、図1の方法が、セグメント分割マップ内の異なる数のセグメントに対して反復され(ボックス18参照)、最適な数のセグメントが選択される。例えば、このことは、図7および図8のグラフ類似のグラフを描くことにより行われる。試験のために入手することができる偽造紙幣がない場合には、セグメントの数を大部分の貨幣に対してうまく使用できるある数に設定することができる。我々の実験結果は、優れたセキュリティ設計の貨幣は、優れた誤り受け入れ性能および誤り拒否性能を達成するのに、2〜5セグメントしか必要としないことを示している。一方、悪いセキュリティ設計の貨幣は約15セグメントを必要とした。
【0027】
次に、最適なセグメント分割マップおよび1つまたは複数の他の代替セグメント分割マップが格納される(図1のボックス19参照)。これらの各セグメント分割マップに対して、分類パラメータの関連するセットを計算し、格納することができる。
【0028】
図7は、3つの貨幣に対するおよび本明細書に記載する銀行券確認方法を使用するセグメント分割マップ内のセグメントの数に対する誤り受け入れ率/誤り拒否率のグラフである。3つの貨幣に対する誤り受け入れ率は、曲線a、b、cにより表示する。誤り拒否率は、各貨幣に対して類似していて、ライン70で示す。
【0029】
セグメント分割マップ内のセグメントの数が増大すると、偽造紙幣を誤って受け入れる機会が低減することを理解することができるだろう。しかし、真券を拒否するリスクが僅かに増大する。
【0030】
好ましい実施形態の場合には、誤り受け入れ率がほとんどゼロになるように最も少ない数のセグメントを選択する。例えば、図7類似の図8は、この基準により選択した多数のセグメントXを示す。
【0031】
しかし、貨幣の流通期間中に偽造紙幣の品質が良くなる点がある。例えば、貨幣はもっと組織的な偽造集団の標的となる可能性がある。また、より高度な複写技術またはテクニックを使用できるようになる場合があるかもしれない。この状況の場合には、偽造紙幣が自動システムにより真券として受け入れられる可能性がある。そうなると、図9の90に示すように誤り受け入れ率が増大することになる。自動貨幣確認システムが、小さい数Xのセグメントを使用するセグメント分割マップしか有していない場合には(図9および図10参照)、できることといったら、せいぜい誤り拒否率を非常に高くすることぐらいである(図10の100参照)。このことは、偽造紙幣は受け入れないだろうが、多くの割合の真券(極端な場合には、100%、すなわち、この貨幣/金種に対する支持が一時的にオフになるというような、そしてこれは実際には珍しいことではない)の拒否を犠牲にすることを意味する。サービスを中断しないで、または分類装置を再度トレーニングしないでこの問題を解決するために、元のセグメント分割マップの代わりに、もっと多くの数のセグメントを有する予め定義した代替セグメント分割マップを使用する。元のセグメント分割マップに関連する分類パラメータの第1のセットの代わりに、予め定義した代替セグメント分割マップに関連する分類パラメータの他のセットを使用することができる。
【0032】
図11はそのことを示す。セグメント分割マップ内のセグメントの数は、現在Xよりも多いYである。Yのところの誤り拒否率が、誤り受け入れ率と同様に低く維持されていることを理解することができるだろう。
【0033】
この方法で分類パラメータのセットを置き換えることにより、再度のトレーニングを行う必要はない。それ故、自動貨幣確認のためのシステムを、高品質の偽造紙幣の導入に対応できるように迅速に簡単に調整することができる。これについては、本明細書で後で図5を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0034】
ここでセグメント分割技術の例についてより詳細に説明する。
【0035】
(発明の背景のところで説明したように)上記欧州特許第EP1484719号公報および米国特許第US2004247169号公報のところでは、セグメント分割マップを形成するために、画像面上でのグリッド構造の使用、および遺伝的アルゴリズム方法の使用を含むセグメント分割技術を使用した。そのため、偽造紙幣に関する情報を使用しなければならなくなり、遺伝的アルゴリズム探索を行う場合に、計算上のコストがかかるようになった。
【0036】
本発明は、多数の可能なセグメント分割マップ内で優れたセグメント分割マップを探索するために、遺伝的アルゴリズムまたは等価の方法を使用しないですむセグメント分割マップを形成するための異なる方法を使用する。これにより、計算に関するコストが低減し、性能が改善する。さらに、偽造紙幣に関する情報が必要なくなる。
【0037】
本発明者らは、通常、偽造プロセスにおいて、銀行券全体の模造の質を均一にすることは難しく、それ故、銀行券のある領域は他の領域と比較してうまくコピーするのがもっと難しいと考える。それ故、厳格に均一なグリッド・セグメント分割を使用するよりも、もっと精巧なセグメント分割を使用することにより銀行券の確認を改善することができることを認識している。本発明者らが行った経験的な試験は、全くその通りであることを示していた。パターン、色およびテクスチャのような形態的特徴に基づくセグメント分割により、偽造紙幣を検出する際の性能が改善された。しかし、エッジ検出器の使用のような従来の画像セグメント分割方法は、トレーニング・セット内の各画像に適用した場合は使用するのが難しかった。それは、各トレーニング・セット部材に対して入手する結果が変化するからであり、異なるトレーニング・セット画像内の対応する特徴を整合するのが難しいからである。セグメント整合のこの問題を回避するために、ある好ましい実施形態の場合には、いわゆる「時空間画像分解」を使用した。
【0038】
ここでセグメント分割マップを形成するための方法について詳細に説明する。ハイレベルにおいて、この方法は、画像面を、それぞれが複数の指定した画素を含む複数のセグメントに分割するための方法の指定とみなすことができる。セグメントは、すでに説明したように、連続していなくてもよい。本発明の場合には、この指定は、トレーニング・セット内のすべての画像からの情報に基づいて行われる。対照的に、厳格なグリッド構造を使用するセグメント分割は、トレーニング・セット内の画像からの情報を必要としない。
【0039】
例えば、各セグメント分割マップは、トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含む。
【0040】
スタック状態にあって、同じ向きに相互に整合しているトレーニング・セット内の画像について考えてみよう。銀行券画像面内の所与の画素を取り上げてみると、この画素は、各トレーニング・セット画像内の特定の画素位置のところの画素輝度に関する情報を含む「画素輝度プロファイル」を有していると見なされる。任意の適切なクラスタリング・アルゴリズムを使用して、画像面内の画素位置が、セグメント内にクラスタリングされる。この場合、これらセグメント内の画素位置は、類似のまたは相互に関連する画素輝度プロファイルを有する。
【0041】
好ましい例の場合には、これら画素輝度プロファイルを使用する。しかし、画素輝度プロファイルは必ずしも使用しなくてもよい。また、トレーニング・セット内のすべての画像からの他の情報を使用することもできる。例えば、4つの隣接する画素のブロックに対する輝度プロファイル、または各トレーニング・セット画像内の同じ位置のところの画素に対する画素輝度の平均値を使用することもできる。
【0042】
ここでセグメント分割マップを形成するための方法の特に好ましい実施形態について詳細に説明する。この実施形態は、下記の刊行物Lecture Notes in Computer Science、2352:747〜758ページ、2002年に掲載のS.Avidanの、「EigenSegments:A spatio−temporal decomposition of an ensemble of images」に教示されている方法に基づいている。
【0043】
同じサイズr×cの登録され、スケーリングされた画像のアンサンブルの場合には、各画像Iiは、ベクトルの形で、その画素により
【数1】
として表すことができる。ここで、aji(j=1,2,Λ,M)は、i番目の画像のj番目の画素の輝度であり、M=r・cは画像内の画素の全数である。次に、アンサンブル内のすべての画像の(平均値を使用してゼロにした)ベクトルIiをスタックすることにより、デザイン・マトリクス
【数2】
を生成することができる。それ故、
【数3】
となる。A内の行ベクトル
【数4】
は、N個の画像を横切る特定の画素(j番目)に対する輝度プロファイルとみなすことができる。2つの画素が、画像の同じパターン領域からのものである場合には、これらの画素は、類似の輝度値を有する可能性があり、それ故、強い時間的相関を有する可能性がある。本明細書においては、「時間的」という用語は、時間軸に正確に対応しないが、アンサンブル内のいくつかの画像を横切る軸を示すのに借用していることに留意されたい。我々のアルゴリズムは、これらの相関を発見しようとし、画像面を類似の時間的行動を有する画素の領域に空間的にセグメント分割する。本発明者らは、輝度プロファイル間のメトリックを定義することによりこの相関を測定する。簡単な方法としては、ユークリッド距離を使用する方法がある。すなわち、2つの画素jおよびk間の時間的相関は、
【数5】
で表示することができる。d(j,k)が小さくなればなるほど、2つの画素間の相関は強くなる。
【0044】
画素間の時間的相関により画像面を空間的に分解するために、本発明者らは、画素輝度プロファイル(デザイン・マトリクスAの行)上でクラスタリング・アルゴリズムを使用する。それにより時間的に相関付けられた画素のクラスタができる。最も簡単な選択は、K−平均アルゴリズムを使用することであるが、任意の他のクラスタリング・アルゴリズムを使用することもできる。その結果、画像面は、時間的に相関付けられた画素のいくつかのセグメントに分割される。次に、これは、トレーニング・セット内のすべての画像をセグメント分割するためのマップとして使用することができ、分類装置をトレーニング・セット内のすべての画像のこれらのセグメントから抽出した特徴上で構成することができる。
【0045】
偽造紙幣を使用しないで、トレーニングを達成するために、1クラス分類装置を使用することが好ましい。当業者であれば周知のように、任意の適切なタイプの1クラス分類装置を使用することができる。例えば、ニューラル・ネットワーク・ベースの1クラス分類装置および統計ベースの1クラス分類装置を使用することができる。
【0046】
1クラス分類に対する適切な統計的方法は、一般に、考慮対象の観察が、対象クラスから行われるヌル仮説の下のログ尤度比の最大化に基づいていて、これらのものは、対象クラス(真券)に対する多変量ガウス分布を仮定するD2試験(DF.Morrisonの、「Multivariate Statistical Methods」(第3版)、McGraw−Hill Publishing Company社、ニューヨーク、1990年に記載)を含む。任意の非ガウス分布の場合には、対象クラスの密度は、例えば、ガウシアンの半パラメトリック混合(CM.Bishopの、「Neural Networks for Pattern Recognition」、Oxford University Press、ニューヨーク、1995年に記載)、または非パラメトリックParzen window(RO. Duda、PE. Hart、DG. Storkの、「Pattern Classification」(第2版)、John Wiley & Sons,INC社、ニューヨーク、2001年に記載)を使用して推定することができ、ヌル仮説の下のログ尤度比の分布は、ブートストラップ(S. Wang、WA. Woodward、HL. Gary他の、「A new test for outlier detetion from a multivariate mixture distribution」、Journal of Computational and Graphical Statistics社、6(3):285〜299ページ、1997年に記載)のようなサンプリング技術により入手することができる。
【0047】
1クラス分類に使用することができる他の方法は、「支持推定(support estimation)」(P.Hayton、B.Schoelkopf、L.Tarrassenko、P.Anuzisの、「Support Vector Novelty Detection Applied to Jet Engine Vibration Spectra」、Advances in Neural Information Processing Systems、13、eds Todd K.LeenおよびThomas G.DietterichおよびVolker Tresp、MIT Press、946〜952ページ、2001年に記載)とも呼ばれる「支持ベクトル・データ・ドメイン記述(SVDD)」(DMJ.Tax、RPW.Duinの、「Support vector domain description」、Pattern Recognition Letters、20(11〜12)、1191〜1199ページ、1999年に記載)、および「極値理論(Extreme Value Theory (EVT)」(SJ.Robertsの、「Novelty detection using extreme Value statistics」、視覚、画像および信号処理に関するIEE議事録(IEE Proceedings on Vision, Image & Signal Processing)、146(3)、124〜129ページ、1999年に記載)である。SVDDにおいては、データ分布の支持が推定され、一方、EVTは、極端な数値の分布を推定する。この特定の用途の場合には、真券の多数の例を使用することができるので、この場合、対象クラスの分布の信頼性の高い推定値を入手することができる。それ故、本発明者らは、好ましい実施形態内で密度分布をはっきりと推定することができる1クラス分類方法を選択するが、必ずしもそうしなくても良い。好ましい実施形態の場合には、本発明者らは、パラメータD2試験に基づいて1クラス分類方法を使用する。
【0048】
例えば、本発明者らの1クラス分類装置のために使用する統計的仮説試験について以下に詳細に説明する。
【0049】
p(x|θ)で表されるパラメータθを含む基本的密度関数を含むN個の独立していて同様に分布しているp次元ベクトル・サンプル(各銀行券に対する特徴セット)x1,Λ,xN∈Cについて考えてみよう。下記の仮説試験が、
【数6】
になるように新しい点xN+1に対して行われる。ここで、Cはヌル仮説が真であり、p(x|θ)で定義される領域を示す。代替仮説の場合に分布は均一であると仮定した場合、ヌルおよび代替仮説に対する下式
【数7】
で表される標準ログ尤度比を、ヌル仮説に対する試験統計として使用することができる。この好ましい実施形態の場合には、本発明者らは、ログ尤度比を新しく提示された銀行券を確認するための試験統計として使用することができる。
【0050】
多変量ガウス密度を含む特徴ベクトル:サンプル内の個々の点を記述する特徴ベクトルは多変量ガウシアンであるという仮定の下で、サンプル内の各点が共通平均を共有するか否かを査定する、上記尤度比(1)から得られる試験は、(DF.Morrisonの、「Multivariate Statistical Methods」(第三版)、McGraw−Hill Publishing Company社、ニューヨーク、1990年)に記載されている。そのサンプルの推定値が
【数8】
および
【数9】
である平均μおよび共分散Cを有する多変量正規分布からのN個の独立していて同様に分布しているp次元ベクトル・サンプルx1,Λ,xNについて考えてみよう。このサンプルから、x0で表すランダム選択について考えてみよう。下式
【数10】
で表す関連平方マハラノビス距離は、下式
【数11】
で表されるpおよびN−p−1自由度の中央F分布として分布していることを示すことができる。
【0051】
次に、共通母平均ベクトルx0および残りxiのヌル仮説が、下式の場合には拒否される。
【数12】
ここで、Fα;p,N−p−1は、(p,N−p−1)自由度を有するF分布の上部α・100%点である。
【0052】
ここで、x0が、最大D2統計を有する観察ベクトルとして選択されると仮定しよう。サイズNのランダム・サンプルからの最大D2の分布は複雑である。しかし、100αパーセント上部臨界値への内輪の近似値(conservative approximation)は、Bonferroni不等式により入手することができる。それ故、本発明者らは、下式の場合には、x0は外れ値であると結論することができる。
【数13】
【0053】
実際には、外れ値を検出するために両方の式(4)および(5)を使用することができる。
【0054】
本発明者らは、追加のデータxN+1を入手することができる場合には、元のサンプルの一部を形成していない新しい例に対する試験を考える際に、平均および共分散の下記の増分推定値を使用することができる。すなわち、平均は、下式で表すことができ、
【数14】
共分散は、下式で表すことができる。
【数15】
【0055】
式(6)、(7)およびマトリクス反転補助定理を使用することにより、N−サンプルの参照セットおよびN+1番目の試験点の式(2)は、下式のようになる。
【数16】
ここで、
【数17】
および
【数18】
【数19】
による
【数20】
で表した場合、下式のようになる。
【数21】
【0056】
それ故、新しい点xN+1を、共通推定平均
【数22】
および共分散
【数23】
に対する推定されたおよび仮定された正規分布に対して試験することができる。多くの場合、多変量ガウス特徴ベクトルの仮定は実際には当てはまらないが、多くの用途に対する適当な実用的な選択が発見されている。本発明者らは、この仮定を緩和して、下記のセクションで任意の密度について考察する。
【0057】
任意の密度を有する特徴ベクトル:確率密度推定値
【数24】
は、当業者であれば周知のように、任意の適切な半パラメトリック(例えば、ガウスの混合モデル)または非パラメトリック(例えば、Parzenウィンドウ法)密度推定方法により、任意の密度p(x)から引いた有限データ・サンプル
【数25】
から入手することができる。次に、この密度は、ログ尤度比(1)を計算する際に使用することができる。多変量ガウス分布の場合とは異なり、ヌル仮説の下では試験統計(λ)に対する解析的分布はない。それ故、この分布を入手する目的で、推定した密度の下でそうでない解析的ではないヌル分布を入手するために数字ブートストラップ方法を使用することができ、それ故、λcritの種々の臨界値を入手した経験的分布から確立することができる。N→∞のような限界内においては、尤度比を下式により推定することができる。
【数26】
ここで、
【数27】
は、元のN個のサンプルから推定したモデルの下でのxN+1の確率密度を示す。
【0058】
参照データ・セットからのN個のサンプルのBセット・ブートストラップを生成し、密度分布
【数28】
のパラメータを推定するためにこれらのそれぞれを使用した後で、試験統計
【数29】
のBブートストラップ複製は、N+1’番目のサンプルをランダムに選択し、
【数30】
を計算することにより入手することができる。
【数31】
を昇順に並べることにより、
【数32】
である場合には、所望の有意水準でヌル仮説を拒否するために臨界値αを定義することができる。ここで、λαは、
【数33】
のj番目の最も小さな値であり、α=j/(B+1)である。
【0059】
好適には、分類装置を形成するための方法を異なる数のセグメントに対して反復し、偽造紙幣であるのかそうでないことが分かっている銀行券の画像により試験することが好ましい。最善の性能になるセグメントの数、および分類パラメータのその対応する組が選択される。本発明者らは、大部分の貨幣に対するセグメントの最善の数は約2〜15であることを発見した。しかし、任意の適切な数のセグメントを使用することができる。
【0060】
図2は、銀行券確認のための分類装置22を生成するための装置20の略図である。この装置は下記のものを含む。
・銀行券の画像のトレーニング・セットにアクセスするように配置されている入力21。
・トレーニング・セット画像を使用して複数のセグメント分割マップを生成するように配置されているプロセッサ23。各セグメント分割マップは、異なる数のセグメントを有する。
・選択した1つのセグメント分割マップにより、各トレーニング・セット画像をセグメント分割するように配置されているセグメント分割装置24。
・各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置されている特徴抽出部25。
・プロセッサ23は、また、セグメント分割装置24および特徴抽出部25の結果により、各セグメント分割マップに対して一組の分類パラメータを計算するように配置することができる。
・分類パラメータの複数のセットの中から選択した第1のセットを使用するように配置されている分類形成手段26。
・分類パラメータの他のセットのうちの1つにより、分類パラメータの第1の選択したセットを置換するように配置されているアダプタ27。
この場合、プロセッサは、例えば、上記時空画像分解を使用して、トレーニング・セット内のすべての画像からの情報に基づいてセグメント分割マップを生成するように配置されている。
【0061】
そうしたい場合には、分類装置を生成するための装置は、また、それぞれの分類性能を評価することにより、最適のセグメント分割マップおよび/または分類パラメータの関連するセット、ならびに1つまたは複数の代替セグメント分割マップおよび/または分類パラメータの関連するセットを選択する選択装置を備えることもできる。
【0062】
図3は、銀行券確認装置31の略図である。この銀行券確認装置は、下記のものを含む。
・確認する銀行券の少なくとも1つの画像30を受け入れるように配置されている入力。
・1つの最適のセグメント分割マップおよびトレーニング段階中に判定した1つまたは複数の代替セグメント分割マップからなる、それぞれが異なる数のセグメントを有する複数のセグメント分割マップ32。
・セグメント分割マップのうちの第1のマップを使用して銀行券の画像をセグメント分割するように配置されているプロセッサ33。
・銀行券の画像の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置されている特徴抽出部34。
・銀行券を、抽出した特徴に基づいて真券であるかないかに分類するように配置されている分類装置35。
・他のセグメント分割マップのうちの1つにより第1のセグメント分割マップを置換し、他のセグメント分割マップと関連する分類装置により上記分類装置を置換するように配置されているアダプタ36。
この場合、セグメント分割マップは、銀行券のトレーニング画像の各セットに関する情報に基づいて形成される。図3の構成要素が相互に独立していることは必ずしも必要でないことに留意されたい。これらの構成要素は一体に形成することができる。
【0063】
図4は、銀行券を確認するための方法の流れ図である。この方法は下記のステップを含む。
・確認する銀行券の少なくとも1つの画像にアクセスするステップ(ボックス40)
・セグメント分割マップにアクセスするステップ(ボックス41)
・セグメント分割マップにより銀行券の画像をセグメント分割するステップ(ボックス42)
・銀行券の画像の各セグメントから特徴を抽出するステップ(ボックス43)
・分類装置により抽出した特徴に基づいて銀行券を真券であるかないかに分類するステップ(ボックス44)
この場合、セグメント分割マップは、銀行券のトレーニング画像の各セットに関する情報に基づいて作成される。これらの方法のステップは、当業者であれば周知のように、任意の適切な順序または組合せで実行することができる。セグメント分割マップは、暗黙にトレーニング・セット内の各画像に関する情報を含んでいるということができる。何故なら、セグメント分割マップはこの情報に基づいて作成されたものだからである。しかし、セグメント分割マップ内の明示の情報は、各セグメント内に内蔵させる画素・アドレスのリストを含む簡単なファイルであってもよい。
【0064】
図5は、貨幣確認装置を動的に調整するための方法の流れ図である。システムが偽造紙幣を受け入れる可能性があるという情報が受信される(ボックス50参照)。この情報は、貨幣確認装置自身のところ、またはその後で情報を1つまたは複数の貨幣確認装置に伝える中央管理位置のところで受信される。例えば、中央管理ノードは、通信ネットワークを通して、または任意の他の適切な方法で、貨幣確認装置に命令を発行する。
【0065】
情報または受信した命令は、別の格納しているセグメント分割マップの作動をトリガする(ボックス51参照)。このセグメント分割マップは、前に使用したセグメント分割マップよりも(通常はもっと多くの数のセグメント)異なる数を有する。この代替セグメント分割マップは、前に局所的に位置するセルフサービス装置内に格納することもできるし、または中央のサーバ内に格納することもでき、次に、必要な場合には、遠隔地のネットワークを通して影響を受けた装置に配信される。代替セグメント分割マップが作動すると、前のセグメント分割マップは置換され、方法は図4のところで説明したように前に進む。すなわち、画像は代替セグメント分割マップ52によりセグメント分割される。各セグメントから特徴が抽出されると(ボックス53参照)、銀行券は、抽出した特徴に基づいて分類される(ボックス54参照)。各格納しているセグメント分割マップは、それを分類パラメータの予め計算し、格納したセットと関連付けることもできる。その場合、受信した情報(ボックス50)は、本明細書に記載するように媒体アイテムを分類するために、分類装置で使用する分類パラメータの代替セットの作動をトリガすることができる。
【0066】
代替セグメント分割マップを使用している間に、開発者は、代替セグメント分割マップより少ない数のセグメントを使用する偽造紙幣の攻撃に対処するために新しいセグメント分割マップを生成することもできる。それ故、代替テンプレートを使用すれば、任意の再トレーニング、テンプレート開発および結果としての材料を配信している間に、自動貨幣確認プロセスを進めることができる。
【0067】
上記方法の場合には、1つの代替セグメント分割マップだけが生成され、格納される。しかし、異なる数のセグメントを含む複数のこのような代替セグメント分割マップを生成し、格納することもできる。次に、試行錯誤により、または以前の経験に基づいて、および/または受けている特定の偽造紙幣からの攻撃に関する詳細な情報に基づいて、どの代替セグメント分割テンプレートを使用すべきかを選択することができる。
【0068】
また、本明細書に記載する方法は、セグメントの数が増大する状況に焦点を当ててきた。しかし、セグメントの数を低減することもできる。例えば、代替テンプレートを15のセグメントと一緒に使用していると仮定しよう。この場合には、処理コストおよび負担が比較的大きくなる。後で、もっと少ない数のセグメントを有するセグメント分割テンプレートに戻ることができるように、偽造紙幣のソースが防止される。
【0069】
前の場合には、セグメント分割は、空間的位置だけに基づいて行われ、本発明者らは、トレーニング・セット内の画像を横切る画素輝度プロファイルのような特徴値上のセグメント分割に基づいてこれを改善した。このようにして、各トレーニング・セット画像は、セグメント分割に影響を与える。しかし、前の場合には、グリッド・セグメント分割を使用した場合、これとは違う。
【0070】
図12は、銀行券確認装置123を備えるセルフサービス装置121の略図である。この装置は、下記のものを含む。
・銀行券を受け入れるための手段120
・銀行券のデジタル画像を入手するための画像形成手段122
・上記銀行券確認装置123
【0071】
銀行券を受け入れるための手段は、画像形成手段として当業者であれば周知の任意の適切なタイプのものである。特徴選択アルゴリズムは、特徴抽出ステップの際に使用するための1つまたは複数のタイプの特徴を選択するために使用することができる。また、分類装置は、本明細書に記載する特徴情報の他に、銀行券の特定の金種または貨幣に関する指定の情報に基づいて形成することができる。例えば、色または他の情報、所与の貨幣および金種で空間周波数または形状の点で、特にデータの豊富な領域に関する情報に基づいて形成することもできる。
【0072】
本明細書に記載する方法は、銀行券の任意の適切なタイプの画像または他の表示上で実行される。例えば、赤、青および緑のチャネルのうちのいずれの上の画像、または上記他の画像上で実行することができる。
【0073】
セグメント分割は、例えば、赤のチャネルのようなたった1つのタイプの画像に基づいて行うことができる。別の方法としては、セグメント分割マップは、例えば、赤、青および緑のチャネルのようなすべてのタイプの画像に基づいて作成することができる。また、画像の各タイプまたは複数の画像タイプの組合せに対して複数のセグメント分割マップを形成することもできる。例えば、赤のチャネルの画像に対して1つ、青のチャネルの画像に対して1つ、および緑のチャネルの画像に対して1つ、3つのセグメント分割マップを使用することもできる。その場合、個々の銀行券を確認している間に、選択した画像のタイプにより、適当なセグメント分割マップ/分類装置が使用される。それ故、上記各方法は、異なるタイプの画像および対応するセグメント分割マップ/分類装置を使用して修正することができる。
【0074】
本明細書に記載する任意の範囲またはデバイスの値は、当業者であれば理解することができると思うが、必要な効果を失わないで拡張または変更することができる。
【0075】
好ましい実施形態の上記説明は、単に例示としてのものにすぎないこと、および当業者であれば種々の修正を行うことができることを理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】銀行券を確認するための分類装置を作成するための方法の流れ図である。
【図2】銀行券を確認するための分類装置を作成するための装置の略図である。
【図3】銀行券確認装置の略図である。
【図4】銀行券を確認するための方法の流れ図である。
【図5】品質の向上した偽造紙幣の存在に動的に反応する方法の流れ図である。
【図6】2つのセグメントに対するセグメント分割マップの略図である。
【図7】3つの異なる貨幣に対するセグメント分割マップ内のセグメントの数に対する誤り受け入れ率/誤り拒否率のグラフである。
【図8】多数のセグメントの選択を示す図7のグラフ類似のグラフである。
【図9】品質の向上した偽造紙幣が母集団内に入った場合の図8の状況のグラフである。
【図10】高くなった誤り拒否率を示す図8の状況のグラフである。
【図11】図9の状況に対するものであるが、より多くのセグメントを含むセグメント分割マップを使用するグラフである。
【図12】銀行券確認装置を含むセルフサービス装置の略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を確認するための分類装置を生成するための方法であって、
(i)媒体アイテムの画像のトレーニング・セットにアクセスするステップと、
(ii)前記トレーニング・セット画像を使用する複数のセグメント分割マップを生成するステップであって、各セグメント分割マップが、前記トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含み、各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有するステップと、
(iii)各セグメント分割マップに対して、そのセグメント分割マップを使用する前記各トレーニング・セット画像をセグメント分割し、前記各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出することにより、一組の分類パラメータを計算するステップと、
(iv)前記複数の組の分類パラメータの第1の選択した分類パラメータを使用して前記分類装置を形成するステップと、
(v)分類パラメータの前記第1の組を、分類パラメータの他の組の1つにより置換するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
分類パラメータの前記第1の選択した組が、既知の偽造紙幣に関する情報により前記分類装置の試験に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分類パラメータの前記第1の選択した組が、種々の異なる数のセグメントを有するセグメント分割マップに対する分類性能に関する情報に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
分類パラメータの前記第1の選択した組を置換する前記ステップが、媒体アイテムの母集団内の変化に関する情報に基づいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記セグメント分割マップが、前記トレーニング・セット内のすべての画像を横切る情報に基づいて画像面内の画素位置をクラスタするクラスタリング・アルゴリズムを使用することにより生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
特徴を抽出するステップ(iii)で使用するために、特徴選択アルゴリズムを使用して1つまたは複数のタイプの特徴を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分類装置が銀行券を確認するためのものであって、銀行券の特定の金種および貨幣に関する指定情報に基づいて前記分類装置を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
必要な場合には、前記分類装置を形成するステップ(v)において、分類装置を組み合わせるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
媒体分類装置を生成するための装置であって、
(i)媒体アイテムの画像のトレーニング・セットにアクセスするように配置される入力と、
(ii)前記トレーニング・セット画像を使用して複数のセグメント分割マップを生成するように配置されるプロセッサであって、各セグメント分割マップが、前記トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含み、各セグメント分割マップが異なる数のセグメントを有するステップと、
(iii)前記セグメント分割マップのうちの第1のマップにより、前記各トレーニング・セット画像をセグメント分割するように配置されるセグメント分割装置と、
(iv)前記各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置される特徴抽出部と、
(v)前記特徴情報を使用して前記分類装置を形成するように配置される分類形成手段と、
(vi)ステップ(ii)で生成した前記各セグメント分割マップに対応する前記分類性能を評価することにより、前記最適セグメント分割マップならびに1つまたは複数の代替セグメント分割マップを選択するように配置される選択装置と、
を備える装置。
【請求項10】
媒体確認装置であって、
(i)確認する媒体アイテムの少なくとも1つの画像を受け入れるように配置される入力と、
(ii)各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有し、各セグメント分割マップが、媒体アイテムの画像のトレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含む複数のセグメント分割マップと、
(iii)前記セグメント分割マップのうちの第1のマップにより前記媒体アイテムの画像をセグメント分割するように配置されるプロセッサと、
(iv)前記媒体アイテムの画像の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置される特徴抽出部と、
(v)前記媒体アイテムを、前記抽出した特徴に基づいて真券であるかないかに分類するように配置される分類装置と、
(vi)他のセグメント分割マップのうちの1つにより前記第1のセグメント分割マップを置換し、それにより前記分類装置を修正するように配置されるアダプタと、
を備える媒体確認装置。
【請求項11】
前記セグメント分割マップが、形態学上の情報を含む、請求項10に記載の媒体確認装置。
【請求項12】
前記セグメント分割マップが、前記各トレーニング・セット画像の同じ位置のところの画素に関する情報を含む、請求項10に記載の媒体確認装置。
【請求項13】
前記セグメント分割マップが、画素輝度プロファイルを有する、請求項10に記載の媒体確認装置。
【請求項14】
前記分類装置が、1クラス分類装置である、請求項10に記載の媒体確認装置。
【請求項15】
媒体アイテムを確認するための方法であって、
(i)確認する媒体アイテムの少なくとも1つの画像にアクセスするステップと、
(ii)複数のセグメント分割マップにアクセスするステップであって、これらのセグメント分割マップが、各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有する前記トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含むステップと、
(iii)前記複数のセグメント分割マップのうちの1つを選択するステップと、
(iv)前記選択したセグメント分割マップにより前記媒体アイテムの画像をセグメント分割するステップと、
(v)前記媒体アイテムの画像の各セグメントから特徴を抽出するステップと、
(vi)分類装置により前記抽出した特徴に基づいて前記媒体アイテムを分類するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
ステップ(iii)において、前記セグメント分割マップが、媒体アイテムの母集団内の変化に関する情報により選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記情報が、偽造媒体アイテムの品質に関する情報を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
媒体確認のための分類装置を生成するための方法のすべてのステップを実行することができるコンピュータ・プログラム・コード手段を有するコンピュータ・プログラムであって、前記方法が、
(i)媒体アイテムの画像のトレーニング・セットにアクセスするステップと、
(ii)前記トレーニング・セット画像により複数のセグメント分割マップを生成するステップであって、各セグメント分割マップが、前記トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を有し、各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有するステップと、
(iii)各セグメント分割マップに対して、そのセグメント分割マップを使用して前記各トレーニング・セット画像をセグメント分割し、前記各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出することにより、一組の分類パラメータを計算するステップと、
(iv)前記複数の組の分類パラメータの第1の選択した分類パラメータを使用して前記分類装置を形成するステップと、
(v)分類パラメータの前記第1の組を、分類パラメータの他の複数の組の1つにより置換するステップと、
を含むコンピュータ・プログラム。
【請求項19】
コンピュータ可読媒体上で実施される、請求項18に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項20】
セルフサービス装置であって、
(i)媒体アイテムを受け入れるための手段と、
(ii)前記媒体アイテムのデジタル画像を入手するための画像形成手段と、
(iii)媒体確認装置と、
を備え、前記媒体確認装置が、
(i)確認する媒体アイテムの少なくとも1つの画像を受け入れるように配置される入力と、
(ii)各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有し、各セグメント分割マップが、媒体アイテムの画像のトレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含む複数のセグメント分割マップと、
(iii)前記セグメント分割マップのうちの第1のマップにより、前記媒体アイテムの画像をセグメント分割するように配置されるプロセッサと、
(iv)前記銀行券の画像の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置される特徴抽出部と、
(v)前記媒体アイテムを、前記抽出した特徴に基づいて真券であるかないかに分類するように配置される分類装置と、
(vi)前記他のセグメント分割マップのうちの1つにより、前記第1のセグメント分割マップを置換し、それにより前記分類装置を修正するように配置されるアダプタと、
を備えるセルフサービス装置。
【請求項1】
媒体を確認するための分類装置を生成するための方法であって、
(i)媒体アイテムの画像のトレーニング・セットにアクセスするステップと、
(ii)前記トレーニング・セット画像を使用する複数のセグメント分割マップを生成するステップであって、各セグメント分割マップが、前記トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含み、各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有するステップと、
(iii)各セグメント分割マップに対して、そのセグメント分割マップを使用する前記各トレーニング・セット画像をセグメント分割し、前記各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出することにより、一組の分類パラメータを計算するステップと、
(iv)前記複数の組の分類パラメータの第1の選択した分類パラメータを使用して前記分類装置を形成するステップと、
(v)分類パラメータの前記第1の組を、分類パラメータの他の組の1つにより置換するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
分類パラメータの前記第1の選択した組が、既知の偽造紙幣に関する情報により前記分類装置の試験に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分類パラメータの前記第1の選択した組が、種々の異なる数のセグメントを有するセグメント分割マップに対する分類性能に関する情報に基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
分類パラメータの前記第1の選択した組を置換する前記ステップが、媒体アイテムの母集団内の変化に関する情報に基づいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記セグメント分割マップが、前記トレーニング・セット内のすべての画像を横切る情報に基づいて画像面内の画素位置をクラスタするクラスタリング・アルゴリズムを使用することにより生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
特徴を抽出するステップ(iii)で使用するために、特徴選択アルゴリズムを使用して1つまたは複数のタイプの特徴を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分類装置が銀行券を確認するためのものであって、銀行券の特定の金種および貨幣に関する指定情報に基づいて前記分類装置を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
必要な場合には、前記分類装置を形成するステップ(v)において、分類装置を組み合わせるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
媒体分類装置を生成するための装置であって、
(i)媒体アイテムの画像のトレーニング・セットにアクセスするように配置される入力と、
(ii)前記トレーニング・セット画像を使用して複数のセグメント分割マップを生成するように配置されるプロセッサであって、各セグメント分割マップが、前記トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含み、各セグメント分割マップが異なる数のセグメントを有するステップと、
(iii)前記セグメント分割マップのうちの第1のマップにより、前記各トレーニング・セット画像をセグメント分割するように配置されるセグメント分割装置と、
(iv)前記各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置される特徴抽出部と、
(v)前記特徴情報を使用して前記分類装置を形成するように配置される分類形成手段と、
(vi)ステップ(ii)で生成した前記各セグメント分割マップに対応する前記分類性能を評価することにより、前記最適セグメント分割マップならびに1つまたは複数の代替セグメント分割マップを選択するように配置される選択装置と、
を備える装置。
【請求項10】
媒体確認装置であって、
(i)確認する媒体アイテムの少なくとも1つの画像を受け入れるように配置される入力と、
(ii)各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有し、各セグメント分割マップが、媒体アイテムの画像のトレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含む複数のセグメント分割マップと、
(iii)前記セグメント分割マップのうちの第1のマップにより前記媒体アイテムの画像をセグメント分割するように配置されるプロセッサと、
(iv)前記媒体アイテムの画像の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置される特徴抽出部と、
(v)前記媒体アイテムを、前記抽出した特徴に基づいて真券であるかないかに分類するように配置される分類装置と、
(vi)他のセグメント分割マップのうちの1つにより前記第1のセグメント分割マップを置換し、それにより前記分類装置を修正するように配置されるアダプタと、
を備える媒体確認装置。
【請求項11】
前記セグメント分割マップが、形態学上の情報を含む、請求項10に記載の媒体確認装置。
【請求項12】
前記セグメント分割マップが、前記各トレーニング・セット画像の同じ位置のところの画素に関する情報を含む、請求項10に記載の媒体確認装置。
【請求項13】
前記セグメント分割マップが、画素輝度プロファイルを有する、請求項10に記載の媒体確認装置。
【請求項14】
前記分類装置が、1クラス分類装置である、請求項10に記載の媒体確認装置。
【請求項15】
媒体アイテムを確認するための方法であって、
(i)確認する媒体アイテムの少なくとも1つの画像にアクセスするステップと、
(ii)複数のセグメント分割マップにアクセスするステップであって、これらのセグメント分割マップが、各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有する前記トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含むステップと、
(iii)前記複数のセグメント分割マップのうちの1つを選択するステップと、
(iv)前記選択したセグメント分割マップにより前記媒体アイテムの画像をセグメント分割するステップと、
(v)前記媒体アイテムの画像の各セグメントから特徴を抽出するステップと、
(vi)分類装置により前記抽出した特徴に基づいて前記媒体アイテムを分類するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
ステップ(iii)において、前記セグメント分割マップが、媒体アイテムの母集団内の変化に関する情報により選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記情報が、偽造媒体アイテムの品質に関する情報を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
媒体確認のための分類装置を生成するための方法のすべてのステップを実行することができるコンピュータ・プログラム・コード手段を有するコンピュータ・プログラムであって、前記方法が、
(i)媒体アイテムの画像のトレーニング・セットにアクセスするステップと、
(ii)前記トレーニング・セット画像により複数のセグメント分割マップを生成するステップであって、各セグメント分割マップが、前記トレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を有し、各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有するステップと、
(iii)各セグメント分割マップに対して、そのセグメント分割マップを使用して前記各トレーニング・セット画像をセグメント分割し、前記各トレーニング・セット画像内の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出することにより、一組の分類パラメータを計算するステップと、
(iv)前記複数の組の分類パラメータの第1の選択した分類パラメータを使用して前記分類装置を形成するステップと、
(v)分類パラメータの前記第1の組を、分類パラメータの他の複数の組の1つにより置換するステップと、
を含むコンピュータ・プログラム。
【請求項19】
コンピュータ可読媒体上で実施される、請求項18に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項20】
セルフサービス装置であって、
(i)媒体アイテムを受け入れるための手段と、
(ii)前記媒体アイテムのデジタル画像を入手するための画像形成手段と、
(iii)媒体確認装置と、
を備え、前記媒体確認装置が、
(i)確認する媒体アイテムの少なくとも1つの画像を受け入れるように配置される入力と、
(ii)各セグメント分割マップが、異なる数のセグメントを有し、各セグメント分割マップが、媒体アイテムの画像のトレーニング・セット内のすべての画像間の対応する画像要素の関係に関する情報を含む複数のセグメント分割マップと、
(iii)前記セグメント分割マップのうちの第1のマップにより、前記媒体アイテムの画像をセグメント分割するように配置されるプロセッサと、
(iv)前記銀行券の画像の各セグメントから1つまたは複数の特徴を抽出するように配置される特徴抽出部と、
(v)前記媒体アイテムを、前記抽出した特徴に基づいて真券であるかないかに分類するように配置される分類装置と、
(vi)前記他のセグメント分割マップのうちの1つにより、前記第1のセグメント分割マップを置換し、それにより前記分類装置を修正するように配置されるアダプタと、
を備えるセルフサービス装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−527028(P2009−527028A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545086(P2008−545086)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004670
【国際公開番号】WO2007/068928
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004670
【国際公開番号】WO2007/068928
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】
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