説明

哺乳動物細胞内で目的遺伝子を高度に増幅させるための方法、および該方法を実施するために用いるベクター

【課題】どのような哺乳動物細胞にでも適用でき、しかも簡便な方法であって、目的遺伝子をその鎖長や構造によらずに哺乳動物細胞内で増幅し、その蛋白質産物を大量生産する方法を得ること。
【解決手段】哺乳動物複製起点と、核マトリックス結合領域を持つベクターを用いること。このようなベクターに対して、シス(ベクターと同一の構造体)、或いはトランス(ベクターとは異なる構造体)に増幅させたい目的遺伝子を配置し、哺乳動物細胞内に導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類細胞内において目的とする遺伝子を高度に増幅させる方法、および該方法を実施するために用いるベクターに関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類細胞で導入遺伝子の細胞内コピー数を増加させる方法として、唯一知られている方法は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO; Chinese Hamster Ovary)細胞等を宿主とし、これに目的遺伝子をジヒドロ葉酸リダクターゼ(DHFR; Dihydrofolate reductase)遺伝子と同時に導入し、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子産物の阻害剤であるメトトレキセート(MTx; Methotrexate)を培養液中に加えて選択する方法である。この方法は、現在、広く医薬品等有用物質の大量生産に利用され、重要な技術となっている。
【0003】
しかしこの方法は、適用できる宿主細胞がCHO細胞等に限定され、汎用性に欠ける問題がある。また、選択薬剤であるメトトレキセートを用いて長期間にわたって選択する必要があり、しかも、メトトレキセートの細胞毒性作用を考慮しつつ、濃度を少しずつ増加させ選択しなければならない等の配慮が必要なので、経験および熟練をも必要とする。さらに、この方法は目的遺伝子として比較的短いDNAにのみ適用可能であり、適用範囲が狭いという問題がある。
【0004】
一般に、蛋白質はその種類によってリン酸化、アセチル化等の種々の修飾をうけることが多く、同じ蛋白質でも、発現する細胞、発現時期、細胞への刺激等の条件によって修飾の種類および修飾をうける部位が異なることが知られている。従って、発現させる目的蛋白質をコードする遺伝子を、本来は該蛋白質が発現されていない組織由来の宿主細胞等に異所的および/または異時的に発現させようとする場合に、その蛋白質の本来の性状を正確に反映する保証はない。一般的に、蛋白質の機能発現には特異的な修飾が必要とされることが多いから、目的蛋白質を発現させるための宿主細胞は、導入される蛋白質遺伝子に応じて適宜選択できることが好ましい。従って、上述した従来技術のように、適用できる細胞がCHO細胞等に限られることは、哺乳動物細胞内において医薬品等の有用蛋白質を生産する上での大きな障害になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、宿主として広範な哺乳類細胞を使用でき、経験および熟練を必要とせず、目的遺伝子を、その核酸の鎖長にかかわらず簡便な操作で増幅することである。
【0006】
本発明は、この課題を達成するために有用なベクターと、該ベクターを用いて目的遺伝子を哺乳類宿主細胞内で増幅する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの側面によれば、哺乳動物細胞内で目的遺伝子を高度に増幅および/または発現させるためのベクターであって、真核細胞内で機能する複製起点および核マトリックス結合領域を具備し、トランスフェクションされた細胞内において自律複製可能で、且つ娘細胞に安定して分配されることを特徴とするベクターが提供される。
【0008】
また、本発明の他の側面によれば、哺乳動物細胞内で目的遺伝子を高度に増幅および/または発現させる方法であって、前記目的遺伝子を上記本発明のベクターに対してシスに配置すると共に、これを適切な哺乳類宿主細胞にトランスフェクションして増幅および/または発現させることを特徴とする方法が提供される。
【0009】
本発明のもう一つの側面によれば、哺乳動物細胞内で目的遺伝子を高度に増幅および/または発現させる方法であって、前記目的遺伝子を本発明の上記ベクターに対してトランスに配置すると共に、これを前記ベクターと共に適切な哺乳類宿主細胞にトランスフェクションして増幅および/または発現させることを特徴とする方法が提供される。
【0010】
本発明において、「目的遺伝子をベクターに対してシスに配置する」とは、目的遺伝子を当該ベクターの中に配置することを言う。また、「目的遺伝子をベクターに対してトランスに配置する」とは、目的遺伝子を当該ベクターとは異なる構造体に配置することを言う。
【発明の効果】
【0011】
本発明による方法は、どのような哺乳動物細胞にも適用可能であり、極めて簡単な操作で目的遺伝子を細胞内で数千から一万コピー以上にまで増幅させることが可能となる。さらに、本発明による方法は、原理上、どのような長さの遺伝子でも増幅させることが可能であるため、ゲノム上の広範な目的遺伝子領域を増幅させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、括弧内の数字によって種々の公知文献が参照される。これら文献の書誌的事項は、発明の詳細な説明の項の末尾に列記する。
【0013】
本発明は、腫瘍細胞等における遺伝子増幅現象で認められた知見に依拠している。遺伝子増幅は、腫瘍細胞が無制限の成長または薬剤抵抗性を獲得する主要な機構である(1)、細胞遺伝学的に言えば、増幅遺伝子は、インビボにおいて、染色体外のダブルマイニュート染色体(DM)上で最も頻繁に検出される(しかし、長期にわたるインビトロでの継代によって、通常は染色体の均一染色領域(HSR;homogeneously staining region)を有する細胞の優勢的増殖に至る)。これまでの研究により、腫瘍細胞からDM上の増幅された遺伝子を除去すると、腫瘍表現型および細胞分化を呈する状態から正常状態に復帰することが示されている(2-4)。この種の除去過程は、分裂細胞から放出される微小核へのDMの選択的取り込みによって仲介される(3、5、6)。このような微小核形成(micronucleation)過程は、細胞周期の際におけるDMの細胞内挙動と密接に関連していることが理解されている(7)。DMは様々なサイズの無動原体環状DNAから構成され(8)、無動原体性であるにもかかわらず、有糸分裂する染色体に付着して娘細胞へと安定に分離される(7-9)。最近の関連する重要な知見として、牛パピローマウイルス(10)、EBウイルス (11)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(12)およびSV40(13)を含むいくつかのウィルス性核内プラスミド(viral nuclear plasmid)が、細胞分裂の際に同様の機構を利用することが示されている。さらに、最近の興味深い研究では、EBウイルス・レプリコンを有するプラスミドが、腫瘍細胞でDMに組込まれ得ることが示されている(14)。また、複製のSV40起点を有するプラスミドでの付着過程の成立には、ウィルスのラージT抗原の発現を必要とするが、プラスミドにコードされたラージT遺伝子が細胞由来の核マトリックス結合領域(MAR; matrix attachment region)で代用されれば分離は達成され得ることが示されている(13)。実際に、核マトリックス結合領域は哺乳類ゲノムの複製起点の近傍で頻繁に認められており、この事実はマトリックス付着のゲノム複製における役割を示唆するものである(15)。
【0014】
本発明では、上記に説明した遺伝子増幅現象で認められた基礎的知見に基づいて、哺乳動物複製起点および核マトリックス結合領域(MAR)を有するベクターを使用することにより、目的遺伝子を導入した前記ベクターを含むDMのde novo形成を達成した。本発明のベクターは、哺乳類細胞において長鎖長の目的遺伝子を増幅し、且つその増幅された遺伝子を有するベクターの安定した娘細胞への分離が可能となり、その結果として、遺伝子の増幅に伴った蛋白質産生量の増大効果を得ることができる。
【0015】
本発明は、以上の特徴を有するベクターを新たに適用することによって、従来技術における汎用性、導入遺伝子の核酸鎖長の制限、実施の簡便性等の課題を克服した。即ち、本発明のベクターは、哺乳動物複製起点および核マトリックス結合領域(MAR)を有することを特徴とするものである。
【0016】
哺乳動物複製起点および核マトリックス結合領域は、両者の組み合わせにより哺乳類細胞内でベクターに導入された目的遺伝子が増幅して、それが娘細胞へ分離・分配されるものであればどんなものでもよいが、好ましくはそれぞれ、EBウイルス潜在複製起点(EBV latent origin)、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、β-グロビン遺伝子座等の複製起点、および、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座等の核マトリックス結合領域に由来する配列を有するものである。
【0017】
加えて、前記ベクターは適宜目的に応じて、大腸菌内でクローニングを行うために必要な配列、或いは、マーカー蛋白質として薬剤耐性遺伝子(ブラスティサイジン抵抗性、ネオマイシン抵抗性等)または緑色蛍光蛋白質遺伝子等の形質転換細胞を選択するための遺伝子を有してもよい。これらのマーカー蛋白質が導入されたベクターにより形質転換された細胞は、薬剤耐性遺伝子に基づく薬剤選択またはセルソータ等によりマーカー蛋白質発現細胞を選択または分離することによって選別できる。
【0018】
前記ベクターは哺乳動物複製起点および核マトリックス結合領域を有していれば、プラスミッドであってもよく、またはコスミドの形態であってもよい。
【0019】
前記ベクターを導入する宿主細胞は哺乳類細胞であればよいが、好ましくはCOLO 320細胞、Hela細胞等の細胞株が使用される。
【0020】
本発明では、上記ベクターを用いることにより、哺乳類宿主細胞において、目的とする遺伝子を増幅する。その第一の態様では、前記ベクターに目的遺伝子を適切なプロモーター配列の支配下に、直接組み込み、哺乳動物細胞に導入される。つまりこの態様においては目的遺伝子がシス(前記ベクターと同一の構造体)に配置される。
【0021】
また、本発明による遺伝子増幅の第二の態様では、ラムダファージ、コスミド等の、粘着末端を持ち自己環状化できる核酸に目的遺伝子を適切なプロモーターとともに組み込み、これを、前記の自律複製できるベクター(プラスミド等)と混合し、哺乳動物宿主細胞に共にトランスフェクションして導入する。つまり、この態様においては目的遺伝子がトランス(前記ベクターとは異なる構造体)に配置される。この態様においては2種類の核酸を混合して共にトランスフェクションすればよいが、両者の重量比は1対1であることが最も好ましい。この第二の態様では、第一の態様に比べて、より長鎖長の目的遺伝子を増幅させることができる。
【0022】
ベクターの細胞への導入は電気穿孔法、リポフェクション等の当業者に周知の方法によりおこなうことができる。
【0023】
増幅した目的遺伝子より転写・翻訳された蛋白質は、使用目的によって様々な方法で調製し得る。例えば、細胞を回収後に適切な緩衝液中で破砕し、抽出して粗抽出物として使用してもいいし、また周知の各種クロマトグラフ等の方法により精製して使用してもよい。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
【0025】
<材料および方法>
〔プラスミド〕
図1で使用したプラスミド構築物を説明する。プラスミドpEPBG(11.0kbp)およびpSFVdhfr(11.0kbp)は、John Kolman 博士および Geoffrey M. Wahl 博士(The Salk Institute, San Diego, CA)から供与された。前者のプラスミドは、複製のEBウイルス潜在複製起点(EBV latent origin)(OriP)およびEBNA-1、加えて緑色蛍光蛋白質とG関連ポリペプチド(G-associated polypeptide)(GFP-GAP)の融合遺伝子を有し、後者のプラスミドはジヒドロ葉酸リダクターゼに対して3'-下流の領域に由来するOriβを含む4.6kbp断片を有している(16)。複製起点を欠くpSFV-Vプラスミド(6.4kbp)は、NotI消化で全てのジヒドロ葉酸リダクターゼ由来配列を削除することによってpSFVdhfrから構築された。pNeo.Myc-2.4プラスミド(9.0kbp;参照文献 17)は、Michael Leffak博士(Wright State University, Dayton, OH)から供与された。このプラスミドは、c-mycのプロモーター領域由来の2.4kbp HindIII/XhoI断片を含むものであり、NotI/HindIII消化してc-mycに由来する配列のほとんど全てを削除したpNeo-V(複製起点を欠く)の構築に使用した。pNeo.MycΔSVプラスミド(核マトリックス結合領域を欠く)は、BamHI/BsmI消化によって核マトリックス結合活性(18)を呈する大部分のSV40由来配列を削除して構築した。Igκ遺伝子のイントロン性エンハンサー核マトリックス結合領域(Intronic enhancer MAR)はpG19/45プラスミドを鋳型としたPCRによって増幅され、その増幅産物からpAR1プラスミドを構築した(19)。pNeo.MycΔSV AR1プラスミドは、pNeo.MycΔSVにpAR1の核マトリックス結合領域配列(AR1)を挿入することによって作成した。この操作によって核マトリックス結合領域類似SV40由来配列が置換される。
【0026】
〔その他の実験方法〕
ヒト結腸直腸のCOLO 320DMおよびCOLO 320HSR腫瘍細胞株を文献の記載に従い獲得し、維持した(5)。
【0027】
HeLa細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(CCL-2)から入手した。全てのプラスミドをQiagenプラスミド精製キット(Qiagen Inc., Valencia, CA)により精製し、GenePorter 2リポフェクションキット(Gene Therapy Systems, San Diego, CA)により細胞にトランスフェクトした。
【0028】
ブラスティサイジン(Blasticidine)(10 μg/ml; Funakoshi, Tokyo, Japan;pEPBG、pSFVdhfr、および、その変異体に対して)または500μg/mlネオマイシン(Neomycin) (Life Technologies, Inc., Rockville, MD; pNeo.Myc-2.4 および、その変異体に対して)が形質転換体を選択するために使用された。我々が出版したプロトコルに従って、COLO 320のアンプリコン(amplicons)を検出するビオチン標識された微小核プローブを調製した(5)。既刊のプロトコル(20)に従い、分裂中期試料の作成、DIG標識プローブの調製およびFISHを実施した(インビトロ核マトリックス結合アッセイ(19)と同様に)。
【0029】
<結果および考察>
EBウイルス・レプリコンを有するプラスミドはDMに組み込まれる哺乳類のレプリコンを調べる前に、我々は最も特性が調べられたエピゾーム性(episomal)のベクター(すなわち、EBウイルス・レプリコン(pEPBG)に準拠するもの)を試験した。このプラスミドは、ウィルスのシス作動性(cis-acting)OriP配列から自律的に複製し、分裂期染色体への付着にウィルスEBNA-1遺伝子の発現を必要とする(11)。我々は、このプラスミドを多数のDMを有するヒトCOLO 320DM腫瘍細胞にトランスフェクトし、安定に形質転換されたコロニー混合物をFISH法により分析した。その結果、前記プラスミドの配列が若干の分裂中期細胞中の様々なサイズのDMで主に検出された(図2、AおよびB;表1)。また、染色体に組み込まれた徴候は認められなかった。これらの観察は最近の報告に記載された結果と同質のものであり、EBウイルス・レプリコンを有するプラスミドがDMと選択的に組換を起すことを示すものである(14)。混合コロニーを用いた実験ではDMへプラスミドが組み込まれた細胞の割合は小さい(13%)が、前記プラスミドによってコードされるGFP-GAP融合蛋白質の高レベルな発現を呈するクローンを検査した際には、10クローン中の10クローンがDMへの組み込みを呈するものであった。この現象は、DMに組み込まれた配列が高レベルで発現されることを示唆している。また、この結果は腫瘍細胞の増幅遺伝子の大部分がDMに局在するという観察と一致するものである(1)。
【0030】
【表1】

【0031】
哺乳類レプリコンを有するプラスミドもDMに組み込まれた同様に、我々はそれぞれジヒドロ葉酸リダクターゼ(16)およびc-myc遺伝子座(17)の起点配列を有する、pSFVdhfrおよびpNeo.Myc-2.4プラスミドを試験した(図1)。我々は、これらのプラスミドもまたCOLO 320DM細胞において様々なサイズのDMに組み込まれ、そして、それらは選択的に微小核に組み込まれることを見出した(図2C)。
【0032】
また、プラスミドおよびアンプリコン配列の同時検出により、プラスミド配列を有するDMがトランスフェクションされていないCOLO 320DM細胞に存在するDMに由来することが示された(図2D)。混合形質転換コロニーでのDMの組み込みの頻度は、pSFVdhfr(60%)において高く、pNeo.Myc-2.4(4.3%)において低かった(組み込まれている配列が、如何にして頻度に影響をおよぼすかについては明白となってない)。
【0033】
DMへの組み込みはプラスミドの自律的複製を必要とする哺乳類の起点配列がプラスミド(pSFV-VおよびpNeo-V;図1)から削除された場合に、前記プラスミドがDM(表1)と組換えを生じなかったことは重要な知見である。また、我々はpSFVdhfr(〜800コロニー/106細胞)と比較してpSFV-V(〜30コロニー/106細胞)の形質転換効率が非常に低いことをも見出しており、これらの事実は自律的に複製する能力がDMへのプラスミドの組み込みに重要であること、そしてこの能力が形質転換効率を増大することを示唆するものである。なぜ自律的に複製するプラスミドが頻繁にDMと組換えを生じるかについては現在推論中の問題であるが、1つの仮説はプラスミドおよびDMが共通の分配様式を共有するという事実に基づくものである。DMは引続く細胞周期のG1期に核内の周辺部に局在する傾向にあり、複製時には核の内部に移動し、その後、染色体に付着することにより分離される(14、20、21)。したがって、間期核で起こりうるDMおよびプラスミドの共局在化(colocalization)によって、これら2つのDNA種間の組換え頻度が増加する可能性がある。
【0034】
核マトリックス結合領域は哺乳類の起点によって駆動される染色体外複製に必要である核マトリックス結合領域はジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座上の複製開始部位付近に存在するという報告がある(16)、pSFVdhfrの4.6kbp挿入物には報告がない。それにもかかわらず、核マトリックス結合領域検索プログラム(22)分析は前記挿入物内部での潜在的な核マトリックス結合領域の存在可能性を予測した、そして、実際に予測された断片がインビトロで核マトリックスに結合することが認められた(図3)。また、核マトリックス結合領域検索プログラムはpNeo.Myc-2.4のc-myc遺伝子座由来の2.4kbp挿入物に核マトリックス結合領域の候補を検出できなかった。しかし、前記プラスミドは核マトリックス結合活性を呈するSV40初期領域由来の配列を含んでおり(18)、我々のインビトロでのマトリックス結合アッセイによって核マトリックス結合活性を有することが立証された(図3)。形質転換効率およびDMへの組み込みにおける核マトリックス結合領域の役割を調査するため、我々はpNeo.Myc-2.4のSV40由来の核マトリックス結合領域類似配列を削除した(これにより、pNeo.MycΔSVが作成される;図1)、一方、我々は他の構築物(pNeo.MycΔSV AR1)の該部位をIgκ遺伝子由来の核マトリックス結合領域と置換した(19)。予想したとおり、インビトロ結合アッセイによって、前者プラスミド(pNeo.MycΔSV)から生成するNcoI/HindIII断片は核マトリックス結合活性を示さないが、一方、後者(pNeo.MycΔSV AR1)から生成したものは核マトリックスに結合することが示された(図3)。COLO 320DM細胞がこれらのプラスミドでトランスフェクトされた際に、形質転換効率はpNeo.MycΔSV AR1(〜800コロニー/106細胞)と対比して、pNeo.MycΔSV(〜90コロニー/106細胞)で非常に低かった。さらに、前者プラスミド(pNeo.Myc ΔSV)はDMに組み込まれなかったが、一方、後者(pNeo.Myc ΔSV AR1)は組み込まれた(表1;図2E)。これらの観察結果はDMへの組み込みがシス作動性核マトリックス結合領域に依存することを示すものである。このようなことから、核マトリックス結合領域はプラスミドの自律的複製に重要な役割を担うと思われる。
【0035】
〔自律複製するプラスミドは遺伝子増幅類似の現象を惹起する〕
予想外の現象が異なる細胞株(すなわち、COLO 320HSR細胞)をトランスフェクションに使用した際に認められた。この細胞株は通常DMを含まないが、pSFVdhfrまたはpNeo.MycΔSV AR1でトランスフェクトした際に多くのプラスミド配列を有するDMが観察された(それぞれ、図2GおよびH)(すなわち、多くの微小クロマチン・ペアが分裂中期で観察された)。これらのDMがCOLO 320細胞に認められるオリジナルのアンプリコン配列を含まないことが2色FISH分析により示され(図2G)、この事実はDMがde novoに発生したことを意味している。DMを有する細胞は、起点と核マトリックス結合領域の両方を有するプラスミドでトランスフェクトした場合のみ頻繁に存在した(表1)。また、これらの現象はHeLa(DMを欠く他の腫瘍細胞株)が使用された場合にも認められた(図2I)。プラスミドが内在性の染色体外閉環型DNAと頻繁に組換えを生じるとの解釈がこの現象を説明しうるもっともらしい解釈である。実際に、多くの哺乳類体細胞はゲノムの柔軟性に依拠した染色体外の閉環型DNAを含んでいる(23)。我々の観察は、DMが顕微鏡で検出不可能なエピソーム間の組換えによって発生することを示唆するモデルを直接的に支持するものである(24)。
【0036】
また、我々は染色体均一染色領域(腫瘍細胞で見つけられる)に類似する染色体腕に沿った非常に強いプラスミド・シグナルを呈する細胞群を見出した(図2F、矢印)。このような細胞群は、起点と核マトリックス結合領域両方を有するプラスミドが使用された場合に限り観察された。興味深いことに、この細胞群の発生頻度は、COLO 320HSR細胞と対比してCOLO 320DM細胞にトランスフェクトした際にはるかに高率であった(表1)。この知見は、均一染色領域が染色体腕へのDMの縦列組み込み(tandem integration)によって形成されることを提示するモデルと一致するものである(24)。
【0037】
以上のように我々は本発明の基礎研究過程で、ヒト腫瘍形成で重大な役割を演ずる遺伝子増幅の機構における新規インビトロ・モデルを明らかにした。このモデルは哺乳類の複製起点の機能分析に有用と思われる、というのも今日まで本課題の研究の多くは、周囲のクロマチンによって影響される染色体上に組み込まれた配列を使用してなされてきたからである。
【0038】
本発明で我々は、前記インビトロ・モデルによりDM組込みまたはDM生成がプラスミド上のシス作動性複製起点および核マトリックス結合領域を必要とすることを示した。この結果は、組換えが自律的複製し得るプラスミドを必要とすることを強く示唆するものである。このような染色体外複製の研究は、遺伝子治療に必要とされる哺乳類レプリコンを有する安定したプラスミド開発等を促進するものと思われる。
【0039】
<参照文献>
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【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、遺伝子工学的手法により、哺乳動物細胞内において医薬品等の有用蛋白質を生産するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本研究で使用したプラスミドを示す図である。図には、EBウイルス・レプリコン(OriPおよびEBNA-1)、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびc-myc遺伝子座由来の哺乳類複製起点を有するpEPBG、pSFVdhfrおよびpNeo.Myc-2.4の構成が示されている。本研究における他のプラスミドは、pSFVdhfrまたはpNeo.Myc-2.4から構築された。SV40初期領域またはIgκ遺伝子(AR1)由来のイントロニック配列は、核マトリックス結合活性を呈した(黒四角で示される)。ジヒドロ葉酸リダクターゼ Oriβは、その内部に核マトリックス結合活性を呈する配列を含む(図3参照)。GFP-GAP(GFPとGAPの融合遺伝子); BS(ブラスティサイジン S耐性); Hyg(ハイグロマイシン耐性); Neo(ネオマイシン耐性); MMTI(マウスのメタロチオネインの5'フランキングDNAおよびプロモーター領域)。白四角は細菌細胞の成育に必要なベクター領域を表す。
【図2】図2は、プラスミドで形質転換された腫瘍細胞のFISH分析の結果を示す蛍光顕微鏡写真である。COLO 320DM (A-F), COLO 320HSR (G and H), および HeLa (I)細胞が、pEPBG(A および B), pSFVdhfr (C, D, G, および I), または pNeo.Myc ΔSV AR1 (E,F, および H)でトランスフェクトされた。安定形質転換体を培養30日経過後に選択し、分裂中期の染色体標本を作成した。トランスフェクションするプラスミドから調製したDIG標識プローブを染色体標本とのハイブリダイズに使用し、緑色蛍光で検出した。DおよびGはトランスフェクションしていないCOLO 320DM細胞の精製微小核から調製したビオチン標識プローブとDIG標識プラスミドプローブを同時にハイブリダイズし、赤色蛍光で検出した結果を示す。白矢印は、DM(A-EおよびG-I)または分裂中期の均一染色領域に相当する間期核(F)の巨大シグナル(Fの挿入図)を示す。アローヘッド(FおよびH)は、プラスミド由来の配列を蓄積した微小核を示す。プロピディウムイオダイド(propidium iodide)により赤色(A-CおよびI)に、または4',6-ジアミノ-2-フェニルインドール(4',6-diamidino-2-phenylindole)により青色(D-H)にDNAを対比染色した。緑色および赤色の重複部は黄色を、緑色および青色の重複部はシアン色を、そして3色全部の重複は白色を呈する。Dにおいて、プラスミド配列(緑色)は、DM(青色で検出、白矢印)に局在するアンプリコン配列(赤色)と局在が一致した。Gにおいて、アンプリコン配列(赤色)は、細胞中のマーカー均一染色領域で主に検出(黄色の矢印I、IIおよびIII)されたが、プラスミド配列(緑色、白矢印で示される)を有するDM(青色)では検出されなかった。バーは10μmを表す。
【図3】図3は、インビトロ・マトリックス結合アッセイの結果を示すPAGE電気泳動写真である。プラスミドを各々BamHI/ HindIII (pAR1)、NcoI/HindIII (pNeo.Myc-2.4, pNeo.Myc ΔSV および pNeo.Myc ΔSV AR1;制限酵素認識部位は図1を参照)、HinfI (pSFVdhfr)で消化し、末端充填反応(end-filling reaction) により[α-32P]dATPで標識した。標識DNA断片を種々の濃度の未標識競合物(大腸菌DNAおよびpUC18 DNAが20:1の混合物)の存在下で、核マトリックスとともにインキュベーションした。遠心分離を繰り返してマトリックスを洗浄後、マトリックスに結合したDNA断片を5%-PAGEで分離し、オートラジオグラフィーによって視覚化した。レーン1、インプットDNA;Lanes 2-4、競合DNA(それぞれ、4、8、16μg)存在下の反応。アローヘッドは、マトリックスに特異的に結合したバンドを示す。pAR1はコントロールとして使用したプラスミドであり、マウスIgκ遺伝子(アローヘッド)に由来する核マトリックス結合領域を含む。核マトリックス結合活性を呈するpNeo.Myc-2.4断片は、核マトリックス結合領域(18)であることが証明されたSV40初期領域を具備している。この配列の削除は、完全に核マトリックス結合活性を破壊した(pNeo.MycΔSV)。しかし、このプラスミドへのIgκ核マトリックス結合領域配列の挿入は、核マトリックス結合活性を復活させた(pNeo.MycΔSV AR1)。マトリックスに結合したpSFVdhfr断片(a)は、核マトリックス結合領域検索プログラムによって予測された潜在的核マトリックス結合領域と一致するジヒドロ葉酸リダクターゼ挿入物の中心部由来の886bp断片と同定された。断片(b)の素性は同定されなかったが、同様に挿入物に由来する断片であるとの解釈がもっともらしい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DMおよび/またはHSRの形態で目的遺伝子を増幅させるための方法であって、
前記目的遺伝子、哺乳動物複製起点、核マトリックス結合領域、および形質転換細胞を選択するための遺伝子を具備するベクターであり、かつ前記目的遺伝子がベクターに対してシスに配置されているベクターを哺乳動物細胞にトランスフェクションする工程と、
トランスフェクションされた哺乳動物細胞を培養する工程と、
前記形質転換細胞を選択するための遺伝子に基づいて選択もしくは分離して、目的遺伝子がDMおよび/またはHSRの形態で増幅された哺乳動物細胞を分離する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記形質転換細胞を選択するための遺伝子が、ブラスティサイジン抵抗性遺伝子、ネオマイシン抵抗性遺伝子、および緑色蛍光蛋白質遺伝子からなる群から選択される1以上の遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記哺乳動物複製起点が、c−myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ−グロビン遺伝子座の複製起点の何れか1つに由来する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域の何れか1つに由来する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記哺乳動物細胞が、COLO 320DM細胞、COLO 320HSR細胞、およびHela細胞からなる群から選択される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
DMおよび/またはHSRの形態で目的遺伝子を、哺乳動物細胞内で増幅させるためのベクターセットであって、
哺乳動物複製起点、核マトリックス結合領域、および形質転換細胞を選択するための遺伝子を具備するベクターと、
前記ベクターに対してトランスに配置された目的遺伝子と、
を含むことを特徴とするベクターセット。
【請求項7】
前記形質転換細胞を選択するための遺伝子が、ブラスティサイジン抵抗性遺伝子、ネオマイシン抵抗性遺伝子、および緑色蛍光蛋白質遺伝子からなる群から選択される1以上の遺伝子である、請求項6に記載のベクターセット。
【請求項8】
前記哺乳動物複製起点が、c−myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ−グロビン遺伝子座の複製起点の何れか1つに由来する、請求項6または7に記載のベクターセット。
【請求項9】
前記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域の何れか1つに由来する、請求項6ないし8のいずれか1項に記載のベクターセット。
【請求項10】
目的遺伝子、哺乳動物複製起点、核マトリックス結合領域、および形質転換細胞を選択するための遺伝子を具備するベクターが導入された哺乳動物細胞の形質転換体であって、
当該目的遺伝子がDMおよび/またはHSRの形態で増幅されている、形質転換体。
【請求項11】
前記哺乳動物複製起点が、c−myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ−グロビン遺伝子座の複製起点の何れか1つに由来する、請求項10に記載の形質転換体。
【請求項12】
前記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域の何れか1つに由来する、請求項10または11に記載の形質転換体。
【請求項13】
前記哺乳動物細胞が、COLO 320DM細胞、COLO 320HSR細胞、およびHela細胞からなる群から選択される、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の形質転換体。
【請求項14】
前記形質転換細胞を選択するための遺伝子が、ブラスティサイジン抵抗性遺伝子、ネオマイシン抵抗性遺伝子、および緑色蛍光蛋白質遺伝子からなる群から選択される1以上の遺伝子である、請求項10ないし13のいずれか1項に記載の形質転換体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−55175(P2006−55175A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313532(P2005−313532)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【分割の表示】特願2002−48187(P2002−48187)の分割
【原出願日】平成14年2月25日(2002.2.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】