説明

哺乳類の組織再生用の微量元素含有スキャフォールド

哺乳類へ移植して、身体組織の修復、再生および/または増殖における血管の成長を促進するためのスキャフォールドであって、当該スキャフォールドはホウ酸塩系、ケイ酸塩系またはリン酸塩系のガラス形成剤をベースとしており、哺乳類に移植すると生分解性を有する。スキャフォールドは、ホストの中に放出される血管成長を支援するCu、F、Fe、Mn、Mo、Ni、SrおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の微量元素を含む。方法は、そのようなスキャフォールドの移植を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織の修復、再生および増殖を促進するための、哺乳類の表面および表面下への移植用の生体適合性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ酸塩系のガラスは、材料と生きている骨前駆細胞との間の支持環境を育成することによって骨の結合、成長または発生をサポートするための、移植可能な組成物の基礎として用いられてきた。成功した生体活性ガラスは、必要とされる支持環境を育成するためにカルシウムおよびシリカを含んでいる、ということが広く認識されている。これらの組成物の特定のものは、のちに骨が材料に結合するのを促進するリン酸カルシウム層を育成することができる表面を有するので、生理活性であると考えられている。例えば、米国特許第5,204,106号は、NaO−CaO−P−SiOからなる45S5ガラスと称される組成物を開示する。
【0003】
Dayらの米国特許第6,709,744号には、NaO、CaO、PおよびBを含有するホウ酸塩系のガラスまたはセラミック材料を含んでいる移植用の生体適合性材料が記載されている。具体例は、約22.9重量%のNaO、約22.9重量%のCaO、約5.6重量%のP、および約48.6重量%のBを含むガラスである。これらの材料は、生体内(in vivo)または移植前にリンを含む流体にさらされた場合に、ヒドロキシアパタイトの形成を促進するために、高濃度のCaOを含む。これらの材料は、例えば、ホストへ放出するためのガラス製キャピラリーチューブ内に緩やかに詰められた緩い(ルーズな)粒子の形態にされている。Liangら、Bioactive Borate Glass Scaffold for Bone Tissue Engineering, J. Non-Crystalline Solids 354 (2008), p. 1690-96;およびYaoら、In-Vitro Bioactive Characteristics of Borate-Based Glasses with Controllable Degradation Behavior, J. Am. Cer. Soc. 90 (2007), p. 303-306 にも、ヒドロキシアパタイトを形成するために高濃度のCaOを含んで処方(formulated)されたホウ酸塩系のガラスが開示されている。例えば、Yaoらにより記載されている、0B、1B、2Bおよび3Bガラスは、0重量%、17.7重量%、35.4重量%および53重量%のホウ酸塩を含んでいる。
【0004】
哺乳類の組織急速な修復を促進し、そして特に血管分布を強化するための生体適合性材料に対しては、引き続き需要がある。
【発明の概要】
【0005】
従って、簡潔に述べると、本発明は、身体組織の修復、再生および/または増殖における血管の成長を促進するために、哺乳類に移植されるスキャフォールド(scaffold:足場)を対象としており、ここでスキャフォールドは、繊維、中空繊維、チューブ、リボン、中実球、中空球、粒子、結合した粒子、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる物理的形態にされた生体適合性材料のスキャフォールド本体を含み、前記生体適合性材料は、約40〜約80重量%のBを含み、前記生体適合性材料は、約0.05〜10重量%の濃度で生体適合性材料に化学的に溶解している(chemically dissolved)Cu、Fe、SrおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の微量元素を含む。
【0006】
別の態様では、本発明は、身体組織の修復、再生および/または増殖における血管の成長を促進するために、哺乳類に移植されるスキャフォールドを対象としており、ここでスキャフォールドは、繊維、中空繊維、チューブ、リボン、中実球、中空球、粒子、結合した粒子、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる物理的形態にされた生体適合性材料のスキャフォールド本体を有しており、ここで前記生体適合性材料は、B、SiO、Pおよびそれらの組合せからなる群から選ばれるガラス形成剤を含み、前記生体適合性材料は哺乳類の体液中で生分解性である、スキャフォールド本体と、約0.05〜10重量%の濃度で生体適合性材料に化学的に溶解しているCu、F、Fe、Mn、Mo、Ni、SrおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の微量元素と、を含み、前記ガラス形成剤は、生体適合性材料重量の(相対)標準偏差25%、母集団サイズ10でラット試験によって求めたときに、9〜11週間の年齢で、体重200〜300gのFisher344ラットに皮下移植して6週以内に、生体適合性材料の少なくとも約20重量%が生分解するように、生分解性を付与すべくバランスされた濃度(concentration balanced)を有している。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、哺乳類の身体組織の修復、再生および/または増殖における血管の成長を促進する方法を対象としており、該方法は、これらのスキャフォールドの移植を含む。
【0008】
他の目的および本発明の特徴は、一部は明らかであり、一部は以下に指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例に係るスキャフォールドの一連の写真である。
【図2】図2は、図1のスキャフォールドの移植後の一連の写真である。
【図3】図3は、図1のスキャフォールドの移植後の一連の写真である。
【図4】図4は、図1のスキャフォールドの移植後の一連の写真である。
【図5】図5は、移植し、除去し、薄片にし、そして組織染色(H&E)した後のスキャフォールドの写真である。
【図6】図6は、移植し、除去し、薄片にし、そして組織染色(H&E)した後のスキャフォールドの写真である。
【図7】図7は、移植し、除去し、切片にし、そして組織染色(H&E)した後のスキャフォールドの写真である。
【図8】図8は、本発明の生体適合性材料中のCuO含量の関数として血管形成を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<好適な実施形態の説明>
本発明によれば、B、Cu、F、Fe、Mn、Mo、Si、Srおよび/またはZnなどの微量元素が、哺乳類の表面および表面下に移植できる生体適合性組成物のスキャフォールドに取り込まれる。スキャフォールド組成物は、哺乳類によって生物学的に使用されるイオンを提供する。これらの元素は、血管形成に有用になりうる内皮細胞遊走の効果などの有用な効果を有し、そして組織再生にとって重要である。このようにして、これらの微量元素は血管形成を促進しており、それは、例えば創傷治癒などの組織の成長を促進する重要な機能である。このことは、骨誘導性(osteoconductivity)の促進と区別され、それは骨の成長を促進するためにサイトに骨成長因子を提供することである。血管分布を増加すること、即ち血管成長を含む血管形成は、骨誘導性とは異なる。
【0011】
本発明のスキャフォールドは、繊維、中空繊維、チューブ、リボン、中実球、中空球、粒子、結合した粒子およびそれらの組合せの1つ以上の形態の生体適合性材料を含むスキャフォールド本体を含んでいる。多くのより好ましい実施形態において、その形態は、ほぐれた(遊離した:loose)または接合した繊維、または結合した粒子である。一般的に言って、スキャフォールドは、少なくとも約10ミリグラム、例えば約10ミリグラム〜約500グラム、例えば約20ミリグラム〜約2500ミリグラムの重量を有する。生体適合性材料は、ホウ酸塩系、リン酸塩系および/またはケイ酸塩系であって、ガラス、結晶質またはガラスと結晶質との組合せである。
【0012】
いくつかの実施形態における生体適合性材料の繊維、球体または他の形状の構成要素は、結合されていない(nonbonded)構成要素のほぐれたアセンブリである。代わりに、それらは、スキャフォールド本体を規定し且つ0.4MPaを超えるスキャフォールド本体の圧縮強さを提供するために、典型的には加熱によって、相互に結合されている。所望の圧縮強さは、構成要素が決して流動しないように、および、個々の本体要素に分解せずにスキャフォールド本体を取り扱うことができるように、選ばれる。
所望の圧縮強さはまた、耐力本体部(load-bearing body part)または非耐力部(non-load-bearing part)の修復のためであろうとなかろうと、衝撃または著しい動きにさらされるもののため、移植後に全体を保持するのに必要な強度を提供するように選ばれる。いくつかの好ましい実施形態では、スキャフォールド本体の圧縮強さは少なくとも約5MPaであり、さらに、より大きな剛性が必要とされる他の実施形態では、圧縮強さは少なくとも約20MPa、例えば約20〜約200MPaである。
【0013】
スキャフォールドの初期の表面積は、スキャフォールドのモフォロジー(形態)---例えば、それが全て繊維かどうか、繊維の寸法、それが粒子かどうか、粒径など---に応じて幅広く変動する。さらに、表面積は、生分解の間に変化する。一般的に言って、繊維モフォロジーで以下の実施例1の寸法のスキャフォールドは、一般に、約50〜約1000cm−1、例えば約50〜約500cm−1の(表面積)/(バルクスキャフォールド体積)を有する。実施例1のスキャフォールドは、円筒形で直径7mmおよび高さ2mmの寸法に基づいて、134cm−1の(表面積)/(単位バルク体積)を有する。開始時のガラス繊維の表面積は10.27cmであり、シリンダーのバルク体積は7.7×10−2cmであった。
【0014】
1種以上の選ばれた微量元素は、少なくとも約0.05重量%、または少なくとも約0.1重量%の濃度で移植可能な材料に取り込まれる。大部分の場合、濃度は、(1元素あたり)10重量%未満、または5重量%未満、例えば約0.05〜約5重量%、例えば約0.1〜約2.5重量%である。移植可能な生体適合性材料がホウ酸塩系またはリン酸塩系である場合には、微量元素濃度は5重量%未満であり、生体適合性材料がケイ酸塩系である場合には、濃度は10重量%以下にしてもよい。微量元素は、B、Cu、F、Fe、Mn、Mo、Ni、Si、SrおよびZnからなる群から選ばれる。特定の好ましい実施形態では、微量元素は、Cu、F、Fe、Mn、Mo、SrおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素である。特定の用途のための特に好適ないくつかの実施形態では、微量元素は、Cu、Fe、SrおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素である。これらの微量元素のうちの1つ以上を、単一の組成に使用することができる。微量元素としてのケイ素は、ホウ酸塩系およびリン酸塩系のガラスに適用できるが、ケイ酸塩系のガラスには適用できない。微量元素としてのホウ素は、ケイ酸塩系およびリン酸塩系のガラスに適用できるが、ホウ酸塩系のガラスには適用できない。従って、Cu、F、Fe、Mn、Mo、SrおよびZnの群は、より一般的な適用性を有する。また、これらの元素の特定のものはより大量に存在することもできるが、その点で本発明の微量元素として使用されるものではない。例えば、0.4重量%のCuおよび15重量%のSrを含む生体適合性ガラス材料から形成されたスキャフォールドは、本発明における微量元素としてCuを含んでおり、そして、Srも含んでいるが本発明における微量元素としてではない。そのような材料は、その適切ではないSr含量にかかわらず、その材料のCu含量によって、約0.05〜10重量%の濃度のCu、F、Fe、Mn、Mo、Ni、SrおよびZnの群からの微量元素についての本発明の要件を実際に満足するであろう。
【0015】
Cuが所望される場合、ガラスまたは結晶質の生体適合性材料に対するCu源は、例えば、CuOもしくはCuOなどの酸化銅、または硝酸銅もしくは硫酸銅など他の銅化合物であってもよい。1つの実施形態において、Cuは約0.05〜約5重量%(約0.06〜6重量%のCuO、約0.055〜5.5重量%のCuO)、例えば約0.1〜約2.5重量%(約0.12〜3重量%のCuO、約0.11〜3重量%のCuO)の濃度でガラスに取り込まれる。約1.2重量%〜約2.4重量%のCuOでもたらされるような、約1重量%〜約2重量%のCuを使用する好ましい実施形態がある。
【0016】
Srが所望される場合、ガラスまたは結晶質の生体適合性材料に対するSr源は、例えば、SrOなどの酸化物、またはSrCOなどの他のSr化合物であってもよい。1つの実施形態において、Srは約0.05〜約5重量%(約0.06〜5.90重量%のSrO)、例えば約0.1〜約2.5重量%(約0.12〜2.95重量%のSrO)の濃度でガラスに取り込まれる。約1.18重量%〜約2.36重量%のSrOでもたらされるような、約1重量%〜約2重量%のSrを使用する好ましい実施形態がある。
【0017】
Znが所望される場合、ガラスまたは結晶質の生体適合性材料に対するZn源は、例えば、ZnOなどの酸化物、またはZn(PO2−xOなどの他のZn化合物であってもよい。1つの実施形態において、Znは、約0.05〜約5重量%(約0.06〜6.0重量%のZnO)、例えば約0.1〜約2.5重量%(約0.12〜3.0重量%のZnO)の濃度でガラスに取り込まれる。約1.20重量%〜約2.40重量%のZnOでもたらされるような、約1重量%〜約2重量%のZnを使用する好ましい実施形態がある。
【0018】
Feが所望される場合、ガラスまたは結晶質の生体適合性材料へのFe源は、例えば、FeO、Fe、Feなどの酸化物、またはFeSO−7HOなどのFe化合物であってよい。1つの実施形態において、Feは、約0.05〜約5重量%(約0.06〜6.45重量%のFeO)、例えば約0.1〜約2.5重量%(約0.13〜3.23重量%のFeO)の濃度でガラスに取り込まれる。約1.29重量%〜約2.58重量%のFeOでもたらされるような、約1重量%〜約2重量%のFeを使用する好ましい実施形態がある。
【0019】
微量元素および生体適合性組成物は注意深く選択され、生体適合性組成物が哺乳類ホスト中で生分解する際に、スキャフォールドの中を通る血液または他の体液の流れに基づいて、微量元素の特に持続放出をもたらすように処方される。微量元素は、生体適合性組成物の不可欠な構成要素であって、材料の中に化学的に溶解される。このことは、例えば、ガラス上へのコーティングの形態にすること、または移植可能な水不溶性化合物に吸着させるなどの材料に単に吸着させることとは、明確な対照をなしている。微量元素はガラス材料に化学的に溶解されているので、ガラスが生分解すると、ガラスが生分解するのと同じ期間にわたってホストの哺乳類の中に徐々に放出される。対照的に、コーティングまたは吸着された材料はより急速に放出され、ガラス材料全体の組成を制御することではその放出を制御することはできない。1つの実施形態において、微量元素は、通常、生体適合性組成物中にマクロ的に均一に存在して、組成物の分解期間の全体にわたる放出を容易にしている。移植の領域内でホストに対して利益を促進することについては、血液または他の流体がスキャフォールドの中を流れ、スキャフォールドがホスト哺乳類中で生分解すると、その微量元素が放出されて時間とともにその有利な血管形成効果を提供する。よって、例えば、ホウ酸塩系、リン酸塩系、またはケイ酸塩系の組成物が生分解すると、微量元素が放出されて血管形成を促進する。
【0020】
本発明の特定の実施例において、ガラス形成剤は、所望の生分解性を付与するようバランスされた濃度を有している。例えば、下記の実施例1のB3−Cu1組成物では、それらガラス形成剤自身、および材料中の他の成分NaO、CaOおよびKOに対して、ガラス形成剤のホウ酸塩、ケイ酸塩およびリン酸塩の濃度は、それぞれ52.95重量%、0重量%および4.0重量%にバランスされている。この点に関してバランスを取ることは、(例えば、表3に示すような、ホウ酸塩および他の成分を含むがリン酸塩またはケイ酸塩を含まないそれらのガラスのように)1つのガラス形成剤を他の成分と濃度のバランスを取ることを含む。
【0021】
スキャフォールドの多くの好ましい実施形態において、ガラス形成剤の濃度は、その哺乳類ホストに移植して6週間以内に生体適合性材料の少なくとも約20重量%が生分解するように、バランスされている。例えば、ガラス形成剤の濃度は、9〜11週間の年齢で、体重200〜300gのFisher344ラットに移植して6週間以内に、生体適合性材料の少なくとも約20重量%が生分解するように、バランスされている。この測定によれば、テストは、生体適合性材料重量の(相対)標準偏差25%、母集団サイズ10によりラットで行われる。換言すれば、これらのスキャフォールド10個をラットの皮下サイトに移植すると、平均してスキャフォールドの材料の少なくとも20重量%は、6週間以内に生分解しており、少なくとも68%のラットにおいて、スキャフォールドの少なくとも15重量%が生分解し、少なくとも90%のラットにおいて、スキャフォールドの少なくとも10重量%が分解する。これおよび以下の基準のための移植は、後述する実施例1に記載された手順による。大部分の場合の生分解は、スキャフォールドの重量減少としてそれ自身で明らかに示されるか、あるいはホストへの微量元素の放出をもたらす組成の変化を含むスキャフォールド材料の他の反応としても示すことができる。
【0022】
同様に、別の態様では、ガラス形成剤の濃度は、その哺乳類ホストに移植して6週間以内に、スキャフォールド中の微量元素濃度の少なくとも約20重量%がスキャフォールドからホストに放出されるように、バランスされている。例えば、ガラス形成剤の濃度は、9〜11週間の年齢で、体重200〜300gのFisher344ラットに移植して6週間以内に、スキャフォールド中の微量元素濃度の少なくとも約20重量%がスキャフォールドからホストに放出されるように、バランスされている。この測定によれば、テストは、生体適合性材料重量の(相対)標準偏差25%、母集団サイズ10によりラットで行われる。換言すれば、これらのスキャフォールド10個をラットの皮下サイトに移植すると、平均してスキャフォールドの微量元素濃度の少なくとも20重量%は、6週間以内に生分解しており、少なくとも68%のラットにおいて、スキャフォールドの微量元素濃度の少なくとも15重量%が放出され、少なくとも90%のラットにおいて、スキャフォールドの微量元素濃度の少なくとも10重量%が放出される。
【0023】
一方、スキャフォールドは、ホスト内であまり急速には生分解しないので、血管形成を適切に促進するのに十分に長い期間にわたって微量元素の提供することができない。例えば、スキャフォールド材料の少なくとも50重量%は、少なくとも2週間は残存しており、2週間以内に生分解することはない。すなわち、ガラス形成剤の濃度は、9〜11週間の年齢で、体重200〜300gのFisher344ラットに移植して少なくとも2週間は生体適合性材料の少なくとも約50重量%が残存するように、バランスされている。この測定によれば、テストは、生体適合性材料重量の(相対)標準偏差25%、母集団サイズ10によりラットで行われる。換言すれば、これらのスキャフォールド10個をラットの皮下サイトに移植すると、平均してスキャフォールドの材料の少なくとも50重量%は、2週間以内に生分解せず、少なくとも68%のラットにおいて、スキャフォールドの少なくとも37.5重量%は2週間以内に生分解せず、少なくとも90%のラットにおいて、スキャフォールドの少なくとも25重量%は2週間以内に生分解しない。
【0024】
さらに、これらの実施形態では、スキャフォールド微量元素濃度の少なくとも50重量%は少なくとも2週間残存する。すなわち、ガラス形成剤の濃度は、9〜11週間の年齢で、体重200〜300gのFisher344ラットに移植して少なくとも2週間は微量元素の少なくとも約50重量%が残存するように、バランスされている。この測定によれば、テストは、生体適合性材料重量の(相対)標準偏差25%、母集団サイズ10によりラットで行われる。換言すれば、これらのスキャフォールド10個をラットの皮下サイトに移植すると、平均してスキャフォールドの微量元素濃度の少なくとも50重量%は、少なくとも2週間は残存し、少なくとも68%のラットにおいて、スキャフォールドの微量元素濃度の少なくとも37.5重量%は少なくとも2週間以内は残存し、少なくとも90%のラットにおいて、スキャフォールドの微量元素濃度の少なくとも25重量%は少なくとも2週間以内に生分解しない。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、生体適合性組成物は、哺乳類ホスト内において、微量元素を特定の放出速度(/ガラス1グラム、/1日)で放出する。放出速度は、ホスト内に放出されるべき微量元素の所望量を規定し、そして、その速度を達成するための生体適合性組成物または組成物の組合せを選択することによって、実際に「合わせる("dialed in)」ことができる。上述のように、ガラス形成剤は、所望の生分解性を付与するように、濃度がバランスされている。関連する態様において、表面積がより大きくなると反応性が向上し、従って放出速度が向上するため、単位容積あたりの表面積を制御して、放出速度を制御することができる。ガラス材料の生分解速度は、ホストによって、ガラスによって、微量元素によって異なること、およびその他の多くの要因に依存することを当業者は理解するであろう。例えば、より速い平均心拍数を有するより身体機能の活発なホストは、生分解を促進し、従って微量元素は速い速度で放出されるだろう。1つの実施形態において、組成物は、微量元素約0.5〜約100E−7モル/ガラスg/日(ガラス1g当たり、1日当たりの微量元素が約0.5〜約100E−7モル)の微量元素(Cu)放出速度、例えば、微量元素約1〜約25E−7モル/ガラスg/日、例えば、微量元素約1〜約20E−7モル/ガラスg/日、または微量元素約3〜約12E−7モル/ガラスg/日の微量元素(Cu)放出速度を有する。
【0026】
本発明における微量元素放出についての別の見方として、特定の用途についての1つの実施形態では、放出速度は約0.1〜約60マイクロモル濃度(molar)であり、言い換えれば、組成物を通過する流れ1リットルあたり、約0.1〜約60マイクロモルの微量元素が放出される。他の実施形態において、組成物は、約0.5〜約30マイクロモル濃度、例えば、約3〜約12マイクロモル濃度の放出速度を提供するように処方される。例えば、微量元素がCuであり、組成物がホウ酸塩系またはケイ酸塩系のスキャフォールドである1つの実施形態では、スキャフォールド組成物は、血流がそこを通過中に、約0.1〜60マイクロモル濃度、例えば約0.5〜30マイクロモル濃度、または約3〜12マイクロモル濃度のCu放出速度が得られるように調製される。
【0027】
上述のように、本発明のスキャフォールドの生体適合性材料は、生理液中で生分解する。しかしながら、水溶液中で比較的速く(例えば、3週間以下の期間で)溶解する「水溶性」として特徴付けられる物品と比較すると、本発明の生体適合性材料は水溶性ではない、すなわち、それらは急速な水溶性に耐性を有する。例えば、移植可能なスキャフォールドとして用いられる実使用での寸法および表面積を有するものから形成されたスキャフォールドは、リン酸塩水溶液、または混和性の溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エーテル等)を含む水溶液中で37℃にて数週間(例えば、6週間)以下では、完全に溶解することはない。従来技術において理解されているように、「水溶性」の材料は比較的急速な溶解性を有する傾向があり、「水不溶性(water insoluble)」の材料は、水にまったく溶解しないか、または、かろうじてごくわずかに溶解可能であるかのいずれかである。一般的に言って、スキャフォールド材料は、この特徴付けにおいては水不溶性でも水溶性でもなく、むしろ中間的水溶性(intermediate water solubility)を有する。
【0028】
材料は、そのホストの生きた組織に対して、有毒でも、あるいは有害でもないという点で、生体適合性である。本発明の(Caを含まない、Caフリーの)好ましい組成物のいくつかは、ヒドロキシアパタイトが生じないという点で生理活性でもない。すなわち、それらは生理活性が欠如しており、ここで、生理活性とは、リンを含む哺乳類の体液中において、リン酸カルシウム層の成長を促進し、または、のちに骨が材料に結合するのを促進する骨前駆体リン酸カルシウム化合物に転化する「材料の能力(material capacity)」のことである。
【0029】
1つの実施形態において、微量元素を包含する生体適合性材料は、ホウ酸系のガラス材料であって、概ね
40〜80
NaO 0〜25
LiO 0〜25
O 0〜25
RbO 0〜25
CaO 0〜40
MgO 0〜25
SrO 0〜40
BaO 0〜50
LiO+NaO+KO+RbO 累積で0〜50
MgO+SrO+BaO+CaO 累積で0〜50
0〜10
SiO 0〜18
Al 0〜3
F 0〜4
遷移金属元素 累積で0〜10
を含み、特記しない限り、記載された全てのパーセンテージは重量基準である。これらの実施形態で特定のものにおけるKOおよびMgOの濃度は、それぞれ約1〜約25重量%である。大部分の実施形態において、LiO、NaO、KOおよびRbOの1種以上は、累積濃度(cumulative concentration)で約1〜約50重量%、例えば約5〜約20重量%存在し、そして、MgO、SrO、BaOおよびCaOの1種以上は累積濃度で約1〜約50重量%、例えば約5〜約40重量%存在する。Cuが微量元素である場合、この組成は、さらに、0.05〜5重量%または0.01〜2.5重量%のCuを、CuO、CuOまたは他のCu化合物として含む。遷移金属元素は、d−バンドが、1原子あたりの最大電子数の10電子より少ない数の電子を含む元素であって、中でもCoおよびNiを含んでいる。実際のところ、本発明で使用された特定の微量元素、例えばZnおよびFeは、遷移金属である。そこで、これらの微量元素の微量元素濃度が、例えば約0.1〜約2.5重量%などの特定の範囲にあると記載された処方においては、当然のことながら、遷移元素が微量元素に含まれ得るという事項とは関係なく微量元素濃度はその範囲内にあり、例えばZnおよびFeが2.5重量%を越える量で存在する場合には、それらは微量元素ではない。
【0030】
本発明のいくつかの典型的なガラス材料は、以下の通りである。
【0031】
【表1】

【0032】
大部分の実施形態において、生体適合性材料は、これらの組成に関する要件または本明細書に記載されたその他のより狭い記載事項を満足する要素のみから、または本質的に当該要素から形成されている。しかしながら一般的に言って、いくつかの実施形態には、これらの記載事項を満足しない他の材料をスキャフォールドに取り込んでもよい。
【0033】
この記載事項の範囲内にある追加のホウ酸塩材料(そこには、Cuまたは他の記載した微量元素を本発明に従って取り込んでいてもよい)は、1種以上の他の微量元素がCuに加えて同様の濃度で、またはCuの代わりに含まれ得るということに留意しながら、以下のものを重量%で含んでいる。
【0034】
【表2】

【0035】
当然のことながら、Cuに加えて、および/またはSr、Zn、Fe、Mn、F、Si、Niおよび/またはMoに加えて、ホウ酸塩系の生体適合性材料は、40〜80重量%のBまたは50〜80重量%のB、場合によっては本明細書に記載されたより狭い範囲Bを、1〜25重量%のNaO、1〜25%のKO、1〜40重量%のCaO、1〜25重量%のMgO、および1〜10重量%のPと組み合わせて含んでいる。または、要素材料は、40〜80重量%のB、1〜25重量%のLiOおよび1〜40重量%のCaOを含むことができる。または、それらは、40〜80重量%のB、1〜25重量%のNaOおよび1〜40重量%のCaOを含むことができる。または、それらは、40〜80重量%のB、1〜25重量%のNaOおよび1〜40重量%のBaOを含むことができる。または、それらは、40〜80重量%のB、1〜25重量%のLiOおよび1〜25重量%のMgOを含むことができる。または、それらは、40〜80重量%のB、1〜25重量%のLiOおよび1〜40重量%のBaOを含むことができる。上記および下記では、生体適合性材料は種々の酸化物を重量%で含むと記載しているが、当業者であれば、最終的なガラスまたはガラス/結晶の組成物中で、酸化物化合物が解離していること、そして特定の酸化物(例えばB、SiO、Pなど)が単独で同定可能はなく必ずしも単独で存在するわけではないことを理解する。それにもかかわらず、最終組成物を、個々の酸化物を所定の%(割合)で含む、と称することは技術分野における慣習であり、従って本明細書でもそのようにする。よって、この観点から、本願明細書の組成物は等価ベース(equivalent basis)である。
【0036】
特定の好適なバージョンにおいて微量元素を含んでいる本発明の生体適合性材料は、約40〜約80重量%のB、例えば約50〜約80重量%のBを含むので、ホウ酸塩系(borate-based)である。ホウ酸塩材料は、生物学的使用においていくつかの重要な利点、例えば、調製が容易であること、比較的低い温度にて結晶化せずにガラスの粒子、微小球体または繊維にできること、そして、特に、生体適合性などの利点を有する。本願明細書に開示したホウ酸塩材料は、ケイ酸塩ガラスに比べて、著しく速い反応速度、低い溶融温度、結晶化に対する耐性を有し、そして、シリカが存在しない特定の場合には、体内でゆっくりと分解する。本明細書の多くの他の好ましい実施形態のうち特定の実施形態は約18重量%までのSiOを使用するが、スキャフォールドは、0.1重量%未満でケイ酸塩を含むまたはケイ酸塩をまったく含まない「ケイ酸塩フリー」である。ホウ酸塩ガラスは生体内(in vivo)で反応すると中空糸を形成するが、ケイ酸塩ガラスは形成しない。そしてそれらの中空糸は生体内での血管形成を容易にする。また、本願明細書に記載のホウ酸塩材料は、体液と反応したときに生体内(in vivo)でホウ素を放出する。
【0037】
特定の用途において特定の優先度(specific preference)を有する1つの実施形態が存在し、そこではスキャフォールド本体の要素の材料中にあるCa(元素として、CaO中に、または他の化合物として)の濃度は、約5重量%未満に制御される。特定の好ましい実施形態では、Ca濃度は約0.5重量%未満(例えば0.2重量%未満、さらには0.1重量%未満)に厳密に制御される。この実施形態においてCa濃度を厳密に制御する利点は、生理的リン含有流体にさらされたときに、リン酸カルシウム化合物、アパタイト型化合物および関連するアモルファスリン酸カルシウム(ACP)が形成されるのを回避できることである。そのようなアパタイト化合物は、ヒドロキシアパタイト Ca(PO(OH)、フルオロアパタイト Ca(POF、アモルファスリン酸カルシウム (ACP)、および他のカルシウム含有化合物を含む。従って、特定の用途では、Ca−アパタイト化合物は、例えば類似のSr化合物またはBa化合物に比べて比較的低い放射線不透過性を有するので、Ca−アパタイト化合物の形成を回避することが有利である。特定の状況では、より急速に、あるいはよりゆっくりと分解する化合物を形成するために、Ca−アパタイト化合物を回避することが有利である。また、粘度、溶融温度および/または結晶化傾向などの溶融特性(melt characteristics)を制御するためにCaを回避することも有利であろう。Caフリーの組成物は生理活性が欠如しており、ここで、生理活性とは、リンを含む哺乳類の体液中において、リン酸カルシウム層の成長を促進し、または、骨前駆体リン酸カルシウム化合物に転化する「材料の能力」のことである。
【0038】
1つの実施形態において、生体適合性のCaフリー材料(Cuおよび/または他の微量元素が上述の濃度で取り込まれている)は、アルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物から選ばれた残部を含む約40〜約80重量%のBと、以下に記載されている他の任意成分とを含むことが好ましい。例えば、この材料は、重量%で
40〜80
NaO 0〜25
LiO 0〜25
O 0〜25
RbO 0〜25
MgO 0〜25
SrO 0〜40
BaO 0〜25
LiO+NaO+KO+RbO 累積で0〜50
MgO+SrO+BaO 累積で0〜50
0〜10
SiO 0〜18
Al 0〜3
F 0〜4
遷移金属元素 累積で0〜10
を含む。
更に、材料は、CuO、CuOまたは他のCu化合物および/または他の微量元素として、Cuを0.05〜5重量%または0.01〜2.5重量%の濃度で含む。これらの実施形態のいくつかは、上述したように低レベルのCaを含むが、その一方、他の実施形態は実質的にCaフリーであり、Caを本質的に含まないか、またはCaを0.1重量%未満で含む。
【0039】
1つの好ましい実施形態では、材料は、約50〜約80重量%のBと、約5〜約20重量%の、LiO、NaO、KO、RbOおよびそれらの組合せからなる群から選ばれるアルカリ酸化物成分と、約5〜約40%の、MgO、SrO、BaOおよびそれらの組合せからなる群から選ばれるアルカリ土金属酸化物成分とを含む。ランタニドは、特定の好ましい実施形態からは、とりわけ厳密に除外される。いくつかの実施形態において、生体適合性材料は、本質的には、約50〜約80重量%のBと、約5〜約20重量%の、LiO、NaO、KO、RbOおよびそれらの組合せからなる群から選ばれるアルカリ酸化物成分と、約5〜約40重量%の、MgO、SrO、BaOおよびそれらの組合せからなる群から選ばれるアルカリ土金属酸化物成分と、約0.05〜5重量%の、CuO、CuOまたは他のCu化合物としてのCuと、から成る。
【0040】
本発明に従ってCuを取り込むことができるホウ酸塩系のCaフリーの材料の例は、1種以上の他の微量元素がCuに加えて同様の濃度で、またはCuの代わりに含まれ得るということに留意しながら、以下のものを重量%で含んでいる。
【0041】
【表3】

【0042】
本発明の特定の実施形態において、生体適合性材料は、LiO、NaO、KOおよび/またはRbOのうちの少なくとも2種のアルカリ酸化物を約5〜約25重量%、例えば約8〜20重量%の累積濃度で含むように選ばれる。結晶化傾向を低減させるために2種以上のそのようなアルカリ化合物を含むことは有利であり、それは最終的には、スキャフォールドを作成するためのガラスの加工性および製造可能性を向上させる、ということが見出された。1種以上のアルカリ(すなわち混合アルカリ)を使用することによって、ガラスのコストを低減でき、体液との反応速度を変更でき、そして骨の成長および再生に有益な追加の元素を提供できる。
【0043】
本発明の特定の実施形態の更なる特徴は、MgO、SrO、BaO、CaOおよびそれらの組合せからなる群からのアルカリ土類酸化物の累積的濃度が1〜約50重量%、例えば約1〜30重量%、さらには約8〜25重量%の範囲であることである。これらの実施形態のうち特定のものは、2種以上のそのようなアルカリ土類酸化物を累積的に1〜45重量%、例えば5〜25重量%の範囲で含んでいる。SrOが、約10重量%を上回るSr濃度を与えるような濃度で存在する場合には、Srは本発明の微量元素に値しない。
【0044】
Cuおよび/または他の微量元素を取り込むことができ、および、混合アルカリ酸化物を含有するこれらの実施形態では、約40〜約90重量%のBを含む。これらの実施形態の特定のものは、本質的には、約40〜80重量%のBと、LiO、NaO、KOおよびRbOからなる群から選ばれる混合アルカリ酸化物と、MgO、SrO、BaOまたはCaOのうち1種とに、Cuを含む化合物を加えたものから成る。

他の実施形態は、本質的には、約40〜約80重量%のBと、LiO、NaO、KOおよびRbOからなる群から選ばれる2種以上のアルカリ酸化物と、MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群からの2種以上のアルカリ土類酸化物とに、Cuを含む化合物を加えたものから成る。例えば、表2の組成Aは、本質的には、約40〜約80重量%のBと、累積して5〜25重量%の、LiO、NaO、KOおよびRbOからなる群から選ばれる2種以上の混合アルカリ酸化物、および累積して8〜25重量%の、MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれるから2種以上から成る。他の実施形態は、任意で、1種以上のP、SiO、Al、Fおよび遷移金属元素を含む。
【0045】
本発明は、特に高いB組成、すなわち約60〜約82重量%、好ましくは約70〜約80重量%のB組成を含む生体適合性材料に、Cuおよび/または他の微量元素を取り込むことを含む。これらの実施形態は、LiO、NaO、KO、RbOおよびそれらの組み合わせからなる群から選ばれるアルカリ酸化物を、累積して約1〜約50重量%、例えば約5〜約25重量%、さらには約8〜約20重量%と、任意で2種以上のそのような酸化物を、累積してこの範囲で使用する。これらはまた、任意で、MgO、SrO、BaO、CaOおよびそれらの組合せからなる群からのアルカリ土類酸化物を、累積して約1〜約50重量%、例えば約1〜30重量%、さらには約8〜25重量%と、さらに2種以上のそのような酸化物を、累積してこの範囲で使用する。これらの実施形態の特定のもの、例えば表3の組成II、III、IVおよびVIIは、本質的にはこれらの成分から成るが、他の実施形態は、任意で、P、SiO、Al、Fおよび遷移金属元素の1種以上を含む。
【0046】
前述の混合アルカリおよび高ホウ酸塩の実施形態では、Ca濃度を約5重量%未満(0.5重量%未満(例えば0.2重量%未満または0.1重量%未満)を含む)に厳密に制御することによって、上述した方法でのCa化合物の生成を回避することができる。代わりに、ヒドロキシアパタイト、他のリン酸カルシウム化合物、アモルファスリン酸カルシウム、または他のカルシウム含有化合物の形成を容易にするために、さらにCaOを約40重量%以下で含有している2種以上のアルカリ酸化物を含む実施形態が存在する。
【0047】
例えば本発明の実施例に記載するような、本発明の典型的な材料は、約40〜80重量%のB、0.05〜5重量%のCuO、および、NaO、KO、MgOならびにPを含む。より多くの具体例は、40〜80重量%のB、0.1〜5重量%のCuO、1〜25重量%のNaO、1〜25重量%のKO、1〜25重量%のMgOおよび1〜10重量%のPを含むかまたは本質的にこれらから成る。。
【0048】
本発明はまた、哺乳類へ移植して、身体組織の修復、再生および/または増殖における血管の成長を促進するための生体適合性組成物を含んでおり、その生体適合性材料はリン酸塩系またはケイ酸塩系であって、哺乳類の体液に少なくとも部分的に溶解することができ、更に生体適合性材料には上述した濃度でCuが取り込まれている。これらの実施形態では、Pおよび/またはSiOは、ガラス形成剤であって、約20〜約65重量%のPまたは約20〜約60重量%のSiOを含む。これらの材料は、例えば、約8〜55重量%、例えば約10〜約52重量%の濃度で、LiO、NaO、KO、RbO、CsOまたはそれらの組み合わせの1種以上のアルカリ金属酸化物成分も含む。これらのリン酸塩系およびケイ酸塩系のガラスの大部分は、カルシウム成分(CaO、CaFまたはそれらの混合物のうちの1つ)も含む。例えば、これらのガラスの大部分は、約5〜約40重量%のCaOもしくはCaFまたはそれらの混合物、例えば約10〜約30重量%のCaOもしくはCaFまたはそれらの混合物、または約10〜約15重量%のCaOもしくはCaFまたはそれらの混合物を含む。従って、これらの実施形態のうちの1つは、約20〜約65重量%のPと、約8重量%〜約55重量%の濃度のLiO、NaO、KO、RbO、CsOまたはそれらの組み合わせの1種以上と、約5〜約40重量%の濃度のCaOまたはCaFのカルシウム成分と、約0.05〜約5重量%、例えば約1〜約2.5重量%の濃度のCuとを含む。もう1つの実施形態は、約20〜約65重量%のPと、約10重量%〜約52重量%の濃度のLiO、NaO、KO、RbO、CsOまたはそれらの組み合わせの1種以上と、約5〜約40重量%の濃度のCaOもしくはCaFまたはその組み合わせのカルシウム成分と、約0.05〜約5重量%、例えば約0.1〜約2.5重量%の濃度のCuとを含む。別の実施形態は、約20〜約65重量%のPと、約8重量%〜約55重量%の濃度のLiO、NaO、KO、RbO、CsOまたはそれらの組み合わせの1種以上と、約10〜約30重量%の濃度のCaOもしくはCaFまたはその組み合わせのカルシウム成分と、約0.05〜約5重量%、例えば約0.1〜約2.5重量%の濃度のCuとを含む。これらの実施形態のうちの別のものは、約20〜約60重量%のSiOと、約8重量%〜約55重量%の濃度のLiO、NaO、KO、RbO、CsOまたはそれらの組み合わせの1種以上と、約5〜約40重量%の濃度のCaOまたはCaFのカルシウム成分と、約0.05〜約5重量%、例えば約0.1〜約2.5重量%の濃度のCuとを含む。別の実施形態は、約20〜約60重量%のSiOと、約10重量%〜約52重量%の濃度のLiO、NaO、KO、RbO、CsOまたはそれらの組み合わせの1種以上と、約5〜約40重量%の濃度のCaOもしくはCaFまたはその組み合わせのカルシウム成分と、約0.05〜約5重量%、例えば約0.1〜約2.5重量%の濃度のCuとを含む。別の実施形態は、約20〜約60重量%のSiOと、約8重量%〜約55重量%の濃度のLiO、NaO、KO、RbO、CsOまたはそれらの組み合わせの1種以上と、約10〜約30重量%の濃度のCaOもしくはCaFまたはその組み合わせのカルシウム成分と、約0.05〜約5重量%、例えば約0.1〜約2.5重量%の濃度のCuとを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、CaFは厳密に回避されており、カルシウム成分はCaOである。
【0049】
本発明に係るCuおよび他の微量元素を含むケイ酸塩系生体適合性材料の実施形態は、以下の通りである。
【0050】
【表4】

【0051】
本発明に係るCuを含むリン酸塩系生体適合性ガラスの実施形態を、表5に示す。
【0052】
【表5】

【0053】
これらのリン酸塩系の処方は、累積して約5〜約25重量%、例えば約8〜20重量%で、LiO、NaO、KOおよび/またはRbOの少なくとも2種以上を含むことが有利な場合の状態を示す。上述のように、結晶化傾向を低減させるために2種以上のそのようなアルカリ化合物を含むことは有利であり、それは最終的には、スキャフォールドを作成するためのガラスの加工性および製造可能性を向上させる、ということが見出された。1種以上のアルカリ(すなわち混合アルカリ)を使用することによって、ガラスのコストを低減でき、体液との反応速度を変更でき、そして組織の成長および再生に有益な追加の元素を提供できる。
【0054】
これらリン酸塩系の実施形態の更なる特徴は、MgO、SrO、BaO、CaOおよびそれらの組合せからなる群からのアルカリ土類酸化物の累積的濃度が1〜約50重量%、例えば約1〜30重量%、さらには約8〜25重量%の範囲であることである。これらの実施形態のうち特定のものは、2種以上のそのようなアルカリ土類酸化物を累積的に1〜45重量%、例えば5〜25重量%の範囲で含んでいる。
【0055】
本発明の生体適合性材料は、中実繊維、中空繊維、リボン、中実球、中空球、粒子、およびそれらの組合せの形態にされている。多くの用途にとって特に好適な実施形態では、組成物は繊維を含むスキャフォールド本体の形態であって、そのような実施形態では、スキャフォールド本体は、繊維である要素から本質的に形成されている。繊維は、長さ:横断寸法(例えば、直径)が少なくとも2:1、より典型的には5:1、例えば10:1のアスペクト比を有する。本発明の特定の1つの実施形態において、スキャフォールド本体の要素は、主に1つの形態(例えば繊維)を、前述の選択可能な形態(例えば微小球体)からの第2の形の微量成分と組み合わせている。
【0056】
本発明の選択肢には、特定の特性を戦略的に付与するための、独特の成分組成を使用するものもある。例えば、組成のいくつかの実施形態における組成は、上記から選ばれた組成を有する要素を10〜90重量%と、別の組成の要素を10〜90重量%とを使用する。或いは、2種以上のそのようなタイプの要素を使用してもよい。すなわち、材料は、予定された組成のうちの第1の要素材料を少なくとも10重量%含有する要素と、予定された組成のうちの第2の要素材料を少なくとも10重量%含有する要素と、を含むことができ、第1の要素材料と第2の要素材料とは互いに異なる組成を有し得る。そして、第1の要素材料のみがCuおよび/または他の微量元素を含み得ること、または、Cuは両方の材料の中に異なる量で存在し得ることが考えられる。このことは、例えば、反応の速い繊維を反応の遅い繊維と組み合せる選択、またはCa含有繊維をCaフリーの繊維と組み合わせる選択を可能にする。従って、標準的組成の要素と非標準的な組成の要素とを組み合わせて、提示された用途のためのスキャフォールドまたはホストの特定のニーズのためのスキャフォールドを、効果的にカスタマイズすることまたはドープすることができる。代わりとして、ホストに送達するための成長因子または薬剤を含む中空球を、例えば繊維などの他の構造要素に取り込むこともできる。
【0057】
1つの実施形態において、Cuおよび/または他の微量元素は材料に取り込まれており、スキャフォールドは、取り扱いおよび移植のための充分な強さを維持しつつ、体液の取り込みを容易にするためにスキャフォールド中への流体の流れをもたらすよう選択された多孔率を有するように、形成されている。多孔率は、約15容量%〜約90容量%である。多孔率には異なるレベル、例えば約15〜約30容量%、または約30〜約60容量%、または約60〜約90%などのレベルがあり、これらは異なる用途で好まれる。

多孔率は、例えば、繊維の方向、粒子または微小球体の形状、および元素(または要素:element)を一体に結合するために用いられる熱処理(時間/温度)などの多くのファクターに依存し、または当該多くのファクターによって制御される。このバルクの多孔率とは独立して、相互接続性(interconnectivity)は本発明のスキャフォールドにおいても重要である。組織修復は、スキャフォールドの中への体液の流れによって強く影響されるので、スキャフォールド内部の細孔が高いレベルで相互接続性を有し、低いレベルで閉鎖細孔を有することが好ましい。すなわち、大部分の細孔が他の細孔に連絡していること、そして、大部分の細孔からスキャフォールドの外側表面まで直接的または間接的な経路があることが重要である。ある実施形態では、スキャフォールドの細孔容積の少なくとも約80容量%、例えば少なくとも約90%は、スキャフォールド外部から他の細孔を通じて直接的または間接的にアクセス可能であり、従って、体液にアクセス可能である。
【0058】
生体適合性材料を製造する方法は、本発明にとってそれほど重要という訳ではない。例えば、スキャフォールド要素材料を調製する際には、分析用試薬級の個々の成分を、計量し、十分に混合し、1050℃にて白金ルツボ中で約1時間の時間で溶融させる。溶融物は、その後、例えば、鋼または銅プレート上で急冷されてガラス質が形成され、所望の寸法の粒状物へと粉砕される。粒状物は、球状化されて、選ばれた直径の微小球体に形成することができる。溶融物の形態にあるときの好適な組成物の材料は、容易に繊維に形成することができる。ホウ酸塩ガラスの繊維を製造する場合、それらは溶融物から手で直接的に引くか、または、ブッシュを通して回転ドラムによって引くことができる。
【0059】
要素は、炉内で粒状物の集合を単に加熱して繊維/粒子/球体を軟化させ相互に接着させることによって、自己結合させて、三次元スキャフォールドを形成することができる。所定の温度での設定された時間の後、構成物(生成物)を炉から取り出して、室温まで冷やす。従来技術における多くの生体適合性ガラス、例えば45S5は、ガラスの結晶化のため自己結合が困難である。従って、本発明のホウ酸塩ガラスの自己結合能力は、今日使用されている他の生体適合性材料に対して、明確な利点である。
【0060】
Cu含有生体適合性材料を使用する本発明の1つの実施形態において、Cu含有材料は、繊維の大部分が実質的に平行に整列されように、整列された繊維から調製された組織スキャフォールドの形態である。スキャフォールドは、繊維が型の中で一方向性になるように、繊維を配置し配向させることによって調製される。型の中の繊維は、繊維が軟化して互いに結合する温度まで加熱される。好ましい実施形態では、繊維は、結合のために接着剤、ろう付けまたは他の外部の結合剤を使用しないという意味で「自己結合」される。代わりの実施形態では、繊維が少なくとも部分的に自己結合されないように、結合を促進するための生体適合性の薬剤または接着剤を使用する。冷却すると、結合した繊維の集合体は、該集合体を型から取り出して取り扱うことができる程度の十分な硬度と強度になる。スキャフォールドは、哺乳類に移植して、(皮質および海綿質を含む)骨などの硬質組織、または、例えば筋肉、軟骨、皮膚、器官等の軟質組織、または他の硬質または軟質組織の修復および再生を促進することができるように、十分な剛性を有する。
【0061】
自己結合性のスキャフォールドにおける繊維の長手方向の配向は、繊維の間での長手方向のチャネル(または連絡した細孔)を提供し、チャネルは幹細胞、成長因子、薬剤、赤血球および他の体液および体液にて運ばれる成分のスキャフォールドへの取り込みをもたらす。繊維は、スキャフォールドの中でチャネルを規定するように配置されており、それによって流体がスキャフォールドの中へおよび長手方向に一端側から他端側へ流れることが促進される。配向は、配向された繊維の長手方向に対して一般に垂直な横方向のチャネルをも提供して、それによってスキャフォールドの内部またはコアの外側表面からの流体の取り込みが促進される。これら長手方向および横方向のチャネルは、液体に著しい毛管力(capillary forces)を及ぼし、それによって液体をスキャフォールドに取り込ませる。この毛管作用によって、これらの流体および成分がスキャフォールドの全体に比較的均一に分配されることを促進され、流体がスキャフォールドの一端から他端へ流れたり、または、スキャフォールドの表面から入って、液体をその端部へ移送したりすることができる。
【0062】
本発明は、1つの実施形態において、成形および軟化の工程の前に、約20〜約5000ミクロン、例えば約50〜約5000ミクロンの直径を有する繊維を使用する。1つの実施形態において、スキャフォールドは、直径を有する繊維から、約100〜約450ミクロン、例えば約100〜約300ミクロンの直径を有する繊維から調製される。代わりの実施形態では、スキャフォールドは、(ある状況では繊維というよりもロッドに類似しているとみなすことができるが、本発明に関する説明の目的では「繊維」の定義に入ることができる)約3000〜5000ミクロン(3〜5mm)の直径を有する繊維から調製することができる。
【0063】
共同整列配置された繊維を使用する本発明の一実施形態において、スキャフォールドの繊維の少なくとも約75〜85容量%は、長手方向について共同整列配置されている。この点に関して、本出願において、隣接し、束ねられ、または連結された繊維の群に適用される、「長手方向について共同整列配置され(co-aligned longitudinally)」およびその類の語句(例えば、「長さ方向について共同整列配置され(in lengthwise co-alignment)」)は、その群の各繊維の長さの少なくとも約75%に沿ういずれかの位置における各繊維の向きが、スキャフォールドの中心軸に対して平行から約25度以上は逸脱していないことを意味する。好ましい実施形態では、その群の各繊維の長さの少なくとも約75%に沿ういずれかの位置における各繊維の向きが、スキャフォールドの中心軸に対して平行から約15度以上は逸脱していない。もう1つの好ましい実施形態では、その群の各繊維の長さの少なくとも約75%に沿ういずれかの位置における各繊維の向きが、スキャフォールドの中心軸に対して約10度以上は逸脱していない。そこで、この共同整列配置の特徴は、すべての繊維の100%正確な整列配置を必要とする訳ではないということは明らかである。長手方向についての共同整列配置の特徴は、個々の繊維の特定のセグメントに、これらの25度、15度および10度の要件を外れる向きへのある程度の軽微な逸脱を許容する。このことは、長手方向についての共同整列配置が、繊維の長さの全長に沿うことの必要性よりも、繊維の長さの少なくとも75%に沿うという要件に反映されている。個々の繊維の長さの約25%まではきちんと整列できていなくてもよいのであるが、その理由は、例えば、スキャフォールド作成プロセスまたは他のプロセスの間に、繊維が曲げられたりするためである。スキャフォールドの各繊維は必ずしも真っ直ぐではないし、それがスキャフォールドの他の全ての繊維に対して厳密に平行である、絶対的に真っ直ぐな線に沿って存在するものでもない。そして、各繊維は全体として同じ向きに配置されるが、それぞれは正確に同じ向きに配置されるわけではない。さらに、特定の実施形態において、スキャフォールド自体は湾曲していたり、曲がっていたり、または真っ直ぐではなかったりするが、その場合に、繊維の配列が平行から25度以内であるスキャフォールドの中心軸も、湾曲していたり、曲がっていたり、または真っ直ぐではなかったりする。特定の実施形態において、真っ直ぐであるかまたは湾曲しているスキャフォールドはより複雑な形状に機械加工され、その場合には、成型される際および機械加工される前、スキャフォールドの中心軸を中心軸と称する。
【0064】
毛管作用およびチャネル形成を許容するために、スキャフォールドは理論的に少なくとも3種の繊維を含むのであるが、スキャフォールドは典型的に多数のおよび数百の場合さえある繊維を含む。繊維は、一般に、スキャフォールド中心軸Aの(すなわち、一般に、中心軸の向きに延びる)長手方向に延び、スキャフォールド中心軸まわりでのらせん状の配向は一般にない。この配置は繊維の少なくとも約75容量%に当てはまり、そして、繊維の実質的全体に当てはまることが好ましい。
【0065】
繊維が長手方向に共同整列配置されるこの実施形態の特徴は、繊維が同様の配列を有するように配置されること、そしてその同様の配列は真っ直ぐであったり、曲がっていたり、または湾曲していたりしてもよいということを意図している。大部分の実施形態において、それらは非らせん状である。特定の好ましい実施形態の別々のおよび異なった特徴において、この共通の配列は、繊維の長さの少なくとも約75%、85%または95%に沿った全体として真っ直ぐな配列に限られる。換言すれば、各繊維の少なくとも約75%、85%または95%が全体として真っ直ぐであり、即ち各繊維の長さの少なくとも約75%、85%または95%が繊維の平均的に真っ直ぐな中心軸の10度以内の配列を有する。そこで、各繊維の長さの5%、15%または25%までは、湾曲していたり、曲がっていたり、または全体としての繊維長さに対する真っ直ぐから10度以上逸脱していたりし得るが、各繊維の残りの部分は、逸脱が10度未満であるという点で、通常、真っ直ぐである。1つの好ましい実施形態では、実質的に各繊維の全ての長さが、繊維の平均的中心軸からの逸脱が10度未満であるという点で、通常、真っ直ぐである。「平均的に真っ直ぐな中心軸(mean straight central axis)」とは、繊維についての仮想的な中心軸であって、絶対的に真っ直ぐであって、繊維長に沿ったすべての軸の平均である。
【0066】
これらの実施形態のスキャフォールドの繊維は、特定の用途に好適な特性を有するように選ばれる。1つの実施形態において、繊維は、約6mm〜約150mm、例えば約12mm〜約100mm、または、約25mm〜約75mmの長さを有する。各繊維は、その直径の少なくとも約10倍の長さを有する。本明細書で使用する「直径」とは、繊維の長手方向に対して横方向における最大の寸法を意味しているのであって、繊維が完全に円形形状の断面を有することを意味するものではない。従って、各繊維は、繊維横断寸法(例えば直径)の少なくとも約10倍である繊維長手方向寸法を有する。1つの実施形態において、繊維長さは、すべて、実質的にすべて、または、個々の繊維の少なくとも約85容量%がスキャフォールドの全長に延びるように、選ばれる繊維は、スキャフォールドの長さに対応する、予め成型され、予め連結された長さを有するように選択することができる。または、大部分の実施形態で、繊維の長さは所望の最終的なスキャフォールドの長さよりも長く、そして、スキャフォールドは成形および連結の後、所望の長さにカットされる。代わりの実施形態では、繊維の実質的な部分の長さ(例えば、少なくとも40容量%)または全体の長さは、スキャフォールド全長よりも著しく短い。
【0067】
これらの実施形態のスキャフォールドは、スキャフォールドの長さの中を移送する成分および薬剤ならびに体液などの流体のスキャフォールドの端部から端部への毛管流れ(キャピラリーフロー)、および繊維の長手方向寸法に対して垂直な方向での、スキャフォールドの外壁からスキャフォールド内部への全体として横方向の流れを促進するような、十分に高くそして相互に連絡した多孔率を有するように作成されている。そして、最終的な多孔率が、取扱い、移植および移植の後の機能のために必要とされる強度をスキャフォールドが有するのに十分低くなるように、スキャフォールドは作成される。多孔率が高過ぎる場合、移植された場所でかかる負荷等に応じて、スキャフォールドは使用中に破損するおそれがある。好ましい実施形態において、体積で測定される多孔率は、約10%〜約35%、例えば約10%〜約30%、または、約10%〜約25%である。多孔率は、高度に軟化された繊維はより十分に溶融して低い多孔率を有する構造に至ることから、主として繊維の軟化の程度を制御することによって制御可能である。軟化および溶融の程度は、結合温度および時間を制御することによって、制御される。多孔率は、繊維直径および所定のスキャフォールド中の繊維直径の範囲によっても、影響を受ける。多孔率は、繊維直径の範囲の増大によって、増大する傾向がある。
【0068】
生体適合性材料は、本質的に、ガラス質の、ガラスセラミックまたはセラミックであってよい。しかしながら、本発明においてはガラス状態が好ましい。その理由は、一般的に言って、ガラス質の材料は、異なる形状を形成することが容易であり、より低温にて結合し、および同じ組成のその結晶質のものまたは部分的に結晶質の対応部分よりも、化学的に均一性がより高いためである。従って、生体適合性材料は、成分材料の約5重量%未満、より好ましくは1重量%未満が結晶質であるような、実質的にガラス質であることが好ましい。より詳細には、個々のガラス粒子が一体に結合するのに必要な温度に材料を加熱する場合に、結晶化の程度は5重量%未満、好ましくは1重量%未満であることが好ましい。例えば、1つの実施形態において、材料を20℃/分の平均加熱速度にて800℃へ加熱し、その温度に10分間保持した後、室温および大気圧の標準状態(STP conditions)にさらした場合に、結晶化度が5重量%未満、好ましくは1重量%未満であることが好ましい。より好ましくは、ガラスは、20℃/分の傾斜率(ramp rate)で575℃まで加熱され、その温度に20分間保持され、そして、標準条件にさらすことによって室温まで冷却した後には、5重量%未満、場合によって好ましくは1重量%未満の結晶化度を有することになる。(前述の記載事項に対応して)本発明の多くの1つの実施形態において使用した繊維は、少なくとも99重量%が、例えば、SiO、B、P(ガラス形成酸化物として知られる)の1種以上の酸化物と、アルカリおよびアルカリ土類酸化物などの塩基性酸化物との混合物を、Cu化合物と一緒に溶融させることによって形成される、アモルファスまたは非結晶質固体である。代わりの実施形態では、繊維は、多くの点で完全に(100%)非晶質である繊維と同様に機能する、ガラス質領域および結晶質領域の両者を含有するガラスセラミック繊維を含む。いくつかの用途において、ガラス繊維が結合工程の間に結晶するとすれば、受け入れられることである。繊維は、あるいは、例えば、ヒドロキシアパタイトの薄い表面層を有するように予備反応されたガラス繊維などの、予備反応された生体適合性ガラスであってもよい。
【実施例1】
【0069】
以下の濃度に従って、CuOを種々の量で含む、いくつかのホウ酸塩系ガラスを調製した。
【0070】
【表6】

【0071】
ガラスA、B、C、D、EおよびFから調製したスキャフォールドを、ラットの背中の皮下に移植し、選ばれた時間で、血管新生について調べた(図1に示す)。ラットは、9〜11週間の年齢で、体重200〜300gを有するFisher344ラットであった。移植前に、スキャフォールドをエチルアルコールで2回洗浄し、小さなボックス炉内で250度にて2.5時間で加熱殺菌した。移植のために、ラットの背中を剃毛し、ヨウ素にて殺菌し、70%エタノールにて洗浄した。イソフルオリンおよび医薬級酸素の混合物を用いて、各ラットに麻酔をかけた。移植は、各ラットの背中に形成したポケット内の皮下に行った。各ポケットは、切開サイトから離れたところへの各スキャフォールドの挿入を確実に行い得るような十分な大きさであった。切開部は、スーパー接着剤(Krazy(登録商標)接着剤、Elmers Products inc.Columbus、OH)を用いて閉じた。移植後、感染を防止するために、0.1mlのペニシリンGプロカインを各ラットの大腿部に注入した。ラットは、回復の間、新鮮な空気を含むケージ内の電気パッドの上に置かれた。
【0072】
図2は、2週間後の移植されたスキャフォールドを示しており;そして、図3は、4週間後の移植されたスキャフォールドを示している。図4は、6週間後におけるB3(Cu含まず)、B3 Cu−1(0.1重量%のCuO)、およびB3 Cu−3(0.4重量%のCuO)の移植されたスキャフォールドを示している。表記「w/MSC」は、50,000の間葉系幹細胞(msc)により播種したシード添加スキャフォールドを意味し、「w/o MSC」はシード添加をしていないことを示す。血管新生を増加に関するCu含量増加の効果は、明白であった。
【実施例2】
【0073】
50,000の間充織幹細胞(msc)により播種したスキャフォールドを、ラットから除去した後、分析した。スキャフォールドは、組織学(H&E)のために薄片化および染色した。血管生成の程度の測定を、図5(B3;CuO含まず)、図6(B3 Cu−1、0.1 重量%CuO)、および図7(B3 Cu−3、0.4重量%CuO)において四角(boxes)によって示すように、薄片全体でランダムに選ばれた20の点において決定した。図8は、血管領域全体をガラスのCuO濃度の関数として対比するグラフである。CuOを含まないガラスは、合計14000のμmの血管領域を有しており、0.1%のCuOを含むガラスは、合計16000のμm血管領域を有しており、そして、0.4%のCuOを含むガラスは、合計40000のμm血管領域を有していた。0.4%のCuOを含むガラスを、CuOを含まないガラスと対比すると、血管領域にはほぼ300%増加があった。
【実施例3】
【0074】
B3 Cu−3(0.4重量%のCuO)およびB3 Cu−1(0.1重量%のCuO)ガラスについて、銅の微量元素放出速度を計算した。スキャフォールド質量は、70mg(0.07Og)であった。そこで、0.4重量%CuOを有するスキャフォールドは、0.00028gCuO/スキャフォールド(これは0.00022gのCu/スキャフォールドに対応する)を含んでいた。Cuのモル数は0.00022g/(63.55g/モル)と計算され、これは3.52E−6モルのCuに等しい。スキャフォールドが完全に反応するのに6週間(42日)と仮定して、42日間での溶解率は3.52E−6モルCuであって、これは一日あたり8.387E−8モルのCuがガラスから放出されたかまたは溶かされたということを意味する。新たに成長した組織の程度は、0.05g組織/スキャフォールドであると計量された。Amer. J. Phys. 214, 1968に基づけば、無麻酔ラットの脂肪組織の中の血流速度は、最小0.1であり、最高0.4ml/分/グラム−組織であった。
【0075】
<B3 Cu−3(0.4重量%CuO)>
0.4重量%CuOを有するスキャフォールドは、0.00028gCuO/スキャフォールド(これは0.00022gのCu/スキャフォールドに対応する)を含んでいた。Cuのモル数は0.00022g/(63.55g/モル)と計算され、これは3.52E−6モルのCuに等しい。スキャフォールドが42日間にわたる直線的反応速度ですべての銅を完全に放出すると仮定すると、Cu放出速度は、8.387E−8モル/日であった。これは、1.2E−6モルのCu/グラムのガラス/日に等しい。

<B3 Cu−1(0.1重量%のCuO)>
B3 Cu−1スキャフォールドについて同様の計算を用いて、銅について計算した放出速度は、2.095E−8モル/日であった。同等の速度は、3.0E−7モルのCu/グラムのガラス/日である。
ラットの皮下脂肪組織の血流速度は、0.1〜0.4ml/分/グラムで測定され、HerdらによってBlood flow rates through adipose tissue of unanesthetized rats. American journal of physiology, 1968. 214: p. 263-268.に報告された。上述のB3 Cu−1およびB3 Cu−3スキャフォールドについてのCu放出速度を用いて、ラット体液のCu濃度を計算した。ラット体液中のCu濃度についての計算値は、Huらによって、Copper Stimulates Proliferation of Human Endothelial Cells Under Culture. Journal of Cellular Biochemistry, 1998. 69: p. 326-335に報告された、生体外(in-vitro)での内皮細胞増殖を促進し、McAuslanらによってEndothelial Cell Phagokinesis in Response to Specific Metal Ions. Experimental Cell Research, 1980. 130: p. 147-157に報告されたように、生体外(in-vitro)での内皮細胞遊走速度を向上させた、Cuドープ細胞培養培地のCu濃度の範囲内であった。
【0076】
最小血流速度での0.4重量%CuOスキャフォールドについて、スキャフォールドを通る流れのリットル数(または流量)を以下のように計算した:1440分/日(0.1ml/分×g)(1日)(0.05g)=7.2ml=0.0072l。0.0072Lの血流へ8.387E−8モルのCuが一日あたりに放出されるので、Cu放出の速度は、8.387E−8モル/日-Cu/0.0072L=1.165E−5モル/L=11.65マイクロモルCuと計算された。
【0077】
最大血流速度(4×0.0072L=0.0288L)で0.4重量%のCuOスキャフォールドについて、Cu放出の速度は、8.387E−8モル/日-Cu/0.0072L=2.91E−6モル/L=2.91マイクロモルCuと計算された。
【0078】
最小血流速度(0.0072L)で0.1重量%のCuOスキャフォールドについて、Cu放出の速度は、2.095E−8モル/日-Cu/0.0072L=2.91E−6モル/L=2.91マイクロモルCuと計算された。
【0079】
最大血流速度(4×0.0072L=0.0288L)で0.1重量%のCuOスキャフォールドについて、Cu放出の速度は、2.095E−8モル/日-Cu/0.0288L=7.3E−7モル/L=0.73のマイクロモルCuと計算された。
【実施例4】
【0080】
2種の異なる組成の繊維の50:50混合物(重量基準)から混合繊維スキャフォールドを調製した。
【0081】
【表7】

【0082】
以上より、本発明のいくつかの目的が達成され、および、他の有利な結果が実現されることが判るであろう。
【0083】
本発明のまたはその好適な実施形態の要素を導入する場合に、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は1つ以上の要素が存在することを意味することを目的とする。用語「comprising(含む)」、「including(含む)」および「having(有する)」は、包含的であることを意図しており、挙げられた要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する
【0084】
上述の組成物および方法については、本発明の範囲から逸脱しない限り、種々の変更をすることができるので、上述の説明に含まれており、および、添付の図面に示されているすべての事項は説明のためのものであることを意図しているのであって、本発明はこれらに限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類に移植して、身体組織の修復、再生および/または増殖における血管成長を促進するためのスキャフォールドであって、
前記スキャフォールドは、繊維、中空繊維、チューブ、リボン、中実球、中空球、粒子、結合した粒子、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる物理的形態にされた生体適合性材料のスキャフォールド本体を含み、
前記生体適合性材料は、約40〜約80重量%のBを含み、
前記生体適合性材料は、約0.05〜10重量%の濃度で生体適合性材料に化学的に溶解しているCu、Fe、SrおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の微量元素を含むことを特徴とするスキャフォールド。
【請求項2】
前記生体適合性材料が、
約40〜約80重量%のBと、
LiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスキャフォールド。
【請求項3】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
約1〜約50重量%のLiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
約1〜約50重量%のMgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスキャフォールド。
【請求項4】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
約5〜約20重量%のLiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
約5〜約40重量%のMgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスキャフォールド。
【請求項5】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
LiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、
約0.1〜2.5重量%の濃度のCuと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスキャフォールド。
【請求項6】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
LiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、
約0.05〜5重量%の濃度のFeと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスキャフォールド。
【請求項7】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
LiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、
約0.05〜5重量%の濃度のSrと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスキャフォールド。
【請求項8】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
LiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、
約0.05〜5重量%の濃度のZnと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスキャフォールド。
【請求項9】
哺乳類へ移植して、身体組織の修復、再生および/または増殖における血管成長を促進するためのスキャフォールドであって、該スキャフォールドは、
繊維、中空繊維、チューブ、リボン、中実球、中空球、粒子、結合した粒子、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる物理的形態の生体適合性材料のスキャフォールド本体であって、前記生体適合性材料はB、SiO、Pおよびそれらの組合せからなる群から選ばれたガラス形成剤を含み、また前記生体適合性材料は哺乳類の体液中で生分解性である、スキャフォールド本体と、
約0.05〜10重量%の濃度で前記生体適合性材料に化学的に溶解している、Cu、F、Fe、Mn、Mo、Ni、SrおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の微量元素と、を含み、
前記ガラス形成剤は、生体適合性材料重量の(相対)標準偏差25%、母集団サイズ10でラット試験によって求めたときに、9〜11週間の年齢で、体重200〜300gのFisher344ラットに皮下移植して6週以内に、生体適合性材料の少なくとも約20重量%が生分解するように、生分解性を付与すべくバランスされた濃度を有していることを特徴とするスキャフォールド。
【請求項10】
組成物は、繊維または結合された粒子の形態であることを特徴とする請求項9に記載のスキャフォールド。
【請求項11】
組成物が、0.1重量%以下のCaを含むことを特徴とする請求項9または10に記載のスキャフォールド。
【請求項12】
前記生体適合性材料は、リンを含有する前記哺乳類の体液中で、骨前駆体リン酸カルシウム化合物に転化されないことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のスキャフォールド。
【請求項13】
前記1種以上の微量元素が、Cu、Fe、SrおよびZnからなる群から選ばれることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載のスキャフォールド。
【請求項14】
組成物は、繊維または結合した粒子の形態であることを特徴とする請求項13に記載のスキャフォールド。
【請求項15】
組成物は、繊維または結合した粒子の形態であり、前記微量元素が約0.05〜5重量%の濃度のCuであることを特徴とする請求項13に記載のスキャフォールド。
【請求項16】
前記微量元素が、約0.05〜5重量%の濃度のCuであることを特徴とする請求項13に記載のスキャフォールド。
【請求項17】
前記微量元素が約0.05〜5重量%の濃度のCuであり、組成物は繊維の形態であり、スキャフォールドはCu約0.5〜約100E−7モル/ガラスg/日の放出速度を有することを特徴とする請求項13に記載のスキャフォールド。
【請求項18】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
LiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、
約0.1〜約2.5重量%の濃度のCuと、を含むことを特徴とする請求項13に記載のスキャフォールド。
【請求項19】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
LiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、
約0.05〜約5重量%の濃度のFeと、を含むことを特徴とする請求項13に記載のスキャフォールド。
【請求項20】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
LiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、
約0.05〜約5重量%の濃度のSrと、を含むことを特徴とする請求項13に記載のスキャフォールド。
【請求項21】
生体適合性組成物が、
約40〜約80重量%のBと、
LiO、NaO、KO、およびRbOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ酸化物と、
MgO、SrO、BaOおよびCaOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土金属酸化物と、
約0.05〜約5重量%の濃度のZnと、を含むことを特徴とする請求項13に記載のスキャフォールド。
【請求項22】
哺乳類へ移植して、身体組織の修復、再生および/または増殖における血管成長を促進するためのスキャフォールドであって、該スキャフォールドは、
繊維、中空繊維、チューブ、リボン、中実球、中空球、粒子、結合した粒子、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる物理的形態の生体適合性材料のスキャフォールド本体であって、前記生体適合性材料はB、SiO、Pおよびそれらの組合せからなる群から選ばれたガラス形成剤を含み、また前記生体適合性材料は哺乳類の体液中で生分解性である、スキャフォールド本体と、
約0.05〜10重量%の濃度で前記生体適合性材料に化学的に溶解している、Cu、F、Fe、Mn、Mo、Ni、SrおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の微量元素と、を含み、
前記生体適合性材料は、リンを含有する前記哺乳類の体液中で、骨前駆体リン酸カルシウム化合物に転化されないことを特徴とするスキャフォールド。
【請求項23】
哺乳類の身体組織の修復、再生および/または増殖における血管の成長を促進する方法であって、請求項1〜22のいずれかに記載のスキャフォールドを哺乳類に移植することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−533352(P2012−533352A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520727(P2012−520727)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/041854
【国際公開番号】WO2011/008777
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(501305844)ザ・キュレーターズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミズーリ (12)
【氏名又は名称原語表記】THE CURATORS OF THE UNIVERSITY OF MISSOURI
【Fターム(参考)】