説明

唐辛子の種子を用いた経口育毛剤

【課題】唐辛子エキスを含有する整髪料、唐辛子入り焼酎による育毛用飲料は知られているが、整髪料では頭皮への過度の刺激作用があり、飲料では過度のアルコール摂取による人体への悪影響が懸念される問題点がある。唐辛子を含有し、安全性に優れ、育毛効果に優れた育毛剤を提供する。
【解決手段】唐辛子の種子中に、植物性エストロゲンの中でもとりわけ生理活性の高いエストラジオールを含有することが見出され、唐辛子の種子のみを分画、粉砕して粉末化しカプセル詰めた経口育毛剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、優れた発毛作用等の効果を有する育毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
脱毛症は、女性ホルモンの減少、あるいは男性ホルモンの代謝異常、毛包への血流低下、毛母細胞の栄養不足、自己免疫、末梢神経異常、精神的ストレスなどにより、毛周期のバランスが崩れて成長期と休止期の毛髪サイクルが乱れることにより生じるといわれているが、詳細については不明な点が多い。これまで、様々な育毛剤が開発、製造されてきたが、育毛効果は十分とはいえず、より有効で安全性の高い育毛剤の開発が待たれているのが現状であった。
【0003】
天然に存在する生薬の中で各種の植物の抽出エキスを有効成分とする育毛剤は、高い安全性から汎用さてきたが、実際の育毛効果については十分な科学的根拠は確立されていない。
【0004】
唐辛子の育毛剤への応用例としては、特許文献2、3ではその他の生薬と混合した形で、また特許文献5では主成分であるアロエの副剤の一つとして使われる塗布用育毛剤である。また、特許文献4では、焼酎を使って唐辛子、高麗人参、アロエから抽出したエキスを含有する整髪料が記載されている。特許文献1では、唐辛子入りの焼酎を使った育毛用飲料として報告されている。これらは、いずれも、唐辛子全体を使った塗布剤、飲料であり、塗布剤では唐辛子やアルコールによる頭皮への過度の刺激作用が、また飲料では過度のアルコール摂取(焼酎として一日100ccを半年間)の人体への悪影響が懸念される。いずれにしても、唐辛子の種子のみを使った経口育毛剤の報告はない。
【0005】
【特許文献1】特開2005−29552号公報
【特許文献2】特開2003−55139号公報
【特許文献3】特開平7−285833号広報
【特許文献4】特開平7−82119号公報
【特許文献5】特開平6−40856号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、天然物である唐辛子の種子を粉末化したものを有効成分として含有し、安全性にも優れ、育毛効果が大いに期待できる経口育毛剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、植物の種子に含まれる植物性エストロゲンの中でも、とりわけ生理活性の高いエストラジオールに着目し、種々の植物の種子に含まれるエストラジオール濃度を検討した。その結果、多くの植物の種子がエストラジオールを含有することを見出したが、中でも表1に示したように唐辛子の種子に、より高濃度のエストラジオールが含まれていることを発見した。
【0008】
さらに、本発明者は、この唐辛子の種子を粉末化したものを経口摂取することによって、これに含まれる高濃度のエストラジオールが毛乳頭への血行促進作用、毛母細胞の活性化作用を介して優れた育毛効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0009】
以下、本発明を実施例に基づき、調整法、測定法をそれぞれ詳細に説明する。
唐辛子の種子成分を有効成分とした育毛剤の調整法
▲1▼唐辛子から鑷子を使って種子を分画する。
▲2▼採取した種子をミキサーを使って1分間、2回のプロトコールで粉砕する。
▲3▼粉末状にした唐辛子の種子をステンレス網(30メッシュ)に通して不純物を除去する。
▲4▼精製した粉末状の種子を電子天秤を使って0.5g計量し、カプセルに詰める。
【0010】
種子に含まれるエストラジオール濃度の測定法
▲1▼以下の種子をそれぞれ0.6g定量してホモジナイザーで粉末化する。
▲2▼メタノール2mlを添加後、1分間攪拌する。
▲3▼3500rpm、10分間遠心して、上清を回収する。
▲4▼エストラジオールをradio−immunoassay(RIA)にて測定する。
【0011】
【表1】

【発明の効果】
【0012】
頭頂部脱毛症の男性2名(被検者#1:軽度脱毛症の30歳台男性、被検者#2:中等度脱毛症の40歳台男性)を対象として、上記方法で調整した唐辛子種子成分0.5gを一日1回8週間内服した結果、被検者#1では軽度改善を、被検者#2では図1、2に示したように著明な改善を認めた。内服前では頭髪密度が低下し産毛が主体であったのに対して、経口摂取後は、頭髪密度が上昇するとともに、著明な頭髪の発毛を認めた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】唐辛子種子経口摂取前
【図2】唐辛子種子経口摂取開始8週間後
【0014】
以上、本発明の育毛剤は、従来の塗布剤、アルコールを含有する飲料剤と異なり、一日一回の経口摂取でコンプライアンスに優れている。また、合成の化学物質ではなく、普段の食生活においても摂取する機会の多い唐辛子を原料として用いたが故に安全性も高く、しかも短期間で優れた育毛効果が得られるという利点がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末化した唐辛子の種子を有効成分として含有することを特徴とした経口育毛剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−127382(P2008−127382A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343562(P2006−343562)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(506421792)
【Fターム(参考)】