説明

商品処理装置

【課題】商品の登録数が多くなっても、容易かつ迅速に該当する商品を見つけ出すことのできる商品処理装置を提供する。
【解決手段】商品を計量する計量手段と、商品毎の設定重量を記憶する商品情報記憶部と、該記憶部の設定重量と計量手段の計量値とに基づいて商品に所定の処理を施すようにした商品処理装置に関する。前記記憶部から、処理すべき商品の設定重量を読み出す読出モードを設け、該読出モードにおいて、商品を計量すると、当該計量値と等しいかそれに近い設定重量を商品情報記憶部から読み出して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重量チェッカーおよび計数装置などのように計量手段を有する商品処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、計量手段付の商品処理装置として、たとえば、重量チェッカーおよび計数装置が知られている。かかる重量チェッカーや計数装置においては、商品の呼出No. を入力して、計数やラベル発行を行うために必要な登録データを呼び出す作業が必要となる。
【特許文献1】特開昭62−125497号(親出願の引用文献1:特許請求の範囲及び第4頁左下欄〜第5頁左上欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、商品処理装置においては、登録データを呼び出す作業が必要であるのに対し、近年、商品が多様化し、そのため、商品の種類が多くなって、該当する商品(または商品の呼出No. )を見つけ出すことが難しい。
【0004】
したがって、本発明の目的は、商品の登録数が多くなっても、容易かつ迅速に該当する商品を見つけ出すことのできる商品処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、商品を計量する計量手段と、商品毎の設定重量を記憶する商品情報記憶部とを備え、該記憶部の設定重量と前記計量手段の計量値とに基づいて商品に所定の処理を施すようにした商品処理装置において、前記記憶部から、処理すべき商品の設定重量を読み出す読出モードを設け、該読出モードにおいて、商品を計量すると、当該計量値と等しいかそれに近い設定重量を商品情報記憶部から読み出して表示する。
本発明において、「設定重量」とは、商品の内容量として表示する目標重量や商品1個の重さなど、商品の種類により定まる重量をいう。
本発明において、「商品に所定の処理を施す」とは一般に「商品に関する所定の演算」を行うことをいう。また、「商品に関する所定の演算」とは、計量値と設定重量から種々の結果を求めることをいい、該「所定の演算」には、たとえば、計量値と設定重量とを比較して商品の合否を判別したり、あるいは、計量値を設定重量で除算して商品の入り数を算出するなどの演算がある。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明によれば、読出モードを設け、該読出モードにおいて、商品を計量すると、当該計量値と等しいかそれに近い設定重量を商品情報記憶部から読み出して表示するようにしたので、商品の登録数が多くなっても、該当する商品を容易かつ迅速に見つけ出すことができる。
【実施例】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1から図3は本発明を重量チェッカー(商品処理装置の一例)に適用したもので、請求項3ないし5の発明の一実施形態を示す。重量チェッカーは、商品を搬送しながら商品の重量を計量し、得られた計量値と後述する基準重量とを比較して、商品の量目をチェックして、商品を選別したり、不良品を系外に排出するものである。
【0008】
図1(a)に示すように、重量チェッカーは、計量コンベヤ10と、該計量コンベヤ10の下流に設けられた振分装置11とを備えている。計量コンベヤ10および振分装置11は、図示しないインターフェイスを用いて図2(a)に示すマイコン20に接続されている。
【0009】
図1(a)の計量コンベヤ10は、たとえばストレッチ包装機等で包装された商品Mをベルトコンベヤ13で搬送しながら計量するもので、重量検出器12が測定信号を図2(a)の計量手段28に出力する。計量手段28は、重量検出器12およびマイコン20に図示しないインターフェイスを介して接続されており、前記測定信号から振動成分を除去した計量値をマイコン20に出力する。
【0010】
前記マイコン20は、CPU21およびメモリ24を有していると共に、該マイコン20には、図示しないインターフェイスを介して、表示部26および入力操作部27が接続されている。メモリ24は商品マスタ(商品情報記憶部)25を備えている。商品マスタ25には、図2(b)に示すように、呼出No. 、品名、商品の基準重量、該基準重量に対する許容偏差(許容範囲)Waなどが、商品ごとに互いに関連づけられて、登録データとして記憶されている。前記基準重量(設定重量)は、商品に内容量として表示される目標重量である。許容偏差Waは、商品の重量のばらつきの許容範囲を示すもので、後述する下限許容値Wad 〜上限許容値Wau の範囲である。
【0011】
図2(a)のCPU21は、演算部22および制御部23を有していると共に、商品Mの重量による選別を行う選別モードと、後述する読出モードとを備えている。
【0012】
演算部22は、選別モードにおいて、前記計量コンベヤ10で計量した計量値と、基準重量および許容偏差Waに基づいて商品Mを選別する選別信号を出力する。すなわち、演算部22は、当該商品Mの基準重量に上限許容値Wau を加えた上限値と、基準重量に負数からなる下限許容値Wad を加えた下限値とを算出する。演算部22は、計量コンベヤ10で計量した計量値が、該上限値および下限値の間に収まっているか否かの判別を行い、計量値が上限値および下限値の間に収まっていない場合には、振分装置11に排出信号(選別信号)を出力する。なお、上限値および下限値は、前述のように商品Mを選別するための値であるから、基準重量に近い値になるように、許容偏差Waが設定されている。
【0013】
入力操作部27は、ストロークキーを備えている。表示部26は、たとえば、図3(a),(b)の検索結果表示画面(第1表示画面)および登録データ表示画面(第2表示画面)を表示する。
【0014】
図1(a)の振分装置11は、演算部22からの選別信号に従って商品Mを振り分けるものである。該振分装置11は、搬送ローラ14と、振分部材16とを備えており、商品Mを搬送方向Xに搬送すると共に、マイコン20から排出信号を受け取ると、振分部材16を回転させて、商品Mを排出方向Y(系外)に排出する。
【0015】
つぎに、本重量チェッカーの運用方法について説明する。
商品の選別を行うに先立ち、まず、図2の入力操作部27の所定のキーを押下して、マイコン20のCPU21を読出モードに設定する。読出モードは、計量値に基づいて商品マスタ25の記憶内容を検索して、1以上の商品の基準重量などを読み出すモードである。
【0016】
前記モード設定後、計量コンベヤ10上に商品Mを載せて計量を行う。該計量後、演算部22は、計量値が図2(b)の商品マスタ25の各商品についての検索範囲重量以内か否かを判別して該検索範囲重量以内の商品を選択する。すなわち、演算部22は、1つの商品について、基準重量、上限許容値Wau および下限許容値Wad から前述の上限値および下限値を算出する。つぎに、演算部22は、該上限値および下限値を閾値として用いて、計量値を比較し、計量値が検索範囲重量(下限値〜上限値)の間に入るか否かを判断して、範囲内であれば当該商品を選択する。演算部22は、この比較・選択を各商品について繰り返し、選択された商品についての商品マスタ25の登録データの少なくとも一部(各商品を特定し得る情報)、すなわち、呼出No. 、品名および基準重量を読み出す。この読み出しに応じて、制御部23は、図3(a)に示すような検索結果表示画面を表示部26に表示させる。検索結果表示画面には、演算部22によって選択された商品の呼出No. 、品名および基準重量が、各商品ごとに表示されると共に、計量値などが表示される。
【0017】
前記表示後、オペレータは、検索結果表示画面に表示された商品から、該当する商品の呼出No. を図2(a)の入力操作部27のテンキーを押下して指定する。該検索結果表示画面において商品が指定されると、演算部22によって、前記商品マスタ25から当該商品Mの登録データが読み出され、制御部23によって該登録データを含む、図3(b)に示す登録データ表示画面が表示部26に表示される。該登録データ表示画面には、呼出No. 、品名、計量値、基準重量、上限許容値Wau および下限許容値Wad 等が表示される。一方、CPU21に基準重量が設定されると共に、選別モードに移行する。
【0018】
このように、各商品について、計量値が検索範囲重量以内か否かを演算部22が判別して選択し、該選択した商品の呼出No. および品名等を図3(a)の検索結果表示画面に表示させるので、商品の登録数が多くなっても、該当する商品の呼出No. を容易かつ迅速に見つけ出すことができる。
また、本実施形態では、前記選択・表示を行うのに、商品の選別を行うための基準重量および許容偏差Waを用いているので、商品マスタ25に選択のための値を別途記憶させる必要がない。
【0019】
つぎに、選別モードについて説明する。
前記選別モードにおいて、図2(a)のCPU21は、計量コンベヤ10によって計量された商品Mの計量値を受け取ると、基準重量および許容偏差Waに基づいて商品Mの選別を行う。計量値が前記上限値および下限値の間に収まっている場合は、図1(a)の振分装置11は商品Mを搬送方向Xに搬送する。一方、計量値が前記上限値および下限値の間に収まっていない場合には、振分装置11に排出信号(選別信号)が出力され、振分装置11は、マイコン20から排出信号を受け取ると、振分部材16を突出させて、商品Mを排出方向Y(系外)に排出する。
【0020】
なお、基準重量、上限許容値Wau および下限許容値Wad から上限値および下限値を算出する代わりに、上限値および下限値を登録データに予め記憶させておいてもよい。また、振分装置11はアームなどの振分部材を用いた振分装置を用いてもよい。
【0021】
以上の説明では、計量値と検索重量範囲に基づいて基準重量を読み出したが、本発明では検索重量範囲に基づいて読み出す必要はなく、たとえば、商品の偏差に応じて商品情報を読み出してもよい。
かかる変形例について説明する。
【0022】
図2(a)のメモリ24は商品マスタ25と、図2(c)、(d)に示す第1および第2偏差記憶部24a,24bとを備えている。第1および第2偏差記憶部24a,24bには、呼出No. と後述する偏差が互いに関連づけられて記憶される。図2(a)のCPU21は、選別モードと、計量コンベヤによって計量された商品の計量値に基づいて商品の基準重量を読み出す読出モードとを備えている。
なお、その他の構成は前述の重量チェッカーと同様であり、その詳しい説明を省略する。
【0023】
つぎに、本変形例の重量チェッカーの運用方法について説明する。
商品の選別を行うに先立ち、まず、図2の入力操作部27の所定のキーを押下して、マイコン20のCPU21を読出モードに設定する。
前記モード設定後、計量コンベヤ10上に商品Mを載せて計量を行う。該計量後、演算部22は、商品を計量して得た計量値と、各商品についての前記基準重量との前記偏差を求める。すなわち、演算部22は、1つの商品について、商品マスタ25から基準重量を読み出し、計量値から当該基準重量を減算することによって偏差を算出する。演算部22は当該偏差と当該商品の呼出No. とを互いに関連づけて第1偏差記憶部24aに記憶させる。演算部22は、この演算・記憶を各商品について繰り返し、第1偏差記憶部24aに各商品の呼出No. と偏差とを互いに関連づけて記憶させる。
【0024】
つぎに、演算部22は、第1偏差記憶部24aの各偏差の絶対値をそれぞれ算出し、偏差に応じた順、すなわち、偏差の絶対値の小さい順に該偏差を並べると共に、各偏差に対応する呼出No. を第2偏差記憶部24bに記憶させる。この後、演算部22は第2偏差記憶部24bの呼出No. に基づいて、商品マスタ25の登録データの少なくとも一部(各商品を特定し得る情報)、すなわち、呼出No. 、品名および基準重量を読み出す。この読み出しに応じて、制御部23は、図3(c)に示す検索結果表示画面を表示部26に表示させる。検索結果表示画面には、演算部22によって偏差の絶対値の小さい順に商品の呼出No. 、品名、基準重量および偏差が、各商品ごとに表示されると共に、計量値などが表示される。
【0025】
前記表示後、オペレータは、図2(a)の入力操作部27のストロークキーを押下して、該検索結果表示画面を上下にスクロールさせ、該検索結果表示画面に表示された商品から、該当する商品の呼出No. を入力操作部27のテンキーを押下して指定する。該検索結果表示画面において商品が指定されると、演算部22によって、前記商品マスタ25から当該商品Mの登録データが読み出され、制御部23によって該登録データを含む、図3(b)に示す登録データ表示画面が表示部26に表示される。一方、CPU21に基準重量が設定されると共に、選別モードに移行し、該選別モードにおいて商品の選別が行われる。
【0026】
このように、各商品について、計量値と基準重量との偏差を演算部22が求め、該偏差に応じた順に、商品の呼出No. および品名等を図3(c)の検索結果表示画面に表示させるので、商品の登録数が多くなっても、該当する商品の呼出No. を容易かつ迅速に見つけ出すことができる。
【0027】
図4から図6は本発明を計数装置に適用したもので、請求項6ないし9の発明の一実施形態を示す。前記計数装置は、複数個の小物品からなる商品の計量値を該商品の単体重量で除算して当該商品の数量を算出して表示するものである。
図4に示すように、本計数装置(計数秤)は、計量皿40、タッチスクリーン41、ストロークキー部42およびラベルプリンタ43を有すると共に、図5(a)に示すように、計量手段57を有している。タッチスクリーン41、ストロークキー部42、ラベルプリンタ43および計量手段57は、図示しないインターフェイスを介して、マイコン50に接続されている。
【0028】
計量手段57は、重量検出器58を有しており、図4の計量皿40上に載置した小物品Mや風袋Tの重量を、図5(a)の重量検出器58を用いて計量し、デジタル信号に変換してマイコン50に出力するものである。
【0029】
前記マイコン50は、CPU51およびメモリ54を有している。メモリ54は商品マスタ(商品情報記憶部)55および検索範囲記憶部56を備えている。商品マスタ55には、図5(b)に示すように、呼出No. 、品名、商品を構成する小物品Mの単体重量および目標個数などが、商品(小物品Mの集合)ごとに互いに関連づけられて、登録データとして記憶されている。単体重量は、複数個の小物品を計量して求めた計量値を当該個数で除算して求められた値である。検索範囲記憶部56には検索範囲が記憶されている。該検索範囲は、小物品の単体重量のばらつきを考慮した検索すべき範囲を示すものであり、本実施形態では、小物品の単体重量の99%〜 101%の値に設定されている。なお、単体重量に0.99を乗算した値が下限検索値となり、一方、単体重量に1.01を乗算した値が上限検索値となる。
【0030】
CPU51は、演算部52および制御部53を有していると共に、商品マスタ55に記憶された単体重量に基づいて小物品Mの個数を計数する計数モードと、後述する読出モードとを備えている。演算部52は、計数モードにおいて、多数の小物品Mの計量値を単体重量で除算して当該小物品Mの数量を計数すると共に、該計数した数量が目標個数か否かの判別を行うものである。
【0031】
タッチスクリーン41は、たとえば、液晶表示装置のようなディスプレイ画面に図6(a),(b)の検索結果表示画面(第1表示画面)および通常モード画面(登録データ表示画面:第2表示画面)のような種々の情報およびメニューを表示すると共に、該表示の一部を指で触れることによって入力を行う装置であり、ストロークキー部42と共に入力手段を構成している。
【0032】
つぎに、本計数装置の運用方法について説明する。
商品の計数を行うに先立ち、まず、タッチスクリーン41の所定のボタンを押下して、図5(a)のマイコン50のCPU51を読出モードに設定する。読出モードは、小物品Mを計量して求めた測定単体重量に基づき商品マスタ55に記憶された登録データを検索して1以上の商品の単体重量などを出力するモードである。
【0033】
前記モード設定後、計量皿40(図4)に複数個の小物品Mを載せて計量を行う。該計量後、演算部52は、測定単体重量が各商品について所定の検索範囲重量か否かを判別して該検索範囲重量の商品を選択する。すなわち、演算部52は、複数個の小物品Mの計量値を当該個数で除算して、小物品Mの測定単体重量を算出する。つぎに、演算部52は、1つの商品について、商品マスタ55から単体重量を読み出すと共に、該単体重量に検索範囲の上下限(0.99または1.01) を乗算して、上限検索値および下限検索値を算出する。この算出後、上限検索値および下限検索値を検索範囲重量とし、演算部52は、該検索範囲重量と測定単体重量とを比較して、測定単体重量が検索範囲重量(下限値〜上限値)の間に入るか否かを判断して、範囲内であれば当該商品を選択する。
【0034】
前記演算部52は、この比較・選択を各商品について繰り返し、選択された商品について商品マスタ55の登録データの少なくとも一部(商品を特定し得る情報)、すなわち、呼出No. 、品名および単体重量を読み出す。この読み出しに応じて制御部53は、図6(a)に示すような検索結果表示画面をタッチスクリーン41に表示させる。該検索結果表示画面には、演算部52によって選択された商品の呼出No. 、品名および単体重量が、各商品ごとに表示されると共に、本読出モードにおいて計測した測定単体重量などが表示される。
【0035】
前記表示後、オペレータは、タッチスクリーン41に表示された検索結果表示画面の商品から、該当する商品が表示された部分にタッチして該商品を指定する。該検索結果表示画面において商品が指定されると、図5(a)の演算部52によって、前記商品マスタ55から当該商品Mの登録データが読み出され、制御部53によって該登録データを含む図6(b)の計数モード画面がタッチスクリーン41に表示され計数モードに移行する。該計数モード画面には、呼出No. 、品名および個数等が表示される。
【0036】
このように、各商品について測定単体重量が単体重量の検索範囲重量内か否かを演算部52が判別して選択し、該選択した商品の呼出No. および品名等を図6(a)の検索結果表示画面に表示させるので、商品の登録数が多くなっても、該当する商品を容易かつ迅速に見つけ出すことができる。
【0037】
つぎに、計数モードについて説明する。
前記計数モードにおいては、演算部52が、多数の小物品Mの計量値を単体重量で除算して当該商品Mの数量を計数すると共に、該計数した数量が目標個数か否かの判別が行われ、該判別の結果を制御部53がタッチスクリーン41に表示させる。
【0038】
ところで、前述の単体重量は、たとえばバネ1個の単体重量である場合や、ビス、ナットおよびワッシャを一組とする単体重量の場合も含む。また、前記実施形態では、検索範囲をメモリ54に記憶させたが、プログラム中に該検索範囲を組み入れてもよい。また、前記実施形態では検索範囲を百分率を用いた割合としたが、上限偏差および下限偏差を重量(たとえば+0.1g, −0.1g)で記憶してもよい。
【0039】
以上の説明では、前記検索範囲重量と測定単体重量に基づいて、単体重量を読み出したが、本発明では検索範囲重量に基づいて読み出す必要はなく、たとえば、商品の偏差に応じて商品情報を読み出してもよい。
かかる変形例について説明する。
【0040】
図5(a)のメモリ54は商品マスタ55と、図5(c),(d)に示す第1および第2偏差記憶部54a,54bを備えている。第1および第2偏差記憶部54a,54bには、呼出No. と後述する偏差が互いに関連づけられて記憶される。本変形例では、メモリ54は、前述の実施形態で示した検索範囲記憶部56を有していない。
図5(a)のCPU51は、選別モードと共に、商品を計量して求めた測定単体重量に基づいて、商品マスタ55に記憶された商品の単体重量を読み出す読出モードを備えている。
なお、その他の構成は前述の重量チェッカーと同様であり、その詳しい説明を省略する。
【0041】
つぎに、本変形例の計数装置の運用方法について説明する。
商品の計数を行うに先立ち、まず、タッチスクリーン41の所定のボタンを押下して、図5(a)のマイコン50のCPU51を読出モードに設定する。
前記モード設定後、計量皿40(図4)に複数個の小物品Mを載せて計量を行う。該計量後、演算部52は、測定単体重量と、各商品についての商品マスタ55に記憶された単体重量との前記偏差を求める。すなわち、演算部52は、複数個の小物品Mの計量値を当該個数で除算して、小物品Mの測定単体重量を算出する。つぎに、演算部52は、1つの商品について、商品マスタ55から単体重量を読み出すと共に、該測定単体重量から単体重量を減算することによって偏差を算出する。演算部52は当該偏差と当該商品の呼出No. とを互いに関連づけて第1偏差記憶部54aに記憶させる。演算部52は、この演算・記憶を各商品について繰り返し、第1偏差記憶部54aに各商品の呼出No. と偏差とを互いに関連づけて記憶させる。
【0042】
つぎに、演算部52は、第1偏差記憶部54aの偏差の絶対値をそれぞれ算出し、偏差に応じた順、すなわち、偏差の絶対値の小さい順に該偏差を並べると共に、各偏差に対応する呼出No. を第2偏差記憶部54bに記憶させる。この後、演算部52は第2偏差記憶部54bの呼出No. に基づいて、商品マスタ55の登録データの少なくとも一部(各商品を特定し得る情報)、すなわち、呼出No. 、品名および基準重量を読み出す。この読み出しに応じて、制御部53は、図6(c)に示す検索結果表示画面をタッチスクリーン41に表示させる。検索結果表示画面には、演算部52によって偏差の絶対値の小さい順に商品の呼出No. 、品名、基準重量および偏差が、各商品ごとに表示されると共に、スクロールボタン60および計量値などが表示される。
【0043】
前記表示後、オペレータは、前記スクロールボタン60にタッチして、検索結果表示画面を上下にスクロールさせ、該検索結果表示画面に表示された商品から、該当する商品に対応する呼出No. や品名にタッチして指定する。該検索結果表示画面において商品が指定されると、図5(a)の演算部52によって、前記商品マスタ55から当該商品Mの登録データが読み出され、制御部53によって該登録データを含む図6(b)の計数モード画面がタッチスクリーン41に表示され計数モードに移行する。該計数モードにおいて、商品の数量の計数が行われる。
【0044】
このように、各商品について、測定単体重量と単体重量重量との偏差を演算部52が求め、該偏差に応じた順に、商品の呼出No. および品名等を図6(c)の検索結果表示画面に表示させるので、商品の登録数が多くなっても、該当する商品の呼出No. を容易かつ迅速に見つけ出すことができる。
【0045】
本発明において「偏差に応じた順」とは、前述のように、偏差の絶対値が小さい順に表示してもよいが、他の情報と組み合わせてもよい。たとえば、商品の基準の大きさが分かっているような場合において、商品の大きさを検出し、該商品の大きさの基準を満たすもののうち、偏差の絶対値が小さい商品から順に表示をしてもよい。また、重量チェッカーにおいては偏差が正(測定重量>基準重量)の商品と偏差が負の商品とに分けて表示できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる重量チェッカーを示す概略側面図および断面図である。
【図2】(a)は同重量チェッカーを示す概略構成図、(b)は商品マスタの記憶内容を示す図表、(c),(d)は偏差記憶部の記憶内容を示す図表である。
【図3】同重量チェッカーの表示部を示す正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる計数装置を示す概略斜視図である。
【図5】(a)は同計数装置を示す概略構成図、(b)は商品マスタの記憶内容を示す図表、(c),(d)は偏差記憶部の記憶内容を示す図表である。
【図6】同計数装置の表示部を示す正面図である。
【符号の説明】
【0047】
22,52:演算部
23,53:制御部
25,55:商品情報記憶部
26,41:表示部
28,57:計量手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を計量する計量手段と、商品毎の設定重量を記憶する商品情報記憶部とを備え、該商品情報記憶部の設定重量と前記計量手段の計量値とに基づいて商品に所定の処理を施すようにした商品処理装置において、
前記商品情報記憶部から、処理すべき商品の設定重量を読み出す読出モードを設け、
該読出モードにおいて、商品を計量すると、当該計量値と等しいかそれに近い設定重量を前記商品情報記憶部から読み出して表示するようにした商品処理装置。
【請求項2】
商品を計量する計量手段と、商品毎の設定重量を記憶する商品情報記憶部とを備え、該商品情報記憶部の設定重量と前記計量手段の計量値とに基づいて商品に所定の処理を施すようにした商品処理装置において、
前記商品情報記憶部から、処理すべき商品の設定重量を読み出す読出モードを設け、
該読出モードにおいて、商品を計量すると、当該計量値と等しいかそれに近い設定重量の商品を前記商品情報記憶部から読み出して表示し、表示された商品の中から処理すべき商品が指定されると、該当商品の設定重量に基づいて前記処理を行えるようにした商品処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の商品処理装置は、商品を搬送しながら計量し、得られた計量値と設定された基準重量とを比較して商品の量目をチェックする重量チェッカーであることを特徴とする商品処理装置。
【請求項4】
商品を搬送しながら商品の重量を計る計量コンベヤと、
商品ごとに商品の基準重量を記憶する商品情報記憶部と、
前記計量コンベヤで計量した計量値と、前記基準重量に対する許容範囲に基づいて商品を選別する選別信号を出力する演算部とを備えた商品処理装置において、
前記計量コンベヤによって計量された商品の計量値に基づき前記商品情報記憶部の記憶内容を検索して商品の基準重量を読み出す読出モードを設け、
該読出モードにおいては、
計量値が各商品についての検索範囲重量以内か否かを前記演算部が判別して該検索範囲重量の商品を選択し、該選択した商品についての前記商品情報記憶部の記憶内容の少なくとも一部を制御部が表示部に表示させ、
該表示画面において商品が指定されると前記商品情報記憶部に記憶された当該商品の基準重量が設定されるようにしたことを特徴とする商品処理装置。
【請求項5】
商品を搬送しながら商品の重量を計る計量コンベヤと、
商品ごとに商品の基準重量を記憶する商品情報記憶部と、
前記計量コンベヤで計量した計量値と、前記基準重量に対する許容範囲に基づいて商品を選別する選別信号を出力する演算部とを備えた商品処理装置において、
前記計量コンベヤによって計量された商品の計量値に基づき商品の基準重量を読み出す読出モードを設け、
該読出モードにおいては、
商品を計量して得た計量値と、各商品についての前記基準重量との偏差を前記演算部が求め、該偏差に応じた順に、商品についての前記商品情報記憶部の記憶内容の少なくとも一部を制御部が表示部に表示させ、
該表示画面において商品が指定されると前記商品情報記憶部に記憶された当該商品の基準重量が設定されるようにしたことを特徴とする商品処理装置。
【請求項6】
商品を計量する計量手段と、商品の単体重量を記憶する記憶部とを備え、該記憶部の単体重量と前記計量手段の計量値とに基づいて被計量商品の個数を算出表示するようにした商品処理装置において、
前記記憶部から、計量すべき商品の単体重量を読み出す読出モードを設け、
該読出モードにおいて、商品を計量すると、当該計量値と等しいかそれに近い単体重量の商品を前記記憶部から読み出して表示するようにした商品処理装置。
【請求項7】
商品を計量する計量手段と、商品の単体重量を記憶する記憶部とを備え、該記憶部の単体重量と前記計量手段の計量値とに基づいて被計量商品の個数を算出表示するようにした商品処理装置において、
前記記憶部から、計量すべき商品の単体重量を読み出す読出モードを設け、
該読出モードにおいて、商品を計量すると、当該計量値と等しいかそれに近い単体重量の商品を前記記憶部から読み出して表示し、表示された商品の中から計量すべき商品が指定されると、該当商品の単体重量が設定されるようにした商品処理装置。
【請求項8】
商品を計量する計量手段と、商品の単体重量を記憶する記憶部とを備え、商品の計量値を前記単体重量で除算して当該商品の数量を計数する商品処理装置において、
商品を計量して求めた測定単体重量に基づき前記記憶部の記憶内容を検索して商品の単体重量を読み出す読出モードを設け、
該読出モードにおいては、
前記測定単体重量が各商品について所定の検索範囲重量か否かを演算部が判別して該検索範囲重量の商品を選択し、該選択した商品についての前記記憶部の記憶内容の少なくとも一部を制御部が表示部に表示させ、
該表示画面において商品が指定されると、前記記憶部に記憶された単体重量に基づいて計数操作を行えるようにしたことを特徴とする商品処理装置。
【請求項9】
商品を計量する計量手段と、商品の単体重量を記憶する記憶部とを備え、商品の計量値を前記単体重量で除算して当該商品の数量を計数する商品処理装置において、
商品を計量して求めた測定単体重量に基づき前記記憶部に記憶された商品の単体重量を読み出す読出モードを設け、
該読出モードにおいては、
前記測定単体重量と、各商品についての前記記憶部に記憶された単体重量との偏差を演算部が求め、該偏差に応じた順に、商品についての前記記憶部の記憶内容の少なくとも一部を制御部が表示部に表示させ、
該表示画面において商品が指定されると、前記記憶部に記憶された単体重量に基づいて計数操作を行えるようにしたことを特徴とする商品処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−232732(P2007−232732A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105452(P2007−105452)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【分割の表示】特願平10−129610の分割
【原出願日】平成10年4月22日(1998.4.22)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】