説明

商品登録処理システム

【課題】POS端末による精算業務を購入者の各種の希望に応じてIrDA決済で行うようにすることである。
【解決手段】POS端末15を備えた販売店側情報管理装置2と携帯端末1とにそれぞれ赤外線通信デバイス(IrDA)3、4による通信手段5を配設し、前記販売店側情報管理装置2の前記POS端末15に前記携帯端末1によりIrDA決済を行うか否かの選択をするとともにIrDA決済を行うべき選択を行うと同時に締めキーとしての機能を備えた決済選択手段16を設け、前記携帯端末1にIrDA決済を行うか否かの設定を行う設定手段14とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS端末を備えた販売店側情報管理装置と携帯端末とにそれぞれ赤外線通信デバイス(IrDA)による通信手段を配設してIrDA決済を可能にした商品登録処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤外線通信の標準化団体であるIrDA(Infrared Data Association)は、2002年12月に、無線を使った至近距離における電子支払標準として、IrFM(Infancial Financial Messaging)v1.0使用を承認した。赤外線は低価格でセキュリティ確保が容易なため、至近距離で1対1の接続を行う場合に有効な技術である。全世界で通用する標準を確立することで、ユーザーは携帯電話機やPDA(携帯情報端末)を使って、支払に関する個人情報をカードリーダやATMなどに高速伝送できるものである。IrFM仕様は、販売店などで、クレジットカード、デビットカード、ICカード、小切手などを使った無線による決済処理をその場で行う際に利用される。既存のインフラを基礎にした仕様が実現したのは、金融関連のデジタル技術を研究開発するコンソーシアム、FSTC(Financial Services Technology Consortium)が、同仕様の開発を行うワーキンググループと初期段階から提携したため、とIrDA(Infrared Data Association)では説明している。
【0003】
一方、販売店における商品販売において、購入行為に基づく購入年月日情報、購入商品識別情報、購入点数情報および購入金額情報とを紙に印刷されたレシート(受取証)として発行することは慣用されているものであるが、携帯電話機を用いて電子化レシート情報としてその携帯電話機のメモリに取り込むようにした技術が開発されて特許文献1に開示されている。最も、特許文献1に開示された技術は、紙に印刷されたレシートの場合、非常に小さく薄い紙片であることから紛失することが多く、また、省資源の観点からもペーパーレス化を意図しているものであり、特に、家計簿を作成する場合に家計簿作成プログラム(ソフト)を利用することを意図して電子化レシート情報を用いるようにしているものである。この場合、携帯電話機とPOS端末を含む販売店側情報管理装置との間の通信は、無線情報通信インターフェース技術である“Bluetooth”を用いていることが開示されている。また、この“Bluetooth”以外の他の無線情報通信インターフェース技術として、赤外線利用データ通信方式であるIrDA(IrDA Control)方式を用いることも可能であることが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−283333公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IrDA(Infrared Data Association)により承認されたIrFM(Infancial Financial Messaging)v1.0は、無線を使った至近距離における電子支払標準として有効であり、優れた技術であるが、その技術は、携帯電話機やPDA(携帯情報端末)を使って、支払に関する個人情報をカードリーダやATMなどに高速伝送でき、かつ、販売店などで、クレジットカード、デビットカード、ICカード、小切手などを使った無線による決済処理をその場で行う際に利用されるという基本的な技術に止まっており、具体的な商品販売における現金取引との整合性やレシート発行に対する具体的考慮、電子化レシートの処理態様等に関しては、具体的ではない。
【0006】
また、特許文献1に記載されたものにおいては、紙に印刷されたレシートに替えて電子化レシートを発行し、かつ、携帯電話機と販売店側情報管理装置との間の通信に赤外線利用データ通信方式であるIrDA方式を利用することまでは開示されているものの、商品販売における現金取引との整合性や電子決済業務との関係に関しては開示されていない。特に、商品販売後の決済において、現金取引やカード類による決済、及び、いずれの決済においてもレシートがどのような形で必要となるか、等の取引の多様性に対する対応については説明がなされていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、POS端末を備えた販売店側情報管理装置と携帯端末とにそれぞれ赤外線通信デバイス(IrDA)による通信手段を配設し、前記販売店側情報管理装置の前記POS端末に前記携帯端末によりIrDA決済を行うか否かの選択をするとともにIrDA決済を行うべき選択を行うと同時に締めキーとしての機能を備えた決済選択手段を設け、前記携帯端末にIrDA決済を行うか否かの設定を行う設定手段とを設けた商品登録処理システムである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の商品登録処理システムにおいて、前記携帯端末にはIrDA決済時にレシートを紙により発行するか電子化レシート処理をするかの選択をするレシート発行選択手段を備えているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、販売店側情報管理装置のPOS端末に携帯端末によりIrDA決済を行うか否かの選択をするとともにIrDA決済を行うべき選択を行うと同時に締めキーとしての機能を備えた決済選択手段が設けられているため、IrDA決済を行う場合においても販売店側情報管理装置のPOS端末を操作するオペレータにより通常の締めキー操作と同様な作業でIrDA決済を行うことができ、また、携帯端末においても設定手段によりIrDA決済を行うか否かの設定を予め行っておくことによりIrDAの利用を簡単に設定することができ、これにより、IrDAの本来の特長である近距離における1対1の通信機能によりセキュリティを確保することができるものである。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、取引の内容が記載されたレシートを紙により発行するのか電子化レシートとして発行するのかの選択を容易に行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の一態様を図1ないし図4に基づいて説明する。
【0012】
まず、図1は、携帯電話機による携帯端末1と販売店に設置されて商取引に利用される販売店側情報管理装置2のブロック図である。これらの携帯端末1と販売店側情報管理装置2とのそれぞれには、赤外線通信デバイス(IrDA)3、4が設けられ、赤外線通信による近距離の通信手段5が設けられている。もちろん、前記携帯端末1側の赤外線通信デバイス(IrDA)3は、個々の携帯端末1に固有のものであり、前記販売店側情報管理装置2に設けられた赤外線通信デバイス(IrDA)4は、仕様が一致するすべての携帯端末1の赤外線通信デバイス(IrDA)3と交信が可能なものである。
【0013】
しかして、前記携帯端末1には、コントローラ6が設けられ、このコントローラ6には前記赤外線通信デバイス(IrDA)3の他に、アンテナ7が接続された無線送受信・変復調制御部8及びメモリ9が接続されている。また、前記コントローラ6に接続されたI/F10に端末側コントローラ11が接続され、この端末側コントローラ11の処理用のプログラム及び処理に必要なデータや処理時のデータを記憶するための記憶媒体である半導体メモリ等のメモリ12と携帯端末1の使用者のマニュアル操作により前記端末側コントローラ11に対して情報入力可能な操作部13とが接続されている。また、前記端末側コントローラ11には、前記販売店側情報管理装置2との間でIrDA決済を行うか否かを設定するIrDA決済設定手段14が設けられている。このIrDA決済設定手段14は、携帯端末1に組み込まれた専用ソフトによるものであり、IrDA立上画面を表示させたのち、そのメニューからIrDA決済を行う旨の選択をするように構成されているものである。
【0014】
つぎに、前記販売店側情報管理装置2は、小売店等の販売店に設置されているものであり、購入者用の商品購入情報を処理するPOS端末15を備えている。このPOS端末15には、IrDA決済を宣言するためのキーと同時に締めキーとしての機能を備えた決済選択手段16が配設されている。この決済選択手段16は、その形状としては、テンキーその他の操作釦と同様に押し釦により形成されている。このような決済選択手段16は、I/F17を介して全体の処理実行用のコントローラ18に接続されている。このコントローラ18には、前記赤外線通信デバイス(IrDA)4が接続されていると共に、前記コントローラ18の処理プログラム及び処理時のデータ等を記憶するメモリ19が接続されている。
【0015】
図2は、携帯端末1における紙レシート発行希望の設定状態を示す模式図である。この携帯端末1における紙レシート発行希望の設定20は、IrDA決済のときに、紙レシートを発行するか否かが設定されている。この設定が可のときは、紙レシートを発行し、否のときは、電子化レシートを購入者の携帯端末1に送信する。
【0016】
図3は、IrDA決済のときの電子化レシートのメモリエリアを示す模式図である。この電子化レシート21の内容は、購入年月日・時刻、店コード、商品コード・点数、商品単価・合計金額等である。
【0017】
図4は、本発明における精算業務とレシートの発行有無の状態とを示すフローチャートである。
【0018】
このような構成において、販売店において商品を購入した購入者は、その精算時に、販売店側情報管理装置2を操作するオペレータにIrDA決済をするか否かを伝える(ステップS1)。オペレータにIrDA決済をするか否かを伝えるタイミングは、精算開始時でも良いし、小計後でも良い。IrDA決済でないときには(ステップS1のN)、その他の決済処理となる。例えば、現金による精算か、あるいは、カードによる精算(ステップS6)になる。これらの決済処理の後、購入年月日、商品コード、購入商品の点数、商品単価及びその合計金額等を印刷した紙によるレシートが発行され(ステップS7)、購入者に手渡しされることにより精算業務を終了する。一方、購入者によりIrDA決済のときは(ステップS1のY)、オペレータは、押し釦による決済選択手段16を押す(ステップS2)。この決済選択手段16は、一回の取引の締めを行う締めキーとしての機能をも有しているので、一人の購入者に対する購入の締めとなる。販売店側情報管理装置2のPOS端末の客面表示に、顧客の所有する携帯端末1を赤外線通信デバイス(IrDA)4にかざすように指示する旨の表示を行う(ステップS3)。この状態において、購入者は自分が所有する携帯端末1の赤外線通信デバイス(IrDA)3を販売店側情報管理装置2の赤外線通信デバイス(IrDA)4にかざす。これにより、通信手段5として成立している赤外線通信デバイス(IrDA)3、4の間で情報交換がなされるが、携帯端末1側では予め、紙レシート発行希望の設定20によりレシート発行を希望するか否かの情報が設定されており、販売店側情報管理装置2ではこの情報に従ってその後の動作を行う(ステップS4)。すなわち、IrDA決済においても紙によるレシート発行を希望する場合には(ステップS4のY)、金銭授受のみがIrDA決済され、レシートの発行は、紙に印刷された状態で発行され、精算業務を終了する。一方、IrDA決済において、紙によるレシート発行を希望しない場合には(ステップS4のN)、電子化レシート21が作成されて携帯端末1へデータが送信され、携帯端末1のメモリ9に記憶される(ステップS5)ことにより精算業務を終了する。
【0019】
このようにして実行されるIrDA決済は、近距離における1対1の交信であることからセキュリティが確保され、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の態様を示すもので、携帯端末と販売店側情報管理装置とのブロック図である。
【図2】携帯端末の紙レシート発行希望の設定を示す模式図である。
【図3】電子化レシートの模式図である。
【図4】精算業務とレシートの発行有無の状態とを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0021】
1 携帯端末、2 販売店側情報管理装置、3 赤外線通信デバイス(IrDA)、4 赤外線通信デバイス(IrDA)、5 通信手段、14 設定手段、15 POS端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
POS端末を備えた販売店側情報管理装置と携帯端末とにそれぞれ赤外線通信デバイス(IrDA)による通信手段を配設し、前記販売店側情報管理装置の前記POS端末に前記携帯端末によりIrDA決済を行うか否かの選択をするとともにIrDA決済を行うべき選択を行うと同時に締めキーとしての機能を備えた決済選択手段を設け、前記携帯端末にIrDA決済を行うか否かの設定を行う設定手段とを設けたことを特徴とする商品登録処理システム。
【請求項2】
前記携帯端末にはIrDA決済時にレシートを紙により発行するか電子化レシート処理をするかの選択をするレシート発行選択手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の商品登録処理システム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−140649(P2007−140649A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330133(P2005−330133)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】