説明

商品販売データ処理装置及び返品処理プログラム

【課題】商品返品時に必要であった返品伝票の起票を不要にしてコストの低減を図る。
【解決手段】返品登録を受付けた商品の返品データを処理した後、プリンタを駆動して返品データが処理された商品の明細を印字するとともに、返品登録を受付けた商品の買上レシートに関する情報を記録する第1の欄と、少なくとも返品登録を担当したユーザの上長承認を受ける第2の欄とを有した返品レシートを発行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、POS(Point Of Sales)端末、電子式キャッシュレジスタ等の商品販売データ処理装置及びこの装置の返品処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店において、商品の返品が発生すると、店員は、商品販売データ処理装置において返品登録を行う。この返品登録により、返品商品の品名や価格等の明細が印字された返品レシートが発行される。
【0003】
ただし、返品レシートからは、いつの商取引で売上げた商品の返品であるかを知ることはできない。そこで一般には、返品を受付けた店員が手書きの返品伝票を起票して、返品商品の買上レシートに関する情報などの必要情報を記述する。そして、この返品伝票に該当する返品レシートを添付して管理者に提出していた。また、管理者は、返品伝票に承認印を押して管理していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−098721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の小売店では、商品の返品が発生した場合に返品伝票を起票しなければならない。このため、返品伝票専用の伝票用紙が必要であり、コストがかかっている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、返品伝票の起票を不要にしてコストの低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、商品販売データ処理装置は、売上登録された商品の販売データを処理するとともにプリンタを駆動して商品の明細を印字した買上レシートを発行する。このものにおいて、返品受付手段と、返品処理手段と、返品レシート発行手段とを備える。返品受付手段は、商品の返品登録を受付ける。返品処理手段は、返品受付手段により返品登録を受付けた商品の返品データを処理する。返品レシート発行手段は、プリンタを駆動して返品処理手段により返品データが処理された商品の明細を印字するとともに返品登録を受付けた商品の前記買上レシートに関する情報を記録する第1の欄と、少なくとも返品登録を担当したユーザの上長承認を受ける第2の欄とを有した返品レシートを発行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】商品販売データ処理装置の一実施形態であるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態のPOS端末が有する返品理由テーブルの一例を示す図。
【図3】同実施形態のPOS端末が有する責任者別テーブルの一例を示す図。
【図4】同実施形態において、POS端末のCPUが返品処理プログラムに従って処理する手順を示す流れ図。
【図5】図4における返品レシート発行処理の手順を具体的に示す流れ図。
【図6】同実施形態において、POS端末から発行される客用返品レシートの一例を示す図。
【図7】同実施形態において、POS端末から発行される店控え用返品レシートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、返品伝票の起票を不要にしてコストの低減を図る商品販売データ処理装置の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態は、POS端末1に、上記商品販売データ処理装置としての機能を適用した場合である。
【0010】
図1は、POS端末1の要部構成を示すブロック図である。POS端末1は、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)11を搭載している。そしてこのCPU11に、アドレスバス,データバス等のバスライン12を介して、ROM(Read Only Memory)13及びRAM(Random Access Memory)14の主記憶部と、電子ジャーナルファイル15と、現在の日付及び時刻を計時する時計部16と、上位のストアコンピュータを接続するための通信インターフェース17と、スキャナを接続するためのスキャナインターフェース18と、キーボード31、オペレータ用ディスプレイ32、客用ディスプレイ33、プリンタ34等の各種入力機器デバイスを制御するコントローラ19,20,21及び22とを接続している。
【0011】
キーボード31は、販売点数,預り金額等の数値を置数するための置数キーの他、乗算キー、クリアキー、小計キー、締めキー、取消キー、返品キー、責任者キー等の種々のファンクションキーを配設したものである。締めキーは、1商取引の登録終了を宣言するためのキーである。返品キーは、返品モードを宣言するためのキーである。
【0012】
責任者キーは、POS端末1を操作する店員、いわゆるキャッシャが、サインオン,サインオフを宣言するためのキーである。店員は、初期状態にあるPOS端末1を使用する際、自らのID(責任者ID)を置数して責任者キーを操作する。この操作により、POS端末1はサインオンされて、操作可能となる。この操作可能な状態で、サインオン時と同じ責任者IDが置数されて責任者キーが入力されると、POS端末1は、サインオンが宣言されたものと判断し、初期状態に戻る。
【0013】
オペレータ用ディスプレイ32は、前記キャッシャに対して必要な情報を表示する。客用ディスプレイ33は、客に対して必要な情報を表示する。プリンタ34は、レシートを印字する。
【0014】
かかる構成のPOS端末1では、サインオン中に「登録」モードが選択されると、登録プログラムが起動する。登録プログラムが起動すると、CPU11が以下の手順で客との商取引に関わるデータを処理する。
【0015】
すなわちCPU11は、客が購入する商品を特定するための商品コードが入力されるのを待機する(アイドル状態)。キャッシャは、商取引対象である客が商品の購入を申し出ると、スキャナまたはキーボード31の入力デバイスを操作して、その商品に付された商品コードを入力する。
【0016】
商品コードの入力により1点目の商品が売上登録されると、CPU11は、そのコードによって特定される商品の品名,単価等の商品データを商品データベースから読出す。商品データベースは、例えば通信インターフェース17を介して接続されたストアコンピュータに備えられている。商品データを読み出したならば、CPU11は、単価に販売点数を乗じて販売金額を算出する。そして、商品コード,品名,単価,販売点数,販売金額を含む商品販売データをRAM14のトランザクションメモリに書き込む。また、品名,販売金額等をオペレータ用ディスプレイ32と客用ディスプレイ33とに表示させる。以後、商品コードの入力により2点目以降の商品が売上登録される毎に、CPU11は、1点目の商品の売上登録と同様の処理を繰り返す。
【0017】
キャッシャは、客が購入する商品の商品コードを全て入力し終えると、客から代金の支払いを受ける。そして、その支払い方法に応じた締めキーを操作して、登録締めを宣言する。締めキーが入力されると、CPU11は、その締めキーの種類によって識別される支払い方法に応じて締め処理を実行する。そして、支払い方法を示す締め種別データと支払い金額とを含む登録締めデータをトランザクションメモリに書き込む。
【0018】
締め処理が終了すると、CPU11は、トランザクションメモリに記録した商品販売データと登録締めデータとから、買上レシートの印字データを作成する。そして、この印字データをプリンタ34に出力して、買上レシートを発行する。買上レシートには、売上登録された各商品の品名,価格,合計点数,合計金額等の明細データの他、取引日時、レジ番号、取引番号(レシート番号)、責任者名等が印刷される。
【0019】
ここで、レジ番号は、各POS端末1を識別するためにPOS端末1毎に設定された固有の番号である。取引番号は、そのPOS端末1から発行されるレシート毎に発番される。通常、1営業日の最初の取引で発行されるレシートの取引番号が1番となり、以下、取引順に1番ずつ繰り上がる。したがって、各POS端末1で処理された商取引は全て、レジ番号と取引番号と取引日付とから特定することができる。
【0020】
買上レシートを発行後、CPU11は、トランザクションメモリのデータ(商品販売データ、登録締めデータ)を、通信インターフェース17を介してストアコンピュータに送信する。また、トランザクションメモリのデータを基に商取引データを作成し、電子ジャーナルファイル15に記録する。しかしてCPU11は、アイドル状態に戻り、次の客が購入する商品を特定するための商品コードが入力されるのを待機する。
【0021】
電子ジャーナルファイル15に記録される商取引データは、トランザクションメモリに登録された商品販売データおよび締めデータ以外に、取引番号、取引区分(売上登録,返品登録等)、レジ番号、取引日時、責任者番号、責任者名、小計金額、外税対象額、外税額、合計金額、内税額、合計点数等の各項目データを含む。
【0022】
また、当該POS端末1では、「登録」モードにおけるアイドル状態のときに、返品キーが入力されると、返品処理プログラムが起動する。返品処理プログラムは、前記登録プログラムと同様に、装置のプログラム記憶部であるROM13に記憶されている。返品プログラムが起動すると、CPU11は、図4の流れ図に示す手順の返品処理を実行する。
【0023】
なお、POS端末1は、上記返品処理を実行する上で必要な設定テーブルとして、図2に示す返品理由テーブル41と、図3に示す責任者別テーブル42とを、RAM14に記憶している。
【0024】
返品理由テーブル41は、一連のテーブル番号に対応して、返品理由、選択回数及び選択フラグSFを記憶する。このテーブル41の返品理由欄には、売価違い、レジミス、初期不良(期限切れ)等の返品に至った理由を示す項目がセットされている。選択回数は、対応する項目の返品理由が選択された回数をカウントする。選択フラグSFは、対応する項目の返品理由が選択されると“1”にセットされ、それ以外は“0”にリセットされている。
【0025】
責任者別テーブル42は、各キャッシャのうち返品登録が許容されているキャッシャの責任者IDに対応して、その責任者氏名と、責任者印のイメージデータと、サインオンフラグSOFとを記憶する。サインオンフラグSOFは、当該POS端末1において、対応する責任者IDで特定されるキャッシャのサインオン状態のとき“1”にセットされ、それ以外は“0”にリセットされている。
【0026】
返品処理が開始されると、CPU11は、返品可能であるか否かのチェックを行う(ST1)。例えばCPU11は、責任者別テーブル42を検索する。そして、いずれか1人のキャッシャのサインオンフラグSOFが“1”にセットされているか否かをチェックする。セットされている場合、返品登録が許容されているキャッシャによりサインオンされたPOS端末1で返品処理が開始されたので、返品可能と判断する。いずれのキャッシャのサインオンフラグも“1”にセットされていない場合には、返品登録が許容されていないキャッシャによりサインオンされているので、返品不能と判断する。
【0027】
返品不能な場合(ST1のNO)、CPU11は、オペレータ用ディスプレイ32に例えば返品不可のエラー画面を表示させて、返品処理を中止する。
【0028】
返品可能な場合(ST1のYES)、CPU11は、オペレータ用ディスプレイ32にレシート情報入力画面を表示させる(ST2:買上レシート情報受付手段)。レシート情報入力画面は、買上レシートに印字されているレジ番号と取引番号と取引日付の入力を促す。そこでキャッシャは、返品を申し出た客の買上レシートからレジ番号と取引番号と取引日付とを認識し、レシート情報入力画面にしたがってキー入力する。なお、例えば買上レシートがなかった場合などは、クリアキーを入力して、返品処理を中止させる。
【0029】
レシート情報入力画面を表示させた後、CPU11は、レシート情報(レジ番号と取引番号と取引日付)が入力されるか、クリアキーが入力されるのを待機する(ST3,4)。クリアキーが入力されると、今回の返品処理が終了する。
【0030】
キーボード31を介してレシート情報が入力されると、CPU11は、そのレシート情報をRAM14の一時メモリに格納する。そして、このレシート情報で電子ジャーナルファイル15を検索して(ST5)、入力されたレシート情報と同一のレジ番号、取引番号及び取引日付を含む商取引データの有無を判別する(ST6)。
【0031】
電子ジャーナルファイル15に該当する商取引データが存在しない場合、CPU11は、オペレータ用ディスプレイ32に例えば返品不可のエラー画面を表示させて、返品処理を中止する。
【0032】
電子ジャーナルファイル15に該当する商取引データが存在する場合、CPU11は、電子ジャーナルファイル15から当該商取引データを読み出して、前記一時メモリに格納する。そして、CPU11は、オペレータ用ディスプレイ32に返品商品入力画面を表示させる(ST7:返品受付手段)。返品商品入力画面は、返品商品の返品登録を促す。そこでキャッシャは、スキャナまたはキーボード31の入力デバイスを操作して、返品商品に付された商品コードを入力する。そして、全ての返品商品の商品コードを入力し終えたならば、締めキーを入力する。
【0033】
返品商品入力画面を表示させたCPU11は、商品コードが入力されるか、締めキーが入力されるのを待機する(ST8,9)。商品コードが入力された場合(ST8のYES)、CPU11は、一時メモリに格納した商取引データの中に、入力された商品コードを含む商品販売データが存在するか否かをチェックする(ST10)。存在しない場合(ST10のNO)、CPU11は、オペレータ用ディスプレイ32に例えば返品不可のエラー画面を表示させて、返品処理を中止する。
【0034】
商取引データに該当する商品販売データが存在する場合(ST10のYES)、CPU11は、返品登録処理を実行する(ST11:返品処理手段)。すなわち、当該商品販売データの販売点数及び販売金額にマイナス符号(−)を付して、商品コード,品名,単価,「−販売点数」,「−販売金額」を含む商品返品データを作成し、RAM14のトランザクションメモリに書き込む。また、品名,「−販売金額」等をオペレータ用ディスプレイ32と客用ディスプレイ33とに表示させる。
【0035】
しかる後、CPU11は、オペレータ用ディスプレイ32に返品理由入力画面を表示させる(ST12:返品理由受付手段)。返品理由入力手段は、商品返品理由の入力を促す。具体的には、返品理由テーブル41の返品理由欄にセットされている返品理由の各項目の中からいずれか1つの項目を選択可能とする。
【0036】
返品理由入力画面を表示させたCPU11は、いずれか1つの返品理由項目が選択されるのを待機する(ST13)。返品理由項目が選択されたならば(ST13のYES)、CPU11は、返品理由テーブル41の選択された返品理由項目に対応する選択回数を“1”だけ加算する。また、選択された返品理由項目に対応する選択フラグSFを“1”にセットし、他の選択フラグを全て“0”にリセットする(ST14)。しかる後、CPU11は、オペレータ用ディスプレイ32の画面を返品商品入力画面に戻す(ST7)。
【0037】
返品商品入力画面が表示された状態で、締めキーが入力されると(ST9のYES)、CPU11は、返品登録済か否かをチェックする(ST15)。返品登録済でない場合、トランザクションメモリに商品返品データが登録されていない。この場合(ST15のNO)、CPU11は、返品処理を終了する。すなわち、返品処理プログラムが停止する。
【0038】
トランザクションメモリに商品返品データが登録されている場合(ST15のYES)、CPU11は、図5に具体的に示す返品レシート発行処理に入る(ST16)。すなわちCPU11は、先ず、トランザクションメモリに登録されている商品返品データを基に、客用返品レシートの印字データを編集する。そして、この印字データをプリンタ34に出力して、例えば図6に示すレイアウトの客用返品レシート50を印字発行する(ST21)。図5に示すように、客用返品レシート50には、返品登録を行った日付51、レシート番号52、責任者番号及び責任者氏名53、返品商品の明細データ54、返品金額のデータ55等が印字されている。
【0039】
次に、CPU11は、同じくトランザクションメモリに登録されている商品返品データを基に、店控え用返品レシートの印字データを編集する。そして、この印字データをプリンタ34に出力して、レシート用紙に印字させる(ST22)。このときの印字内容は、図7の領域61に示すように、客用返品レシート50と同じ内容である。
【0040】
次に、CPU11は、予め設定されたフォーマットであるお客様署名欄の印字データをプリンタ34に出力して、レシート用紙に印字させる。これにより、レシート用紙には、図7の領域62に示すように、返品をした客が署名をするための欄が形成される。
【0041】
次に、CPU11は、返品理由テーブル41の返品理由欄にセットされている返品理由の各項目と、各項目にそれぞれ対応付けてチェックボックスとを配置した返品理由欄の印字データをプリンタ34に出力して、レシート用紙に印字させる。このとき、選択フラグSFが“1”にセットされている返品理由項目のチェックボックスには、チェックマークを印字させる(ST24)。これにより、レシート用紙には、図7の領域63に示すように、返品理由のリストと、選択された返品理由に対してチェックが付与されたチェックボックスとが表示される。
【0042】
次に、CPU11は、予め設定されたフォーマットであるお買上レシート情報欄の印字データをプリンタ34に出力して、レシート用紙に印字させる。このとき、お買上日、レジ番号及びレシート番号の各印字データには、それぞれ一時メモリに格納されている日付、レジ番号及びレシート番号を付与させる(ST25)。これにより、レシート用紙には、図7の領域64に示すように、返品レシートのお買上日とレジ番号とレシート番号とが印字される。
【0043】
次に、CPU11は、返品者の押印欄と商品受取者の押印欄と当該受取者の上長である店長の押印欄とを備えた承認欄の印字データをプリンタ34に出力する。このとき、商品受取者の押印欄には、責任者別テーブル42において、サインオンフラグSOFが“1”にセットされている責任者の責任者印イメージデータを追加する(ST26)。これにより、図7の領域65に示すように、返品者と商品受取者と店長の各押印欄が形成され、さらに商品受取者の欄には責任者印のイメージが印刷される。
【0044】
しかる後、CPU11は、プリンタ34にロングレシートのコマンドを送信して、図7に示すレイアウトの店控用返品レシートを発行する(ST27:返品レシート発行手段)。以上で、CPU11は、返品処理を終了する。すなわち、返品処理プログラムが停止する。
【0045】
このように本実施形態のPOS端末1においては、返品登録の実行により客用の返品レシート50と店控え用の返品レシート60とが発行される。そして、店控え用の返品レシート60には、返品商品の明細データ(領域61)の他、第1の欄としてのお買上レシート情報欄(領域64)、第2の欄としての承認欄(領域65)、第3の欄としての返品理由欄(領域63)、及び第4の欄としてのお客様署名欄(領域62)が印字される。
【0046】
ここで、上記お客様署名欄(領域62)、返品理由欄(領域63)、お買上レシート情報欄(領域64)、及び承認欄(領域65)は、従来の返品伝票で記述すべき事項である。したがって、店控え用返品レシート60を返品伝票の代わりに用いることができるので、返品伝票を起票する必要がなくなる。このため、返品伝票を不要にできるので、コストを低減できる。
【0047】
しかも、店控え用返品レシート60の返品理由欄には、返品理由入力画面から入力された返品理由項目に対してチェックが付与されて、選択された返品理由が識別可能となっている。また、お買上レシート情報欄には、レシート情報入力画面から入力された買上レシートの日付、レジ番号及びレシート番号が自動的に印刷される。さらに、承認欄における商品受取者の押印欄には、当該POS端末1においてサインオンしたキャッシャの責任者印イメージが印刷される。
【0048】
したがって、キャッシャは、返品理由欄、お買上レシート情報欄及び承認欄に対して何等記入する必要はなく、返品をした客に対してお客様署名欄に署名をもらうだけで返品伝票として有効な店控え用返品レシート60が完成するので、キャッシャの負担が軽減される。
【0049】
その上、従来は店控え用の返品レシートに起票した返品伝票を添付して管理しなければならなかったが、本実施形態によれば、1枚の店控え用返品レシート60を管理すればよいので、管理も容易である。
【0050】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば前記実施形態では、返品レシート発行処理のステップST21において、客用返品レシート50を発行したが、客用返品レシート50の発行を省略してもよい。また、同処理のステップST24における返品理由欄の印字処理において、選択フラグSFが“1”にセットされている返品理由項目のチェックボックスにチェックマークを付与したが、選択フラグSFが“1”にセットされている返品理由項目だけを印字するようにしてもよい。あるいは、返品理由項目のリストとそれに対応したチェックボックスだけを印字し、商品受取者(キャッシャ)が該当する返品理由項目にチェックを付与するようにしてもよい。この場合、図4のステップST12,13,14の処理を省略することができる。
【0051】
また、返品レシート発行処理のステップST25の処理において、お買上レシート情報欄にレシート情報入力画面から入力された買上レシート情報を印字したが、買上レシート情報の印字をせず、お買上レシート情報欄だけを印字し、買上レシート情報については、商品受取者(キャッシャ)が記入する運用であってもよい。このような運用は、電子ジャーナルファイル15を備えていないPOS端末または電子式キャッシュレジスタであって、買上レシートに印字されている内容から自店舗で販売された商品の返品かどうかをキャッシャが判断する場合に好ましい。
【0052】
さらに、返品レシート発行処理のステップST26の処理において、承認欄における商品受取者の欄に、サインオンしたキャッシャの責任者印イメージを印刷したが、この責任者印イメージの印刷を省略してもよい。この場合、責任者別テーブル42から責任者印のイメージデータを省略できる。
【0053】
なお、前記実施形態は、装置内部のプログラム記憶部であるROM13に発明の機能を実現させる返品処理プログラムが予め記録されているものとした。しかしこれに限らず、同様のプログラムがネットワークから装置にダウンロードされてもよい。あるいは、記録媒体に記録された同様のプログラムが、装置にインストールされてもよい。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0054】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1…POS端末、11…CPU、13…ROM、14…RAM、15…電子ジャーナルファイル、16…時計部、17…通信インターフェース、18…スキャナインターフェース、31…キーボード、32…オペレータ用ディスプレイ、33…客用ディスプレイ、34…プリンタ、41…返品理由テーブル、42…責任者別テーブル、50…客用返品レシート、60…店控え用返品レシート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
売上登録された商品の販売データを処理するとともにプリンタを駆動して前記商品の明細を印字した買上レシートを発行する商品販売データ処理装置において、
商品の返品登録を受付ける返品受付手段と、
この返品受付手段により返品登録を受付けた商品の返品データを処理する返品処理手段と、
前記プリンタを駆動して前記返品処理手段により返品データが処理された商品の明細を印字するとともに前記返品登録を受付けた商品の前記買上レシートに関する情報を記録する第1の欄と、少なくとも前記返品登録を担当したユーザの上長承認を受ける第2の欄とを有した返品レシートを発行する返品レシート発行手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記返品登録を受付けた商品の買上時のレシート情報を受付ける買上レシート情報受付手段、をさらに具備し、
前記返品レシートの前記第1の欄には、前記買上レシート情報受付手段により受付けた前記買上時のレシート情報が記録されることを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記返品レシートは、返品理由を記録する第3の欄、をさらに有したことを特徴とする請求項1または2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
返品理由の入力を受付ける返品理由受付手段、をさらに具備し、
前記返品レシートの前記第3の欄には、前記返品理由受付手段により受付けた前記返品理由が記録されることを特徴とする請求項3記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
前記返品レシートは、商品を返品する客が署名を行う第4の欄、をさらに有したことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
売上登録された商品の販売データを処理するとともにプリンタを駆動して前記商品の明細を印字した買上レシートを発行する商品販売データ処理装置に、
商品の返品登録を受付ける返品受付機能と、
この返品受付機能により返品登録を受付けた商品の返品データを処理する返品処理機能と、
前記プリンタを駆動して前記返品処理機能により返品データが処理された商品の明細を印字するとともに前記返品登録を受付けた商品の前記買上レシートに関する情報を記録する第1の欄と、少なくとも前記返品登録を担当したユーザの上長承認を受ける第2の欄とを有した返品レシートを発行する返品レシート発行機能と、
を実現させるための返品処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−37425(P2013−37425A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170900(P2011−170900)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】