説明

商品販売データ処理装置及び領収証発行制御プログラム

【課題】領収証の発行に関する店員側のミス防止と負担軽減を図る。
【解決手段】1取引の売上代金に対する支払金額を印紙税課税対象の代金支払い方法による金額と印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額とに区分する機能を設ける。そして、この機能により求められた印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が印紙税の課税額以上か否かを判断し、印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が印紙税課税額以上であると判断されたときのみ当該1取引の売上代金が受領金額として印字され発行される領収証に印紙貼付欄を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシート用紙等を用いて1取引の売上代金が受領金額として印字され印紙税の課税文書となり得る領収証を発行可能な電子式キャッシュレジスタ,POS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置及びこの商品販売データ処理装置として機能するコンピュータが読取り可能な領収証発行制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
レシート用紙等を用いて1取引の売上代金が受領金額として印字され印紙税の課税文書となり得る領収証を発行可能な電子式キャッシュレジスタ,POS端末等の商品販売データ処理装置は既に実用化されている。
【0003】
例えば、購入商品についてデータ通信を利用した外部決済が可能に形成されている商品販売データ処理装置において、取引商品データ以外に領収証である旨のタイトル、宛名欄、印紙貼付欄、販売日等の領収証データが印字された領収証兼用レシートを発行するようにしたものが知られている。このものにおいては、外部決済の場合には外部決済金額データが印字され、現金決済の場合は預かり金額,釣銭額等の現金決済金額データが印字される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、領収証に貼付される収入印紙(印紙)は、印紙税という税金である。印紙税は、印紙税法で定められた課税文書に課税される。領収証のように売上代金に対する金銭の受領金額が記載された文書は課税文書に該当する。ただし、現時点における我が国の税法では、受領金額が3万円未満の場合は非課税であり、印紙を貼付する必要はない。受領金額が3万円に達すると課税される。因みに、受領金額が3万円以上〜100万円以下の場合には200円の印紙を貼付する必要がある。
【0005】
一方、クレジットカードでの支払いは現金の授受を伴わない。このため、受領金額が3万円以上の領収証でも印紙税は賦課されず、印紙を貼付する必要はない。そこで、従来の店舗において、クレジットカードで代金を支払った顧客から領収証の発行を求められた場合には、領収証の空欄に“クレジットカード”等と明記することで、課税対象外であることがわかるようにしていた。
【特許文献1】特開2000−358577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の領収証発行機能を有した商品販売データ処理装置においては、代金の支払い方法に係らず領収証の発行が指令されると印紙貼付欄が設けられた領収証を印字発行していた。このため、アルバイトや新入りの店員のように会計業務に不慣れな場合、クレジットカードでの支払いであっても受領金額が3万円以上であったならば印紙を貼付してしまうということがあった。
【0007】
また、領収証の空欄に“クレジットカード”等と明記しなければならないため面倒である上、明記し忘れてしまったために課税文書なのか否かを区別できなくなる場合もあり、解決が望まれていた。
【0008】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、領収証の発行に関する店員側のミス防止及び負担軽減を図り得る商品販売データ処理装置を提供しようとするものである。
【0009】
また本発明は、商品販売データ処理装置として動作することが可能なコンピュータを、領収証の発行に関する店員側のミス防止及び負担軽減を図り得るものとして実現できる領収証発行制御プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の商品販売データ処理装置、例えば電子式キャッシュレジスタ,POS端末等は、商品販売に係る取引のデータ処理を実行し、1取引の売上代金が受領金額として印字され印紙税の課税文書となり得る領収証を発行可能なものにおいて、現金払い,クレジットカード支払い等の代金支払方法毎に印紙税の課税対象か否かを識別する情報を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された情報に基づいて1取引の売上代金に対する支払金額を印紙税課税対象の代金支払い方法による金額と印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額とに区分する演算手段と、この演算手段により求められた印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が印紙税の課税額以上か否かを判断する判断手段と、この判断手段により印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が印紙税課税額以上であると判断されたときのみ当該1取引の売上代金が受領金額として印字され発行される領収証に印紙貼付欄を形成する制御手段とを備えたものである。
【0011】
本発明の領収証発行制御プログラムは、商品販売に係る取引のデータ処理を実行し、1取引の売上代金が受領金額として印字され印紙税の課税文書となり得る領収証を発行可能な商品販売データ処理装置として動作することが可能なコンピュータに、1取引の売上代金に対する支払金額を印紙税課税対象の代金支払い方法による金額と印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額とに区分する演算機能と、この演算機能により求められた印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が印紙税の課税額以上か否かを判断する判断機能と、この判断機能により印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が印紙税課税額以上であると判断されたときのみ当該1取引の売上代金が受領金額として印字され発行される領収証に印紙貼付欄を形成する制御機能とを実現させるものである。
【発明の効果】
【0012】
かかる手段を講じた本発明によれば、領収証の発行に関する店員側のミス防止及び負担軽減を図ることができる商品販売データ処理装置を提供できる。
【0013】
また本発明によれば、商品販売データ処理装置として動作することが可能なコンピュータを、領収証の発行に関する店員側のミス防止及び負担軽減を図り得るものとして実現できる領収証発行制御プログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、現金払い,クレジットカード払い及び商品券払いの3種類の代金支払い方法に対応し、レシート用紙を用いて1取引の売上代金が受領金額として印字され印紙税の課税文書となり得る領収証を発行可能なPOS端末に本発明を適用した場合である。因みに、代金はいずれか1つの方法で支払ってもよいし、複数の方法を組合せて支払ってもよい。
【0015】
図1は本実施の形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図である。このPOS端末は、コンピュータを主体に構成している。すなわち、その中枢部として各種のデータ処理を行うためのCPU(Central Processing Unit)1と、データや命令等を記憶するためのROM(Read Only Memory)2及びRAM(Random Access Memory)3と、各種データファイルを保存するためのHDD(Hard Disk Drive)装置4とが搭載されている。
【0016】
また、現在の日付及び時刻を計時するICチップからなる時計部5、ストアコンピュータ等の外部機器とネットワークを通じて行うデータ通信を司る通信インターフェイス6、スキャナが電気的に接続されるスキャナインターフェイス7、モードスイッチ8からの信号入力と、ドロワ9への開放指令信号出力を行うI/O(Input/Output)ポート10、キーボード11から操作キーに対応したキー信号を取り込むキーボードコントローラ12、オペレータ用表示器13に対するデータ表示を制御する第1の表示コントローラ14、客用表示器15に対するデータ表示を制御する第2の表示コントローラ16、レシート・ジャーナルプリンタ17によるレシート印字及びジャーナル印字を制御するプリンタコントローラ18、カードリーダ19によるクレジットカード等のカードデータの読取りを制御するカードリーダコントローラ20等が搭載されている。CPU1と、ROM2,RAM3,HDD装置4,時計部5及びI/Oポート10と、各インターフェイス6,7と、各コントローラ12,14,16,18,20とは、アドレスバス,データバス等のバスライン21で接続されている。
【0017】
モードスイッチ8は、当該POS端末において実行可能な「登録」,「点検」,「精算」,「設定」等の各種業務モードのなかからCPU1に実行させる業務モードを選択し、その実行をCPU1に通知するためのスイッチである。因みに「登録」とは、客が買上げる商品のデータ入力を受付け、そのデータが入力されると、そのデータを基に客が買上げる商品の販売データを処理し、売上データをメモリに登録する業務である。「点検」とは、「登録」業務の実行によりメモリに登録された売上データを集計したデータを印字または表示出力する業務である。「精算」とは、「点検」業務と同様に売上データの集計データを出力した後、売上データをメモリからクリアする業務である。「設定」とは、各種業務を実行する上で必要なデータを予めメモリに設定する業務である。
【0018】
キーボード11には、図2に示すように、「00」及び「0」〜「9」の数値データを置数するための置数キー31の他、「C」のクリアキー32、「×」の乗算キー33、小計キー34、現計キー35、クレジットキー36、商品券キー37、領収証キー38等の各種ファンクションキーが配設されている。現計キー35は、現金による代金支払金額を入力するためのキーである。クレジットキー36は、クレジットカードによる代金支払金額を入力するためのキーである。商品券キー37は、商品券による代金支払金額を入力するためのキーである。領収証キー38は、1取引の売上代金が受領金額として印字される領収証の発行を宣言するためのキーである。
【0019】
かかる構成のPOS端末においては、ROM2には、モードスイッチ8により選択された業務モードの処理をCPU1に実行させるためのプログラムデータが予め格納されている。RAM3には、各種業務モードの実行において入力されるデータや演算処理されるデータを一時的に記憶するための各種メモリエリアが形成されている。HDD装置4には、各商品の品名,単価等がプリセットされた商品データファイルや、各商品の売上点数,売上金額等の売上データを蓄積する売上データファイル等が保存されている。
【0020】
そして本実施の形態では、現金払い,クレジットカード払い,商品券払いなどの代金支払い方法を識別する締め区分別に、その締め区分によって特定される代金支払い方法で支払われたときの領収証が印紙税の課税対象か否かを識別する情報を予め設定記憶してなる記憶手段として、締め区分テーブル41がHDD装置4に保存されている。締め区分テーブル41の一例を図3に示す。この例では、締め区分「01」が現金払いに対応しており、締め区分「02」がクレジットカード払いに対応しており、締め区分「03」が商品券払いに対応している。したがって、締め区分「01」及び「03」に対しては、領収証が印紙税の課税対象であることを示す情報「対象」が設定されており、締め区分「02」に対しては、領収証が印紙税の課税対象外であることを示す情報「対象外」が設定されている。
【0021】
またRAM3には、特に図4に示すように、最新の1商取引に関する情報を記憶するための取引メモリ51と、領収証の発行制御の際に使用される金額メモリ52とが形成されている。取引メモリ51には、取引日付,取引時刻,取引番号,取引商品データ,取引合計点数,取引合計金額及び締め区分別の支払金額が記憶される。金額メモリ52には、領収証金額,印紙対象金額及び印紙対象外金額が記憶される。
【0022】
かかる構成のPOS端末が設置された店舗の会計(レジ)では、客が買上商品の精算を申し出ると、会計担当者であるキャッシャは、「登録」モードが選択されているPOS端末のキーボード11またはスキャナを操作して、その客が購入する商品の商品コード,販売点数等の商品データを入力する。そうすると、この商品の商品コード,商品名,単価,販売点数,販売金額等の取引商品データが取引メモリ51に格納される。なお、取引メモリ51は、当該客の1点目の商品データ入力に応じてクリアされる。そしてクリア後、時計部5から読み出した現在日付と現在時刻のデータがそれぞれ取引日付及び取引時刻のデータとして取引メモリ51に格納される。また、新規の取引番号が発番され、取引メモリ51に格納される。
【0023】
当該客が購入する全ての商品の商品データを入力し終えたならば、キャッシャは、小計キー34を押下する。そうすると、当該客が購入する全ての商品の購入点数及び合計金額が取引合計点数及び取引合計金額として取引メモリ51に格納される。また、オペレータ用表示器13及び客用表示器15に取引合計金額が表示されるので、キャッシャは、客にこの合計金額の支払いを求める。
【0024】
ここで、客が一部をクレジットカードで支払い、残りを現金で支払った場合には、キャッシャは、先ず、クレジットカードのカードデータをカードリーダ16で読取らせるとともに、クレジットカードによる支払い金額(<取引合計金額)を置数し、クレジットキー36を押下する。そうすると、このクレジットカードの信用照会が外部機器に対して行われる。そして、外部機器から承認応答があると、プリンタ17が駆動して店控え用と客控え用のクレジット伝票が印字発行される。また、クレジットカード払いを示す締め区分[02]とクレジットカードによる支払金額が取引メモリ51に格納される。さらに、取引合計金額とクレジットカードによる支払い金額との差額が残高としてオペレータ用表示器13及び客用表示器15に表示される。
【0025】
次に、キャッシャは預り金額を置数し、現計キー35を押下する。そうすると、預り金額が残高と比較される。そして、預かり金額が残高以上であれば取引が確定するので、預り金額と残高との差額が釣銭額としてオペレータ用表示器13及び客用表示器15に表示される。また、プリンタ17が駆動して買上レシートが印字発行されるとともに、ドロワ9が開放する。さらに、現金払いを示す締め区分[01]と現金による支払金額(残高)が取引メモリ51に格納される。
【0026】
そこでキャッシャは、クレジットカードを客に返すとともに店控え用のクレジット伝票に客のサインをもらい、客控え用のクレジット伝票を客に渡す。また、ドロワ9から釣銭額に相当する現金を揃え、買上レシートとともに客に渡す。
【0027】
ここで、客が領収証の発行を求めたとする。この場合、キャッシャは、領収証キー38を押下する。そうすると、CPU1が図5の流れ図に示す領収証発行処理を実行する。この処理は、ROM2またはHDD装置4に記憶された領収証発行制御プログラムにより実現される。
【0028】
すなわちCPU1は、この処理を開始すると、先ず、ST(ステップ)1としてHDD装置4から領収証データを読み込む。領収証データには、領収証のフォーマットデータであり、領収証である旨のタイトルの他、宛名欄、金額欄、名目欄、日付欄、印紙貼付欄等が含まれる。また、ST2として取引メモリ51から取引データを読み込む。取引データには、取引メモリ51に格納されている取引日付,取引時刻,取引番号,取引商品データ,取引合計点数,取引合計金額及び締め区分別の支払金額等が含まれる。なお、先に取引データを読み込み、後から領収証データを読み込んでもよい。
【0029】
次に、CPU1は、ST3として取引データから締め区分を取得する。そして、ST4として締め区分テーブル41を参照して、取得した締め区分が収入印紙対象か否かを判断する。ここで、収入印紙対象の場合、つまり当該締め区分に対応する情報が「対象」の場合には、ST5として取引データから当該締め区分で識別される支払い方法の支払金額を取得し、金額メモリ52の印紙対象金額欄に加算する。これに対し、収入印紙対象外の場合、つまり当該締め区分に対応する情報が「対象外」の場合には、ST6として同様の支払金額を金額メモリ52の印紙対象外金額欄に加算する。しかる後、ST7として同様の支払金額を金額メモリ52の領収証金額欄に加算する。なお、金額メモリ52は、この領収証発行処理の開始時またはその前に“0”にクリアされている。
【0030】
次に、CPU1は、ST8として取引データに他の締め区分が存在するか否かを判断する。そして、他の締め区分が存在する場合には、ST3の処理に戻る。すなわち、その締め区分を取得し、印紙対象であれば支払金額を印紙対象金額欄に加算し、印紙対象外であれば支払金額を印紙対象外金額欄に加算する。また、同支払金額を領収証金額欄に加算する。ここに、CPU1は、ST4,5,6の各処理により、1取引の売上代金に対する支払金額を印紙税課税対象の代金支払い方法による金額と印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額とに区分する演算手段を構成している。
【0031】
かくして、取引データに含まれる全ての締め区分について上記処理を実行し、1取引の売上代金に対する支払金額を印紙税課税対象の代金支払い方法による金額、いわゆる印紙対象金額と印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額、いわゆる印紙対象外金額とに区分したならば、次にCPU1は、ST9として領収証データと取引データとに基づいて領収証印字データを編集する。そして、領収証印字データの金額欄に、金額メモリ52に記憶された領収証金額の印字データをセットする。
【0032】
次に、CPU1は、ST10として金額メモリ52に記憶された印紙対象金額が課税対象下限額A以上か否かを判断する。なお、課税対象下限額Aは、印紙税が賦課される領収証の最低受領金額であり、我が国の現行の税制度では3万円に設定されている。すなわちCPU1は、ST10の処理により、前記演算手段(ST4,5,6)により求められた印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が印紙税の課税額か否かを判断する判断手段を構成している。
【0033】
ST10にて印紙対象金額が課税対象下限額A以上の場合には、CPU1は、ST11として領収証印字データに印紙貼付欄を追加する。これに対し、印紙対象金額が課税対象下限額A未満の場合には、CPU1は、ST12として領収証印字データから印紙貼付欄を省略する。ここに、CPU1は、ST11,12の処理により、前記判断手段(ST10)により印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が印紙税課税額であると判断されたときのみ当該1取引の売上代金が受領金額として印字され発行される領収証に印紙貼付欄を形成する制御手段を構成する。
【0034】
次に、CPU1は、ST13として金額メモリ52内の印紙対象外金額が“0”より大きい金額か否かを判断する。そして、“0”より大きい金額の場合には、ST14としてこの印紙対象外金額が領収証金額内に含まれていることを示す印字データを編集し、領収証印字データに追加する。ここに、CPU1は、ST13,14の処理により、前記演算手段により求められた印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額を、受領金額に含まれる金額として領収証に受領金額とともに印字する対象外金額印字手段を構成する。
【0035】
しかる後、CPU1は、ST14として領収証印字データをプリンタ17に出力して、レシート用紙及びジャーナル用紙に印字させる。以上で、この領収証発行制御プログラムによる処理を終了する。
【0036】
本実施の形態のPOS端末により発行される領収証の印字パターン例を図6及び図7に示す。図6は合計金額52,500円の商取引に対して20,000円をクレジットカードで支払い、残りの32,500円を現金で支払った場合であり、図7は同合計金額52,500円の商取引に対して30,000円をクレジットカードで支払い、残りの22,500円を現金で支払った場合である。
【0037】
図6及び図7において、符号61は領収証タイトルであり、符号62は宛名欄であり、符号63は金額欄であり、符号64は名目欄であり、符号65は日付欄であり、符号66は印紙貼付欄である。各欄61〜66は、レシート用紙に対して横向きに印字されている。また、符号67は購入明細欄であって、購入日付,レジ番号,購入商品の商品コード,品名及び販売金額,小計額,外税額,合計金額,取引番号,購入点数,取引時刻等が印字されている。購入明細欄67は、レシート用紙に対して縦向きに印字されている。
【0038】
図6の場合は、領収証金額52,500円に対して印紙対象金額が現金払いの金額32,500円であり、印紙対象外金額がクレジットカード払いの金額20,000円であるので、印紙対象金額が3万円以上となるため印紙貼付欄66が追加されている。
【0039】
図7の場合は、領収証金額52,500円に対して印紙対象金額が現金払いの金額22,500円であり、印紙対象外金額がクレジットカード払いの金額30,000円であるので、印紙対象金額が3万円未満となるため印紙貼付欄66が省略されている。したがって店員は、図6に示す領収証に対しては印紙を添付し、図7に示す領収証に対しては、たとえ領収証金額(受領金額)が3万円以上であっても印紙を添付しないようにする。すなわち、印紙貼付欄66が存在する場合には印紙を添付し、存在しない場合には印紙を添付しない運用となるので、アルバイトや初心者の店員でも印紙を添付するべきか否かを惑うことが無く、ミスを防止することができる。
【0040】
また、図6及び図7に示すように、領収証の金額欄63の近傍には、当該金額欄63に印字されている領収証金額のうち印紙対象外の金額がいくら含まれているのかを示す印字が成されている。例えば図6の場合は、クレジットカード払いの20,000円が印紙対象外の金額であることを示す情報(内印紙対象外 20000円)が印字されている。同様に、図7の場合は、クレジットカード払いの30,000円が印紙対象外の金額であることを示す情報(内印紙対象外 30000円)が印字されている。
【0041】
したがって、特に図7の場合、領収証金額が30,000円以上であっても印紙を添付しなくてよいが、その理由として領収証金額52,500円の中には印紙対象外のクレジットカード払いが30000円ほど含まれていることが明確となるので、印紙の貼り忘れでないことを容易に確認できる。すなわち従来は、店員が領収証の空欄に“クレジットカード”等と明記していたが、本実施の形態によれば明記する必要がなくなったので、店員の負担を軽減することができる。
【0042】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0043】
例えば前記実施の形態では、印紙税課税対象の支払い方法として現金払いと商品券払いを示し、印紙税課税対象外の支払い方法としてクレジットカード払いを示したが、他の支払い方法を処理できる電子式キャッシュレジスタやPOS端末等に本発明を同様に適用できるのは言うまでもないことである。
【0044】
また、印紙税課税対象外の支払い方法としてクレジットカード払いしか存在し得ない場合には、対象外金額印字手段の印字レイアウトとして、例えば(内クレジットXXXXX円)というように、クレジットカード払いであることを明確にしてもよい。
【0045】
また、領収証の印字フォーマットは前記実施の形態のものに限定されるものではない。例えば前記実施の形態では、レシート用紙に対して横向きに印字された領収証を発行する場合を示したが、レシート用紙に対して縦向きに印字された領収証を発行するものであってもよい。また、購入明細欄67を有さないものであってもよい。
【0046】
また、前記実施の形態ではROM2またはHDD装置4に発明を実施するプログラムが予め記録されているものとして説明をしたが、これに限らず同様のプログラムをネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0047】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態であるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同POS端末のキーボードに配置される主要なキー構成を示す模式図。
【図3】同POS端末において記憶される締め区分テーブルのデータ構造を示す模式図。
【図4】同POS端末のRAMに形成される主要なメモリエリアを示す模式図。
【図5】同POS端末のCPUが実行する領収証発行制御処理の要部手順を示す流れ図。
【図6】同POS端末において印字発行される印紙貼付欄付領収証の一例を示す模式図。
【図7】同POS端末において印字発行される印紙貼付欄省略タイプの領収証の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0049】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…HDD装置、5…時計部、11…キーボード、17…レシート・ジャーナルプリンタ、19…カードリーダ、35…現計キー、36…クレジットキー、37…商品券キー、38…領収証キー、41…締め区分テーブル、51…取引メモリ、52…金額メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品販売に係る取引のデータ処理を実行し、1取引の売上代金が受領金額として印字され印紙税の課税文書となり得る領収証を発行可能な商品販売データ処理装置において、
現金払い,クレジットカード支払い等の代金支払方法毎に印紙税の課税対象か否かを識別する情報を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された情報に基づいて前記1取引の売上代金に対する支払金額を前記印紙税課税対象の代金支払い方法による金額と前記印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額とに区分する演算手段と、
この演算手段により求められた前記印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が前記印紙税の課税額か否かを判断する判断手段と、
この判断手段により前記印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が前記印紙税課税額であると判断されたときのみ当該1取引の売上代金が受領金額として印字され発行される領収証に印紙貼付欄を形成する制御手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記演算手段により求められた前記印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額を、前記受領金額に含まれる金額として前記領収証に前記受領金額とともに印字する対象外金額印字手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
商品販売に係る取引のデータ処理を実行し、1取引の売上代金が受領金額として印字され印紙税の課税文書となり得る領収証を発行可能な商品販売データ処理装置として動作することが可能なコンピュータに、
前記1取引の売上代金に対する支払金額を前記印紙税課税対象の代金支払い方法による金額と前記印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額とに区分する演算機能と、
この演算機能により求められた前記印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が前記印紙税の課税額以上か否かを判断する判断機能と、
この判断機能により前記印紙税課税対象の代金支払い方法による金額が前記印紙税課税額以上であると判断されたときのみ当該1取引の売上代金が受領金額として印字され発行される領収証に印紙貼付欄を形成する制御機能と、
を実現させるための領収証発行制御プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、さらに、
前記演算機能により求められた前記印紙税課税対象外の代金支払い方法による金額を、前記受領金額に含まれる金額として前記領収証に前記受領金額とともに印字する対象外金額印字機能を実現させるための請求項3記載の領収証発行制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−249391(P2007−249391A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69436(P2006−69436)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】