説明

商品販売データ処理装置

【課題】釣銭が出金された後で顧客から追加の預り金を渡された場合でも、貨幣の取り扱いが煩雑になることなく再計算された釣銭を貨幣入出金装置から出金できるようにする。
【解決手段】釣銭が出金された商取引に対する釣銭再計算を指示する釣再計算キーを設ける。そして、釣銭が出金された商取引に対して釣再計算キーの操作により釣銭再計算が指示された後、貨幣入出金装置に貨幣が入金されると、その入金額に相当する貨幣を貨幣入出金装置から出金させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣の入金及び出金が可能な貨幣入出金装置を接続し、この貨幣入出金装置から商取引の釣銭を出金させるPOS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、POS端末に貨幣入出金装置を接続し、このPOS端末で商品販売データが処理された商取引の釣銭を貨幣入出金装置から自動的に出金させるようにした決済システムが開発され、スーパーマーケット等で既に実用化されている。そして、この種の決済システムで使用される貨幣入出金装置には、貨幣投入部に投入された貨幣を選別して金種別に格納庫に収容する機能、及び、POS端末から与えられる釣銭額データに相当する貨幣を格納庫から抽出して貨幣排出部に排出させる機能以外に、貨幣投入部にまとめて投入された貨幣を勘定し、この勘定された投入金額データをPOS端末に与える機能を有したタイプがある。この種の貨幣入出金装置を用いた場合、POS端末は貨幣入出金装置から取り込んだ投入金額データを預り金額とし、この預り金額と当該商取引の請求金額とから釣銭額を算出して、釣銭額が0より大きい、つまり釣銭が必要なときには、その釣銭額データを貨幣入出金装置に与えるように制御する。したがって、キャッシャは顧客が買上商品の代金に対して支払った貨幣を貨幣入出金装置の貨幣投入部に投入するだけでよく、顧客から預った貨幣を勘定してその預り金額をPOS端末に置数入力する手間が不要となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、顧客との商取引の中では、キャッシャが貨幣入出金装置から出金された釣銭を顧客に渡す直前に、その顧客から追加の預り金を渡される場合がある。例えば、請求金額が915円の商取引に対して顧客から1000円を預り、貨幣入出金装置に入金して釣銭85円が出金された後に、この顧客から端数分の15円を渡される場合である。
【0004】
この場合、顧客は100円硬貨1枚の釣銭を期待している。しかし、現在稼動しているこの種の決済システムにおいては、1回の商取引に対して貨幣入出金装置から釣銭を再度出金させることは不可能であった。このためキャッシャは、別途用意されている釣銭準備金から100円硬貨を取り出して顧客に渡さなければならなかった。また、貨幣入出金装置から出金された85円と顧客から受け取った15円は、貨幣入出金装置に入金することができないので、別途管理しなければならなかった。このため、貨幣の取り扱いが煩雑になるという問題があった。
【0005】
なお、本願出願人は、1商取引の釣銭額に相当する貨幣を貨幣入出金装置から出金させた後に、釣銭の再計算を指令するキーが操作されるとともに追加の預り金額が置数入力されると、当該1商取引の釣銭額に追加の預り金額を加算して再計算後の釣銭額とし、この再計算後の釣銭額に相当する貨幣を貨幣入出金装置から再度出金させるようにした商品販売データ処理装置を提案済である(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特許第3308244号公報
【特許文献2】特開平8−171676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、預り金額の置数が不要な貨幣入出金装置を用いた従来の商品販売データ処理装置においては、1回の商取引に対して貨幣入出金装置から釣銭を再度出金させることができなかったので、釣銭が出金された後で顧客から例えば請求金額の端数分が再度提示された場合に貨幣の取り扱いが煩雑になるという課題があった。このような課題は、追加の預り金額を置数入力することで釣銭の再計算が可能な本願出願人提案の従来技術でも解決することはできないものである。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、貨幣入出金装置から釣銭が出金された後で顧客から追加の預り金を渡された場合でも、貨幣の取り扱いが煩雑になることなく再計算された釣銭を貨幣入出金装置から出金させることができる商品販売データ処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、顧客との商取引で売買された商品の販売データを処理して当該商取引の請求金額を算出し出力する商品販売データ処理装置、例えばPOS端末において、貨幣入出金装置を通信可能に接続する接続手段、貨幣入出金装置に入金された預り金額と商取引の請求金額とから釣銭額を算出する釣銭計算手段、及びこの釣銭計算手段により算出された釣銭額に相当する貨幣を貨幣入出金装置から出金させる釣銭出金制御手段を備えるとともに、この釣銭出金制御手段により釣銭が出金された商取引に対する釣銭再計算を指示する釣銭再計算指示手段と、この釣銭再計算指示手段により釣銭再計算が指示された後、貨幣入出金装置に貨幣が入金されると、その入金額に相当する貨幣を貨幣入出金装置から出金させる再釣銭出金制御手段を備えたものである。
【0009】
かかる手段を講じた本発明においては、貨幣入出金装置から釣銭が出金された後で顧客から追加の預り金を渡された場合に、キャッシャは釣銭再計算指示手段により釣銭再計算を指示した後、払出された釣銭と追加の預り金とをまとめて貨幣入出金装置に入金する。そうすると、その入金額に相当する貨幣が貨幣入出金装置から出金されるので、キャッシャは、この出金された貨幣を釣銭として顧客に渡す。したがって、別途用意されている釣銭準備金から釣銭に必要な貨幣を揃える必要はない。また、貨幣入出金装置から釣銭再計算前に出金された釣銭額相当の貨幣と顧客から追加の預り金として預った貨幣はいずれも貨幣入出金装置に入金される。したがって、これらの貨幣を別途管理する必要もない。
【発明の効果】
【0010】
したがって本発明によれば、貨幣入出金装置から釣銭が出金された後で顧客から追加の預り金を渡された場合でも、貨幣の取り扱いが煩雑になることなく再計算された釣銭を貨幣入出金装置から出金させることができ、会計業務の作業性を向上できる商品販売データ処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良な形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は本実施の形態の決済システムを示す斜視図であり、この決済システムは、POS端末1と貨幣入出金装置2とからなる。貨幣入出金装置2は、紙幣の入金及び出金を行う紙幣釣銭機3と、硬貨の入金及び出金を行う硬貨釣銭機4とから構成されている。POS端末1と紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4とは、インターフェイスを介して相互通信可能に接続されている。
【0013】
紙幣釣銭機3は、紙幣投入部31に投入された紙幣を一括して取込み選別して金種別に紙幣収納庫(不図示)に収納する入金機能と、POS端末1からの釣銭払出指令に応じて必要な紙幣を紙幣収納庫から抽出し紙幣排出部32に排出する出金機能とを有している。また、選別できなかった紙幣を紙幣排出部32から排出して表示部33から警告を発するリジェクト機能も有している。
【0014】
硬貨釣銭機4は、硬貨投入部41に投入された硬貨を一括して取込み選別して金種別に硬貨収納庫(不図示)に収納する入金機能と、POS端末1からの釣銭払出指令に応じて必要な硬貨を硬貨収納庫から抽出し硬貨排出部42に排出する出金機能とを有している。また、選別できなかった硬貨を硬貨排出部42から排出して表示部43から警告を発するリジェクト機能も有している。
【0015】
POS端末1は、本発明に関わる商品販売データ処理装置の一態様であり、本体10にキーボード11,オペレータ用ディスプレイ12,客用ディスプレイ13,レシートプリンタ14等の入出力デバイスを実装してなるデータ処理端末である。POS端末本体10の要部構成を図2のブロック図で示す。
【0016】
図示するように、POS端末本体10は、主制御部を構成するCPU(Central Processing Unit)51、プログラムなどの固定的データが予め格納されたROM(Read Only Memory)52、商品販売データの処理に必要な種々のメモリエリアが形成されるRAM(Random Access Memory)53、ジャーナルデータを電子的に蓄積保存する電子ジャーナルファイル54、現在の日付及び時刻を計時する時計部55、有線または無線の通信回線を介して接続される上位のストアコンピュータとの間で行うデータ通信を制御する通信コントローラ56、バーコード等を読み取るためのスキャナが接続されるスキャナインターフェイス57の他、前記キーボード11のキー入力を制御するキーボードコントローラ58、前記オペレータ用ディスプレイ12の画面表示を制御する第1の表示コントローラ59、前記客用ディスプレイ13の画面表示を制御する第2の表示コントローラ60、前記レシートプリンタ14のレシート印字及びレシート発行動作を制御するプリンタコントローラ61、前記紙幣釣銭機3と硬貨釣銭機4をそれぞれ通信可能に接続する接続手段としての釣銭機インターフェイス62等で構成されている。
【0017】
CPU51と、ROM52,RAM53,電子ジャーナルファイル54,時計部55,通信コントローラ56,スキャナインターフェイス57,釣銭機インターフェイス62及び各種入出力デバイス11〜14のコントローラ58〜61とは、アドレスバス,データバス等のバスライン63で接続されている。
【0018】
前記キーボード11には、図3に示すように、数値データを置数入力するための置数キー71の他、乗算キー72,クリアキー73,小計キー74,預/現計キー75,取消キー76,入金確認キー77,確定キー78,釣再計算キー79等の各種ファンクションキーが配設されている。預/現計キー75は、1商取引の締めを宣言するキーである。入金確認キー77は、1商取引の請求金額に対して顧客から支払われた預り金である貨幣が貨幣入出金装置2、つまりは紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4の少なくとも一方に入金されることを指示するキーであり、確定キー78は、上記預り金である貨幣が紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4の少なくとも一方に入金されたことを指示するキーである。釣再計算キー79は、釣銭が出金された商取引の釣銭再計算を指示する釣銭再計算指示手段としてのキーである。
【0019】
RAM53には、特に図4に示すように、取引日付エリア,取引番号エリア,取引時刻エリア,キャッシャ名エリア,複数の買上商品明細データエリア,預り投入金額エリア,手入力金額エリア,預り合計金額エリア,請求金額エリア及び釣銭額エリアを有した取引処理メモリ80が形成されている。
【0020】
しかしてCPU51は、1顧客との商取引に対して図5の流れ図に示す手順で各部を制御するものとなっている。先ず、CPU51は、ST(ステップ)1として顧客との商取引で売買される商品が登録されるのを待機する。ここで、例えばスキャナインターフェイス57に接続されたスキャナで商品に付されたバーコード(商品コード)が読み取られると商品登録有りと判断する。そしてCPU51は、ST2として登録中フラグを参照して1商取引の商品登録中か否かを判断する。当初は登録中フラグが“0”にリセットされており商品登録中でないので、CPU51は、ST3として取引処理メモリ80の各エリアを初期化する。このとき、取引日付エリアと取引時刻エリアには時計部55で計時されている現在の日付及び時刻をセットする。取引番号エリアには最新の取引番号をセットする。キャッシャ名エリアにはサインオンしたキャッシャの氏名をセットする。その他のエリアは、全て“0”にクリアする。
【0021】
次に、CPU51は、ST4として登録中フラグを“1”にセットした後、ST5として商品販売データ処理を行う。すなわち、入力された商品コードで予め用意された商品データファイルを検索して、当該商品コードに対応してプリセットされている単価,商品名等を呼び出す。そして、単価に販売点数(直前に置数キー71と乗算キー72とにより乗数が入力されている場合はその乗数,乗数が入力されていない場合は1)を乗算して販売金額を算出したならば、商品コード,品名,単価,販売点数,販売金額等の項目データを買上商品明細データとして取引処理メモリ80に格納する。また、品名,単価,販売点数,販売金額等をオペレータ用ディスプレイ12及び客用ディスプレイ13に表示させる。
【0022】
その後、CPU51は、ST6として入金確認キー77が操作されたか否かを判断する。ここで、入金確認キー77が操作されていない場合にはST1に戻り、次の商品登録を待機する。そして、次の商品登録が行われた場合には、既に登録中フラグがセットされているので、CPU51は、即座にST5の商品販売データ処理を実行する。
【0023】
ST6にてキーボードコントローラ58への入力信号により入金確認キー77が操作されたことを検知した場合には、CPU51は、ST7としてオペレータ用ディスプレイ12及び客用ディスプレイ13に図7に示すレイアウトの入金確認画面90を表示させる。そして、取引処理メモリ80に記憶されている買上商品明細データに基づいて当該1商取引の請求金額を算出したならば、この請求金額を入金確認画面90の請求金額エリア91に表示させる。また、ST8として釣銭機インターフェイス62を介して紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4に入金準備指令のコマンドを送信して、貨幣が入金されるのを通知する。
【0024】
この入金準備指令のコマンドを受信した紙幣釣銭機3は、紙幣投入部31に紙幣が投入されるのを待機する。そして、紙幣が投入されたならば、その紙幣を一括して取込み選別して紙幣収納庫に金種別に収容する。また、投入された紙幣の合計金額を勘定するものとなっている。同様に、同コマンドを受信した硬貨釣銭機4は、硬貨投入部41に硬貨が投入されるのを待機する。そして、硬貨が投入されたならば、その硬貨を一括して取込み選別して硬貨収納庫に金種別に収容する。また、投入された硬貨の合計金額を勘定するものとなっている。
【0025】
入金準備指令のコマンド送信後、CPU51は、ST9として確定キー78が操作されるのを待機する。そして、キーボードコントローラ58への入力信号により確定キー78が操作されたことを検知した場合には、CPU51は、ST10として紙幣釣銭機3にて勘定されている紙幣投入金額と硬貨釣銭機4にて勘定されている硬貨投入金額とを取込む。そして、ST11としてこの紙幣投入金額と硬貨投入金額とを合算して預り投入金額を算出したならば、この預り投入金額を取引処理メモリ80の預り投入金額エリアに格納するとともに、入金確認画面90の預り投入金額エリア92に表示させる。また、ST12として取引処理メモリ80における預り投入金額エリアの預り投入金額と手入力金額エリアの手入力金額とを合計して預り合計金額を算出する。そして、この預り合計金額を取引処理メモリ80の預り合計金額エリアに格納するとともに、入金確認画面90の預り合計金額エリア93に表示させる。
【0026】
次に、CPU51は、ST13として置数キー71により数値データが置数された後、確定キー78が操作されたか否かを判断する。そして、キーボードコントローラ58への入力信号により置数キー71と確定キー78の操作が検出された場合には、CPU51は、ST14としてその置数データを手入力金額として取引処理メモリ80の手入力金額エリアに格納するとともに、入金確認画面90の手入力金額エリア94に表示させる。その後、ST11に戻り、預り合計金額を再計算して取引処理メモリ80における預り合計金額エリアのデータを書き換えるとともに、入金確認画面90における預り合計金額エリア93の金額を更新する。
【0027】
ST12にて置数キー71と確定キー78の組み合わせ操作が行われていない場合には、CPU51は、ST15として預/現計キー75が操作されたか否かを判断する。そして、キーボードコントローラ58への入力信号により預/現計キー75の操作が検出された場合には、CPU51は、ST16として取引処理メモリ80の請求金額エリアに記憶されている請求金額と預り合計金額エリアに記憶されている預り合計金額とを比較する。そして、預り合計金額が請求金額以上であった場合には、商取引の決済が成立するので、CPU51は、ST17としてこの預り合計金額から請求金額を減算して釣銭額を算出する(釣銭計算手段)。そして、この釣銭額を取引処理メモリ80の釣銭額エリアに格納する。
【0028】
次に、CPU51は、ST18として釣銭額が0円より大きいか否かを判断する。そして、0円より大きい場合には釣銭を払出す必要があるので、CPU51は、ST19として釣銭機インターフェイス62を介して紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4に釣銭払出指令のコマンドを送出して、釣銭額に相当する貨幣を出金させる(釣銭出金制御手段)。
【0029】
しかる後、CPU51は、ST20として取引処理メモリ80に記憶されている各項目のデータに基づきレシート印字データを編集する。そして、このレシート印字データをレシートプリンタ14に出力して、図8に示すように、買上商品明細データや合計金額,預り合計金額,釣銭額等が印字された商取引レシート100を発行させる(通常レシート発行手段)。また、ST21としてこのレシート印字データに対応したジャーナルデータを編集し、電子ジャーナルファイル54に保存する。その後、CPU51は、ST22として登録中フラグを“0”にリセットして、今回の商取引に対する制御を全て終了する。なお、入金確認画面90は、次の商取引の商品登録が開始されるまで表示されている。
【0030】
またCPU51は、釣再計算キー79が操作されると、図6の流れ図に示す手順で各部を制御するものとなっている。先ず、CPU51は、ST31として登録中フラグがセットされているか否かを判断する。ここで、登録中フラグがセットされていた場合には、1商取引の処理途中で釣銭再計算が指示された誤操作なので、CPU51は、釣再計算キー79の操作をエラーとする。
【0031】
これに対し、登録中フラグがリセットされていた場合には、1商取引の処理終了後に釣銭再計算が指示されたので、CPU51は、ST32として取引処理メモリ80の釣銭額エリアに格納されている釣銭額が0円より大きいか否かを判断する(釣銭判断手段)。ここで、釣銭額が0円であった場合には、釣銭が出金されなかった商取引に対して釣銭再計算が指示された誤操作なので、CPU51は、釣再計算キー79の操作をエラーとする。
【0032】
一方、釣銭額が0円より大きい場合には、釣銭が出金された直前の商取引に対して釣銭再計算が指示されたので、CPU51は、ST33として釣銭機インターフェイス62を介して紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4に入金準備指令のコマンドを送信して、貨幣が入金されるのを通知する。
【0033】
その後、CPU51は、ST34として確定キー78が操作されるのを待機する。そして、キーボードコントローラ58への入力信号により確定キー78が操作されたことを検知した場合には、CPU51は、ST35として紙幣釣銭機3にて勘定されている紙幣投入金額と硬貨釣銭機4にて勘定されている硬貨投入金額とを取込む。そして、ST36としてこの紙幣投入金額と硬貨投入金額とを合算して投入金額を算出したならば、この投入金額から取引処理メモリ80の釣銭額エリアに格納されている釣銭額を減算して追加預り金額を算出する(追加預り金額算出手段)。
【0034】
ここで、ST37としてこの追加預り金額が0円より大きいことを確認したならば、CPU51は、ST38として取引処理メモリ80の預り合計金額エリアに格納されている預り合計金額に当該追加預り金額を加算する。そして、この追加預り金額加算後の預り合計金額から取引処理メモリ80の請求金額エリアに格納されている請求金額を減算して釣銭額を再計算する(釣銭再計算手段)。そして、取引処理メモリ80の釣銭額エリアに格納されている釣銭額を再計算後の額に更新する。
【0035】
次に、CPU51は、ST40として釣銭額が0円より大きいか否かを判断する。そして、0円より大きい場合には釣銭を払出す必要があるので、CPU51は、ST41として釣銭機インターフェイス62を介して紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4に釣銭払出指令のコマンドを送出して、釣銭額に相当する貨幣を出金させる(再釣銭出金制御手段)。
【0036】
しかる後、CPU51は、ST42として取引処理メモリ80に記憶されている各項目のデータに基づきレシート印字データを再度編集する。そして、このレシート印字データをレシートプリンタ14に出力して、図9に示すように、買上商品明細データや合計金額とともに、再計算された預り合計金額や釣銭額等が印字された釣銭再計算レシート110を発行させる(釣銭再計算レシート発行手段)。また、図10に示す電子ジャーナルファイル54のレコード例のように、「釣銭再計算」なる語句と追加預り金額とからなるジャーナルデータ111を編集し、電子ジャーナルファイル54に保存して、今回の制御を終了する。
【0037】
このように構成された本実施の形態の決済システムが導入されたスーパーマーケット等の商店では、キャッシャは、顧客から買上商品の会計の申し出を受けると、先ず、POS端末1に接続されたスキャナ等を操作して買上商品をPOS端末1に登録する。そして、登録を完了したならば、入金確認キー77を操作する。そうすると、買上商品に対する請求金額が算出され、オペレータ用ディスプレイ12及び客用ディスプレイ13における入金確認画面90の請求金額エリア91に表示される。
【0038】
そこでキャッシャは、この請求金額に見合った代金の支払いを買物客から受ける。そして、買物客から代金支払いとして紙幣や硬貨などの貨幣を預ったならば、紙幣は紙幣釣銭機3の紙幣投入部31に、硬貨は硬貨釣銭機4の硬貨投入部41にそれぞれ投入し、確定キー78を操作する。
【0039】
そうすると、紙幣釣銭機3では紙幣投入部31に投入された紙幣の合計金額、いわゆる紙幣投入金額が勘定され、硬貨釣銭機4では硬貨投入部41に投入された硬貨の合計金額、いわゆる硬貨投入金額が勘定される。かくして、POS端末1では、紙幣投入金額と硬貨投入金額とが合算されて預り投入金額が算出され、入金確認画面90の預り投入金額エリア92に表示される。また、この預り投入金額と手入力金額とが加算されて預り合計金額が算出され、入金確認画面90の預り合計金額エリア93に表示される。なお、手入力金額は当初0円であり、例えば紙幣釣銭機3に投入した紙幣が選別されずにリジェクトされた場合に、その紙幣の金額を置数キー71で置数した後、確定キー78を操作することによって、置数データが預り金の手入力金額として処理され、手入力金額エリア94に表示される。
【0040】
そこでキャッシャは、預り合計金額が請求金額以上であり決済可能と判断したならば、預/現計キー75を操作して1商取引の締めを宣言する。そうすると、POS端末1では預り合計金額から請求金額が減算されて釣銭額が算出される。ここで、釣銭額が0円より大きい場合には、その釣銭額の払出指令が紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4に送信される。これにより、紙幣の釣銭は紙幣釣銭機3から紙幣排出部32に排出され、硬貨の釣銭は硬貨釣銭機4から硬貨排出部42に排出される。また、買上商品明細データや合計金額,預り合計金額,釣銭額等が印字された商取引レシート100が発行される。
【0041】
例えば今、単価525円の商品AAAAと単価390円の商品BBBBの2点を購入した買物客が、その代金915円に対して千円札で支払いを行ったとする。そうすると、キャッシャは、商品AAAAと商品BBBBをPOS端末1に登録した後、入金確認キー77を操作してから千円札を紙幣釣銭機3の紙幣投入部31に投入し、確定キー78を操作する。そうすると、預り合計金額1000円から請求金額915円が減算されて釣銭額85円が算出され、この釣銭額85円の釣銭払出指令が紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4に送信される。これにより通常は、硬貨釣銭機4から50円硬貨1枚と10円硬貨3枚と5円硬貨1枚の計85円が釣銭として払出される。また、図8に示す内容の商取引レシート100が印字発行される。そこでキャッシャは、計85円の釣銭硬貨とともにレシート100を客に渡して、当該客との商取引を終了させる。
【0042】
ところで、釣銭85円が払い出された後で、買物客から代金の端数金額である15円を渡される場合がある。この場合には、キャッシャは釣再計算キー79を操作した後、硬貨釣銭機4から払い出された85円分の硬貨と客から預った15円分の硬貨をまとめて硬貨釣銭機4の硬貨投入部41に投入する。そして投入後、確定キー78を操作する。そうすると、投入された硬貨が勘定され、その投入金額100円のデータがPOS端末1に取込まれる。そして、POS端末1においては、この投入金額100円から既に払い出された釣銭額85円が減算されて追加預り金額15円が算出され、預り合計金額が1015円に更新される。また、この預り合計金額1015円から請求金額915円が減算されて釣銭額100円が再計算される。
【0043】
しかして、この釣銭額100円の釣銭払出指令が紙幣釣銭機3及び硬貨釣銭機4に出力され、硬貨釣銭機4から100円硬貨1枚が排出される。また、図9に示すように、再計算された預り合計金額1015円と釣銭額100円とがそれぞれ印字された釣銭再計算レシート110が発行される。そこでキャッシャは、既に発行されている商取引レシート100を破棄し、その代わりに釣銭再計算レシート110と釣銭100円を顧客に渡して、当該顧客との商取引を終了する。
【0044】
このように本実施の形態によれば、釣銭が出金された後で顧客から例えば請求金額の端数分が再度提示された場合でも、この追加分を含む預り金額で釣銭額が自動的に再計算されてその釣銭額に相当する貨幣が貨幣入出金装置2から出金されるので、別途用意された釣銭準備金から釣銭をそろえて客に渡すといった手間がなくなる。また、釣銭再計算前に貨幣入出金装置2から釣銭として出金された貨幣と客から追加預り金として預った貨幣とをまとめて貨幣入出金装置2に入金してしまうので、これらの貨幣を別途管理する必要もなくなる。したがって、貨幣の取り扱いが容易となり、会計業務の作業性を向上させることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、釣銭が出金された商取引に対して釣銭再計算が指示されたか否かを判断し、釣銭が出金された商取引に対してのみ再度の釣銭出金制御を許可しているので、釣銭がなかった商取引に対して釣銭が再計算される不具合を未然に防止することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、預り金が追加された際には、その預り金追加後の内容の釣銭再計算レシート110が発行されるので、買物客に対して実際の支払い金額や釣銭に合致したレシートを渡すことができる。この場合において、釣銭再計算レシート110には例えば「釣銭再計算」なる語句を印字することによって、先に発行された商取引レシート100と区別することができる。
【0047】
また、ジャーナルデータにも「釣銭再計算」なる語句を記録することによって、後でジャーナルデータを確認することにより、釣銭が再計算された商取引を特定することができる。
【0048】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0049】
例えば前記実施の形態では、釣銭再計算レシート110を印字発行するようにしたが、本発明は、釣銭再計算レシート110を印字発行する機能を有さないものも含まれるものである。
【0050】
また、前記実施の形態では、釣銭機インターフェイス62に紙幣釣銭機3と硬貨釣銭機4を並列に接続したが、釣銭機インターフェイス62に紙幣釣銭機3を接続し、紙幣釣銭機3に硬貨釣銭機4を接続することによって、紙幣釣銭機3と硬貨釣銭機4を直列に接続してもよいものである。
【0051】
また、釣銭再計算指示手段は、キーボード11上の釣再計算キー79に限定されるものではなく、例えばオペレータ用ディスプレイ12としてタッチパネルを用いる場合には、このタッチパネル上に表示されるGUI(Graphical User Interface)ボタンの1つを釣銭再計算指示手段としてもよい。
【0052】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態である決済システムの外観を示す斜視図。
【図2】同決済システムにおけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図3】同POS端末のキーボードに配置される主要なキーを示す平面図。
【図4】同POS端末のRAMに形成される取引処理メモリのエリア構成を示す模式図。
【図5】同POS端末のCPUが実行する商取引制御手順の要部を示す流れ図。
【図6】同POS端末のCPUが実行する釣銭再計算キー入力後の制御手順の要部を示す流れ図。
【図7】同POS端末のディスプレイに表示される入金確認画面の一例を示す平面図。
【図8】同POS端末のレシートプリンタから印字発行される商取引レシートの一例を示す平面図。
【図9】同POS端末のレシートプリンタから印字発行される釣銭再計算レシートの一例を示す平面図。
【図10】同POS端末の電子ジャーナルファイルに保存されるデータ内容の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0054】
1…POS端末、2…貨幣入出金装置、3…紙幣釣銭機、4…硬貨釣銭機、51…CPU、62…釣銭機インターフェイス、77…入金確認キー、78…確定キー、79…釣再計算キー、80…取引処理メモリ、90…入金確認画面、100…商取引レシート、110…釣再計算レシート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客との商取引で売買された商品の販売データを処理して当該商取引の請求金額を算出し出力する商品販売データ処理装置において、
貨幣の入金及び出金が可能な貨幣入出金装置を通信可能に接続する接続手段と、
前記貨幣入出金装置に入金された預り金額と前記商取引の請求金額とから釣銭額を算出する釣銭計算手段と、
この釣銭計算手段により算出された釣銭額に相当する貨幣を前記貨幣入出金装置から出金させる釣銭出金制御手段と、
この釣銭出金制御手段により釣銭が出金された商取引に対する釣銭再計算を指示する釣銭再計算指示手段と、
この釣銭再計算指示手段により釣銭再計算が指示された後、前記貨幣入出金装置に貨幣が入金されると、その入金額に相当する貨幣を前記貨幣入出金装置から出金させる再釣銭出金制御手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記再釣銭出金制御手段は、前記釣銭再計算指示手段により釣銭の再計算が指示された後、前記貨幣入出金装置に貨幣が入金されると、その入金額から該当する商取引の釣銭額を減額して追加預り金額を算出する追加預り金額算出手段と、この追加預り金額算出手段により算出された追加預り金額を該当する商取引の預り金額に加算し、この追加預り金額加算後の預り金額と該当する商取引の請求金額とから釣銭額を算出する釣銭再計算手段とを含み、前記釣銭再計算手段により算出された釣銭額に相当する貨幣を前記貨幣入出金装置から出金させることを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記釣銭再計算指示手段により釣銭再計算が指示された商取引に対して釣銭が出金されたか否かを判断する釣銭判断手段をさらに具備し、
この釣銭判断手段により釣銭が出金されたと判断された商取引に対してのみ再度の釣銭出金制御を許可することを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
顧客との商取引で売買された商品の合計金額,預り金額,釣銭額等が印字されたレシートを発行する通常レシート発行手段と、
前記釣銭再計算指示手段により釣銭再計算が指示された商取引の合計金額,前記追加預り金額算出手段により算出された追加預り金額,前記釣銭再計算手段により算出された釣銭額等が印字されたレシートを発行する釣銭再計算レシート発行手段と、
をさらに具備したことを特徴とする請求項2記載の商品販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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