説明

問診システム

【課題】主治医が、生理状態の正常・異常判定の閾値閾値情報を顧客毎に容易に設定でき、顧客に基礎疾患が有る場合でも、生理状態の正常・異常を正確に判定し得て、適切な問診コンテンツを顧客の端末に出力する。
【解決手段】通信ネットワークを介して主治医の端末に接続された顧客の端末と、前記顧客の生理状態を計測してバイタル計測値に係るデータとして出力する計測機器と、前記バイタル計測値に基づいて、対応する問診コンテンツを前記顧客の端末に出力する問診部と、を有する問診システムである。通信ネットワークにはデータベース60が接続され、バイタル計測値の正常域と異常域とを区分する閾値情報のサンプル68が、少なくとも基礎疾患の種類毎に記録されている。問診部は、主治医の端末を用いて顧客用に設定された前記閾値情報と、前記バイタル計測値とを比較し、前記バイタル計測値に対応する前記問診コンテンツを顧客の端末に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日々の健康状態をチェック可能な問診システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血圧等の生理状態を日々計測して健康管理に役立てることが行われている。
それに関する技術として、特許文献1には、インターネット等の通信ネットワークを介して顧客の自宅の端末と医療機関の端末とを接続し、血圧等の生理状態の計測結果を、顧客の自宅の端末から入力して医療機関の端末に送信・蓄積・集計することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−116797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、この顧客の端末が、生理状態の計測結果たるバイタル計測値に基づいて生理状態の正常・異常判定を自動的に行い、その判定結果に基づいて同端末が問診コンテンツをディスプレイ等に出力すれば、顧客は自宅に居ながらにして計測の都度、問診やアドバイスを受けることができて便利である。
【0005】
但し、生理状態の正常・異常の範囲は、顧客が患う基礎疾患の有無や種類によって変化するものと考えられる。よって、望ましくは、上記の正常・異常判定に使用される閾値は、顧客の基礎疾患に基づいて顧客毎に設定されていると良く、また、その設定者としては、顧客の基礎疾患を知り得る存在の主治医が適任であると考えられる。
【0006】
しかし、主治医といえども、参考となる閾値のサンプルが全く無い状況下で顧客の閾値を設定するのは困難であり、仮に設定できたとしても、正常・異常の判定の正確さの点で問題を有してしまう。そして、その場合、顧客の端末に向けて不適切な問診コンテンツが出力される虞がある。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、主治医が、生理状態の正常・異常判定の閾値に係る閾値情報を顧客毎に容易に設定できるとともに、顧客に基礎疾患が有る場合でも、生理状態の正常・異常を正確に判定し得て、適切な問診コンテンツを顧客の端末に出力可能な問診システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、
通信ネットワークを介して主治医の端末に接続された顧客の端末と、
前記顧客の端末に隣接配置され、前記顧客の生理状態を計測してバイタル計測値に係るデータとして出力する計測機器と、
前記バイタル計測値に基づいて、対応する問診コンテンツを前記顧客の端末に出力する問診部と、を有する問診システムであって、
前記通信ネットワークにはデータベースが接続され、前記データベースには、前記バイタル計測値の正常域と異常域とを区分する閾値情報のサンプルが、前記正常域の問診コンテンツ及び前記異常域の問診コンテンツを規定する問診情報と対応付けられつつ、少なくとも基礎疾患の種類毎に記録されており、
前記問診部は、前記データベースの前記サンプルに基づいて前記主治医の端末を用いて前記顧客用に設定された前記閾値情報と、前記バイタル計測値とを比較することにより、前記バイタル計測値に対応する前記問診コンテンツを前記顧客の端末に出力することを特徴とする問診システムである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、主治医が、生理状態の正常・異常判定の閾値に係る閾値情報を顧客毎に容易に設定できるとともに、顧客に基礎疾患が有る場合でも、生理状態の正常・異常を正確に判定し得て、適切な問診コンテンツを顧客の端末に出力可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る問診システムの概略全体構成図である。
【図2】顧客端末10の概略構成図である。
【図3】図3A及び図3Bは、判定用閾値テーブルの説明図である。
【図4】問診情報の説明図である。
【図5】顧客端末10のディスプレイ14に出力される計測誘導用のガイダンス画面20の一例である。
【図6】顧客端末10のディスプレイ14に出力される計測結果表示画面22の一例である。
【図7】主治医端末40の概略構成図である。
【図8】データベース管理端末60の概略構成図である。
【図9】収縮期血圧のサンプルのデータベースの説明図である。
【図10】同データベースに用意された問診情報の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
通信ネットワークを介して主治医の端末に接続された顧客の端末と、
前記顧客の端末に隣接配置され、前記顧客の生理状態を計測してバイタル計測値に係るデータとして出力する計測機器と、
前記バイタル計測値に基づいて、対応する問診コンテンツを前記顧客の端末に出力する問診部と、を有する問診システムであって、
前記通信ネットワークにはデータベースが接続され、前記データベースには、前記バイタル計測値の正常域と異常域とを区分する閾値情報のサンプルが、前記正常域の問診コンテンツ及び前記異常域の問診コンテンツを規定する問診情報と対応付けられつつ、少なくとも基礎疾患の種類毎に記録されており、
前記問診部は、前記データベースの前記サンプルに基づいて前記主治医の端末を用いて前記顧客用に設定された前記閾値情報と、前記バイタル計測値とを比較することにより、前記バイタル計測値に対応する前記問診コンテンツを前記顧客の端末に出力することを特徴とする問診システム。
【0012】
このような問診システムによれば、顧客の基礎疾患に基づいて、前記閾値情報は顧客毎に設定されるので、生理状態の正常・異常を正確に判定可能となる。その結果、適切な問診コンテンツを顧客の端末に出力可能となる。
また、主治医はデータベースの前記サンプルから、顧客の基礎疾患に対応する閾値情報を参照しながら、顧客に合った閾値情報を設定することができる。よって、顧客に最も適した閾値情報に容易に設定可能となる。
【0013】
かかる問診システムであって、
前記データベースには、前記閾値情報のサンプルが、前記生理状態の計測時間帯毎に記録されており、
前記問診部には、前記閾値情報及び当該閾値情報に対応する問診情報が、前記計測時間帯毎に設定され、
前記問診部は、前記バイタル計測値の計測時刻に対応する前記計測時間帯の前記閾値情報と、前記バイタル計測値とを比較することにより、前記バイタル計測値に対応する前記問診コンテンツを前記顧客の端末に出力するのが望ましい。
このような門診システムによれば、前記閾値情報は、計測時間帯毎に設定される。よって、生理状態の正常・異常をより正確に判定可能となる。
【0014】
かかる問診システムであって、
前記データベースには、前記閾値情報のサンプルが、前記基礎疾患の症状のレベル毎に記録されているのが望ましい。
このような問診システムによれば、前記閾値情報を、基礎疾患の症状のレベルに応じて設定できる。よって、生理状態の正常・異常をより正確に判定可能となる。
【0015】
かかる問診システムであって、
前記主治医の端末から前記顧客の基礎疾患名を入力すると、前記端末は、前記基礎疾患名をキーとして、前記データベースから前記基礎疾患名に該当する閾値情報のサンプルを抽出し、抽出された前記サンプルを出力するのが望ましい。
このような問診システムによれば、顧客の閾値情報の候補となるサンプルを前記データベースから容易に抽出することができる。
【0016】
かかる問診システムであって、
前記閾値情報のサンプルには、前記異常域に対応付けて想定疾患名が記録されており、
前記バイタル計測値が前記異常域に入っている場合に、前記問診部は、前記想定疾患名を含んだ前記問診コンテンツを前記顧客の端末に出力するのが望ましい。
このような問診システムによれば、顧客は、自身が罹りうる疾患名を知ることができる。
【0017】
かかる問診システムであって、
前記問診情報の前記問診コンテンツは、前記顧客への説明質問コンテンツと指示コンテンツとを有し、
前記問診部は、前記説明質問コンテンツに対して前記顧客の端末から入力される回答情報に基づいて、対応する指示コンテンツを前記顧客の端末に出力するのが望ましい。
このような問診システムによれば、顧客は、自身が取るべき処置を即座に知ることができるので、顧客は、病院へ行くなどの処置を速やかに取ることができる。
【0018】
===本実施形態===
図1は、本実施形態に係る問診システムの全体構成図である。
本実施形態に係る問診システムは、顧客の自宅に設置される顧客の端末10(以下、顧客端末10と言う)と、顧客の主治医の病院に設置される主治医の端末40(以下、主治医端末40と言う)と、問診に供する判定用閾値や問診コンテンツ等のサンプルを管理するデータベース管理端末60と、を有する。そして、これら端末10,40,60は、互いに、インターネット回線や電話回線、あるいは当該問診システムに係る専用回線等の通信ネットワーク1によって通信可能に接続されている。
【0019】
ここで、図2の顧客端末10の説明図に示すように、同端末10には、顧客の血圧等の生理状態を計測してバイタル計測値として出力する血圧計等の計測機器30が接続されている。また、同顧客端末10には、計測されたバイタル計測値に基づいて問診を行う問診部15が搭載されている。よって、顧客は自宅に居ながらにしてバイタル計測値に係る問診やアドバイス(指示)を受けることができる。
以下、各端末10,40,60について説明する。
【0020】
<<<顧客端末10>>>
顧客端末10は、例えば顧客の自宅の洗面所に設置される。また、計測機器30も同洗面所内に併設される。これにより、この一角は簡易診察室として機能する。ちなみに、設置位置は、洗面所以外でも良い。
【0021】
顧客端末10は、例えば適宜なコンピュータであり、図2に示すように、マウスやキーボード等の入力部12と、ディスプレイやスピーカ−等の出力部14と、CPUやRAM等を具備した制御部16と、ハードディスク等のデータ記録部18と、を有する。なお、入力部12としてヘッドセットマイク等の集音手段を用いるとともに、制御部16に音声認識ソフトを適宜インストール等して、これにより、顧客端末10への入力操作を顧客の音声で行っても良い。また、出力部14のディスプレイは、洗面所の洗面台上に据え付けても良いし、あるいは、洗面台が具備する鏡の一部に組み込んでも良い。
【0022】
計測機器30は、例えば血圧計や体温計、体重計等であり、これら計測機器30は、例えば、洗面台の椅子(不図示)に搭載されている。そして、これら計測機器30は、それぞれ、無線又は有線の適宜な通信機器(不図示)によって顧客端末10の制御部16に通信可能に接続されている。これにより血圧や体温、体重等の各計測結果がバイタル計測値として制御部16に送信され、各バイタル計測値は、同制御部16を介してデータ記録部18に保存される。なお、この例では、当該バイタル計測値が、請求項1に係る「バイタル計測値」及び「バイタル計測値に係るデータ」の両者に相当する。
【0023】
ここで、顧客端末10の制御部16は、データ記録部18と組み合わされることにより、顧客の問診処理を行う前記問診部15として機能する。すなわち、当該制御部16は、計測機器30から送信されるバイタル計測値に基づいて当該バイタル計測値が正常か異常かの判定を行い、その判定結果に基づいて、出力部14や入力部12を用いながら、顧客との間で問診を行う。このような問診処理は、例えば制御部16のCPUがデータ記録部18から問診処理プログラムを読み出して実行することで実現される。
【0024】
なお、上記の判定に必要な判定用閾値は、データ記録部18に記録されている。すなわち、データ記録部18には、バイタル計測値の判定用閾値テーブル(図3Aを参照、「閾値情報」に相当)が、血圧や体温、体重等の計測項目毎に格納されており、各テーブルには、それぞれ、対応する計測項目の判定用閾値が記録されている。
【0025】
図3Aに、判定用閾値テーブルの一例として、計測項目が収縮期血圧の判定用閾値テーブルを示す。この例では、判定用閾値として、上から、「要緊急連絡下限」、「要受診下限」、「要警戒下限」、「心配なし下限(正常上限)」、「心配なし上限(正常下限)」、「要警戒上限」、「要受診上限」、「要緊急連絡上限」の8つの数値が記録されている。そして、この判定用閾値テーブルの各判定用閾値は、例えば前記問診プログラムに基づいて予め制御部16のメモリに展開された図3Bの判定条件演算テーブルに代入され、これにより、収縮期血圧は9つの判定域に区分されている。つまり、正常域としての真ん中の三つの判定域を挟んで、その上下に各三つの判定域が異常域として設定されている。
【0026】
そして、これら判定域には、それぞれ、上から順番に、要緊急連絡1、要受診1、要警戒1、ほぼ正常1、正常、ほぼ正常2、要警戒2、要受診2、及び要緊急連絡2という判定結果が対応付けられている。また、同データ記録部18には、判定域毎に問診コンテンツを規定する問診情報(図4)も記録されている。
【0027】
図4に、この問診情報の説明図を示す。問診情報は、判定域毎に固有の問診コンテンツを有する。問診コンテンツとしては、顧客に状況説明若しくは質問をする説明質問コンテンツが用意されている。そして、この説明質問コンテンツに質問内容が含まれている場合には、この質問内容に対する顧客からのYES回答及びNO回答の両者に対処すべく、更に、YES回答及びNO回答のそれぞれにつき指示コンテンツが用意されている。
【0028】
例えば、図4の例では、「要緊急連絡1」の判定域1には、質問コンテンツとして「頭痛や吐き気はありませんか?」というコンテンツが対応付けられており、更に、そのYES回答用の指示コンテンツとして「すぐに主治医に連絡を取り、救急車を呼んでください」という指示コンテンツが用意され、他方、NO回答用の指示コンテンツとして「すぐに横になって主治医に連絡してください」という指示コンテンツが用意されている。
【0029】
また、同問診コンテンツは、その判定域に係る想定疾患名を含んでいる。例えば、図4の例では、「要緊急連絡1」の判定域1には、想定疾患名として「脳出血」が記録されている。
【0030】
なお、かかる判定用閾値や問診コンテンツは、基本的には顧客の主治医が主治医端末40を用いて当該顧客用として顧客毎に設定されるが、この問診システムの利用開始前、つまり主治医が当該判定用閾値を設定する前においては、デフォルト値として標準的な閾値が設定されていても良い。この主治医による判定用閾値の設定手順については後述する。
【0031】
また、上述では収縮期血圧の判定用閾値テーブルや問診情報について例示したが、これと類似構成のものが、拡張期血圧や、体温、体重等の計測項目についてもデータ記録部18に記録されているのは言うまでもない。
【0032】
そして、このような構成の顧客端末10によれば、データ記録部18と組み合わされて問診部15をなす制御部16が、問診処理プログラムに基づいて以下のように動作することにより、顧客の生理状態の計測及び当該計測に基づく問診処理が行われる。
【0033】
先ず、顧客が洗面所の椅子に着座し、図2の顧客端末10の電源スイッチを入れる等して同端末10を起動すると、同端末10の制御部16は、出力部14たるディスプレイ14に図5のガイダンス画面20を出力し、顧客に血圧と体温の計測準備を促す。すなわち計測機器30たる血圧計と体温計の装着を促す。なお、ここで、体重については、例えば椅子と床部との間に配された体重計により計測されるため、計測準備は不要である。
【0034】
そして、顧客が血圧計と体温計を装着したら、顧客は、入力部12を介してガイダンス画面20のセンサー入力ボタン20aを押す。これにより、各計測機器30の計測が開始され、所定時間経過後には、血圧計、体温計、及び体重計から制御部16へと計測結果たる各バイタル計測値がそれぞれ送信される。そして、制御部16は、データ記録部18に各バイタル計測値を記録する。
【0035】
そうしたら、制御部16は、図6の計測結果表示画面22をディスプレイ14に出力する。すなわち、この計測結果表示画面22には、血圧や体温等の各バイタル計測値の表示欄22aがそれぞれ設けられており、各表示欄22aには、各バイタル計測値が表示される。
【0036】
また、この時、制御部16は、血圧や体温等の各バイタル計測値を、前述の判定用閾値と比較し、これにより、同画面22の判定結果表示欄22bに、各バイタル計測値に該当する判定結果をそれぞれ表示する。
【0037】
例えば、収縮期血圧のバイタル計測値が「230」であった場合を例に説明すると、先ず、制御部16は、収縮期血圧の判定用閾値テーブル(図3A)及び判定条件演算テーブル(図3B)を参照する。そして、これらのテーブルから、当該「230」に対応する判定域を探し出す。この例では、当該「230」に対応する判定域は、要緊急連絡下限の値「200」を超える要緊急連絡1の判定域1であり、前述したようにこの判定域1には、要緊急連絡1という判定結果が対応付けられている。よって、制御部16は、「230」に対応する判定結果として、「要緊急連絡1」を同画面22の判定結果表示欄22bに出力する。
【0038】
更に、同画面22には、問診欄22cも用意されており、また、血圧や体温等の計測項目毎にそれぞれ問診ボタン22dも表示されている。そして、入力部12を介して顧客が当該問診ボタン22dを押下すると、制御部16は、バイタル計測値に対応する問診コンテンツを前記問診欄22cに表示する。
【0039】
例えば、収縮期血圧のバイタル計測値が「230」の例で説明すると、収縮期血圧に係る問診ボタン22dが押下されると、制御部16は、図3A及び図3Bの各テーブルを参照して、上述と同様に「230」に対応する判定域を探し、そして、当該「230」に対応する判定域が、要緊急連絡1の判定域1であると判断する。そうしたら、この要緊急連絡1の判定域1に対応付けられた問診コンテンツを、図4の問診情報から取得し、当該問診コンテンツを計測結果表示画面22の問診欄22cに出力する。
【0040】
そして、この問診欄22cを見た顧客は、これが質問内容を含む場合には、入力部12を用いて同画面22のYES回答ボタン又はNO回答ボタンを押下する等して回答情報を入力する。すると、制御部16は、この回答情報に対応する指示コンテンツを図4の問診情報から取得して問診欄22cに出力する。そして、これにより一連の計測及び問診が終了する。そうしたら、顧客は、入力部12を介して同画面22の検査終了ボタン22fを押下する。これにより、制御部16は問診処理プログラムを終了し、これにて問診処理が終了する。
【0041】
ちなみに、図6の計測結果表示画面22の問診欄22cには、押下された問診ボタン22dの計測項目に関する想定疾患も表示される。例えば、上述したバイタル計測値が「230」の場合には、収縮期血圧の判定結果が要緊急連絡1であるので、図4の対応関係に基づいて、図6の画面22の問診欄22cには、「脳出血」と表示される。
【0042】
ここで望ましくは、データ記録部18が上記の判定用閾値テーブルを計測時間帯毎に有していると良い。例えば、朝時間帯として午前5時〜午前10時、昼時間帯として午前11〜午後3時、夜時間帯として午後5時〜午後10時の三つの各時間帯につき、それぞれ判定用閾値テーブルを有していると良い。これは、朝昼夜によって人間の生理状態は周期的に変化すると考えられ、各時間帯につきそれぞれ適値があると考えられるからである。
【0043】
そして、この場合には、制御部16は、計測機器30からバイタル計測値を取得する度にその計測時刻を記録する。計測時刻は、制御部16自身のクロックや各計測機器30が内蔵するクロック等から取得され、各バイタル計測値と対応付けてデータ記録部18に記録される。これにより、制御部16は、計測時刻をキーとして、この計測時刻に対応する時間帯の判定用閾値テーブルをデータ記録部18から抽出可能となる。なお、この場合には、問診情報も判定用閾値テーブル毎、つまり、各計測時間帯に対応させてそれぞれデータ記録部18に格納されているのは言うまでもない。
【0044】
<<<主治医端末40及びデータベース管理端末60>>>
図7に示すように、主治医端末40は、例えば適宜なコンピュータであり、マウスやキーボード等の入力部42と、ディスプレイやスピーカ−等の出力部44と、CPU等の制御部46と、ハードディスク等のデータ記録部48と、を有する。そして、この主治医端末40は、通信ネットワーク1を介して顧客端末10に接続され、この主治医端末40を用いて、主治医は、顧客端末10のデータ記録部18に顧客用の判定用閾値テーブルや問診情報を設定する。
【0045】
なお、主治医端末40の前記データ記録部48には、この設定処理を支援する支援プログラムが予め格納されており、つまり、同端末40の制御部46のCPUがデータ記録部48から支援プログラムを読み出して実行することで設定処理が実現される。
以下、この設定処理について説明する。
【0046】
顧客端末10への判定用閾値テーブル等の設定に際し、先ず、主治医は、予め用意されている判定用閾値テーブルのサンプルを参考にする。当該サンプルは、通信ネットワーク1に接続された前記データベース管理端末60に保管されている。よって、先ず、主治医は、主治医端末40をデータベース管理端末60に接続する。
【0047】
ここで、図8に示すように、このデータベース管理端末60も、主治医端末40と同様適宜なコンピュータであり、マウスやキーボード等の入力部62と、ディスプレイやスピーカ−等の出力部64と、CPU等の制御部66と、ハードディスク等のデータ記録部68と、を有する。そして、前記サンプルは、上記データ記録部68のデータベースに格納されている。よって、主治医端末40の制御部46は、データベース管理端末60のデータ記録部68のサンプルを主治医端末40のディスプレイ44に出力する。
【0048】
図8に示すように、サンプルのデータベースは、収縮期血圧や拡張期血圧、体温、体重等の計測項目毎に用意されている。なお、以下では、これらを代表して収縮期血圧のデータベースを例に説明する。
【0049】
図9は、収縮期血圧のサンプルのデータベースの説明図である。このデータベースは、収縮期血圧の判定用閾値テーブルのサンプルを複数種類有している。これらサンプルは、低血圧や高血圧等の基礎疾患、基礎疾患の症状のレベル(軽度、中度、重度等のリスクレベル)、及び、朝昼夜等の計測時間帯毎にそれぞれ用意されている。また、各サンプルには、サンプルを指定するためのサンプル番号が重複無く付与されている。更には、データベースには、これらサンプル毎に、それぞれ、その基礎疾患と、症状のレベルと、計測時間帯とに応じた問診情報が、問診情報番号を介して対応付けられて用意されている(図10)。
【0050】
そして、支援プログラムの制御下において、主治医端末40の入力部42から閲覧要求を主治医が入力すると、主治医端末40の制御部46は、データベース管理端末60のデータ記録部68にアクセスして前記データベース内の判定用閾値テーブルのサンプル(図9)を主治医端末40のディスプレイ44上に出力する。そして、当該サンプルを主治医は閲覧する。なお、この時、場合によっては、主治医が入力部42から問診情報番号を入力しても良い。これにより、制御部46は、この問診情報番号をキーとして前記データベースを検索して、この入力された問診情報番号に対応する問診情報をディスプレイ44上に表示する。よって、主治医は、問診情報の内容も参考にすることができる。
【0051】
そうしたら、主治医は、これらサンプルの中から、顧客の基礎疾患や顧客の平時の健康状態を考慮しつつ、顧客に合致したサンプルを選び出す。なお、顧客の平時の健康状態については、例えば血圧や体温等をその場で計測するか又は顧客の自己申告により、主治医は認識することができる。なお、一月程の利用準備期間を設定し、この期間に、この問診システムを用いて顧客のバイタル計測値をデータ収集し、収集されたデータに基づいて平時の健康状態を認識しても良い。
【0052】
そうしたら、主治医は、顧客用として選出したサンプルのサンプル番号を入力部42から入力する。すると、主治医端末40の制御部46は、当該サンプル番号のサンプル及び問診情報をデータベース管理端末60のデータ記録部68から取得し、同サンプル等を顧客端末10にデータ送信して、顧客端末10のデータ記録部18に保存する。これにより、顧客端末10のデータ記録部18の判定用閾値テーブル内には、当該サンプルに係る判定用閾値が格納され、同データ記録部18には同サンプルに係る問診情報が格納される。そして、これをもって、顧客端末10の判定用閾値テーブル等は、顧客用にカスタマイズされた状態となり、以降、この顧客に最も適合した条件で問診処理を実行可能となる。
【0053】
ちなみに、この設定処理例では、閲覧を行い易くすべく、図9に示すように、問診コンテンツ以外のデータ、つまり、基礎疾患と、リスクレベルと、計測時間帯と、判定用閾値と、サンプル番号とを対応付けて、同一行内に収まるようにリスト状に一覧表示可能としているが、このようにすれば、多数のサンプルを比較しながら同時に参照できて、結果、顧客に合致したサンプルを見つけ易くなる。
【0054】
また、この支援プログラムが、キーワード検索機能を備えていても良い。例えば、主治医端末40の入力部42から低血圧等の基礎疾患名を入力すれば、同端末40の制御部46が、この基礎疾患名をキーとしてデータベース管理端末60から該当のサンプルを抽出し、その抽出結果を主治医端末40の出力部44に一覧表示しても良い。このようにすれば、主治医は顧客に合致したサンプルを見つけ易くなる。
【0055】
更には、この支援プログラムが、顧客端末10のデータ記録部18に保存された判定用閾値テーブルの判定用閾値や問診情報の問診コンテンツを編集する機能を備えていても良い。このようにすれば、より顧客に合った問診を行えるようになる。
【0056】
ところで、データベース管理端末60の設置場所は、上述のように主治医の病院でも構わないが、主治医の病院以外にしても良い。例えば、24時間体制の救急医療機関や同警備会社に設置しても良い。そして、このような24時間体制の機関に設置した場合には、基本的にデータベース管理端末60を常時起動状態にすることができる。よって、かかる場合には、望ましくは、顧客端末10にて計測されたバイタル計測値の判定結果が「要緊急連絡」の場合に、顧客端末10の制御部16は、「要緊急連絡」の信号をデータベース管理端末60に送信すると良い。このようにすれば、この「要緊急連絡」に気づいた24時間体制の機関の関係者が、適宜、顧客の自宅に電話連絡等して、顧客の容態に応じた対処をすることができる。
【0057】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
【0058】
上述の実施形態では、顧客の生理状態の計測機器30として血圧計や、体温計、体重計等を例示したが、何等これに限るものではなく、例えば心電計や脳波計などでも良い。つまり、上述の実施形態では、バイタル計測値として血圧や、体温、体重等を例示したが、心電図や脳波等でも良い。
【0059】
上述の実施形態では、説明の簡略化のため、問診コンテンツの質問コンテンツを質問1回分だけ用意していたが、顧客からのYES回答及びNO回答に応答して更に質問を行えるように、複数回分の質問コンテンツを用意しておいても良い。
【0060】
上述の実施形態では、データ記録部18を顧客端末10に設けていたが、何等これに限るものではない。例えば、通信ネットワーク1上にサーバ(この問診処理に係るサービス(問診処理プログラム、支援プログラム)をダウンロード等によって提供するコンピュータ)を通信可能に設ける場合には、当該サーバにデータ記録部18を設けても良い。なお、かかるサーバを利用した構成において、主治医が主治医端末40からサーバのデータ記録部18に、顧客用のサンプル及び問診情報を保存する場合には、他の顧客と区別すべく、データベース管理端末60のデータ記録部68から取得した前記顧客用のサンプル及び問診情報に対して、当該顧客に固有の顧客IDを関連付けながら同サンプル及び問診情報をデータ記録部18に保存することになる。そして、問診部15は、顧客端末10の入力部12から入力される顧客IDをキーとしてサーバのデータ記録部18を検索することにより、この顧客用のサンプル及び問診情報にアクセスして、同サンプル及び問診情報に基づいて問診処理を行うことになる。
更には、上述の実施形態では、問診部15の機能を顧客端末10の制御部16に持たせていたが、当該機能を、上述のサーバに持たせても良い。
【0061】
上述の実施形態では、計測されたバイタル計測値のみに基づいて、顧客端末10の計測結果表示画面22(図6)に表示すべき問診コンテンツを選択していたが、何等これに限るものではない。例えば、図5の計測誘導のガイダンス画面20において、体調等の自覚症状を質問するように問診処理プログラムを構成し、この質問に応答してなる顧客の応答情報と、バイタル計測値との組み合わせに基づいて、図6の計測結果表示画面22に表示すべき問診コンテンツを選択するようにしても良い。なお、この場合には、図10の問診情報が、更に応答情報毎に用意されていることになる。
【0062】
上述の実施形態では、バイタル計測値として、血圧や、体温、体重等の絶対値を例示したが、このバイタル計測値の概念は、絶対値に限るものではなく、例えば、直前に計測された絶対値と今回計測された絶対値との偏差たる相対値(以下、変動値と言う)を含むものである。
なお、その場合には、データ記録部18には、直前に計測された絶対値が記憶されているとともに、問診部15は、今回計測された絶対値から直前に計測された絶対値を減算することにより、変動値を算出する。また、当該変動値に対応付けて、顧客端末10のデータ記録部18は、図3の判定用閾値テーブルに類するテーブルを変動値用に有し、また、同ディスプレイ14には、図6の計測結果表示画面22に類する画面が変動値用に表示され、更に、データベース管理端末60のデータ記録部68は、図8及び図9のデータベースに類するデータベースを変動値用に有しているのは言うまでもない。また、変動値に供する絶対値は、上述のような、直前に計測された絶対値に限るものではなく、前日の同時刻に計測された絶対値でも良い。ちなみに、上記の変動値をバイタル計測値とする場合には、上記絶対値が、請求項1の「バイタル計測値に係るデータ」に相当することになる。
【符号の説明】
【0063】
1 通信ネットワーク、10 顧客端末(顧客の端末)、
12 入力部、14 出力部(ディスプレイ)、
15 問診部、16 制御部、18 データ記録部、
20 ガイダンス画面、20a センサー入力ボタン、
22 計測結果表示画面、22a 表示欄、22b 判定結果表示欄、
22c 問診欄、22d 問診ボタン、22f 検査終了ボタン、
30 計測機器、40 主治医端末(主治医の端末)、
42 入力部、44 出力部(ディスプレイ)、
46 制御部、48 データ記録部、60 データベース管理端末、
62 入力部、64 出力部、66 制御部、 68 データ記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して主治医の端末に接続された顧客の端末と、
前記顧客の端末に隣接配置され、前記顧客の生理状態を計測してバイタル計測値に係るデータとして出力する計測機器と、
前記バイタル計測値に基づいて、対応する問診コンテンツを前記顧客の端末に出力する問診部と、を有する問診システムであって、
前記通信ネットワークにはデータベースが接続され、前記データベースには、前記バイタル計測値の正常域と異常域とを区分する閾値情報のサンプルが、前記正常域の問診コンテンツ及び前記異常域の問診コンテンツを規定する問診情報と対応付けられつつ、少なくとも基礎疾患の種類毎に記録されており、
前記問診部は、前記データベースの前記サンプルに基づいて前記主治医の端末を用いて前記顧客用に設定された前記閾値情報と、前記バイタル計測値とを比較することにより、前記バイタル計測値に対応する前記問診コンテンツを前記顧客の端末に出力することを特徴とする問診システム。
【請求項2】
請求項1に記載の問診システムであって、
前記データベースには、前記閾値情報のサンプルが、前記生理状態の計測時間帯毎に記録されており、
前記問診部には、前記閾値情報及び当該閾値情報に対応する問診情報が、前記計測時間帯毎に設定され、
前記問診部は、前記バイタル計測値の計測時刻に対応する前記計測時間帯の前記閾値情報と、前記バイタル計測値とを比較することにより、前記バイタル計測値に対応する前記問診コンテンツを前記顧客の端末に出力することを特徴とする問診システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の問診システムであって、
前記データベースには、前記閾値情報のサンプルが、前記基礎疾患の症状のレベル毎に記録されていることを特徴とする問診システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の問診システムであって、
前記主治医の端末から前記顧客の基礎疾患名を入力すると、前記端末は、前記基礎疾患名をキーとして、前記データベースから前記基礎疾患名に該当する閾値情報のサンプルを抽出し、抽出された前記サンプルを出力することを特徴とする問診システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の問診システムであって、
前記閾値情報のサンプルには、前記異常域に対応付けて想定疾患名が記録されており、
前記バイタル計測値が前記異常域に入っている場合に、前記問診部は、前記想定疾患名を含んだ前記問診コンテンツを前記顧客の端末に出力することを特徴とする問診システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の問診システムであって、
前記問診情報の前記問診コンテンツは、前記顧客への説明質問コンテンツと指示コンテンツとを有し、
前記問診部は、前記説明質問コンテンツに対して前記顧客の端末から入力される回答情報に基づいて、対応する指示コンテンツを前記顧客の端末に出力することを特徴とする問診システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−239885(P2011−239885A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113458(P2010−113458)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(598163064)学校法人千葉工業大学 (101)
【Fターム(参考)】