説明

器具取付枠

【課題】壁材の裏側に簡単に配置することができるとともに、壁材の裏側での移動を規制することができる器具取付枠を提供すること。
【解決手段】器具取付枠11は、壁材Wに四角形状に形成された壁孔Waを介して壁材Wの裏側に配置されるとともに、配線器具が壁材Wに設置されることで、壁材Wの裏側に設置される。この器具取付枠11は、枠本体12の前面に、壁材Wの裏面における壁孔Waの周縁に当接する当接面12aを有するとともに、枠本体12の前面から立設され、壁孔Waの四つの内側面W1〜W4に当接して枠本体12の移動を規制する第1の規制突部18a及び第2の規制突部18bを有する。そして、第1の規制突部18aは、挟持片13において連結片14の幅分だけ内寄りに形成され、第2の規制突部18bは、挟持片13の長辺方向の他端より外方に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁材に四角形状に形成された壁孔を介して壁材の裏側に配置されるとともに、取着部を用いて配線器具が壁材に設置されることで、壁材の裏側に設置される器具取付枠に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の器具取付枠としては、例えば、特許文献1に開示の挟み金具が挙げられる。図8(a)に示すように、特許文献1の挟み金具80は、上下に対向する一対の側辺部81と、それら側辺部81の長辺方向の一端部同士を連結する連結部82とから、コ字状に形成されるとともに、側辺部81の長辺方向他端側に開口83が形成されている。そして、挟み金具80は、コ字状に形成されることで、有底四角箱状に形成される場合と比べて、壁材90の壁孔90aを容易に通過させ、壁材90の裏側に簡単に配置することができるようになっている。
【0003】
また、連結部82には、仮止め用穴82aが二箇所に形成されている。この仮止め用穴82aには、L字形の仮止め具84が差し込まれるようになっている。図8(b)に示すように、仮止め具84は、仮止め用穴82aに差し込まれる細長板状の差込部84aと、差込部84aの仮止め用穴82aへの差し込み時に、壁材90の表面に当接する薄板状の当接部84bと、からなる。また、図8(a)に示すように、各側辺部81の他端側には、ネジ孔81aが形成されている。
【0004】
挟み金具80を用いて配線器具(図示せず)を壁材90に設置する際、挟み金具80は、壁材90に形成された四角形状の壁孔90aを介して壁材90の裏側に配置される。そして、仮止め具84の差込部84aを連結部82の仮止め用穴82aに差し込むとともに、仮止め具84の当接部84bと、挟み金具80とで壁材90を挟持することで、挟み金具80が壁材90の裏側に仮固定される。
【0005】
その後、壁材90の表側に、配線器具を保持した取付枠(共に図示せず)を配置するとともに、その取付枠に挿通されたネジを、挟み金具80のネジ孔81aに螺合し、挟み金具80と取付枠とで壁材90を挟持することにより、取付枠に保持された配線器具が、壁材90に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4−111220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の挟み金具80において、壁材90の裏側への仮固定は、二つの仮止め具84と、挟み金具80とで壁材90を挟持することで行われる。そして、仮固定された挟み金具80においては、仮止め具84の差込部84aが、対向する壁孔90aの内側面に当接した場合だけ、その当接方向への挟み金具80の移動が規制される。しかし、当接方向以外のその他の方向については、挟み金具80の移動を規制することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、壁材の裏側に簡単に配置することができるとともに、壁材の裏側での移動を規制することができる器具取付枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、配線器具を取着するための取着部を枠本体に少なくとも一対備え、壁材に四角形状に形成された壁孔を介して前記壁材の裏側に配置されるとともに、前記取着部を用いて前記配線器具が前記壁材に設置されることで、前記壁材の裏側に設置される器具取付枠であって、前記枠本体が、一対の挟持片、及び該挟持片の長辺方向の一端部を連結する連結片からなるとともに、前記挟持片の他端側が開放されたコ字状に形成されており、前記枠本体の一側面に、前記壁材の裏面における前記壁孔の周縁に当接する当接面を有するとともに、前記一側面から立設され、前記壁孔の四つの内側面に当接して前記枠本体の移動を規制する規制部を有し、前記規制部が、前記挟持片の長辺方向の他端から外方に突出していることを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の器具取付枠において、前記挟持片の長辺方向に沿った長さは、前記壁孔の幅と同一幅又は短い幅に形成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の器具取付枠において、前記規制部は、前記壁孔の角部の内側に配置されるように複数設けられるとともに、各規制部は、前記角部を形成する隣り合う内側面に当接することを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、壁材の裏側に簡単に配置することができるとともに、壁材の裏側での移動を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の器具取付枠、及び器具保持枠を示す斜視図。
【図2】(a)は器具取付枠を示す正面図、(b)は図2(a)の2b−2b線断面図。
【図3】器具取付枠を壁材の裏側に配置した状態を示す正面図。
【図4】器具取付枠を壁材の裏側に配置した状態を示す図3の4−4線断面図。
【図5】(a)は器具取付枠を壁材に押し付けた状態を示す正面図、(b)は罫書用突起を壁材に食い込ませた状態を示す断面図、(c)は壁材に表示された突起跡及び罫書線を示す正面図。
【図6】器具取付枠に器具保持枠を組み付けた状態を示す斜視図。
【図7】配線器具を壁材に設置した状態を示す断面図。
【図8】(a)は背景技術の挟み金具を示す正面図、(b)は背景技術における仮止め具を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。
図1に示すように、器具取付枠11は、壁材Wに配線器具Hを設置するために、壁材Wに形成された壁孔Waを介して壁材Wの裏側に配置されて使用されるものである。なお、壁孔Waは、縦長四角形状をなし、四つの内側面である上側面W1、下側面W2、右側面W3、及び左側面W4によって囲み形成されている。
【0015】
器具取付枠11の枠本体12は、合成樹脂材料により縦長のコ字状に形成されるとともに、上下に対向する挟持片13と、両挟持片13の長辺方向の一端部(図1では左端部)同士を連結する連結片14とからなる。枠本体12は、連結片14の長辺方向が長辺方向となり、挟持片13の長辺方向が枠本体12の短辺方向となる。また、一対の挟持片13と、連結片14とから、枠本体12の内側に、開口部15が囲み形成されている。図3に示すように、開口部15は、両挟持片13の長辺方向の他端側(図3では右端側)が、開放されている。
【0016】
開口部15の長辺方向への長さL1は、壁孔Waの長辺方向への長さN1より短くなっている。また、開口部15の短辺方向への長さL2も、壁孔Waの短辺方向への長さN2より短くなっている。また、枠本体12において、連結片14の長辺方向への長さT1は、壁孔Waの長辺方向への長さN1より長く、枠本体12において、挟持片13の長辺方向への長さT2は、壁孔Waの開口幅、すなわち短辺方向への長さN2と同じになっている。
【0017】
枠本体12において、縦長のコ字状をなす前面(一側面)全体のうち、挟持片13の開口部15側の縁部を除いた部位は、壁材Wの裏側から壁材Wの裏面に当接する当接面12aとなっている。この当接面12aは縦長のコ字状をなすとともに、壁材Wの裏面において、壁孔Waの周縁、詳細には、上側面W1、下側面W2、及び左側面W4に沿った縁部に当接するようになっている。図1、図2(a)及び(b)に示すように、両挟持片13の前面(枠本体12の前面)には、薄板状をなす係止突部17が一対ずつ前方へ突設されるとともに、各係止突部17は弾性変形可能になっている。上側の各係止突部17の先端には、爪片17aが上方に向かうに従い尖るように形成されるとともに、下側の各係止突部17の先端には、爪片17aが下方に向かうに従い尖るように形成されている。
【0018】
両挟持片13の前面(枠本体12の前面)において、挟持片13の長辺方向に沿った各係止突部17の外側には、薄板状をなす規制部としての第1の規制突部18a及び第2の規制突部18bが前方に向けて突設されている。第1及び第2の規制突部18a,18bはそれぞれ矩形板状をなし、その長辺方向が、挟持片13の長辺方向(左右方向)へ延びるとともに、短辺方向が、枠本体12に対する前後方向へ延びるように形成されている。各挟持片13に形成された第1の規制突部18aと、第2の規制突部18bとは、それぞれ挟持片13の長辺方向へ延びる同一平面S上に位置している。さらに、第1及び第2の規制突部18a,18bの短辺方向への長さ(当接面12aからの突出長さ)は、壁材Wの厚み(壁孔Waの厚み)より短くなっている。
【0019】
第1の規制突部18aは、各挟持片13の長辺方向一端(左端)側に形成されるとともに、第2の規制突部18bは、各挟持片13の長辺方向他端(右端)側に形成されている。詳細には、第1の規制突部18aは、各挟持片13の長辺方向の一端よりも連結片14の幅分だけ内寄りに形成されている。一方、第2の規制突部18bは、各挟持片13の長辺方向の他端を外方に越えて突出するように形成されている。
【0020】
図2(a)及び図3に示すように、上側の第1及び第2の規制突部18a,18bの上面と、下側の第1及び第2の規制突部18a,18bの下面との間の距離K1は、壁孔Waの長辺方向への長さN1より僅かに短くなっている。さらに、第1の規制突部18aの外側端(左側端)と第2の規制突部18bの外側端(右側端)間の距離K2は、壁孔Waの短辺方向への長さN2より僅かに短くなっているとともに、挟持片13の長辺方向への長さT2と同じになっている。
【0021】
そして、各挟持片13の第1の規制突部18aと第2の規制突部18bを、挟持片13の長辺方向へ延びる一纏まりの規制部材Rと想定とした場合、挟持片13と同じ長さの規制部材Rが、挟持片13の長辺方向に沿って位置ずれした位置に配置されている。詳細には、規制部材Rは、挟持片13の長辺方向に沿って連結片14の幅分だけ内側へ位置ずれした位置に配置されている。また、第1及び第2の規制突部18a,18bを壁孔Wa内に挿入したとき、各規制突部18a,18bは、壁孔Waの各角部の内側に位置するようになっている。
【0022】
両挟持片13の長辺方向一端側に設けられた第1の規制突部18aの前面において、長辺方向の外側端(左側端)の上下それぞれには罫書用突起18cが前方に向けて突設されている。また、両挟持片13の長辺方向他端側に設けられた第2の規制突部18bの前面において、その長辺方向の外側端(右側端)の上下それぞれには罫書用突起18cが前方に向けて突設されている。各罫書用突起18cは、三角錐状をなし、前方に向かうに従い尖るように形成されている。そして、四つの規制突部18a,18bを壁孔Wa内に挿入したとき、各罫書用突起18cは、壁孔Waの各角部の内側に位置するようになっている。
【0023】
各挟持片13において、左右に隣り合う一対の係止突部17の間には、螺入孔19が枠本体12を厚み方向に貫通して形成されている。この螺入孔19には、ナット(図示せず)が、枠本体12の厚み方向へ移動不能に嵌入されるとともに、このナットにより螺入孔19の内周面に雌ねじが形成されている。よって、本実施形態では、螺入孔19及びナットにより取着部が形成されている。そして、枠本体12に、係止突部17、第1及び第2の規制突部18a,18b、及び螺入孔19が形成されて器具取付枠11が形成されている。
【0024】
次に、配線器具Hを保持する器具保持枠20について説明する。
図1に示すように、器具保持枠20は、縦長の四角枠状に形成されるとともに、器具保持枠20の内側には、縦長四角形状の保持孔21が形成されている。なお、器具保持枠20の長辺方向への長さM1は、壁孔Waの長辺方向への長さN1より長くなっている。一方、器具保持枠20の短辺方向への長さM2は、壁孔Waの短辺方向への長さN2より短くなっている。器具保持枠20の上下両部には、横長の挿通孔22が器具保持枠20を厚み方向に貫通して形成されている。
【0025】
次に、器具取付枠11及び器具保持枠20を用いて配線器具Hを壁材Wに設置する方法について説明する。
まず、図5(a)及び(b)に示すように、壁材Wの表面において、壁孔Waを形成する位置に、四つの罫書用突起18cが壁孔Waの四つの角部の内側に位置するように器具取付枠11を配置し、器具取付枠11を壁材Wの表面に押し付けて四つの罫書用突起18cを壁材Wの表面に食い込ませる。図5(c)に示すように、器具取付枠11を壁材Wから取り外すと、四つの罫書用突起18cが食い込んだ位置それぞれに突起跡Pが形成される。そして、四つの突起跡Pを直線状の罫書線Qで結ぶと、壁孔Waの外形線が壁材Wに罫書かれる。その後、罫書線Qに沿って壁材Wを切除することにより壁材Wに壁孔Waが穿設される。
【0026】
次に、図6に示すように、配線器具Hを器具保持枠20の保持孔21に保持させるとともに、器具保持枠20の上側の挿通孔22にビス23を挿通する。そして、このビス23を、器具取付枠11の上側の螺入孔19に挿入するとともに、ナットに螺入し、器具取付枠11と器具保持枠20を仮固定する。すると、器具取付枠11と器具保持枠20は、それぞれビス23を回動軸として互いに回動自在に連結される。さらに、各配線器具HにケーブルKを接続する。
【0027】
そして、器具保持枠20を壁材Wの表側に配置しつつ、器具取付枠11のみを壁孔Waを通過させる。このとき、ビス23を回動中心として器具取付枠11を回動させ、壁孔Waの開口縁を開口部15内に位置させるようにし、器具取付枠11を壁孔Waを通過させる。そして、器具取付枠11が壁材Wの裏側に配置されると、器具保持枠20は、壁材Wの表側に配置されるとともに、ビス23により、器具取付枠11は壁材Wの裏側に支持される。
【0028】
続いて、壁材Wの裏側で、器具取付枠11の当接面12aを壁材Wの裏面に当接させるとともに、四つの規制突部18a,18bを壁孔Wa内に挿入する。図3に示すように、上側の第1及び第2の規制突部18a,18bにおいては、右側の第2の規制突部18bは、上面が壁孔Waの上側面W1に当接するとともに、右側端が、上側面W1に隣り合う右側面W3に当接する。左側の第2の規制突部18bは、上面が壁孔Waの上側面W1に当接するとともに、左側端が、上側面W1に隣り合う左側面W4に当接する。
【0029】
下側の第1及び第2の規制突部18a,18bにおいては、右側の第2の規制突部18bは、下面が壁孔Waの下側面W2に当接支持されるとともに、右側端が、下側面W2に隣り合う右側面W3に当接する。左側の第1の規制突部18aは、下面が壁孔Waの下側面W2に当接支持されるとともに、左側端が、下側面W2に隣り合う左側面W4に当接する。
【0030】
そして、四つの規制突部18a,18bが壁孔Waに挿入された状態では、下側の第1及び第2の規制突部18a,18bが、壁孔Waの下側面W2に支持されることにより、器具取付枠11が壁材Wに位置決めされる。この位置決め状態では、枠本体12の当接面12aのうち、両挟持片13での当接面12aが、壁孔Waの上下両縁部に当接するとともに、連結片14での当接面12a全体が、壁孔Waの左縁部に当接している。また、器具取付枠11の開口部15が、壁孔Waから壁材Wの表側に臨むとともに、螺入孔19も壁孔Waから壁材Wの表側に臨んでいる。
【0031】
さらに、図4に示すように、上側の係止突部17の各爪片17aを、壁孔Waの上側面W1に食い込ませて係止させるとともに、下側の係止突部17の各爪片17aを、壁孔Waの下側面W2に食い込ませて係止させる。すると、各爪片17aの係止により、器具取付枠11が壁材Wの裏側へ落下することが規制される。
【0032】
続いて、図7に示すように、器具取付枠11に対し、上側のナットに螺入されたビス23をさらに螺入する。また、器具保持枠20の下側の挿通孔22に対し、ビス23を挿通するとともに、そのビス23を器具取付枠11の下側の螺入孔19のナットに螺入する。そして、両ビス23を増締めすると、ビス23のナットへの螺進に伴い器具保持枠20が壁材Wに引寄せられるとともに、器具取付枠11の両挟持片13と、器具保持枠20の上下両部との間に壁材Wが挟持される。ビス23のナットへの螺入により、配線器具Hが壁材Wの表側に設置されることで、器具取付枠11が壁材Wの裏側に設置される。このとき、枠本体12の当接面12aが、壁材Wの裏面における壁孔Waの周縁部に当接する。
【0033】
次に、器具取付枠11の作用について説明する。
器具取付枠11において、挟持片13の長辺方向への長さT2は、壁孔Waの幅(短辺方向への長さN2)と同じになっている。このため、器具取付枠11を壁孔Waを通過させる作業が容易に行われる。また、四つの規制突部18a,18bが壁孔Waに挿入された状態では、各規制突部18a,18bが壁孔Waの四つの内側面W1〜W4に当接する。このため、枠本体12に対し、上下左右のいずれかの方向へ移動させる力が作用しても、各規制突部18a,18bそれぞれが移動方向の先にある内側面W1〜W4に当接し、枠本体12の上下左右方向への移動が規制される。その結果、器具取付枠11が、開口部15及び螺入孔19が壁材Wの表側に臨む位置で位置決めされるため、器具取付枠11のナットに対するビス23の螺入作業を容易に行うことができる。
【0034】
また、二つの挟持片13において、第1の規制突部18aと第2の規制突部18bとからなる規制部材Rの長辺方向への長さは、壁孔Waの幅(短辺方向への長さN2)と同じになっている。また、規制部材Rは、挟持片13の長辺方向に沿って他端寄りに位置ずれして配置されている。このため、四つの規制突部18a,18bが壁孔Waの内側面W1〜W4に当接した状態では、連結片14全体が壁孔Wa裏面に当接し、連結片14が壁孔Wa内に露出することが回避される。
【0035】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)器具取付枠11において、枠本体12を、一対の挟持片13と、挟持片13の一端部同士を連結する連結片14とから、コ字状に形成した。このため、器具取付枠11が有底四角箱状に形成される場合と比べると、枠本体12の開口部15を利用することで、壁孔Waに対し器具取付枠11を通過させる作業を容易に行うことができ、結果として器具取付枠11を壁材Wの裏側に簡単に配置することができる。
【0036】
(2)器具取付枠11において、挟持片13の長辺方向への長さT2は、壁孔Waの幅(短辺方向への長さN2)と同じになっている。このため、器具取付枠11を挟持片13の長辺方向に沿って挿入したとき、挟持片13の長辺方向への長さT2が、壁孔Waの幅より長い場合と比べると、壁孔Waに対し器具取付枠11を通過させる作業を容易に行うことができる。
【0037】
(3)器具取付枠11において、各挟持片13の長辺方向一端側に第1の規制突部18aを形成するとともに、他端側に第2の規制突部18bを形成した。そして、第1及び第2の規制突部18a,18bを壁孔Waに挿入すると、各規制突部18a,18bが壁孔Waの四つの内側面W1〜W4に当接し、この当接により器具取付枠11の上下左右方向への移動を規制し、開口部15が壁孔Waに臨む位置で簡単に位置決めすることができる。
【0038】
(4)器具取付枠11において、各挟持片13の長辺方向一端側に第1の規制突部18aを形成するとともに、他端側に第2の規制突部18bを形成した。また、第1の規制突部18aを、連結片14の幅分だけ内寄りに配置し、第2の規制突部18bを挟持片13の他端より外方に突出して配置した。そして、第1の規制突部18aと第2の規制突部18bを一つの規制部材Rとした場合、規制部材Rは、挟持片13の長辺方向に沿って他端側に位置ずれした位置に配置されている。このため、規制部材Rの両外側端が、壁孔Waの右側面W3及び左側面W4に当接した状態では、連結片14での当接面12a全体が壁材Wに当接し、壁孔Wa内に連結片14が露出していない。よって、第1及び第2の規制突部18a,18bの配置を設定することで、器具取付枠11が壁孔Waを狭めることが防止できる。
【0039】
(5)器具取付枠11において、第1の規制突部18aを、挟持片13の一端より内寄りに配置し、第2の規制突部18bを挟持片13の他端より外方に突出して配置した。そして、左右一組の第1の規制突部18aと第2の規制突部18bを一つの規制部材Rとした場合、規制部材Rは、挟持片13の長辺方向に沿って他端側に位置ずれした位置に配置されている。このため、規制部材Rの両外側端が、壁孔Waの右側面W3及び左側面W4に当接した状態では、壁材Wの裏面に対し、挟持片13での当接面12a、及び連結片14での当接面12aが当接する。このため、配線器具Hを操作することに伴い、器具取付枠11を壁材Wに押し付ける力が作用しても、その力を枠本体12の三辺(一対の挟持片13と、連結片14)で受承することができ、器具取付枠11が損傷することを防止することができる。
【0040】
(6)第1及び第2の規制突部18a,18bは、各挟持片13に一つずつ突設されている。このため、四つの規制突部18a,18bは壁孔Waの上側面W1と下側面W2寄りに配置することができ、四つの規制突部18a,18bが壁孔Waを大きく邪魔することがなく、第1及び第2の規制突部18a,18bが、配線器具H設置の妨げになることを防止することができる。
【0041】
(7)第1及び第2の規制突部18a,18bは、各挟持片13に一つずつ突設され、連結片14には規制突部18a,18bが形成されていない。このため、連結片14が、壁孔Wa内に位置することがなく、壁孔Waの短辺方向が器具取付枠11によって狭められることを防止することができる。
【0042】
(8)第1及び第2の規制突部18a,18bは、各挟持片13に一つずつ突設され、連結片14には規制突部18a,18bが形成されていない。このため、枠本体12をコ字状に形成して右側方を開放させることができる。したがって、枠本体12に四つの規制突部18a,18bを形成しつつも、器具取付枠11をコ字状に形成することが可能になり、器具取付枠11を壁孔Waを簡単に通過させることができ、器具取付枠11を壁材Wの裏側に簡単に配置することができる。
【0043】
(9)枠本体12には、係止突部17が形成されるとともに、この係止突部17は、壁孔Waの上側面W1及び下側面W2に係止する。このため、ビス23を器具取付枠11の螺入孔19に螺入する際、器具取付枠11に壁材Wの裏側へ押す力が作用しても、係止突部17の係止により器具取付枠11の壁材Wの裏側への移動を規制することができる。したがって、ビス23の螺入作業時に、器具取付枠11を手で押さえて壁材Wの裏側へ移動することを規制する必要がなく、ビス23の螺入作業を簡単に行うことができる。
【0044】
(10)器具取付枠11の枠本体12には、第1及び第2の規制突部18a,18bに加え、罫書用突起18cが形成されている。このため、第1及び第2の規制突部18a,18bにより器具取付枠11を位置決めすることができるとともに、罫書用突起18cにより壁材Wに壁孔Waを穿設する作業を簡単に行うことができる。そして、罫書用突起18cは、第1及び第2の規制突部18a,18bの前面に形成されており、第1及び第2の規制突部18a,18bが壁孔Waに挿入されると、壁材Wに食い込むことなく壁孔Wa内に配置される。したがって、罫書用突起18cが壁材Wの裏側での器具取付枠11の配置の妨げになることがない。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、第1及び第2の規制突部18a,18bに罫書用突起18cを設けたが、罫書用突起18cは無くてもよい。
【0046】
○ 実施形態では、枠本体12に係止突部17を設けたが、係止突部17は無くてもよい。
○ 実施形態では、枠本体12に第1及び第2の規制突部18a,18bに加え、係止突部17を別体で設けたが、第1及び第2の規制突部18a,18bのみを形成するとともに、各規制突部18a,18bに爪片を突設して、その爪片を壁孔Waの内側面に係止させ、各規制突部18a,18bが係止部を兼ねる構成としてもよい。
【0047】
○ 実施形態では、第1の規制突部18aを連結片14の幅分だけ内寄りとなるように挟持片13に形成したが、第1の規制突部18aは連結片14に跨る位置に形成されていてもよい。
【0048】
○ 実施形態では、規制部として四つの規制突部18a,18bに具体化したが、規制部をコ字状をなす突条に具体化してもよい。この突条は、上下両挟持片13及び連結片14に跨って延びるように形成される。この突条の両先端は、挟持片13の他端から外方に突出している。そして、突条の上面が壁孔Waの上側面W1に当接するとともに、突条の下面が壁孔Waの下側面W2に当接する。さらに、突条の左側面が壁孔Waの左側面W4に当接するとともに、突条の上下両先端が、壁孔Waの右側面W3に当接する。
【0049】
○ 実施形態では、規制部として四つの規制突部18a,18bに具体化したが、上下右側の第2の規制突部18bのいずれか一つを削除し、三つの規制突部18a,18bとしてもよい。このように構成しても、右側の一つの第2の規制突部18bが、壁孔Waの右側面W3に当接し、残りの左側二つの第1の規制突部18aが、壁孔Waの上側面W1、下側面W2、及び左側面W4に当接するため、三つの規制突部18a,18bが壁孔Waの四つの内側面W1〜W4に当接する。
【0050】
○ 実施形態では、枠本体12における挟持片13の長辺方向に沿った長さT2を、壁孔Waの幅(短辺方向に沿った長さN2)と同じにしたが、枠本体12における挟持片13の長辺方向に沿った長さT2を、壁孔Waの幅より短くしてもよい。
【0051】
○ 実施形態では、器具取付枠11を、取着部としての螺入孔19及びナットを上下一対備えるタイプに具体化したが、器具取付枠11を、枠本体12を短辺方向に延長し、取着部を上下二対以上備えるタイプに変更してもよい。
【0052】
○ 実施形態では、配線器具Hを壁材Wに設置する際、ビス23によって器具取付枠11と器具保持枠20を組み付けた状態で、器具取付枠11を壁材Wの裏側に配置するようにしたが、これに限らない。すなわち、器具取付枠11と器具保持枠20を組み付けず、器具取付枠11のみを壁材Wの裏側に配置し、その後、ビス23によって器具取付枠11に器具保持枠20を組み付けてもよい。
【0053】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記挟持片の長辺方向一端側に形成された規制部は、前記連結片の幅分だけ枠本体の内寄りに配置されるとともに、前記挟持片の長辺方向に沿った両規制部の外側端間の距離は前記壁孔の幅と同じに設定されている請求項3に記載の器具取付枠。
【0054】
(ロ)前記壁孔の内側面に係止するとともに弾性変形可能な係止突部を前記一側面に備える請求項1〜請求項3、及び技術的思想(イ)のうちいずれか一項に記載の器具取付枠。
【符号の説明】
【0055】
H…配線器具、W…壁材、Wa…壁孔、W1〜W4…壁材の内側面、11…器具取付枠、12…枠本体、12a…当接面、13…挟持片、14…連結片、18a…規制部としての第1の規制突部、18b…規制部としての第2の規制突部、19…取着部を形成する螺入孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線器具を取着するための取着部を枠本体に少なくとも一対備え、壁材に四角形状に形成された壁孔を介して前記壁材の裏側に配置されるとともに、前記取着部を用いて前記配線器具が前記壁材に設置されることで、前記壁材の裏側に設置される器具取付枠であって、
前記枠本体が、一対の挟持片、及び該挟持片の長辺方向の一端部を連結する連結片からなるとともに、前記挟持片の他端側が開放されたコ字状に形成されており、
前記枠本体の一側面に、前記壁材の裏面における前記壁孔の周縁に当接する当接面を有するとともに、
前記一側面から立設され、前記壁孔の四つの内側面に当接して前記枠本体の移動を規制する規制部を有し、
前記規制部が、前記挟持片の長辺方向の他端から外方に突出している器具取付枠。
【請求項2】
前記挟持片の長辺方向に沿った長さは、前記壁孔の幅と同一幅又は短い幅に形成されている請求項1に記載の器具取付枠。
【請求項3】
前記規制部は、前記壁孔の角部の内側に配置されるように複数設けられるとともに、各規制部は、前記角部を形成する隣り合う内側面に当接する請求項1又は請求項2に記載の器具取付枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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