説明

器具追跡コンテナーおよび方法

【課題】医療器具を保管および追跡するための準備をするシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、一つ以上の医療器具をコンテナーに関連付け、その関連をコンテナーと関連付けられた制御システム内に記憶する過程であって、医療器具の各々は、その医療器具自体に関する情報を含む機械が読み取り可能な識別タグを帯びている、記憶する過程と、タグ読取器を用いてコンテナーの中身を問い合わせて、どの器具がコンテナー内にあるかを識別する過程と、コンテナーが、そのコンテナーに関連付けられた器具の各々を、かつ、そのコンテナーに関連付けられた器具のみを、収容しているか否かを判定し、その判定結果を利用者に出力する過程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、医療器具のコンテナー内での保管に関し、より詳しく言うと、適正な器具がコンテナー内に保管されていることの保証に関する。
【0002】
〔背景技術〕
医療器具は、一般に、コンテナー内に保管される。これらのコンテナーは、滅菌トレーと、浸漬コンテナーと、を含んでいることがある。より詳しく言うと、具体的な医療手技で用いるために設計された複数の器具、すなわち、手技セット、を収容したコンテナーでは、必要な器具のすべてを備えることが重要であり、そして、一回の手技が終了した後に、再使用可能な器具のすべてをコンテナー内に戻すことが望ましい。これは、一つの難題であることがあり、典型的には、器具の一覧が記載された用紙を用いて達成され、その用紙は、器具が収容されるときにチェックされる。器具が手技の後に戻されたことのチェックは、手技の間に人員が直面する他の関心事に起因して、なおいっそう難題である。
【0003】
〔発明の概要〕
本発明は、従来技術のこれらのおよびその他の限界を克服する。
【0004】
システムは、本発明に基づけば、医療器具を保管および追跡する準備をする。そのシステムは、コンテナーに関連付けられた少なくとも一つの医療器具を保管するためのコンテナーを含む。医療器具の各々は、その医療器具に関する情報を含む機械が読み取り可能な識別タグを帯びている。タグ読取器が、コンテナーに関連付けられていて、制御システムが、タグ読取器と連結されていて、その制御システムは、タグ読取器によって読み取られた情報を予めプログラムされたデータと比較して、少なくと一つの器具をコンテナーと符合させる。
【0005】
好ましくは、制御システムは、出力装置をさらに含み、その出力装置は、タグからの読み取られた情報および予めプログラムされたデータに基づいて、少なくとも一つの器具がコンテナーに属するか否かを表示する。
【0006】
本発明のある態様では、複数の器具が、コンテナーに関連付けられていて、制御システムは、すべての器具がコンテナー内に適正に配置されているか否かを検出するようにプログラムされている。好ましくは、制御システムは、すべての器具がコンテナー内に適正に配置されているか否かを利用者に通知するための出力装置をさらに含み、コンテナーに関連付けられた一つ以上の器具がコンテナー内に配置されていない場合、その出力装置は、どの器具がコンテナーに配置されていないかをさらに列挙する。また、好ましくは、コンテナーに関連付けられていない一つ以上の器具がコンテナー内で検出された場合、出力装置は、どの器具がコンテナー内に不適正に配置されているかをさらに列挙する。
【0007】
本発明のある態様では、器具の各々は、その種類で識別される。この種類には、「鉗子」のような大まかな種類が含まれることがあり、もしくは、より具体的に、鉗子の、寸法、および、具体的な種類または形状、が含まれることもある。器具の各々は、さらに、または、その代わりに、他の器具と共有しない独自の識別子で識別されることもある。この識別子による識別は、内視鏡などのより複雑な器具では最も有用であるだろう。
【0008】
好ましくは、タグは、RFIDタグを含み、タグ読取器は、RFIDタグ読取器を含む。タグ読取器は、コンテナーの表面に配置されていてよく、または、小型のハンドヘルドの装置のような別個の装置であってコンテナーの近くに保管できるものであってもよい。
【0009】
方法は、本発明に基づけば、医療器具を保管および追跡するための準備をする。その方法は、一つ以上の医療器具をコンテナーと関連付け、その関連をコンテナーに関連付けられた制御システム内に記憶する過程であって、医療器具の各々は、その医療器具自体に関する情報を含む機械が読み取り可能な識別タグを帯びている、記憶する過程と、タグ読取器を用いてコンテナーの中身を問い合わせて、どの器具がそのコンテナー内に配置されているかを識別する過程と、コンテナーが、そのコンテナーと関連付けられた器具の各々を、かつ、そのコンテナーと関連付けられた器具のみを、収容しているかを判定し、その判定結果を利用者に出力する過程と、を含んでいる。
【0010】
複数の器具がコンテナーに関連付けられている場合、本発明の方法は、好ましくは、すべての器具が適正にコンテナー内に配置されているか否かを利用者に通知する過程を含み、さらに、コンテナーに関連付けられた一つ以上の器具がコンテナー内に配置されていない場合、どの器具がコンテナー内に配置されていないかを利用者に通知する過程と、を含む。コンテナーに関連付けられていない一つ以上の器具がコンテナー内で検出された場合、本発明の方法は、好ましくは、どの器具が不適正にコンテナー内に配置されているかを利用者に通知する過程を含む。
【0011】
本発明のある態様では、器具は、医療手技用に設計されたセットを構成し、本発明の方法は、そのセットの器具の各々が医療手技の前にコンテナー内に配置されていることを確かめる過程を含む。さらに、本発明の方法は、再使用可能なセット中の器具の各々が医療手技の後にコンテナー内に戻されていることを確かめる過程を含む。セット中のいくつかの器具は、手術前の収容する間にセット中に包含するためにタグが付けられているが、手技後には廃棄されるように設計されていることがあり、そのような器具は、コンテナーに戻ることを追跡する必要はない。
【0012】
〔発明の詳細な説明〕
図1は、医療器具12が医療手技で用いられた後に、医療器具12を浸漬するように構成されたコンテナー10を開示している。コンテナー10は、水盤14と、水盤14にうまく嵌る蓋16と、を含んでいる。水盤14は、好ましくは、液密であり、一つ以上の手術器具12を収容し、充填ライン20まで浸漬溶液18を収容するように寸法決めされている。好ましくは、蓋16も液密であり、しっかりと嵌り、蓋16が水盤14の上に配置されたときにコンテナー10が液密になって、浸漬溶液18が容易にこぼれることがないようにされている。
【0013】
コンテナー10の表面に設けられた浸漬表示器システム22が、十分な浸漬時間が器具12に提供され終えたか否かを判定するのを援助する。このシステム22は、概して、溶液18の適正な深さを検出するために充填ライン20に設けられた充填センサー24と、蓋16が適正に閉じられたことを検出するための蓋閉鎖センサー26と、溶液18が充填ライン20に到達した状態で蓋16が閉じられている時間を計るためのタイミング機能を有するデータロガー28と、を含んでいる。簡単な形態では、浸漬表示器システム22は、充填センサー24としての水分センサーと、蓋閉鎖センサー26としての接触スイッチと、データロガーとしての簡単なカウントダウンタイマーと、を用いていて、カウントダウンタイマーは、充填センサー24および蓋閉鎖センサー26が作動すると時間を計り始め、次に、LED27を点灯するなどによって、予め決められた浸漬時間の終了時に表示を出力する。例えば、赤色LEDは、浸漬サイクルがいまだに完了していないことを、緑色LEDは、浸漬サイクルが完了したことを、好ましくは、各LEDに対するラベルと共に、表示する場合がある。もちろん、より洗練されたシステムが用いられてもよい。
【0014】
蓋16の一つの重要な特徴は、スクリーン30であり、そのスクリーン30は、蓋16の下に配置されていて、蓋16が閉じられたときに、充填ライン20に、または、充填ライン20より下に、位置する。スクリーン30は、浮力のある器具12が溶液18の高さより上に浮き上がることがないことを保証して、器具のある部分が適正な浸漬を免れることがないようにする。好ましくは、スクリーン30は、スタンドオフ32上に支持されている。経済的なおよび構造上の理由で、スタンドオフ32の一つは、蓋閉鎖センサー26と噛合うように構成されている。さらに、スタンドオフ32は、シール34を帯びていて、シール34は、例えば、シリコーン製であり、蓋16が閉じられたときにコンテナー16を圧迫して、漏れのない構成を維持するのを援助する。シール34は、蓋16の別の場所に、すなわち、蓋16が水盤14と接触するところに、配置されていてもよい。図示されていない一つ以上のラッチが、蓋16を閉じた状態に保つために、設けられていてもよい。
【0015】
より洗練されたデータロガー40が、図2に示されている。データロガー40は、浸漬コンテナー10の壁に取り付けられていて、充填センサー22および蓋閉鎖センサー26を組み込んでいて、それらセンサーの各々は直列にコントローラ42と接続されている。
【0016】
コントローラ42は、蓋閉鎖センサー26および液体充填センサー22の両方が閉じたときにのみ、高入力信号を受け取る。コントローラ42へ供給される高入力信号は、コントローラ42内の浸漬タイマーを開始する。好ましくは、センサー24およびセンサー26の状態、ならびに、浸漬期間のようなその他の情報、はLEDまたはLCDディスプレイのような、ディスプレイ44上に表示される。ディスプレイ44は、正規の浸漬が完了するまでの残り時間を示す、カウントダウンタイマー出力をも含んでいてよい。好ましくは、ディスプレイ44は、十分な液体が存在するか否か、および、蓋が適正に閉じられているか否か、に関するいくつかの情報をさらに提供する。浸漬期間の間、蓋が開かれた場合、または、液体の高さが最低充填ラインを下回った場合、カウントダウンタイマーは、リセットされる。浸漬サイクルの満足のいくような完了が、ディスプレイ44上に表示される。
【0017】
さらに、浸漬サイクルに関する情報は、さらに処理するために、遠隔のベースステーションのホスト46へ伝達される。そのような情報は、浸漬時間、完了時刻、などを含む。ホスト46への情報の伝達は、USBリンク48、RFトランシーバー50、RFID(図示されていない)、または、手作業での入力、などの複数の方法で行われてよい。
【0018】
ベースステーションおよび必要に応じて用いられるハンドヘルドの装置52(図3)との通信を行うために、RFトランシーバー50を用いる場合には、通信は、通信周波数および/または電力を調節することによって、レンジコントローラ54を介して、制御される。データロガーコントローラ42は、データを符号化して、そのデータをコントローラ42のトランシーバー50を介してアンテナ56を用いて送信する。ベースステーション46およびハンドヘルドの装置52の同様の装置が、アンテナ56からの信号を受信し、データを復号する。好ましくは、データロガーは、ベースステーション46およびハンドヘルドの装置52と、各々、高周波数のRFおよび低周波数のRFを用いて、通信を行い、ベースステーション46はハンドヘルドの装置52と低周波数のRF通信を介して通信を行う。
【0019】
伝送されたデータは、独自のコンテナー識別子、浸漬時間、利用者情報、器具リスト、流体の高さ、流体の種類、蓋の状態、コンテナーの使用記録、器具、器具の使用記録、および、洗浄、消毒、または、滅菌、を含む器具処理方法の記録、など、を含んでいてよい。その情報は、視覚的にまたは電子的に、局所でまたは遠隔で、通信されてよい。その情報を目視するまたは検索することによって、利用者は、コンテナーが十分な流体を収容しているか否か、どの種類の流体がコンテナー内に収容されているか、蓋が適正に閉じられているか否か、器具が十分長い時間に亘って浸漬されたか否か、コンテナーの持ち主、コンテナーの履歴、コンテナー内の器具、器具の個数、器具の履歴、浸漬後の次の処理ステップ、などを知ることができる。次のステップは、さらに洗浄するステップ、汚染除去ステップ、消毒ステップ、または、滅菌ステップ、であってよい。汚染除去、消毒、または、滅菌は、低温プロセスまたは高温プロセスのいずれであってもよい。次のステップでは、具体的な、洗浄器、汚染除去器、または、洗浄器/汚染除去器、が用いられてよい。
【0020】
情報量が少ない場合には、ディスプレイ44できっと十分であろう。より豊富な量の情報が扱われる場合には、ハンドヘルドの装置52が好ましい。ハンドヘルドの装置は、理想的には、コンテナーのトランシーバー50と直接通信を行う。ブルートゥース(Bluetooth)またはウィフィー(WiFi)のような既存の通信プロトコルが好ましいが、本発明は、そのような通信プロトコルに必ずしも限定されない。
【0021】
器具の種類、個数、ID番号、などのような、器具12に関する情報は、コンテナー10の表面に設けられたキーパッドまたは入力装置のいずれかを用いて手作業で入力されてよいが、より好ましくは、ハンドヘルドの装置52を介して入力される。より好都合な方法は、RFIDタグ60(図1)のような機械が読み取り可能なタグを各器具12につけることであろう。その場合、データロガー40内に組み込まれたまたはハンドヘルドの装置52内に組み込まれたRFIDタグ読み取り器62が、自動的に情報を読み取り記録することができる。したがって、コンテナー10は、すべての以前に取り除かれた器具が適正にコンテナー10内に戻されたか否かについて利用者と通信を行うことができる。
【0022】
好ましくは、ディスプレイ44またはハンドヘルドの装置52は、いつすべての器具12がコンテナー10内に配置されたかを表示し、すべての器具12がコンテナー10内に配置されていない場合には、どの器具が配置されていないかを表示する。ディスプレイ44またはハンドヘルドの装置52は、間違った器具がコンテナー10内に配置されていないかをも表示してよい。コンテナー内の器具の自動化された追跡は、浸漬コンテナー10に限定される必要はなく、滅菌コンテナー、および、水蒸気または気体/プラズマ滅菌で用いられるトレー、で用いられてもよい。そのような場合には、そのような過酷な環境に耐えるように硬質のタグが用いられなければならない。特に、プラズマ滅菌装置内では、高起電力エネルギーが存在する可能性がある。
【0023】
手技の前にコンテナー10への積み込みを行う場合、器具の一覧がコンテナー10またはハンドヘルドの装置52へダウンロードされる場合があり、もしくは、一覧が予めコンテナー10またはハンドヘルドの装置52に記憶されていることもある。その場合、すべての器具がコンテナー内に適正に配置されると、利用者には、器具が適正に配置されたことの表示が提供され、器具が適正に配置されていない場合には、利用者は、どの器具が配置されていないかを通知される。いくつかの器具12が使い捨て式の場合には、システムは、使い捨て式の器具が手術後にコンテナー10に戻される必要がないように、プログラムされてよい。
【0024】
利用者は、コンテナー10の場所、コンテナー10の使用状況、コンテナー10内の器具12の使用状況、を追跡することもできる。それらの情報は、処理し記憶するために、遠隔のホスト46へ伝達されてよい。必要な場合には、ホスト46は、コンテナー情報を受け取ることができ、次に、必要な情報をハンドヘルドの装置52に送って、利用者にコンテナーの状態または情報を知らせることができる。
【0025】
器具12の種類に、または、器具12が用いられた手技の種類にさえもおそらく、応じて、浸漬する時間の長さが調節されてよい。浸漬溶液の種類および強さも調節されてよい。好ましくは、これらの調節は、オンボードコントローラ42によって自動的に決定されてよく、または、ハンドヘルドの装置52または遠隔のホスト46によって決定されて次にオンボードコントローラ42に通信されてよい。浸漬溶液の変更を伴う場合、その変更は、好ましくは、ディスプレイ44上にまたはハンドヘルドの装置52上に表示されることによって、利用者に通信される。
【0026】
使用時には、一つ以上の器具12が、水盤14内に配置される。典型的には、それらの器具は、それらの器具が手術手技またはその他の医療手技で使用され終えたときに、水盤14内に配置される。浸漬溶液18は、次に、それらの器具の上に注がれる。溶液18は、すべての器具12が水盤12内に配置されるまでは、最低充填ライン20まで上昇しないかもしれない。溶液18が最低充填ライン20に到達すると、充填センサー24がその到達を検出し閉状態になる。すべての器具12が水盤14内に配置され、十分な溶液18が加えられて最低充填ライン20に到達した後に、蓋16が閉じられる。蓋16が閉じられることによって、閉鎖センサー26が閉状態にされる。センサー24およびセンサー26の両方が閉状態のとき、データロガータイマーが作動を開始する。予め決められた時間に亘って作動した後に、完了の表示が、LED27の点灯によるなどして、提供される。
【0027】
さまざまな浸漬溶液18が、本発明で用いるのに適している。浸漬溶液18は、洗浄液、消毒薬、または、滅菌剤、である場合がある。好ましくは、浸漬溶液は、洗浄/消毒もしくは洗浄/滅菌の組み合わされた特徴を有している。あるよく知られた洗浄溶液は、アメリカ合衆国カリフォルニア州アーヴィン(Irvine, CA)のエチコン・インコーポレイテッド(Ethicon, Inc.)の一部門であるアドバンスト・ステライリゼーション・プロダクツ(Advanced Sterilization Products)から入手可能なエンゾル(ENZOL)酵素浸漬溶液である。それに代わって、過酸化水素の溶液(好ましくは、3重量%から10重量%、より好ましくは、4重量%から6重量%)が用いられてもよい。さらに別の選択枝は、過酸化水素を含み、好ましくは腐食防止剤および脂質溶解剤を組み込んだ、泡のような、泡を用いるものであることもある。泡は、質量がより少なく、充填されたコンテナーの取扱を容易にし、こぼす可能性を低減するという利点を有する。適切な泡は、2006年11月30日に出願された同時係属中の米国特許出願第11/565,126号に開示されていて、その米国特許出願の内容は、引用することによって、本明細書に組み込まれる。
【0028】
最短浸漬時間は、達成しようとする目的に応じて変わる。6%の過酸化水素の泡の中での浸漬では、5分が乾燥した血液を分解するのに十分であり、3%の過酸化水素の泡では、10分が十分である。そのような浸漬時間は、病院の全人員に関わるほとんどの共通する病原体を不活化するのにも十分である。
【0029】
泡の体積は時間の経過と共に減少することがある。したがって、泡を備えたコンテナーは、必要な高さまでコンテナー内の泡を再生するために、自動化されたトリガ機構を有していてもよい。そのトリガ機構は、コンテナーの液体がこぼされる底面に設けられた攪拌器であってもよい。その攪拌器は、モーターおよび電源によって駆動されてもよい。それに代わって、空気が泡の中にポンプで送り込まれてもよい。トリガ機構は、タイマー、または、流体高さセンサー、であってもよい。
【0030】
本発明が、好ましい実施の形態に関して記載された。明らかに、変形および変更が、上述された詳細な記載を読み理解することによって、他者には思いつくはずである。本発明が、そのような変形および変更が添付の特許請求の範囲の記載または特許請求の範囲の記載の等価物の範囲内にある限り、そのようなすべての変形および変更を含むものと解釈されることが、意図されている。
【0031】
〔実施の態様〕
この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
(1)医療器具を保管および追跡する保管追跡システムにおいて、
前記システムが、
コンテナーであって、前記コンテナーに関連付けられた少なくとも一つの前記医療器具を保管し、前記医療器具の各々が前記少なくとも一つの医療器具に関する情報を含む機械が読み取り可能な識別タグを帯びている、コンテナーと、
前記コンテナーに関連付けられたタグ読取器と、
前記タグ読取器に連結された制御システムであって、前記タグ読取器によって読み取られた情報を予めプログラムされたデータと比較して、前記少なくとも一つの器具を前記コンテナーと符合させる、制御システムと
を具備する、保管追跡システム。
(2)実施態様(1)に記載の保管追跡システムにおいて、
前記制御システムが、
前記タグからの読み取られた前記情報と前記予めプログラムされたデータとに基づいて、前記少なくとも一つの器具が前記コンテナーに属しているか否かを表示する出力装置、
をさらに含む、保管追跡システム。
(3)実施態様(1)に記載の保管追跡システムにおいて、
複数の器具が前記コンテナーに関連付けられていて、
前記制御システムが、前記器具のすべてが適正に前記コンテナー内に配置されているか否かを検出するようにプログラムされている、保管追跡システム。
(4)実施態様(3)に記載の保管追跡システムにおいて、
前記制御システムが、
前記器具のすべてが前記コンテナー内に適正に配置されているか否かを利用者に通知するための出力装置、
をさらに含む、保管追跡システム。
(5)実施態様(4)に記載の保管追跡システムにおいて、
前記コンテナーに関連付けられた一つ以上の前記器具が前記コンテナー内に配置されていない場合、前記出力装置が、どの器具が前記コンテナー内に配置されていないかをさらに列挙する、保管追跡システム。
(6)実施態様(4)に記載の保管追跡システムにおいて、
前記コンテナーに関連付けられていない一つ以上の器具がコンテナー内で検出された場合、前記出力装置が、どの器具がコンテナー内に不適正に配置されているかをさらに列挙する、保管追跡システム。
(7)実施態様(3)に記載の保管追跡システムにおいて、
前記器具の各々が、前記器具の各々の種類によって識別される、保管追跡システム。
(8)実施態様(3)に記載の保管追跡システムにおいて、
前記器具の各々が、独自の識別子によって識別される、保管追跡システム。
(9)実施態様(1)に記載の保管追跡システムにおいて、
前記タグが、RFIDタグを含み、
前記タグ読取器が、RFIDタグ読取器を含む、保管追跡システム。
(10)実施態様(1)に記載の保管追跡システムにおいて、
前記タグ読取器が、前記コンテナーの表面に配置されている、保管追跡システム。
【0032】
(11)実施態様(1)に記載の保管追跡システムにおいて、
前記タグ読取器が、前記コンテナーとは別個のユニットの表面に設けられている、保管追跡システム。
(12)医療器具を保管および追跡する方法において、
前記方法が、
一つ以上の前記医療器具をコンテナーと関連付け、前記医療器具および前記コンテナーの関連を、前記コンテナーと関連付けられた制御システム内に記憶する過程であって、前記医療器具の各々は、その医療器具自体に関する情報を含む、機械が読み取り可能な識別タグを帯びている、記憶する過程と、
タグ読取器を用いて前記コンテナーの中身を問い合わせて、どの器具が前記コンテナー内に配置されているかを識別する過程と、
前記コンテナーが、前記コンテナーと関連付けられた器具の各々を、かつ、前記コンテナーと関連付けられた前記器具のみを、収容しているか否かを判定し、判定結果を利用者に出力する過程と、
を具備する、方法。
(13)実施態様(12)に記載の方法において、
複数の前記器具が前記コンテナーに関連付けられていて、
前記方法が、
前記器具のすべてが前記コンテナー内に適正に配置されているか否かを前記利用者に通知する過程、
をさらに具備する、方法。
(14)実施態様(13)に記載の方法において、
前記方法が、
前記コンテナーに関連付けられた一つ以上の前記器具が前記コンテナー内に配置されていない場合、どの器具が前記コンテナー内に配置されていないかを前記利用者に通知する過程、
をさらに具備する、方法。
(15)実施態様(14)に記載の方法において、
前記方法が、
前記コンテナーに関連付けられていない一つ以上の器具が前記コンテナー内で検出された場合、どの器具が前記コンテナー内に不適正に配置されているかを前記利用者に通知する過程、
をさらに具備する、方法。
(16)実施態様(12)に記載の方法において、
前記一つ以上の器具の各々が、前記器具の種類で識別される、方法。
(17)実施態様(12)に記載の方法において、
前記一つ以上の器具の各々が、独自の識別子で識別される、方法。
(18)実施態様(12)に記載の方法において、
前記タグが、RFIDタグを含み、
前記タグ読取器が、RFIDタグ読取器を含む、方法。
(19)実施態様(12)に記載の方法において、
前記器具が、医療手技のために設計されたセットを構成し、
前記方法が、
前記セットの前記器具の各々が前記医療手技の前に前記コンテナー内に配置されていることを確かめる過程、
をさらに具備する、方法。
(20)実施態様(19)に記載の方法において、
前記方法が、
再使用可能な前記セットの前記器具の各々が前記医療手技の後に前記コンテナーへ戻されていることを確実にする過程、
をさらに具備する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のコンテナーの正面図である。
【図2】図1のコンテナーと共に用いるための通信システムのブロック図である。
【図3】図1のコンテナーおよび図2の通信システムと共に用いるためのハンドヘルドの装置のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具を保管および追跡する保管追跡システムにおいて、
前記システムが、
コンテナーであって、前記コンテナーに関連付けられた少なくとも一つの前記医療器具を保管し、前記医療器具の各々が、前記少なくとも一つの医療器具に関する情報を含む機械が読み取り可能な識別タグを帯びている、コンテナーと、
前記コンテナーに関連付けられたタグ読取器と、
前記タグ読取器に連結された制御システムであって、前記タグ読取器によって読み取られた情報を予めプログラムされたデータと比較して、前記少なくとも一つの器具を前記コンテナーと符合させる、制御システムと、
を具備する、保管追跡システム。
【請求項2】
請求項1に記載の保管追跡システムにおいて、
前記制御システムが、
前記タグからの読み取られた前記情報と前記予めプログラムされたデータとに基づいて、前記少なくとも一つの器具が前記コンテナーに属しているか否かを表示する出力装置、
をさらに含む、保管追跡システム。
【請求項3】
請求項1に記載の保管追跡システムにおいて、
複数の器具が前記コンテナーに関連付けられていて、
前記制御システムが、前記器具のすべてが適正に前記コンテナー内に配置されているか否かを検出するようにプログラムされている、保管追跡システム。
【請求項4】
請求項3に記載の保管追跡システムにおいて、
前記制御システムが、
前記器具のすべてが前記コンテナー内に適正に配置されているか否かを利用者に通知するための出力装置、
をさらに含む、保管追跡システム。
【請求項5】
請求項4に記載の保管追跡システムにおいて、
前記コンテナーに関連付けられた一つ以上の前記器具が前記コンテナー内に配置されていない場合、前記出力装置が、どの器具が前記コンテナー内に配置されていないかをさらに列挙する、保管追跡システム。
【請求項6】
請求項4に記載の保管追跡システムにおいて、
前記コンテナーに関連付けられていない一つ以上の器具がコンテナー内で検出された場合、前記出力装置が、どの器具がコンテナー内に不適正に配置されているかをさらに列挙する、保管追跡システム。
【請求項7】
請求項3に記載の保管追跡システムにおいて、
前記器具の各々が、前記器具の各々の種類によって識別される、保管追跡システム。
【請求項8】
請求項3に記載の保管追跡システムにおいて、
前記器具の各々が、独自の識別子によって識別される、保管追跡システム。
【請求項9】
請求項1に記載の保管追跡システムにおいて、
前記タグが、RFIDタグを含み、
前記タグ読取器が、RFIDタグ読取器を含む、保管追跡システム。
【請求項10】
請求項1に記載の保管追跡システムにおいて、
前記タグ読取器が、前記コンテナーの表面に配置されている、保管追跡システム。
【請求項11】
請求項1に記載の保管追跡システムにおいて、
前記タグ読取器が、前記コンテナーとは別個のユニットの表面に設けられている、保管追跡システム。
【請求項12】
医療器具を保管および追跡する方法において、
前記方法が、
一つ以上の前記医療器具をコンテナーと関連付け、前記医療器具および前記コンテナーの関連を、前記コンテナーと関連付けられた制御システム内に記憶する過程であって、前記医療器具の各々は、その医療器具自体に関する情報を含む、機械が読み取り可能な識別タグを帯びている、記憶する過程と、
タグ読取器を用いて前記コンテナーの中身を問い合わせて、どの器具が前記コンテナー内に配置されているかを識別する過程と、
前記コンテナーが、前記コンテナーと関連付けられた器具の各々を、かつ、前記コンテナーと関連付けられた前記器具のみを、収容しているか否かを判定し、判定結果を利用者に出力する過程と、
を具備する、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
複数の前記器具が前記コンテナーに関連付けられていて、
前記方法が、
前記器具のすべてが前記コンテナー内に適正に配置されているか否かを前記利用者に通知する過程、
をさらに具備する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記方法が、
前記コンテナーに関連付けられた一つ以上の前記器具が前記コンテナー内に配置されていない場合、どの器具が前記コンテナー内に配置されていないかを前記利用者に通知する過程、
をさらに具備する、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記方法が、
前記コンテナーに関連付けられていない一つ以上の器具が前記コンテナー内で検出された場合、どの器具が前記コンテナー内に不適正に配置されているかを前記利用者に通知する過程、
をさらに具備する、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法において、
前記一つ以上の器具の各々が、前記器具の種類で識別される、方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法において、
前記一つ以上の器具の各々が、独自の識別子で識別される、方法。
【請求項18】
請求項12に記載の方法において、
前記タグが、RFIDタグを含み、
前記タグ読取器が、RFIDタグ読取器を含む、方法。
【請求項19】
請求項12に記載の方法において、
前記器具が、医療手技のために設計されたセットを構成し、
前記方法が、
前記セットの前記器具の各々が前記医療手技の前に前記コンテナー内に配置されていることを確かめる過程、
をさらに具備する、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記方法が、
再使用可能な前記セットの前記器具の各々が前記医療手技の後に前記コンテナーへ戻されていることを確実にする過程、
をさらに具備する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−247609(P2008−247609A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−330408(P2007−330408)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】