説明

噴出ポンプ

【課題】高い密閉を実現した噴出ポンプを、少ない部品数で簡易に提供する。
【解決手段】シリンダ4の下部内に嵌合させた取付筒部42内に付した弾性弁体44で、弁座12を閉塞してなる吸込み弁Vを有するポンプ本体2と、上記シリンダ4内を摺動可能な筒状ピストン54からステム62を介してノズル付き押下げヘッド80を、上向きに付勢させて上方突出した作動部材50とを具備する。上記押下げヘッド80はポンプ本体2の上部へ係止させている。作動部材50は、筒状ピストン54から横板56を介して連結筒部58を起立し、ステム62の下部を拡開筒部64として、この拡径筒部内に上記連結筒部58を摺動可能に嵌合させ、また下部を除くステム部分66から、ステムと一体に成形された通液孔72付きの栓筒部70を垂下させて、この通液孔下方の栓筒部分を、上記取付筒部42から内方突出する内向きフランジ46の嵌合口部48内へ液密に嵌合させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴出ポンプ、特に容器体に装着するための噴出ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の噴出ポンプとして、シリンダの内面を摺動する筒状ピストンからステムを介してノズル付きの押下げヘッドを突出した作動部材を設け、シリンダの下部に嵌着した取付筒部の内側に付設した弾性弁体と、シリンダ孔縁内に設けた弁座とで吸込み弁を形成したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−338788
【特許文献2】特開平10−157759
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の噴出ポンプは、取付筒の内側に付設した弾性弁体を弁座に圧接することで吸上げ弁を構成したので、内容物の密閉性を担保することが可能である。
【0005】
しかしながら、内容液の種類によっては、密閉性能を更に高めることが要望されており、特にシール専用の部品を用いることなく上記要望に簡易に応ずることが望まれる。
【0006】
また特許文献1の噴出ポンプでは、シリンダ内に押下げヘッド上方付勢用のコイルスプリングを設けているが、これを金属で形成した場合には収納可能な内容液の種類が制限され、また合成樹脂で形成した場合には十分な付勢力が得られないという問題がある。
【0007】
近年では合成樹脂と金属との分別廃棄が要請されていることに鑑み、ステムの外側に合成樹脂製のコイルスプリングを設け、コイルの大径化などにより、合成樹脂でも強い付勢力が得られるようにする工夫が提案されている(特許文献2)。
【0008】
それでも内容液の粘性などの性質次第では、さらにステムの外側に金属製のコイルスプリングを装着することが望まれることがある。その場合に噴出ポンプを浴室などの湿度の高い場所に置かれたときに金属が錆びてしまう可能性がある。
【0009】
本発明の第1の目的は、さらに高い密閉を実現した噴出ポンプを、少ない部品数で簡易に提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、ステムの外側に金属製コイルスプリングを設けるとともに、このコイルスプリングを囲む防水手段を設けた噴出ポンプを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の手段は、
シリンダ4の下部内に嵌合させた取付筒部42内に付した弾性弁体44で、シリンダの孔縁に設けた弁座12を閉塞してなる吸込み弁Vを有するポンプ本体2と、
上記シリンダ4内を摺動可能な筒状ピストン54からステム62を介してノズル付き押下げヘッド80を、上向きに付勢させて上方突出した作動部材50とを具備し、
上記押下げヘッド80をポンプ本体2の上部へ係止させた噴出ポンプにおいて、
作動部材50は、筒状ピストン54から内向きフランジ状の横板56を介して連結筒部58を起立してなるピストン部52を含み、かつ上記ステム62の下部を拡開筒部64として、この拡開筒部内に上記ピストン部52の連結筒部58を摺動可能に嵌合させ、また下部を除くステム部分66から、ステムと一体に成形された通液孔72付きの栓筒部70を垂下させて、この通液孔72下方の栓筒部分を、上記取付筒部42から内方突出する内向きフランジ46の内側の嵌合口部48内へ液密に嵌合させた。
【0012】
本手段では、図1又は図3の状態で弁部材の嵌合口部48内に栓筒部70を液密に嵌合させたから、適切なシール性が担保される。また栓筒部とステムとが一体的に形成されているから、部品数が少なくなり、かつ組立工程が簡単となる。
【0013】
「栓筒部」は、押下げヘッドを付勢力に抗してポンプ本体上部へ係止させた状態(以下「初期状態」という)で、弁部材の嵌合口部48を液密に閉塞する機能を有する。なお、本願噴出ポンプの構造は特に断らない限り、上記初期状態を基に説明している。
【0014】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ上記通液孔72下方の栓筒部分に係止リブ74を周設するとともに、上記連結筒部58の内面に、作動部材を引き上げた状態で上記係止リブ74と係合可能な係合突起60を付設し、ピストン部の取付けの際に係合突起60が下方から係止リブ74を乗り越えることが可能に形成した。
【0015】
本手段では、図1及び図3に示すように栓筒部の周りに係止リブ74を周設することを提案している。係止リブ74の上面側は、例えば図2のように作動部材を初期状態から引き揚げたときにピストン部52の係合突起60と係合することが可能に形成する。
【0016】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ上記係止リブ74を上記嵌合口部48内面に液密に嵌合させた。
【0017】
本手段は、図1に示すように栓筒部に周設した係止リブを、筒状ピストン側の連結筒部の係止手段、及び嵌合口部の閉塞手段としている。栓筒部の係止リブを嵌合口部内へ圧接させたからシール性能が向上し、また嵌合口部の内径を大きくすることができる。
【0018】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつポンプ本体2は、上記シリンダの筒壁上端部6cに嵌合された外筒30aの上端からシリンダの内方へ折り返す内筒30bを垂下するとともに内筒の下部にステム62の周りを囲む案内筒30dを連設してなる抜止め筒30を有し、この案内筒と押下げヘッドの下部との間にコイルスプリング90を介装させ、上記外筒30aに押下げヘッド80を係止可能とした。
【0019】
本手段では、ステムの外側にコイルスプリング90を設けているので、コイルスプリングの素材の選択余地が広がる。
【0020】
第5の手段は、第4の手段を有し、かつ上記コイルスプリング90を金属製コイルスプリングとするとともに、上記押下げヘッド80の裏面からステムの外側へ補助周壁86を垂下し、この補助周壁86と内筒30bとの間に、押下げヘッドをポンプ本体側から分離させた状態で少なくとも押下げヘッドの外周壁88の下端とポンプ本体2の上端との間に存するコイルスプリング部分を囲む防水壁92を設けた。
【0021】
本手段では、図2に示すように押下げヘッドがポンプ本体から分離している状態で、これら押下げヘッドの下端とポンプ本体の上端の隙間から、水分が進入してコイルスプリングに付着することを防止する防水壁92を設けている。本願の噴出ポンプを付設した容器を浴室に置いたときに、コイルスプリングが錆びるなどの不都合を防止できる。防水壁の上部には押下げヘッドの適所(好ましくは補助壁)と係合して、押下げヘッドとともに防水壁を引き上げる係合手段を設けることができる。
【発明の効果】
【0022】
第1の手段に係る発明によれば、吸込み弁体と連続する嵌合口部内に栓筒部70を嵌合させたから液密性が高まり、また栓筒部とステム62とを一体としたから、両者を別体とする場合と比べて省パーツ化、コストダウン、組立工程の簡略化が図られる。
第2の手段に係る発明によれば、栓筒部70の係止リブ74をピストン部の係合突起60が乗り越え可能としたから、ピストン部をステム62に容易に組み付けることができる。
第3の手段に係る発明によれば、係止リブ74が筒状ピストンの連結筒部の係止手段と嵌合口部へのシール手段とを兼ねるから、嵌合口部の内径を大きくすることができる。
第4の手段に係る発明によれば、コイルスプリング90を、ステムの周りを囲む案内筒30dと押下げヘッドの下部との間に介装したから、ステム内を通る液体と接することを防止できる。
第5の手段に係る発明によれば、コイルスプリング90を囲む防水壁92を設けたから、外部から水分がコイルスプリングに付着することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る噴出ポンプの初期状態での縦断面図である。
【図2】図1の容器の使用状態での縦断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る噴出ポンプの初期状態での縦断面図である。
【図4】図3の容器の使用状態での縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る噴出ポンプを示している。この噴出ポンプは、ポンプ本体2と、作動部材50とで構成されている。これらの部材は特に断らない限り合成樹脂材で形成することができる。
【0025】
ポンプ本体2は、シリンダ4と、吸上げ管18と、装着部材20と、抜止め筒30と、弁部材40とで構成されている。
【0026】
上記シリンダ4は、筒壁の外面に鍔部8を周設しており、この鍔部の上方へ筒壁上端部6cを延出するとともに、筒壁の上下方向の中間部6bから内方張出し壁10を介して小径の筒壁下端部6aを垂下している。この筒壁下端部の上側には、吸気弁用の環状の弁座12を形成している。図示例では、上記内方張出し壁を筒壁下端部6aの内面よりも内側へ延長し、この延長壁部の内縁から弁座12を隆起している。しかしこの構造は適宜変更することができる。また上記筒壁中間部6bには第1通気孔14を穿設している。
【0027】
上記吸上げ管18は、上記シリンダの筒壁下端部6aに嵌合されている。
【0028】
上記装着部材20は、容器体口頸部への螺合用の装着筒22の上端にフランジ状頂壁24を付設してなり、このフランジ状頂壁を上記シリンダの鍔部8の上に係止させている。
【0029】
上記抜止め筒30は、上記シリンダの筒壁上端部6cに螺合された外筒30aと、この外筒の上端からシリンダの内面上部へ折り返す内筒30bと、この内筒の下端から短い内方張出し板30cを介して上方及び下方へ延びる案内筒30dを延出している。図示例では、上記外筒30aの下端に外方張出し板31を付設することで、装着部材20の上方抜け出しを防止している。また上記案内筒30dの内面には、後述のコイルスプリング係止用の係止凸条32を周設している。上記内筒30bと案内筒30dとの間隙は、後述の防水壁下部を収納するための深溝34としている。
【0030】
上記弁部材40は、上記弁座12上方のシリンダ部分に嵌合させた取付筒部42と、この取付筒部の内側に形成した弾性弁体44とを含む。この弾性弁体44は、弁座よりやや大きな弁板と、この弁板の周縁部と取付筒部42の内面とを連結する複数の弾性片とで形成するとよい。そしてこの弾性弁体44と弁座12とで吸込み弁Vが形成される。
【0031】
上記取付筒部42の上端からは、内向きフランジ46を内方突出し、この内向きフランジの内側に嵌合口部48を形成する。好適な図示例では、内向きフランジ46の内縁から嵌合筒部49を起立して、その筒孔を嵌合口部としている。もっとも嵌合筒部を省略して、内向きフランジ46のフランジ孔を嵌合口部としてもよい。
【0032】
作動部材50は、ピストン部52と、ステム62と、押下げヘッド80と、防水壁92とで構成している。
【0033】
上記ピストン部52は、シリンダの筒壁中間部6b内を摺動可能な筒状ピストン54と、この筒状ピストンの内面から内方突出した内向きフランジ状の横板56と、この横板の内側から起立した、ステム下端部への連結筒部58とからなり、好ましくは一体品として形成されている。図示例の連結筒部58は、ステム下端部内面に軽く当接するように、上端をやや大径とするテーパ状筒としている。また横板56の下面は上記嵌合筒部49の上端に係止させている。
【0034】
また上記連結筒部の内面には係合突起60を横設している。この係合突起60は、後述の係止リブと係合する手段であり、シール性を担保するために連係筒部内面に周設することが望ましい。
【0035】
上記ステム62は、ピストン部52から起立している。このステムは、この筒壁の下部を、下部を除くステム部分(以下「主筒部」という)66に比べて大径の拡開筒部64に形成している。主筒部の上部は小外径に形成している。
【0036】
上記主筒部66の下部内面からは、ステム62と一体に形成する有底の栓筒部70を垂設させている。この栓筒部は拡開筒部64の下端部よりも下方へ延びている。
【0037】
上記栓筒部70のうちで拡開筒部64の下端部よりも上方に在る上半部70bには、通液孔72を穿設している。また栓筒部70と拡開筒部64との間にはピストン部の連結筒部58を昇降自在に嵌挿する。
【0038】
上記栓筒部70の下半部70aは、図1に示す初期状態において上記嵌合口部48内に液密に嵌合されている。栓筒部の下半部外面全周からは、係止リブ74を側外方へ突出する。この係止リブ74の突出長は、図2に示すように作動部材を引き上げたときに、ピストン部52の係合突起60が係止できる程度に大きく、ステムにピストン部を組み付けるときに係合突起60が下側から係止リブを乗り越えることができる程度に小さくする。上記係止リブの下面は、係合突起の強制乗り越えを容易とする緩やかな傾斜面にしている。
【0039】
上記押下げヘッド80は、上記ステム62の上部に着脱自在に付設しており、かつ前方へ開口するノズル82を有している。図示の押下げヘッド80の裏面からは、小径の内周壁84と中径の補助周壁86と大径の外周壁88とを垂下している。
【0040】
上記内周壁84は、上記ステム62の上部に嵌合させている。また上記外周壁88は、上記抜止め筒の外筒30aに螺合させている。
【0041】
上記補助周壁86は、前記案内筒30dとほぼ同じ内径及び外径を有している。これにより、これら補助周壁及び案内筒の各内面、乃至、各外面をそれぞれほぼ面一となっている。また上記補助周壁86の垂下長は、上記外周壁88よりも短くしている。後述の防水壁の第2通気孔を外周壁の下部で覆うためである。
【0042】
内周壁84及び補助周壁86の間の押下げヘッド裏面部分と、上記係止凸条32との間には、押下げヘッド上方付勢用のコイルスプリング90を介装している。本実施形態では、このコイルスプリング90は金属製コイルスプリングとしている。コイルスプリングは、シリンダ内部に設けてもよい。
【0043】
図示例では、図2のように押下げヘッド80がポンプ本体2から分離した状態で、コイルスプリング90の上端部がステム62の上端よりも上方に位置するようにコイルスプリングの長さ及び係止凸条32の高さを設計している。これにより、金属製のコイルスプリングを分別廃棄するときには、ステム62から押下げヘッド80を外し、上記コイルスプリング90を上方へ引っ張ることで簡単にこれを取り外すことができる。
【0044】
上記防水壁92は、垂直筒状の部材であり、図1に示す初期状態において、上記案内壁30d及び補助周壁86の両外面に亘って嵌合されており、かつ押下げヘッドをポンプ本体から分離させた使用状態で少なくとも押下げヘッドの下端とポンプ本体の上端との間の露出代dに対応するコイルスプリング部分を囲むように構成している。
【0045】
図1の状態において防水壁92の下部は抜止め筒30の深溝34内に嵌挿されており、かつ防水壁92の上端部と補助周壁の下端部とに押下げヘッドの上昇により相互に係合する係合手段94a,94bを設け、図2のように防水壁を引き上げることができるように設ける。この引き上げ状態で防水壁92の下端部は、深溝34内に水密に嵌合されているものとする。その下端部が深溝から離脱すると、深溝内に水が溜まり、不衛生だからである。
【0046】
図示例では、上記防水壁92の上部に第2通気孔96を穿設して、押下げヘッドを引き上げたときに、第2通気孔を介して外気がステムと防水壁との間隙内に流入するようにしている。第2通気孔96は図2の状態で押下げヘッドの外周壁の下端より上方に配置する。
【0047】
上記構成において、図1の状態では栓筒部70が嵌合口部48を液密に閉塞している。この状態から押下げヘッド80を抜止め筒30の外筒30aから螺脱させると、コイルスプリング90が押下げヘッドを押し上げる。また押下げヘッドとともに防水壁92が上昇し、コイルスプリングの周囲を覆う。従って水滴などが金属製のコイルスプリングに付着することを防止できる。
【0048】
上記噴出ポンプの構造において、仮にステム62と栓筒部70とを別体としたとすれば、ステムの拡開筒部64にピストン部52の連結筒部58を挿入した後、さらに栓筒部をステム内に嵌合する手間が必要であり、また連結筒部の挿入から栓筒部の嵌合までの間に連結筒部が脱落しないように注意する手間が必要である。これに対して、本願発明の構成では、予めステムと栓筒部とが一体的に連続しており、さらに係止リブ74が連結筒部の脱落を防止するので、手数が簡略される。
【0049】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。その説明において第1実施形態と同じ構造については同一の符号を付することで解説を省略する。
【0050】
図3から図4は、本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態は栓筒部の構造を変更したものである。
【0051】
具体的には、係止リブ74下方の栓筒部分を長く形成して、この栓筒部分を嵌合筒内に密嵌させている。この実施形態では、嵌合口部48の口径が第1実施形態に比べて小径となる。
【符号の説明】
【0052】
2…ポンプ本体 4…シリンダ 6a…筒壁下端部 6b…筒壁中間部
6c…筒壁上端部 8…鍔部 10…内方張出し壁 12…弁座
14…第1通気孔 18…吸上げ管
20…装着部材 22…装着筒 24…フランジ状頂壁
30…抜止め筒 30a…外筒 30b…内筒 30c…内方張出し板 30d…案内筒
31…外方張出し板 32…係止凸条 34…深溝
40…弁部材 42…取付筒部 44…弾性弁体 46…内向きフランジ 48…嵌合口部
49…嵌合筒部
50…作動部材 52…ピストン部 54…筒状ピストン 56…横板
58…連結筒部 60…係合突起 62…ステム 64…拡開筒部
66…下部を除くステム部分(主筒部)
70…栓筒部 70a…同下半部 70b…同上半部 72…通液孔 74…係止リブ
80…押下げヘッド 82…ノズル 84…内周壁 86…補助周壁 88…外周壁
90…コイルスプリング 92…防水壁 94a,94b…係合手段 96…第2通気孔
d…露出代 V…吸込み弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ(4)の下部内に嵌合させた取付筒部(42)内に付した弾性弁体(44)で、シリンダの孔縁に設けた弁座(12)を閉塞してなる吸込み弁(V)を有するポンプ本体(2)と、
上記シリンダ(4)内を摺動可能な筒状ピストン(54)からステム(62)を介してノズル付き押下げヘッド(80)を、上向きに付勢させて上方突出した作動部材(50)とを具備し
上記押下げヘッド(80)をポンプ本体(2)の上部へ係止させた噴出ポンプにおいて、
作動部材(50)は、筒状ピストン(54)から内向きフランジ状の横板(56)を介して連結筒部(58)を起立してなるピストン部(52)を含み、かつ上記ステム(62)の下部を拡開筒部(64)として、この拡開筒部内に上記ピストン部(52)の連結筒部(58)を摺動可能に嵌合させ、また下部を除くステム部分(66)から、ステムと一体に成形された通液孔(72)付きの栓筒部(70)を垂下させ、この通液孔(72)下方の栓筒部分を、上記取付筒部(42)から内方突出する内向きフランジ(46)の内側の嵌合口部(48)内へ液密に嵌合させたことを特徴とする噴出ポンプ。
【請求項2】
上記通液孔(72)下方の栓筒部分に係止リブ(74)を周設するとともに、上記連結筒部(58)の内面に、作動部材を引き上げた状態で上記係止リブ(74)と係合可能な係合突起(60)を付設し、ピストン部の取付けの際に係合突起(60)が下方から係止リブ(74)を乗り越えることが可能に形成したことを特徴とする、請求項1記載の噴出ポンプ。
【請求項3】
上記係止リブ(74)を上記嵌合口部(48)内面に液密に嵌合させたことを特徴とする、請求項2に記載の噴出ポンプ。
【請求項4】
ポンプ本体(2)は、上記シリンダの筒壁上端部(6c)に嵌合された外筒(30a)の上端からシリンダの内方へ折り返す内筒(30b)を垂下するとともに内筒の下部にステム(62)の周りを囲む案内筒(30d)を連設してなる抜止め筒(30)を有し、この案内筒と押下げヘッドの下部との間にコイルスプリング(90)を介装させ、上記外筒(30a)に押下げヘッド(80)を係止可能としたことを特徴とする、請求項1から請求項3の何れかに記載の噴出ポンプ。
【請求項5】
上記コイルスプリング(90)を金属製コイルスプリングとするとともに、上記押下げヘッド(80)の裏面からステムの外側へ補助周壁(86)を垂下し、この補助周壁(86)と内筒(30b)との間に、押下げヘッドをポンプ本体側から分離させた状態で少なくとも押下げヘッドの外周壁(88)の下端とポンプ本体(2)の上端との間に存するコイルスプリング部分を囲む防水壁(92)を設けたことを特徴とする、請求項4記載の噴出ポンプ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−116527(P2012−116527A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267918(P2010−267918)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】