説明

噴出装置、または噴出器

【課題】ロック位置またはロック解除位置への切換えに連動して自動的に切換えることができるとともに、デザイン的な制約を受けるおそれなく、回動部材がロック位置にあるのかロック解除位置にあるのかを視覚的に明確に判別することができるようにする。
【解決手段】回動部材13に「O」の文字を表記する一方、その回動部材をロック解除位置としたとき、それに表記する「O」の文字と並べて「ON」と表示するように、キャップ部材(非回動部材)12に「N」の文字を表記する。また、回動部材をロック位置としたとき、それに表記する「O」の文字と並べて「OFF」と表示するように、非回動部材に「FF」の文字を表記する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器の口部に取り付け、操作ボタンやトリガーレバー等の操作部材を操作することにより、ステムを押し込んで容器の内容物をステム内を通して噴出口から噴出可能とする噴出装置に関する。および、そのような噴出装置を容器の口部に取り付けてなる、ポンプ式やエアゾール式や押し出し式の噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ式やエアゾール式などの噴出器では、容器の口部に取り付けた噴出装置の、操作ボタンやトリガーレバー等の操作部材を操作することにより、管状のステムを押し込んで容器内に収容する化粧用や洗浄用等の内容物をステム内を通して、操作部材等に設ける噴出口から外部へと噴出可能としていた。
【0003】
ところが、この種の噴出器では、誤って操作部材を操作して内容物を吐出し、内容物を無駄に消費したりまわりを汚したりするなどのおそれがある。キャップを設けることにより不用意に操作部材を操作する問題を解消することはできるが、使用時にいちいちキャップを取り外し、使用後には再びキャップを被せなければならない面倒があるとともに、使用時に取り外したキャップを紛失してしまうなどの問題もあった。
【0004】
このため、従来の噴出器の中には、非回動部材に対して回動部材を回動可能に設け、その回動部材を回動してロック解除位置とすることにより操作部材の操作を可能とし、その操作部材を操作することにより容器の内容物を噴出口から噴出可能とし、または回動部材を回動してロック位置とすることにより、操作部材の操作を不能とするものがある。
【0005】
しかしながら、このような噴出器にあっては、現在、回動部材がロック解除位置にあるのか、ロック位置にあるのか判り難い問題があった。そこで、従来の噴出器の中には、回動部材と非回動部材との間に△と▽などの記号を付し、それらの記号の一致によりロック位置にあるかロック解除位置にあるかを確認できるようにしたものがある。
【0006】
ところが、記号が一致して、ロック位置またはロック解除位置のいずれかにあることは判別できても、回動部材がなおそのいずれの位置にあるかは直ちに判別し難い問題があった。従来の噴出器の中には、例えば図8に示すように、非回動部材1に対して回動部材2を回動可能に設け、その回動部材2を回動して(B)に示すロック解除位置とすることにより、噴出窓3とノズル4位置とを一致するとともに、操作部材5の押し下げ操作を可能とし、その操作部材5を操作することにより、容器6の内容物をノズル4の噴出口から外部へと噴出するものもある。
【0007】
そして、使用後は、回動部材2を(B)に示すロック解除位置から左右いずれかに90度回動することにより、(A)に示すロック位置に戻して回動部材2でノズル4を隠すとともに、操作部材5の押し下げ操作を不能としていた。このとき、回動部材2には、表示用切欠き7を設けて、(A)に示すロック位置ではその表示用切欠き7を通して操作部材5に表記した「STOP」の文字を読めるようにし、(B)に示すロック解除位置では表示用切欠き7を通して操作部材5に表記した「PUSH」の文字を読めるようにして、「STOP」または「PUSH」の表示から、回動部材2が現在、ロック位置にあるのか、ロック解除位置にあるのかを直ちに判別できるようにしていた。
【0008】
【特許文献1】実開昭61−130363号公報
【特許文献2】特開2003−20085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の噴出器では、ロック位置またはロック解除位置への切換えに連動して自動的に「STOP」または「PUSH」の文字を表示用切欠き7を通して視覚的にも明確に表示することができ、誤操作を防止することができる利点がある。ところが、「STOP」および「PUSH」という長い文字を確実に読み取ることができるように大きく表示しなければならず、デザイン的な制約を受ける問題があった。
【0010】
そこで、この発明の目的は、ロック位置またはロック解除位置への切換えに連動して自動的に切換えることができるとともに、デザイン的な制約を受けるおそれなく、回動部材がロック位置にあるのかロック解除位置にあるのかを直ちに視覚的に明確に判別することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成すべく、
容器の口部に取り付け、非回動部材に対して回動部材を回動することにより、その回動部材をロック解除位置として操作部材の操作を可能とし、その操作部材を操作することにより容器の内容物を噴出口から噴出可能とし、または回動部材を回動することにより、ロック位置として操作部材の操作を不能とする噴出装置において、
この発明の第1の態様では、回動部材と非回動部材のいずれか一方に「O」の文字を表記する一方、回動部材をロック解除位置としたとき、前記「O」の文字と並べて「ON」と表示するように、回動部材と非回動部材のいずれか他方に「N」の文字を表記するとともに、
回動部材をロック位置としたとき、前記「O」の文字と並べて「OFF」と表示するように、他方に「FF」の文字を表記してなることを特徴とする。
【0012】
そして、回動部材を回動してロック解除位置としたとき、回動部材と非回動部材のいずれか一方に表記する「O」の文字を他方に表記する「N」の文字に並べ、「O」の文字と「N」の文字とで「ON」と表示する一方、回動部材を回動してロック位置としたとき、「O」の文字を回動部材と非回動部材のいずれか他方に表記する「FF」の文字に並べ、「O」の文字と「FF」の文字とで「OFF」と表示する。
【0013】
この発明の第2の態様は、回動部材と非回動部材のいずれか一方に「オ」の文字を表記する一方、回動部材をロック解除位置としたとき、前記「オ」の文字と並べて「オン」と表示するように、回動部材と非回動部材のいずれか他方に「ン」の文字を表記するとともに、
回動部材をロック位置としたとき、前記「オ」の文字と並べて「オフ」と表示するように、他方に「フ」の文字を表記してなることを特徴とする。
【0014】
そして、回動部材を回動してロック解除位置としたとき、回動部材と非回動部材のいずれか一方に表記する「オ」の文字を他方に表記する「ン」の文字に並べ、「オ」の文字と「ン」の文字とで「オン」と表示する一方、回動部材を回動してロック位置としたとき、「オ」の文字を回動部材と非回動部材のいずれか他方に表記する「フ」の文字に並べ、「オ」の文字と「フ」の文字とで「オフ」と表示する。
【0015】
ここで、非回動部材とは、容器等に対して回動不能に取り付ける部材であり、回動部材とは、その非回動部材に対して回動可能な部材である。操作部材とは、操作ボタンやトリガーレバーなどで、その操作部材等に設ける噴出口から、液状、クリーム状、ジェル状等の内容物を、直線流、間欠流、または霧状などとして種々の態様で噴出するときに操作する部材である。
【0016】
この発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様の噴出装置をボトル状等の容器の口部に取り付けてなることを特徴とする、ポンプ式、エアゾール式、押し出し式などの噴出器である。
【発明の効果】
【0017】
この発明の第1の態様によれば、回動部材をロック解除位置としたとき、回動部材と非回動部材のいずれか一方に表記する「O」の文字を他方に表記する「N」の文字に並べ、「ON」と表示する一方、回動部材をロック位置としたとき、「O」の文字を回動部材と非回動部材のいずれか他方に表記する「FF」の文字に並べ、「OFF」と表示する。これにより、ロック位置またはロック解除位置への切換えに連動して表示を「OFF」、「ON」自動的に切換え、少ない文字数の表記でデザイン的な制約を受けるおそれなく、かつ大きく表示可能として、回動部材がロック位置にあるのかロック解除位置にあるのかを直ちに視覚的に明確に判別することができるようにする。
【0018】
この発明の第2の態様によれば、回動部材をロック解除位置としたとき、回動部材と非回動部材のいずれか一方に表記する「オ」の文字を他方に表記する「ン」の文字に並べ、「オン」と表示する一方、回動部材をロック位置としたとき、「オ」の文字を回動部材と非回動部材のいずれか他方に表記する「フ」の文字に並べ、「オフ」と表示する。これにより、ロック位置またはロック解除位置への切換えに連動して表示を「オフ」、「オン」自動的に切換え、少ない文字数の表記でデザイン的な制約を受けるおそれなく、かつ大きく表示可能として、回動部材がロック位置にあるのかロック解除位置にあるのかを直ちに視覚的に明確に判別することができるようにする。
【0019】
この発明の第3の態様によれば、第1の態様または第2の態様の噴出装置を容器の口部に取り付けてなるので、ロック位置またはロック解除位置への切換えに連動して表示を自動的に切換え、少ない文字数の表記でデザイン的な制約を受けるおそれなく、かつ大きく表示可能として、回動部材がロック位置にあるのかロック解除位置にあるのかを直ちに視覚的に明確に判別することができる噴出器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、この発明による噴出装置を備える噴出器の主部を示し、(A)には回動部材をロック解除位置としたときの正面とその平面を、(B)には左側面とその平面を示す。
【0021】
図中符号10は口部を有するボトル形状等の容器であり、12はそれに取り付ける非回動部材であるキャップ部材、13は非回動部材に対して回動する回動部材である。キャップ部材12は軸線Lまわりに回動不能であるが、回動部材13は回動可能に設けられている。回動部材13には、側面に縦長の噴出窓14があり、図示するロック解除位置では、その噴出窓14からノズル15が覗いている。頂面には、ボタン状の操作部材16を押し下げ可能に切欠き17が設けられている。図中実線矢印aは、噴出窓14の向きを示し、点線矢印bは、ノズル15の噴出口の向きを示す。図示するとおり、回動部材13のロック解除位置では、矢印aと矢印bとは、一致している。
【0022】
図2(A)には、回動部材13の側面に180度の間隔をあけて「O」の文字が表記されていることを示す。(B)には、キャップ部材12の側面に90度の間隔置きに「FF」の文字と「N」の文字が交互に表記されていることを示す。これにより、回動部材13を回動してロック解除位置としたときは、図1(A)に示すように、噴出窓14位置とノズル15位置とを一致して切欠き17を通して操作部材16を押し下げ操作することにより、容器10の化粧用や洗浄用等の液状やクリーム状やジェル状などの内容物をノズル15の噴出口から外部へと噴出可能とする。このときは、図1(B)に示すように、回動部材13に表記する「O」の文字とキャップ部材12の「N」の文字とを並べて「ON」と表示してなる。
【0023】
図3(A)には回動部材をロック解除位置から90度回動してロック位置としたときの正面とその平面を、(B)にはそのときの右側面とその平面を示す。
回動部材13をロック位置とするときは、図1に示す状態から回動部材13を矢示方向に回動して図3に示す状態とし、(A)に示すように噴出窓14位置とノズル15位置とがずれてノズル16が回動部材13に隠れるとともに、操作部材17の押し下げ操作を不能とする。このとき、(B)に示すように、回動部材13に表記する「O」の文字と非回動部材の「FF」の文字とを並べて「OFF」と表示してなる。回動部材13をロック解除位置とするときは、図3に示す状態から回動部材13を矢示方向に90度回動して再び図1に示す状態とする。
【0024】
よって、ロック位置またはロック解除位置への切換えに連動して表示を自動的に切換え、少ない文字数の表記でデザイン的な制約を受けるおそれなく、かつ大きく表示可能として、「ON」か「OFF」かを確認することにより、回動部材13が現在ロック解除位置であるかロック位置であるかを直ちに視覚的に明確に判別することができる。
【0025】
ところで、上述した例では、回動部材13に「O」を、非回動部材であるキャップ部材12に「N」または「FF」を表記したが、図4から図6に示すように、回動部材13に「O」に代えて「オ」の文字を表記する一方、その回動部材13をロック解除位置としたときは、それに表記する「オ」の文字と並べて「オン」と表示するように、非回動部材であるキャップ部材12に「ン」の文字を表記するとともに、回動部材13をロック位置としたときは、それに表記する「オ」の文字と並べて「オフ」と表示するように、キャップ部材12に「フ」の文字を表記するようにしてもよい。
【0026】
そして、図4に示すように、回動部材13を回動してロック解除位置としたとき、移動したそれに表記する「オ」の文字をキャップ部材12に表記する「ン」の文字に並べ、「オ」の文字と「ン」の文字とで「オン」と表示する一方、図6に示すように、回動部材13を回動してロック位置としたとき、移動したそれに表記する「オ」の文字をキャップ部材12に表記する「フ」の文字に並べ、「オ」の文字と「フ」の文字とで「オフ」と表示する。
【0027】
よって、この例によっても、ロック位置またはロック解除位置への切換えに連動して表示を自動的に切換え、少ない文字数の表記でデザイン的な制約を受けるおそれなく、かつ大きく表示可能として、「オン」か「オフ」かを確認することにより、回動部材13が現在ロック解除位置であるかロック位置であるかを直ちに視覚的に明確に判別することができる。
【0028】
図7には、この発明による噴出器の他例を示し、(A)には回動部材をロック解除位置としたとき、(B)にはロック位置としたときを示す。
この例において、符号20は、不図示の容器の口部に取り付けるねじキャップであり、21は非回動部材であるステム、22はステム21の先端に取り付ける回動部材である操作部材である。
【0029】
操作部材22を回動してロック解除位置としたときは、図7(A)に示すように、操作部材22の押し下げ操作によりステム21を押し込み、容器の内容物をステム21を通して操作部材22の噴出口23から噴出可能とする。このとき、操作部材22に表記する「O」の文字とステム21の「N」の文字を並べて「ON」と表示してなる。
【0030】
使用後、軸線Lを中心として操作部材22を左または右に90度回動すると、操作部材22の押し下げ操作を不能とするとともに、(B)に示すように操作部材22に表記する「O」の文字とステム21の「FF」の文字とを並べて「OFF」と表示する。
【0031】
ところで、上述した例では、回動部材13、22を90度回動することによりロック位置とロック解除位置とを切り換えたが、90度に限らないことはいうまでもない。また、回動部材13、22を双方向に回動可能としたが、ロック位置とロック解除位置との間で往復回動可能に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明による噴出装置を備える噴出器の主部を示し、(A)は回動部材をロック解除位置としたときの正面図とその平面図、(B)は左側面図とその平面図である。
【図2】(A)は回動部材の側面に「O」の文字が表記されている状態を示し、(B)はキャップ部材の側面に、「FF」または「N」の文字が交互に表記されている状態を示す図である。
【図3】(A)は回動部材をロック位置としたときの正面図とその平面図、(B)はそのときの右側面図とその平面図である。
【図4】この発明による噴出装置を備える別の噴出器の主部を示し、(A)は回動部材をロック解除位置としたときの正面図とその平面図、(B)は左側面図とその平面図である。
【図5】(A)は回動部材の側面に「オ」の文字が表記されている状態を示し、(B)はキャップ部材の側面に、「フ」または「ン」の文字が交互に表記されている状態を示す図である。
【図6】(A)は回動部材をロック位置としたときの正面図とその平面図、(B)はそのときの右側面図とその平面図である。
【図7】この発明による噴出器の他例を示し、(A)は回動部材をロック解除位置としたときの正面図と平面図、(B)はロック位置としたときの正面図と平面図である。
【図8】(A)は従来の噴出器において回動部材をロック位置としたときの斜視図、(B)はロック解除位置としたときの斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
10 容器
12 キャップ部材(非回動部材)
13 回動部材
14 噴出窓
15 ノズル
16 操作部材
17 切欠き
20 ねじキャップ
21 ステム(非回動部材)
22 操作部材(回動部材)
23 噴出口




【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付け、非回動部材に対して回動部材を回動することにより、その回動部材をロック解除位置として操作部材の操作を可能とし、その操作部材を操作することにより容器の内容物を噴出口から噴出可能とし、または前記回動部材を回動することにより、ロック位置として前記操作部材の操作を不能とする噴出装置において、
前記回動部材と前記非回動部材のいずれか一方に「O」の文字を表記する一方、前記回動部材を前記ロック解除位置としたとき、前記「O」の文字と並べて「ON」と表示するように、前記回動部材と前記非回動部材のいずれか他方に「N」の文字を表記するとともに、
前記回動部材を前記ロック位置としたとき、前記「O」の文字と並べて「OFF」と表示するように、前記他方に「FF」の文字を表記してなることを特徴とする噴出装置。
【請求項2】
容器の口部に取り付け、非回動部材に対して回動部材を回動することにより、その回動部材をロック解除位置として操作部材の操作を可能とし、その操作部材を操作することにより容器の内容物を噴出口から噴出可能とし、または前記回動部材を回動することにより、ロック位置として前記操作部材の操作を不能とする噴出装置において、
前記回動部材と前記非回動部材のいずれか一方に「オ」の文字を表記する一方、前記回動部材を前記ロック解除位置としたとき、前記「オ」の文字と並べて「オン」と表示するように、前記回動部材と前記非回動部材のいずれか他方に「ン」の文字を表記するとともに、
前記回動部材を前記ロック位置としたとき、前記「オ」の文字と並べて「オフ」と表示するように、前記他方に「フ」の文字を表記してなることを特徴とする噴出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の噴出装置を容器の口部に取り付けてなることを特徴とする噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−302951(P2008−302951A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151078(P2007−151078)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】