説明

噴射装置

【課題】原液容器内の任意の量の原液を連続的に噴射可能とするとともに、簡易な構成で製造容易且つ廉価なものとし、噴射時の取り扱いが容易な製品を得る。
【解決手段】内部に原液21を収納した原液容器9を着脱可能に接続するための原液容器接続部55を一端に設けるとともに、他端に噴射剤容器3を接続可能とした噴射剤容器接続部54を設けて連結体1を形成する。そして、噴射剤容器接続部54に配置した押釦42には噴射孔45と連通する連通孔46を形成し、この連通孔46に連結チューブ28の一端を接続配置する。そして、この連結チューブ28を連結体1を介して原液容器9の原液21中に挿入するとともに、上記連結体1には、トリガー2を回動可能に軸支し、このトリガー2の一端を押釦42の上部に臨ませて配置し、上記トリガー2の指掛部16を連結体1の壁面開口13から外方に配置する。そして、トリガー2を回動させることにより押釦42を押圧して噴射剤及び原液21を噴射可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来公知の噴射剤を充填した噴射剤容器と、洗剤等を収納した非エアゾール容器である原液容器とを簡易に接続して、この非エアゾール容器である原液容器をエアゾール容器の如く使用することを可能とした噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に示す如く、内部に非エアゾール原液を収納した原液容器の開口部にポンプ機構を接続し、このポンプ機構を作動させることにより、原液を噴射するディスペンサー装置が知られている。そして、このディスペンサー装置は、トリガーの引き寄せにより、ポンプ機構が作動し、原液容器内の原液を一定量噴射可能としたものである。このようなトリガー式のポンプ機構を備えたディスペンサー装置は、従来より一般家庭用の清掃用液体洗剤や液体整髪料等の容器として広く使用されている。また、このディスペンサー装置は、噴射剤を使用しないため安全であるとともに、高圧ガスに関する取り締まり規定も適用されない点で優れたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の如き噴射装置は、トリガーを引き寄せた際に、ポンプが作動するものであるから一定量の原液しか噴射することができず、一度の引き寄せのみでは一定量以上の原液を噴射することができない。そのため、大量の原液を噴射したい場合には、トリガーの引き寄せ、及び引き寄せの解除作業を何度も行わなければならず、噴射作業が煩雑になるとともに使用者の手指に負担がかかり、作業性が悪いものとなっていた。
【0004】
そこで、一度のトリガーの引き寄せによって、原液容器内の任意の量の原液を噴射可能とするため、特許文献2に示す如く、噴射剤容器及び原液容器を備えた噴射装置が知られている。即ち、特許文献2に示す噴射装置は、トリガーを設けた噴射機構に噴射剤容器と原液容器とを接続したものであって、上記噴射剤容器の噴射孔と原液容器の原液流出管とを、複数本の連通管を介して連通しているものである。そして、トリガーを引き寄せて、噴射剤容器内の噴射剤を上記連通路を介して原液容器内に導入することにより、原液容器内で原液が噴射剤に押圧されて流出し、この原液が噴射剤とともに外方に噴射するものである。
【0005】
そして、一度トリガーを引き寄せて、この引き寄せ状態を維持することにより、上記噴射剤容器内の噴射剤が原液容器内に流入し続けるため、この原液容器内の原液の流出が継続するものとなる。従って、一回のトリガーの引き寄せにおいて、噴射できる原液が一定量に限定されることなく、この引き寄せの時間の長さを調節することにより、任意の量の原液を噴射することできる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−296807号公報
【特許文献2】特開2006−150343号公報
【0007】
しかしながら、特許文献2の如き噴射装置は、この噴射装置に接続した原液容器内に噴射剤を導入するものであるため耐圧性を備えたものでなければならないとともに、噴射機構内に多数の管部材や部品を配置しなければならず、構造が複雑なものとなっている。そのため、製造に手間がかかるとともに製造コストが高くつくものとなっていた。また、多数の管部材や部品を配置するスペースを確保しなければならないため、噴射機構が嵩高いものとなっていた。そのため、噴射時の取り扱いが煩雑なものとなり、噴射作業に手間がかかるものとなっていた。
【0008】
そこで、本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、一回のトリガーの引き寄せによって、原液容器内の任意の量の原液を噴射可能とするとともに、簡易な構成で製造容易且つ廉価なものとし、噴射時の取り扱いが容易な製品を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述の如き課題を解決するため、内部に原液を収納した原液容器を着脱可能に接続するための原液容器接続部を一端に設けるとともに、他端に噴射剤容器を接続可能とした噴射剤容器接続部を設けて連結体を形成している。
【0010】
そして、この噴射剤容器接続部には、噴射剤容器を接続するための押釦を設けるとともにこの押釦の噴射孔を連結体の外方に向けて配置している。そして、この押釦には、噴射孔と連通する連通孔を形成するとともに、この連通孔には、連結チューブの一端を接続配置し、この連結チューブの他端を連結体を介して原液容器の開口部から内部に挿入配置して原液中に挿入している。
【0011】
また、上記連結体には、トリガーを回動可能に軸支し、このトリガーの一端を噴射剤容器の押釦の上部に臨ませて配置するとともに、上記トリガーの指掛部を連結体の底部側に形成した壁面開口から外方に突出配置している。そして、このトリガーを軸支部を支点として回動させることにより、トリガーの一端が押釦を押圧して噴射剤を噴射し、押釦の連通孔内を負圧化することにより、原液容器内の原液を連結チューブ及び連通孔を介して押釦の噴射孔から噴射剤とともに外方に噴射可能とする。
【0012】
また、噴射剤容器は、連結体に着脱可能に接続したものであっても良い。このように、噴射剤容器を連結体に着脱可能に接続することにより、噴射剤容器内の噴射剤を使い切った場合に、空になった噴射剤容器を取り外して、噴射剤を充填した新たな噴射剤容器を接続することにより、繰り返し使用することができるため、経済的な使用が可能となる。
【0013】
また、原液容器は、硬質材で形成するとともに、外気導入孔を設けたものであっても良く、このように形成することにより、原液容器の内外を常に連通して原液容器内を常圧に保つことが可能となる。そのため、原液の排出により原液容器内が負圧化し、容器内外の圧力差で原液容器が破損するおそれがないものとなる。また、原液容器内を常に常圧に保つことにより、前述の如く原液の排出のために押釦の連通孔内を負圧化した場合には、連通孔内と原液容器内に常に圧力差が生じるものとなり、連通孔内の負圧を利用した原液の排出を確実に行うことが可能となる。
【0014】
また、原液容器は、外部から内部方向にのみ開弁するチェッキ弁を設けたものであってもよい。このようにチェッキ弁を設けることにより、原液の排出により原液容器内が負圧化した場合には、チェッキ弁が開弁して外気を導入し、上述の外気導入孔を設けた場合と同様に原液容器内を常に常圧に保つことが可能となるため、原液容器の破損を防止するとともに、連通孔内の負圧を利用した原液の排出を確実に行うことが可能となる。また、チェッキ弁は内部からの加圧によっては開弁しないため、手指で原液容器を押圧した場合や、誤って原液容器を転倒させた場合であっても、原液が外部に流出するおそれのないものとなる。また、前記の外気導入孔にチェッキ弁を設けるものとしても良い。
【0015】
また、連結チューブは、ストッパー機構を設けて原液の流通を遮断可能としたものであっても良い。そして、原液容器の不使用時には、上記ストッパー機構により原液の流通を遮断しておくことにより、手指で原液容器を押圧したり、容器が転倒したりして、誤って原液が連結チューブ内に流入した場合であっても、原液の外部への流出を防止することができる。また、原液容器への外気の導入を遮断することにより、外気との不必要な接触による原液の酸化や変質を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
上記の如く、本発明の噴射装置は、管部材が連結チューブのみであるとともにその他の部品数も少なく簡易な構成であるため、製造容易で廉価な製品を得ることができる。また、このように簡易な構成とすることにより、噴射機構をコンパクトなものにすることが可能となるため、噴射時の操作及び取り扱いを容易なものとすることができる。
【0017】
また、押釦の押圧を維持することにより、噴射剤が継続して噴射されるため、この継続的な噴射剤の噴射に伴って、原液も継続的に噴射することが可能となる。従って、一回のトリガーの引き寄せにより、噴射可能な原液が一定量に限られることなく、上記トリガーの引き寄せ時間を調節することにより、任意の量の原液を噴射することが可能となる。従って、原液の大量噴射を行う場合でも、トリガーを何度も引き寄せ、引き寄せ解除する必要がなく、使用者の手指にかかる負担を軽減して噴射作業を容易に行うことができる。
【0018】
また、原液容器は、連結体に着脱自在に接続可能としたものであるから、例えば、市販のディスペンサー装置の原液容器や、このディスペンサー装置の付け替え用の原液容器等を、上記連結体に接続することも可能となるため、汎用性を有する製品を得ることができる。また、原液容器は耐圧性を備えたものである必要がないため、製造コストを低減することができ、廉価な製品を得ることができる。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の一実施例を図1〜5に於いて説明すれば、図1に示す如く、(1)は連結体であって、この連結体(1)の内部には、トリガー(2)の一端側を挿入配置するとともに、このトリガー(2)を回動自在に軸支している。そして、図2に示す如く、上記連結体(1)の一端には、内部に噴射剤を充填した噴射剤容器(3)を接続可能とする噴射剤容器接続部(54)を設けるとともに、他端には、内部に原液を収納した原液容器(9)を接続可能とする原液容器接続部(55)を設けている。
【0020】
実施例1を更に詳細に説明すると、図3に示す如く、上記連結体(1)は、内部を空洞とした筒状に形成するとともに、一端に噴射開口部(4)を形成している。また、この噴射開口部(4)に連続して、連結体(1)の底壁(5)側に円弧状の挿入開口部(6)を形成するとともに、この挿入開口部(6)の開口縁に沿って一定高さの係合壁(7)を突設することにより、噴射剤容器接続部(54)としている。そして、この係合壁(7)の内周面には、係合突部(8)を係合壁(7)の一端から他端まで連続的に突設している。
【0021】
また、この連結体(1)の他端には、底壁(5)に円形の接続開口部(10)を設けるとともに、この接続開口部(10)の開口縁には環状の接続壁(11)を突設し、この接続壁(11)の内周に環状の係合凹部(12)を凹設することにより原液容器接続部(55)としている。また、図3に示す如く、連結体(1)の底壁(5)には上記接続壁(11)に隣接して、連結体(1)の軸方向に長尺な壁面開口(13)を形成している。
【0022】
また、この連結体(1)の内部には、連結体(1)の長さ方向中央部に軸体(14)を架設し、この軸体(14)に、略L字型のトリガー(2)を回動自在に軸支している。このトリガー(2)は、一端内方に押圧部(15)を突設するとともに、この一端側を連結体(1)の噴射開口部(4)側に挿入配置している。そして、このトリガー(2)の他端側を連結体(1)の壁面開口(13)から外方に突出配置し、この突出部分を指掛部(16)としている。
【0023】
また、上記連結体(1)の原液容器接続部(55)を構成する接続壁(11)には、接続部材(17)を介して原液容器(9)の開口部(18)を接続可能としている。この原液容器(9)は、硬質材であって、開口部(18)の外周面には外周螺溝(20)を形成するとともに、内部には原液(21)を収納している。尚、本実施例では上記の如く、硬質材製の原液容器(9)を使用しているが、他の異なる実施例では変形可能な軟弾性材製の原液容器(9)を使用することも可能である。
【0024】
また、この原液容器(9)と連結体(1)とは、着脱可能に接続するものであって、接続壁(11)との接続部分について詳細に説明すると、上記接続部材(17)は、原液容器(9)の蓋体(22)、パッキン(23)、及びジョイント部材(24)とから成る。そして、上記蓋体(22)は、上壁(25)と円筒状の周壁(26)とで成るものであって、下端側を開口している。
【0025】
また、この蓋体(22)の上壁(25)には、外気を原液容器(9)内に導入するための外気導入孔(27)、及び、下記に示す連結チューブ(28)の挿通穴(30)を形成している。また、この挿通穴(30)から連結体(1)の内方に、挿通筒(31)を延設している。また、蓋体(22)の下端には環状の下端鍔部(32)を突設するとともに、外周面には、上記連結体(1)の係合凹部(12)に係合可能な係合凸部(33)を円周方向に突設している。
【0026】
また、上記ジョイント部材(24)は円筒状に形成したものであって、上端には、環状突部(34)を内方に突出形成している。この環状突部(34)は、その内径を上記蓋体(22)の周壁(26)の外径よりも大径とするとともに蓋体(22)の下端鍔部(32)の外径よりも小径としている。また、このジョイント部材(24)の内周面には、上記原液容器(9)の外周螺溝(20)と螺合可能な内周螺溝(35)が形成されている。そして、このように形成したジョイント部材(24)を、環状突部(34)を上記蓋体(22)の下端鍔部(32)に係合させた状態で蓋体(22)に接続している。
【0027】
そして、このようにジョイント部材(24)を係合した蓋体(22)を、連結体(1)の接続壁(11)の内方に挿入して無理嵌めすることにより、蓋体(22)の係合凸部(33)が接続壁(11)の係合凹部(12)と円周方向に係合するものとなる。従って、蓋体(22)及びジョイント部材(24)を連結体(1)に離脱不能に接続することができる。
【0028】
また、上記パッキン(23)は軟弾性の材料にて円筒状に形成したものであって、外周には環状の外周鍔部(36)を設けている。尚、このパッキン(23)は、外径を原液容器(9)の開口部(18)の開口径よりも小径に形成するとともに、外周鍔部(36)の外径を、原液容器(9)の開口部(18)の外径よりも大径に形成している。そのため、このパッキン(23)の外周鍔部(36)よりも下端側を、原液容器(9)の内方に挿入するとともに、パッキン(23)の鍔部を上記原液容器(9)の上端面(37)に載置して、パッキン(23)を原液容器(9)の開口部(18)に配置することができる。
【0029】
このような状態に於いて、上述の如く構成した原液容器接続部(55)のジョイント部材(24)の内周螺溝(35)に原液容器(9)の外周螺溝(20)を螺合することにより、原液容器(9)の上端にパッキン(23)が配置され、このパッキン(23)の上方に、蓋体(22)が配置される。また、この蓋体(22)の上方にジョイント部材(24)の環状突部(34)を介して連結体(1)の一端が位置するものとなる。そのため、連結体(1)の一端には、ジョイント部材(24)、パッキン(23)及び蓋体(22)を介して原液容器(9)が接続されるものとなる。
【0030】
尚、上記の如く原液容器(9)をジョイント部材(24)に螺合することにより、パッキン(23)の外周鍔部(36)及び蓋体(22)の下端鍔部(32)が、環状突部(34)によって原液容器(9)側に締め付けられる。また、上記蓋体(22)には外気導入孔(27)を形成しているため、この外気導入孔(27)を介して、原液容器(9)の内部と外部とが連通した状態となっている。そのため、原液容器(9)内を常圧に保つことが可能となり、原液の排出により原液容器(9)内が負圧化し、容器内外の圧力差で原液容器(9)が破損するおそれがないものとなる。また、原液容器(9)内を常に常圧に保つことにより、後述の如く原液の排出のために押釦(42)の連通孔(46)内を負圧化した場合には、連通孔(46)内と原液容器(9)内に常に圧力差が生じるものとなり、連通孔(46)内の負圧を利用した原液の排出を確実に行うことが可能となる。
【0031】
また、上記の如くジョイント部材(24)に原液容器(9)を螺合することにより、原液容器(9)を連結体(1)に接続することが可能となるため、原液容器(9)内の原液(21)を使い切った場合には、この原液容器(9)を容易に取り外すことが可能となる。そして、上記原液容器(9)に原液(21)を再度収納するか、又はジョイント部材(24)と螺合可能な開口部(18)を設けた新たな原液容器(9)を用意し、この原液容器(9)を再度ジョイント部材(24)に螺合することにより、繰り返し使用することが可能となる。
【0032】
また、上記接続部材(17)を、一般に市場で販売されているディスペンサータイプの原液容器(9)、又はその付け替え容器に接続可能なサイズに形成することにより、このような市販品を連結体(1)に容易に接続して使用することが可能となるため、汎用性のある製品を得ることができる。
【0033】
また、図1に示す如く、上記蓋体(22)の上壁(25)に形成した挿通筒(31)の先端側には、接続チューブ(38)の一端を挿入配置するとともに、この接続チューブ(38)の他端を連結体(1)の噴射開口部(4)に配置している。また、上記挿通筒(31)の基端側には、ディップチューブ(40)の一端を挿入配置するとともに、このディップチューブ(40)を原液容器(9)内の原液(21)に挿入し、他端が原液容器(9)の底面(41)に到達するよう配置している。そして、上記接続チューブ(38)、挿通筒(31)、及びディップチューブ(40)によって、本発明の連結チューブ(28)を構成している。
【0034】
また、図3に示す如く、上記の如く連結体(1)の噴射開口部(4)に配置した接続チューブ(38)の他端には、円筒状の押釦(42)を接続している。この押釦(42)は、図4に示す如く、下端軸方向に噴射剤容器(3)のステム(51)を接続するためのステム接続孔(43)を形成するとともに、このステム接続孔(43)に連続した連通路(44)をステム(51)の軸方向に形成している。そして、この連通路(44)に連続して、押釦(42)の軸方向とは垂直方向に噴射孔(45)を形成している。
【0035】
また、この押釦(42)の噴射孔(45)形成側とは反対側には、押釦(42)の軸方向とは垂直方向に連通孔(46)を形成している。そして、この連通孔(46)に連続して、図4に示す如く、噴射孔(45)の噴射口(47)に連通する噴出路(48)を形成している。従って、連通孔(46)は前記噴出路(48)を介して噴射孔(45)と連通した状態となる。
【0036】
そして、上記の如く形成した押釦(42)を連結体(1)の挿入開口部(6)に、噴射孔(45)を連結体(1)の外方に臨ませて配置するとともに、連通孔(46)に上記接続チューブ(38)の先端側を挿入配置している。尚、上記押釦(42)は、連結体(1)の挿入開口部(6)において上下方向に移動可能な状態で連結体(1)に連結固定されている。また、上記連通孔(46)の内周面と接続チューブ(38)の先端側の外周面との間の気密性を確保するため、連通孔(46)と接続チューブ(38)との間に、軟弾性を有するとともに円筒状の接続パッキン(50)を介在させている。
【0037】
そして、図2に示す如く、上記の如く押釦(42)を配置した連結体(1)の噴射開口部(4)側には、噴射剤容器(3)を接続配置する。この噴射剤容器(3)は、内部に噴射剤を充填したものであって、内部にバルブ機構(図示せず)を備えるとともに、上端には前記バルブ機構に設けたスプリング(図示せず)によって上方に付勢されたステム(51)を外方に突出配置している。
【0038】
そして、噴射剤容器(3)のステム(51)側を上記連結体(1)の挿入開口部(6)から内方に挿入するとともに、係合壁(7)を拡開させながら噴射剤容器(3)の外周突部(53)を連結体(1)の内方に移動して無理嵌めをする。これにより、外周突部(53)が上記係合壁(7)の係合突部(8)を乗り越え、この係合突部(8)に係合するものとなる。
【0039】
尚、上記係合壁(7)は、その内径を外周突部(53)の外径とほぼ同一としているため、外周突部(53)が、係合突部(8)に係合するものとなる。尚、上記噴射剤容器(3)内の噴射剤をトリガー(2)の操作により使い切った場合には、噴射剤容器(3)を連結体(1)から取り外し、新たな噴射剤容器(3)を連結体(1)に接続することにより、繰り返し使用することができる。
【0040】
また、上記の如く噴射剤容器(3)を連結体(1)の係合壁(7)に接続するとともに、連結体(1)の挿入開口部(6)に配置した押釦(42)のステム接続孔(43)に、上記噴射剤容器(3)のステム(51)を挿入する。これにより、噴射剤容器(3)に押釦(42)が接続配置された状態となる。また、このように噴射剤容器(3)に押釦(42)を接続することにより、この押釦(42)の上部には、トリガー(2)の押圧部(15)が配置された状態となる。
【0041】
上記の如く、本願発明の噴射機構は部品数が少なく簡易な構成であるため、製造容易で廉価な製品を得ることができるとともに、嵩高くならずにコンパクトな製品を得ることができ、使用時の取り扱いを容易なものとすることが可能となる。
【0042】
上記の如く構成したものにおいて、原液(21)及び噴射剤の噴射について以下に説明する。まず、原液容器(9)側を使用者側の手前に配置して、トリガー(2)の指掛部(16)に手指をかける。そして、この指掛部(16)を手前に引くことにより、トリガー(2)が軸体(14)を支点として回動し、このトリガー(2)の一端に設けた押圧部(15)が押釦(42)側に移動する。
【0043】
そして、この押圧部(15)の押釦(42)側への移動により、図5に示す如く、押釦(42)が押圧されるとともに、この押釦(42)に接続したステム(51)も押圧され、ステム(51)がスプリングの付勢力に抗して下方に移動する。このステム(51)の移動によって、噴射剤容器(3)の内部に配置したバルブ機構が開弁し、噴射剤がステム(51)及び連通路(44)を介して噴射孔(45)から外方に噴射される。
【0044】
そして、上記の如く噴射剤が噴射孔(45)から外方に噴射されると、この噴射剤の噴射に伴い、上記噴射孔(45)と連通した連通孔(46)内の空気が噴射孔(45)から外方に排出され、連通孔(46)内が負圧化するものとなる。そのため、接続チューブ(38)内の空気が吸引されて、この接続チューブ(38)と挿通筒(31)を介して接続したディップチューブ(40)の先端から、原液容器(9)内の原液(21)が吸引される。
【0045】
尚、原液容器(9)内は、蓋体(22)に外気導入孔(27)を形成しているため、常に外部と内部とが連通して常圧を保っている。これにより、原液(21)はディップチューブ(40)から挿通筒(31)及び接続チューブ(38)を介して連通孔(46)内に移動するとともに、更にこの連通孔(46)から噴射孔(45)を介して噴射剤とともに外方に噴射される。
【0046】
また、上記トリガー(2)の指掛部(16)の引き寄せを継続することにより、噴射剤容器(3)の押釦(42)を介してステム(51)の押圧状態が保たれるため、噴射剤の噴射状態が維持される。そのため、上記の如く噴射剤の噴射に伴って噴射される原液(21)も、噴射状態を維持するものとなる。このように、一回のトリガー(2)の引き寄せによって、原液容器(9)内の任意の量の原液(21)を連続的に噴射することができるため、大量噴射を必要とする場合には、何度もトリガー(2)を引く必要がなく、使用者の手指に負担をかけずに噴射作業を容易なものとすることができる。
【0047】
そして、上記原液(21)及び噴射剤の噴射を停止するには、トリガー(2)の指掛部(16)の引き寄せを解除する。これにより、トリガー(2)の押圧部(15)によって押圧されていた押釦(42)の押圧が解除されるため、ステム(51)が付勢力に従って上方に移動し、元の位置に復元するとともに押釦(42)も復元する。そして、このステム(51)の復元によって、噴射剤容器(3)本体内のバルブ機構が閉弁されて、噴射剤の噴射が停止する。
【0048】
上記の如く噴射剤の噴射が停止することにより、外気が噴射孔(45)から連通孔(46)内に流れ込むものとなる。そのため、連通孔(46)内の気圧が負圧から常圧に戻り、接続チューブ(38)の吸引状態が解除される。従って、上記噴射剤の噴射の停止に伴って、原液(21)の噴射が停止する。
【0049】
また、上記実施例に於いて原液容器(9)に硬質材を用いたが、軟質材製の原液容器(9)であっても良く、この場合は原液(21)の減少に伴って原液容器(9)が変形縮小するから、外気導入孔(27)は不要となる。
【実施例2】
【0050】
また、上記実施例1に於ては前述の如く、外気導入孔(27)により原液容器(9)の内外を常時連通させているが、本実施例2に於ては、図6、7に示す如く、外気導入孔(27)に外部から内部方向にのみ開弁するチェッキ弁(56)を設けて、原液容器(9)内外に圧力差が生じた場合を除き、原液容器(9)内と外部との連通を遮断している。
【0051】
以下本実施例2について詳細に説明すると、図7に示す如く、外気導入孔(27)に弁座(57)を形成し、この弁座(57)に、原液容器(9)の外部方向にスプリング(58)で押圧された開閉駒(60)を押圧付勢することにより、原液容器(9)の外部から内部方向にのみ開弁するチェッキ弁(56)を構成している。このチェッキ弁(56)は、原液容器(9)の内外に圧力差がない場合には、上述の如くスプリング(58)の付勢力により弁座(57)を密閉しているが、原液の排出により原液容器(9)内が負圧化すると、開閉駒(60)がスプリング(58)の付勢力に抗して原液方向に移動してチェッキ弁(56)が開弁し、外気を原液容器(9)内に取り込む。そしてこの外気の取り込みにより、原液容器(9)内が常圧になると、スプリング(58)の付勢力により開閉駒(60)が弁座(57)に密着し、再度チェッキ弁(56)が閉止する。
【0052】
このように、原液容器(9)内が負圧化した場合にはチェッキ弁(56)が開弁して外気を取り込むため、前記実施例1に於て外気導入孔(27)を設けた場合と同様に、原液容器(9)内を常に常圧に保つことが可能となる。そのため、原液容器(9)の破損を防止するとともに、連通孔(46)内の負圧を利用した原液の排出を確実に行うことが可能となる。また、外部から内部方向にのみ開弁するチェッキ弁(56)の存在により、手指で原液容器(9)を押圧した場合や、誤って原液容器(9)を転倒させた場合であっても、外気導入孔(27)から原液が外部に流出するおそれのないものとなり、原液容器(9)のより安全な使用が可能となる。
【実施例3】
【0053】
また、前記実施例1に於ては、原液容器(9)の内外を連結チューブ(28)を介して常時連通させているが、本実施例3に於ては、図6、8に示す如く、連結チューブ(28)に、ストッパー機構(61)を設けて原液の流通を遮断可能としている。以下詳細に説明すると、前記連結体(1)の接続壁(11)には、壁面開口(13)側の上端面をコ字型に切り欠いて挿入溝(62)を形成し、この挿入溝(62)の底面を接続チューブ(38)を載置するための載置面(63)としている。また、前記接続壁(11)の上方には、図8に示す如く、レバー(64)を回転軸(65)により回動可能に軸支している。このレバー(64)は、一端に手指を載置して押圧するための押圧面(66)を形成するとともに、この押圧面(66)の裏面側の先端を切り欠いて段部(67)を形成している。また、このレバー(64)の他端には、連結チューブ(28)を押圧するための押圧部(68)を形成しており、接続チューブ(38)を載置面(63)に載置した状態で、レバー(64)の押圧面(66)を押圧してレバー(64)を回動させ、レバー(64)の押圧部(68)を挿入溝(62)に挿入することにより、図8に示す如く押圧部(68)により接続チューブ(38)を押圧して、連結チューブ(28)内に於ける原液の流通を遮断可能としている。
【0054】
また、原液容器(9)の使用時には、前述の如くレバー(64)の一端に形成した段部(67)に手指を挿入してレバー(64)の一端側を引き上げ、図6、図8に二点鎖線で示す如く、押圧部(68)をトリガー(2)側に回動させて挿入溝(62)から離脱させることにより、押圧部(68)による連結チューブ(28)の押圧を解除して、連結チューブ(28)内を原液が流通可能なものとなる。
【0055】
このようにストッパー機構(61)を設けることにより、連結チューブ(28)の連通と、連通の遮断を容易に切り替えることが可能となる。そのため、原液容器(9)の不使用時には、上記ストッパー機構(61)により原液の流通を遮断しておくことにより、手指で原液容器(9)を押圧したり、容器が転倒したりして、誤って原液が連結チューブ(28)内に流入した場合であっても、原液の外部への流出を防止することができる。また、原液容器(9)への外気の導入を遮断することにより、外気との不必要な接触による原液の酸化や変質を防止することが可能となる。
【0056】
また、本発明の噴射機構は、頭髪用品、化粧品、消臭・制汗剤、その他の人体用品、殺虫剤、コーティング剤、クリーナー、その他の家庭用品、工業用品、自動車用品、食品等のエアゾール製品に用いることができる。そして、頭髪用品として、ヘアースプレー、ヘアートリートメント、ヘアースタイリングフォーム、ヘアーシャンプー・リンス、酸性染毛剤、酸化型2剤タイプ永久染毛剤、カラースプレー・脱色剤、パーマ剤、育毛剤、ヘアートニック、寝癖直しスプレー、髪用フレグランス等に用いることができる。
【0057】
また、化粧品として、シェービングフォーム、アフターシェーブローション、香水・オーデコロン、洗顔料、日焼け止め、ファンデーション、脱毛・脱色剤、浴用剤等に用いることができる。
【0058】
また、消臭・制汗剤としては、制汗剤、消臭剤、ボディシャンプー等に用いることができる。また、その他の人体用品としては、筋肉消炎剤、皮膚疾患予防剤、皮膚疾患治療剤、水虫薬、害虫忌避剤、清拭剤、口腔清涼剤、口腔歯磨き剤、傷薬、やけど治療剤等に用いることができる。
【0059】
また、殺虫剤としては、空間殺虫剤、ゴキブリ殺虫剤、園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、不快害虫剤等に用いることができる。また、コーティング剤としては、家庭用塗料、自動車用塗料、アンダーコーティング等に用いることができる。
【0060】
また、クリーナーとしては、ガラスクリーナー、硬質表面洗浄剤、浴用クリーナー、床・家具艶出しクリーナー、靴・皮革クリーナー、ワックス艶出し剤等に用いることができる。また、その他の家庭用品としては、室内消臭剤、トイレ用消臭剤、防水剤、洗濯糊、除草剤、衣類用防虫剤、防炎剤、除菌剤等に用いることができる。
【0061】
また、工業用としては、潤滑防錆剤、接着剤、金属探傷剤、離型剤、コーキング剤等に用いることができる。また、自動車用としては、防曇剤、解氷剤、エンジンクリーナー等に用いることができる。その他、動物用品、趣味娯楽用品、食品、例えば、コーヒー、ジュース、クリーム、チーズ等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1を示す排出機構の断面図。
【図2】実施例1の排出機構の側面図。
【図3】図1の一部拡大断面図。
【図4】図1の押釦の接続部分の拡大断面図。
【図5】実施例1において、噴射状態を示す断面図。
【図6】実施例2、3を示す一部拡大断面図。
【図7】実施例2のチェッキ弁の拡大断面図。
【図8】実施例3のストッパー機構の拡大断面図。
【符号の説明】
【0063】
1 連結体
2 トリガー
3 噴射剤容器
9 原液容器
13 壁面開口
16 指掛部
18 開口部
21 原液
27 外気導入孔
28 連結チューブ
42 押釦
45 噴射孔
46 連通孔
54 噴射剤容器接続部
55 原液容器接続部
56 チェッキ弁
61 ストッパー機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に原液を収納した原液容器を着脱可能に接続するための原液容器接続部を一端に設けるとともに、他端に噴射剤容器を接続可能とした噴射剤容器接続部を設けて連結体を形成し、この噴射剤容器接続部には、噴射剤容器を接続するための押釦を設けるとともにこの押釦の噴射孔を連結体の外方に向けて配置し、この押釦には、噴射孔と連通する連通孔を形成し、この連通孔には、連結チューブの一端を接続配置し、この連結チューブの他端を連結体を介して原液容器の開口部から内部に挿入配置して原液中に挿入するとともに、上記連結体には、トリガーを回動可能に軸支し、このトリガーの一端を噴射剤容器の押釦の上部に臨ませて配置するとともに、上記トリガーの指掛部を連結体の底部側に形成した壁面開口から外方に突出配置し、このトリガーを軸支部を支点として回動させることにより、トリガーの一端が押釦を押圧して噴射剤を噴射し、押釦の連通孔内を負圧化することにより、原液容器内の原液を連結チューブ及び連通孔を介して押釦の噴射孔から噴射剤とともに外方に噴射可能としたことを特徴とする噴射装置。
【請求項2】
噴射剤容器は、連結体に着脱可能に接続したことを特徴とする請求項1の噴射装置。
【請求項3】
原液容器は、硬質材で形成するとともに、外気導入孔を設けたことを特徴とする請求項1の噴射装置。
【請求項4】
原液容器は、外部から内部方向にのみ開弁するチェッキ弁を設けたことを特徴とする請求項1または3の噴射装置。
【請求項5】
原液容器は、変形可能な軟弾性材にて形成したことを特徴とする請求項1の噴射装置。
【請求項6】
連結チューブは、ストッパー機構を設けて原液の流通を遮断可能としたことを特徴とする請求項1の噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−110334(P2008−110334A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201801(P2007−201801)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000222129)東洋エアゾール工業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】