説明

噴霧ノズル

【課題】噴角調整、および噴射と停止を容易に行える噴霧ノズルを提供する。
【解決手段】レバー50に回動自在にフック55が設けられ、本体部31に、フック55を掛止、取り外し可能な掛止部58が、レバー50に対して接離方向に所要位置まで移動可能に設けられて成り、所要位置に移動された掛止部58に、フック55を掛止し、および該掛止部58からフック55を取り外すことにより、噴口35から所要噴角に調節された水流を噴出可能、および直ちに該水流の噴出を停止可能なことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴角の調整、および噴射と停止を容易に行える噴霧ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
植物への水やりや、薬液の噴霧には、ホースに噴霧ノズルを取り付けてなされる。
噴霧ノズルには種々のタイプのものがあるが、簡易な構成のものとしてガン(ピストル)タイプのものが知られている。
図2、図3に示すものは、従来のガンタイプの噴霧ノズルの一例である。
この噴霧ノズル10は、流路12を有する本体部13と、流路先端部に配設された、噴口14を有するノズル部15と、流路12内に移動自在に配設された可動軸16と、可動軸16先端に配設され、噴口14を開閉する弁体17と、可動軸16を噴口14方向に付勢するスプリング18と、可動軸16にコネクタ19を介して連繋されるとともに、本体部13に軸20を中心に回動自在に配設され、スプリング18の付勢力に抗して可動軸16を移動させるレバー21とを有し、レバー21を操作することによって弁体17を移動させ、弁体17が、噴口14に接近した位置では霧状に、離反した位置では次第に直状に水もしくは薬液を噴出するようになっている。
【0003】
また、本体13上に、調節ナット22が設けられ、この調節ナット22にレバー21が掛止できるようになっている。調節ナット22を本体13上の所要の位置に移動し、レバー21の戻りを規制することによって、噴角の調整、および噴角の固定ができるようになっている。このガンタイプの噴霧ノズルは、例えば特開平7−68210公報に記載されている。
その他、噴角を調整、および噴角を固定する方法は、可動軸の移動経路上に障害物を設け、軸の戻りを規制する方法がある。
また、単に噴角を固定する方法としては、レバーにフック、本体部に掛止部を設け(あるいはその逆)、掛止部にフックを掛止して、レバーを所要位置に固定し、これにより噴角を固定するものなどがある。
【0004】
【特許文献1】特開平7−68201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された噴霧ノズルや、可動軸の移動経路上に障害物を設けるものにおいては、噴角を固定する上では便利であるが、噴射を停止するには、調整ナット22や障害物を初期位置まで戻さねばならず、厄介である。また、一旦初期位置まで戻すと、今度は、再度、先の調整位置まで調整ナット22等を戻すのが困難になる。そのため、例えばホースの接続部等に、開閉バルブを別途設けたりしており、部品点数が多くなり、コスト高となる課題がある。また、噴角調整には、両手を用いて行う必要があり、厄介である。
また、フックを掛止部に掛止して噴角を調整するものにおいては、噴射、停止、同じ噴角への復帰は容易に行うことができるが、噴角を無段階に調節することはできないという課題がある。
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、その目的とするところは、噴角調整、および噴射と停止を容易に行える噴霧ノズルを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る噴霧ノズルは、流路を有する本体部と、流路先端部に配設された、噴口を有するノズル部と、流路内に移動自在に配設された可動軸と、可動軸先端に配設され、前記噴口を開閉する弁体と、可動軸を噴口方向に付勢するスプリングと、可動軸に連繋されるとともに、本体部に回動自在に配設され、スプリングの付勢力に抗して可動軸を移動させるレバーとを有し、前記弁体が、前記噴口に接近した位置では噴角の広がった霧状に、離反した位置では次第に直状に水もしくは薬液を噴出する噴霧ノズルにおいて、前記レバーに回動自在にフックが設けられ、前記本体部に、前記フックを掛止、取り外し可能な掛止部が、前記レバーに対して接離方向に所要位置まで移動可能に設けられて成り、所要位置に移動された前記掛止部に、前記フックを掛止し、および該掛止部からフックを取り外すことにより、前記噴口から所要噴角に調節された水流を噴出可能、および直ちに該水流の噴出を停止可能なことを特徴とする。
【0007】
前記フックを前記掛止部に対する掛止方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
前記フックが前記付勢部材に付勢されて当接しながら移動して掛止部に掛止する傾斜案内部が、前記掛止部に隣接して設けられていることを特徴とする。
該掛止部を手動にて移動させる移動手段が設けられていることを特徴とする。
また、前記移動手段は、前記本体部に設けられたウォーム歯車装置であり、該ウォーム歯車装置のラックが本体部に移動可能にガイドされ、前記掛止部が、該ラックに設けられていることを特徴とする。
【0008】
また本発明にかかる噴霧ノズルは、流路を有する本体部と、流路先端部に配設された、噴口を有するノズル部と、流路内に移動自在に配設された可動軸と、可動軸先端に配設され、前記噴口を開閉する弁体と、可動軸を噴口方向に付勢するスプリングと、可動軸に連繋されるとともに、本体部に回動自在に配設され、スプリングの付勢力に抗して可動軸を移動させるレバーとを有し、前記弁体が、前記噴口に接近した位置では噴角の広がった霧状に、離反した位置では次第に直状に水もしくは薬液を噴出する噴霧ノズルにおいて、前記レバーに回動自在にフックが設けられ、前記本体部に、前記フックを掛止、取り外し可能な掛止部が、前記レバーに対して所要間隔をおいて複数個所に設けられて成り、所要位置の前記掛止部に、前記フックを掛止し、および該掛止部からフックを取り外すことにより、前記噴口から所要噴角に調節された水流を噴出可能、および直ちに該水流の噴出を停止可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所要位置に移動された掛止部に、もしくは、複数の掛止部のうち所要位置の掛止部に、フックを掛止し、および該フックから取り外すことにより、噴口から所要噴角に調節された水流を噴出可能、および直ちに該水流の噴出を停止可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は本実施の形態に係る噴霧ノズル30の断面図である。
噴霧ノズル30の噴霧機構は公知のものであるので、以下簡単に説明する。
噴霧ノズル30は、ガン(ピストル)タイプのものであり、への字状をなす本体部31を有する。
本体部31は、把持部32と噴出管33とを有する。
把持部32内、および噴出管33内に流路34が形成されている。把持部32の後端側にホース(図示せず)が接続される。
【0011】
噴出管(流路)33の先端部には、噴口35を有するノズルチップ(ノズル部)36が、パッキン37を介して取り付けられる。具体的には、フードキャップ38を噴出管33の先端部に螺着することによって、フードキャップ38によりノズルチップ36を噴出管33先端部に挟み込むことでノズルチップ36が取り付けられる。
【0012】
噴出管33の流路34内には、可動軸40が移動自在に配設される。
可動軸40の先端部には、弁体41が配設され、弁体41は、可動軸40が軸線方向に移動することで、噴口35を開閉するようになっている。なお、42はストップ弁であり、ゴム等の弾性部材で形成され、弁体41を受けとめる。ストップ弁42にも、噴口35に通じる孔が開口されている。
噴出管33の後端側には、流路34に通じる空洞44が開口され、可動軸40は、この空洞44を通じて流路34内に挿入される。空洞44は、ネジ45が螺着されることによって密封される。ネジ45と可動軸40の後端部との間にはスプリング46が介挿され、可動軸40はこのスプリング46によって噴口35方向に付勢され、弁体41がストップ弁42に押しつけられることによって、噴口35が閉塞される。
可動軸40の外周にはOリング48が配設され、これにより可動軸40と空洞44内壁との間が液密にシールされる。
【0013】
50は、レバーであり、軸51によって本体部31に回動自在に軸着されている。
レバー50は、可動軸40にピン52を介して連繋され、スプリング46の付勢力に抗して可動軸(弁体)40を噴口35から離れる方向に移動させることができるようになっている。
ピン52は、空洞44における本体部に設けた長孔(図示せず)を貫通して外部に突出し、レバー50に設けた孔(図示せず)に嵌入している。
【0014】
把持部32およびレバー50に手をかけ、レバー50を把持部32側に回動させると、弁体41が噴口35を開き、水(薬液)が噴口35から前方に噴出する。
弁体41には、外周に螺旋溝が切ってあり(この部分の弁体を虫とも言う)、この螺旋溝により水流が渦流となり、弁体41が噴口35に近いときは、水流は、噴角の広い霧状となって噴出し、弁体41が噴口35から離れるにしたがって、直線状の水流となって噴出される。
【0015】
次に、55はレバー50に回動自在に設けられたフックである。
フック55は、細長のリング状に設けられ、先端部が、把持部32に前後方向に長く開口された貫通孔56内を通過している。
把持部32には、ウォーム歯車装置(移動手段)が組み込まれている。
ウォーム歯車装置のラック57が、把持部32内において、レバー50に対して接離する方向に移動可能にガイドされて設けられている。このラック57に、貫通孔56を挿通するフック55の先端部が掛止可能な掛止部58が設けられている。
60はウォームギアであり、把持部32内に軸61を中心として回転可能に設けられていて、ラック57に噛合している。ウォームギア60の周面の一部は把持部32から突出しており、外部から手動にて容易に回転させられるようになっている。ウォームギア60を回転させることによって、ラック57を介して掛止部58を貫通孔56内で、レバー50に対して接離する方向に移動可能である。
【0016】
フック55のレバー50への取付部(回動部)には、つる巻きばね(付勢部材:図示せず)が配設され、フック55の先端側を下方、すなわち、掛止部58への掛止方向に付勢している。
また、掛止部58のレバー50側の壁面は、レバー50側に低くなる傾斜面62に形成されている。
【0017】
本実施の形態は上記のように構成されている。
前記のようにして、ウォームギア60を回転し、掛止部58を貫通孔56内で任意の位置に移動し、この移動した掛止部58にフック55の先端部を掛止することで、レバー50を任意の回動角度位置で固定することができる。したがって、噴口35から噴出する水流の噴角を容易に調整し、またその噴角を維持したまま水流の噴射を行える。
そして、水流の噴射を停止するには、つる巻きばね(付勢部材)の付勢力に抗してフック55先端部を押し上げ、掛止部58へのフック55の掛止を外せばよい。これによって、可動軸40はスプリング46の付勢力によって初期位置に復帰し、弁体41が噴口35を閉塞するので、水流の噴出が停止する。
【0018】
再度、同じ噴角で水流を噴射させるには、停止している掛止部58にそのままフック55先端部を掛止させるだけでよい。一々、ウォームギア60を回転させて調整する必要はないので好適である。
また、フック55先端部を掛止部58に掛止させるには、レバー50を引くだけでよい。すなわち、フック55先端部はつる巻きばねによって常時下方に付勢されているので、レバー50を引くと、フック55先端部は傾斜面(傾斜案内面)62に当接しながら移動して掛止部58に自動的に掛止する。
なお、付勢部材はつる巻きばねに限定されることはない。また、付勢部材は必ずしも設けなくともよい。
【0019】
また、移動手段も上記ウォーム歯車装置に限定されるものではない。
例えば、前記貫通孔56内で、レバー50に対して接離する移動駒(図示せず)を把持部32にスライド自在に設け、この移動駒を例えばクリック機構によって、複数の位置で停止可能に設け、この移動駒に掛止部を設けるようにしてもよい。これにより、複数の停止箇所にて掛止部を停止させ、停止位置で掛止部にフックを掛止することで、レバー50の回動角度位置を調整することができる。
【0020】
あるいは、貫通孔56内において、複数の独立した掛止部を所定間隔をおいて固定して設けるだけでもよい(図示せず)。
所要位置の掛止部にフック先端部を掛止するようにすることで、レバー50の回動角度位置を複数段階で調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】噴霧ノズルの一実施の形態を示す断面図である。
【図2】従来の噴霧ノズルの一例を示す断面図である。
【図3】図2の噴霧ノズルの正面図である。
【符号の説明】
【0022】
30 噴霧ノズル
31 本体部
32 把持部
33 噴出管
34 流路
35 噴口
36 ノズルチップ
37 パッキン
38 フードキャップ
40 可動軸
41 弁体
42 ストップ弁
44 空洞
45 ネジ
46 スプリング
50 レバー
51 軸
52 ピン
55 フック
56 貫通孔
57 ラック
58 掛止部
60 ウォームギア
61 軸
62 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を有する本体部と、流路先端部に配設された、噴口を有するノズル部と、流路内に移動自在に配設された可動軸と、可動軸先端に配設され、前記噴口を開閉する弁体と、可動軸を噴口方向に付勢するスプリングと、可動軸に連繋されるとともに、本体部に回動自在に配設され、スプリングの付勢力に抗して可動軸を移動させるレバーとを有し、前記弁体が、前記噴口に接近した位置では噴角の広がった霧状に、離反した位置では次第に直状に水もしくは薬液を噴出する噴霧ノズルにおいて、
前記レバーに回動自在にフックが設けられ、
前記本体部に、前記フックを掛止、取り外し可能な掛止部が、前記レバーに対して接離方向に所要位置まで移動可能に設けられて成り、
所要位置に移動された前記掛止部に、前記フックを掛止し、および該掛止部からフックを取り外すことにより、前記噴口から所要噴角に調節された水流を噴出可能、および直ちに該水流の噴出を停止可能なことを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項2】
前記フックを前記掛止部に対する掛止方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の噴霧ノズル。
【請求項3】
前記フックが前記付勢部材に付勢されて当接しながら移動して掛止部に掛止する傾斜案内部が、前記掛止部に隣接して設けられていることを特徴とする請求項2記載の噴霧ノズル。
【請求項4】
該掛止部を手動にて移動させる移動手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の噴霧ノズル。
【請求項5】
前記移動手段は、前記本体部に設けられたウォーム歯車装置であり、該ウォーム歯車装置のラックが本体部に移動可能にガイドされ、前記掛止部が、該ラックに設けられていることを特徴とする請求項4記載の噴霧ノズル。
【請求項6】
流路を有する本体部と、流路先端部に配設された、噴口を有するノズル部と、流路内に移動自在に配設された可動軸と、可動軸先端に配設され、前記噴口を開閉する弁体と、可動軸を噴口方向に付勢するスプリングと、可動軸に連繋されるとともに、本体部に回動自在に配設され、スプリングの付勢力に抗して可動軸を移動させるレバーとを有し、前記弁体が、前記噴口に接近した位置では噴角の広がった霧状に、離反した位置では次第に直状に水もしくは薬液を噴出する噴霧ノズルにおいて、
前記レバーに回動自在にフックが設けられ、
前記本体部に、前記フックを掛止、取り外し可能な掛止部が、前記レバーに対して所要間隔をおいて複数個所に設けられて成り、
所要位置の前記掛止部に、前記フックを掛止し、および該掛止部からフックを取り外すことにより、前記噴口から所要噴角に調節された水流を噴出可能、および直ちに該水流の噴出を停止可能なことを特徴とする噴霧ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−110717(P2010−110717A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286949(P2008−286949)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(500270572)株式会社麻場 (8)
【Fターム(参考)】